(最終変更日2011年12月26日21:10、1.8MB)
以下に紹介するメモは、2011年3月14日から12月26日までの間、ネット上の主として地震と原発に関する記事を、txtファイル上に採録したものである。txt形式なので、写真、図などは抜け落ちている。本来、筆者の備忘録の意味あいなので、統一性に欠け、通読に耐えるものではないが、これを斜め読みすると、当時の緊迫感が蘇る。緊迫感の所以の一つは、車にて一家が丸ごと数百キロメートル離れた田舎へ避難する態勢を整えていた事にある。
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/
茨城県では、原子力施設から排出される放射性物質の影響を監視する目的で、昭和52年1月からテレメータシステムを用いた常時監視を実施しています。
このシステムは、測定局で空間ガンマ線量率や排水中の放射能濃度などを24時間連続測定し、データを中央監視局に転送して監視するものです。
また監視データは、インターネットや表示局などを通じて、県民などに広く提供されています。
2011/3/15(火)
3時45分 本日0時20分頃より、各空間線量率測定局舎において、空間線量率が
平常値(およそ30-50nGy/h(ナノグレイ/時間))から、およそ150-380nGy/h
まで上昇しました。
この値は、胸部レントゲン(50,000nGy/h)の約1/100以下です。
なお、現在、本ホームページにアクセスが集中しており、非常に接続しにくくなっております。
2011/3/14(月)
14時50分現在 本日以降天気予報で雨が予想されております。
降雨により、大気中に自然に存在する放射性物質が大気中から
地面に落下することで、空間線量率が上昇します。特に、雨の
降り始めに空間線量率が上昇し、過去の測定結果から30nGy/h
(ナノグレイ/時間)程度上昇することが予想されます。
また、通常雨が止んでから概ね1時間程度で降雨前の水準に戻ります。
2011/3/14(月)
10時00分現在 3月11日に発生した地震以後、全46局の環境放射線測定局のうち、
33局において停電が解消されたことにより、順次環境放射線測定を
開始して、環境放射線に異常がないことを確認しております。
なお、通電して測定機器が稼動する際、一時的に空間線量率等が
上昇する可能性があります。空間線量率等の上昇が、通電による
影響か、放射性物質の影響かについては、連続監視により問題が
ないかどうかを判断しており、放射性物質の影響が確認された際は
速やかにアナウンスいたします。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)
March 15, 12:00, 2011
未曾有の規模の震災によって被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。
最新の情報につきましてはこのWebサイトをご覧ください。
機構長からの緊急メッセージ
KEKの被害状況について
KEKでは震災発生当日の11日(金)に機構長を本部長とする地震対策本部を設置致しました。地震発生とともに、つくば、東海の両キャンパスにおいて加速器・実験装置の運転を停止しており、放射線に関する安全を確認しました。また、職員、共同研究者ともに人的被害は報告されておりません。
つくばキャンパス内の建屋、補助基盤設備、加速器、各種実験装置においては、各種の被害状況が確認されています。東海キャンパスでは、津波の被害はありませんでしたが、かなりの被害が予想される箇所があることが報告されています。今週より、被害状況についての詳しい調査を実施する予定です。
以下のつくばキャンパスの建物は、耐震調査が完了するまで立ち入りが禁止されています。
?北カウンターホール
?東カウンターホール
?先端加速器試験施設(ATF)
?先端計測実験棟
?D5電源棟
?超伝導低温真空実験棟
?第一工作棟
?体育館
J-PARCは16日まで全面入構禁止としております。
KEKの電力制限について
報道等で周知の通り、東日本における電力需給が極めて逼迫した状況であるため、KEKにおいても当面は厳しい電力使用制限を行います。KEKのウェブサーバーは部分的な運用が行われており、完全な復旧の目処は立っておりません。停電の際には停止することが予想されますので、予めご了承下さい。ライフラインの維持に必要な機器以外の使用は禁止しています。
KEKの見学等について
KEKの見学の受入れは当面停止致します。また、展示施設「コミュニケーションプラザ」も休館致します。今後の予定につきましては、後日お知らせ致します。
共同利用研究者の方へ
震災発生時につくばキャンパス、東海キャンパスに滞在されていた共同利用研究者の安全が確認されています。東海キャンパスで研究にあたっていた方については、つくばキャンパス内ドミトリーへ移動または帰宅・帰国しました。
KEKでは、電力、水、ガスなどのライフラインの復旧に全力を挙げております。現在、ドミトリーでは、最低限の生活に必要な電力を確保しております。上水道につきましては、つくば市の供給の見通しが立っていないため、飲料、洗面の水は停止しています。水洗トイレは、一部の建物で使用可能です。
水洗トイレが使用できる場所は、以下のとおりです。
?管理棟
?1号館
?2号館
?4号館
?工作棟
?低温棟
?国際交流センター
?職員会館
?計算機南棟
?ドミトリー1、2号棟、共用棟
使用の際には各建物の張り紙の指示に従ってください。
KEKの施設についてご不明な点については、内線5174までお問い合わせ下さい。
おしらせ
?KEKにおける環境放射線の測定結果について(3月15日12:00)
KEKにおいては通常の安全管理業務の一環として、周辺環境の放射線の状況を監視しています。地震の発生とともにKEKの加速器は運転を停止しており、加速器による放射線の周囲への影響はありません。
この環境放射線の測定値が3月15日(火)早朝より上昇し、通常の自然放射線を超えるレベルの放射線が観測されました。測定データの時間的推移からみて、今回の数値上昇は福島第一原子力発電所による事故の影響と見られます。
測定された数値は15日午前3時52分、午前6時、午前8時40分に0.3〜1.3マイクロシーベルト毎時まで上昇しております。これは自然放射線と比べると最大で約10倍ですが、健康に影響のあるレベルではありません。このうち1.3マイクロシーベルト毎時の測定は時間的推移から見て、東海村の原子力科学研究所における5マイクロシーベルト毎時測定時の影響がつくばでも観測されたものと見られます。
引き続き測定結果についてお知らせしていく予定です。
?KEK職員の福島県災害対策本部への派遣について(3月15日12:00)
福島県災害対策本部から、政府を経由して要請があり、原子炉から漏えいした放射性物質と、それが出す放射線を測るために放射線測定機器を貸し出し、測定のために2人の研究者を派遣するとともに、関連する援助物資を提供しました。
?「PFシンポジウム」は中止となりました。(3月14日18:00)
?郵便物のKEKからの発送、KEK内への配布は3月16日(水)まで停止されます。(3月14日18:00)
?特別な任務を負わない限り、職員は原則的に3月16日(水)まで自宅待機とします。地域のボランティア等の要請があった場合は積極的に参加するようにして下さい。(3月14日18:00)
KEK ネットワークおよび計算機システムの運用状況
運用を再開する機能
必要最小限の機能(ネットワーク、Web、メイル)に限定して2011年3月14日に運用を再開しています。
ただし、今後の電力供給状況に応じて運用を一時中断する可能性があります。
?機構Webシステム
?インターネット接続
?VPNシステム
?HEPnetJ
?MAネットワーク(共同利用宿舎のみ)
?メイルシステム
2011年3月14日 17時頃に運用を再開しました。
以下の「メイルシステムの利用について」を併せて御参照願います。
?GRID認証局
2011年3月15日に復旧作業を開始しました。運用再開時期は追ってお知らせします。
運用を再開を保留とする機能
以下のシステムは電力調整のために停止しています。再開は電力供給状況をみて判断します。
?研究情報Webシステムなど、その他のWebシステム
?共通計算機システム(kekcc)
?B計算機システム
?スーパー計算機システム
システム更新のために運用を停止しています。
?MAネットワーク(共同利用宿舎以外)
?機構内LAN
?TV会議システム
?GRIDシステム(認証局を除く)
メイルシステムの利用について
?機構内での利用にあたっては、電力使用制限のために壁のACコンセント等の使用制限の方針が地震対策本部により示されていることに留意してください。
?機構外からのアクセスのために Web インターフェイスを設けています。
これは、ブラウザ上でメイルサーバにアクセスして読み書きなどの操作を行なうものです。ブラウザでの操作なので初めての方でも基本的操作は簡単に行なえます。システム負荷やネットワーク負荷が多少ありますので、利用環境によっては少し重い感じがすることがあります。
URLは、 https://webmail.post.kek.jp/ です。
?アカウント作成やメイリングリスト作成等の更新作業は停止しています。再開は電力供給状況をみて判断します。
【連絡先】 KEK広報室 TEL:029-***-****
mailto:proffice@kek.jp
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--------------------------------------------------------------------------------
HIGH ENERGY ACCELERATOR RESEARCH ORGANIZATION, KEK
1-1 Oho, Tsukuba, Ibaraki 305-0801 Japan
Copyright (C) KEK. All Rights Reserved.
1Gy/h=0.8Sv/h
東京新聞:
退避区域で6千倍の放射線量 水戸市などでも検出
2011年3月16日 14時01分
福島第1原発から放出されたとみられる放射性物質は、15日から16日にかけても各地で観測された。文部科学省によると、屋内退避区域となっている東京電力福島第1原発から約21キロにある福島県浪江町周辺で、通常の約6600倍に相当する最大で毎時330マイクロシーベルトの放射線量を検出。水戸市でも、16日午前7時〜8時に、毎時1・035マイクロシーベルトを記録した。
調査は15日午後8時40分〜50分、同原発中心部から北西20キロ周辺の浪江町で実施。モニタリングカーで3カ所を2種類の観測器で調べ、車外で毎時330〜240マイクロシーベルト、車内で毎時300〜195マイクロシーベルトを確認した。
文科省の森口泰孝文科審議官は「一般的には距離が離れれば放射線量は減るが、風の流れなどの影響で必ずしも距離と線量の関係は一致しない」と説明した。健康への影響は「コメントしないようにと首相官邸から指示を受けている」とした。
山形市の放射線量が16日午前3時に過去15年間で最高の0・114マイクロシーベルトとなったことが、山形県の調査で分かった。県によると、昨年同時期の平均値の約3倍。午前10時までに0・073マイクロシーベルトに下がったという。
長野県も16日、長野市で15日夜、昨年度の平均値の約2・8倍となる1時間あたり0・1070マイクロシーベルトを検出したと発表した。16日午前は同0・09台で推移している。
茨城県北茨城市で16日午前11時40分、通常の300倍程度の毎時15・8マイクロシーベルトの放射線量を記録したことが同県の観測で分かった。原子力安全対策課によると、観測点は同市役所。
(共同)
「枝野幸男官房長官からコメントするなと指示があった」高濃度の放射線量!!ponyoorennziiさん
「枝野幸男官房長官からコメントするなと指示があった」高濃度の放射線量!!
東日本大震災:原発から20キロでも放射線量が高濃度
http://mainichi.jp/select/science/news/20110316k0000e040048000c.htm...
福島第1原発から北西に約20キロ離れた福島県浪江町内の放射線量が、一般の人の年間被ばく限度の2233〜2890倍に当たる1時間当たり255〜330マイクロシーベルトに達していることが、文部科学省の調査で分かった。浪江町内には介護施設などに避難できない住民が多数いるとの情報もあり、文科省は「問題がある数値で官邸に報告した」と説明した。
調査は15日午後8時40分〜同50分にかけ、同町内3地点で計測機器を積んだ「モニタリングカー」を使って実施した。その結果1時間当たりの放射線量は、19キロ離れた場所で車外255マイクロシーベルト、車内223マイクロシーベルト▽20キロ離れた場所で車外270マイクロシーベルト、車内220マイクロシーベルト▽21キロ離れた場所で車外330マイクロシーベルト、車内300マイクロシーベルト−−となった。
文科省によると一般の人の年間被ばく限度は1000マイクロシーベルト、同町内の数値は屋外にいると3時間前後で限度に近付くことになる。屋内でも車内に近い数値が計測されることも予想され、文科省は16日から「測定者の健康に被害が出ない範囲で計測を続ける」としているが、住民の健康被害については「枝野幸男官房長官からコメントするなと指示があった」と説明している。
「枝野幸男官房長官からコメントするなと指示があった」
「枝野幸男官房長官からコメントするなと指示があった」
「枝野幸男官房長官からコメントするなと指示があった」
隠蔽ですか?
退避区域で6千倍の放射線量 水戸市などでも検出 2011年03月16日
福島第1原発から放出されたとみられる放射性物質は、15日から16日にかけても各地で観測された。文部科学省によると、屋内退避区域となっている東京電力福島第1原発から約21キロにある福島県浪江町2 件周辺で、通常の約6600倍に相当する最大で毎時330マイクロシーベルトの放射線量を検出。水戸市でも、16日午前7時〜8時に、毎時1・035マイクロシーベルトを記録した。
調査は15日午後8時40分〜50分、同原発中心部から北西20キロ周辺の浪江町で実施。モニタリングカーで3カ所を2種類の観測器で調べ、車外で毎時330〜240マイクロシーベルト、車内で毎時300〜195マイクロシーベルトを確認した。
文科省の森口泰孝文科審議官は「一般的には距離が離れれば放射線2 件量は減るが、風の流れなどの影響で必ずしも距離と線量の関係は一致しない」と説明した。健康への影響は「コメントしないようにと首相官邸から指示を受けている」とした。
山形市の放射線量が16日午前3時に過去15年間で最高の0・114マイクロシーベルトとなったことが、山形県の調査で分かった。県によると、昨年同時期の平均値の約3倍。午前10時までに0・073マイクロシーベルトに下がったという。
長野県も16日、長野市で15日夜、昨年度の平均値の約2・8倍となる1時間あたり0・1070マイクロシーベルトを検出したと発表した。16日午前は同0・09台で推移している。
茨城県北茨城市で16日午前11時40分、通常の300倍程度の毎時15・8マイクロシーベルトの放射線2 件量を記録したことが同県の観測で分かった。原子力安全対策課によると、観測点は同市役所。(共同)
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東電謝罪、2号機の異常データは単位換算ミス
. 福島原発
東京電力は17日未明、福島第一原発2号機の原子炉格納容器や圧力容器の内部圧力が著しく低下したとする計測値を16日午後に公表したが、圧力単位の換算ミスなどによる誤りだったことを明らかにした。
問題のデータは、原子炉内の圧力がほぼ大気圧程度に下がる異常なデータを示しており、圧力容器や格納容器が密閉性を失うという最悪の想定も指摘されていた。
東電は16日午後4時から行った記者会見で、格納容器の圧力は同日午前9時20分に、それまでの220キロ・パスカルから45キロ・パスカルへ大幅に低下したと発表。「気密性が失われた可能性を否定できない」との見解を示した。
しかし、17日午前0時からの会見では45キロ・パスカルは450キロ・パスカルだったと訂正。「現場で圧力計を見た作業員が、桁数を間違えたようだ。現場とのやり取りに問題があり、申し訳ない」と謝罪した。
(2011年3月17日01時19分 読売新聞)
最新主要ニュース8本 : YOMIURI ONLINE トップ4クリップ この記事をクリップ 原子炉格納容器 圧力容器
今週のPR情報
福島原発 特集一覧
米原子力委員長「4号機プールに水ないと思う」 (3月17日 10:04)
政府と東電すれ違い、作業員退避巡り押し問答 (3月17日 06:59)
警視庁高圧放水車投入へ…冷却水枯渇止めろ! (3月17日 06:52)
東電謝罪、2号機の異常データは単位換算ミス (3月17日 01:19)
海外メディア一部撤退、「日本は大丈夫」の声も (3月17日 00:31)
菅首相、潘基文国連事務総長と電話会談 (3月17日 00:22)
放射線観測の評価、枝野長官が一元化を指示 (3月16日 23:55)
被曝恐れ輸送拒否も、物資確保に重大支障 (3月16日 23:15)
米西海岸は過剰反応、安定ヨウ素剤購買急増 (3月16日 23:05)
仏大統領、原発問題など協議へG20会議提案 (3月16日 22:02)
福島原発
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政府と東電すれ違い、作業員退避巡り押し問答
. 福島原発
東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)の事故を巡り、政府と東京電力にずれが生じている。
政府と東電による「福島原子力発電所事故対策統合本部」は、菅首相が本部長だが、首相官邸ではなく、東京・内幸町の東電本店に設置され、海江田経済産業相や細野豪志首相補佐官が常駐することになっている。政府は海江田氏らを「東電に対する事実上の『お目付け役』だ」と位置づけており、不信感の根強さが透けて見える。
14日に起きた2号機の燃料棒露出を受けた対応でも、両者はすれ違った。
14日夜、東電の清水正孝社長と枝野官房長官、海江田氏が電話で連絡を取り合った。政府側は「燃料棒露出を受け、東電側が作業員全員の撤退を申し出てきた」としている。これに対し、東電関係者は「一時退避はあっても、撤退ということはありえない」と反論する。
政府側は、作業員が全員退避すれば原発の制御は不可能になると受け止め、「事態を沈静化させることは可能だ」として引き続き作業にあたるよう求めたという。清水社長は15日午前4時過ぎという異例の時間に首相官邸に駆けつけ、首相と対応を話し合った。この点についても、東電関係者は「首相に呼ばれた」とするなど、主張は大きく食い違ったままだ。
社長が引き揚げた約1時間後、今度は首相が東電本店を急きょ訪問した。「撤退などあり得ない。覚悟を決めて下さい。撤退した時は東電は100%潰れる」と部屋の外にまで響き渡る声で幹部に迫った。
首相と16日、首相官邸で会談した笹森清内閣特別顧問によると、首相は「福島原発が最悪の事態になった時には東日本がつぶれることも想定しなくてはならないが、(東電は)危機感が非常に薄い。自分は原子力には詳しいので乗り込んだ」と語ったという。一方で、自民党の石破政調会長が「日本の最高指揮官が現場に行って実情を知悉(ちしつ)しないまま発言するのは差し控えるべきだ」と指摘するなど、首相の過剰反応だという見方も出ている。
首相の訪問直後の15日午前6時過ぎには、2号機で大きな爆発が発生した。現場の判断で原発内で作業していた東電社員や関係企業の約800人のうち約750人の退避が決まったが、約50人は注水作業などのためにとどまった。
「東電はじめ関係者は、原子炉への注水に危険を顧みず、全力で取り組んでいる」
首相官邸に戻った首相は一転、東電の対応を評価するメッセージを発表した。
不信感から生まれた対策本部だが、16日には本部に集約した情報を基に自衛隊ヘリによる注水方針が迅速に決まるなど、プラスの側面もあった。政府は今後も、事故が深刻化した場合に作業員を含む国民の安全をどう確保するのか、高度な判断を迫られることになる。
(2011年3月17日06時59分 読売新聞)
燃料送りたいが…タンクローリー運転手集め難航
. 巨大地震
支援物資を被災地に送り込む上で、カギになる車の燃料の供給が滞っている。
メーカー側の供給態勢は十分だが、太平洋側の貯蔵拠点が壊滅的な打撃を受けた上に、タンクローリーも津波に流された。さらに肝心のドライバーが被災したり、交通網が寸断されたりして輸送が難しいためだ。ただ、一部の貯蔵拠点が復旧する見通しで、供給は徐々に増えそうだ。
「病院や避難所での需要は大きい。早く供給してほしいのだが……」
ガソリンスタンド(GS)約2万社でつくる「全国石油商業組合連合会」(本部・東京)の広報担当者はため息をつく。同連合会によると、震度6弱以上の地震が起きた8県にあるGSは約2900か所。多くのGSと連絡が取れなくなっており、被害状況はつかめないが、被災を免れたGSへの石油製品の供給も滞っているという。
石油精製・元売り会社14社でつくる「石油連盟」(事務局・東京)によると、東日本地域の製油所は11か所。仙台市の製油所が炎上したが、6か所は稼働しており、「被災地への供給量は十分にある」(同連盟)。
供給を妨げる背景には、貯蔵拠点の損壊、交通網の寸断などがある。
石油製品は通常、製油所からタンカーなどで貯蔵拠点に輸送。そこからタンクローリーでGSに運ぶ。同連盟によると、青森県八戸市や岩手県釜石市など太平洋側の貯蔵拠点は地震・津波で損壊、海路での輸送はできず、現状では、秋田市など日本海側の拠点を経由しており、「輸送に時間がかかっている」(同連盟)という。
また、全国に76か所の事業所をもつ石油輸送最大手の「ニヤクコーポレーション」(本社・東京)によると、太平洋側の事業所のタンクローリー数百台が津波で流され、ドライバーの多くも被災。タンクローリーの運転には大型免許や危険物取扱者の資格が必要で、ドライバー集めに苦労している。同社は「道路網も寸断されており、輸送は困難な状況」という。
ただ、明るい材料もある。
出光興産(東京)では、被災した宮城県塩釜市の貯蔵拠点が17日、復旧する。同社は「被災地への石油製品の配送は徐々に増やせる」としている。
(2011年3月17日07時53分 読売新聞)
揺れによる建物被害少ない可能性…地震波分析
. 巨大地震
東日本巨大地震では、木造住宅や中低層の建築物に大きな被害を与える周期1〜2秒の地震波があまり強くなかったことが、筑波大学の境有紀教授(地震防災工学)による地震波の分析でわかった。
世界最大級のマグニチュード(M)9・0、最大震度7という規模にもかかわらず、揺れによる建物被害が少ない可能性が高い。
地震波にはさまざまな周期の波が混ざっているが、境教授が各地の地震波の記録を分析したところ、周期1秒以下の波に比べ、周期1〜2秒の波が弱かった。震度7を記録した宮城県栗原市や震度6強だった仙台市で得られた周期1〜2秒の波の強さは、約30万棟が全半壊した阪神大震災の時の被災地に比べ2〜3割程度だった。周期1秒以下の地震波が強いと、室内にある物は揺れるが、建物には影響が少ない。
東日本巨大地震による各地の建物被害の状況はまだまとまっていないが、内陸部の栗原市では外観から判断する限り全壊建物は2棟にとどまる。また消防庁によると、判明している死者数の多くは津波被害の激しかった沿岸部に集中しており、内陸部では数十人程度。このことからも、揺れによる建物被害は少なかったと推定される。
境教授は「地震の規模が大きくなれば、1秒以上の周期が多くなるとする常識と異なっている。揺れによる建物被害が少なかったとすれば、それは建物の耐震性が高かったためではなく、周期1〜2秒の地震波が弱かったことの方が大きい」と指摘する。東京大学地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授(応用地震学)も「これまでにない現象で、謎が多い」と話している。
(2011年3月17日08時25分 読売新聞)
大津波にさらわれた家屋、沖合20キロまで漂流
. 巨大地震
津波にさらわれた漂流物が沖合に流されている=14日撮影、宇宙航空研究開発機構提供 東日本巨大地震による大津波にさらわれた家屋などの残骸が、沖合を浮遊している様子を、宇宙航空研究開発機構の地球観測衛星「だいち」がとらえた。
被害の激しい宮城県気仙沼市、南三陸町の海岸から10〜20キロ沖合に、漂流物が筋状に集まっているのが見える。
撮影されたのは、地震発生から3日後の14日午前10時11分頃。陸近くの海が白っぽく変色しているのは、漂流物が滞留しているためと考えられる。
港湾空港技術研究所アジア・太平洋沿岸防災研究センターの高橋重雄センター長(沿岸防災工学)は「津波では、壊れた家屋などが引き波によって沖合数キロまで流される。今回は津波の規模が大きいため、浮遊物の量が多く、より沖合まで流されている。一方、浸水域は陸の奥深くまで広がり、港湾にもがれきが堆積するなど被害は甚大だ。支援物資を運搬するためにも、港湾を早急に復旧させないといけない」と話している。
(2011年3月16日07時45分 読売新聞)
静岡東部の震度6強、東海地震誘発せず…専門家
. 巨大地震
静岡県東部で15日夜に起きた地震の震源は、マグニチュード(M)8クラスの巨大地震の発生が懸念される東海地震の想定震源域の近くだった。
関連が懸念されるが、東海地震発生への影響を判断する地震防災対策強化地域判定会委員の吉田明夫・神奈川県温泉地学研究所長は、「東海地震の想定震源域はプレート(岩板)同士がぶつかる境界。今回は想定震源域から外れたフィリピン海プレートの陸域内部で起きた」と述べ、東海地震が誘発される可能性を否定した。気象庁も関連はないとみており、判定会も開催しないという。
ただし、吉田所長は「これまで大きな地震のない非常に珍しい場所なので、なぜここで起きたのか注意して見ていく必要がある」と話す。
東日本巨大地震(M9・0)で誘発された可能性については、16日未明に記者会見した気象庁の横山博文・地震津波監視課長は「分からない」としながら、震源域が異なることから「別の地震だ」と話した。一方、判定会委員の加藤照之・東京大学地震研究所教授は、「M9クラスの地震が発生すると、震源域よりやや離れた場所で地震が誘発される」と述べ、東日本巨大地震との関連を指摘する。
2004年のスマトラ島沖地震(M9・1)でも数年間にわたって、その周辺部で大地震が頻発した。加藤教授は「東日本巨大地震の翌日に、長野県北部で震度6強を観測したが、それも誘発されたためと考えられる」と言う。また、同研究所の纐纈(こうけつ)一起教授は「静岡の地震はマグニチュードが6・4と比較的小さい。内陸の活断層が動いた地震だろう」と分析している。
(2011年3月16日10時37分 読売新聞)
-東日本大震災-送電一部回復へ…1、2号機に外部から
毎日新聞 3月17日(木)10時45分配信
経済産業省原子力安全・保安院は、17日午後にも東京電力福島第1原発1、2号機への外部からの送電が部分的に回復するとの見通しを明らかにした。これにより、緊急炉心冷却装置(ECCS)による各号機の炉内の冷却機能が復旧できる可能性があるという。3、4号機の使用済み核燃料プールの冷却には、警察車両による放水や自衛隊ヘリコプターによる空からの水の投下に加え、海水注入施設を仮設する準備も進めているという。
一方で、5、6号機の原子炉内の水位も徐々に下がり、特に6号機では同日午前4時までの1日間で91センチ急減した。保安院は、核燃料の余熱による炉内温度や圧力の上昇を弁で逃がしており、「補給の注水が十分ではないのではないか。1〜4号機のようにならないように監視していきたい」と説明した。
保安院は、福島第1原発に通常7人いる、安全を監督する立場の保安検査官が17日までに、福島県庁に避難して一人もいないことを明らかにした。【河内敏康、酒造唯】
福島原発3号機から白煙 核燃料保存プール干上がったか2011年3月17日10時57分
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. 東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)は17日、3号機で核燃料を保存するプールから白煙が立ち上っている。水の蒸発が進み、使用済み核燃料が破損し、放射性物質が大気中に飛散する危険性が高まっている。
経済産業省原子力安全・保安院によると、16日午前に白煙が上がった3号機では、17日午前も引き続き白煙が上がり続けている。15日に爆発事故を起こした4号機とともに、原子炉建屋が損壊し、使用済み燃料プールの水が干上がりつつあり、使用済み燃料が外気にむきだしになっている。破損した核燃料から大量の放射性物質が大気中に飛散する危険性が高まっている。
一部の非常用ディーゼル発電機が作動し、比較的状態が安定している5、6号機も海水を取り込む冷却装置が故障しており、燃料プールに温水を注ぐ状態が続いている。プールの水が蒸発し、水位が下がり続けている。
発電所は大量の放射性物質が飛散し、作業員が現場に近寄れない。原子炉の状態を知るための圧力計や原子炉や燃料貯蔵プールの水位計も故障し、原子炉の監視が難しい状態になっている。停電などによる電源喪失、火災や爆発などが原因だ。予備電源もなくなりつつある。
経済産業省の西山英彦大臣官房審議官は17日午前の記者会見で「使用済み燃料プールに注水することを最優先に行う。そのためには外部電源の確保が欠かせない」と話す。
一方、米原子力規制委員会(NRC)のジャツコ委員長は16日の米議会公聴会での証言や米ABCの取材で、福島第一原発4号機の燃料プールには「水がなくなっていると理解している」と述べた。
陸自ヘリ乗員19人と機体、Jビレッジで除染へ2011年3月17日11時15分
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. 福島第一原発3号機に17日水を投下する作業にあたった陸上自衛隊のヘリ4機は、仙台市の陸自霞目駐屯地に戻る。途中、福島県のJビレッジに寄り、機体4機と乗員19人の放射性物質を洗い落とす除染作業を行う。
作業を行ったヘリはCH47が3機。このうち2機が投下、1機は投下の指揮にあたった。放射線量調査をした1機はUH60。CH47に5人ずつ、UH60に4人が乗った。
.
円急騰、一時76円台 戦後最高値を更新 2011年3月17日11時14分
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.外国為替市場では円高が進み、戦後最高値を更新した=17日午前7時25分、東京都港区の外為どっとコム、河合博司撮影
円が戦後最高値を一気に更新した。16日午後(日本時間17日早朝)のニューヨーク外国為替市場で1ドル=80円を突破し、1995年4月につけた1ドル=79円75銭の最高値を15年11カ月ぶりに超えた。その後のシドニー市場では1ドル=76円20銭台まで跳ね上がった。
円は前日と比べると一時、5円近く値上がりする異例の上げ幅になった。シドニーの後に始まった東京市場でも1ドル=79円台で推移している。
ただ、東京市場の取引が始まってから、政府・日銀による「円売りドル買い」の為替介入への警戒感が強まっており、円の上げ幅は縮んでいる。午前10時現在の円相場は、前日午後5時時点より1円42銭円高ドル安の1ドル=79円50〜53銭。
円はユーロに対しても上昇し、一時、1ユーロ=106円50銭台をつけ、半年ぶりの高値水準になった。午前10時現在、同2円56銭円高ユーロ安の1ユーロ=110円43〜46銭で取引されている。
円高が進んだ最大の要因は「日本経済が危機的な状況に陥り、世界経済に悪影響を及ぼす」(国内大手証券)との見方が強まったためだ。福島第一原子力発電所の事故が深刻化したのを受け、欧州連合の高官が福島の原発事故を「制御不能」と述べたと伝わったため、16日の欧米市場で株式が大幅安になった。16日発表の米国の2月の住宅着工件数が大幅に減り、米景気の回復期待も急速にしぼんだ。
16日のニューヨーク金融市場では国債が買われ、米長期金利が大幅に低下。円相場も1ドル=80円台後半で始まった後、戦後最高値を更新した。その後、取引量が比較的少ないシドニー市場に取引が移った直後から円相場は急騰、約20分後に1ドル=76円20銭台をつけた。
原発事故で「円が買われる積極的な材料はない」(外資系銀行)が、市場ではこれまで低金利の円で調達してより高い金利の通貨で運用してきた投資家が、株式が低下して損失を被るリスクが大きくなると、経常黒字国で「安全通貨」とされる円を買い戻してきた。16日も株式市場の下落を受けて、米景気の回復懸念などから逃避的に、ドルを売る動きを強めたことなどが理由とみられている。
一部の市場関係者では、日本の金融機関や企業などが手元資金を確保するため、外貨建て資産を円に替える動きを強めるとの思惑も出ている。
一方、17日の東京債券市場では、投資家が損失を被るリスクを避けようと、「安全資産」とされる国債が買われ、債券価格が急上昇(金利は急低下)した。長期金利の代表的指標となる新発10年物国債の流通利回りは午前10時過ぎ、前日終値(年1.220%)より0.030%幅低い年1.190%まで下がっている。
.
自衛隊ヘリから放水断念。理由は規定量の放射線を上回ったから というが いったい...sel2o82tさん
自衛隊ヘリから放水断念。理由は規定量の放射線を上回ったから というが いったいいくらだったんですか?
そして規定量っていったいいくらを超えるとアウトなの?
参考 CTスキャン 2〜5ミリシーベルト
X線レントゲン 0.4ミリシーベルト
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質問日時:2011/3/16 21:34:52.
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(3件中1?3件)
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tom1980anさん
1000μSV=1mSV
Xray(一回)は50μSV(マイクロシーベルト)。飛行機で成田空港からニューヨークまで行くと800μSV。CTは約6900μSV。※造影剤の使用やダイナミックなど撮影方法で異なります。
今回の原発露出している量は10時の時点で6400μSVと発表(おそらくμSV/H) それが上空ではさらに高く3分程度で900μSVつまり18000μSV/Hになってしまったようです。
人体に影響があるとすると8500μSV以上で妊娠初期の胎児奇形などの報告がありますので異常値です。
作業が3分〜5分程度で済めばいいのでしょうが、放水などは無理と判断されたのでしょう。 米軍さんが強力放水してくれるみたいなので期待しましょう。離れた場所から飛ばせるみたいな情報です。ただ原子炉は使い物にならないから停電も続きそうです。
遮断時間と距離が重要です。経口から体内に入ると長いこと停滞することがあるので、食べ物を摂取する前に必ず石鹸での手洗い、可能であればシャワーを浴びましょう。肌の露出は避けて、外出しましょう。 昆布などのヨードを摂取するのも効果的ですが、甲状腺肥大を指摘されている方や摂りすぎには注意しましょう。
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回答日時:2011/3/16 22:22:09
.y_h_k_t171さん
既定値を定めているのは防衛省ではなく、厚生労働省ですよ。
また、ヘリから計測したのではなく原発付近に設置してある計測機から最大で400ミリシ−ベルトの数値を観測したことから周辺に近づくのは危険と判断され断念されたとのことです。
. 違反報告ケータイからの投稿
回答日時:2011/3/16 22:13:09
.radiological_technologist_kyさん
規定値というのは、防衛省で定めているものであり、彼らは50mSvのようです。
しかし緊急作業については以前は100mSvだったものを、今回の事件で、250mSvまで引き上げられています。
東電職員はこの250mSvまでの範囲で作業を行っています。
今回は、100mSv〜の放射線量が計測されたようです。
私の個人的見解ですが、それは本当にヘリの中で測ったのでしょうか?
施設内での計測結果が100mSvだったのに、上空で、しかも戦闘時にも耐えるようにできているはずのへりの内部で、その数値が出るかどうか、疑問です。
ヘリから手を出して、空気中で測ったのではないでしょうか?自衛隊職員はこういう作業をしたくないように思いますよ。
加えて、最初にも書きましたが、民間職員の東電職員は250mSvまでの範囲で作業を行っているのに、自衛隊は50mSvを超える作業はしないって、おかしくないですか?
自衛隊は命をかけて国を守るはずなのに。
よっぽど東電職員の方が、命をかけています。東電職員に感謝です。
. 違反報告回答日時:2011/3/16 22:02:10
.
セ選手会反発!宮本「納得できる理由がない」
スポニチアネックス 3月17日(木)7時2分配信
拡大写真
開幕の時期について報道陣に胸中を語るヤクルト・宮本
セ・リーグは3月25日の強行開幕を決めたが、選手会は16日も球団幹部と話し合いを行い、延期を訴えた。ヤクルトでは、石川選手会長とともに出席したプロ野球選手会前会長の宮本が「納得できる理由が何一つなかったので“無理です”と言った」と反発。横浜でも宮城県石巻市に実家がある新沼選手会長は三浦とともに出席し「25日に気持ちが向かっていかない」と強い抵抗を示した。
日本プロ野球選手会の松原徹事務局長は「選手は開幕を遅らせても、15連戦やダブルヘッダーで144試合をやり抜くつもりでいる」と選手の気持ちを代弁。さらに「リーグ戦を重視し、クライマックス・シリーズを中止するのもやむを得ない」との私見も披露した。
球団サイドと実際にプレーする選手の間には温度差がある。16日も福島第1原発の放射能漏れが関東圏にも及ぶ中、神宮でヤクルトと巨人が合同練習を行った。現場は中止を訴えたが、両球団のフロント同士の話し合いで決行。試合直前には震度3の地震で両ベンチから選手が飛び出すなど「何でやるのか」とあきれた声も相次いだ。
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清武代表「何とか25日に」渡辺会長も支持
金本「そこまで開幕にこだわるのは何なのか」
会長激怒の一幕も…原監督「一つになることを誓う」
セ・リーグ 、 ヤクルト 、 選手会長 を調べる .最終更新:3月17日(木)9時14分
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地震・津波災害に関する情報[new].
