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2号機と3号機も事態は重大化する。時系列で推移をみてみよう[61]。
2号機:
- 11日14:46 運転中、地震により自動停止
- 11日15:42 10条通報(全交流電源喪失)
- 11日16:36 15条事象の発生(非常用炉心冷却装置注水不能)
- 13日11:00 ベント開始
- 14日13:25 15条事象の発生(原子炉冷却機能喪失)
- 14日16:34 海水の炉心注水開始
- 14日22:50 15条事象の発生(格納容器圧力異常上昇)
- 15日0:02 ベント開始
- 15日06:10 爆発音発生
- 15日06:20頃サプレッションプール(圧力抑制室)損傷の可能性あり
3号機:
- 11日14:46 運転中、地震により自動停止
- 11日15:42 10条通報(全交流電源喪失)
- 13日05:10 15条事象の発生(非常用炉心冷却装置注水不能)
- 13日08:41 ベント開始
- 13日13:12 海水及びホウ酸の炉心注水開始
- 14日05:20 ベント開始
- 14日07:44 15条事象の発生(格納容器圧力異常上昇)
- 14日11:01 爆発音
- 16日08:30頃白煙が発生
2号機と3号機のプラントパラメータの推移を図に示す。参考資料[50]のデータを使用した。
水位ゼロは、燃料頂部を意味するという。従ってマイナス表示は燃料が露出している事を意味する。燃料棒の長さは約4mなので、測定値が正しいとすれば、核燃料の半分露出の状態が継続している。
図 3.32:
2号機ドライウェル圧力変化:絶対圧
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水位ゼロは、燃料頂部を意味するという。従ってマイナス表示は燃料が露出している事を意味する。燃料棒の長さは約4mなので、測定値が正しいとすれば、核燃料の半分露出の状態が継続している。
図 3.35:
3号機ドライウェル圧力変化:絶対圧
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2号機と3号機の事故重大化に伴い、大量の放射性物質が外部へ放射された。各地の放射線量測定結果は第4.2節にまとめてあるので、原子炉の推移と対照して検討する必要がある。
ここには、福島県内7カ所の測定結果を示す。
図 3.36:
福島県内7カ所の放射線量測定結果:3月21日まで
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3号機の建屋は14日11:01に爆発した。炉心水位が13日に急降下しているので、水素の発生は当然予測出来た。1号機の場合、水位低下から爆発まではおよそ8〜9時間程度であった。3号機では、水位データがマイナスを示すのは、3月13日午前8時である。値は-3000mmなので、これが正しいとすれば、大分以前に水位減少が始まっていたはずだ。DW圧力が増大して0.465MPaとなるのは、午前8時。この圧力はわずかに設計圧力を越えた値である。3号機のベント開始は8時41分と記されている。1号機の経験が生きているのか、1号機よりは早めの選択であった。しかし格納容器圧力は9時10分には0.637MPaと増えるので、建屋へのリークは生じていた可能性がある。報告されている次の格納容器圧力データは13日13時丁度で、測定値は0.3MPaと大幅に減少する。この間のおよそ4時間の緊迫する時間帯のデータは記載されていない。
2号機でも炉心損傷が生じた。2号機の格納容器圧力は、高圧状態で不安定な動きを続けていたが、3月14日の午後10時頃から急激に増加をして3月15日午前には0.7MPa以上を長時間にわたって越えていた。午前0時2分にベント開始と報告されているが、それによる格納容器圧力の減少は起こっていない。午前6時10分に爆発があり、6時20分にはサプレッションプール(圧力抑制室)損傷の可能性と報告されている。後に、2号機のタービン建屋から放射線量が毎時1000ミリシーベルト以上の汚染水が見つかるなどしているので、格納容器が大幅に損壊していると思われる。
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Kozan
平成23年8月1日