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ここに、「原子力安全委員会 地震・地震動評価委員会及び施設健全性評価委員会 第14回 ワーキング・グループ1 議事次第」と題する報告がある。この中から興味ある部分を引用する。
1 . 日 時 平成21年8月7日(金) 13:30―17:12
2 . 場 所 原子力安全委員会第1、2会議室
3 . 議 題
耐震バックチェックの検討状況
(1)福島第一原子力発電所5号機、福島第二原子力発電所4号機:耐震安全性に係る中間報告の評価(原子力安全・保安院)
(2)福島第一原子力発電所5号機、福島第二原子力発電所4号機:地質・地質構造に係るコメント回答
――略――
- 地震本部による敷地を含め、領域の陸域の震源断層等、予め特定しにくい地震の最大マグニチュードにつきましては、6.7程度とされているということ
- 敷地を含む北関東、東北の太平洋側の領域におきまして、震源と活断層とを関連付けることが困難な地震の最大規模はM6.5
- 合同ワーキング・グループにおきまして、津波堆積物の調査結果を踏まえた869年貞観の地震に関する文献、これは佐竹ほか(2008)でございますけれども、これを考慮した検討をすべきとの意見がございました。そういったこともございまして、この佐竹ほか(2008)で提案されております津波シミュレーションに基づきます波源モデルを震源断層と仮定した上で、耐専式によりまして地震動評価を実施し、基準地震動Ssに及ぼす影響を検討しております。
- その検討結果といたしましては、869年貞観の地震の津波評価における波源モデルを震源断層と仮定した地震動評価結果がプレート間地震を考慮して策定された基準地震動Ss―1の設計応答スペクトルを全周期帯において下回り、周期毎の最大振幅値の比率として2分の1程度以下であることを確認しております。
- ここまでが確認した内容でございますけれども、確認した後に複数の委員からコメントがございまして、今後も継続的に検討をしていくべきということで、ここになお書きとして記載を追加してございます。
- 現在ということで、研究機関等により869年貞観の地震に係る津波堆積物や津波の波源等に関する調査研究が行われていることを踏まえ、当院は今後事業者が津波評価及び地震動評価の観点から、適宜当該調査研究の成果に応じた適切な対応をとるべきと考えるとしております。
- 海洋プレート内地震として、観測地震数が少ないことから、地震調査研究推進本部(2006)の「震源断層を予め特定しにくい地震」に基づき、敷地が位置する領域における海洋プレート内地震の最大規模を、M7.1として――
引用文中に登場するM6.7、M6.5、M7.1は今回のM9.0の地震エネルギーと比べると、夫々0.035%、0.02%、0.14%の小さな規模である。三桁も小さいエネルギーモデルを仮定して、精緻な議論を展開して如何なる結果を得たとしても、筆者はその有効性は理解できない。
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Kozan
平成23年8月1日