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福島第一原発と本店の専用線、誤って切断
. 福島原発
東京電力が16日夕、福島県富岡町で送電線工事の際、福島第一原子力発電所と本店などを結ぶ社内の専用通信回線を誤って切断していたことが分かった。
専用線は17日未明には復旧したが、福島第一発電所で4基の原子炉が危機的な状況に陥る中、通信が不便な状態が8時間以上続いた。
通話やデータ通信に使う専用線が切断されたのは16日午後4時頃。送電線の支柱の補修工事をしている際、送電線を切断する作業で通信回線も切ってしまった。地震直後に通常の電話回線は不通になっており、通信手段は、非常用の衛星経由の携帯電話だけになってしまった。
衛星携帯は、屋外に出て使用する必要があることから、17日午前0時40分頃に復旧するまで、同原発側から連絡を入れることはできても、本店側から呼び出すことができなくなってしまったという。放射能測定値や原子炉圧力などの重要データも、電子情報として送信することができず、口頭で伝える形を強いられた。
(2011年3月17日10時21分 読売新聞)
被ばく線量増え測定困難、放射線監視地点移動
. 福島原発
経済産業省原子力安全・保安院は17日、東京電力福島第一原子力発電所正門付近で、定点観測していた放射線の監視で、被曝(ひばく)線量が増えたため、観測地点を北側の西門付近に移動したと発表した。
測定は、東電の社員が、移動式の監視車で行っている。正門付近の観測地点では16日、放射線量が毎時1万マイクロ・シーベルトを超えていた。原発施設からの距離は約1キロでほぼ同じ。
保安院の担当者は「正門付近で監視を続ければ、被曝線量の蓄積が増え、作業に従事できる人がどんどん減ってしまう」と話している。
(2011年3月17日12時57分 読売新聞)
欧米各国に広がる退避の動き…米は80km圏外
. 福島原発
福島第一原発の事故を受け、日本政府は同原発から半径20キロ・メートル以内の住民に避難指示、半径30キロ・メートル以内の住民に屋内退避要請を出しているが、諸外国はこれを上回る広範囲で退避を指示したり、退避検討を要請したりしている。
英外務省は16日夕(日本時間17日未明)、福島第一原発での事故により「物資の補給や交通などに混乱が発生する恐れがある」として、東京及び東京以北に住む英国人に対し、退避を検討するよう求める勧告を出した。これまでは、東京都及び東京以北に不要不急の渡航はしないよう勧告していたのを改めた。17日には仙台から東京まで、英国民が退避するための無料バスを用意する。
ロシア外務省は16日、在日ロシア大使館などで働く外交官らの家族について、18日をめどに日本から一時退避させることを決めたと発表した。ロシア外務省の声明によると、対象となるのは大使館や通商代表部、各地の総領事館で勤務する外交官の家族。大使館員らの退避は今のところ行わないという。ロシア外務省は地震発生翌日の12日から、日本への渡航自粛を呼びかけている。
米政府は16日、米国人に対し、福島第一原発から50マイル(約80キロ)圏外への退避を勧告した。
フランスやポルトガルは、日本から出国するか東京から退避することを求めている。イタリアも出国を勧告した。オーストリアは特に子供を持つ家庭に対し、一時出国か東京・横浜からの退避を勧告した。
スイスとオランダは首都圏と被災地からの一時退避を勧告した。オーストラリアは、被災地を含む1都8県からの退避を検討するよう求めている。
台湾も、高齢者、子供、女性に対して、出国を検討するよう求めた。
バングラデシュ政府は「放射能の影響がない、より安全な地域」へ自国民を移動させるよう、在日大使館に指示した。
フランスやベルギーは、出国する自国民に対して軍用機などを派遣しているほか、イタリアも飛行機の増便を検討している。
(2011年3月17日12時47分 読売新聞)
「陸自ヘリ隊員、どうか無事でいて」
. 福島原発
爆発や火災が相次ぐ福島第一原子力発電所で17日午前、自衛隊ヘリが上空から実施した冷却水の投下は、防衛省内部からも強い懸念の声が上がる中での任務だった。
北沢防衛相は、3号機への海水投下後の午前11時過ぎ、防衛省内で記者会見を開き、「(3号機の状態は)今日が限度だと判断し、投下を実施した」と述べた。「(冷却水は)間違いなくかかった。我々の決行したミッションが成功に帰したと今の段階では期待している」とも語った。
出動したのは、陸自第一ヘリ団(千葉県木更津市)に所属するヘリ。乗組員は防護服と防護マスクを着用し、機内には下方からの放射線を低減するためタングステン製のシートを床に敷いた。放射線量を計測する機器も載せ、数値を確認しながら投下を実施した。
自衛隊ヘリによる同様の作業は山火事の消火活動でも実績があるが、広い面積に水をまくのと違い、今回はピンポイントで3号機のプールに命中させなければならない。あるパイロットは「正確に投下するため速度を落とす必要があるが、危険を避けるためには速やかに現場を離れなければならない。命中はかなり難しい」と話す。
しかも、防護服を着用しながらの操作は、動きや視野が限られるので非常に難しい。また、数トンの水を一気に投下した際に原子炉でどういった反応が出るかは分からず、「水蒸気爆発が起きたらどうなるのか」と心配する声もあった。
「何より隊員らが無事であってほしい。危険を冒すのだから、効果が上がることを祈っている」。防衛省幹部は、投下作業の様子を流すテレビを食い入るように見ながら語った。
17日午後にも放水を開始する警視庁の高圧放水車の活動にも様々な困難が伴う。
政府関係者によると、当初は消防車両の出動も検討されたが、30度の角度で20〜30メートルしか届かないため、同角度で80メートル先の標的を狙える警視庁の高圧放水車が選ばれた。しかし、高圧放水車は本来、デモ隊や過激派などの制圧が目的で、高所への角度をつけた放水は想定していない。距離が離れるほど水の勢いが落ち、命中率も低くなる。同庁幹部は「風向きなど天候にも左右される。難しい現場になるだろう」と言う。
機動隊員らは数人1組で車内から放水車を操作する。自衛隊員も立ち会い、現場の放射線量などを計測しながら作業に当たる。17日正午前に記者会見した中野国家公安委員長は「放射線について安全を図りながらも、限界に挑戦する。重大な任務を達成して国民の期待に応えたい」と話した。
(2011年3月17日13時15分 読売新聞)
使用済み核燃料と原子炉内…3号機、二重の危機
. 福島原発
17日午前、自衛隊ヘリによる放水作業が行われた東京電力福島第一原子力発電所3号機は、使用済み核燃料を貯蔵するプールと原子炉を冷やす機能がともに失われている。
14日に水素爆発を起こし、建屋は大きく崩れたままだ。
3号機では16日朝、白煙が確認された。貯蔵プールの水温は測定できない状態になっているが、原子力災害対策本部は、原子炉に隣接するプールの水温が上がり、湯気が白煙のように見えている可能性が高いと判断していた。
貯蔵プールは、厳重に燃料を封じ込めている原子炉と異なり、建屋がなくなれば放射性物質を屋内に閉じこめる防護壁がない。水の蒸発が進めば、冷却効果が低下した使用済み核燃料から放射性物質が拡散する恐れがある。3号機では、使用済み核燃料と原子炉内の燃料棒がいずれも高温になるという、二つの危機が同時進行している。
地震発生時に定期検査で運転を止めていた4号機では、15日午前4時に、通常は20〜40度の貯蔵プールの水温が84度まで上がったことが確認された。建屋の壁に激しい損傷が見つかっている。火災も発生した。
5号機と6号機も地震発生当時は定期検査中で、今のところ、建屋の損傷は確認されていない。しかし貯蔵プールの冷却機能は低下し、16日午前4時には、水温は約60度に上昇している。東電は、冷却機能を回復させるため、送電復旧に向けた作業を行っている。
水素爆発で12日に建屋が吹き飛んだ1号機と、15日に格納容器の一部である圧力抑制室に損傷が起きたと考えられる2号機では、引き続き、原子炉の中に海水を注入して燃料を冷やす作業が続いている。
(2011年3月17日13時08分 読売新聞)
予測不能の大規模停電の恐れ…経産相が緊急談話
読売新聞 3月17日(木)14時5分配信
海江田経済産業相は17日、厳しい寒さによる電力需要の急増のため、きょう夕方から夜にかけて予測不能な大規模停電が発生する恐れがあるとして、一層の節電への協力を産業界と国民に求める緊急のコメントを発表した。
経産省によると、東京電力管内の17日の電力供給量が3350万キロ・ワットだが、午前中のピーク時に3292万キロ・ワットに達した。計画停電の実施にもかかわらず、厳しい寒さで暖房需要が増したためとしている。
経産省では、電力需要がピークを迎える夕方から夜にかけて、電力使用の抑制や不要不急の電気機器の使用停止など、一層の節電への協力を求めている。 .最終更新:3月17日(木)14時5分
-東日本大震災-原子力産業協会が年次大会を中止
毎日新聞 3月17日(木)15時1分配信
原発関連メーカーや電力各社などでつくる業界団体「日本原子力産業協会」(今井敬会長)は17日までに、松山市で4月12〜14日に開く予定だった「原産年次大会」を中止すると決めた。東日本大震災で東京電力福島第1原発が被災するなど「緊急事態が収拾していないため、取り急ぎ決定した」としている。
同大会は、原子力産業界の年間最大行事で今年で44回目。世界各国の業界関係者や原発立地自治体を含む約1200人が参加。今年は、政府の積極的な原発輸出戦略への転換を背景に、「新時代を迎えた原子力−日本と世界を展望する」をテーマに開催予定だった。【山田大輔】
特集ワイド:東日本大震災 福島原発事故、専門家に聞く 最悪の事態、制御できるのか
東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の被災は、高濃度の放射能漏れという最悪の事態に発展した。政府は国民に対して「冷静」を求めるが、なぜ、原発の暴走を制御できないのか。安全は保たれるのか。それぞれの立場から専門家に聞いた。
◇まずは外出せぬこと−−名古屋大教授・量子工学専攻、井口哲夫さん(56)
今回の事故では、既に放射性物質のセシウムが周辺に放出されている。放射性物質が発する放射線は、細胞の遺伝子を傷つけてがんの発生リスクを高める。大量に被ばくすると直ちに人体に影響が出て、リンパ球の減少などが起きる。リンパ球をつくる骨髄は特に放射線のダメージを受けやすいからだ。
一般人の1年の被ばく限度は1ミリシーベルト。15日に3号機周辺で記録された放射線量は時間当たり400ミリシーベルトでその350万倍。リンパ球の減少が起きるとされるのは累計500ミリシーベルトで、観測した場所に1時間半程度いればその値に達する状態になった。
セシウムなどは静止状態では地面に落ちるが、風に乗ればほこりなどに付着して遠くに運ばれ、最後には路面や家の屋根に落ちる。外に干した洗濯物、歩いている人の衣服や皮膚にもくっつく。既に避難や屋内退避の指示が出ている地域は、そこの屋外に長時間いれば健康を害する恐れがあると、国も認めているということだ。
放射性物質が飛来する危険が迫った場合はまず外に出ないこと。体に付いた可能性があれば、セシウムなどは水に溶けるので、手洗いしたり、シャワーを浴びれば落ちる。一番大切なのは体内に入れないことだ。放射線を出す能力が半分になる半減期はセシウムで30年。粘膜などに付着すると、長期に影響が出る。外出する必要があるならマスクやゴーグルを着け、ぬれたタオルで鼻などをふさぐのが効果的だ。
自分が住む地域の放射性物質の量がどの程度かは気になるだろう。自治体は放射線量を測定するモニタリングポストを設置しており、公的な情報に注意してほしい。数値が大きく変動しなければ過剰な心配の必要はない。通常なら時間当たり0・1マイクロシーベルト程度。100倍でもまだ、人体に影響が出る程度ではないとみられるが、心配ならば、食べ物は水洗いすればいいだろう。【宮田哲】
◇気になるのは2号機−−元原子炉設計技術者の科学ライター・田中三彦さん(67)
直接目で見ることも近づくこともできないから、肝心の「原子炉圧力容器」や、それを格納する巨大なフラスコのような形の「格納容器」中でいったい何が進行しているのか誰にも分からない。その状況で作業をせねばならないところにこの問題の深刻さがある。
多くの人の命がけの作業にもかかわらず、12日に福島第1原発1号機は水素爆発を起こし、翌々日には3号機がより規模の大きい水素爆発を起こした。一方、2号機は14日、原子炉圧力容器内には冷却水がほとんどなくなり、燃料棒がむき出しになった。そればかりか、格納容器の一番下にある「圧力抑制プール」というドーナツ形の構造物の近くで爆発音が起きたとの発表や、圧力抑制プールが損傷したらしいとの報告もあった。断定はできないが、恐らく圧力抑制プールの中で水素爆発が起き、そのために損傷したのだろう。損傷が大きければ、圧力抑制プールから放射性物質が格納容器の外にばらまかれた可能性もある。さらに4号機でも突然火災が起きた。5号機、6号機の燃料貯蔵プールの温度が上昇しているという報告もあった。地震発生時に定期検査中だった4〜6号機にいったい何が起きつつあるのか、これも気がかりだ。
福島第1原発のうち特に気になるのは2号機。考えうる最悪のストーリーは、燃料棒が溶けて原子炉圧力容器の底に落下すること。原子炉圧力容器や格納容器は鋼鉄製だが1500度ぐらいで融解する。大量の燃料棒が溶融して落下すれば、やがて原子炉圧力容器の底は溶けてしまうだろう。“その後”どうなるかは誰にも分からないが、地下水脈に触れて大規模な水蒸気爆発を起こす可能性もある。そうならないようにと、2号機の原子炉圧力容器への必死の海水注入作業が試みられている。この深刻な事態が一刻も早く沈静化されることを祈らざるを得ない。【本橋由紀】
◇悪条件が重なった−−近畿大原子力研究所長・伊藤哲夫さん(62)
高濃度の放射能漏れが起き、想像を絶する大変な事態になった。残念だが、想定した以上のことが起きた、としか言えない状況だ。
福島第1原発は、これまでの災害から考えられる安全対策を、何重にも施してきたと考えている。
マグニチュード9という大地震は海外では起きているが、国内では予想を絶する大地震だった。それによって、次第に手の打ちようがないところまできている。
建設時の安全審査においては地震規模はマグニチュード8程度を想定し、さらに地震を起こす断層は13万年前までさかのぼって調査していた。ここは1971年に営業運転を開始しているが、古いから悪い、というものではないと私は思う。
1号機、3号機の爆発は水素爆発による原子炉建屋の破壊だった。2号機や4号機でもそれぞれ爆発や火災が起きている。対策としては、原子炉の中を少しでも冷やせる状態を確保して、事故の拡大を防ぐことに全力を注ぐしかない。
東京電力は詳しい情報をもっと速やかに出すべきだと指摘されているが、今は人災だと責める段階だとは言えないと思う。
そもそもインフラが切断されてしまったので、冷却処理するための水、さらには作業のための電源も確保ができなかった。これは考えられないことだった。悪条件がすべて重なってしまったのだ。「誰の責任だ」とは言えないだろう。
福島第1原発で次々と爆発が発生し放射能漏れが伝えられるが、そのたびに菅直人首相は記者会見において、国民に冷静な対応を求めている。政府が避難指示を出している限りは、それに従ってほしい。
今回事故のあった原子炉が今後どうなっていくのかも、今は予測ができない。ただ、原子力発電の先進国・日本のこの事態を受けて、世界的にも原子力行政の見直しが進んでいくのではないか。【江畑佳明】
◇想定すべき人災−−ノンフィクション作家・広瀬隆さん(68)
これは人災だと考えています。その責任の所在は東京電力だけでなく、菅直人政権、経済産業省の原子力安全・保安院、原発を推進してきた大学や大学院教授らにもあると言えますよ。
津波発生は日本の宿命で、1896(明治29)年の「明治三陸沖地震」では高さ38メートル以上の津波が起こっている。だから「想定外」という表現は当たらない。想定すべきだったんです。
原子炉設備とその周辺には膨大な配管、配線があって、津波と地震の揺れで相当な影響を受けたと見るべきです。電源系統がだめになっているから、非常用のディーゼル発電機が動かなかった。
配線にダメージを受けている中で、コントロールルームが機能しているのか。膨大なデータを処理する能力が維持されているのか。計器を信用してよいのか。それも分かりません。
そもそも、東電は原発の単なる「運転者」なんですよ。詳細な構造は原発メーカーの技術者でないと分からない。保安院の職員も分からない。これを解説している学者も「現場」を知らない。
メディアはなぜ、東電や政府の発表を垂れ流すのでしょうか。放射能が漏れていても「直ちに人体に影響を与えない」と繰り返しています。しかし、発表されているのは1時間当たりの数値。365日×24時間で計算してみなさい。想像力もなく、レントゲン並みとか自然界の何分の1と報道している印象です。漏れるという「異常」に対する驚きも怒りも薄れている。
福島から排出された放射線は宮城県の女川原発付近でも検出されましたし、風向きによって関東地方にも達しています。
仮に最悪の事態に至ったならば、放射能汚染は1週間ぐらいかけてじわじわ列島を包んでいく。逃げる場所は全くありません。
これが原発の震災、人災なんです。【根本太一】
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福島原発の危機について私たちは考えます
— 原子力資料情報室からのメッセージ —
【PDF】
2011年3月15日
1 福島第一原発及び同第二原発の今回の事故は、原発の設計条件においては考えられていない想定外の過酷事故であり、極めて深刻な事態が続いています。
2 この影響を避けるためには、原発から距離を置くのが最も有効な手段です。可能であれば、福島原発から、できるだけ遠くへ離れることがベストです。移動できない方は、建物の中に入って、外気に極力触れないでください。雨には絶対に当たらないように気をつけてください。
3 「何キロまで離れれば安全か」について判断することは容易ではありません。この判断のためには、放射能レベルと気象条件についての正確な情報が必要であり、さらに、今後何が起こりうるかについての的確な予測が必要だからです。これまでの政府・東京電力の情報提供は極めて不十分であり、この判断のために必要な情報を、正確かつ迅速に提供するべきです。
4 現時点で、私たちが把握している事実は以下のとおりです。
(1) 福島第一原発2号機は、核燃料の冷却能力が十分でなく、核燃料が長時間にわたって露出している状態です。格納容器からは、数日前から、圧力を低下させるため、放射性物質を含む蒸気を放出しており、加えて、放射性物質を閉じ込める最後の砦である格納容器の一部である圧力抑制室(サプレッションプール)が一部損傷を受けたため、これによって、さらに放射性物質が放出されています。今後も、炉水位の低下及び格納容器の損傷によって、さらに多量の放射性物質が放出される可能性があります。
(2) 福島第一原発1号機及び3号機でも、核燃料の冷却能力が十分でなく、格納容器からは、数日前から、圧力を低下させるため、放射性物質を含む蒸気が放出されております。現在、海水注入がされていますが、2号機と同様の事態に至る可能性があります。
(3) 福島第一原発4号機〜6号機は、地震時には定期点検中で運転されていなかったにもかかわらず、同4号機では使用済み核燃料プールが水位低下したことによって水素爆発が発生したとされています。この事実は、4号機〜6号機の安全も、絶対のものではないことを示しています。
(4) 福島第二原発1号機〜4号機も、冷却能力の不足が懸念されていました。東京電力の発表では、4基とも冷温停止(100℃以下)で外部電源も確保されているとのことでありますが、一部温度が上昇したとの発表もあります。今後も長期間継続して冷却しなければならず、注意深く監視していく必要があります。
(5) 福島第一原発は6基の、同第二原発は4基の原発が隣接しており、1基の原発に発生した事故が、他の原発に影響を及ぼす可能性が高く、今後、事態がさらにより深刻なものになる可能性もあります。
原子力資料情報室
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801
80キロ圏退避勧告を疑問視=米原発業界—WSJ紙
時事通信 3月18日(金)8時41分配信
【ニューヨーク時事】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は17日、米国の原発業界はオバマ政権が福島第1原発の半径80キロ圏内に在住する米国民に避難勧告を出した科学的な根拠について、疑問を呈していると報じた。
それによると、米原子力エネルギー協会(NEI)のスポークスマンは、原発業界は「(オバマ政権が決めた避難勧告の)科学的根拠について疑問を抱いている」と指摘。その上で、現在得られている放射線や放射性物質の飛散に関するデータに基づけば、日本政府が決めている20キロ圏内の住民への避難勧告は「健康面への影響を最小限に抑える上で十分」と思われると批評した。
枝野長官、原子力推進政策を見直す可能性に言及2011年3月18日11時35分
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. 枝野幸男官房長官は18日午前の記者会見で、自民党の谷垣禎一総裁が「原子力政策の推進は難しい」との考えを示したことについて「政府としては現時点で確定的なことを申し上げるべきではないが、谷垣総裁の発言は至極当然だと思っている」と述べ、原子力推進政策を見直す可能性に言及した。
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巨人、中日あきれた非常識 セ開幕強行でマイナー化に拍車
夕刊フジ 3月16日(水)16時57分配信
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強行突破を差し戻し、巨人の言い成りにならなかった加藤コミッショナー(写真:夕刊フジ)
15日の理事会で25日の開幕強行開催を決め、世間から大バッシングにあう危機一髪だったセ・リーグ。労組・日本プロ野球選手会(新井貴浩会長=阪神)と加藤良三コミッショナーに救われ、とりあえずは最悪回避。それにしてもその非常識さは情けない限り。
15日午後4時から都内ホテルでセ・リーグとパ・リーグの理事会が行われた。東日本大震災の被害が広がる一方の宮城県・仙台を本拠地にする楽天が所属するパ・リーグは、25日の開幕予定を延期することで全会一致。あきれ返ったのはセ・リーグ理事会だ。「セ・リーグは25日の開幕を延期する理由がない」と某球団代表が言い切り、25日の強行開幕を決めたのだ。
この決定がツイッターで流れると、「何を考えているのか」と、ファンから一斉に非難の嵐が起こった。が、この後に開かれた年金運営員会に出席した新井会長はじめ労組・日本プロ野球選手会関係者が「セ、パ同時開幕延期」を緊急提案。12球団緊急実行委員会で議長を務める加藤コミッショナーが決断。
「継続審議とする。古今未曽有の出来事だから」ということで、とりあえずセ・リーグの分離開幕に待ったをかけたのだ。労組・選手会と加藤コミッショナーのタッグマッチで、最悪のケースは一時棚上げされた。セ・リーグが暴走したまま25日開幕を強行、パ・リーグと分離開幕を決めていたら一大事だった。
「球界の常識は世の中の非常識」となり、世間から背を向けられ、プロ野球界は大危機に陥っただろう。何万人単位の死者が予想され、原発の相次ぐ爆発で放射能漏れまで起き、計画停電まで実施されるなど、影響は拡大するばかりの東日本大震災。その現実を直視できない巨人、中日らのセ球団首脳にはあきれ果てるばかりだ。
「9・11(アメリカ同時多発テロ事件)の4日後にヤンキースは試合をして、アメリカ国民を勇気づけた」と言ったセ某球団首脳がいたそうだが、全くわかっていない。今のセ・リーグは実力、人気面ともにパ・リーグのマイナーリーグ化しているのだ。昨年のセ、パ交流戦では1位・オリックスから6位・日本ハムまでパ・リーグ球団が独占。セ・リーグは7位・巨人から12位・横浜と下位にズラリ名を連ねる不名誉ぶり。
日の丸を背負う日本代表投手陣も日本ハム・ダルビッシュ、楽天・岩隈、田中、西武・涌井、ソフトバンク・杉内とパ・リーグのエースばかり。こんな現実が見えていないセ球団首脳。まさに貧すれば鈍するだ。現実を見据えた選手会の緊急提案、加藤コミッショナーの「継続審議」の決定に感謝。非を認め、自ら開幕延期をしなければ、ファンから完全に見放され、相手にされなくなるだろう。 (夕刊フジ編集委員・江尻良文)
ナイターでやる!セ断行、25日強行開幕
サンケイスポーツ 3月18日(金)7時52分配信
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ナイターはもちろん、昼間でも照明が必要な東京ドーム。多大な電力を消費するが、セ・リーグは開催を強行する(写真:サンケイスポーツ)
プロ野球は17日、東日本大震災の影響が懸念される中、セ・リーグが予定どおり3月25日に開幕し、楽天が拠点とする仙台市が甚大な被害を受けているパ・リーグは4月12日に開幕を延期すると正式発表した。開幕延期を求める日本プロ野球選手会の反対を押し切る形でのセの強行開幕に賛否両論が噴出。電力不足による真夏のリーグ中断の可能性など課題が山積する中で“球春”を迎える。
【写真で見る】選手の声は届かず、無念の表情をみせる新井会長
・ 大きな不安の中、ナイターでプレーボールがかかる。セ・リーグはこの日、都内で緊急理事会を開いた。一度は白紙に戻ったものの、やはり25日開幕で決着。加藤コミッショナーは〔1〕観客、選手の安全を最優先する〔2〕全試合をチャリティー試合とする〔3〕政府、監督官庁の指示に従う−の3点を12球団に確約させた上で、セ、パ分離開幕を受け入れた。
「あくまで25日開幕に向けて準備を進めていく。延期ではなく、できなければ“中止が長引く”ことはありうる。そういう理解をしていただきたい。きょうみたいな(大規模停電の危機に直面した)場合には中止する」
セ理事長のヤクルト・新(あたらし)球団常務は説明した。皮肉にもこの日、東京電力管内では大規模停電が懸念された。通勤帰りのサラリーマンの交通網が寸断される状況で、タイミングの悪い発表となった。
25日は東京ドームと神宮でナイター開幕する。東京ドームのナイター開催に必要な消費電力は1時間当たり約5−6万キロワットといわれる。一般家庭が1日に消費する電力の5000世帯分以上に相当する。セの首都圏3球団の本拠地球場は計画停電の対象外とはいえ、首都圏住民が暗い夜に耐える中、ナイターは実施される。
巨人・清武球団代表は「野球を通じて利益を上げ、それを社会に還元したり、義援金を被災地に届けたりできる。自粛するより行動する方を選んだ」と話す。球団としての経済活動の側面から、なんとしても年間144試合を消化することを優先した。
「被災された方、今も安否不明の方、避難所で生活されている方のことを思うと、本当に開幕していいのかというのが、選手会の総意」という選手会の新井会長(阪神)の声は、経営重視の方針にかき消された。同会長は「選手会の要望が受け入れられず、悔しい」と声を震わせた。まさに“強行開幕”となったが、現実にはさらにイバラの道が待ち受けている。
夏場には冷房などで現在の1・5倍の電力が必要になる。それまでに電力の供給が回復できなければ、公式戦休止は必至の情勢だ。開幕を18日遅らせて4月12日とするパ・リーグは日程を組み直し、レギュラーシーズン144試合とクライマックスシリーズをギリギリ消化できるという。しかし、雨天中止の予備日は5日前後しかなく、完全消化は至難の業だ。
「賛否両論あるのは承知している。甘んじて受けるのが私の責任だ」と加藤コミッショナー。1リーグ以来76年目を迎えるプロ野球は、国民に勇気を与える前に、まず理解を得なければならない。
日本政府は危機感欠如、不信といら立ち募らす米
. 福島原発
【ワシントン=山田哲朗】放射能漏れを起こした福島第一原発で事態の悪化に歯止めがかからないことに対し、米国では日本政府の危機感が欠如しているとの焦りが募っている。
米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長とエネルギー省のポネマン副長官らによる17日の記者会見では、米記者団から「日本政府がこの危機に対処できると信頼しているか」「日本の情報開示に不満を感じていないか」など、日本の危機管理能力を問う質問が相次いだ。カーニー大統領報道官は「オバマ大統領は、日本政府が十分に問題の深刻さを理解していると信頼している」と表向き答えたものの、内実は深刻に受け止めている。
17日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国は原発の上空に放射能測定装置を積んだ無人機を飛ばして独自の情報収集に着手している。米政府からの測定装置の提供の申し出は地震直後に行われたが、日本政府は当初断り、事態が悪化し受け入れたという。
ヤツコ委員長が16日、「4号機の水はすべて沸騰して干上がっている。放射線レベルは極めて高く、復旧作業に支障をきたす恐れがある」と証言したのは、無人機の情報を踏まえている可能性がある。
日本政府が委員長の見解に反し、自衛隊が4号機のプールの水を確認したと発表したことをめぐっても、米メディアには「日本政府が情報を隠しているのでは」との不信感が広がっている。
率直な議論を重視する米国では、事態の深刻さを直視する姿勢が強い。民間機関「憂慮する科学者同盟」は17日、記者会見を開き、核専門家のエドウィン・ライマン博士が「日本は絶体絶命の試みを続けているが、もし失敗すれば、もう手だてはない」と指摘、放射性物質が大量に放出されて「100年以上にわたって立ち入れなくなる地域が出るだろう」との悲観的な見方を示した。
米国社会は常にイラクやアフガニスタンの戦死者など冷徹な現実と向き合ってきただけに、日本政府の対応は手ぬるく映る。ニューヨーク・タイムズは、「日本の政治、官僚機構は、問題の広がりを明確に伝えず、外部からの助けを受け入れようとせず、動けなくなっている」「日本のシステムはすべてゆっくりと合意に達するようにできている」とする匿名の米政府関係者の分析を紹介し、国家的な危機に及んでも大胆な決断ができない日本政府へのいら立ちをあからさまにした。
(2011年3月18日14時18分 読売新聞)
政府筋「東電が米支援は不要と」…判断遅れ批判
. 東京電力福島第一原子力発電所で起きた事故で、米政府が申し出た技術的な支援を日本政府が断った理由について、政府筋は18日、「当初は東電が『自分のところで出来る』と言っていた」と述べ、東電側が諸外国の協力は不要と判断していたことを明らかにした。
政府関係者によると、米政府は11日の東日本巨大地震発生直後、米軍のヘリを提供することなどを申し入れたという。政府は、各国からの支援申し出は被災地での具体的な支援内容を調整したうえで受け入れており、「(断ったのではなく)いったん留め置いた」と釈明する声も出ている。
枝野官房長官は18日午前の記者会見で「政府、首相官邸としてそうした事実は全く認識していない」と否定する一方、米政府からの原子炉冷却材提供の申し入れなどについて「詳細は把握していない。確認してみたい」と述べ、事実関係を調査する考えを示した。
政府・与党内では、政府の初動対応について、「米側は早々に原子炉の廃炉はやむを得ないと判断し、日本に支援を申し入れたのだろう。最終的には廃炉覚悟で海水を注入したのに、菅首相が米国の支援を受け入れる決断をしなかったために対応が数日遅れた」(民主党幹部)と批判する声が出ている。
高木文部科学相は18日午前の閣議後の記者会見で「事実関係は把握していない。しかし、姿勢としてはあらゆることを受け入れるのは当然だ。内外の声をしっかり聞くことは非常に重要だ」と語った。
一方、自衛隊が17日午前に行った大型輸送ヘリによる海水投下の背景には、米側の強い要請があったことも新たに分かった。
日米関係筋によると、自衛隊の大型輸送ヘリによる海水投下に先立ち、今回の事故を「最大級の危機」ととらえる米側は、「まず日本側がやるべきことをやるべきだ」などとして、再三にわたり日本側の行動を強く要請していた。17日午前に予定されていた菅首相とオバマ米大統領の電話会談でも、大統領からの要請があると予想されたため、首相は防衛省・自衛隊に会談前の海水投下実施を求めたという。
日本政府への懸念や不満は、米国以外からも出ている。
今回の事故に関する情報収集や日本政府との意思疎通のため、急きょ来日した国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、「(日本政府は)情報伝達を質量ともに改善して欲しい。改善の余地はある」と述べており、18日午後に行われる松本外相との会談などでも、こうした問題が取り上げられる可能性がある。
(2011年3月18日15時11分 読売新聞)
海が白い壁、ポンプ次々流され…地震当時の原発
. 福島原発
想定外のトラブルが相次ぐ東京電力福島第一原子力発電所。
激しい揺れで建物内の設備は壊れ、海岸沿いの施設は高さ6メートルの巨大津波によって根こそぎ流された。当時、建物内にいた人たちの証言から、巨大地震によって同原発が想像を絶する被害を受けていた実態が、少しずつ分かってきた。
「海を見ると、サァーッと海面が沖に向かって引いていくのが見えた」。11日午後、同原発6号機近くの関連施設にいた男性技術者は、地震の激しい揺れが収まり、屋外に避難しようと階段を駆け降りたところで、海面の異変に気付いた。
あわてて階段を上って屋上から海を見ていると、約30分後、水平線の向こうから白い壁のような巨大津波が押し寄せてくるのが目に飛び込んできた。高さ約6メートルに達する大波は、同原発沖合に設置された、幾重にもある防波堤をのみ込んでいった。
1号機から6号機までの原発の周囲は、あっという間に水浸しになった。それぞれの原子炉建屋に隣接する発電施設に冷却水を供給しているポンプ設備が、次々と流されていく。この設備を失えば、発電施設内を通る高温の蒸気を冷却することができない。技術者は初めて見る光景に恐ろしさを感じ、「これは危険なことになる」と直感した。
1号機内で電気設備関連の作業中だった男性作業員は「揺れるというよりは、横にも激しい勢いで振り回されている感じ。縦揺れはほとんど感じなかった」と振り返る。原子炉頂部にある天井からつり下げられたクレーンや照明が、激しくぶつかり合う音を聞いて、「これは普通じゃない揺れ方だ」と気付いたという。
建物の廊下では、ずれた金属製配管の継ぎ目から、水が勢いよく流れ出ていた。余震が続く中、非常灯で薄暗い階段を懸命に駆け降りたが、「出口の扉は本当に開くだろうか」と心配になったという。
放射能に汚染されているかもしれない水の怖さより、このまま原子炉といっしょに閉じこめられてしまう恐怖の方が強かった。その後、1号機は水素爆発で建屋が大破。「あそこに閉じ込められていたらと思うと足がすくむ」と語る。
2人はいま、住民らとともに避難所生活を余儀なくされている。作業員は「地震はあるかもしれないと思ってはいたが、ここまで大きい揺れは想像もしていなかった」といまだに信じられない様子だった。
技術者は「原発で仕事をしている自分が、こうして住民といっしょに避難していることは複雑な思いだ」と語り、「何とかこのまま最悪の事態だけは避けられれば」と天を仰いだ。(後藤将洋、影本菜穂子)
(2011年3月18日12時35分 読売新聞)
政府と東電すれ違い、作業員退避巡り押し問答
. 福島原発
東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)の事故を巡り、政府と東京電力にずれが生じている。
政府と東電による「福島原子力発電所事故対策統合本部」は、菅首相が本部長だが、首相官邸ではなく、東京・内幸町の東電本店に設置され、海江田経済産業相や細野豪志首相補佐官が常駐することになっている。政府は海江田氏らを「東電に対する事実上の『お目付け役』だ」と位置づけており、不信感の根強さが透けて見える。
14日に起きた2号機の燃料棒露出を受けた対応でも、両者はすれ違った。
14日夜、東電の清水正孝社長と枝野官房長官、海江田氏が電話で連絡を取り合った。政府側は「燃料棒露出を受け、東電側が作業員全員の撤退を申し出てきた」としている。これに対し、東電関係者は「一時退避はあっても、撤退ということはありえない」と反論する。
政府側は、作業員が全員退避すれば原発の制御は不可能になると受け止め、「事態を沈静化させることは可能だ」として引き続き作業にあたるよう求めたという。清水社長は15日午前4時過ぎという異例の時間に首相官邸に駆けつけ、首相と対応を話し合った。この点についても、東電関係者は「首相に呼ばれた」とするなど、主張は大きく食い違ったままだ。
社長が引き揚げた約1時間後、今度は首相が東電本店を急きょ訪問した。「撤退などあり得ない。覚悟を決めて下さい。撤退した時は東電は100%潰れる」と部屋の外にまで響き渡る声で幹部に迫った。
首相と16日、首相官邸で会談した笹森清内閣特別顧問によると、首相は「福島原発が最悪の事態になった時には東日本がつぶれることも想定しなくてはならないが、(東電は)危機感が非常に薄い。自分は原子力には詳しいので乗り込んだ」と語ったという。一方で、自民党の石破政調会長が「日本の最高指揮官が現場に行って実情を知悉(ちしつ)しないまま発言するのは差し控えるべきだ」と指摘するなど、首相の過剰反応だという見方も出ている。
首相の訪問直後の15日午前6時過ぎには、2号機で大きな爆発が発生した。現場の判断で原発内で作業していた東電社員や関係企業の約800人のうち約750人の退避が決まったが、約50人は注水作業などのためにとどまった。
「東電はじめ関係者は、原子炉への注水に危険を顧みず、全力で取り組んでいる」
首相官邸に戻った首相は一転、東電の対応を評価するメッセージを発表した。
不信感から生まれた対策本部だが、16日には本部に集約した情報を基に自衛隊ヘリによる注水方針が迅速に決まるなど、プラスの側面もあった。政府は今後も、事故が深刻化した場合に作業員を含む国民の安全をどう確保するのか、高度な判断を迫られることになる。
(2011年3月17日06時59分 読売新聞)
米「日本の避難範囲も正当」 4号機水なし発言は修正2011年3月18日14時8分
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. 【ワシントン=勝田敏彦】米エネルギー省のポネマン副長官は17日、ホワイトハウスでの記者会見で、福島第一原発の事故による住民の避難範囲が日米で食い違っていることについて「(日本側による)措置はとりあえず正当、というのが私たち全員の見解だ」と述べ、問題ではないとの認識を示した。
避難範囲については、日本が「第一原発から半径20キロ圏内の住民に避難を、20〜30キロ圏内では屋内退避」としているが、米国が自国民に対し「80キロ圏内は避難」としており、韓国なども同様の措置を取っている。
米国では「日本政府や東京電力が事故の深刻さを過小評価しているのでは」との見方が広がっているが、副長官は「日本政府による評価や勧告について疑問を挟むことはない」と否定した。
一方、4号機の核燃料プールについて、米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は同じ会見で「さまざまな矛盾する情報があるが、十分な水で燃料を冷やし続けるという困難な作業があることだけは間違いない」と述べ、「水はなくなっている」とした16日の下院公聴会での証言を事実上、修正した。また同委員長は原子炉の冷却に「数週間かかる」との見方も示した。
同委員長の発言に対し、東京電力は、ヘリコプターで空から撮影した画像や複数の社員の証言を根拠に「水はある」と反論していた。
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震災の揺れは6分間 キラーパルス少なく 東大地震研2011年3月17日10時42分
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地震発生から1秒後=東京大学の古村孝志教授提供
地震発生から50秒後。岩手県釜石市や福島県いわき市に伝わる=東京大学の古村孝志教授提供
地震発生から90秒後。揺れが東日本全体に伝わる=東京大学の古村孝志教授提供
地震発生から180秒後の揺れの強さ=東京大学の古村孝志教授提供
東日本大震災を起こした地震の揺れが東日本全体で約6分間続いたことが、東京大学地震研究所の古村孝志教授らの解析でわかった。「キラーパルス」と呼ばれ、木造家屋に大きな被害をもたらす周期1秒前後の揺れは地震の規模の割に少なかった。海岸付近の家は、倒壊は免れたものの、直後の津波で流されたようだ。
防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が全国展開している全国高密度強震計地震計(K—net)のデータが地震直後から使えなかったが、16日に復旧して解析が可能になった。古村教授らは、全国1800カ所のデータを使って、揺れの状況を調べた。
地震の揺れは、発生から35秒後に宮城県牡鹿半島に到達。50秒後には岩手県釜石市や福島県いわき市を揺らして、70秒後に東北日本全域に広がった。揺れのピークは約35秒の間をあけて2回あり、古村教授は地震を起こした断層の破壊が少なくとも2段階あったとみている。揺れは、最大で重力の約3倍の加速度に達した。
地震波の周期は0.1〜1秒の短い波がほとんどで、木造家屋に壊滅的な被害をおよぼす1秒前後の周期の地震波は少なかった。古村教授は「家がそのままの形で流された。津波地震の典型ではないか」とみている。
この地震では、遠く離れた高層ビルや石油タンクに大きな被害を与える10秒以上の長い周期の「長周期地震動」も観測された。東京湾岸のコンビナートの火災などは、この影響と考えられるが、それでも地震の規模の割に少なかったという。(川原千夏子)
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原子力関連 緊急情報
【第29報】東北地方太平洋沖地震による原子力施設への影響について(18日6時30分現在)
[2011/03/18 09:59更新]
原子力安全・保安院から、3月11日14時46分頃に発生した東北地方太平洋沖地震による原子力施設への影響についてお知らせします。
新しい情報等は以下のとおりです。
1.原子力発電所関係
○福島第一原子力発電所
【放水関係】
・警察庁機動隊による地上放水(17日19:05から19:13)
・自衛隊が地上放水を実施(17日)
1台目放水:19:35から
2台目放水:19:45から
3台目放水:19:53から
4台目放水:20:00から
5台目放水:20:07から
・東京消防庁による放水作業について、東京電力(株)、東京消防庁及び双葉消防本部が作業内容を確認中(18日 06:30現在)
【電源復旧】
・1から4号外部電源の復旧等に係る作業内容(東北電力(株)送電系統からの受電、自社変電所よりルート変更を介しての受電)を確認中(18日 06:30現在)
-1号機関係-
・原子炉圧力容器へ海水注入中。
-2号機関係-
・原子炉圧力容器へ海水注入中。原子炉建屋ブローアウトパネルから白煙吐出継続。
-3号機関係-
・原子炉圧力容器へ海水注入中。
-4号機関係-
・原子炉圧力容器のシュラウド工事中のため、原子炉圧力容器内に燃料はなし。
-5、6号機関係-
・6号機の非常用D/G(1台)は運転可能。これにより5,6号機に電力供給中。MUWC(復水補給水系)を用いて原子炉圧力容器及び使用済燃料プールへ注水をしている。
・使用済燃料共用プールは、18日6:00過ぎ、ほぼ満水であることを確認。
2.住民避難の状況(3月18日06:30現在)
3月15日11:00、内閣総理大臣の指示により、福島第一原子力発電所半径20kmから30km圏内の住民に対して、屋内待避を指示。その旨を福島県及び関係自治体へ連絡。
福島第一原子力発電所20km圏外及び福島第二原子力発電所10km圏外への避難は、措置済。
・福島第一原子力発電所20kmから30km圏内の屋内待避について、徹底中
・福島県と連携して、屋内待避圏内の住民の生活支援等を実施。
原子力関連 緊急情報
東北地方太平洋沖地震による原子力施設への影響について(17時30分現在) (第28報)
[2011/03/17 20:38更新]
原子力安全・保安院から、3月11日14時46分頃に発生した東北地方太平洋沖地震による原子力施設への影響についてお知らせします。
新しい情報は以下のとおりです。
前回情報からの主な変更は以下のとおり
○原子力発電所関係
○福島第一原子力発電所
・自衛隊のヘリにより3号機への海水放水を4回実施(17日9:48、9:52、9:58、10:01)
・機動隊が地上放水のため現場到着(17日16:10)
・東北電力の送電線から受電するケーブルを敷設。放水作業後に2号機へ接続予定(17日17:30)。
・6号機の非常用D/G(1台)は運転可能。これにより5,6号機に電力供給中。MUWC(復水補給水系)を用いて使用済燃料プールへ注水をしている。原子炉圧力容器には外部電源の復旧を待って注水を予定。
KEK TOP --日本語ページ
高エネルギー加速器研究機構(KEK)
March 18, 12:00, 2011
未曾有の規模の震災によって被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。
最新の情報につきましてはこのWebサイトをご覧ください。
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[職員へのお知らせ]
3月22日以降、順次つくばキャンパス内の復電を予定しています。現在自宅勤務中の職員は、職場からの呼び出しがあるまで自宅での勤務を継続してください。(3月17日17:00)
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1. お知らせ
2. 職員および共同利用研究者の方へ
3. 取引業者の方へ
4. KEKの被害状況について
5. KEKの電力制限について
6. KEKの見学等について
7. KEK ネットワークおよび計算機システムの運用状況
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機構長からの緊急メッセージ
1. お知らせ
?KEKにおける環境放射線の測定結果についてはこちらのページにまとめてありますのでご参照ください。
http://www.kek.jp/quake/radmonitor/index.html
?機構に転任・採用予定の皆様へ(3月16日17:00)
採用等に係る問合せにつきましては、下記の連絡先までお願いします。
○ 教員・研究員関係 [人事労務課人事第一係] TEL:--***-****
○ 事務職員・技術職員関係 [人事労務課人事第二係] TEL:029-***-****
?SuperKEKB開始記念式は延期します(3月16日12:00)
?KEK職員の福島県災害対策本部への派遣について(3月15日12:00)
福島県災害対策本部から、政府を経由して要請があり、原子炉から漏えいした放射性物質と、それが出す放射線を測るために放射線測定機器を貸し出し、測定のために2人の研究者を派遣するとともに、関連する援助物資を提供しました。
?「PFシンポジウム」は中止となりました。(3月14日18:00)
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2. 職員および共同利用研究者の方へ
?共同利用支援システム(KRS)は現在停止しています。(3月18日12:00)
(問合せ先)
ユーザーズオフィス係 電話:029-***-**** E-mail:usersoffice@mail.kek.jp
?3月22日以降、順次つくばキャンパス内の復電を予定しています。現在自宅勤務中の職員は、職場からの呼び出しがあるまで自宅での勤務を継続してください。(3月17日17:00)
?国内出張および外国出張の取りやめに伴い発生するキャンセル料について(3月17日12:00)
出張を取りやめたことによって鉄道賃、車賃、航空賃、宿泊料のキャンセル料が生じた場合は旅費としてお支払いしますので、キャンセル料を支払った領収書やキャンセル料についてのEメールを必ず保存しておいてください。
なお、手続き方法については後日お知らせします。
(問合せ先)
職 員:経理課経理係 内線:5156 E-mail:kessan@mail.kek.jp
共同利用者:ユーザーズオフィス係 電話:029-***-**** E-mail:usersoffice@mail.kek.jp
?郵便物のKEKからの発送、KEK内への配布は3月18日(金)まで停止されます。なお、kEK宛の郵便物は総務課で預かっております。(3月16日12:00)
?震災発生時につくばキャンパス、東海キャンパスに滞在されていた共同利用研究者の安全が確認されています。東海キャンパスで研究にあたっていた方については、つくばキャンパス内ドミトリーへ移動または帰宅・帰国しました。(3月14日18:00)
?KEKでは、電力、水、ガスなどのライフラインの復旧に全力を挙げております。現在、ドミトリーでは、最低限の生活に必要な電力を確保しております。上水道につきましては、つくば市の供給の見通しが立っていないため、飲料、洗面の水は停止しています。水洗トイレは、一部の建物で使用可能です。(3月14日18:00)
水洗トイレが使用できる場所は、以下のとおりです。
?管理棟
?1号館
?2号館
?4号館
?工作棟
?低温棟
?国際交流センター
?職員会館
?計算機南棟
?ドミトリー1、2号棟、共用棟
使用の際には各建物の張り紙の指示に従ってください。
KEKの施設についてご不明な点については、内線5174までお問い合わせ下さい。
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3. 取引業者の方へ
本機構で入札手続きを進めている案件につきまして、震災に伴い入札の諸手続き(仕様書受領、技術審査資料提出、入札又は開札日時等)を変更する場合があります。諸手続き変更の詳細及びその他契約に関するについては、以下の契約担当係にご確認くださいますようお願いします。
素粒子原子核研究所関係 契約課契約第1係 029−***-****
物質構造科学研究所関係 契約課契約第2係 029−***-****
加速器研究施設関係 契約課契約第3係 029−***-****
共通基盤研究施設関係 契約課契約第4係 029−***-****
J-PARC関係 契約課契約第5係 029−***-****
管理局関係 契約課総括契約係 029−***-****
工事関係 建築課施設企画グループ 029−***-****
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4. KEKの被害状況について
KEKでは震災発生当日の11日(金)に機構長を本部長とする地震対策本部を設置致しました。地震発生とともに、つくば、東海の両キャンパスにおいて加速器・実験装置の運転を停止しており、放射線に関する安全を確認しました。また、職員、共同研究者ともに人的被害は報告されておりません。
つくばキャンパス内の建屋、補助基盤設備、加速器、各種実験装置においては、各種の被害状況が確認されています。東海キャンパスでは、津波の被害はありませんでしたが、かなりの被害が予想される箇所があることが報告されています。今週より、被害状況についての詳しい調査を実施する予定です。
以下のつくばキャンパスの建物は、耐震調査が完了するまで立ち入りが禁止されています。
?北カウンターホール
?東カウンターホール
?先端加速器試験施設(ATF)
?先端計測実験棟
?D4電源棟
?D5電源棟
?超伝導低温真空実験棟
?第一工作棟
?体育館
J-PARCは16日まで全面入構禁止としております。
東海1号館及びユーザー宿泊施設は入館できますが、一部損傷部分がありますので、危険箇所には近づかないようお願いします。
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5. KEKの電力制限について
報道等で周知の通り、東日本における電力需給が極めて逼迫した状況であるため、KEKにおいても当面は厳しい電力使用制限を行います。KEKのウェブサーバーは部分的な運用が行われており、完全な復旧の目処は立っておりません。停電の際には停止することが予想されますので、予めご了承下さい。ライフラインの維持に必要な機器以外の使用は禁止しています。
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6. KEKの見学等について
KEKの見学の受入れは当面停止致します。また、展示施設「コミュニケーションプラザ」も休館致します。今後の予定につきましては、後日お知らせ致します。
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7. KEK ネットワークおよび計算機システムの運用状況
運用を再開する機能
必要最小限の機能(ネットワーク、Web、メイル)に限定して2011年3月14日に運用を再開しています。
ただし、今後の電力供給状況に応じて運用を一時中断する可能性があります。
?機構Webシステム
?インターネット接続
?VPNシステム
?HEPnetJ
?MAネットワーク(共同利用宿舎のみ)
?メイルシステム
2011年3月14日 17時頃に運用を再開しました。
以下の「メイルシステムの利用について」を併せて御参照願います。
?GRID認証局
運用を再開を保留とする機能
以下のシステムは電力調整のために停止しています。再開は電力供給状況をみて判断します。
?研究情報Webシステムなど、その他のWebシステム
?共通計算機システム(kekcc)
?B計算機システム
?スーパー計算機システム
システム更新のために運用を停止しています。
?MAネットワーク(共同利用宿舎以外)
?機構内LAN
?TV会議システム
?Dialupサービス
?GRIDシステム(認証局を除く)
メイルシステムの利用について
?機構内での利用にあたっては、電力使用制限のために壁のACコンセント等の使用制限の方針が地震対策本部により示されていることに留意してください。
?機構外からのアクセスのために Web インターフェイスを設けています。
これは、ブラウザ上でメイルサーバにアクセスして読み書きなどの操作を行なうものです。ブラウザでの操作なので初めての方でも基本的操作は簡単に行なえます。システム負荷やネットワーク負荷が多少ありますので、利用環境によっては少し重い感じがすることがあります。
URLは、 https://webmail.post.kek.jp/ です。
?転送先の変更は VPN 経由で KEK に接続し、次のユーザ情報ページにログインして行ってください。
https://user.post.kek.jp/mailsys/post/login.php
ご不明な点、ご質問は、consult@kek.jp( Tel 5770 )までお問い合わせください。
?アカウント作成やメイリングリスト作成等の更新作業は停止しています。再開は電力供給状況をみて判断します。
【連絡先】 KEK広報室 TEL:029-***-****
mailto:proffice@kek.jp
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HIGH ENERGY ACCELERATOR RESEARCH ORGANIZATION, KEK
1-1 Oho, Tsukuba, Ibaraki 305-0801 Japan
Copyright (C) KEK. All Rights Reserved.
