次へ: 9.2 原発が内包する制御不可能なエネルギーと危険性
上へ: 9. 原発を廃止して自然エネルギー利用社会へ
戻る: 9. 原発を廃止して自然エネルギー利用社会へ
目次
索引
2011年7月中旬現在、福島第一原子力発電所で大爆発を起こした原発事故はいまだに収束できず、放射線汚染を出し続けている。通常の放射線管理規定ならば、おそらく福島県全域に相当するような広範囲が放射線汚染によって、立ち入り禁止区域になっているはずだ。非常時の管理規定によっても、数万人の人々が土地を追われ、生活と文化の全てを根こそぎ奪われる状態の避難状態にある。関東、東北に広がった広範囲の放射線汚染によって、今後数十年の間に生じると予測される放射線障害者は数万人に及ぶ(第7.1節)。
忘れてはならない事は、これだけの事故であっても、これまで判明している範囲では、全くの偶然により被害が奇跡的に少なかった事だ。
甚大な被害を蒙った地域に対しては申し訳ないが、日本全体の観点から眺めると、天候が東京都民にとって幸いした。飯舘村に落ちた放射性物質が東京に落ちた可能性の存在を否定できない事は、3月15日から16日の放射性物質の空間移動の様子からわかる。第4.2節において紹介した2種類のシミュレーション結果を見れば、それが納得できると思う。もしも、東京がそのような状態になっていたとすれば、1000万人の人々にどのような選択肢が残されていたのか。今頃は、移転先の大阪で開かれている国会において議論が行われていただろう。
1号機と3号機においては、水素爆発は建屋内で起こった。これが格納容器内で生じていたら、現在の数倍以上の放射線汚染が生じていたであろう。爆発が建屋内で最初に起こった事はまったくの偶然であり、2号機のように格納容器内(圧力抑制プール)で起こる可能性があったのである。
最悪の事故であったが、上に述べた如く奇跡的な幸運が重なって、今回は、事故の影響の広がりが抑えられている。この次に、同じ類の重大事故を起こした時に、このような幸運に再ぶ恵まれるとは限らない。逆に、最悪の結果となる可能性もあるのである。この狭い日本で、同じ事故を二度と起こしてはならないという警告には全ての人が同意するだろう。
次へ: 9.2 原発が内包する制御不可能なエネルギーと危険性
上へ: 9. 原発を廃止して自然エネルギー利用社会へ
戻る: 9. 原発を廃止して自然エネルギー利用社会へ
目次
索引
Kozan
平成23年8月1日