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今回の原発破局は、6基の内、4基が事故を起こすという壮絶なものである。放射性物質は、炉心からのリーク、水素爆発、そして爆発回避の為のベント作業(バルブをあけて炉内ガスを放出する事)等により、大気中に放出された。それらは、風に乗り、雨にまぎれて、広範囲に拡散した。
使用済み核燃料プールの冷却の目的で、外部から放水した水の多くは地中から海へと流れ出し、海水汚染を引き起こした。更に、原子炉から流出した非常に強い放射線を出す水も流れ出した。それでも、まだ福島原発の原子炉内と使用済み燃料プールには、これの10倍以上の核物質が残っている。
福島原発の放射線に関しての良い解説が紹介されている。
参考資料:福島原発の放射のうを理解するー物理と工学からの見地、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)、Ben Monreal 教授
原発崩壊過程の中で、「不幸中の幸い」なる事実が指摘されている。
緊急炉心停止後の、およそ50分間の初動冷却の効果により、危険が大幅に低減された。生まれた時間的余裕をもっと有効に使えた方策はなかったものか。
発生一ヶ月を経た時点で、炉心の冷却に関してはほとんど進展が見られない。あいかわらず、原子炉水素爆発の可能性も、まだ有限である。
人と放射線のかかわりについては、東大中川先生の注意のまとめ:原発事故に関しての正しい医学的知識、東京大学医学部附属病院放射線科、中川恵一
筆者は、中川先生の所見はかなり勇気ある見解と感じる。世の中の見解が分かれており、判断が難しい件に関しては、自分の経験の範囲内で考えるのが、最後に残された方法であろう。
私見では、放射線被曝に対して注意する事は次のような事か。
- 短時間被曝と長時間の積算被曝量を区別して考える。
- 短時間ならば数ミリシーベルト(mSv/時)の被曝は心配する必要はない。
- 長時間で考えると、浴びる必要のない積算被曝量は少ないほどよい。
換算は、 1マイクロミリシーベルト/時間 = 8.8ミリシーベルト/年間。
年間20ミリシーベルトを限界とすれば、2.3マイクロミリシーベルト/時間が目安。
第4.2節の放射線量測定結果図を見る時は、この値を一つの基準にするとよい。
- 実は年間20ミリシーベルトは、これまで実施されてきた公的機関の放射線管理基準からみれば、かなり大きな値である。更に放射線に弱いと考えられる人々(子供、妊婦等)への配慮は必要であろう。この件に関しては、第5.3節と第7.1節を追加した。
参考:放射線量測定結果公表とまとめサイト:
放射線量モニターデータまとめページ サイト
KEK リアルタイム放射線量測定 サイト
放射線データ集 by Okumura サイト
東電 東日本大震災後の福島第一・第二原子力発電所の状況サイト
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Kozan
平成23年8月1日