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2.3 311の津波報道

   3月11日2時46分の地震発生直後から、気象庁は大津波警報を発令した。地震発生直後からNHKは地震と津波報道に切り替わっていた。局内の大きな揺れに耐えながら(当方も大きく揺れていた)、避難のアナウンスを連呼するNHKのアナウンサーの姿には、感銘を受けた。午後3時前後のNHKテレビの画面を引用する。
図 2.7: 2011年3月11日午後3時前のNHKの報道画面:大津波警報 6m
\includegraphics[width=14cm,clip]{NHK-tunami-DSC_0159rsc.eps}
 この画面は津波の第一波が気仙沼に到着する前である事が、港の船の様子からわかる。津波の最大高さは宮城県の6mであり、この時点では、地震の規模がまだ小さく見積もられていた事を示している。最初の発表では地震のマグニチュードは7.2であった。

図 2.8: 2011年3月11日午後3時前後のNHKの報道画面:観測された津波 50cm
\includegraphics[width=14cm,clip]{NHK-tunami-DSC_0162rsc.eps}

 この画面は、既に地震の第一波が3時前に岩手県の各地に到達した事を示しているが、津波高さが数10cmと示されているので、危険な誤解を生む可能性を秘めた報道と言える。則ち、「観測された津波の高さは50cm」。「そうか、たいした事はないな」という誤解を生みやすい報道の仕方ではなかろうか。そもそも、これから10mの津波(次図参照)が予想される時に、「20cmの高さの津波が既に来た」という事に、緊急ニュースとして伝える価値があるのか。これほどの緊急時には、混乱を招く不必要な情報であろうと思われる。NHKはこうした低い高さの津波の到来を何回も繰り返して報道している点も指摘しておかなければいけない。

図 2.9: 2011年3月11日午後3時前後のNHKの報道画面:大津波警報 10m以上
\includegraphics[width=14cm,clip]{NHK-tunami-DSC_0165rsc.eps}

 地震規模の推定がより正しくなり、直ちに津波の高さは10m以上に引き上げられた。この画面において、最速に報道すべき重要な情報は、津波の大きさが2倍以上に引き上げられた事である。これは尋常な数字ではない。それ故に、到達時刻がかなり遅い北海道の津波警報よりは、まさに訪れようとしている津波が巨大スケールである点を、もっと画面上で強調すべきではないか。

図 2.10: 2011年3月11日午後3時前後のNHKの報道画面:釜石 津波襲来
\includegraphics[width=14cm,clip]{NHK-tunami-DSC_0168rsc.eps}

 3月24日報道発表資料によれば、津波波源域は、岩手県沖から茨城県沖の長さ約550km、幅約200km の範囲に及ぶことが推定された。最大隆起は5〜8mとの推定がある。

参考資料:


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Kozan 平成23年8月1日