平成23年3月18日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
原子力機構週報
(3/12〜3/18)
原子力機構近況
日本原子力研究開発機構(原子力機構)では、東北地方太平洋沖地震発生直後から、理事長を本部長とする「機構対策本部」を設置し、機構施設・設備への影響の把握と復旧に向けた対応、指定公共機関としての支援活動等を継続して行っています。
【各拠点の状況】
3/11の東北地方太平洋沖地震発生以降、各拠点において順次施設の点検を実施しました。
茨城県の拠点においては、商用電源が停止しました。一部の設備・機器等に損傷はあったものの、環境への影響、火災、重篤な怪我等はありませんでした。重油等の燃料を確保しつつ、非常用発電機により必要最小限の設備の制限運転を実施しました。
3/13、原子力科学研究所及び核燃料サイクル工学研究所において、商用電源の給電を再開し、順次、施設・設備を復旧しているところです。大洗研究開発センターにおいては、北地区は3/13に復電しました。南地区については、所内変電所の修理に努めているところです。那珂核融合研究所においては、3/17に商用電源の一部建家への給電が再開され、順次、全建家への給電及び施設・設備の復旧を実施する予定です。
青森研究開発センターにおいても、3/11の地震発生の際に商用電源が停止しましたが、施設・設備に異常のないことを確認しました。3/13までに商用電源の給電を再開しました。
その他の拠点(幌延深地層研究センター、高崎量子応用研究所、東濃地科学センター、敦賀本部、もんじゅ、ふげん、関西光科学研究所、人形峠環境技術センター)においては、特に異常はありませんでした。
【福島第一・第二原子力発電所への対応】
原子力緊急時支援・研修センターにおいては、福島第一・第二原子力発電所の緊急事態に関し、文部科学省の要請を踏まえ、支援活動を進めています。
原子力安全委員会の緊急技術助言組織の構成員として、機構の専門家が協力しています。
3月14日(月)〜16日(水)、東京国際交流館プラザ平成国際交流会議場(東京都江東区)において開催する予定だった「第1回原子力人材育成国際会議」は中止いたしました。
3月15日(火)、学士会館3階320号室(東京都千代田区神田錦町)において開催する予定だった「核融合エネルギーフォーラム第5回全体会合」は中止いたしました。
3月17日(木)、浜離宮朝日ホール(東京都中央区築地)において開催する予定だったシンポジウム「汎用照射試験炉JMTRの再稼働と新たな挑戦」 (主催;日本原子力研究開発機構、後援;原子力委員会、原子力安全委員会 他) は延期いたしました。延期後の開催日程は未定です。
各研究開発拠点等のトピックスについて
「第14回 サイエンスカフェinリコッティ」は中止いたしました。(東海3/12予定)
テーマ:「個性あふれる原子たち−ウランと超ウランの科学−」
「第2回サイエンスカフェin大洗」は中止いたしました。(大洗3/19予定)
テーマ:「住みよい暮らしを守るために原子力ができること」
瑞浪超深地層研究所の施設見学会を開催いたします。(東濃3/27予定)
詳細は、http://www.jaea.go.jp/04/tono/kengaku/kengaku_miu2.html
各研究開発拠点等のその他の状況について
別紙のとおり
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東京スカイツリー634m、頂点に到達
読売新聞 3月18日(金)13時47分配信
東京・墨田区で建設中の東京スカイツリーが18日午後1時34分、目標とする高さ634メートルに到達した。
タワー本体(497メートル)から突き出ているアンテナ取り付け用の「ゲイン塔」を引き上げる作業が行われ、ゲイン塔の頂点にある避雷針が634メートルに達した。 .最終更新:3月18日(金)13時47分
東日本大震災:イチローが義援金1億円
米大リーグ、マリナーズのイチロー外野手(37)=本名鈴木一朗=が18日、東日本大震災の義援金として、所属するマネジメント会社「バウ企画」を通じて日本赤十字社に1億円を寄付した。共同通信に同社の岡田良樹代表が明らかにした。
岡田代表によると、阪神大震災で被災しているイチローは同社などから大震災に関する情報を集め、熟慮の末に決断した。寄付行為については自ら公表しない姿勢のため、本人はコメントしていない。岡田代表は「今回は例外的なケース。日本の国そのものが大きな苦境に立たされているから」と経緯を説明した。
イチローは2月に新燃岳火山噴火の宮崎県に対し、ふるさと納税制度を使って1000万円を寄付したばかり。過去には2000年の東海豪雨で被害を受けた愛知県に衣類1500点(約1300万円相当)、1998年には神戸市へ震災復興のためとして1000万円を送るなど積極的な社会奉仕を行っている。
【関連記事】
大リーグ:イチロー6試合連続安打、高橋は2回完璧
大リーグ:松井、イチローともに無安打 オープン戦
大リーグ:イチローが紅白戦出場 順調な仕上がり
イチロー選手:宮崎県に1000万円寄付
大リーグ:イチローさく越え13本 11年目が始動
毎日新聞 2011年3月18日 17時41分(最終更新 3月18日 18時04分)
東日本大震災:41万人が避難 2万人以上が行方不明
起床後、手を合わせる避難所の被災者=岩手県釜石市の石応寺で2011年3月18日午前8時39分、竹内幹撮影 東日本大震災の被災地は18日、発生から1週間を迎えた。インフラは徐々に復旧しつつあるものの、12都県で約41万人が避難所に身を寄せるなど、被災者は厳しい状況に置かれている。毎日新聞のまとめでは、死者は6406人に上った。懸命の捜索・救助活動が続くが、2万人以上が行方不明のままだ。
岩手県では4万8439人が避難生活を送る一方、停電は9割以上の世帯で復旧。秋田新幹線も18日から運転を再開した。
同県は沿岸部の被災者が希望する場合、盛岡市など内陸部の公営住宅や公共施設に移すことを決め、陸前高田市など対象5市町と打ち合わせを始めた。仮設住宅が整うまでのつなぎの対策で、3月末から順次移動してもらう。県の担当者は「被害が比較的軽微だった内陸部で少しでも楽に過ごしてもらうため、できるだけ早く手続きを進めたい」と話す。
宮城県は、避難所の物資不足などが改善されないため、被災地外へ避難者を一時的に集団避難させることを検討する方針を明らかにした。また津波で下水道と処理施設をつなぐゲートが遮断され、仙台市の一部や石巻市などで下水がマンホールからあふれる恐れがあるとして、周辺住民に節水を呼びかけた。
地震後に火災が起きたJX日鉱日石エネルギー仙台製油所(仙台市)から灯油と軽油の搬出が可能となり、18日午前からドラム缶200缶分の陸送を始めた。石巻市などに配送し、灯油は避難所の暖房など、軽油は緊急車両の燃料などに使う予定という。
福島県では燃料不足解消へ向けた取り組みが本格的に始まった。石油各社に「輸送しようにも、帰りの燃料を給油する場所がないため被災地に入れない」との声があるため、県は中央部の郡山市にタンクローリー専用の軽油スタンドを設置することを決めた。
さらに、国はタンクローリー十数台を福島県への輸送用として購入し、政府備蓄の石油を放出。自衛隊も、福島第1原発の周囲20〜30キロ圏で屋内退避指示が出ている地域のガソリンスタンドや避難所に輸送する。県は数日中に燃料が流通し始めると見込んでいる。
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【特集・東日本大震災】最新記事、サポート情報、各地の写真など
-被災者サポート情報の一覧-避難所、健康、交通手段……ほか
-安否確認・避難所・ライフライン情報のリンク集-
-被災者サポート情報-防寒 発泡スチロール、アルミシートも暖かい
-被災者サポート情報-エコノミー症候群の対策は
-首都圏の品薄-被災地のために「買い占めやめて」
毎日新聞 2011年3月18日 11時23分(最終更新 3月18日 13時03分)
福島第一原発「廃炉」を検討 東電常務が福島で謝罪会見
産経新聞 3月18日(金)21時35分配信
拡大写真
記者たちから途切れない厳しい質問に言葉を失う東京電力の小森明生常務=福島市の県災害対策本部(石崎慶一撮影)(写真:産経新聞)
東京電力の小森明生常務は18日、福島市内の福島県災害対策本部で記者会見し、福島第1原子力発電所の爆発や放射能漏れ事故について「このような事態を招き痛恨の極みです。福島県民におわびします」と県民に初めて謝罪した。
[フォト]頭を下げる東京電力の小森常務ら
小森常務は、福島第1原発の廃炉について「幹部と議論したことはないが、今後はそういうことも含めて検討していく」と述べた。
放射能汚染への不安と怒りが福島県民には広がっているが、「厳しい状況が続いているが、あらゆる手だてを講じて、安全確保に努めたい」と事態収束に全力を尽くす構えを表明した。
放射能汚染を避けるために、避難所を転々としている周辺住民に向けて「誠に申し訳ない」と涙ながらに謝罪。今後の補償については「国と相談して考えていく」と語った。
今後、原発事業の継続に関しては「経営判断があり、今答えられない」とした。
記者団からは「原発の安全性をPRしてきたのは正しかったか」「福島県民に希望はあるのか」といった質問が相次いだが、「イエスかノーかで答えられない」と言葉を失っていた。
【放射能漏れ】福島第1原発事故「レベル5」 米スリーマイル並み
経済産業省原子力安全・保安院は18日午後の会見で、日本大震災で被災した福島第1原子力発電所の連続事故について、国際原子力機関(IAEA)が決めた8段階の国際原子力事象評価尺度(INES)で「レベル5に相当する」との暫定評価を発表した。原子炉が炉心溶融を起こし周辺に放射性物質が放出された米スリーマイルアイランド原発事故(1979年)と同レベルとなる。
INESは、レベル0から7までの8段階で評価を行う。保安院は1〜3号機の事故は「所外へのリスクを伴う事故」であるとしてレベル5とした。4号機については「重大な異常事象」であるレベル3とした。
国境を越えて大量の放射性物質を放出し、史上最悪の原発事故となった旧ソ連のチェルノブイリ原発事故はレベル7とされている。
【放射能漏れ】5原子炉の溶融不可避も 福島原発で露専門家指摘
ロシアの核物理研究施設「クルチャトフ研究所」のシトロムバフ第1副所長は18日までに、福島第1原発について、最悪の事態は六つの原子炉のうち五つでの炉心溶融だと指摘、「これは避けがたいように見える」と述べた。タス通信が伝えた。
第1副所長は17日の記者会見で、使用済み燃料プールの温度が上昇し原子炉建屋で火災が発生した同原発4号機について「状況を検討したが、自然発生的な核分裂の連鎖反応は起きていないと思われる」と説明。
仮に連鎖反応が起きた場合は核燃料が施設内部に拡散するが、放射性物質が広範囲に拡散する恐れは少ないとし、除染は「チェルノブイリ原発事故後の作業よりはるかに容易だ」と述べた。(共同)
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「深刻な事故と理解」=放水に期待、連絡要員常駐へ−IAEA事務局長が会見
時事通信 3月18日(金)17時22分配信
国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は18日、東京都内で記者会見し、福島第1原発で起きた放射能漏れについて「深刻な事故と理解している」と改めて述べた。
天野氏は対処方法として「冷却することや電源を回復することが大事だ」と強調。その上で「水で覆われていれば(遮られ、外に出る)放射線は少なくなる。使用済み核燃料を冷やすためにも、作業をしやすくするためにも、放水は非常に重要だ」と話し、自衛隊や警察、消防による放水に期待した。
さらに同氏は「(日本政府は)努力を諦めたわけではなく、今も冷却は行われている。安全、安定を取り戻す取り組みだ」と語った。
事故発生に伴う政府の対応について、同氏は「IAEAの基準に基づいて日本が設定したものと思う」とし、20キロ圏を避難指示、20〜30キロ圏を屋内退避としたことについて一定の理解を示した。
旧ソ連ウクライナで起きた世界最悪のチェルノブイリ原発事故と同じようになるかと問われると、「さらに重大化するか、収まるかは申し上げられない」とした。ただ、「かなり違うのではないかと思う」とも指摘。同事故については「放射性物質にエネルギーを与える黒鉛があり、連鎖反応も起こり、短時間で大事故につながった」とした上で「今回は(原子炉の運転を)止めることに成功し、損傷がゆっくりした形で進んでいる」との認識を示した。
天野氏はこれに先立ち、IAEA独自で放射能調査をし、公表する一方、日本政府との連携を強化するため、東京に連絡要員を常駐させる方針を明らかにした。
放射能漏れ】放射線量計アラームは誤作動? 12トンは放水できた
警察庁は18日、福島第1原発3号機に向けて行った警視庁機動隊員らによる放水で、退避命令の理由になった隊員の個人放射線量計のアラームについて、誤作動か隊員の聞き違えだった可能性があることを明らかにした。
また、隊員から状況を詳細に聞き取った結果、当初は水が届かなかったとされていたが、東電社員の指示通りの場所に約3分間、12トン分の海水を放水できたことが判明したという。
警察庁によると、高圧放水車の放水は約10分間行われ、車両タンクの水4トンと仮設プールの約40トンを放水したという。隊員が線量計アラームが鳴ったと報告したのは終了間際で、現場指揮官が撤収を決定。退避後に5人の線量計が示していた数値は設定の80ミリシーベルトより大幅に小さい6〜9ミリシーベルトだったという。
その後も放水作業の継続は可能だったが、新たに海水を満たすのに約40分かかることや、線量計をチェックするために隊員が防護服を脱いでいたことから再開を見送ったとしている。
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休眠火力発電所の立ち上げに2〜3カ月 老朽化、原油調達など課題も
産経新聞 3月18日(金)20時27分配信
東日本大震災で原子力発電所や主要な火力発電所が停止に追い込まれ、計画停電の実施を余儀なくされている東京電力などは、被害が軽微な火力発電の早期復旧を急ぐとともに、休眠している火力発電所を総動員し、中長期的な供給力の回復を急ぐ。
東京電力管内では現在、事故の起きた福島第1原発と、停止中の第2原発の約910万キロワットに加え、火力発電所も、広野(福島県広野町)、大井(東京都品川区)など5発電所の9基、約715万キロワット分が、停止に追い込まれている。
東電はこのうち、大井の2号機や東扇島1号機(川崎市川崎区)など、被害が軽微なものを再起動させ、早期復旧を目指す。
一方で、地震や津波被害による破損が激しい広野や、常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)の復旧には相当時間がかかるとみられ、休眠中の火力発電の再開を検討している。
資源エネルギー庁は、休眠火力発電所の立ち上げには最低でも2〜3カ月かかるとしているが、比較的早い再開が期待できるのは、横須賀火力発電所(神奈川県横須賀市)の7、8号機だ。同発電所は、平成19年7月の新潟県中越沖地震による東電柏崎刈羽原発の停止に伴って再開させた。同原発の主力の6、7号機の再開後、22年4月に長期停止を視野に入れて停止したばかりで、比較的早期の立ち上げが可能とみられる。
東電は、3発電所、10基で約280万キロワット分の休眠火力発電所を持つ。
電力業界には、「休眠火力の復旧には数カ月かかる」との見通しもあるが、一律ではない。中には休止が長期にわたり、老朽化しているものも少なくなく、大半を復旧するにはさらに時間が必要だ。
また、東日本震災で3発電所の4基が停止中の東北電力も、休眠中の東新潟火力発電所の一部を再開する方向で検討に入った。
ただ、今後の火力発電の大規模な再開には、燃料となる石油や液化天然ガス(LNG)の安定調達や物流網整備が課題だ。
LNG調達では、政府や東電、大手商社などが、カタールやロシアのプロジェクトで日本向けの調達を水面下で交渉している。これに対し、産業界のLNGへの燃料転換で、燃料向けの重油は需要は大きく減少。精製設備や輸送手段が大幅に削減されており、設備の増設は容易ではない。
4号機プールの核燃料、発熱突出 まだ使用途中の燃料も(1/2ページ)2011年3月18日23時31分
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福島第一原発 損傷状況の推移
東京電力は18日、福島第一原発1〜6号機(福島県)の使用済み核燃料貯蔵プールの保管状況を公表した。全基のプールにある核燃料集合体は計4546本。建屋で火災が起きた4号機のプールにある核燃料の発熱量がとくに大きいことが明らかになった。プールに水を補給する冷却システムが働かず、燃料の熱で水が蒸発し、過熱した燃料が損傷する恐れがある。
六つの原子炉がある福島第一原発のうち、4号機のプールの発熱量はとくに大きい。使用済み燃料783本のほか、まだ使い終えていない燃料548本が保管されている。機器の交換のため炉内から取り出されていた。使い終えていない燃料の方が使用済み燃料より熱が大きいことも発熱量の大きさに影響している。
4号機のプールでの発熱量は毎時約200万キロカロリー。約1400立方メートル入る貯蔵プールの水の温度を、単純に計算すると1時間あたり約2度上げることになる。
地震で機能しなくなった冷却装置が再び動けば、水温をセ氏40度以下に保つことができる。津波で冷却装置が動かなくなり、この状態では燃料棒からの熱で水が沸騰し始めるまで1日強。完全に干上がるには、さらに10日程度かかる計算だ。
17日に東電社員がヘリコプターで確認したところ、4号機のプールに水らしいものが見えたという。
これ以外の原子炉に設けられたプールでは、使用済み核燃料は、もっと発熱量が小さい。発熱量はプールの容積と燃料の本数などで決まる。
放水車やヘリによる放水・冷却作戦が続いている3号機のプールにある燃料は容量の半分近くで、4号機より少ない。このため発熱量は10分の1ほどだ。しかし16日に、損傷した3号機の原子炉建屋から白煙が出ており、プールの状態は確認できていない。
2番目に発熱量が大きい5号機では、燃料の本数は許容量の3分の2ほどを占めているが、発熱量は4号機の3分の1ほど。1〜4号機と違い、水を循環させるポンプが作動しているため、18日午後2時の水温が66.3度にとどまっている。しかし、今回の震災による停電で冷却装置は動いていない。
首相、谷垣氏に入閣要請…大連立と同じと拒否
読売新聞 3月19日(土)3時6分配信
菅首相(民主党代表)が東日本巨大地震と東京電力福島第一原子力発電所での事故を受け、自民党の谷垣総裁に原発問題担当相としての入閣を要請していたことが18日、明らかになった。
谷垣氏側は拒否した。
これに関連し、民主党の岡田幹事長は同日、国会内で開いた「各党・政府震災対策合同会議」で、閣僚の3人増員を柱とする内閣法改正を提案した。3ポストは原発問題担当と復興担当、被災者支援担当が念頭にあるとみられ、野党側も大半は増員には賛成する方向だ。
谷垣氏への入閣要請は、首相周辺から関係者を通じて自民党幹部に伝えられた。谷垣氏側は「入閣は大連立と同じで、責任の所在が不明確になるだけだ」として拒否した。
これを受け、首相は与党から新ポストへの起用を目指す意向だ。仙谷由人官房副長官や国民新党の亀井代表らの名前が取りざたされている。
岡田氏は合同会議で、副大臣、政務官、首相補佐官を増やすことも提案した。 .最終更新:3月19日(土)3時6分
死因、9割が溺死…地震より津波の被害鮮明に
読売新聞 3月19日(土)3時4分配信
東日本巨大地震で千葉大の岩瀬博太郎教授(法医学)が岩手県陸前高田市の死者126人の死因を調べたところ、9割が津波による溺死だったことがわかった。
死因の8割が建物倒壊による圧死・窒息死だった1995年の阪神大震災と対照的で、地震そのものよりも、その後の津波が被害を広げた実態が浮き彫りになった。
同市内で13〜16日に遺体の検視にあたった岩瀬教授によると、犠牲者の9割は死亡した後に骨折したとみられることなどから、溺死と判断した。
屋外で見つかった約90人のうち、4割程度が肋骨(ろっこつ)や首、手足を骨折していた。時速30〜40キロ以上の車にはねられたような強い衝撃を受けており、激しい津波で流された木材や家屋、車などにぶつかったとみられるという。
また、高齢者を中心に約50人がシャツや上着、ジャンパーなど7〜8枚を重ね着。印鑑や保険証、写真アルバムを入れたリュック、非常食のチョコレートを持った人もいた。岩瀬教授は「逃げ遅れたのではなく、避難準備をしていたにもかかわらず、想定を超える津波に巻き込まれたのではないか」とみる。 .最終更新:3月19日(土)3時4分
東日本大震災 原発一色の官邸…生活支援は後手に
毎日新聞 3月19日(土)3時39分配信
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会見を終えて退出する菅直人首相(左)と枝野幸男官房長官(中央)、仙谷由人官房副長官(右)=首相官邸で2011年3月18日午後8時28分、藤井太郎撮影
東日本大震災発生から1週間。菅直人首相は官邸に泊まり込んで「戦後最大の危機」の陣頭指揮を執った。18日の記者会見では東京電力福島第1原発の危機を乗り切る「決死の覚悟」を強調した。だが、官邸が24時間態勢で原発対応に追われる中で、実態がなかなかつかめなかった被災者支援が後手に回る事態へと陥った。
【写真グラフ】東日本大震災 東北でM9.0…11日午後2時46分
首相退陣論も広がる中で明けた11日朝、首相の外国人献金問題が発覚。政権の致命傷につながりかねない政治的危機は間もなく発生した大震災でいったん棚上げになったが、国全体が原発事故の大惨事に見舞われた。
「逃げるな!」
首相が怒りを爆発させたのは翌12日午後。同原発1号機の水素爆発から1時間以上たって東電から通報が届き、首相は電話越しに東電幹部を怒鳴りつけた。「こんなことをやっていたら会社がつぶれるぞ」と責任の共有を求めたが、その後の対応は「専門家の東電に任せる」(首相周辺)という判断をした。
だが、事態は好転するどころか、水素爆発は3号機でも発生し、惨事の連鎖が始まる。同原発からの「全員退去」を打診してきた東電に首相が乗り込み、統合連絡本部を設置し「日本と東電の運命は一体」(政府筋)の態勢を構築したのは発生から4日たった15日。与野党から「対応が遅すぎる」との批判が上がった。
首相は16日、面会した笹森清内閣特別顧問に「福島原発が最悪の事態になったときは東日本がつぶれることも想定しなければならない」と語り、首相として原子力事故と戦う巡り合わせへの思いがしばしば「歴史的使命」という言葉となって首相の口をついた。
しかし、思いだけでは組織は動かない。首相が局面の打開を託したのは北沢俊美防衛相だった。
北沢氏が首相からの電話で呼び出されたのは16日午前、防衛省での記者会見中。大量の物資輸送作戦に加え、爆発事故が相次ぐ中、3号機の沸騰状態の使用済み核燃料プールの冷却化に自衛隊が上空から散水する作戦が検討された。
「やらせてください」。17日、防衛省作戦センター・中央指揮所にいた折木良一統合幕僚長が北沢氏に電話で伝え、間もなくしてCH47Jチヌーク2機が史上初の「原発冷却作戦」へと飛び立った。放射性物質との戦いという危険な任務だったが、「危険を顧みずというのが我々のスピリットだ」と自衛隊幹部は決意をにじませた。
だが、18日、東京消防庁や東電との統合作戦を率いるに至って自衛隊には不満も漏れた。自衛隊は作戦の指揮拠点となる「最終調整所」を現地に設けることを決定。しかし、具体的な協力態勢は定まらず、自衛隊に明確な「指揮権」はないままだ。統幕幹部は「最後は自衛隊が泥をかぶれということか」と憤った。
原発事故対処に振り回される政府の危機管理に懸念を持った民主党は手薄となった被災者支援へと動いた。
「枝野(幸男官房長官)さん、疲れているね」。17日の政府・民主党連絡会議で輿石東参院議員会長は話しかけた。原発と被災者支援の2正面作戦が官邸の能力の限界を超えているとの危惧があり、「秘策」を披露した。
「仙谷由人代表代行を官房副長官にしてはどうか」。官邸も提案を受け入れ「首相は原発、仙谷さんは被災者支援に特化する」と役割分担した。この官邸増強策を政府関係者は「官房長官2人体制だ」と漏らした。
対応が遅れた背景には府省間の調整不足も目立ち、民主党政権が掲げる政治主導の機能不全も指摘された。枝野氏は18日、大震災発生後初めて各府省の事務次官を集め、連携して被災者支援に取り組むよう指示した。【須藤孝、犬飼直幸、坂口裕彦、吉永康朗】
東京電力福島第1原発を設計した東芝の元技術者、小倉志郎さん(69)=横浜市=が16日、
東京の外国特派員協会で記者会見し「1967年の1号機着工時は、米国ゼネラルエレクトリック社(GE)の設計を
そのままコピーしたので、津波を全く想定していなかった」と明かした。
三陸沿岸は津波の多発地帯だが、津波が比較的少ない米国技術が今回の被害の盲点となった可能性がある。
日本の原子力発電は英米の技術輸入で始まり、福島原発はそのさきがけ。小倉さんは1、2、3、5、6号機の
冷却部分などを設計し「1号機は、日本側に経験がなく無知に近い状態だった。地震津波の多発地帯とは
知っていたが、批判的に検討、判断できなかった」と話した。2号機からはGEの設計図を改良したが、
「マグニチュード8以上の地震は起きない、と社内で言われた。私の定年が近くなってやっと、地震対策の
見直しをしたが、それでも大地震は想定しなかった。責任を感じる」と述べた。
福島原発 自衛隊ヘリが上空から原発温度を測定
産経新聞 3月19日(土)9時4分配信
防衛省は19日早朝、陸上自衛隊の大型輸送ヘリCH47、1機を東京電力福島第1原発に派遣し、上空から赤外線を利用して原子炉や使用済み燃料貯蔵プールの温度を測った。
測定は第1原発のうち、3号機、4号機、2号機、1号機の優先順位で行った。各号機の過熱度合いを調べ、政府による今後の対策の判断材料とする狙いがある。ヘリによる冷却水投下や地上からの放水の効果の評価にもつなげる。
温度測定にあたったヘリは午前4時45分に陸自霞目駐屯地(仙台市)を離陸。第1原発から約20キロ離れた福島県楢葉町のサッカー競技場「Jビレッジ」で防衛省技術研究本部職員とサーモグラフィー(体表面温度測定装置)を乗せ、6時50分ごろに測定を完了したという。
また、水素爆発などによる原子炉建屋や原子炉の被害の実態を分析するため、上空からの写真撮影も行った。
福島第一原発の作業員、100ミリシーベルト超え始める2011年3月19日2時30分
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. 福島第一原発で復旧作業に当たっている作業員の被曝(ひばく)線量が100ミリシーベルトを超え始めた。東京電力が19日未明、会見で明らかにした。
福島第一原発には、18日朝の段階で東電や協力企業の作業員ら279人がいる。体につけた線量計が80ミリシーベルトになるとアラームが鳴り、作業を中断していたが、「100ミリシーベルト近くになる作業員が増えてしまい、一部で超えるケースが出始めた」という。
厚生労働省と経済産業省は15日、福島第一原発で緊急作業にあたる作業員の被曝線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げている。
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米西海岸で微量の放射性物質検出 福島原発から飛来か2011年3月19日11時8分
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. 【ワシントン=勝田敏彦】米環境保護局とエネルギー省は18日、原子炉でできる放射性物質を米西海岸で検出したと発表した。約8千キロ離れた福島第一原子力発電所から飛来してきたとみられるが、量はごくわずかで住民への健康影響はないとしている。
発表によると、16〜18日、カリフォルニア州やワシントン州にある監視装置が、ヨウ素131やキセノン133などの放射性物質を検出した。住民が浴びる放射線の量は、普通の生活で岩石や太陽などから受ける放射線の10万分の1程度だった。
事故後、この程度の放射性物質の飛来は想定されており、しばらく続くとみている。米政府はハワイやアラスカ、米本土で健康被害が出る可能性はないと繰り返している。
今回、放射性物質を検出した装置は、未発効の包括的核実験禁止条約(CTBT)による高感度の核実験監視網の一部。
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福島や茨城、通常より高い放射線量 値は前日とほぼ同じ2011年3月19日10時49分
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東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、福島県や茨城県など周辺の自治体では、19日午前も、通常より高い放射線量の値が続いている。地表に落ちた放射性物質が、放射線を出し続けているためとみられる。値はほぼ前日と変わらず、今後も推移を見守る必要がある。
福島県内の1時間あたりの観測値は午前9時現在、飯舘村で19.40マイクロシーベルト、福島市で9.80マイクロシーベルト、南相馬市で2.99マイクロシーベルトを記録した。
福島に隣接する北関東の値は、茨城県北茨城市が0.956マイクロシーベルト、栃木県那須町が0.91マイクロシーベルトなど。付近の平常時の上限値である毎時0.05〜0.06マイクロシーベルトを上回るが、前日までに比べ下がる傾向にある。
一般の人の年間被曝(ひばく)限度量は年間1千マイクロシーベルトで、飯舘村に2日間以上いると、この値を超えかねない。しかし、すぐ健康に被害は出ないとされる。
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小沢、鳩山氏、首相に注文=震災対応に不満
時事通信 3月19日(土)12時54分配信
菅直人首相が19日午前に行った民主党代表経験者との会談では、小沢一郎元代表、鳩山由紀夫前首相から、東日本大震災をめぐる政府の対応に注文が相次いだ。
小沢氏は、震災からの復旧・復興について「ぜひ全力を挙げてほしい」と要請。福島第1原発の事故対応についても「全力というより、総力を挙げてもらいたい」と求めた。
鳩山氏は「必ずしも正確な情報が伝わっていない。風評被害も含め、(福島県などで)不安感が広がっている」と、政府の情報開示は不十分だと指摘した。東京電力についても「想定外のときにどうするかという発想が足りなかったのではないか。想定外だから仕方ないという話ではない」と厳しく批判した。
福島第1原発:日本への渡航制限「必要なし」 WHO
【ジュネーブ伊藤智永】世界保健機関(WHO)は18日、福島第1原発の放射能漏れ事故に関連し、原発から半径30キロ圏内を除けば、現時点で東京都内を含め日本への渡航を制限する必要はないとの見解を公表した。東京からの「避難」や、日本から輸出された食品への「警戒」も不要だと指摘した。WHOはインターネットのホームページに「渡航制限勧告」とは反対の「渡航安全勧告」を掲載する予定だ。
国連欧州本部で記者会見したハートル広報官は、東京周辺で検出された放射線の数値が微増したとはいえ「健康に悪影響を及ぼすには程遠いレベルだ」と強調。「日本に旅行する人は放射線を恐れる理由はない」と述べた。
一部の外国大使館や外国人などが東京から西へ「避難」している対応については「感情的な問題だ。それぞれの危機対応なので、気持ちは理解はできるが、現時点で公衆衛生上、東京に滞在するのに健康への危険は低い」と指摘した。
日本の食品に関しては、被災地域の食品も含めて「震災以前の食品には危険はない。被災後は、気候や被災地の状況を考えると、被災地の食品が輸出されたという可能性はほとんどない」と述べた。
また、「放射能汚染用」との触れ込みで、海外でもヨウ素剤を大量購入する現象が起きているが、自己治療はかえって危険だと警告した。
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毎日新聞 2011年3月19日 10時34分(最終更新 3月19日 12時29分)
5、6号機の屋根に穴をあける 水素滞留防止のため
2011.3.19 13:31
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16日午後に撮影された、福島県の東京電力福島第1原発5号機(東京電力提供)
東京電力は19日、東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所の5号機と6号機の建屋の屋根に穴をあけたと発表した。穴は直径3〜7.5センチメートルで、それぞれ3カ所ずつあけられた。
5、6号機には、使用済み核燃料貯蔵プールがあり、今後水位が下がって燃料棒が溶け出せば、水素が発生する恐れがある。東電は穴を開けることで、仮に水素が発生した場合でも爆発事故を防ぐことができると判断した。
風向き、雨…原発周辺の天気に注目高まる
2011.3.18 20:12 (1/3ページ)
東京電力福島第1原発の放射性物質(放射能)漏洩(ろうえい)をめぐり、原発付近の「天気」が周辺住民以外からも関心を集めている。放射能は風に乗って拡散する。だが、雨が降れば大気中の放射性物質が雨水に付着するため遠くまで飛散しないなど、届く範囲が異なってくるからだ。気象庁はホームページ上で原発周辺の天候状況を紹介するページを設置、注意を促している。
■関東で20〜100倍
漏れた放射能性物質は、大気とともに雲のように流れる「放射性プルーム(放射性雲)」と呼ばれる状態になる。それが、風に乗って上空を通過する過程で広く拡散する。
実際、関東各地で通常より高い放射線量が観測された15日には、北風が強かった午前中に原発の南側にある栃木や茨城、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の各都県で場所によって通常の20〜100倍という高い数値を記録した。
向きが東風に変わった午後は、西に約40キロ離れた福島県郡山市で午前の130倍以上にまで上昇した。
いずれも健康に影響する水準ではなかった。しかし、引き続き強風の吹いた16日には、気象庁に「福島の風向きは?」との質問が関東を中心に多数寄せられた。関西や中国地方からの問い合わせもあったという。
■「どこまで飛ぶ」
気象庁によると、原発1号機の建屋損傷が明らかになった12日から、原発付近の風向きに対する問い合わせが急増。このため翌13日、ホームページ上に他地域の天気予報とは別に、原発周辺の風向きや風速、予報を紹介するコーナーを新たに設けた。
気象庁のトップページから「東北地方太平洋沖地震関連資料へのリンク」→「福島第一・第二原子力発電所付近の地域気象情報」をクリックすれば閲覧できる。
環境放射能の分析を行っている財団法人「日本分析センター」は「1986年のチェルノブイリ原発事故の時は約8千キロ離れた日本でも放射性物質が検出された。理論的には風に乗ればどこまでも飛ぶ可能性はある」と指摘したうえで、「現状はごく低い数値なので、必要以上に過敏になることはない」と冷静さを呼びかける。
地中に染み汚染
風向きだけでなく、雨の有無も影響する。
放射性物質は雨が降ると、雨に付着して地表に落ちる。原子力資料情報室(東京都新宿区)によると、その場合は遠隔地に影響が及びにくくなる。代わりに、地中に染み込んだりして付近の地域の汚染度が高まる可能性もあるという。
同情報室は「現在の放射能量では、雨が降ったからといって深刻な被害にはならない。ただ将来的にみれば、海側への風が吹いて放射性物質が海上に流され、徐々に薄まっていくのが望ましい」としている。
首相、八つ当たり 自衛隊の原発への「放水遅い」
2011.3.18 18:51
菅直人首相は18日午後、笹森清内閣特別顧問と東日本大震災の対応をめぐり官邸で会談した。笹森氏によると、首相は福島第1原発で同日午後に行われた自衛隊の放水について「準備ができていたのに、なぜ午後2時前まで待ったのか」と不満を漏らしたという。
ただ、18日は午前中に外部からの電力復旧作業を優先し、放水は午後に実施するとの手順は事前に決まっていた方針。なかなか成果が見えない状況に首相はいら立ちを募らせ八つ当たりしたようだ。
「東電のバカ野郎が!」官邸緊迫の7日間 貫けなかった首相の「勘」 またも政治主導取り違え
2011.3.18 00:15 (4/4ページ)
東日本大震災の発生から18日で1週間。東京電力福島第1原子力発電所の放射能漏洩事故に対する政府の対応は後手に回り、菅直人首相は与野党双方から「無策」と批判された。首相が自らの「勘」を信じ、押し通していれば、放射能漏れの危機を回避できた可能性もあったが、またも政治主導を取り違え、有効な施策をなお打ち出せないまま現在に至った。(今堀守通)
意外な自信
「外国籍の方とは全く承知していなかった…」
大地震が発生した11日、首相は参院決算委員会で野党の激しい攻撃にさらされていた。前原誠司前外相に続いて政治資金規正法が禁じる外国人からの献金が発覚し、退陣の一歩手前に追い詰められた。
ところが、この日午後2時46分の地震発生で一気に政治休戦となった。
決算委は急遽中断され、首相は直ちに首相官邸に戻り、危機管理センターの巨大モニターから流れるメディア映像を食い入るように見た。目にとまったのが、第1原発だった。
大津波をかぶって自動冷却装置が破損し、炉内の冷却が思うようにいかない、との報告が上がってきた。官邸内に緊張が走ったが、首相には野党の追及から逃れた安堵感とはまた別種の「意外な自信」(政府関係者)がみなぎっていた。
「まず、安全措置として10キロ圏内の住民らを避難させる。真水では足りないだろうから海水を使ってでも炉内を冷却させることだ」
首相の意向は東電に伝えられた。「これが政治主導だ」。首相はそうほくそ笑んだのではないか。
だが、東電側の反応は首相の思惑と異なっていた。
10キロの避難指示という首相の想定に対しては「そこまでの心配は要らない」。海水の注入には「炉が使い物にならなくなる」と激しく抵抗したのだ。
首相も一転、事態の推移を見守ることにした。東電の“安全宣言”をひとまず信じ、当初は3キロ圏内の避難指示から始めるなど自らの「勘」は封印した。
「一部の原発が自動停止したが、外部への放射性物質の影響は確認されていない。落ち着いて行動されるよう心からお願いする」
首相は11日午後4時57分に発表した国民向けの「メッセージ」で、こんな“楽観論”を表明した。
ところが、第1原発の状況は改善されず、海水注入の作業も12日午後になって徐々に始めたが、後の祭りだった。建屋の爆発や燃料棒露出と続き、放射能漏れが現実のものとなった。
15日早朝、東電本店(東京・内幸町)に乗り込んだ首相は東電幹部らを「覚悟を決めてください」と恫喝した。直前に東電側が「第1原発が危険な状況にあり、手に負えなくなった」として現場の社員全員を撤退させたがっているとの話を聞いていたからだ。
「テレビで爆発が放映されているのに官邸には1時間連絡がなかった」
「撤退したとき、東電は百パーセントつぶれます」
会場の外にまで響いた首相の怒声は、蓄積していた東電への不信と初動でしくじった後悔の念を爆発させたものだ。官邸に戻った後も「東電のばか野郎が!」と怒鳴り散らし、職員らを震え上がらせたという。
「原子力に強いんだ」
初動のつまずきで「勘」が鈍ったのか。その後の政府の対応は一貫して後手後手かつちぐはぐだった。
2011.3.18 00:15 (3/4ページ)
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衆院本会議で東日本大震災の犠牲者に黙祷(もくとう)をささげる菅直人首相と閣僚、議員ら=17日午後、国会・衆院本会議場(酒巻俊介撮影)
「現場第一主義」を掲げる首相は、大震災発生翌日の12日早朝、官邸から自衛隊ヘリコプターで第1原発の視察に向かった。現地の状況を目で確かめ、午後の与野党党首会談で第1原発を「危機的状況にはならない」と言い切ったその最中に1号機で水素爆発が起き建屋が崩壊した。
「16日に自衛隊による放水ができなかったのは、首相の決断が半日遅れたためだ。その間に放射線量が上がった可能性がある」
