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今回の原子炉の事故を理解する上で、簡単であるが、重要なポイントを記す。
原子力発電所の発電方法は、火力発電所と同じである。水蒸気の力でタービンをまわして発電する。違いは、タービンをまわす為の高温高圧蒸気の熱源にある。原子力発電は、核分裂により生じるエネルギーを使って、水を熱する。ところが、核分裂を起こさせる為の核燃料は、化石燃料とは基本的に違う性質を有する事が問題の根源となる。それらを簡単にまとめる。
- 発電を止めた後でも、核燃料は膨大な熱を発し続けるので、水で冷却し続ける必要がある。冷却を止めれば、原子炉内で発生し続ける熱により、水の蒸発が早まり、圧力が高まり、短時間の内に原子炉の爆発に至る。従って、原子炉の水冷は必須である。
- 水冷が不十分で高温高圧になる過程で、核燃料(炉心)の損傷(高温になり溶ける)が起こる。このとき、水素が発生するので、酸素が、ある割合で存在する場合に、水素爆発を起こす。
- 原子炉内には莫大な量の放射性物質が存在する。平穏な場合は、それらは核燃料の中にほとんど閉じ込められている。核燃料の損傷が起こると、放射性物質が原子炉内のガスと水の中に放出されてしまう。原子炉が高温高圧になれば、放射性物質の漏れが始まる。原子炉の圧力損傷を防ぐ目的で、人為的に放射性の強いガスを大気中へ放出する事もある(ベントと呼ぶ)。仮に、水素爆発が起これば、放射性物質が飛び散り、事故のレベルは一足飛びに重大且つ深刻化する。
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Kozan
平成23年8月1日