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5.1 ギャラップ世論調査結果
原発についてのギャラップ世論調査が世界の49カ国を対象に行われ、4月19日に結果が公表された。ここに取り上げる理由は二つ:第一に、ギャラップ世論調査の信頼性に対して高い評価が世界中から与えられている事。第二に、原発事故後の世界の趨勢を示唆する可能性が高いからである。調査結果の詳細は資料[63]を参照していただくとして、日本と原発に関係ある調査結果をここに引用する。
設問は次の通り。震災が起こる前と後の原発についての考えを問うている。
この設問に対する回答のサマリーとテーブルを以下に引用する。
サマリー:
図 5.3:
原発に対する世界各国調査結果 表-1
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図 5.4:
原発に対する世界各国調査結果 表-1続き
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ギャラップ世論調査によれば、世界のほとんどの国において、震災後には原発に反対する意見が増えている。その中で、もっとも劇的に反原発の割合が増えたのは、日本である。
変化の大きさを調べるには、震災前の「賛成」と「反対」の差が、震災後にどのようになったかをみるのが、良い指標である。その変化の様子を世界各国に対して図示した。更に日本については、変化の様子をわかりやすい図に示した。
図 5.5:
世界各国の世論の変化。縦軸は、震災後の「反対」と「賛成」の差から、震災前の同じ量を引いた値。プラス方向は、反対が増えた事を意味する
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図 5.6:
震災前(2007年)と後の原発の是非に対する日本の世論の推移
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これらの調査結果から、震災後の日本では、原発反対が、賛成を大幅に上回っている事がわかる。2007年に原発賛成の考えの人は62パーセントいたが、震災後に39パーセントに激減した。この問題に対して判断が出来る人口を1億人とすれば、2300万人の人が、賛成の意見を変えたという事を意味する。
比較の為に、日本のマスコミが行った世論調査結果のニュース報道を採録してみよう。設問や画像を駆使して「精度」を高めている様子が見えます。
- 読売新聞:2011年4月4日付朝刊
国内の原子力発電所の今後のあり方について:
「現状を維持すべきだ」 46%
「減らすべきだ」 29%
「すべてなくすべきだ」 12%
- 朝日新聞:4月16、17日実施
「原子力発電は今後どうしたらよいか」という質問:
「増やす方がよい」 5%
「現状程度にとどめる」 51%
「減らす方がよい」 30%
「やめるべきだ」 11%
2007年に、「日本は電力の3割を原発でまかなっている」と紹介してから、同じ質問をした結果は、
「増やす方がよい」 13%
「現状程度にとどめる」 53%
「減らす方がよい」 21%
「やめるべきだ」 7%
今回、原子力発電の利用の賛否:
「賛成」 50%
「反対」 32%
- JNN:4月2日,3日 定期調査
稼動中の原発はどうすべき?
【画像キャプション】現在、国内では50基以上の原子力発電所が稼動していて、日本の発電電力量のうち、およそ3割が原子力発電で占められています。あなたは現在稼動中の国内の原子力発電所について、どうすべきだと思いますか? 一つだけ選んで下さい。
これまで通り稼動すべき 1%
これまで通り稼動しながら、安全対策を強化すべき 68%
いったん停止させ、対応を検討すべき 14%
原発は停止させ、別の発電方法をとるべき 15%
(答えない・わからない) 2%
国内の原発の増設について?
【画像キャプション】 国内の原子力発電所は、今後も増やす計画で、建設中のものもあります。
あなたは国内の原子力発電所の増設についてどう思いますか? 一つだけ選んで下さい。
増やすべき 7%
建設中のものは建設を進めて良いが、これ以上増やすべきではない 42%
建設中のものは建設を中止し、全体として現状を維持すべき 27%
減らすべき 21%
(答えない・わからない) 3%
- 毎日新聞:16、17両日、全国世論調査
設問:原子力政策に頼る日本のエネルギー政策は?
「やむを得ない」 40%
「原発は減らすべきだ」 41%
「全て廃止すべきだ」 13%
- NHK:15日から3日間
国内の電力全体の3割を供給してきた原子力発電所を今後どうすべきだと思うか
「増やすべきだ」 7%
「現状を維持すべきだ」 42%
「減らすべきだ」 32%
「すべて廃止すべきだ」 12%
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Kozan
平成23年8月1日