放水オペレーションにかかわる政府高官は指摘する。だが、首相の頭は東電への不満でいっぱいだ。
「東電の危機感が薄い。だから乗り込んだ」
首相は16日夕、官邸を訪ねた内閣特別顧問の笹森清元連合会長に向かって、こう胸を張った。続けて東京工大応用物理学科卒の経歴を誇るように言った。
「ぼくはものすごく原子力に強いんだ」
東電出身の笹森氏は会談後、記者団に「(首相は)原子力について政府の中で一番知っていると思っているんじゃないか」と述べた。皮肉交じりなのは、半可通の口出しほど危険で邪魔なものはないと内心考えたからかもしれない。
笹森氏は、首相が「ここから第1原発の方も収まりそうなので、原発の問題で枝野(幸男官房長官)さんや福山(哲郎官房副長官)さんの荷を軽くさせたい」と述べたことも明かした。
この「収まりそうだ」との発言も波紋を呼んだ。官邸筋は「とてもそんな状況じゃない」と驚愕した。
「機能停止状態だ」
「一度に複数のことは考えられない」(周辺)とされる首相の関心がもっぱら第1原発の対応に集中した結果、被災地復興や被災者支援は後回しになった面もある。
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衆院本会議で東日本大震災の犠牲者に黙祷(もくとう)をささげる菅直人首相と閣僚、議員ら=17日午後、国会・衆院本会議場(酒巻俊介撮影)
何事にも官邸主導を見せようと首相と枝野氏ばかりが表に出て、大震災の直接の担当責任者であるはずの松本龍防災担当相はほとんど官邸内にとめ置かれている。平成7年の阪神淡路大震災では、権限を与えられた当時の小里貞利特命相が現地で陣頭指揮を執ったり、テレビで被災者への呼びかけや政府の対策のPRを積極的にしたりしていたのとは対照的だ。
当時の政府対策を知る自民党議員は14日、「東日本大震災の被災者らを西日本で受け入れる態勢が必要ではないか」という話を持ち込もうとした。
最初に厚生労働省社会・援護局に持ち込んだら、「内閣官房で対応しているでしょう」。内閣官房からは「厚労省の仕事でしょう」との答えが返った。
自民党議員は「これは責任のなすり合い以前の機能停止状態だ。すべて官邸でやろうとする菅政権の弊害が出ている」とあきれた。
16日になって総務省から西日本の都道府県や市町村に公営住宅の空き状況などを調査する指示が出た。だが、この指示の背景や理由説明はなかったため、西日本の自治体は「第1原発が相当深刻なのか」という不安を増幅させた。
17日、首相は参院で問責決議され、官房長官職を交代した仙谷由人民主党代表代行を官房副長官として再び首相官邸に迎えた。
「震災対策や被災者支援は政治力を要する仕事だ。仙谷新副長官が適任だと首相が判断した」
枝野氏は記者会見でこう説明したが「陰の首相」の復活により混乱は収拾できるのか。それとも…。
北沢防衛相、「決断」丸投げ 現職自衛官が悲痛な寄稿
2011.3.19 01:15
福島第1原発への海水投下をめぐり、北沢俊美防衛相が任務決断の責任を折木良一統合幕僚長に転嫁するかのような発言をしたことに対し、自衛隊内から反発の声が上がっている。
北沢氏は陸上自衛隊のヘリが17日に原発3号機に海水を投下した後、「私と菅直人首相が昨日(16日)話し合いをするなかで結論に達した」と政治主導を強調する一方で、「首相と私の重い決断を、統合幕僚長が判断し、自ら決心した」と述べた。
この発言について、ある自衛隊幹部は「隊員の身に危険があるときほど大臣の命令だと強調すべきだが、逆に統幕長に責任を押しつけた」と批判する。北沢氏は17、18両日の2度の会見でヘリの乗員をねぎらう言葉も一言も発しなかった。
首相も最高指揮官たる自覚はない。首相は17日夕、官邸での会議で「危険な中での作戦を実行された隊員はじめ自衛隊のみなさんに心から感謝を申し上げます」と述べたが、地震発生以来、一度も防衛省を激励に訪れたことはない。
こうしたなか、現職自衛官の悲痛な訴えが18日、インターネットメディア「JBpress」に載った。海水投下も記述したうえで、こう締めくくっている。
《隊員を喜んで死地に向かわせるのは、自衛隊最高指揮官である内閣総理大臣をはじめとする、防衛大臣などの各級指揮官の堅確な意志と熱誠を込めた言葉です。…死地に向かわせるなら、指揮官陣頭であるべきです》
首相、北沢氏は謙虚に一読すべきであろう。
(半沢尚久)
北沢防衛相17日の会見
静岡の震度6強は誘発か 富士山噴火の懸念も… 暴れる巨大エネルギー
2011.3.16 14:59 (1/2ページ)
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静岡県東部で震度6強を観測した15日夜の地震は、11日の東日本大震災をもたらした巨大地震で誘発された可能性が大きい。震源付近では巨大地震の直後から箱根で群発地震が起きており、富士山の火山活動の活発化を懸念する声も出始めた。マグニチュード(M)9.0という巨大エネルギーの「余波」が日本列島を揺さぶっている。
「この場所で過去に地震はあまり起きていない。想像外だ」。防災科学技術研究所・地震研究部の松村正三研究参事は15日夜、驚きの言葉を口にした。
巨大地震の発生後、内陸で大きな地震が相次いでいる。12日の長野県北部の震度6強(M6.7)に続き、今度は伊豆地方でM6.4の地震が起きた。
海溝型の巨大地震が発生すると、地殻にかかる力が変化し、内陸直下型の地震が起きることがある。津波で約2万2千人が死亡した明治29年の三陸沖地震(M8.2)では、約2カ月後に秋田県で陸羽地震(M7.2)が起きた。
ただ、今回の伊豆地方の地震は、巨大地震の三陸沖から遠く離れている。プレート(岩板)構造も巨大地震が太平洋プレートの沈み込み帯だったのに対し、伊豆地方はフィリピン海プレートが陸側に衝突する場所と、まったく違う。
松村氏は「巨大地震は太平洋プレートの北半分が滑ったが、南半分はまだ動いていない。房総半島あたりで踏ん張っている南半分の力のしわ寄せが及んで、西隣のフィリピン海プレートを押し込んだのではないか」と話す。
2011.3.16 14:59 (2/2ページ)
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京都大防災研究所・地震予知研究センターの遠田晋次准教授は、東日本大震災の巨大地震で地殻の断層にかかる力がどのように変化したかを計算した。その結果、東北地方の北上山地や房総半島東沖にかかる力が顕著に増加したほか、長野県の一部などでわずかに増加し、地震活動が活発化するとの結果が出た。
東日本大震災の地震エネルギーがあまりにも巨大だったため、地震学者の多くは、日本列島は東日本を中心に地震の活動期に入ったとみる。ただ、今回の伊豆地方の地震と東海地震の関係については「震源域やメカニズムが違う」(気象庁)と否定的だ。
巨大地震の影響は火山帯にも及んでいる。神奈川県温泉地学研究所によると、箱根火山の周辺では巨大地震の直後から群発地震が発生し、15日夕までに最大M4.8の地震を約850回観測した。火山活動に目立った変化はないものの、カルデラ内で揺れを感じることもあるという。
名古屋大地震火山・防災研究センターの鷺谷威教授は「火山の地下はマグマや熱水で壊れやすいため、群発地震が誘発された」とした上で、「正直に言うと、気持ち悪いのは富士山との関係だ」と明かす。
富士山の直下では約10年前、マグマ活動との関連が指摘されている低周波地震が頻発した。その後、静穏化したが、今回の伊豆地方の地震の震源の深さ約14キロは、この低周波地震の震源に近いという。
鷺谷教授は「富士山は宝永の大噴火から約300年が経過し、いつ噴火してもおかしくない。今回の地震が引き金になる可能性もあり、推移を注意深く見ていきたい」と話している。
農産品3〜4品目から暫定規制値超える放射線量検出2011年3月19日15時11分
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. 大塚耕平厚生労働副大臣は19日午後、暫定規制値を超える放射線量がホウレンソウなど3〜4品目の農産品から検出されたことを明らかにした。首相官邸で記者団に語った。暫定規制値は今回の事故を踏まえて政府が食品衛生法に基づき設けた、放射性物質で汚染された食品の出荷や販売を規制する基準。同日夕に枝野幸男官房長官が記者会見して詳細を説明する。
東日本大震災:つくば市、避難所2カ所運営 水戸市も独自施設用意へ /茨城
福島県からの自主的避難者の増加に伴い、つくば市の市原健一市長は17日の会見で、県が「1万5000人受け入れ計画」の避難所に指定している市内の洞峰公園体育館、つくば国際会議場の2カ所(県施設)については、市が運営にあたると表明した。
同市内には17日現在、福島県から約500人の避難者が滞在している。これまで県南地区では、土浦保健所でしか放射線被ばく検査が行えなかったが、同日から市消防本部と産業技術総合研究所(つくば市)が連携して行うこととし、この2カ所で検査を始めた。
会見で市原市長は「つくばは復旧のめどが立った。つくばを頼って来た方に市が前面に立ってきちんと支援したい。避難者の生活支援が最優先だが、被ばく検査は本人にとっても、つくば市民に対しても避けて通れない」と述べた。
水戸市の加藤浩一市長も17日の会見で、福島県からの自主避難者のために市独自で避難用の施設を用意する考えを明らかにした。地震発生直後は市民だけでも1万2500人の避難者がいたが、17日午前10時現在、600人に減少。電気、水道などが復旧したことから、福島からの避難者受け入れ態勢構築に着手するという。
市によると、16日までに福島から約110人が避難。「ギリギリの燃料で避難してきた人に他市に行け、とはいえない」(加藤市長)と判断した。
一方、橋本昌知事は、17日までに保健所や避難所などで1936人が放射線量検査を行ったと明らかにした。また、厚生労働省から基準値を上回る放射性物質を含む食品を食べないよう文書通知があったとしたうえで「国の検査施設の態勢が整っていない。対処できない」と不満をもらした。【安味伸一、山崎明子】
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毎日新聞 2011年3月18日 地方版
ガソリン・食品が品薄 巨大地震 県民生活に影響
GS 商店 休業・営業短縮相次ぐ
売り切れ中の看板を出すガソリンスタンド(13日午後3時50分頃、さいたま市内で) 東日本巨大地震は、県民生活にも影響を及ぼし始めた。東北地方の製油所や食品工場などが被害を受けたほか、交通網の寸断もあり、県内のガソリンスタンドやスーパーなどでは、ガソリンや食料品の品薄状態が続いている。
安全確認や電力供給不足に備えるため、臨時休業や営業時間短縮などの措置を取る商業施設も相次いだ。また、東京電力は13日夜、計画的停電「輪番停電」の14日からの実施を決めた。県内でも影響が懸念されている。
県内に60店以上を展開するスーパー・ヤオコーでは、食パンが欠品状態のほか、野菜や魚、総菜品の入荷も通常の6割ほどに落ち込み、被災地が産地のものは、より品薄という。防災用として水やカップ麺を購入する客も多く、これらは在庫切れの状態。担当者は「被災地には大型漁港もあるため、魚は今後の入荷も懸念される」と話している。県内各地の別のスーパーやコンビニエンスストアでも食料品が品薄で、さいたま市浦和区の主婦(37)は「4店回りましたが、卵が買えませんでした。今後どうなるのか心配です」と話していた。
供給のメドが立たないため、販売量を制限するガソリンスタンドも出ている。越谷市内のスタンドは12日、レギュラーガソリンの販売を1人3000円(約20リットル)までに制限。さいたま市内でも13日、売り切れとなるスタンドが相次いだ。30分以上並んで給油したという同市中央区の男性会社員(31)は「万が一に備えて満タンにしました」と話していた。
石油大手のJX日鉱日石エネルギーは12日、製油所の点検のため関東地方への出荷を停止し、再開時期も未定という。コスモ石油も千葉県の製油所火災で関東地方への出荷量が大幅に減少。昭和シェル石油も、渋滞で一部スタンドへの供給が滞っているという。
地震の影響による営業時間変更を告げる張り紙(西武所沢店で) 一方、国内最大級の商業施設・イオンレイクタウン(越谷市東町)は12、13の両日、食品売り場と入居する食品スーパーを除き、開業以来初の休館とした。地震による空調給水管の水漏れや施設の安全確認のためで、約560のテナントが休業した。食品関係は14日も営業するが、全面再開は未定という。各百貨店も、電力不足に対応するため、営業時間を短縮。伊勢丹浦和店と高島屋大宮店は、12、13の両日とも閉店時間を午後6時に繰り上げた。西武所沢店も13、14日の営業時間を午後6時までとした。
食品の放射線量、暫定基準を策定 厚労省
2011/3/17 19:41 div/div.JSID_key_html
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厚生労働省は17日、食品の販売や加工などを禁止する放射線量の暫定的な基準値を初めて策定した。国の原子力安全委員会が原子力災害用に定めた「飲食物摂取制限に関する指標」を採用し、生産者などは基準値を上回る食品の販売や加工などが食品衛生法に基づき禁止される。
同省は「周辺の農作物などが汚染されたという報告はないが、基準値がないと出荷の是非などの判断ができない」と説明している。正式な基準値は国の食品安全委員会に諮問して決定する方針。
基準値は半減期が約8日の放射性ヨウ素の場合、飲料水や牛乳、乳製品は1キログラム当たり300ベクレル、乳児用調製粉乳は同100ベクレル。根菜や芋類を除く野菜類は同2千ベクレル。半減期が約30年の放射性セシウムは牛乳などが同200ベクレル、野菜類や穀類、肉、卵、魚などが同500ベクレルとした。
東京電力社長「痛恨の極み」、福島第一原発事故2011年3月19日1時25分
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東京電力の清水正孝社長は19日、福島第一原子力発電所1〜3号機の事故が、事態の深刻さを示す国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)の暫定評価で、米国スリーマイル島の原発事故と並ぶ「レベル5」に位置づけられたことについて、「極めて重く受け止めております。我が国が経験したことのない、大規模地震に伴う津波といった自然の脅威によるものとはいえ、このような事態に至ってしまったことは痛恨の極みであります」とするコメントを発表した。
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NHK連日2けた視聴率、最高26・1%
2011.3.15 05:03
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11日に列島を襲った東日本大震災を受け、国民は連日、テレビに釘付けになった。
14日に発表されたビデオリサーチ(関東地区調べ)の視聴率調査によると、NHKでは地震発生直後の11日午後2時48分に国会中継から速報に切り替えたところ、2・9%から10・6%に急上昇。テレビを見ていた人の中で同番組を見ていた割合を示す番組占拠率は32・4%だった。その後も視聴率2ケタ台、占拠率30%前後をキープし、11日午後7時のニュースでは20・6%(関西地区19・2%)を記録。
深夜、早朝の時間帯も6〜11%台と、前4週平均の6倍近い数字を叩きだし、改めて有事の時のNHKを印象づけた。
同局では、翌12日も依然2ケタ台の視聴率をキープし、午前8時台、午後6、7時台には20%超え。大河ドラマ「江」を休止して放送した13日午後8時台には、東京電力・清水正孝社長による計画停電の詳細発表会見と重なったこともあり、3日間で最高となる26・1%(関西地区16・5%)に跳ね上がった。
震災直後からCMを飛ばして報道特番を編成した民放各局も、フジテレビで12日午後6時からの「FNN報道特番」(同11時まで)が15・6%、日本テレビで13日午後6時からの「NNN緊急特番東日本大地震バンキシャSP」(同7時58分まで)が14・5%を記録するなど、軒並み高視聴率を記録した。
多くの人々が東日本を襲った大惨事の行方を見守り、震災時の必要情報を求めてテレビの震災特番を活用していたことが裏付けられた形だ。
役職 取締役社長
生年月日 昭和19年6月23日
出身地 神奈川県
学歴
昭和43年 3月 慶應義塾大学 経済学部卒業
職歴
昭和43年 4月 東京電力株式会社入社
昭和61年 2月 同社資材部資材計画課長
東京電力 清水正孝社長
昭和63年
1月 営業部(課長待遇)
株式会社スーパーネットワークユー出向
平成2年 7月 多摩支店支店長付部長
平成4年 7月 企画部TQC推進室副室長
平成7年 6月 東京南支店大田支社長
平成9年 6月 資材部長
平成13年 6月 取締役資材部長
平成14年 6月 取締役資材部担任
平成16年 6月 常務取締役
平成18年 6月 取締役副社長
平成20年 6月 取締役社長
2011年3月18日(金)
土浦-取手の運転再開 JR常磐線
JR水戸支社は17日、設備損壊で運転を見合わせていた常磐線取手-土浦駅間の列車の運転を18日から再開すると発表した。被災した線路や駅舎を修復し、試運転をして安全を確認。普通列車のみを通常の4割程度の本数で、速度も約70キロ(通常は一部約100キロ)に落として運転する。
土浦発上野行き上り列車は、始発が午前6時35分。上野発土浦行き下り列車は、始発が6時31分。特急列車は当面運転しない。
土浦以北の常磐、水戸、水郡各線の運転再開について同支社は、修復作業員の人員不足や移動に使うガソリン不足などが影響し、「復旧にしばらく時間がかかる」(広報室)としている。
取手-土浦駅間の運転再開は、14日にいったん計画したが、計画停電発表の影響で撤回。土浦駅以北は駅設備や車両基地の損壊、盛土の沈下などの被害が多くあり、復旧に時間がかかっている。
牛乳などに暫定基準超える放射能 福島、茨城の食品から
2011年03月19日(土) 18時45分 共同通信社
枝野幸男官房長官は19日の記者会見で、福島県内の牛乳と茨城県内のホウレンソウから、食品衛生法の暫定基準値を超える放射能が検出されたと発表した。大塚耕平厚生労働副大臣は「出荷元が確認されたものは、販売を中止し、回収することになる」と述べた。
今回の牛乳を日本人の平均量で1年間摂取した場合、放射能はCTスキャン1回分程度、ホウレンソウではCTスキャン1回の5分の1分程度。枝野長官は、検出されたのは直ちに健康に影響する水準ではないとして、冷静な対応を求めた。
厚労省によると、暫定基準値を超えたのは、18日に採取された茨城県高萩市、日立市など6市町村のホウレンソウ、福島県川俣町で16日から18日に3回にわたって採取された原乳。
暫定基準値は福島第1原発の事故を受け設定され、一生飲食を続けた場合に健康に害が出る数字が示されている。
原発事故で香港に大量避難=日本の外資系企業スタッフ
時事通信 3月19日(土)17時35分配信
【香港時事】19日付の香港各紙によると、日本の外資系企業が福島原発事故の影響を恐れて、外国人スタッフを香港に避難させるケースが相次ぎ、多くの高級ホテルが満室になっている。
スタッフを避難させている企業の大半は金融機関。九竜地区の繁華街・旺角(モンコック)のあるホテルには、200室の予約を希望する電話もあったという。
旧英領で国際金融都市の香港は日本から比較的近く、英語が通じるため、外国人スタッフの避難先として最適と見なされているようだ。
また、日刊紙・東方日報は「日本人居住者が多い香港島のマンション地区で最近、日本人の姿が普段より増えており、日本人居住者が日本から友人を一時受け入れているとみられる」と伝えている。 .最終更新:3月19日(土)17時35分
震災で米、専門部隊450人派遣へ 放射能漏れ、悪化備え
産経新聞 3月19日(土)7時57分配信
拡大写真
福島原発の現状(写真:産経新聞)
東日本大震災で米国防総省は、東京電力福島第1原子力発電所の事態悪化に備え、放射能被害管理などを専門とする約450人の部隊を派遣する準備に入った。日本政府も18日、受け入れ先の検討に着手したが、大規模部隊派遣は日本の情報発信に不信感を高める米側の最悪事態回避を迫る強いメッセージだといえる。自衛隊への支援が中心になるとみられる。日本側としては米軍の知見を生かす「活米」の発想が必要との声も出ている。(田中靖人、ワシントン
茨城で震度5強 津波の心配はなし2011年3月19日19時45分
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各地の主な震度
19日午後6時56分ごろ、茨城県北部を震源とする地震があり、気象庁によると、同県日立市で震度5強を観測した。
そのほか、同県常陸太田市、高萩市、笠間市、ひたちなか市、常陸大宮市、那珂市、土浦市、鉾田市、城里町、五霞町で震度5弱を記録した。
同庁によると、震源の深さは約20キロ、地震の規模を示すマグニチュードは6.1と推定される。この地震による津波の心配はないという。
同県東海村の原子力対策課によると、日本原子力発電の東海第二発電所の稼働はこの地震で一時停止しているが、「問題があった」という報告を受けていないという。
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久米宏さん、2億円を寄付 東日本大震災救援募金2011年3月19日13時14分
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久米宏さん
キャスターとしておなじみの久米宏さん(66)が18日、朝日新聞社と朝日新聞厚生文化事業団が実施している「東日本大震災救援募金」に2億円を寄付した。久米さんは、この寄付について特段のコメントは控えている。
今回、12日に受け付けを始めて以来、全国各地から同事業団に寄せられた募金は1万6千件、総額5億5千万円に上る(18日現在)。両角晃一・同事業団理事長は「募金への反響の大きさをありがたく受け止めています。皆さまのご意思に沿えるよう、救援事業に役立てていきます」と話している。
茨城・日立で震度5強2011年3月19日21時52分
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各地の主な震度
19日午後6時56分ごろ、茨城県北部を震源とする地震があり、同県日立市で震度5強の揺れを観測したほか、同県常陸太田市など10市町で震度5弱、東北から近畿にかけての広い範囲で震度4〜1を記録した。震源の深さは約20キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.1と推定される。
気象庁によると、11日にあった東日本大震災の余震とみられる。震度5強以上の余震は発生日の11日以来8日ぶりで、4回目。余震は減る傾向にあるが、19日は震度5強を記録した揺れ以外に震度4の余震も2回発生した。同庁の横山博文・地震津波監視課長は「引き続き震度5強以上の余震が発生する恐れがある。さらに大きな揺れになると、津波が発生する場合もある」と警戒を呼びかけた。
茨城県消防防災課によると、県内では水戸市で11日の大地震で半壊していた建物1軒が全壊したほか、下妻市で道路が2カ所陥没するなどの被害があった。また、小美玉市では女性(74)が自宅で落ちてきた物にあたって頭部に軽傷を負ったという。
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被災地への燃料供給、数日中に震災前水準に 経産相2011年3月19日21時45分
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. 海江田万里経済産業相は19日の記者会見で、ガソリンや灯油などの東北地方への供給が、東日本大震災前の需要水準である日量3.8万キロリットルに数日中に回復するとの見通しを明らかにした。
西日本の製油所の増産や輸出抑制分を東北地方に転送できるめどがたったという。津波で被害を受けた宮城県の塩釜油槽所も21日までに修復し、数千キロリットルの石油を積めるタンカーが着岸できるようになるという。
海江田氏はまた、福島第一原子力発電所周辺の住民向けにガソリンや灯油、軽油約600キロリットルを近日中に輸送すると発表した。「屋内退避」となっている原発から20〜30キロ圏内の住民らの自主的な避難や、避難所や病院の生活支援に使うという。
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福島第一原発、運転再開困難の認識示す 経産相2011年3月19日22時12分
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海江田万里経済産業相は19日の記者会見で、東日本大震災で大きな被害を受けた東京電力福島第一原発について、「運転再開できるような状況だと思いますか。いまの状況が」と、運転再開は困難だとの認識を示した。ただ、廃炉にするかどうか判断する時期については「それはいずれだ」と述べるにとどめた。
福島県郡山市の原正夫市長からこの日、「国は廃炉を前提にした対応をすべきだ」との要請を電話で受けたことに触れたうえで述べた。
海江田氏は「いまやらなければいけないのは、被害を少しでも小さくすることだ」と強調。「やれることは何でもやる。制限はない」と述べ、あらゆる手段をとる方針を示した。
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佐川急便 茨城県内全域で配達・集荷を再開2011年3月19日14時6分
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佐川急便は19日、茨城県内の一部地域で再開していた宅配便の配達や集荷を県内全域で再開した。時間帯を指定するサービスなどは利用できない。
また、岩手県釜石市の釜石店でも配送や集荷を同日再開した。営業店に宅配便を持ち込んだり受け取りに行ったりする「営業店止めサービス」の再開は、岩手県内で8店目となる。
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宮城県栗原市で2933ガル=強い揺れ2分強続く—気象庁2011年3月12日4時26分
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. 三陸沖の大地震で、気象庁は11日、震度7を観測した宮城県栗原市で、瞬間的な揺れの強さを示す最大加速度が2933ガルだったと発表した。同県などでは地震発生直後、強い揺れが2分強続いたという。
同庁が加速度計を分析した結果、震度6弱だった岩手県大船渡市で991ガル、震度5強だった宮城県石巻市で675ガル、同じく5強の東京都心でも259ガルを観測した。宮城、岩手両県の各地では、最初の強い揺れが2分強も続いた。
日本では、2008年6月の岩手・宮城内陸地震の際に、岩手県一関市で観測された加速度4022ガルが過去最大という。
[時事通信社]
基準値超える放射性ヨウ素検出=福島県川俣町の水道水—厚労省
時事通信 3月19日(土)23時45分配信
厚生労働省は19日、福島県川俣町の水道水から基準値を上回る放射性物質ヨウ素131が17日に検出されていたことを明らかにした。18日、19日は基準値を下回っている。
東京消防庁放水「恐怖心を克服、プールに命中」
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、3号機の使用済み核燃料の一時貯蔵プールに19日未明に放水を行った東京消防庁の緊急消防援助隊の総隊長ら3人が同日夜、東京・大手町の同庁で記者会見を行い、「恐怖心を克服し、ミッションを達成できた」などと振り返った。
会見に出席したのは、現場に行ったハイパーレスキュー隊の冨岡豊彦(47)、高山幸夫(54)の両隊長ら。オレンジ色の作業服姿に黒いブーツを履いた冨岡隊長は大変だったことを尋ねられると、「隊員の士気が高いので……」と切り出し、絶句。しばらく声を詰まらせた後、「家族ですね。本当に申し訳ない。この場でおわびとお礼を申しあげたい」と唇を震わせながら目に涙を浮かべた。
高山隊長は、「(放射能という)目に見えない敵との戦いだった。短い時間で活動を終了するのが大変だった。仲間のバックアップがあったから良かった」と話した。
会見に同席した同庁警防部長の佐藤康雄総隊長(58)の説明によると、同隊はまず、18日午後5時過ぎ、同原発の正門から中に入った。当初の予定では、3号機そばの岸壁から直接海水をくみ上げることになっていたが、がれきや流木が現場に散乱して大型車が通行できなかったため、いったん撤退した。
同日午後11時30分、隊員約40人で再び敷地内に入った。そのうち20人が約350メートルにわたって手作業でホースをつなぐなどし、19日午前0時30分、屈折放水塔車の高さ約22メートルのホースから3号機に向かって20分間、毎分約3トンを放水した。
放水前の現場の放射線量は約60ミリ・シーベルトあったが、放水を終えた段階でほぼ0ミリ・シーベルトに。佐藤総隊長は、「(使用済み核燃料プールに)命中しているなと思った。139人の安全を確保しつつ、連続して大量の水を注入するミッションを達成できた」と笑顔で語った。
2度の活動に従事した約50人のうち、最も被曝(ひばく)量が多かった隊員は約27ミリ・シーベルトで、14〜15ミリ・シーベルトが3人、10ミリ・シーベルト以下が45人いた。同庁は原子力災害の現場での被曝量の基準を30ミリ・シーベルトと設定しており、佐藤総隊長は「基準を満たすことができた。放射能の危険を熟知しているので、恐怖心を克服できた」と述べた。活動には、本人が承諾したハイパーレスキュー隊員を充てた。
(2011年3月20日01時28分 読売新聞)
電源復活へ160人奮闘、放射線防護服に線量計
. 福島原発
福島第一原子力発電所に外部から送電線を引く作業は19日、最初の電源復活を目指す2号機のケーブルがつながった。
通電に向け、作業員の奮闘が続いている。
放射線防護服と放射線を計るバッジ型の線量計を身につけた作業員たちは19日未明、2号機の配電盤にケーブルを接続した。その手前の敷設に手間取ったが、午後に入り、ようやく東北電力の変電所から、1本の線でつながった。
東京電力の社員ら約160人が作業に当たった。うち約50人を派遣する東電の協力会社の社員は19日午前、「作業は順調」との報告を受け、胸をなで下ろした。「危険な作業は信頼が関係がなければできない。東電を信じるしかない。帰ったらご苦労さまと言ってあげたい」と語った。
毎時400ミリ・シーベルトの放射性物質が観測された3、4号機付近での作業は、線量が高い場所を避け、慎重に進められた。近くのタービン建屋内は昼間でも停電で真っ暗。普段は1時間で終わる作業が2時間近くかかることもある。
6号機では、点検作業に当たっていた作業員が非常用ディーゼル発電機の機能が回復しているのを見つけた。発電機の一つはすでに起動していたが、それ以外は使えなくなったと思われていた。
作業員が手回しで回した後、発電機の電源を入れてみたところ、うなりを上げて回り出したという。この電力を使って、6号機に隣接する5号機の残留熱除去系ポンプが午前5時に起動、使用済み核燃料貯蔵プールの水温は低下し始めた。
(2011年3月19日20時32分 読売新聞)
福島第1原発:東電、津波は想定外 揺れは設計基準内
東京電力は19日、福島第1原発6号機が東日本大震災で観測した揺れの強さについて、東西方向431ガル(ガルは加速度の単位)▽南北方向290ガル▽上下方向244ガルだったと明らかにした。加速度の数値が大きいほど揺れが大きいとされる。設計上の基準値は、東西448ガル▽南北445ガル▽上下415ガルで、どの方向の揺れも想定以内に収まっていたが、東電は「津波の影響が大きかった」と説明している。
1〜5号機については揺れの強さを測定したデータが確認できていない。
東電によると、同原発は土木学会の基準に従い、約5メートルの津波を想定して設計されたという。実際にはそれを上回る津波が押し寄せたとみられる。緊急炉心冷却装置(ECCS)を駆動するための非常用電源が6号機を除いて使えなくなり、外部からの受電設備も水没した。
原発の耐震設計審査指針は06年9月、25年ぶりに改定された。原発ごとに想定する地震を検討し、過去の地震をよりさかのぼって評価するようにした。福島第1原発の想定地震の基準地震動も強化された。
大竹政和・東北大名誉教授(地震学)は「福島第1原発の建設前の津波の評価が過小だったことが証明された。日本ではすべての原発が海に面している。他の原発についても、津波の評価が十分かを点検する必要がある」と話す。【八田浩輔、須田桃子】
福島第1原発:3号機に放水再開 7時間連続、無人目指す
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発3号機の使用済み核燃料プールを冷却するため、東京消防庁のハイパーレスキュー隊は19日午後、放水作業を再開した。遠距離大量送水装置「スーパーポンパー」と「屈折放水塔車」を組み合わせて放水方法を設定し、約7時間にわたり無人での放水を目指す。一方、自衛隊は同日午後、同原発に対し、高圧消防車による地上からの放水を検討している。防衛省幹部が明らかにした。
放水は19日午前からの東電による電気工事終了後に再開。ハイパーレスキュー隊は同日未明と同様、海水をくみ上げて、屈折放水塔車を用いて地上22メートルから放水。
東京消防庁によると未明の放水活動に携わった隊員の放射線量を測定した結果、問題はなく健康だという。未明の放水では岸壁の崩壊で作業手順の変更を余儀なくされ、車両外で隊員が交代でホースを手でつなぐなどしたため、作業要員を当初予定の13人から約50人へ大幅に増やしたという。【山本太一】
電力役員 横並び献金
政治資金収支報告書
自民に9社で3500万円
業界献金の疑い濃厚
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原子力発電所の損傷隠し、虚偽報告が問題になっている東京電力をはじめ全国九電力の役員二百三十二人が、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、昨年一年間に約三千五百万円の献金をしていたことが、本紙の調べでわかりました。個人献金の形ですが、金額が役員でランク付けになっているなど、きわめて組織的で、事実上の企業献金の色合いが濃いものです。
二〇〇一年の政治資金収支報告書によると、各電力会社ごとの献金をしていた役員数と献金額は別表のとおり。業界一位、三位の東京電力、中部電力が各五百十六万円などで、九社の献金総額は三千四百七十五万七千円にのぼります。
各電力会社に共通しているのは、会長、社長、副社長、常務、取締役と献金額に役職によってランク付けがあること。北陸電力の社長の三十三万六千円など一部を除いて、会長、社長が各三十万円、副社長二十四万円、常務十二万円などと、各社ほぼ横並びになっています。
原発事故の損傷隠しに関与した東京電力の榎本聡明副社長(原子力本部長)は、前年同様、十二万円の献金をしていました。
電力業界は、石油ショック時の料金大幅引き上げを機に「公益事業者として特定政党に献金するのは問題だ」との批判が高まり、一九七四年以降、企業としての政治献金をやめてきました。
一方、東京電力、東北電力は、自民党の佐藤剛男衆院議員(福島一区)にたいし、計三百七十万円のパーティー券を購入していました。
佐藤議員の資金管理団体「福活21」の政治資金収支報告書によると、「福活21・政経セミナー」「飛躍を期待する集い」の二回の資金集めパーティーで、東京電力がそれぞれ百十万円、六十万円、東北電力が各百万円。
佐藤議員は、電力業界の監督官庁である旧通産省OBで当選三回。現在、自民党の法務部会長を務めています。
自民党の近藤剛参院議員(比例区)の資金管理団体「政治経済研究所21」も、東電の役員、ОB計約五十人から計約二百万円の献金を受け取っていました。
同議員は、伊藤忠常務、経済同友会幹事などを歴任、昨年の参院選では財界代表として立候補、初当選しました。
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電力会社役員の国民政治協会への献金
東京電力 34人 516万円
中部電力 37人 516万円
関西電力 34人 430万円
中国電力 21人 311.5万円
北陸電力 18人 297.2万円
東北電力 24人 448万円
四国電力 24人 347万円
九州電力 19人 284万円
北海道電力 21人 326万円
-福島第1原発-4号機に初放水
毎日新聞 3月20日(日)11時1分配信
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発4号機の使用済み核燃料を冷却するため、防衛省は20日午前8時20分から約1時間10分、陸海空3自衛隊の高圧消防車10台による放水を行った。米軍から東京電力に貸与された消防車1台も加わった。これまで自衛隊や東京消防庁などは3号機への放水を続けてきたが、4号機への放水は初めて。
政府は3号機に対しては放水作業の結果、一定の冷却効果があったと判断。使用済み核燃料プールで水素爆発を起こし水温が上昇している4号機への放水を準備していた。消防車11台は4号機に約80トンの水を放出した。終了後、自衛隊員ら約30人は現場から約20キロ離れた福島県楢葉町の運動施設に退避した。【犬飼直幸】
昼夜継続13時間がかり…3号機への放水終了
. 東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋に対する地上からの放水が、20日午前3時40分に終了した。
放水は、東京消防庁の緊急消防援助隊が19日午後2時頃から、冷却水の枯渇が懸念されている3号機の使用済み核燃料一時貯蔵プールに向け実施していた。
(2011年3月20日05時21分 読売新聞)
東京消防庁放水「恐怖心を克服、プールに命中」
. 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、3号機の使用済み核燃料の一時貯蔵プールに19日未明に放水を行った東京消防庁の緊急消防援助隊の総隊長ら3人が同日夜、東京・大手町の同庁で記者会見を行い、「恐怖心を克服し、ミッションを達成できた」などと振り返った。
会見に出席したのは、現場に行ったハイパーレスキュー隊の冨岡豊彦(47)、高山幸夫(54)の両隊長ら。オレンジ色の作業服姿に黒いブーツを履いた冨岡隊長は大変だったことを尋ねられると、「隊員の士気が高いので……」と切り出し、絶句。しばらく声を詰まらせた後、「家族ですね。本当に申し訳ない。この場でおわびとお礼を申しあげたい」と唇を震わせながら目に涙を浮かべた。
高山隊長は、「(放射能という)目に見えない敵との戦いだった。短い時間で活動を終了するのが大変だった。仲間のバックアップがあったから良かった」と話した。
会見に同席した同庁警防部長の佐藤康雄総隊長(58)の説明によると、同隊はまず、18日午後5時過ぎ、同原発の正門から中に入った。当初の予定では、3号機そばの岸壁から直接海水をくみ上げることになっていたが、がれきや流木が現場に散乱して大型車が通行できなかったため、いったん撤退した。
同日午後11時30分、隊員約40人で再び敷地内に入った。そのうち20人が約350メートルにわたって手作業でホースをつなぐなどし、19日午前0時30分、屈折放水塔車の高さ約22メートルのホースから3号機に向かって20分間、毎分約3トンを放水した。
放水前の現場の放射線量は約60ミリ・シーベルトあったが、放水を終えた段階でほぼ0ミリ・シーベルトに。佐藤総隊長は、「(使用済み核燃料プールに)命中しているなと思った。139人の安全を確保しつつ、連続して大量の水を注入するミッションを達成できた」と笑顔で語った。
2度の活動に従事した約50人のうち、最も被曝(ひばく)量が多かった隊員は約27ミリ・シーベルトで、14〜15ミリ・シーベルトが3人、10ミリ・シーベルト以下が45人いた。同庁は原子力災害の現場での被曝量の基準を30ミリ・シーベルトと設定しており、佐藤総隊長は「基準を満たすことができた。放射能の危険を熟知しているので、恐怖心を克服できた」と述べた。活動には、本人が承諾したハイパーレスキュー隊員を充てた。
(2011年3月20日01時28分 読売新聞)
立ちのぼる水蒸気…緊迫の放水作戦
.
