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8.5 原子力予算

 原子力基本法によって「第五条 原子力委員会は、原子力の研究、開発及び利用に関する事項(安全の確保のための規制の実施に関する事項を除く。)について企画し、審議し、及び決定する。」と規定される。原子力委員会及び原子力安全委員会設置法により、原子力委員会は、「三 関係行政機関の原子力利用に関する経費の見積り及び配分計画に関することについて企画し、審議し、及び決定する」と規定されている。これらの法律に従って、全ての原子力関連予算案は、原子力委員会によって決定される。原子力委員会が原子力に関して全権に近い力を(形式上)持つ源泉である。
 原子力関連予算は大きく二種類に分類される。一般会計と、特にエネルギー関連の経理を明確にするために設置されているエネルギー対策特別会計である。原子力関連は、後者の中の電源開発促進勘定と呼ばれる部分である。これは電源開発促進税相当分額を一般会計から繰り入れて、作られている。平成20〜22年度の予算(単位 百万円)は次の如くである。

名目 H20年度 H21年度 H22年度
一般会計 124704 115856 116102
エネ対策 338761 339854 316197
合計 463465 455710 432299

 毎年、4000億円を越える予算が原子力関連予算として計上され、原子力推進の為に使われる。単純に日本の全世帯数およそ5000万世帯で割り算すれば、年間8500円(700円/月)の原子力推進予算を、全家庭が払っている事になる。
 原子力委員会へ提出された資料(平成22年度原子力関係経費よさん案)から、エネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定の内訳をさらに詳しく紹介する。

図 8.1: 平成22年度エネルギー対策特別会計電源開発促進勘定原子力関係経費予算案
\includegraphics[width=20cm,clip]{H22enetaisouhyou.eps}

 電源立地対策と電源利用対策に二分されている。電源立地対策の内訳には、交付金という名目が並んでいる。主に原発を引き受けてくれた地方自治体へのばらまき予算で、合計は1795億円である。電源利用対策の欄には委託費という名前が多い。合計で1367億円である。これらは、原子力に関連する数多くの推進団体へのばらまき予算である。それらの団体は経産官僚の天下り先でもある。
 エネルギー予算全体の中では原子力関連経費どのような割合になっているだろうか。資料を引用する[93]。

図 8.2: 一般会計エネルギー対策費の推移。出典は[93]。
\includegraphics[width=16cm,clip]{costnp5.eps}

 一般会計エネルギー対策費は、そのほとんど全てが原子力に使われている。

図 8.3: 電源開発促進対策特別会計の推移。出典は[93]。
\includegraphics[width=16cm,clip]{costnp6.eps}


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Kozan 平成23年8月1日