放水開始前、給水車(右)から水を注入する消防車両(18日、陸上自衛隊撮影)
原発施設内にはコンクリート片が無数に転がっている(18日、陸上自衛隊撮影)
3号機の上部は吹き飛び鉄筋は折れ曲がっていた(18日、陸上自衛隊撮影)
放水は使用済み核燃料棒の貯蔵プール付近に届いたとみられる(18日、陸上自衛隊撮影)
白い蒸気の勢いが弱まった(18日、陸上自衛隊撮影)
弱まった白い蒸気の勢いが、また元に戻った(18日、陸上自衛隊撮影) 核燃料の貯蔵プールに放水が届くと、水蒸気が勢いよく立ちのぼった——。
防衛省が19日に公開した福島第一原子力発電所への放水活動の映像には、自衛隊の消防車両が、ぎりぎりまで接近して作業にあたる緊迫の瞬間がおさめられていた。
公開された7分11秒のビデオ映像は、自衛隊が18日午後に実施した地上からの2度目の放水活動の場面。化学防護車に乗り込んだ陸自中央特殊武器防護隊の隊員が撮影した。
映像に真っ先に登場するのは、準備のため消防車両に水を注入する防護服姿の隊員の姿。3号機の建屋で起きた水素爆発の衝撃によって、コンクリートがあちこちに散らばった敷地内や、壁面の鉄骨や鉄筋がむき出しになった建屋の惨状も記録されていた。
建屋からの蒸気は、「使用済み核燃料棒」を貯蔵している貯蔵プール付近から出ているとみられ、1台目の消防車両が約45度の角度で放水すると、蒸気は弱まったものの、すぐに元の状態に戻ってしまった。
1台目の放水時間は2分1秒。2台目の消防車両はさらに近づいて放水を始めた。その距離わずか10メートルほど。水が貯蔵プール付近に到達するたび、蒸気は1台目の放水の時よりさらに高く噴出し、熱量のすさまじさを見せつけた。(写真は、防衛省が公開したビデオ映像から)
(2011年3月19日22時52分 読売新聞)
自民・役員会、入閣検討の空気すら生まれず
. 巨大地震
自民党は、菅首相による入閣要請に強く反発している。
谷垣総裁らは、首相の意図を、東日本巨大地震による国家的危機に乗じ、衰弱する政権の延命を図ることにあると見ているからだ。震災対策への協力は、「各党・政府震災対策合同会議」などを通じた政策提言にとどめ、菅政権とは一定の距離を置く方針だ。
19日夕に緊急に招集された自民党役員会。会議が始まる直前に、大島理森副総裁にも与党議員から政権入りを持ちかける電話がかかってきた。しかし、大島氏の反応はにべもなかった。
「お前の方が閣内から去れ! ダメだって、昨年から言っているじゃないか」
役員会では、首相が唐突に電話で連立を要請してきたことへの批判が噴出。「連立に参加するには、民主党がまずバラマキ政策を撤回することが条件だ」との意見も出たが、民主党側から政策調整の働きかけさえない状態では、入閣を検討しようという空気すら役員の間に生まれなかった。
谷垣氏らは地震発生直後から、「政権基盤立て直しを狙い、首相はいずれ連立参加を申し入れてくる」(谷垣氏周辺)と警戒していた。谷垣氏は次期衆院選後の大連立は視野に入れているが、今の菅政権との連立にはかねて否定的だ。
自民党と菅政権を隔てる壁は、政策面だけではない。4月の統一地方選でもマイナスに働くとの判断もある。さらには、「原発事故対応などで失策を重ねる首相から責任を押し付けられかねない」(幹部)と、首相自身への不信感も大きい。実際、谷垣氏は19日夕の役員会後の記者会見で、「いきなり電話で話をし、『ああそうですね』と言うものではない」と述べ、首相提案の真剣さを強く疑ってみせた。
(2011年3月20日10時37分 読売新聞)
巡航ミサイル110発以上、米英軍がリビアに発射
. 中東
艦船からリビアに向け発射される巡航ミサイル=AP 【ワシントン支局】ロイター通信によると、米当局者は19日、米国と英国の艦船や潜水艦からリビアに向け巡航ミサイル「トマホーク」110発以上を発射したと述べた。
(2011年3月20日06時33分 読売新聞)
時間との闘い、送電線敷設…現場作業員らの奮闘
.
福島第一原子力発電所の2号機に送電線をつなぐ作業を担っているのは、東京電力の社員ら279人。
炉心溶融による深刻な事故を防ぐカギを握る作業は、時間との闘いになっている。
作業員は放射能を防ぐ防護服と、活性炭フィルターを織り込んだ防護マスク、放射線量を測る「線量計バッジ」を身に着けている。
送電線は車両に積んだロールから垂らし、地面にはわせるように敷設する。運転手のほか、車両の前後に、障害物を排除したり、送電線を引きずりおろしたりする作業員が付く。原子炉建屋に近づくにつれ、放射性物質の量は増える。被曝(ひばく)量が80ミリ・シーベルトを超えると、バッジの警報が鳴る。1人が1回に従事できる作業はここまで。20人のチームに分かれ、交代で作業に当たる。
15日に発生した4号機の火災で、作業員の多くは退避したが、50人は現場に残った。送電線の敷設に携わる作業員はその後、現場に入った人たちだ。
送電線以外に、原子炉などを冷やす注水作業なども同時に進む。東電子会社の東電工業、原子炉を製造する日立製作所、ゼネコンの鹿島などの社員らが現場にいる。妻子がいない社員らを中心に志願者を募った。
原子力安全・保安院の西山英彦・大臣官房審議官は18日の記者会見で「涙が出る思いで祈っている」と語り、米ABCテレビは16日放送の番組で、現場に残った50人を「フクシマ・フィフティー」と呼び、「名もない勇者たち」とたたえた。
厚生労働省によると、作業員の被曝量限度は年間100ミリ・シーベルトだったが、今回の事故に限り、250ミリ・シーベルトに引き上げた。原発敷地内で観測された最高放射線量の毎時400ミリ・シーベルトは、一般人が1年間に浴びていい放射線量(日常生活と医療目的を除く)の400倍、がんになる確率が高まる100ミリ・シーベルトの4倍にあたる。
(2011年3月19日13時43分 読売新聞)
連続放水13時間半、2400トン放つ 東京消防庁2011年3月20日5時46分
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消防庁の放水オペレーション
東京電力福島第一原子力発電所3号機の冷却作業で、東京消防庁の緊急消防援助隊による本格的な放水が20日午前3時40分に終了した。19日午後2時すぎに始まり、約13時間半にわたって連続して行われた。2400トン以上の海水が放たれた計算だ。
福島第一原発の海際に設置した「スーパーポンパー」と呼ばれる送水車で海水をくみ上げてホースで送り、最大22メートルの高さから放水できる「屈折放水塔車」から連続的に水を放った。
毎分約3トンのペースで放水を続け、約13時間半で計約2430トンを放ったことになる。3号機の使用済み燃料貯蔵プールの容量は約1千トンなので、仮にプールが空でも、これを満たすことができる量を上回った計算だ。
屈折放水塔車は無人での稼働が可能で、13時間半のうち大半は無人による作業だったとみられる。この間、車両に給油する必要はあったという。
東京消防庁は19日、新たに車両14台と隊員102人を、先発した139人の交代要員として現地に追加派遣した。
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東日本大震災:福島第1原発事故 東電、頼みの計器ダウン
◇不可欠データ取れず/制御室に常駐不可能/数値の信頼性に不安
東京電力福島第1原発では、非常用発電機が津波で浸水してすべての電源が失われたため、東電は中央制御室に仮設バッテリーを持ち込んで対応している。原子炉の状態を直接監視できる中性子計測装置が電源喪失でダウン。間接的に監視できる圧力計と水位計も多くが故障したとみられる。原子炉の冷却などに不可欠なデータが把握できず、「暗闇」の中で現状把握に苦慮している。
「信頼性は分かりませんが」。12日に水素爆発で原子炉建屋(たてや)の上部外壁が吹き飛んだ1号機。報道陣に囲まれ、原子炉圧力容器内を冷やす冷却水の水位を尋ねられた東電の担当者は、こう言って水位計の値を読み上げた。計器異常は、東電を苦しめた。
地震発生時に運転中だったのは1〜3号機で、核燃料の冷却にはとりわけ注意が必要だ。しかし1号機で14日、格納容器の圧力計が故障。2号機と3号機では14〜15日、格納容器を減圧する圧力抑制プールの圧力計が故障した。現在、1〜3号機の原子炉内に消防ポンプ車で注水しているが、水位上昇のきざしが見られない。圧力容器から水漏れしている可能性や、内部の圧力が高すぎて外部から水を入れられない可能性に加え「水位計が正しい値を示していない可能性がある」(経済産業省原子力安全・保安院)という。
1〜4号機の使用済み核燃料プールでは、水を冷やすための海水ポンプが使えず、水温計も16日までにすべて故障して水温が監視できなくなった。保安院によると3、4号機の核燃料プールは沸騰している。16日、3号機に対して計画されたヘリからの水投下は、放射線量が高いことから見送られた。
加えて、計器を監視する中央制御室の放射線量が高すぎるため、運転員が常駐できない状態になっている。室内の放射能測定値を伝送するシステムも機能しないため、運転員は線量計を携帯し、定期的に直接機器を読み取りに行かざるを得ない。一番原始的な、目視による原子炉点検も不可能な状態だ。東電は「バッテリーの出力が弱く、しっかり計器をコントロールできていない。現在動いている計器も、値にどれほど信頼性があるか分からない」と言う。
吉川栄和・京都大名誉教授(原子炉工学)は「放射線量の値が高い状況では、計器を修理することもできない。対処しなければならない原子炉が複数あり、人も資材も足りない上、それぞれ必要な対処法が違う。結局、信じた策を打つしかない」と話している。【酒造唯、高野聡、大場あい】
東電、2号機の圧力異常データを訂正 「現場で読み間違い」
福島第1原発 2011/3/17 1:57 div/div.JSID_key_html
東京電力は17日未明の記者会見で、福島第1原子力発電所の2号機の格納容器内の圧力データを訂正した。16日午後の記者会見では同日9時20分以降の圧力を45キロパスカルとしていたが、正しくは450キロパスカルだった。「現場で読み取った者が単位の読み間違いをした」という。
2号機では格納容器につながる圧力抑制室が破損した可能性が浮上している。格納容器内の圧力低下を示す45キロパスカルという値は圧力容器内の放射性物質を含む空気が外部に漏れだしている可能性も示唆するデータだった。だが、訂正した値は異常を示す値ではない。
福島第一3号機、蒸気放出見合わせ…圧力が安定
読売新聞 3月20日(日)15時53分配信
東京電力は20日午後、福島第一原子力発電所3号機の原子炉格納容器の圧力が安定したため、格納容器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作を当面見合わせることを明らかにした。
東電は圧力が再び上昇を始めたとして、蒸気を外部に放出することを検討していた。 .最終更新:3月20日(日)15時53分
100メートル以上ゆがむレール JR常磐線の被害公開 茨城
産経新聞 3月20日(日)14時59分配信
拡大写真
電柱が傾きレールは100メートル以上にわたってゆがんでいる=ひたちなか市武田(城野崇撮影)(写真:産経新聞)
JR東日本水戸支社は20日午前、茨城県ひたちなか市武田で、東日本大震災で線路が大きく変形するなどの被害を受けたJR常磐線を報道陣に公開した。盛り土が変形し、電柱も傾いている場所もあり、100メートル以上にわたってレールがゆがんでいる。
なぜ時間で区切るのか…岡田氏、計画停電を批判
. 計画停電
民主党の岡田幹事長は20日、国会内で開かれた各党・政府震災対策合同会議の実務者会合で、東京電力が実施している計画停電について、「電力需要のピークがあるのに、なぜ各時間で区切って計画停電をするのか。ピーク時だけ大口需要を規制することも有効ではないか」と述べ、見直しが必要だとの考えを示した。
野党からは、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、政府が屋内退避を求めている同原発から20〜30キロ圏内を避難指示の対象とするよう求める声が相次いだ。
(2011年3月20日18時44分 読売新聞)
陸自160人決死の放水、15キロ防護服で接近
. 福島原発
防水作業の開始前、打ち合わせをする自衛隊員ら(18日、陸上自衛隊撮影) 緊迫状況が続く東京電力福島第一原子力発電所。自衛隊は、陸自中央即応集団(CRF)に所属する中央特殊武器防護隊(中特防)を中心に、被曝(ひばく)の恐怖と戦いながら、決死の作業を続けている。
「原子炉への放水など訓練したこともないが、我々はその任を全うしなければならない。今が正念場だ」
CRFの宮島俊信司令官(陸将)は、自らに言い聞かせるようにそう話す。
「原子炉の冷却機能が喪失した」との連絡で、震災当日の11日夜、中特防を現地に送り出した。中特防は核や生物・化学兵器によるテロ攻撃などに対処する専門部隊。全勢力の約160人が、放射能漏れに備えて派遣された。部隊は13日から冷却用の海水をくみ上げ、原子炉格納容器に注入する作業を指示された。
だが、14日午前11時過ぎ、3号機の原子炉建屋が水素爆発で吹き飛び、事態は急変した。
「隊員が行方不明」。事故の知らせにCRF司令部(東京・練馬)は凍り付いた。事故は隊員6人がポンプ車2台と四輪駆動車に分乗して現場に着いた瞬間だった。爆発した建屋と車両との距離は20メートル。吹き飛んだ外壁のコンクリート片が3台の車両を直撃、6人は大破した車からはい出し、自力で避難した。隊員4人が足の裂傷などのけがを負ったが、「外壁の破片が1メートルずれて落ちていたら、とても軽傷ではすまなかった」と陸自幹部は振り返る。
安堵(あんど)する間もなく、今度は原子炉建屋に対し上空からの放水を要請された。
山林火災で慣れているとはいえ、原子炉上空には高濃度の放射線が放出されている。放水の際、隊員はヘリの中で腹ばいになり、中央の穴から目標を見定めなければならない。陸自は急ぎ、放射線を透過しにくい鉛板をヘリに敷き、17日午前に離陸した。
CRF所属の第1ヘリ団(千葉)が、CH47ヘリ2機で計4回の空中放水を試みたものの、隊員が浴びる放射線量が多く、効果も限られていた。このため同日午後には、車両の中から放水できる特殊消防車による活動に切り替えた。
隊員は戦闘服の上に粉じんやウイルスの侵入を防ぐ衣服を着用、その上から厚さ3ミリの鉛板が埋め込まれた約15キロの放射線防護服を着込んでの作業だ。
放水目標は、3号機の使用済み核燃料一時貯蔵プール。「1号車命中」「2号車命中」。CRF司令部に次々と連絡が入る。
約50メートルの距離から放水した17日に比べ、18日は10〜20メートルにまで接近した。防護服を着ても防げる放射線は限定的で、中特防の隊員が化学防護車の中で被曝線量を測り続けている。陸自幹部は「隊員たちはよく頑張っている」と語る。想定をはるかに超えた過酷な状況下で、作業は続く。(編集委員 勝股秀通)
(2011年3月20日13時23分 読売新聞)
1〜6号機の表面温度は「安心の数値」…防衛相
. 防衛省は20日夜、東京電力福島原子力発電所1〜6号機の表面温度について、陸自ヘリが測定した結果を公表した。
3号機の格納容器上部は128度で、使用済み核燃料貯蔵プールは62度。ほかの5機は、24〜58度だった。北沢防衛相は「すべて安心していただける数値だ」と述べた。
(2011年3月21日00時01分 読売新聞)
福島原発に関する日本政府への申し入れ
2011年3月18日
原子力資料情報室
福島原発では、極めて深刻な事態が続いています。現状では、放射能が大規模に放出されるような事態には至っていませんが、今後、そのような最悪の事態が生ずる可能性があります。その具体的な事象は、原子炉水位のさらなる低下による核燃料の溶融(メルトダウン)、大規模な爆発、使用済み燃料プールからの放射能大量放出などが考えられます。
事故以来、私たちには「何キロまで離れれば安全か」という問い合わせが殺到しております。政府が設定している現在の避難範囲では、不十分なことは明らかです。
私たちは、このような状況をふまえて、次の5点を申し入れます。
1、国内外の総力を結集して、事態の悪化を最小限に抑えるために、最大限の努力をしてください。
2、各原発の圧力容器や格納容器、燃料プールなどにおけるパラメータ(温度・圧力・水位など)をリアルタイムですべて公開してください。機器破損などにより測定できないパラメータがあればそのことも明らかにしてください。
3、発電所内の放射線レベルの情報が決定的に重要です。常設モニタを複数設置し、そのデータをオンラインで情報公開してください。また、発電所内の状況をリアルに把握するために、監視ビデオを複数設置し、常時情報公開してください。
4、福島県内外各地の放射線モニタリングポストのデータを集約し、放射能の強さと拡がりを把握し、さらにその予測シミュレーションを行い、結果を速やかに公開してください。
5、防災指針における予測線量の求め方など、現在行っている避難範囲設定の根拠を明らかにしてください。今後どのような予測や考え方にもとづいて避難範囲を設定するのか、明らかにしてください。
認定特定非営利活動法人 原子力資料情報室
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801
原子力資料情報室(東京都新宿区)での放射線の測定結果
使用している機器はALOKA γSURVEY METER TSC-171
単位はマイクロシーベルト/時
2011/3/14
事務所窓際 μSv/h
10:00 0.06-0.09
10:40 0.05-0.08
11:00 0.06-0.08
11:30 0.06-0.10
12:00 0.05-0.10
2011/3/15
08:30 0.06-0.10
09:00 0.09-0.13
09:30 0.09-0.14
10:30 0.17-0.21
11:00 0.10-0.11
11:30 0.07-0.09
12:00 0.08-0.09
13:00 0.06-0.09
13:30 0.06-0.09
16:00 0.09-0.09
16:30 0.06-0.08
17:00 0.05-0.09
17:30 0.05-0.11
18:00 0.12-0.13
以降、屋外での測定も開始
(左数値:室内、右:屋外)
2011/3/15
20:00 0.19-0.21 0.63-0.65
2011/3/16
10:00 0.06-0.08 0.10-0.12
11:00 0.05-0.08 0.09-0.10
12:00 0.07-0.09 0.10-0.11
14:00 0.06-0.07 0.06-0.11
15:00 0.07-0.08 0.10-0.11
16:00 0.07-0.08 0.10-0.11
17:00 0.07-0.08 0.10-0.11
18:00 0.08-0.11 0.10-0.11
20:00 0.06-0.07 0.09-0.10
21:00 0.07-0.08 0.09-0.10
23:00 0.07-0.09 0.09-0.11
2011/3/17
02:00 0.07-0.09 0.09-0.11
10:00 0.07-0.08
14:00 0.07-0.08 0.09-0.11
17:00 0.07-0.08 0.09-0.10
20:00 0.06-0.08 0.09-0.10
23:00 0.07-0.08
2011/3/18
10:00 0.07-0.08 0.09-0.10
12:00 0.07-0.08 0.08-0.09
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19:00 0.07-0.08 0.06-0.10
2011/3/19
00:00 0.07-0.08 0.09-0.10
08:00 0.05-0.12
12:00 0.06-0.10
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20:00 0.07-0.08 0.09-0.10
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23:00 0.07-0.08 0.08-0.09
2011/3/20
00:00 0.07-0.08
13:00 0.05-0.07 0.08-0.09
14:30 0.07-0.08 0.09-0.10
15:30 0.07-0.08 0.09-0.10
16:30 0.07-0.08 0.09-0.10
17:30 0.07-0.08 0.09-0.10
18:00 0.07-0.08 0.09-0.10
19:00 0.07-0.08 0.09-0.10
21:30 0.07-0.08 0.08-0.09
2011/3/21
11:30 0.08-0.09 0.20-0.21
13:00 0.07-0.09 0.20-0.21
3/21 11:30 コメント追記
屋外での測定値が高くなっています。これは雨のために普段から自然界にあるラドンの影響が出てきているためで、原発に起因するものではないと思われます。
福島第一原発、基準6倍のヨウ素検出 核燃料の損傷確実2011年3月21日11時14分
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. 東京電力福島第一原発で、基準濃度の6倍のヨウ素131が検出された。セシウムも見つかった。東京電力が21日発表した。いずれも核分裂によってできる代表的な物質で、原子炉や使用済み燃料プール内の核燃料が損傷していることが確実になった。
東電が、1号機の北西約200メートルの空気中から採取した物質を19日、事故後初めて調べた。
その結果、ヨウ素131の濃度は1ccあたり5.9ミリベクレルだった。1年吸い続けると、300ミリシーベルト被曝(ひばく)する濃度だ。作業員は、体内に入らないようにマスクをして作業している。このほか見つかったのはヨウ素132が2.2ミリベクレル、133が0.04ミリベクレル、セシウム134と137がいずれも0.02ミリベクレルだった。
分析装置のある福島第2原発に持ち込む必要があり、時間がかかっていた。
.
燃料供給、今週後半頃にほぼ解消…経済産業省
読売新聞 3月21日(月)12時12分配信
経済産業省は20日、東日本巨大地震の被災地で不足するガソリンや軽油などの緊急確保策の状況をまとめた。
西日本の13製油所から東北地方への輸送では、計画の3・8万キロ・リットルに対し2・2万キロ・リットルを輸送したほか、輸出停止で当面70万キロ・リットル、緊急輸入で50万キロ・リットル確保する見込みという。
福島第一原子力発電所周辺地域の住民向けでは、20日中に地域内のガソリンスタンドにまず200キロ・リットル分を搬入した。灯油と軽油についても20日までにドラム缶400本分を宮城県内などの自衛隊基地に搬入し、今後さらに1400本分を追加する。
一方、製油所が回復し、関東地方のガソリンなどの供給不足は、今週後半頃にほぼ解消するとの見通しを示した。 .
地震:潮位最大5メートル変化 岩手・釜石沖
東北沖大地震で、東京大地震研究所が岩手県釜石市の約50〜70キロ沖合に設置した海底地震計が、約3.5〜5メートルの潮位の変化をとらえたことが分かった。津波による変化と考えられる。津波は海岸に近づくほど高さが増すことから、陸地では数倍の高さになった可能性があるという。
同研究所の酒井慎一准教授(観測地震学)によると、地震計は今回の地震の震源から北に約100キロ離れた釜石沖約50キロの地点と約70キロの地点に計2台設置されている。
地震発生直後から、2台とも潮位の上昇を示し、約15分後に約1.5メートル上昇。さらにその後、約5メートルまで急激に上昇した。
酒井准教授は「潮位の変化は地震の大きさを表す。今後、地形などさまざまな要素を考慮して分析する」と話す。
この海底地震計は、9日に起きた三陸沖地震では約5センチの潮位の変化を観測し、その後海岸に到達した津波は約10センチだった。
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毎日新聞 2011年3月11日 22時45分
東日本大震災:福島第1原発 水素爆発の仕組みは…
爆発で破損した福島第1原発1号機の原子炉建屋=東京電力撮影
上部が骨組みだけとなっている福島第1原発の1号機原子炉建屋(左)=2011年3月12日午後3時55分、本社機から貝塚太一撮影 一瞬のうちに分厚いコンクリートと鉄筋の頑丈な建屋を吹き飛ばした水素爆発は、どんな仕組みで起きたのか。
吉川栄和・京都大名誉教授(原子炉安全工学)によると、燃料棒に使用するジルコニウムは、高温になるほど水と反応しやすく、特に1100度を超えるとより反応性が高まる。原子炉内でまず、高熱になったジルコニウムと水が反応して水素が発生。水素は配管などを通じて格納容器の外に漏れだし、建屋内にたまっていったとみられる。
水素は、空間内の体積の14%以上を占めると、酸素と反応し、爆発する性質がある。これが水素爆発だ。12日午後3時36分に起きた激しい爆発は、建屋内にたまった水素が限界量を超え、空気中の酸素と一気に反応したと考えられる。
吉川名誉教授は「そもそも地震後に非常用電源が作動して冷却水が十分に循環していれば、炉心溶融やその後の水素爆発には至らなかった。電源確保ができなかったことがすべての始まりだ」と指摘する。【須田桃子】
地震:福島原発で1000倍の放射線量 燃料棒損傷か
福島第1原子力発電所=福島県大熊町で2003年8月、本社ヘリから川田雅浩撮影 経済産業省原子力安全・保安院は12日、東京電力福島第1原発1号機の原子炉容器内の水位が下がり、燃料棒の一部が最大90センチ露出し損傷している可能性のあることを明らかにした。国内初の炉心溶融になる恐れもある。消防車が大量の水を供給している。また、同原発の正門で通常の8倍、1号機の中央制御室で同1000倍の放射線量を計測した。この地震で放射性物質漏えいが確認されたのは初めて。政府は健康に影響を与える数値ではないとしているが、念のため12日、同原発の半径3キロ以内としていた避難指示を「半径10キロ以内」に拡大。12キロ南にある福島第2原発も同日、半径3キロ以内に避難、10キロ以内に屋内退避を指示した。
保安院によると、福島第1原発1号機では格納容器内の圧力が一時、基準の2倍超の8.4気圧になった。圧力が上がりすぎると容器の破壊につながるため、東電は弁を開けて、蒸気を外に放出する作業を始めた。電源が確保できないため作業員が手動で二つある弁のうち一つを開けたが、残りは難航している。放射性物質を建物外に放出するのは初めて。微量で避難指示も出され、住民の安全は確保できるという。
2号機では、原子炉内の水位が燃料棒の先端より3.7メートル高く、燃料は水中に没している。一時、緊急時に原子炉を冷やす冷却装置が稼働せず、炉心溶融も心配されたが、装置の稼働が確認された。3号機では原子炉内に冷却水が注入され、安全が保たれている。
福島第2原発の1、2、4号機は、圧力抑制室の温度が100度を超え、圧力を一定に保てなくなっている。炉内を冷やすポンプは、地震で海水をかぶり故障している模様だ。1〜4号機についても蒸気を外に放出する準備を進めている。
【ことば】福島第1、第2原発 第1は東京電力初の原発として、1971年3月に1号機が営業運転を始めた。現在6基の原子炉が稼働する。第2は、第1の約12キロ南にあり、82年4月に1号機が営業運転開始。計4基が稼働している。いずれも、燃料の核分裂反応によって生じた熱で水を沸騰させ、できた蒸気でタービンを回して発電する「沸騰水型原子炉」で、計10基の総発電量は約910万キロワット。
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毎日新聞 2011年3月12日 10時42分(最終更新 3月12日 13時35分)
東日本大震災:すべての建築物激しく揺れる 都心の地震波
国内観測史上最大のマグニチュード(M)8.8の地震の際、東京都内で観測された地震動は、超高層ビルから木造家屋や低層建築まで、すべてのタイプの建物を激しく揺らす特徴的なものだったことが12日、東京大地震研究所の古村孝志教授の解析で分かった。
東京都文京区の同研究所に設置した地震計のデータを使い、建物の大きさや構造の違いでどれくらい揺れ方に違いがあるかを計算。周期が7秒前後とゆっくりとした揺れの「長周期地震動」が都内で発生し、超高層ビルに被害が出た2004年の新潟県中越地震と比較した。
それによると、東日本大震災では中越地震と同じ程度の大きさの揺れが、木造家屋を揺らす0.5秒前後から20秒以上という広い範囲の周期で発生。ほとんどの建物を大きく揺らしたとの結果が出た。今回の地震で都心の低層建築は、中越地震の時に比べると約10倍大きく揺れたと考えられるという。
古村教授は「広い周期帯で大きく揺れるのは、(地震の規模を示す)マグニチュードが大きい地震の特徴と考えられる」と話している。
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東日本大震災:東京タワーのライトアップ中止 節電で
東日本大震災:米に津波最大2.02メートル到達
毎日新聞 2011年3月12日 20時27分(最終更新 3月12日 22時04分)
東日本大震災:最大加速度2933ガル 宮城県栗原市で
11日の東日本大震災で震度7だった宮城県栗原市で、瞬間的な揺れの強さを表す最大加速度が2933ガルと重力が持つ加速度の約3倍に達していたことが、気象庁の調べで分かった。同県と岩手県では、地震発生直後、最初の強い揺れが2分強続いたという。同庁が加速度計を分析した結果、震度6弱だった岩手県大船渡市で991ガル、いずれも震度5強だった宮城県石巻市で675ガル、同県丸森町で357ガル、東京都千代田区で259ガルを観測した。
ガルは加速度の単位で、1ガルは物体の速度が1秒間あたり1センチずつ速くなる状態を表す。ボールを手から放すと、重力のため速度を増しながら落ちるが、この時の加速度が約980ガル。上下方向でこの加速度を超すと、地上のものが浮くことになる。日本では、08年6月の岩手・宮城内陸地震の際に、岩手県一関市で観測された4022ガルが過去最大。【須田桃子】
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東日本大震災:米に津波最大2.02メートル到達
毎日新聞 2011年3月12日 20時09分
東日本大震災:福島第1原発 東電「想定外」に批判の声も
福島第1原発1号機付近で爆発音とともに白煙が上がったことを受け記者会見する東京電力の担当者ら=東京都千代田区の同社本店で2011年3月12日午後5時55分ごろ、池田知広撮影 東日本大震災で被災した福島第1原発1号機は、発生から1日で炉心溶融という事態に至った。原子炉内の圧力を、弁を開いて放射性物質とともに外へ逃がすという「禁じ手」を使ったものの、事前に幾重にも用意された安全対策はことごとく機能しなかった。「想定外の事態」を繰り返す東電に、専門家からは批判の声が上がる。
原発の安全対策の至上命令は「止める」(緊急停止)「冷やす」(炉心の過熱を抑える)「閉じ込める」(放射性物質が漏れ出さないようにする)の三つ。今回、1号機が実行できたのは、最初の「止める」だけだった。
元原子炉設計技術者で、福島第1原発4号機の設計にも携わったライターの田中三彦さんは、地震や津波の影響で非常用電源が動かせなくなったため、炉心に冷却水が注入できなくなり、その結果、圧力容器内の水位が低下し、炉心にある核燃料の集合体が水中から露出し始めたとみる。
この状態が続いた結果、水による冷却ができず、燃料集合体の温度が急上昇。核燃料を覆うジルコニウム合金が溶け始めた。いわゆる「炉心溶融」だ。1979年に米国で起きたスリーマイル島原発事故では、この状態が続いた。
非常用電源が故障したのは、想定外の津波が原因とみられる。さらに炉内では、燃料棒を冷やすはずの水の水位が予想に反して下がり続けた。経済産業省原子力安全・保安院は12日の会見で「炉心溶融が発生したとみられる」と、最悪の事態を認めた。
田中さんは「原子炉圧力容器が最後のとりでだが、1号機の場合は営業運転開始(1971年)から40年がたっており、耐久性が落ちている可能性もある」と懸念する。【日野行介】
東日本大震災:福島第1の炉心溶融 原発安全神話崩れる
東京電力福島第1原発の1号機(左)。爆発前は右の建屋と同じ外観だった=福島県大熊町で2011年3月12日午後3時55分、本社機から貝塚太一撮影 東日本大震災で東京電力福島第1原発1号機が炉心溶融を起こし、放射性物質が漏れたことは、経済産業省や東電など電力会社が強調してきた日本の原発の「安全神話」を崩壊させるものだ。国は「温暖化防止に役立つ低炭素エネルギー」として、国内の発電量に占める原発比率を大幅に高める政策を進めてきたが、今回の事故で国民に原発不信が広がるのは必至。国のエネルギー政策は抜本的な見直しを迫られることになった。
原発は現在、日本の電力の約3割を賄う「基幹電源」。政府は昨年6月に策定したエネルギー基本計画で14機以上の原発の新増設を掲げ、原発比率を4割程度に高める計画を示した。これを受け、現在17機の原発を保有する東電は福島第1原発での7、8号機増設などを含め、原発シフトを加速し、原発比率を09年度の28%から、19年度には48%に高める方針だった。
世界では79年の米スリーマイル島原発事故や86年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故後、原発への逆風が強まった。そんな中、日本が原子力政策を推進し続けて来られたのは、経産省や東電など電力事業者が「厳格な安全管理を徹底しており、深刻な事故は起きない」としてきたからだ。
91年の関西電力・美浜原発2号機の蒸気発生器細管破断事故や、95年の「もんじゅ事故」、99年の茨城県東海村の臨界事故では、原発への不安が高まった。しかし、電力会社はいずれのケースも、部品の施工ミスや設計ミスなど「想定外の事象が原因」と強調。07年の新潟県中越沖地震で東電・柏崎刈羽原発が全機停止した時も「原因は変圧器の火災。原発の設計構造そのものに問題はない」と、深刻な事故につながるリスクを否定してきた。
その上で、近年は「原発は温暖化対策の切り札」(経産省幹部)とアピール、国内での原発増設計画だけでなく、国の「インフラ輸出」策の柱にも位置付けてきた。しかし、地震後の津波で原子炉冷却用電源が損傷し、放射性物質が漏れた今回の事故は、原発の安全設計の根幹が疑われるもの。東電がこれまでアピールしてきた「(いくつもの安全装置で原子炉を守る)多重防護の考え方を徹底している」との言葉の信頼性は吹き飛んだ。
しかも、放射能漏れを起こした福島第1原発は71年の運転開始から40年がたつ老朽炉。東電は「今回の地震や津波は(安全対策の)想定を上回るもの」と説明するが、原子炉圧力容器や建屋に劣化が生じていなかったかなど、東電の安全管理体制が改めて問われそうだ。また、炉心溶融が判明して以降も、地元住民や国民への説明が後手に回り、12日夜に開いた会見でも「冷却水の維持に取り組んでいる」(小森明生常務)などと当面の対応策を繰り返すばかりだった東電の姿勢には批判も出ており、経営責任が問われるのは必至だ。
95年の阪神大震災を契機に原発の耐震性が問い直され、国や電力会社は耐震性能を高める措置を取った。しかし、地震に伴う津波への対策は十分ではなかったわけで、地震国ニッポンにおける原発の安全性は根幹から問い直されることになった。経産省幹部も「今回の事故で国のエネルギー政策の抜本的な見直しを求める声が強まるだろう」と認める。
原発増設計画を凍結せざるを得ない東電は当面、火力発電などで代替する考えだが、原油高や環境対応を考えれば、原油や石炭発電に先祖返りするのは難しい。太陽光発電など再生可能エネルギーの普及には時間がかかり、原発頼みを強めてきた日本のエネルギー政策は袋小路に追い込まれる可能性がある。【山本明彦、立山清也】
東日本大震災:福島第1原発爆発 20キロ退避に拡大
福島第1原発から半径20キロ、福島第2原発から半径10キロの範囲
爆発の起きた福島第1原子力発電所1号機
東京電力福島第1原発の1号機(左)。爆発前は右の建屋と同じ外観だった=福島県大熊町で2011年3月12日午後3時55分、本社機から貝塚太一撮影 国内観測史上最大のマグニチュード(M)8.8の東日本大震災に見舞われた東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋(たてや)で12日午後3時36分ごろ、爆発音とともに白煙が上がり、建屋の壁と天井部分が失われた。この事故で東電社員ら4人が負傷、敷地では通常と異なる放射線量が検出された。同日午前には1号機から放射性物質の漏えいが確認され、さらに国内初の炉心溶融も発覚した。巨大地震に遭った原発で、未曽有の事態が次々と発生した。地震大国で最も恐れられる「原発震災」。同日夜、炉心溶融を食い止めるため海水が炉心に注入されたが、純水の代わりに塩分を含んだ海水を使うため施設への打撃は大きく、廃炉の可能性もある。
今回の事態を踏まえ、周辺の住民は、福島第1原発から半径20キロ圏、福島第2原発から半径10キロ圏からの避難を求められた。該当する市町村は富岡町、大熊町、双葉町、広野町、楢葉町、浪江町、田村市、南相馬市、葛尾村、川内村で、約2万5000世帯の約7万人が住んでいる。
福島第1原発1号機では、原子炉を覆う鋼鉄製の格納容器は鉄筋コンクリートでできた原子炉建屋内にある。
爆発の原因について、経済産業省原子力安全・保安院は「炉心で発生した水素が格納容器の配管から漏れ出て、水素爆発を起こした」との見方を示した。その結果、建屋は壊れたが、格納容器は損傷していないという。
放射性物質は大量には漏れ出ていない。放射性物質を測定するモニタリングデータによると、爆発直前の放射線量は1015マイクロシーベルトで、これは1年間に一般人が浴びる許容量を1時間で超える値だった。だが爆発後は、午後3時40分で860マイクロシーベルト、同6時58分で70.5マイクロシーベルトと減少。保安院は「炉心溶融が進行しているとは考えていない」との見方を示した。枝野幸男官房長官は「格納容器は破損していない」としている。
一方、今回の爆発は、炉心の水位が低下、燃料棒が露出して起きる炉心溶融によって、燃料棒が高熱になったことでもたらされた。海江田万里・経済産業相は東京電力に1号機の原子炉を海水で満たすよう指示。東電は午後8時20分に着手した。しかし、余震発生のため午後10時15分に中断した。純水ではなく塩分を含む海水を原子炉に使うと、さびやすくなることなどが理由となって廃炉になる可能性も出てくる。また、万が一、再臨界が起きるのを防ぐため、中性子を吸収して核分裂反応を抑えるホウ酸を用いた。
東電の小森明生常務(原子力・立地副本部長)は12日夜の記者会見で「通常と異なる過程で原子炉建屋の上方が開放された。言葉として爆発だった」と認めたが、原因については「会社として水素爆発だったと言えるだけの議論はしていない」と述べるにとどめた。
東日本大震災:福島第1原発爆発 東電、具体的な説明なし
福島第1原発1号機付近で爆発音とともに白煙が上がったことを受け記者会見する東京電力の担当者ら=東京都千代田区の同社本店で2011年3月12日午後5時55分ごろ、池田知広撮影 福島第1原発1号機で12日午後、爆発音とともに白煙が上がったことを受け、東京電力は都内で会見を開いた。しかし、詳しい状況について担当者は「分かりません」「確認でき次第お答えします」と繰り返し、具体的な説明はなかった。
東電によると、作業員4人はプラントに水を入れる作業をしていたところ、大きな音とともに白煙が舞い上がり、負傷した。命に別条はないものの1人は骨折、3人は打撲したとみられるという。
しかし、4人がどこでどのような作業をしていたのか、建物の損傷がどの程度なのかについては「4人は病院に向かっており話が聞けない」「建物の被害はテレビでしか確認していない。作業員を今向かわせている」などと回答した。
原発周辺の地域が今後、居住できるのかについて尋ねられても「評価は今後検討します」とだけ述べた
その後、藤本孝副社長らも会見し、今回の事態を陳謝した。小森明生常務は白煙は爆発に伴うものとし、住民に対しては「避難していただき心苦しい」と苦渋の表情を浮かべた。
しかし今後の見通しについては「申し上げられない。変に大丈夫だとも言えないが、普段の状況に早くしたい」と述べるにとどまった。枝野幸男官房長官が会見で、原子炉格納容器の爆発ではなく、水素爆発で原子炉建屋が吹き飛んだと発言したことについても明言を避けるなど、慎重な言い回しに終始する場面も目立った。【奥山智己、池田知広】
東日本大震災:「日本最悪の日」…国際社会に衝撃
事故を起こしたチェルノブイリ原発の4号炉=2011年1月撮影 東日本大震災から一夜明けた12日、大津波による惨状が次第に明らかになり、さらに被災した福島では原発から放射性物質が漏れ出る事故が発生、各国メディアは「日本最悪の日」などと、驚きを持って大々的に報じた。各国政府は日本への震災支援に動く一方、旧ソ連の「チェルノブイリ原発」を想起させるような事故に、重大な関心を持って成り行きを注視している。
◇「世界が学ぶべき教訓」…ロシア
【モスクワ田中洋之】12日付のロシア大衆紙「コムソモリスカヤ・プラウダ」は、東日本大震災で福島第1原発が被災したことについて「日本のチェルノブイリはロシアを脅かすか」と1面トップで報じた。ロシアやウクライナなどでは25年前に起きたチェルノブイリ原発事故の記憶が鮮明に残っている。
ロシア当局は、日本に近い極東の沿海地方やサハリン州、ハバロフスク地方、カムチャツカ地方などで放射線の監視態勢を強化するなど、万一の事態に備えている。
チェルノブイリ原発の元技師で、現在は被災者の救援活動に携わっているウクライナ在住のニコライ・イサエフさんは毎日新聞の取材に、「もし原子炉から漏れた放射能が雲の高さに達し、風で急速に広がればチェルノブイリと類似した事態となる」と警告した。
ロシアの核関連企業「ロスエネルゴアトム」のアスモロフ第1副社長はタス通信に、「今回の出来事は全世界の原子力発電所が学ぶべき教訓だ」と指摘した。
ウクライナ北部にあるチェルノブイリ原発から半径約30キロ以内は、今も放射能汚染で立ち入りが制限されている。爆発直後に4号炉を覆う形で造られたコンクリート製の「石棺」は老朽化が進み、新たな鋼鉄製のシェルターを建設する計画が進んでいるが、資金不足で目標とする15年までの完成は疑問視されている。ウクライナは今年から原発周辺への観光客受け入れを始めたが、地元では「まだ危険は残っている」と観光地化に反対する声が根強い。
◇原発建設再開に冷や水…米国
【北米総局】米国は1979年、ペンシルベニア州で原発の燃料棒が溶けて放射能が漏れ出る「スリーマイル島原発事故」が発生したことを受け、国内での原発建設を全面的に停止。「クリーンエネルギー政策」を掲げるオバマ政権になり、原発建設を約30年ぶりに再開させたばかりだった。
今回の事故が米国の原発政策に影響を及ぼすのは必至で、米ワシントン・ポスト紙(電子版)は、福島原発での爆発を速報。「チェルノブイリ原発事故以来の最も深刻な原発危機となる可能性」と伝えた。また「(今回の)地震が、放射性物質の放出に敏感だった日本の原子力発電の信頼性を揺るがせるのは間違いない」と指摘。その上で「米国においても、事故は(原発建設を推し進める)『原発ルネサンス』の支持者たちにとって打撃となるだろう」と米国への影響に言及した。
また米ニューヨーク・タイムズ紙(同)も、原発施設が爆発する瞬間の生々しい写真をトップページに掲載。スリーマイル島での放射能漏れ事故にも触れながら、地震直後からの原発施設の自動停止など一連の経緯を詳報した。
◇「増設計画変更ない」…中国
中国環境保護省の張力軍次官は12日、北京で記者会見し、東日本大震災により福島原発で放射性物質が漏れたことについて「沿海都市の核安全観測装置を起動し、中国に影響を及ぼさないか監視している」と明らかにした。一方で、電力需要の急増に対応するために進めている原発増設計画に関しては変更がないことを強調した。
張次官は「(中国)国家核安全局は日本の原子力安全・保安院と連絡を取り、状況を把握している」と説明、「現在のところ影響はなく、中国で稼働している13基の原発施設も正常な状態だ」と述べた。また、張次官は「影響や事態の進展を注視しており、今後の計画に教訓として生かしたい」と強調しつつ、「原発を増設する決意と計画が変わることはあり得ない」と語った。
◇大気の監視強める…韓国
【ソウル西脇真一】福島第1原発1号機で発生した爆発事故は、韓国でも速報された。国内で約20基の原発が稼働して震災対策に関心があることに加え、自国への放射能の拡散を懸念している。聯合ニュースによると、韓国教育科学技術省や原子力安全技術院などは、福島原発にトラブルが発生した11日から対策チームを発足させ、大気の監視を強めてきた。
聯合ニュースは12日、「国内原発は地震に対し安全か」との記事を配信。韓国の原発はマグニチュード6・5の地震が直下で発生しても耐えられるように設計され、さらに冷却装置が停止しても対処可能なシステムを備えていると伝えた。
東日本大震災:放射能持つ水が床にあふれる…東海第2原発
日本原子力発電は13日、東日本大震災で東海第2発電所(茨城県東海村)の使用済み燃料プールから微量の放射能を持つ水が床にあふれたと発表した。水量は計約3万8000リットル。外部への放射能の影響はないという。
同発電所は運転中だったが、地震の揺れで原子炉は自動停止した。津波により非常用ディーゼル発電機用の海水ポンプが停止したが、残りの非常用電源で原子炉の冷却を進めている。【関東晋慈】
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毎日新聞 2011年3月13日 22時02分
東日本大震災:津波の高さ、最大十数メートル…研究者分析
コンピューターグラフィックで再現された津波=古村孝志・東京大地震研究所教授提供 東日本大震災で発生した大津波は、地震発生後10分以内で東日本各地の沿岸に到達し、最大で高さ十数メートル以上に上った可能性があることが、古村孝志・東京大地震研究所教授らの分析で分かった。
古村教授らは、米地質調査所の解析を基に、最初の地震で南北に600キロ、東西に250キロの断層が17メートル動いたと想定。津波の発生と伝わり方をコンピューターで再現した。
その結果、津波はわずかに引き波で始まり、岩手県から茨城県の太平洋側の海岸に、早いところでは10分以内で到達。通常、津波は震源から同心円状に伝わり、震源に一番近いところに早く到達するが、今回の地震は三陸沖から茨城沖に至る南北に長い領域が動いたため、東日本の沿岸にほぼ同時に到達した可能性があるという。
仙台市や宮城県石巻市などが面する仙台湾では、湾状の地形に沿って津波が集中。湾や三陸のリアス式海岸のV字形地形のようなところでは津波が集まりやすく、集まった水が一気に押し上げられ、高いところでは十数メートルに上ったと見られる。また、北海道沿岸は、三陸沿岸の波が跳ね返って伝わり、第2波以降が高くなっている地点があった。
津波は3時間経過してもおさまらなかった。古村教授によると、津波は到達した後、終息するのではなく、沿岸にとどまったり海岸沿いを伝わっていくため、湾では長時間高い波が続くという。
古村教授は「到達まで10分あったとしても、地震の規模も想定以上に大きく、揺れたり物が壊れたりしている中で避難するのは物理的にも心理的にも難しい。防災訓練をしていても非常に厳しい状況だったのではないか」と話す。【大場あい】
東日本大震災:英紙「がんばれ東北」…日本語見出し
東日本大震災の報道で1面に日本語で「がんばれ、日本。がんばれ、東北」の見出しを掲げた英日曜紙「インディペンデント・オン・サンデー」 【ロンドン笠原敏彦】東日本大震災を受け、英日曜紙「インディペンデント・オン・サンデー」は13日、1面に日の丸のデザインとともに、日本語で「がんばれ、日本。がんばれ、東北」と見出しを掲げた。同紙は1面から7面までを震災報道に割いている。また米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は12日、「不屈の日本」と題する社説を掲載した。
社説は地震大国日本の技術力と「備え」をたたえ、「日本は経済が低迷し、政治家の失態に国民の大部分は当惑しているが間違ってはいけない。日本の産業力は依然として偉大だ」と述べた。
社説は日本が100年以上「建物の耐震化をしてきた」と指摘。「今回の地震で高いビルは持ちこたえたようだ」と分析した。93年完成の横浜ランドマークタワーに触れ「その高さは地震大国では驚異的。最先端の建築工学を駆使できる技術と富があって初めて可能」と評価。07年導入の緊急地震速報を「世界最先端の技術」と紹介した。
また米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11日、阪神大震災当時に東京支局長だったニコラス・クリストフ氏の「日本へのお悔やみ、そして称賛」と題するコラムを掲載、日本人の精神力の強さをたたえた。
同氏は、阪神大震災時の取材で、崩壊した商店街で略奪がほとんどなかったことや、支援物資の奪い合いが生じなかった事例を紹介。「我慢」という日本語を引き合いに「日本人の忍耐力や冷静さ、秩序は実に高潔だった」と説明し、「今後、それらが示されるだろう」と期待を寄せた。
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毎日新聞 2011年3月13日 20時35分(最終更新 3月13日 20時41分)
東日本大震災:「隣国・日本」ロシアが最大級の支援へ
【モスクワ田中洋之】ロシアは最近、メドベージェフ大統領はじめ政府高官が北方領土を相次ぎ訪問するなど強硬な対日外交を展開していたが、東日本大震災では人道的な観点から「隣国・日本」への最大級の支援策を打ち出している。
プーチン首相は12日、原発停止で電力供給不足が見込まれる日本に対し、極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で生産される液化天然ガス(LNG)など発電用資源の供給量を増やすよう関係閣僚らに指示した。セチン副首相によると、日本から既に資源供給増の要請が来ており、ロシアとしては最大15万トンのLNGを早急に供給することが可能で、石炭についても300万〜400万トンの追加供給を検討する。さらに海底ケーブル経由で電力を日本に送ることもできるという。
プーチン首相は「日本は親しい隣国。(北方領土など)さまざまな問題はあるが、我々は信頼できるパートナーであるべきで、エネルギー資源の供給支援に全力を尽くす必要がある」と述べた。メドベージェフ大統領も12日、短文投稿サイト「ツイッター」で「隣国を支援するよう政府に指示した」と書き込んだ。非常事態省は13日、救助隊2班(計約75人)の日本派遣を決定。国営原子力企業ロスアトムも原発事故の技術支援に乗り出した。
北方領土では、94年の北海道東方沖地震で四島が被災した際に日本から支援を受けたこともあり、住民の間で義援金を日本に送る動きが出ている。また政権与党「統一ロシア」の青年組織「若き親衛隊」は、代表が15日に国後島入りしてロシア国旗を設置する示威行動を計画していたが、中止を決めた。
日露関係筋は「両国関係が冷え込む中、プーチン首相の発言は久しぶりに前向きなメッセージ。関係改善につながることを期待したい」と話している。
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毎日新聞 2011年3月13日 20時19分(最終更新 3月14日 0時36分)
東日本大震災:3日以内にM7余震、確率70%…気象庁
南三陸町では津波で住宅などが流され、壊滅的被害を受けた=宮城県南三陸町で2011年3月13日午後1時、本社ヘリから佐々木順一撮影 気象庁は13日、岩手県、宮城県、福島県など北海道から九州の太平洋沿岸15区域に出していた津波注意報をすべて解除した。東日本大震災の規模は、地震波のデータを詳しく解析し再計算した結果、マグニチュード(M)9.0になった。
気象庁によると、海外約40地点の地震観測データを詳しく解析した結果、東日本大震災は三つの大規模な地震が断続的に起こる形で発生していたことが分かった。1度目は、これまで分かっていた11日午後2時46分発生の三陸沖を震源とするM8.8の地震。この地震が発生してから約150秒後に最初の震源より南の福島県沖を震源とする地震があり、続けてさらに南の茨城県沖を震源とする地震があった。この間は約6分で、三つの地震の震源域は南北500キロ、東西200キロ程度に達すると考えられる。
新たに判明した2回の地震の規模は合わせてM8.8で、3回の地震の合計はM9.0になるという。気象庁地震予知情報課は「断層の長さの割に、断層の破壊が続いた時間が長く、揺れの長さに影響した」と説明している。
また、気象庁はM7以上の余震が発生する確率について、13日午前10時から3日以内が70%、その後3日間以内は50%と発表した。余震確率70%は国内の地震で過去最高で、震度6強〜4程度の揺れに襲われる可能性がある。横田崇・地震予知情報課長は「余震の数と規模は、過去の地震と比べけた違いに大きい。震度6弱〜6強程度の余震が今後も2週間程度は続く恐れがある。M7を超える地震が発生すると、再び大津波警報を発表するようなケースがあるかもしれず注意が必要」と呼びかけた。【飯田和樹、福永方人】
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東日本大震災:自衛隊10万人動員…史上最大規模
菅直人首相は13日夜、首相官邸で記者会見し、東日本大震災について「戦後65年間経過した中で最も厳しい危機だ。果たして、この危機を私たち日本人が乗り越えていくことができるかどうか。一人一人、すべての日本人に問われている」と述べ、国民挙げて震災対応に取り組むよう訴えた。巨大地震と大津波に原発被害も加わり、首都圏を含む東日本全域の計画停電という非常事態に追い込まれ、国民に「覚悟」を求めるメッセージを出した。
これに先立ち、菅首相は13日午前の第7回緊急災害対策本部会議で「復興などの問題に話が進むことは当然だが、直接的には命を救うことを、3日目の最優先課題としていただきたい」と述べ、被災者の救出を優先する考えを強調。北沢俊美防衛相に対し、自衛隊の派遣態勢を「5万人」から、過去最大規模の「10万人」に増強するよう指示した。
防衛省によると、陸上自衛隊3万人、海上・航空自衛隊1万人の計4万人が捜索・救助活動を実施しているが、加えて医療や復旧活動が必要となるため、施設部隊など2万人の追加派遣を準備。各部隊に燃料や食料を輸送する後方部隊、司令部要員を含めると10万人態勢になると見込む。95年の阪神大震災で派遣された5万〜6万人を上回る最大規模だ。
自衛隊の「首都直下地震対処計画」は最大で陸自部隊約11万人を被災地に集中させる想定となっており、10万人態勢はこれに匹敵。全国の自衛隊約23万人の半数近くが、東日本大震災の関連活動に従事することになる。
被災地では食料や飲み物が不足していることから、自衛隊が上空から被災者に投下する救援活動も検討している。
政府はこのほか、被災者への救援策として、運転免許証の有効期限などを延長する「特定非常災害」に指定。今後の復興へ向け、復旧事業の国庫補助率をかさ上げする「激甚災害」に指定することも決定した。【鈴木直、犬飼直幸】
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毎日新聞 2011年3月13日 20時05分(最終更新 3月13日 22時32分)
東日本大震災:福島第1原発3号機「水素爆発の可能性も」
福島第1原発3号機建屋(左)=2006年撮影 枝野幸男官房長官は13日午後3時28分、首相官邸で記者会見し、東京電力福島第1原発3号機について「原子炉内で大量に水素が発生し、建屋の上部にたまっている可能性が否定できない。昨日、1号機で起きた水素爆発の可能性が生じた」と発表した。同原発から半径20キロ圏内の住民には12日夜に避難指示が出ており、枝野長官は「新たな対応をする必要はない。冷静に受け止めていただけたらと思う」と説明した。
枝野長官によると、3号機に自動注水ができなくなったのを受け、午前9時5分に圧力弁を開いて原子炉内の圧力を下げたうえで9時8分から真水の注水を開始したが、注水ポンプにトラブルが生じたため、12日に爆発のあった1号機と同様、海水の注水に切り替えた。その間、「炉心が水没しない状況が生じ、炉心を十分に冷却できず、大量の水素が発生したことが予想される」という。
一方で同原発の放射線量の測定状況について「本日午前10時以降、50マイクロシーベルト前後で安定していたものが午後1時44分ごろから上昇し、1時52分には1557.5マイクロシーベルトに達し、午後2時42分には184.1マイクロシーベルトに低下したという。枝野長官は「仮に爆発が生じた場合でも原子炉本体、圧力容器については問題が生じない状態、そのレベルの衝撃には耐えられる構造になっている。避難している周辺の皆さまの健康に影響が出る状況は生じない」と強調した。
東日本大震災:マグニチュード9.0に 世界史上4番目
津波の影響で壊滅的な被害を受けた市街地。左下の学校のグラウンドには「SOS」の文字が見える=宮城県南三陸町で2011年3月13日午前8時47分、本社機から貝塚太一撮影 気象庁は13日、東日本大震災の規模をマグニチュード(M)9.0に修正した。これまでは国内の観測史上最大のM8.8としていたが、地震波のデータを詳しく解析し、再計算した結果、9.0になったという。M9.0は世界の地震の観測史上4番目となる。Mが0.2高いと、地震のエネルギーは約2倍となる。
また、気象庁はM7以上(震度6強〜4程度)の余震が発生する確率について、13日午前10時から3日間以内が70%、その後3日間以内は50%と発表した。余震確率70%は国内の地震で過去最高。
横田崇・地震予知情報課長は記者会見し、「余震の数と規模は過去の地震と比べけた違いに大きい。震度6弱〜6強程度の余震が今後も2週間程度は続く恐れがある」と注意を呼びかけた。【福永方人、飯田和樹】
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東日本大震災:給油に長蛇の列 新たな供給のめどなく
ガソリンスタンドで給油するために並ぶ車の列。場所によっては1キロ以上の列になっているスタンドもある=仙台市宮城野区で2011年3月13日午前8時50分、手塚耕一郎撮影 東日本大震災で被災した東北各地のガソリンスタンドで、給油を待つ車が長蛇の列を作っている。停電の影響でポンプを動かせる店が限られていたり、緊急車両以外の給油が制限され、一般車両が給油できるスタンドが限られているためだ。
盛岡市内の中心地にあるスタンドには13日朝、約30台が並んだ。自家発電で12日から緊急車両に限り営業しているため、ガソリンはほとんど底をつきそうだが、新たな供給のめどは「ない」という。
岩手県宮古市の国道106号沿いにあるスタンドは12日夜、1台20リットルで営業をようやく再開した。家族の安否を確認するため、秋田県から宮古市の実家に来た男性は「家族は無事だった。これで家に帰れる」とほっとした様子だった。
被害の大きかった福島県南相馬市。同市原町区。12日午後4時ごろ、県道沿いのスタンドにはガソリンを求め約500メートルに及ぶ車の列ができた。店にレギュラーガソリンの在庫はなく、売っているのはハイオクの「1000円分」か「2000円分」のどちらかだけ。30分以上並んでいるという同市小高区の和菓子店経営、門間雄介さんは「これでは遠くまで避難できない」と肩を落とした。【狩野智彦、神保圭作】
東日本大震災:福島第1原発「引き続き懸念」 IAEA
【ロンドン会川晴之、ベルリン小谷守彦】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は12日、声明を発表し、東日本大震災で損傷を受けた東京電力福島第1原発1号機について「引き続き懸念が存在する」と指摘した。
事務局長は、1号機で起きた爆発について、日本の経済産業省原子力安全・保安院から詳細な報告を受けるなど、地震発生以来、緊密に連絡を取り合っているほか、IAEAの事故緊急センターが24時間態勢で状況把握に努めていると説明した。
その上で、原子炉を冷却するため、ホウ酸入り海水を12日夜から原子炉に注入する作業が効果を上げ「できるかぎり早期に安全が確保されることを期待する」と述べた。
ロイター通信によると、IAEAは、避難指示が出た福島第1原発の「半径20キロ以内」から約11万人、第2原発の「半径10キロ以内」から約3万人の計約14万人が既に避難したことを明らかにした。ただし「避難は完全には終わっていない」としている。
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東日本大震災:自衛隊10万人規模に 統合任務部隊設置へ
北沢俊美防衛相は13日午前の防衛省災害対策本部会議で、5万人規模で想定している自衛隊派遣を、さらに10万人規模まで増強するよう、菅直人首相から指示を受けたことを明らかにした。現地に派遣する陸海空の各自衛隊の指揮系統を一元化するため、君塚栄治陸上自衛隊東北方面総監をトップとする統合任務部隊を設ける方針も示した。北沢氏と折木良一統合幕僚長が14日に現地入りする。【坂口裕彦】
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毎日新聞 2011年3月13日 9時33分(最終更新 3月13日 9時49分)
東日本大震災:福島第1原発3号機 注水不能に
上部が骨組みだけとなっている福島第1原発の1号機原子炉建屋(左)=2011年3月12日午後3時55分、本社機から貝塚太一撮影 東京電力は13日、東日本大震災で被災した福島第1原発3号機が原子炉を冷却するための自動注水ができなくなったと国に報告。国は1号機などと同様に、原子力災害対策特別措置法に基づき原子力緊急事態宣言を発令した。東電は炉内の消火系など別の配管を使って注水を検討しているが、冷却が不十分な場合には1号機と同じく、海水を注入する事態になる可能性もあるという。
東電によると、同日午前5時半現在、3号機の原子炉内の冷却水の水位は、燃料棒の上端より約2メートル高い。しかし、このまま注水ができないと徐々に冷却水が減少する。燃料棒が露出すれば、1号機と同じように燃料棒の破損や炉心溶融につながる恐れもある。
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東日本大震災:中国のネット 日本人の対応「冷静」と絶賛
駅構内で一夜を過ごし、運転再開を待つ人たち=JR東京駅で2011年3月12日午前7時、梅田麻衣子撮影 地震多発国で東日本大震災への関心が高い中国では12日、非常事態にもかかわらず日本人は「冷静で礼儀正しい」と絶賛する声がインターネットの書き込みなどに相次いでいる。
短文投稿サイト「ツイッター」の中国版「微博」では、ビルの中で足止めされた通勤客が階段で、通行の妨げにならないよう両脇に座り、中央に通路を確保している写真が11日夜、投稿された。「(こうしたマナーの良さは)教育の結果。(日中の順位が逆転した)国内総生産(GDP)の規模だけで得られるものではない」との説明が付いた。
この「つぶやき」は7万回以上も転載。「中国は50年後でも実現できない」「とても感動的」「われわれも学ぶべきだ」との反響の声があふれた。
湖南省から東京に留学し、日本語学習中に地震に遭った中国紙、瀟湘晨報の中国人記者は、日本語教師が学生を避難誘導、「教師は最後に電源を切って退避した」と落ち着いた対応を称賛。ネット上に掲載された記事には「日本人のマナーは世界一」「人類で最高の先進性が日本にある」などの書き込みが相次いだ。
「日本の学校は避難所だが、中国の学校は地獄だ」といった中国政府や中国人の対応を批判する書き込みも。2008年5月の四川大地震では、耐震性の低い校舎が多数倒壊、5000人を超える子どもが死亡。生徒を置き去りにし、真っ先に逃げた教師が批判された。
東日本大震災を1面で報じた12日付の中国紙、環球時報も「日本人の冷静さに世界が感心」との見出しで、東京の街頭で避難する日本人のマナーの良さを紹介した。(北京・共同)
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毎日新聞 2011年3月13日 1時56分(最終更新 3月13日 7時17分)
東日本大震災:日本の原発迷走状態 幾重の防御策不能
東日本大震災に見舞われた東京電力福島第1原発で14日、2号機の燃料棒が一時、冷却水から完全に露出するという、前例のない事態が2度も起きた。一時的な「空だき状態」で、最悪の場合は米スリーマイル島原発事故のような非常事態につながりかねない。同日午前には、3号機の原子炉建屋(たてや)で水素爆発が発生。完璧な管理によって、その安全性を強調してきた日本の原発は、前代未聞の制御不能状態に陥っている。
2号機では14日午後、原子炉圧力容器内の水位が一気に低下し始めた。このため、原子炉建屋が爆発した1、3号機よりも優先して注水作業が続けられたが、水位の低下を止められず、約4メートルある燃料棒全体が露出する「空だき」状態が一時的に発生した。
その後の注水で水位は上昇したが、その後再び同じ状態になった。万が一、水位が回復しなければ、燃料棒が溶ける炉心溶融が進行し、原子炉内の燃料の大半が溶ける「メルトダウン」と呼ばれる事態になる恐れがあった。
これは原子炉自体が損傷し、放射性物質が外界に拡散しかねない事態だ。
国内では、日本の原発運用は、あらゆる危険性を排除する幾重もの防御策が整備されているため、米国で起きたスリーマイル島原発事故のような事態は起きないとされてきた。
元原子炉設計技術者で、福島第1原発4号機の設計にも携わったライターの田中三彦さんは「もし空だきが続けば燃料は溶け落ち、原子炉圧力容器の底に向かってしまう」と指摘する。
炉の床は合金製で、1500〜1600度の温度で溶け出すため、「最悪の場合は炉床が抜ける危険性もある。水が注入できない状態は、(それができた)スリーマイル島原発事故より深刻な事態」と危惧する。
小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子炉物理)は「水がなくなって、核燃料が融点を超えると、周囲も高圧になって水が入りにくくなる。今回のように電源がなくなり緊急炉心冷却装置も作動していない場合は、とにかくあらゆる手段で注水し、燃料棒を冠水させていくしかない」と指摘する。
一方、有冨正憲・東工大原子炉工学研究所教授(原子力熱工学)は「空だきの状態が2時間20分も続いた場合、燃料棒の一部が溶けている恐れがある。ただし、その後、圧力容器内に水が満たされていれば、溶けた燃料が水の中で固まるため、圧力容器が損傷する心配はまずないと考えていい」と話す。
◇陸への影響「限定的」
14日起きた3号機での水素爆発によって、原子炉建屋の上部外壁が吹き飛んだ。建屋から飛散した放射性物質はどんな影響を及ぼす可能性があるのか。
東電によると爆発当時、西〜北西の風が吹いていた。豊橋技術科学大の北田敏廣教授(大気環境工学)は「今日のような雲の多い日は海陸風があまり目立たず、大部分は太平洋方向に流れたと考えられる。陸地への影響は少なく、健康に影響が出ることはないだろう」と見る。一方「放射性物質が付着した微粒子の大きさにもよるが、1000分の1ミリ以下だと滞空時間はかなり長くなり100〜200キロ運ばれることも珍しくない」と話す。
実際、1号機で水素爆発が起きた12日午後に放出された放射性物質は南風に運ばれ、13日未明、約120キロ北にある東北電力女川(おながわ)原発で基準値を超える21マイクロシーベルト(1時間当たり)の放射線量が観測された。
北田教授は「晴れた日の昼間は海から陸へ風が吹く。それまでに何とか(放出する事態を)終息させてほしい」と話した。
原子炉内の燃料棒は通常水中にあり、水を循環させて水温をコントロールしている。しかし震災で循環が止まったため、熱で水が蒸発し、水位が下がった。露出した燃料棒は過熱状態となり、燃料棒を覆う管のジルコニウムが水と反応して水素が発生した。水素は高温になるほど多く発生するため、爆発の危険性も高まる。
3号機の爆発は、1号機より大規模だったとみられる。NPO法人「原子力資料情報室」の上沢千尋さんは「(1号機より)燃料棒の溶融が進んだため水素が大量発生したか、格納容器内から建屋への水素漏えいが想定以上なのではないか」と話す。
【ことば】メルトダウン 燃料棒を納めた原子炉圧力容器内で、冷却水がなくなるなどして炉心が異常過熱し、燃料棒が溶け出す現象。原子炉で起こる重大事故の一つ。やがて溶けた燃料が圧力容器の底を溶かして外側の格納容器内に落下、水などに触れて大爆発を起こし、大量の放射性物質を外界にまき散らす危険性がある。79年3月、米ペンシルベニア州スリーマイル島原発2号機で起きた事故は、給水ポンプが停止して炉心の圧力が上昇。原子炉は緊急停止したが、圧力を逃がす弁が開いたままになり、冷却水が蒸発し続けてメルトダウンにつながった。
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東日本大震災:枝野長官「水位は上昇」2号機の燃料棒露出
東日本大震災:2号機炉心「一時空だき」 燃料棒露出
東日本大震災:専門家「広範囲に影響必至」 福島・3号機
毎日新聞 2011年3月14日 22時37分(最終更新 3月15日 0時31分)
第一原発3号機から灰色の煙、作業員が退避
読売新聞 3月21日(月)16時59分配信
東京電力によると、21日午後3時55分頃、福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋屋上の南東側から、灰色がかった煙が出ているとの連絡が現場作業員から本店に入った。
煙が出ているのは、使用済み燃料プールがある付近だという。東電では電源復旧作業などを一時中断し、作業員を避難させた。煙の量は少なくなっているという。東電は、消防に通報するともに状況を確認している。 .最終更新:3月21日(月)16時59分
3号機から“灰色がかった煙”
3月21日 16時59分
東京電力福島事務所によりますと、21日午後3時55分ごろ、東京電力福島第一原子力発電所の3号機の屋上南東よりの場所からやや灰色がかった煙が上がっていると、現場から連絡があったということです。その後、煙は当初より少なくなりましたが、念のため消防に連絡したということです。東京電力では作業員を避難させ、現場の確認を進めています。経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、原発の敷地内の放射線量に、今のところ異常を示すような変化はないということです。煙が上がっている建物の南東側は、使用済み燃料プールがある場所だということです。
放射線量に変化なし…灰色の煙出た3号機周辺
. 福島原発
原子力安全・保安院は21日夕、福島第一原子力発電所3号機から灰色の煙が上がったことについて記者会見し、原子炉周辺の放射線量には特に変化はみられないと説明した。
また、3号機には通電していないため、漏電やショートは考えにくいとしたが、原因は不明だという。
午後5時15分現在、煙の量は少なくなっているが煙が出続けている。
(2011年3月21日17時50分 読売新聞)
署内に怒声、医療関係者に緊急通行許可下りず
. 巨大地震
岩手県内陸部の警察署。交通課の窓口で、「被災者の命を見捨てるんだな」という鋭い声が響いた。
声を荒らげたのは緊急通行車両の申請に訪れた医療関係者。被災地で必要な薬を届けたいという。
結局、許可は下りなかった。
この警察署では、地震後、緊急通行の許可を求め、医療、行政関係者の申請が殺到、1週間余で数百枚が発行された。
「緊急」の文字が記された「標章」があれば、通行規制区間への進入が可能だ。同時にガソリンスタンドでの給油を優先的に受けられるため、被災地への支援や連絡に往復するためのガソリン確保をと、申請する人が後を絶たない。
一方で、岩手県内では徐々に通行規制が解除され、主な道路では東北道のみになった今、緊急通行許可は、高速道を使った長距離移動を除いて下りなくなった。
しかし、ガソリン不足は深刻で、盛岡市や近郊では、ガソリンスタンドの行列が数キロの長さになることもある。奥州市内では、ガソリンを節約するために車内で眠るのに石油ストーブで暖を取っていた男性が一酸化炭素中毒死する事故も起きた。
許可証へのニーズは高まるばかりだ。ある警察署幹部は「助けたい気持ちは痛いほどわかる。でも、今の制度のままでは車の給油を目的に許可は出せない」と苦しい胸の内を明かした。
(2011年3月21日14時35分 読売新聞)
大阪府議会議長「この地震が起こってよかった」
. 巨大地震
4月1日告示の大阪府議選に立候補予定の自民党の長田義明・府議会議長が、20日に行われた事務所開きで、東日本巨大地震に触れ、「大阪にとって天の恵みと言うと言葉が悪いが、本当にこの地震が起こってよかった」と発言していたことが分かった。
橋下徹知事は大阪湾岸にある府咲洲庁舎(旧WTC)に庁舎を全面移転させる構想を持つ。しかし、地震で咲洲庁舎のエレベーターや壁の一部などが損傷し、防災拠点にふさわしいか再検証する考えを示している。
全面移転に反対の立場をとる長田氏は、あいさつで移転問題に言及して「よかった」と発言。「橋下知事の考えが間違っていたことが示された」などと話したという。
長田氏は取材に「会場では黙とうもしており、被災者を思う気持ちはみんなと同じ。ただ、発言は不謹慎で、言ったことが悔やまれる」と話した。
(2011年3月21日11時20分 読売新聞)
「ふざけんなよ」フジTVスタッフ、首相会見で
. 巨大地震
東日本巨大地震に関連し、フジテレビは12日夜の菅首相の記者会見を中継する際、取材スタッフの音声が誤って数秒間放送されてしまったとして、21日、謝罪した。
音声は「ふざけんなよ、また原発の話なんだろ」「あ、笑えてきた」などと、聞き取れる内容だった。同社広報部によると、12日午後8時32分頃、音声機器のトラブルが発生し、それを解消しようとした際の操作ミスだといい、「中継がつながらない状況についての内容だったが、誤解を招くような発言が外に出たのは反省している」とした。また「今後、このような事態が発生しないよう、取材、放送を続ける」とコメントした。
(2011年3月21日17時14分 読売新聞)
波打つレール・傾く電柱…常磐線・水戸—勝田間
. 巨大地震
ゆがんだレールを修復する作業員。線路脇の電柱も傾いている(茨城県ひたちなか市で) JR水戸支社は20日、同支社管内で被害が深刻な場所の一つ、常磐線水戸—勝田駅間にある武田宮前踏切周辺(茨城県ひたちなか市)を報道陣に公開した。
茨城県内では現在も、常磐線土浦駅以北や鹿島線(延方—鹿島神宮駅)、水郡線、水戸線の全線が不通となっている。昼夜を問わず、懸命な復旧作業が進んでいるが、被害が広範囲に及んでいるうえ、修復箇所が多く、復旧の見通しが立たない状態だ。
武田宮前踏切周辺は、緊急停止した下り特急列車が残り、電架柱も傾いたまま。地震でレール下の盛り土が沈下した影響で、長さ約100メートルにわたってレールが大きくゆがみ、波打っている。盛り土は最大で約1メートル沈み、約40人の作業員が線路内の亀裂やくぼみを埋め、盛り土を元の高さに戻し、新しいレールに交換する作業に追われている。
土浦—勝田駅間で修復が必要な箇所は、確認できただけでも大小合わせて500か所以上になるという。
一方、JR水戸駅(水戸市)もホームや線路の損傷が激しく、大規模な修復工事が必要だ。ホームに掲げられた「水戸」の看板は外れ、垂れ下がった状態に。天井や壁の一部も剥がれ、南口と北口を結ぶ通路のコインロッカーも倒れた。同支社は「1日も早い復旧に向けて作業を続けているが、被害が広範囲で修復箇所も多い。電気設備の確認や車両点検も必要で、まだ時間がかかる」としている。
(2011年3月21日10時45分 読売新聞)
放射線量に変化なし…灰色の煙出た3号機周辺
. 福島原発
原子力安全・保安院は21日夕、福島第一原子力発電所3号機から灰色の煙が上がったことについて記者会見し、原子炉周辺の放射線量には特に変化はみられないと説明した。
また、3号機には通電していないため、漏電やショートは考えにくいとしたが、原因は不明だという。
午後5時15分現在、煙の量は少なくなっているが煙が出続けている。
(2011年3月21日17時50分 読売新聞)
福島第一原発2号機建屋から白煙
. 福島原発
経済産業省原子力安全・保安院は21日、同日午後6時20分頃、東京電力福島第一原子力発電所2号機の原子炉建屋から、白煙が上がったことを明らかにした。
(2011年3月21日19時13分 読売新聞)
3号機水位不明…プール破損なら放水漏出の恐れ
. 福島原発
3号機ではすでに、1425トンのプールの容量を大幅に上回る計3742トンが放水されているが、水位は依然として、不明のままだ。
4号機については、プール自体が破損している可能性も指摘されている。
プールでは通常、冷却水を循環させながら燃料を冷やしているが、地震で循環が止まり、水が過熱して蒸発している可能性がある。
京都大原子炉実験所の宇根崎博信教授は「3号機に初めて放水した際、水蒸気が激しく噴出したことから見て、水は極めて少なかったはず。途中で拡散したり、プール以外にかかったりするため、実際にたまった水は放水量の数分の1ほどでないか」と指摘する。
3、4号機ともプールがある原子炉建屋は爆発や火災に伴って、大きく損壊しており、がれきがプール上をふさいでいる可能性も否定できない。
さらにプール自体が破損していれば、放水した水が漏れだし、水位が回復していない可能性もある。米紙ロサンゼルス・タイムズの電子版は18日、米原子力規制委員会の見解として、4号機の使用済み核燃料一時貯蔵プールの壁か床が破損している可能性を指摘した。
プールの水面の周囲は高さ約1メートルの壁で囲まれている。通常、あふれた水は緩く傾斜した床を流れ、「ファンネル」と呼ばれる建屋内の排水溝に集まる。これが地下にある「ドレンピット」と呼ばれるタンクにたまる仕組みだ。
その後、ポンプで廃棄物処理建屋に送られ、水中の放射性物質濃度が高ければ希釈などの処理が行われるが、停電でポンプは起動していない。経済産業省原子力安全・保安院によると、排水が流れる配管の健全性も確認されていないという。
事故発生後、海水の放射能汚染に関するデータは公表されていないが、林勉・元日立製作所原子力事業部長は「原子炉建屋が損壊しているため、放水された水が下の階や建屋の外へ漏れ出す可能性は否定できない。水が建屋内の放射性物質を取り込み、土壌に染み込ませてしまう可能性も考えられる」と指摘する。
(2011年3月21日19時58分 読売新聞)
3号機建屋から灰色の煙、放射線量変化なし
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煙を出す福島第一原発の3号機周辺=東京電力提供 東京電力福島第一原子力発電所3号機で21日、煙が発生した。
経済産業省原子力安全・保安院に東電から入った連絡によると、午後3時55分ごろ、3号機原子炉建屋の南東側、使用済み核燃料プールの上側にあたる部分から、灰色がかった煙が認められた。
白煙でないため、水素爆発や水蒸気爆発ではないとみられる。原子炉の圧力などの状態を示す各種データや付近の放射線の計測値には今のところ変化がなく、保安院は燃料に異常は起きていないとみている。当初より量は減ったものの、午後5時15分の段階でまだ煙の発生は続いている。
この日は、各号機で電源の復旧作業が行われたが、当時、3号機には通電されておらず、漏電による出火の可能性はないという。
3号機から北西約500メートル離れた事務本館北側で調べた放射線量は、出火直前の午後3時50分で毎時2013マイクロ・シーベルトだったのに対し、同午後4時半で2015マイクロ・シーベルトとほとんど変化がない。
(2011年3月21日19時01分 読売新聞)
石油22日分を追加放出…石油危機以来最大
. 巨大地震
経済産業省は21日、東日本巨大地震の被災地で深刻化しているガソリンや灯油の供給不足を解消するため、民間企業の基地に備蓄している石油を追加で22日分(924万キロ・リットル)、放出すると発表した。
日本には海外からの原油の供給途絶に備えて164日分の原油が蓄えられている。今回の放出は、民間基地にある67日中の約3分の1に相当する。
22日間の引き下げは、石油危機を契機に備蓄が始まって以来、過去最大だ。経産省は14日にも3日分を引き下げており、放出は計25日分となる。民間企業の備蓄義務を軽減し、市場に出回るガソリンや灯油、軽油などの供給量を維持する狙いがある。追加放出は、1か月間の措置とする。
被災地では道路の寸断などでガソリンの供給が滞っている。被害の少ない首都圏でも、東京電力の計画停電により鉄道がストップするとの懸念から、ガソリンを買い占める動きが目立っている。経産省は14日に民間備蓄義務を引き下げたのに続き、17日に西日本の製油所の稼働率向上やタンクローリーの追加投入などによる緊急対策を発表し、早期の改善を目指していた。
(2011年3月21日19時34分 読売新聞)
陸自160人決死の放水、15キロ防護服で接近
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防水作業の開始前、打ち合わせをする自衛隊員ら(18日、陸上自衛隊撮影) 緊迫状況が続く東京電力福島第一原子力発電所。自衛隊は、陸自中央即応集団(CRF)に所属する中央特殊武器防護隊(中特防)を中心に、被曝(ひばく)の恐怖と戦いながら、決死の作業を続けている。
「原子炉への放水など訓練したこともないが、我々はその任を全うしなければならない。今が正念場だ」
CRFの宮島俊信司令官(陸将)は、自らに言い聞かせるようにそう話す。
「原子炉の冷却機能が喪失した」との連絡で、震災当日の11日夜、中特防を現地に送り出した。中特防は核や生物・化学兵器によるテロ攻撃などに対処する専門部隊。全勢力の約160人が、放射能漏れに備えて派遣された。部隊は13日から冷却用の海水をくみ上げ、原子炉格納容器に注入する作業を指示された。
だが、14日午前11時過ぎ、3号機の原子炉建屋が水素爆発で吹き飛び、事態は急変した。
「隊員が行方不明」。事故の知らせにCRF司令部(東京・練馬)は凍り付いた。事故は隊員6人がポンプ車2台と四輪駆動車に分乗して現場に着いた瞬間だった。爆発した建屋と車両との距離は20メートル。吹き飛んだ外壁のコンクリート片が3台の車両を直撃、6人は大破した車からはい出し、自力で避難した。隊員4人が足の裂傷などのけがを負ったが、「外壁の破片が1メートルずれて落ちていたら、とても軽傷ではすまなかった」と陸自幹部は振り返る。
安堵(あんど)する間もなく、今度は原子炉建屋に対し上空からの放水を要請された。
山林火災で慣れているとはいえ、原子炉上空には高濃度の放射線が放出されている。放水の際、隊員はヘリの中で腹ばいになり、中央の穴から目標を見定めなければならない。陸自は急ぎ、放射線を透過しにくい鉛板をヘリに敷き、17日午前に離陸した。
CRF所属の第1ヘリ団(千葉)が、CH47ヘリ2機で計4回の空中放水を試みたものの、隊員が浴びる放射線量が多く、効果も限られていた。このため同日午後には、車両の中から放水できる特殊消防車による活動に切り替えた。
隊員は戦闘服の上に粉じんやウイルスの侵入を防ぐ衣服を着用、その上から厚さ3ミリの鉛板が埋め込まれた約15キロの放射線防護服を着込んでの作業だ。
放水目標は、3号機の使用済み核燃料一時貯蔵プール。「1号車命中」「2号車命中」。CRF司令部に次々と連絡が入る。
約50メートルの距離から放水した17日に比べ、18日は10〜20メートルにまで接近した。防護服を着ても防げる放射線は限定的で、中特防の隊員が化学防護車の中で被曝線量を測り続けている。陸自幹部は「隊員たちはよく頑張っている」と語る。想定をはるかに超えた過酷な状況下で、作業は続く。(編集委員 勝股秀通)
死者・不明者2万7千人超す 警察庁2011年3月21日18時59分
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. 東日本大震災による死者は21日、警察庁のまとめによると8600人を超えた。行方不明者は約1万8千人にのぼり、合計で2万7千人を超えた。
同庁の集計で確認された死者は8649人。内訳は宮城県が5244人、岩手県が2650人、福島県が699人など。津波の被害を受けた宮城県石巻市の亀山紘市長は21日、市役所であった政府への被害状況報告で「死亡者数は1万人を超えると予測している」としており、被害はさらに膨らみそうだ。
亀山市長は、市内の全世帯数約6万1千のうち、4分の1に当たる約1万5千世帯以上が家屋を失ったとみられるとも報告した。人口の8割が何らかの被害を受けたという。
.
震災後の株式市場、乱高下繰り返す 復興を願い今後の市場を展望
MONEYzine 3月19日(土)14時0分配信
3月11日に発生した東日本大地震とそれに伴う津波は、東日本エリアに深刻な被害をもたらした。この影響を受け、東京株式市場の株価も不安定な動きを続けている。週明けの東京株式市場の日経平均株価は大幅安で始まり、14日の終値は633円94銭安の9620円49銭となった。また翌15日は1015円34銭安の8605円15銭と、昨年来安値を更新。下落率は歴代で3番目の大きさ、下落幅でも17番目の大きさとなった。
日本企業の業績が上向きつつあり、株価の回復が期待されていただけに、今回の震災は市場に大きな衝撃を与えた。
今後の株式市場については、さまざまな見方がある。そこで今回の震災同様、大きな被害をもたらした1995年の阪神淡路大震災後の株価の動きを振り返ってみたい。95年1月17日に発生した地震翌日の日経平均株価は、大きく下げることはなかったものの、その後ジリジリと値を下げ、1月23日の月曜日の株価は暴落した。終値は1054円安の1万7785円49銭で、下落率は5.60%に及んだ。
震災直後は「復興需要で建設や住宅関連は上昇が見込める」「壊れた家財道具に対する需要がある」といった楽観的な見方が一部であったものの、その後テレビなどで放送された被災地の映像を見て、地震による被害の深刻さが明らかになったことが、暴落につながったとみられる。
今回の震災で影響を受けた経済規模は、道路などのインフラへの被害が広範囲に及んでいることや、原子力発電所の事故による電力不足も重なっていることから、阪神淡路大震災よりも影響は大きいとみられている。
ただ「山高ければ、谷深し」などといった相場格言があるように、暴落すればその反動で急騰するケースが多い。阪神淡路大震災から1カ月後の日経平均株価は1万7830円02銭で、暴落時の終値を上回っている。
また、2001年の9月に発生したアメリカ同時多発テロでは、直後の日経平均株価は6.98%暴落したが、1カ月後は1万632円35銭まで回復し、暴落時の終値を1割ほど上回っている。株式市場の予想は難しく、過去の経験則が必ず当てはまるわけではないが、震災復興の兆しとともに今回も反発する時期が必ずくるであろう。
(サイトウ イサム 、 加藤 秀行)
都知事、消防隊への圧力に抗議=原発放水「速やかにしないと処分」−海江田氏発言か
時事通信 3月21日(月)17時56分配信
東京都の石原慎太郎知事は21日午後、首相官邸で菅直人首相と会い、福島第1原発での放水作業をめぐり、政府関係者から東京消防庁ハイパーレスキュー隊幹部に対して「速やかにやらなければ処分する」との圧力的発言があったとして、抗議した。石原氏によると、首相は「陳謝します。大変申し訳ない」と述べた。都関係者は、発言は海江田万里経済産業相からあったとしている。
石原氏は会談後、記者団に「現場の事情を無視して、(放水作業を)速やかにやれ(と指示があった)。やらなければ処分する、ということを上から言ってはいけない」と強調。さらに、「担当大臣か何か知らないが、恐らく上から来るのだろう。そんなばかなことを言ったら戦が戦にならない。絶対言わせないでください」と首相に申し入れたことを明らかにした。
また、同隊が使用した放水車の連続放水能力は4時間が限度だったが、政府側の指示で7時間連続で放水したため、石原氏は「完全に壊れた」と説明した。
一方、枝野幸男官房長官は同日午後の記者会見で「これから調査する」と述べるにとどめた。
福島第1原発 周辺の津波 14メートル以上の可能性
毎日新聞 3月21日(月)20時25分配信
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福島第1原発。左から1号機、2号機、3号機、4号機=福島県田村市上空で2011年3月13日、本社ヘリから西本勝撮影
東京電力福島第1原発周辺で、14メートル以上の津波が押し寄せた可能性があることを21日、経済産業省原子力安全・保安院が明らかにした。設計時に想定した津波の高さの3倍近い。東電と保安院は、津波が原発の安全の根幹にかかわる原子炉の冷却機能を喪失させ、今回の事故につながったとみており、他の原発でも再検証が求められるのは必至だ。
【写真特集】3月11日 東日本大震災発生当日
保安院は同日午後の会見で、「津波の高さは一番高い所で(水が)触れたものを見れば分かる。未確認だが、14メートルの高さの駐車場を超えていると聞いた」と説明した。東電が同原発で設計時に想定した津波の高さは約5メートル。津波は浅い海岸付近に来ると波の高さが急激に高くなる特徴があるほか、連続して押し寄せるため、沿岸に到達した津波の高さ以上まで駆け上がる。
今回、同原発では、3号機を襲った東西方向の揺れの強さが507ガル(ガルは加速度の単位)と、保安院が耐震安全の基準値として認めた数値の1・15倍だったのを除き、揺れはおおむね基準値を下回った。しかし、敷地内にある原発に送電するための鉄塔が倒壊。さらに津波の影響で、原子炉を冷やすための緊急炉心冷却装置(ECCS)を駆動する非常用電源が6号機を除いて使えなくなり、外部からの受電設備も水没して事態を悪化させたとみられる。
東電は今回の事故を、設計時の想定を超えて炉心の損傷につながるような「過酷事故(シビアアクシデント)」と認めている。保安院によると、東電は複数の対策シナリオを国の指示で02年に作成したが、津波による被害は考慮されていなかった。国の「原子力白書」でもシビアアクシデント発生の可能性について「工学的には考えられないほど低い」などとしていた。【八田浩輔、山田大輔】
「心からおわび」と謝罪=廃炉は明言避ける—東電副社長
時事通信 3月21日(月)22時17分配信
福島第1原発の事故で、東京電力の武藤栄副社長(原子力担当)は21日、東京都千代田区の本店で記者会見し、「ご迷惑をお掛けし心からおわび申し上げます」と謝罪した。一方、廃炉については「安全な状態にするのが一番で、申し上げる段階ではない」と述べ、明言を避けた。
同副社長は、枝野幸男官房長官が廃炉の見通しを示したことについて「(発言内容は)新聞で見た。厳しい状態とは理解している」と述べるにとどまった。廃炉の可能性が増す海水注入の判断について「遅いのでは」と問われると、「比較的に早いうちに頭に入れていた」とした。
東電が気象情報などをもとに独自に作成している放射性物質に関するシミュレーションの公表を求められると、同副社長は「不確実な要素があるので」「継続的に事態が進展しているので」などと否定的な回答を繰り返した。
ホウレンソウなど出荷停止=菅首相、4県に指示
時事通信 3月21日(月)18時6分配信
福島第1原発事故の影響で農産物から食品衛生法の暫定規制値を超える放射性物質が検出された問題で、菅直人首相は21日、原子力災害特別措置法に基づき福島、茨城、栃木、群馬の各県産ホウレンソウとカキナ、福島県産の原乳について、当面、生産者など関係者からの出荷の停止を各県知事に指示した。規制値を超える農産物が流通するのを防ぎ、消費者の不安を解消するのが狙いだ。
枝野幸男官房長官は同日の記者会見で、出荷停止の農産物について、「仮に口に入ったとしても、直ちに健康に影響を及ぼすものではない」とした上、「万が一、中長期に継続した場合に備え、今から規制をかけた」と説明した。
同原発事故を受け、厚生労働省は食品衛生法に基づき農産物に関する暫定規制値を設定し、自治体が検査している。これまでに福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県の農産物で規制値を超える放射性ヨウ素などが検出され、各県は出荷自粛や回収を農協や生産者に要請した。
ただ、どの地域を出荷停止にするのかなどは都道府県の判断に委ねられ、対応がばらつく恐れがあった。今回の措置により、対象の県全域で、3品目は出荷できなくなる。
枝野長官は、出荷停止の解除時期に関して「現時点で見通しは立っていない」と述べた。また、今回の措置で損失を被る生産農家への対応について、「適切な補償が行われるよう万全を期す。東京電力が責任を持つが、十分補償できない場合、国がしっかり担保する」と強調した。
東日本大震災 もろかった通信 携帯基地局が機能停止
毎日新聞 3月21日(月)20時43分配信
拡大写真
被災者の消息を尋ねる張り紙で覆われた名取市役所の玄関=宮城県名取市で、渡辺暢撮影
東日本大震災では、被災地を中心に電話などの通信手段が使えなくなり、被災者の安否確認が困難な状態に陥った。避難所では95年の阪神大震災と同様、家族に安否を知らせる張り紙が並ぶ光景も。携帯電話やインターネットの普及など、通信手段が格段に進化した今、なぜこんな状況になったのか。【堀智行、福永方人、樋岡徹也、渡辺暢】
【被災地サポート情報】
「連絡下さい」「無事です」「親戚の家に避難しました」。避難所にもなっている宮城県名取市役所の出入り口は、被災者や家族・知人らが張った連絡の紙で埋め尽くされている。訪れた人は沈痛な面持ちで文面を一つ一つチェック。友人を捜しているという男性は「地震から1週間たっても、全く連絡が取れない。せめて彼の家族の連絡先でも分かればと思って」と話した。
地震と津波で、携帯電話大手3社の東北や関東地方の基地局は最大で▽NTTドコモ6720カ所▽ソフトバンクモバイル3900カ所▽au3680カ所−−が機能を停止。固定電話もNTT東日本の中継局が被害を受け、約136万回線が不通になった。
携帯各社は、基地局の地震対策を進めてきた。原則として震度6強程度の揺れに耐えられるよう設計され、バッテリーが数時間〜十数時間持つ予備電源も装備。停電時は予備電源に切り替え、その間に移動電源車を派遣するなどして復旧することにしていた。
ところが今回は、津波警報が長時間解除されなかったうえ、水が引いた後もがれきが残り、車両が被災地に立ち入れなかった。そもそも移動基地局車は3社で計約70台、移動電源車計約110台で、これほどの広域災害には対応できないのが現状だ。
過去の災害では、一つの基地局が使えなくなっても、周辺の複数の基地局がカバーした。今回は広範囲が同時に被災し、バックアップできなかった。
21日午後1時現在、大手3社の計約2000カ所の基地局が未復旧。auの広報担当者は「これほどの大津波は想定外。被害状況すら把握できていない局もあり、完全復旧には時間がかかる」と話す。
基地局が無事だった地域でも、通話の集中でシステムがダウンすることを防ぐため、発信が一時規制された。発信規制は最大で▽au95%▽ドコモ90%▽ソフトバンク70%、NTT東日本も90%−−でほとんどつながらない状態に。インターネット経由の通信も規制され、「災害用伝言板」すら接続しにくくなった。
実は、固定電話も災害に弱くなっている。黒電話などアナログ回線を使っている古いタイプの機種は、電話線から電源が供給され、停電時でも使える。一方、留守番電話やファクス機能などがある電話機やIP電話の場合、電話線とは別に電源が必要で使えない。
このため、優先的につながる公衆電話が残された連絡手段となった。だが、00年には全国で約73万6000台あったが、10年には約28万3000台に激減し、この10年で約6割が姿を消した。
公衆電話には最低限の通信手段を確保するため、電気通信事業法で設置が義務付けられた「第1種」と、任意で設置する「第2種」がある。第1種は市街地では500メートル四方ごと、それ以外では1キロ四方ごとに1台は設置しなければならない。
携帯電話の普及で公衆電話は09年度には約74億円の赤字になり、NTTは第2種の公衆電話を順次廃止している。ところが、第1種すら十分ではない。
05年度の会計検査院報告書によると、第1種は全国の約24万2000区域に1台ずつ配置することになっている。06年3月末現在、第1種が複数台ある区域がある一方、公衆電話が1台もない区域が全国で約6割の約13万7800カ所もある。公衆電話がない区域は▽宮城県56%▽岩手県76%▽福島県69%▽東京都12%−−となっている。
加入電話は約14万8500回線(20日午後1時現在)が不通で、全面復旧のめどは立っていない。NTTは宮城県の避難所などを中心に約1900台の特設公衆電話を設置し、無料で開放している。NTT東の広報担当者は「第1種は最低限の通信手段なので当然維持するが、第2種は利用状況をみて考えたい」と話した。
国内でも利用者が増えているツイッター。インターネット上で交信するため、被災を免れた基地局のある地域では携帯電話の通話が集中した場合でも比較的つながりやすい。多機能携帯電話のスマートフォンの普及で気軽に使える情報ツールとなったこともあり、安否確認などに役立つケースもあった。被災地の自治体も、ツイッターを活用している。
だが、被災者にはお年寄りも多く、ツイッターなどを活用している人は少ないとみられ、「情報格差」が浮き彫りに。一方、誰でも気軽に発信できるツイッターは未確認情報が拡散するリスクもある。今回の震災でも「デマ」が流れて混乱を招くケースが出るなど、新たな課題も浮上している。
石川 迪夫(イシカワ,ミチオ)
肩書
原子力発電技術機構特別顧問、元北海道大学工学部原子工学科教授、武蔵工業大学客員教授
専攻分野
原子力発電及びその安全工学
加入団体
日本原子力学会、日本機会学会
生年
昭和9年3月2日生 出身地:香川県
学歴
東京大学工学部機械工学科〔昭和31年〕卒
東京大学〔昭和47年〕博士
学位
工学博士
職歴・経歴
昭和31年 倉敷レーヨン勤務
昭和32年 日本原子力研究所入所
昭和44年 日本原子力研究所安全工学部反応対安全研究室長
昭和49年 日本原子力研究所主任研究員
昭和58年 日本原子力研究所安全解析部長
昭和60年 日本原子力研究所動力試験炉部長
平成元年4月 日本原子力研究所東海研究所副所長
平成元年11月 日本原子力研究所特別研究員
平成3年4月 北海道大学教授
平成9年4月 現職
著書・編著・共著
「原子炉の暴走 」 ; 日刊工業新聞社
「原子炉解体 」 ; 講談社 他
円卓会議について一言
原子力に対する誤解を正しながらモデレータ役を果たす所存。
緊急地震速報、的中3割に低下「誤報と思わず身構えて」2011年3月21日21時25分
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. 震度5弱以上の地震が来る前に発表する気象庁の緊急地震速報が、東日本大震災後に多発する余震で、精度が落ちている。信頼が損なわれているが、それでも3回に1回ほどは的中しており、専門家らは「大きな余震が続く可能性が高い。誤報と思わず身構えてほしい」と呼びかけている。
緊急地震速報は、震源近くの地震計で最初の揺れをとらえ、瞬時に地震の規模や震度を計算、最大震度5弱以上と予測すると速報する。2007年から運用を始め、震災前までは17回のうち10回で確率は58%だった。
ところが、11日の東日本震災後から20日までに速報は36回出たが、実際に震度5弱以上の揺れがあったのは11回で、的中の確率は約30%となっている。システムが同時に複数の地震を想定していないことが原因で、地震の規模や発生場所を誤って計算して速報が出ることがあるという。すぐに改良する予定は無く、地震後の余震がおさまるまで誤報は続く見込みだ。
速報作りに携わった名古屋大の福和伸夫教授(地震工学)は「テレビでBGMのように連日流れて、オオカミ少年のようになってしまっている」と指摘。当初から巨大地震では限界があることが分かっていたといい、「火の注意、背の高い家具から離れるなど数秒で揺れに備えることができる。システムの限界を理解して、うまく利用してほしい」と話す。
気象庁は「自分の住んでいる地域が速報の対象外でも、地震が来ることもあり得る。誤報と思わず身を守ってほしい」と呼びかけている。(川原千夏子)
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原発はいっそう推進すべき! 石川迪夫氏の発言
2011.03.19 Saturday10:57. 石川迪夫氏(一般社団法人日本原子力技術協会最高顧問、日本原子力技術協会前理事長)は、テレビ朝日BS放送で、「予断許さぬ福島原発事故〜危機回避へどうする、どうなる!」と題した番組「激論、クロスフィア」で述べた。
自分は「心の問題であり、90km圏内に孫などと住んでいて私は何の問題もない」などとも語った。氏は原発推進派の中心人物だ。氏の口から、このような事態になったのは遺憾だ、謝罪するという言葉は何も出てこなかった。安全性をどう確保していくかという質問にたいして具体的な回答もなく、ただ問題がないということだけをただただ強調したかったようだ。もしそうであれば、家族ともども即刻現場に転居し冷却作業を手伝ってもらいたいものだ。
これほど国民が不安を感じ、混乱している状況である。想定外の出来事、風評被害による混乱として片付けられていることが残念だ。このまま原発を推進されたらたまったものではない。まずは今後、今回の状況を冷静に科学的に確かめ総括し、そして問題がクリアされるまでは原発は現状を凍結すべきだ。問題がクリアされない限り軽々しく原発推進を行うという発言をするのはどうか。
確かに現在の電力需要をこれまでどおり賄い、ますます経済性を高めるためにはエネルギーは必要であろう。しかし現状はあまりにも無駄な電力使用が多すぎる。想定外の自然現象の可能性を考えれば失うものがあまりにも大きすぎる。今回の福島原発事故で、いまどれほどの人が不安を感じ、最悪の事態を回避するために関係者がどれほど危険な作業をしているのかを考えてほしい。
テレビ朝日BS放送「激論、クロスフィア」
http://www.bs-asahi.co.jp/crossfire/
参考記事
「福島原発「安定には少なくとも1週間」
日経 3月18日
http://www.nikkei.com/news/
東日本大震災:原子力施設集中の東海村、風評被害を警戒 農産物への影響不安 /茨城
毎日新聞 3月19日(土)14時10分配信
東日本大震災後、日本原子力発電東海第2原発を抱え、原子力関連施設が集中する東海村に入った。約110キロ北方では福島原発周辺の放射線量が高まり、住民不安を招いているが、村内の原発は安定した状態が続いている。1999年の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事務所で起きた臨界事故では「放射能汚染した村」という風評被害で農産物の流通などで大打撃を被った経験があるだけに、村民は放射線以上に風評への警戒心を強めている。【大久保陽一】
村では震災直後、約4000人が村内各地域のコミュニティーセンターなどに避難した。その後、電気は通ったが、村全体の3分の1で断水が続いており、18日午後6時現在で93人が避難所生活を続けている。村内の舟石川コミュニティーセンターに避難した主婦(50)は「できれば県外に出たいけれど、ガソリンがない」と不安そうな表情で話した。
福島原発事故の影響で北風が吹いた15日には一時、通常時の約110倍にあたる5マイクロシーベルトを観測し、JAひたちなかには、組合員から農産物への影響を心配する問い合わせが相次いだ。JCO臨界事故の風評被害では、事故後4カ月で「東海ネギ」の売り上げが平年の4億円から2億2000万円に落ちた過去がある。JAひたちなかの担当者は「実は風評被害が一番怖い」と話し「事態を見守るしかない」と冷静な対応を呼び掛けている。
村役場も風評被害対策には敏感に対応している。放射線量の数値が上がった15日、建設業者の間で「原子力機構の職員も退避している」との誤った情報が流れ、屋外で道路の復旧工事をしていた建設業者が作業を拒否する事態が発生。災害対策本部会議を1日3回開き情報収集をしている村役場がすぐにキャッチし、村幹部の前田豊理事が業者を説得し誤解を解いたという。文部科学省から出向している前田理事は、JCO事故の際にも県の原子力安全調整監として事故対応を取った経験があり「JCO事故を教訓に、村民にはしっかりした原子力への知識がある」と不安解消には正確な情報伝達が不可欠との認識を示した。
一方、反原発運動を続ける相沢一正村議は、津波に襲われた東海第2原発で非常用の発電機が3台中2台のみで冷却機能が保たれたことについて「想定外の事態にも備えておく必要があったはずだ」と指摘。「原子力はもう終わりだ」と批判を強めている。
◇東海村長「津波に甘さあった」
東海村の村上達也村長は、毎日新聞の単独インタビューに応じた。東日本大震災の津波の影響で東海第2原発で非常用ディーゼル発電機1台が使用できなくなり、原子炉冷却が一時危ぶまれる事態に陥ったことについて「鹿島灘で津波が来るはずがないという甘さがあった。津波の認識を改めざるを得ない」と自戒の念を示し、今後は原発の津波対策を強める必要性を強調した。
また、07年の新潟県中越沖地震を教訓に電力各社が続けてきた活断層調査に対し、村上村長は「本当に活断層調査は役に立ったのか」と疑問を呈した。
一方、村が原子力の規制と安全管理、地域社会と調和したまちづくりを目指して推進する「原子力センター構想」策定への影響については「まだ分からない」としながら、「村が原子力の安全、安心の面で世界的に貢献していくことに変わりはない」と語った。
3月19日朝刊
高エネルギー加速器研究機構(KEK)
March 19, 17:00, 2011
研究棟3号館の復電について
電力(※)
?管理局(UO含む)システム、サーバーは復旧。
PCの使用はミニマムで業務再開
?研究棟3号館は、所長・施設長の責任により事前の安全確認の上3月22日10時を目途に復電予定。よって、3号館に居室を有する職員は参集されたい
?エレベーターは当面使用不可
?照明、冷暖房 OFFは厳守
?復電後は各職員で、電気以外も含めて異常の有無を確認のこと
?3号館会議室、ホールは3号館以外の職員にも利用可能
?その他の研究棟の復電は状況を見ながら決定する
(※)KEKへの電力供給
KEKは、つくば地区における大電力需要者であることはご存じの通りです。このため、KEKは東京電力との間に特別な契約を結び、東京電力による大電力の供給を確保する条件として、電力事情により必要がある場合には、電力調整に協力することに合意しています。
今回展開されている計画停電についても、東京電力に対して特別な配慮を要請しているところですが、今後の電力全体の状況により、一層厳しい対応を求められることがあり得ることをご理解願います。
水
?飲料水の復旧は未定 — 各自で水は持参のこと
その他
?ガソリン不足に鑑み、通勤にはバスの利用、自家用車の相乗りを奨励する
【連絡先】 KEK広報室 TEL:029-***-****
mailto:proffice@kek.jp
第1報 3月13日(日)
今回の地震に関し、いくつか報告しておきます。
1.まず、J-PARC関係者においては、事故に会った人はおりませんでした。全員無事です。
2.金曜日の災害時には、私はつくばにおりました。通信が途絶え、何もすることはできませんでしたが、全員無事なことだけは、高橋ディビジョン長を通じて知りました。
3.あくる日の土曜日に、J-PARCの場所に行きました。近隣では津波の災害が頻発しておりましたが、J-PARCは、外見からみるだけでは、ほとんど遜色なく大丈夫です。しかし、地面が20-50センチほど陥没しているところが数ヵ所以上あり、また、道路もくねくねしています。現在、普通の人に対しては、J-PARCエリアも立ち入り禁止にしてあります。近隣の一般道路も、かなり damage があります。
4.地震時は、MRはオフで、Linacは運転しておりました。ただちに止めました(止まりました)が、金曜日は、取り合えずそのままにして、月曜日から対策を練ります。
5.東海は、まだ電気も水道も止まったままです。外国人のユーザーが、とりあえずは「みのうち」の宿舎等にいますが、月曜日には、何とか手を打たねばなりません。
6.J-PARCの Lan は止まったままです。現在は、今は家のコンピューターから発信しています。明日月曜日に、再度、出掛けて様子を見ますが、コンピューターが通じるかどうかは分かりません。
7.国際的にも多くの反響があったので、国際諮問委員会や加速器諮問委員会のメンバーには、現状を知らせておきました。
8.いずれにせよ、津波による被害もなく、杭をきちっと打ってあったので、建屋もしっかりとしています。内部に関しては、磁石等が倒れるということはなかったようです。放射線の問題もありませんでした。これから復旧のための議論をしますが、これに関しでは、またお知らせします。
J-PARCに関するお知らせ
第2報 3月18日(金)
1.先日書き忘れましたが、J-PARCには多くの外国人が働いております。手分けしてすべての方を調査し、13日(日)には全員つくばや東京、空港等に届けました。
2.昨日17日に、内部の調査を行ないました。リニアックとニュートリノ前置検出部に1センチ程度の水がたまっていることは見受けられましたが、それ以外は、少なくも加速器全般に亘って異常は見られませんでした。しかし、これはあくまで外見からだけなので、これから細かいところの点検は必要です。たとえば、セラミックダクトは健全かといった調査が必要です。さらに、実験室全般に亘って、大きな損傷はみられませんでした。もちろん、これも機器類の外見から見ただけです。あまり以前の状態と変わっておらず、まずはホットいたしました。多数の杭を打っておいたおかげで、建屋はびくともせず、内部にひび割れもない状況でした。ハドロンホールの拡張部分の外壁に大きなずれが見え、これは危険です。残念ながら、照明がまだなので、来週にさらに詳しい点検を行います。
3.一方、外部の受電装置は2か所ありますが、1か所が傾き、大幅な修理が必要となります。しかし、もう一方の受電装置は損傷が少なく、数日内で復旧させる予定です。可能な電源を用いて、内部の照明やポンプによる水のくみ出し、さらには、加速器の内部を乾燥させる作業を早急に始める予定です。
4.さらに、道路のみならず、実験室でも元の実験室から外に拡張して作った中性子ラインには、大きな損傷が見られます。実験室では、元の杭打ちをきちっとした実験室との間に、垂直方向に30センチほどのギャップが生じています。道路も20-30箇所潰れています。地面も、場所によって20センチから1メートルまで陥没が見られます。
5.建屋でも、外にある電源室、液体窒素タンク等での傾きがみられました。
6.しかし、肝心の加速器本体や実験室の大半は大きな損傷はなく、これは大きな救いでした。まず、二次災害が起こらないよう、通電を開始する予定です。その後、一つ一つ進めてまいります。
7.現在、東海地区は相変わらず水が止まった状態です。
東電 煙と放射線量の関連調査
3月21日 21時55分
21日午後、東京電力福島第一原子力発電所3号機から灰色がかった煙が上がり、2時間余りたった午後6時すぎまでに収まりました。一方、午後6時20分すぎには、2号機の原子炉がある建物から水蒸気のような白い煙が出ているのが見つかったということです。東京電力によりますと、この間、敷地内の放射線量は、一時、上昇傾向にありましたが、午後6時半から再び下がり始めたということで、煙との関連を調べています。
21日午後3時55分ごろ、福島第一原発3号機から灰色がかった煙があがり、煙は黒くなったり、灰色になったりしましたが、2時間後の6時すぎまでに収まり、この時点で、火は確認されませんでした。原子力安全・保安院によりますと、現場は、原子炉が入っている建物の南側の場所で、使用済み燃料プールの上に当たり、東京電力は1号機から4号機で電源の復旧作業などに当たっていた作業員全員を避難させました。一方、午後6時20分すぎには2号機の原子炉がある建物で、屋根の山側の隙間から水蒸気のような白い煙が出ているのが見つかったということです。東京電力によりますと、2号機や3号機から西におよそ1キロ離れた地点の放射線量は、午後5時40分に1時間当たり494マイクロシーベルトだったのが、午後6時半には、1時間当たり1932マイクロシーベルトまで上がりました。その後、再び下がり始め、午後8時半には1時間当たり442マイクロシーベルトに下がったということで、東京電力が煙との関連を調べています。この煙で21日に予定されていた、東京消防庁や、東京電力が手配した場所を絞って大量の水を注ぎ込める特殊な車両による放水は中止されたということです。
“現地調整所 自衛隊が指揮”
北澤防衛大臣は、防衛省の災害対策本部の会合で、福島第一原子力発電所の事故対応を協議するため設けられた、各関係機関の「現地調整所」について、菅総理大臣の指示の下、21日から自衛隊が活動全般の指揮に当たる考えを示しました。
福島第一原子力発電所の事故対応について、自衛隊や消防、東京電力などが、放水作業をはじめとした具体的な作業方針を協議する「現地調整所」が、福島第一原発から20キロほど離れた福島県楢葉町の運動施設に設けられています。
これに関連して、北澤防衛大臣は、防衛省の災害対策本部の会合で、「菅総理大臣から、福島第一原発への放水や観測作業の実施要領について、自衛隊が中心に調整するよう、警察庁長官、総務省消防庁長官、防衛大臣、福島県知事、東京電力社長に指示があった」と述べ、21日から自衛隊が活動全般の指揮に当たる考えを示しました。
また、北澤大臣は「宮城から岩手にかけての海岸沿いは、自治体が対応できず、自衛隊が責任を持って対応することになり、支援物資の輸送など、非常に作業が効率的になっている。まもなく孤立状態となっている集落に支援物資が届かない状況はなくなる」と述べました。
3月21日 17:27更新
福島第一原発3号機 灰色がかった煙
21日午後3時55分ごろ、東京電力福島第一原子力発電所3号機から灰色がかった煙が上がり、その後、煙は少なくなったということです。
経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、今のところ、原子炉のデータや、敷地内の放射線の量に異常を示す変化はないということで、東京電力は念のため午後4時9分に3号機と4号機で放水作業などに当たっていた作業員を避難させました。
21日午後3時55分ごろ、東京電力福島第一原子力発電所3号機から、やや灰色がかった煙が上がっていることを東京電力の社員が確認しました。
現場は原子炉が入っている建物の南側の場所で、使用済み燃料プールの上にあたります。
経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、煙は黒くなったり灰色になったりして、午後4時20分すぎには少なくなったということで、現場では監視を続けているということです。
今のところ、原子炉の水位や圧力などに大きな変化はないということです。
また、3号機から北西におよそ500メートル離れた地点の放射線量は、煙が確認される前の午後3時50分で1時間当たり2013マイクロシーベルトだったのが、午後4時半の時点で1時間当たり2015マイクロシーベルトと、ほとんど変化していないということです。
21日は、3号機の隣の4号機の配電盤まで外部電源を引き込むための作業が行われていましたが、原子力安全・保安院によりますと、3号機にはまだ電気が通じておらず、この作業によって火災が起きるとは考えにくいとしています。
3月21日 18:50更新
東京消防庁の放水 20時間余
福島第一原子力発電所3号機を冷却するため、東京消防庁の消防隊員が、放射線にさらされるぎりぎりの状況のなか、21日未明まで3回にわたって特殊な消防車を使った連続放水を行いました。
あわせて20時間余りに及ぶ放水で、使用済み燃料を保管するプールの容量の3倍にあたる水が放たれ、一定の効果があったとみられています。
福島第一原発の3号機は、使用済み燃料を保管したプールが冷却できなくなり、このままでは放射性物質が大量に漏れ出すおそれがあることから、政府の対策本部は、自衛隊や警視庁に続いて、特殊な消防車を数多く持つ東京消防庁に派遣の要請を行いました。
これを受けて、東京消防庁は、1次と2次の部隊に分け、あわせて241人の隊員と消防車44台を現地に派遣しました。
放水は、地上22メートルの高さから放水することができる「屈折放水塔車」という特殊な消防車を、3号機からわずか2メートルほどの場所に置き、離れた場所でくみ上げた海水をホースで送りながら連続して行われました。
現場は津波や水素爆発によるがれきなどで足場が悪く、当初計画していた岸壁に海水をくみ上げるポンプ車を置くことができず、送水にあたっては全長800メートルのホースを引かなければなりませんでした。
このうち、350メートルほどの間はホースを設置する車両が通れず、40人の隊員が2手に分かれ放射線にさらされる恐怖のなかで車から降り、長さ50メートル、重さ100キロのホースあわせて7本を手作業でつないでいくという過酷な場面もありました。
この際、作業する隊員に離脱用の車が付き添って放射線の測定を続けたといいますが、隊員の被ばく線量は最大で27ミリシーベルトで、ふだんの活動での安全の基準としている30ミリシーベルトを下回ったということです。
放水は、距離や方向を調整したあと隊員が消防車を離れて待避し、ほとんどの時間は無人で行われました。
19日に開始された放水は21日未明まで3回に分けて行われ、あわせて20時間余りに及びました。
放水された海水は燃料プールの容量の3倍に当たる3600トン余りに上り、2回目の連続放水のあとに3号機周辺の放射線の量が減少する傾向を示したことから、放水によって一定の効果があったとみられています。
東京消防庁によりますと、今後の放水については現在、東京電力などと調整中だということです。
また、大阪市消防局が隊員と特殊な車両を原発近くに派遣しているほか、横浜市と川崎市の消防局も部隊を出すことにしていて、互いの連携についても検討しているということです。
3月21日 19:30更新
▲ページトップへ.福島第一原発3号機 煙収まる
経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、21日午後3時55分ごろ、東京電力福島第一原子力発電所3号機から灰色がかった煙が上がっていることが確認され、その後、煙は少なくなっていましたが、午後6時2分までに収まり、今のところ、敷地内の放射線の値に大きな変化はないということです。
21日午後3時55分ごろ、東京電力福島第一原子力発電所3号機から灰色がかった煙が上がっていることを東京電力の社員が確認しました。
原子力安全・保安院によりますと、現場は、原子炉が入っている建物の南側の場所で、使用済み燃料プールの上にあたり、煙はその後少なくなっていましたが、午後6時2分までに収まったということです。
今のところ原発の敷地内の放射線の値に大きな変化はないということです。
この火事で、東京電力は念のため午後4時9分に1号機から4号機で電源の復旧作業などにあたっていた作業員を全員避難させました。
原子力安全・保安院によりますと、21日は、このあと、東京電力が手配した、場所を絞って大量の水を注ぎ込める特殊な車両で放水をする予定でしたが、この煙で21日の作業は中止したということです。
原子力安全・保安院と東京電力で煙が出た原因を調べています。
3月21日 19:28更新
▲ページトップへ.福島第一原発2号機でも白煙
経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、午後6時20分すぎに福島第一原子力発電所の2号機の原子炉がある建物で、屋根の山側の隙間から白い煙が出ているのが見つかったという連絡があったということです。
詳しいことは分かっていません。
2号機ではこれまでも、時折、白い煙が上がっているのが確認されています。
また、20日は、午後3時すぎから、2時間程度かけて、使用済み核燃料を保管するプールに海水およそ40トンを注入する作業を行っています。
3月21日 19:28更新
▲ページトップへ.福島第一原発3号機 灰色がかった煙
21日午後3時55分ごろ、東京電力福島第一原子力発電所3号機から灰色がかった煙が上がり、その後、煙は少なくなったということです。
経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、今のところ、原子炉のデータや、敷地内の放射線の量に異常を示す変化はないということで、東京電力は念のため午後4時9分に3号機と4号機で放水作業などに当たっていた作業員を避難させました。
21日午後3時55分ごろ、東京電力福島第一原子力発電所3号機から、やや灰色がかった煙が上がっていることを東京電力の社員が確認しました。
現場は原子炉が入っている建物の南側の場所で、使用済み燃料プールの上にあたります。
経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、煙は黒くなったり灰色になったりして、午後4時20分すぎには少なくなったということで、現場では監視を続けているということです。
今のところ、原子炉の水位や圧力などに大きな変化はないということです。
また、3号機から北西におよそ500メートル離れた地点の放射線量は、煙が確認される前の午後3時50分で1時間当たり2013マイクロシーベルトだったのが、午後4時半の時点で1時間当たり2015マイクロシーベルトと、ほとんど変化していないということです。
21日は、3号機の隣の4号機の配電盤まで外部電源を引き込むための作業が行われていましたが、原子力安全・保安院によりますと、3号機にはまだ電気が通じておらず、この作業によって火災が起きるとは考えにくいとしています。
3月21日 18:50更新
1?6号機 表面100度未満
北澤防衛大臣は、防衛省で記者会見し、福島第一原子力発電所について、19日に続いて、上空から表面温度を測定した結果、3号機の格納容器の上を除いて、1号機から6号機まで、いずれも100度未満で、専門家の分析で、使用済み燃料を保管するプールに水が入っていることを裏付ける貴重なデータになるという見方が示されたことを明らかにしました。
この中で、北澤防衛大臣は、19日に続いて、20日も午後1時ごろから、およそ1時間、自衛隊のヘリコプターが福島第一原子力発電所の上空から、赤外線を使って表面温度を測定する活動を行ったことを明らかにしました。
そのうえで、北澤大臣は、20日の測定の結果について、それぞれの表面温度は、1号機が58度、2号機が35度、3号機が62度、4号機が42度、5号機が24度、6号機が25度で、いずれも100度未満だったことを明らかにしました。
このうち、1号機、3号機、4号機については、使用済み燃料を保管するプールの表面温度とみられるとしています、この結果について、北澤大臣は「原子力安全委員会によれば、『使用済み燃料を保管するプールに水が入っていることが明らかになり、大変貴重なデータだ』という評価だった。
いずれも100度未満と言う、きのうと同様の結果で、国民に安心してもらえる数値が出て、ほっとしている」と、述べました。
3月21日 0:20更新
▲ページトップへ.自衛隊 がれき撤去で戦車派遣
福島第一原子力発電所では、水素爆発などの影響で、原子炉の建屋の周辺に高い値の放射線を出す大量のがれきが散らばり、放水活動などの妨げになっていることから、自衛隊はがれきを撤去するため、装甲が厚く、放射線に対して一定の防護能力がある戦車を派遣することを決めました。
福島第一原子力発電所で、自衛隊は東京消防庁などとともに放水活動を続けていますが、現場である3号機と4号機の原子炉の建屋の周辺には、水素爆発などの影響で高い値の放射線を出す大量のがれきが散らばっています。
防衛省によりますと、これらのがれきは隊員たちの安全を確保するうえでの大きな懸念材料となっているうえ、消防車が思うように通行できないなど、放水をはじめさまざまな活動の妨げにもなっています。
このため、自衛隊は政府の了解を得たうえで、がれきを撤去するため現場に戦車を派遣することを決めました。
派遣されるのは、静岡県御殿場市にある駒門駐屯地の74式戦車2両で、車両の前の部分にがれきを押しのける頑丈な鉄板を取り付け、作業を進めるということです。
また、戦車は装甲が厚く、放射線に対しても一定の防護能力があり、隊員は車外に出ることなく作業を行えるということです。
戦車はトレーラーに乗せられて、20日午後6時半ごろ駐屯地を出発し、20日夜、朝霞駐屯地で燃料などの補給を行い、福島県へ向かいました。
21日早朝にも現場近くの活動拠点に到着する見通しです。
3月21日 0:20更新
海水から規制値上回る放射性物質…福島第一原発
読売新聞 3月22日(火)2時17分配信
東京電力によると、福島第一原子力発電所の放水口近くで21日、海水をサンプリング調査したところ、国の規制値を上回る放射性物質が検出された。
放射性ヨウ素131は規制値の約126倍、放射性セシウム134は約25倍だった。東電は原子力安全・保安院と福島県に連絡した。
同原発3、4号機への放水や雨で放射性物質を含んだ水が海に流れた可能性があるという。 .
福島第一原子力発電所放水口付近の海水からの放射性物質の検出について
平成23年3月22日
東京電力株式会社
平成23年3月21日、周辺環境のモニタリングの一環として、東北地方太平洋沖地
震で被災した福島第一原子力発電所の放水口付近(南側)において、海水に含まれ
る放射性物質のサンプリング調査を行った結果、別紙の通り、放射性物質が検出さ
れたことから、原子力安全・保安院ならびに福島県へ連絡いたしました。
3月22日の朝、再度サンプリング調査を行う予定であり、また今後は、福島第一
原子力発電所で検出された放射性物質の海洋への拡散を評価するために、福島第二
原子力発電所でも同様のサンプリング調査を実施することとしております。
以 上
添付資料
・別紙:福島第一原子力発電所 海水核種分析結果(PDF 7.64KB)
放水で放射線減、でも3号機なぜ灰色の煙
読売新聞 3月22日(火)7時3分配信
拡大写真
読売新聞
東京電力福島第一原子力発電所3、4号機で、使用済み核燃料の一時貯蔵プールを水で冷やす「放水作戦」は21日で5日目を迎えた。原発周辺の放射線量は減る傾向にあり、効果はあったとの見方が多い。
それなのに3号機からは同日午後、灰色がかった煙が上がった。原因は不明だが、火災が発生した可能性もある。
プールに放水する理由は二つある。まず、使用済み核燃料は原子炉から出した後も自然に過熱し、空気中で高温になると溶けて放射性物質が大気中に放出される恐れがある。しかも、プールは原子炉のように厳重に密閉されておらず、建屋の壁が壊れた現状は深刻だ。
3、4号機の燃料プールには各1425トンの水が入る。3号機への放水は17日に始まり、放水量は21日午前までにプールの容量の2・5倍にあたる3742トン。4号機には20日から開始し、255トンを放水した。
では放水の効果はあったのか。計測機器が動いていないためプールの水量や水温は不明だが、プールの状態を反映した指標が建屋周辺部の放射線量の推移だ。3号機から北西に約500メートル離れた事務本館北の放射線量は、減少傾向にある。
最初の放水直後の17日午前に毎時3759マイクロ・シーベルトだったのが21日午後1時に同2105マイクロ・シーベルトまで下がった。経済産業省では「放水と関連がある可能性がある」と見ている。東京消防庁も19日の3号機への放水で、「プールに命中している」と判断している。放水前の現場で同60ミリ・シーベルト(同6万マイクロ・シーベルト)だった線量が、放水後にはほぼ同0ミリ・シーベルトになったからだ。防衛省が20日午後、上空から赤外線などで観測した結果、燃料プールの推定温度は3号機62度、4号機42度で、やはり一定の効果があったとの見方だ。
日本原子力研究開発機構の鳥居建男・敦賀本部安全品質推進部長は「線量の減り方から見て、放射性物質はヨウ素で、新たに放出されたものではなく以前出たものではないか」と見る。ただし、3号機と2号機で21日午後、煙が確認された後、風下にあたる正門付近の放射線量が一時的に同1932マイクロ・シーベルトまで上昇した。煙との関係は不明だ。
鳥居部長は「事務本館北の放射線量が急激に下がらないのは、爆発で周囲に飛び散ったがれきが汚染されている可能性と、燃料棒が露出している可能性が考えられる」と話している。
効果を上げる一方で、21日午後には最初に放水が始まった3号機建屋から煙が発生した。放水が同日未明に終了後、10時間余り経過し建屋内の一部が乾燥し、何らかの火災が起きる条件が整った可能性もある。
保安院は「当時、3号機に電気は通じておらず、漏電ではない」との見方を示した。放水は、様々な破片やがれきを巻き込んで建屋内を流れる。大量放水の過程で、機械や配管類を破損したり、何らかの化学反応が起きて発熱した可能性もある。宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)は「煙の色からすると水蒸気ではなく、油などが燃えたことも考えられる」と指摘する。
特記 津波ハザードマップ
宮城県沖地震によって発生する仙台塩竈港塩釜の津波ハザードマップをリンクしました。
「船舶安全のための津波ハザードマップ」 -第二管区海上保安本部-
特記 津波エネルギー
2004年12月26日,スマトラ島北沖でM9.0の地震により大規模な津波がインド洋沿岸を襲った。津波のエネルギーについて,考察したので紹介します。
平均深さ4000mの大洋を伝播する波高2m(波の振幅1m),波長50kmの津波は,水深に比べその波長の大きさから浅水波の伝播速度(群速度):Cp=√gDで表せる。
ここで,g:重力加速度, D:水深
平均水深4000mの大洋を伝播する波長50kmの津波の群速度Cp4000は,Cp4000=√9.8*4000 = 198 m/s となり,時速で表すと713km/h となる。
--波長50km,波高2mの波は周期4分の振幅1mで,大洋上で感知できない。--
津波が水深が200mの大陸棚に入ると大陸棚での津波の群速度Cp200 は,Cp200 = 44m/s ,時速換算 159km/h に減速する。
しかし,波高は,水深の1/4乗に逆比例し,大洋で2mの波高が2倍の4mとなる。
さらに津波が海岸に近付き水深が10mになると,波高9m,群速度は10m/sとなる。
波のエネルギー:E = 1/2 gρa2 で表せる。
ここで,g:重力加速度, ρ:海水の密度, a:波の振幅
水深10mの海岸線での波高9m,群速度10m/sの津波において,海面1m2 当たりの波のエネルギーは,波高9mは振幅で4.5m,海水の密度ρは1000kg/m3 から
1/2 * 9.8 *1000 *4.52 = 99200 J となる。
海岸線でのこの波のエネルギーは,群速度 10m/s で岸に打ち上がって来る。
この岸に向かって来る海岸線1m幅の津波のエネルギーは,
99200*10= 992000 J/s (あるいはW) となる。
いま,海岸線1kmでの波高9m,群速度 10m/s津波の仕事量は,992000 J/s *1000 = 992 MW に相当する。
-- 992MWとは99万kW,馬力換算で1348700 PSとなる。-- 2005/1/7記
福島県知事、東電社長の謝罪訪問を拒否
読売新聞 3月22日(火)11時30分配信
東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、福島県の佐藤雄平知事は22日午前の県災害対策本部会議で、東電から清水正孝社長による謝罪訪問の申し入れがあったが、断ったことを明らかにした。
佐藤知事は「おわびに伺いたいと面会の申し入れがあったが、県民の不安、怒り、憤りは極限に達している。おわびを受ける状況にないので断った」と説明した。その上で、東電側に「社長以下、死力を尽くして一刻も早く事態の収拾にあたるべきだ」と伝えたことを明かした。 .
プロ野球ナイター再考を=コミッショナーらに要求—文科省
時事通信 3月22日(火)11時41分配信
日本プロ野球組織(NPB)の加藤良三コミッショナー、セ・リーグの新純生(ヤクルト球団常務)、パ・リーグの井上智治(楽天・オーナー代行)両理事長、日本プロ野球選手会の新井貴浩会長(阪神)は22日、文部科学省を訪ね、公式戦の開幕延期と節電対策を報告したが、高木文科相は改めてナイターの自粛を求めた。
高木文科相は「ナイターは国民の理解を得られていないので、自粛するよう再考してほしい」と改めて要請。加藤コミッショナーは「われわれは節電に努めるので理解してほしい。近々に12球団の臨時オーナー会議を招集する」と答えるにとどまった。
プロ野球を管轄する文科省は18日、東日本大震災に伴う電力不足を踏まえ、東京電力と東北電力管内でのナイター自粛を求めていた。
今季のプロ野球は25日に両リーグ同時に開幕する予定だったが、パは楽天の本拠地が被災したため、開幕を4月12日に延期し、4月中は両電力管内でナイターを行わないと決めた。セは開幕を29日に延ばしたが、4月5日から東京ドームでナイターを行うとしている。
加藤コミッショナーらは経済産業省と蓮舫節電啓発担当相を訪ね、節電対策を説明した。
-福島第1原発-4号機の通電確認 2号機、復旧作業を再開
毎日新聞 3月22日(火)12時57分配信
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発で、東電は22日、4号機への外部電源接続が完了し、通電を確認したと発表した。これまでに2、5号機でも通電が確認されている。また、建屋の損傷が少なく、外部からの放水による冷却が難しい2号機では、原発の運転を監視する中央制御室の通電を目指して復旧作業を再開した。
経済産業省原子力安全・保安院によると、23日中に1、2号機、24日ごろに3、4号機の中央制御室の復旧作業完了を目指すとしている。21日に2号機や3号機で煙が上がり、作業員が避難して作業が中断していた。22日朝にも両機から白煙が確認されたが、東電は使用済み核燃料プールから上がる水蒸気で、影響はないと判断した。また、午後からコンクリートポンプ車を使って4号機に放水を開始する予定で、設置作業を進めている。
保安院などによると2号機は、一般家庭のブレーカーにあたる配電盤までは外部電源がつながっている。今後の作業で電源と接続して中央制御室でヨウ素などの放射性物質を取り除く空調が作動すれば、作業環境が改善する。照明や計器類も使えるようになる。準備が整い次第、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却作業に着手したい考えだ。
21日に2号機で白煙を確認した直後、同機から西南西に約1キロ離れた福島第1原発の正門付近で放射線量が1時間あたり1932マイクロシーベルトまで上昇した。その後は減少し、22日午前7時半現在、262マイクロシーベルトにまで下がった。
政府の原子力災害対策現地本部は21日、甲状腺被ばくを防ぐため一部の自治体で配られているヨウ素剤について、アレルギーなどの副作用が起きる可能性があるため、医師らの立ち会いの下で服用するよう福島県や関係市町村に改めて注意喚起した。【河内敏康、日野行介、足立旬子】
国、住民の被曝予測公表せず 研究者らが批判2011年3月21日23時45分
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. 住民の被曝(ひばく)量や放射性物質が降る範囲の予測を国が公表していないため、研究者らから批判が出ている。文部科学省が委託した機関が1時間ごとに計算し原子力安全委員会に報告しているが、国は「データが粗く、十分な予測でないため」と説明している。
予測システムはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)と呼ばれる。原子力安全技術センター(東京)が、原発の位置、放射性物質の種類や量、放出される高さ、地形などを元に、最新の風向きや風速のデータを加えて計算。日本全域を250メートル四方に区切り、それぞれの場所にすむ人が吸入などで被曝する量を予測する。
同センターによると、11日の地震発生約2時間後から、東京電力・福島第一原発について計算を始めた。放射性のヨウ素や希ガスについて、放出量の見積もりを何段階かに変化させて計算。1時間ごとに2時間後までの被曝予測データを、原子力安全委員会に報告しているという。
原子力安全委員会事務局は「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない」と説明している。
一方、長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「条件がそろわないと予測できないというのはおかしい。国は持っているデータをすべて公開することが大事だ。根拠をもとに住民と相談して、対応を決めるのが原則ではないか」と話している。
福島第一原発から出た放射性物質の拡散予測について、米原子力規制委員会(NRC)は「あくまで推定で、実際とは異なるかもしれない」と注釈つきで公表。米国はこれらを参考に原発から半径80キロメートル以内にいる米国人に避難を勧告した。また、フランスやオーストリアの研究所なども拡散する様子の動画をホームページなどで公開している。(木村俊介)
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福島第1原発:原子力保安院、IAEA会合にお粗末対応
【ロンドン会川晴之】福島第1原発事故状況説明のため、国際原子力機関(IAEA、本部・ウィーン)で21日開かれた各国外交団向けの技術説明会で、日本から初めて出席した経済産業省原子力安全・保安院の担当者が、日本語の資料を配布していたことがわかった。説明会の出席者によると、日本政府のお粗末な対応ぶりに席を立つ外交団の姿もあったと言い、日本政府の説明不足に対する不信感が高まっている。
原発事故に関する日本政府の情報開示をめぐっては、米政府関係者が日本政府に、情報発信を強化するよう要請するなど、各国に不満が高まっている。IAEA加盟国にも同様の不満が高まっていることから、天野之弥事務局長が18日に訪日した際、日本政府と情報共有を図るため、日本人の調整官を日本に常駐させることを決めた。さらに、政府も保安院の担当官をウィーンに派遣することを決め、21日の各国向け技術説明会に初めて出席させた。
説明会では、説明や質疑応答は英語で実施され、現在の概要を説明する英語版の資料が映し出された。だが、(1)福島第1原発周辺の放射線量測定値(2)福島県対策本部作成の福島県内測定値−−の2種類の日本語資料が配布された。
日本語資料を基に韓国の代表団は、放射線量が上昇した時、原発でどのような事象が起きたのかと因果関係を尋ねたのに対し、保安院の担当者は「因果関係を詳しく把握していない。調査した上で回答する」と述べたという。
IAEAは、日本政府の情報発信が少ないとの批判を受け、先週から加盟各国向けに技術説明会を土日も含めて連日開催している。日本政府に専門家派遣を強く要請したが、かえって不信を増幅した形になった。
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毎日新聞 2011年3月22日 15時01分
福島第1原発:4号機の通電確認 2号機、復旧作業を再開
福島第1原発の現状(22日現在) 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発で、東電は22日、4号機への外部電源接続が完了し、通電を確認したと発表した。これまでに2、5号機でも通電が確認されている。また、建屋の損傷が少なく、外部からの放水による冷却が難しい2号機では、原発の運転を監視する中央制御室の通電を目指して復旧作業を再開した。
経済産業省原子力安全・保安院によると、23日中に1、2号機、24日ごろに3、4号機の中央制御室の復旧作業完了を目指すとしている。21日に2号機や3号機で煙が上がり、作業員が避難して作業が中断していた。22日朝にも両機から白煙が確認されたが、東電は使用済み核燃料プールから上がる水蒸気で、影響はないと判断した。また、午後からコンクリートポンプ車を使って4号機に放水を開始する予定で、設置作業を進めている。
保安院などによると2号機は、一般家庭のブレーカーにあたる配電盤までは外部電源がつながっている。今後の作業で電源と接続して中央制御室でヨウ素などの放射性物質を取り除く空調が作動すれば、作業環境が改善する。照明や計器類も使えるようになる。準備が整い次第、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却作業に着手したい考えだ。
21日に2号機で白煙を確認した直後、同機から西南西に約1キロ離れた福島第1原発の正門付近で放射線量が1時間あたり1932マイクロシーベルトまで上昇した。その後は減少し、22日午前7時半現在、262マイクロシーベルトにまで下がった。
政府の原子力災害対策現地本部は21日、甲状腺被ばくを防ぐため一部の自治体で配られているヨウ素剤について、アレルギーなどの副作用が起きる可能性があるため、医師らの立ち会いの下で服用するよう福島県や関係市町村に改めて注意喚起した。【河内敏康、日野行介、足立旬子】
計画停電、エレベーターは油断禁物閉じ込め注意
. 計画停電
閉じ込め事故が起きたエレベーター。当時も「利用禁止」の札が張られていた(埼玉県狭山市で) 連休明けの22日から計画停電が再び本格化する。
注意したいのは、埼玉県内でも15日以降相次ぐエレベーターの閉じ込め事故だ。自分のグループは覚えたものの、当日の開始時間を失念したり、開始時間を10分以上過ぎたため「今日はなくなった」と思い込んだりすれば、誰でも被害に遭う。特定地域で同時多発すると、火災の対応など消防業務に支障をきたす恐れもある。計画停電は4日ぶり。県などは「停電時間帯が終わるまでは絶対使わないで」と呼びかけている。
上昇するエレベーターには、住人ら3人が乗っていた。狭山市の10階建てマンション。停電は15日午後6時30分頃、予告されていた開始時間から10分ほど経過していた。
ガタンと音を立て、いったん真っ暗になった後、非常灯が点灯。閉じ込められた住人らは、非常用電話で管理人と連絡を取り、内側から扉をたたいて居場所を知らせた。「すぐ開きますよ」などと会話し、気分が悪くなるようなこともなかったという。
閉じ込められた1人は、出前途中だったそば屋の男性従業員(67)。「停電が来るとは知っていたが、まさかこのタイミングで、という感じ。階段で9階まで運ぶのは難しかった」と頭をかく。管理人が119番した23分後、3人は助け出され、そばは注文先に届けられた。
このマンションでは、停電時間帯にエレベーターの利用禁止を伝える札を張り出したものの、事前に電源を落とす対策までは講じなかった。管理人は「高齢の住人が多く、停電になっていないのに、10階まで階段を使ってほしい、と強く言えない。予定でなく具体的な実施時間が分かればよかった」と恨めしそうだ。
市消防署は今回の事故で、救急車など車両4台、消防隊員14人を出動させ、当直隊員が総動員で臨んだ。担当者は「東北の被災地へ10人が応援に行き、ただでさえ隊員が少ない。もう1件同時にあれば、かなり厳しかった」と振り返った。
業界団体「日本エレベータ協会」によると、停電時自動着床装置付きのエレベーターなら、停電に見舞われても、蓄えておいた電力を利用して最寄りの階まで運転し、ドアが開く。2年前の法令改正で、新設エレベーターへの装置設置が義務付けられたが、設置は全国約66万台のうち4割程度にとどまるという。
停電の地域や時間についての問い合わせは、県消防防災課にも連日のように寄せられているが、「東京電力のホームページで得られる情報以上は分からない」のが実情。同課は「効果的な予防策はない。エレベーターが動いていても停電予定時間には使わないようにしてもらうしかない」としている。
歩行困難な入所者を抱える熊谷市太井の介護施設「クイーンズビラ」では、車いす利用者らに停電の開始予定までに1階に下りてもらっている。いつ停電が起きても、事故は起きず、職員もすぐ入所者に対応できる態勢になっている。
(2011年3月22日11時08分 読売新聞)
原発から16キロ地点、基準の16倍 海水放射能汚染2011年3月22日16時2分
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. 東日本大震災で被害を受けた福島第一原発から16キロ離れた海水から、安全基準の16.4倍にあたる濃度の放射性物質が検出されたことを、東京電力が22日午後の記者会見で明らかにした。同原発では、放水口付近での放射性物質の濃度が最大で百倍を超えたことがわかっており、海水汚染が広範囲に広がりつつあることがわかった。
東電によると、21日午後11時45分ごろ、福島第一原発から南に16キロ離れた地点で海水を採取して調べたところ、放射性物質のヨウ素131が原子炉等規制法が定める基準の16.4倍、検出された。
東電は、「普通ではない汚染が広がっていると受け止めている。大変申し訳ない」としている。
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原発設計「想定悪かった」原子力安全委員長
. 福島原発
政府の原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は22日の参院予算委員会で、東日本巨大地震による東京電力福島第一原子力発電所の事故に関し、「(原発設計の)想定が悪かった。想定について世界的に見直しがなされなければならない。原子力を推進してきた者の一人として、個人的には謝罪する気持ちはある」と述べ、陳謝した。
社民党の福島瑞穂氏の質問に答えた。
班目氏は2007年2月の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)運転差し止め訴訟の静岡地裁での証人尋問で、非常用発電機や制御棒など重要機器が複数同時に機能喪失することまで想定していない理由を問われ、「割り切った考え。すべてを考慮すると設計ができなくなる」と述べていた。福島氏はこの証言を取り上げ、「割り切った結果が今回の事故につながった」として謝罪を求めた。
班目氏は「割り切り方が正しくなかったということも十分反省している。原子力安全委員会は原子力安全、規制行政に意見を言う所だが、抜本的な見直しがなされなければならないと感じている」と語った。
これに関連し、菅首相は22日、首相官邸に班目氏や経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長ら関係機関のトップを呼び、連携を密にするよう指示した。
班目氏は首相と会談後、記者団に「(首相から)もっと連携を良くしろ、と怒られた」と語った。首相周辺は「事故対応の役割分担についてすり合わせをした」としている。
(2011年3月22日20時26分 読売新聞)
原子力安全委員会委員
班目 春樹 (専門:流体・熱工学) 1972.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
1990.11. 東京大学工学部教授
1995.4. 東京大学大学院工学系研究科教授
2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
久木田 豊 (専門:原子力熱工学) 1975.3. 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1990.4. 日本原子力研究所東海研究所安全性試験研究センター
原子炉安全工学部熱水力安全研究室長
1996.10. 名古屋大学大学院工学研究科教授
2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
久住 静代 (専門:放射線影響学) 1972.3. 広島大学医学部医学科卒業
1988.5. 日米共同研究機関・放射線影響研究所臨床研究部副部長
1989.4. 広島大学原爆放射能医学研究所非常勤講師
1996.4. (財)放射線影響協会放射線疫学調査センター審議役
2004.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
小山田 修 (専門:原子炉構造工学) 1970.3. 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
2002.4. (株)日立製作所技師長
2005.10. (独)日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門長
2007.10. (独)日本原子力研究開発機構原子力科学研究所所長
2009.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
代谷 誠治 (専門:原子炉物理・原子炉工学) 1974.3. 京都大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学
1996.4. 京都大学原子炉実験所教授
京都大学大学院エネルギー科学研究科教授(兼任)
2003.4. 京都大学原子炉実験所長
2010.4. 原子力安全委員会委員(常勤)
富士山など3火山で地震活発化 火山活動に変化なし2011年3月22日22時2分
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. 気象庁の火山噴火予知連絡会(会長=藤井敏嗣・東大名誉教授)が22日開かれ、富士山や箱根山(神奈川県)、焼岳(岐阜・長野県境)の3火山で地震活動が活発化していることが報告された。東日本大震災の影響とみられるが、火山活動に変化はないという。
焼岳と箱根山では11日、マグニチュード9.0の東日本大震災の発生直後から地震が相次ぎ、震度2〜3の揺れが観測された。静岡県東部で15日に起きたマグニチュード6.4の地震で、富士山のある同県富士宮市では震度6強の揺れが観測された。その後も余震が続いているという。
気象庁は「火山性微動や地殻の変動はなく、火山活動の兆候は見つかっていない」としている。
藤井会長は「マグニチュード9.0の地震が直接影響したかはわからないが、日本の火山のいくつかが反応したのは事実。火山周辺での地震活動は減衰傾向にあり、いますぐ何かが起こることはないだろう。ただ、2004年のスマトラ地震の後、数カ月たってからインドネシアの火山活動が活発化したことがあり、今後も注意していく必要がある」としている。
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民主・岡田氏、計画停電見直し検討 ピーク時に大口規制2011年3月21日17時41分
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. 民主党の岡田克也幹事長は21日、東京電力が実施している計画停電について、「電力使用のピーク時に大口(消費者の)規制をするやり方が考えられる」と述べ、事前に電力消費量の削減量を決める「総量規制」の導入を検討する考えを明らかにした。さいたま市で記者団に答えた。
岡田氏は、電力不足の長期化が避けられそうにない状況を踏まえて「今のような細切れは最小限にしたい。1日の中で3時間ぐらい電気が切れるのは、経済活動にとっても大きなダメージになり、生活面でも非常に不便だ」と指摘した。
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「開幕はお上が決めることじゃない」巨人滝鼻オーナー2011年3月22日20時36分
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. 蓮舫担当相がセ・リーグの29日開幕の見直しを求めたことについて、巨人の滝鼻卓雄オーナーは22日、「開幕はお上(政府)が決めることじゃない。節電に協力しろということでしょう」と不快感を示した。さらに「(4月12日への開幕延期など)パ・リーグが先行して色々決めているようだが、そうはいかない。交流戦がいらないなら、いろいろ組み合わせはできるけど」とパの姿勢を牽制(けんせい)した。
本拠の東京ドームはデーゲームでも照明が必要なため、当面使用できなくなる可能性もあるが、「日々刻々と事情が変わるので(代替地は)決めていない」と述べた。
セの29日開幕、蓮舫担当相ら難色 24日に再協議へ2011年3月22日20時35分
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日本プロ野球選手会の新井貴浩会長らの訪問を受けた後、記者の質問に答える蓮舫・節電啓発担当相=相場郁朗撮影
東日本大震災を受け、プロ野球セ・リーグが公式戦開幕を4日だけ延期して29日と決めたことについて蓮舫・節電啓発担当相は22日、「(パ・リーグと同じ4月12日を求める)選手会の考えをくみ取っていない」と再考を求めた。セは24日の臨時理事会で対応を協議する。26日には12球団オーナー会議を開いて事態収拾にあたることになった。
蓮舫担当相はセの開幕日について「4日ずらした理由を聞いたら東京ドームで試合があるからという説明だった。十分な答えじゃない」と批判した。東京ドームでの試合自体、「デーゲームでも電力を大きく消費するのであれば当然控えて欲しい」と訴えた。
ナイターは4月いっぱい東京電力、東北電力管内で自粛を要望。同5日から行う予定のセには、「それでもやるなら、もっと科学的な根拠を示してほしい」とした。
セは同管内で4月中に23試合のナイターを予定。大学野球と神宮球場を共同使用するヤクルトの鈴木正社長は「各連盟と協議していきたい」。横浜の佐藤貞二常務は「午前中から球場を抑えてあり、試合時間の変更に大きな支障はない」と語った。
22日は加藤良三コミッショナーらが監督官庁の文部科学省などを訪問。蓮舫担当相だけでなく、高木義明・文部科学相からもナイター開催の再考などを求められた。
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-福島第1原発-全機に外部電源 4号機、生コン圧送機放水
毎日新聞 3月22日(火)21時11分配信
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の電源復旧作業で、東電は22日夕方までに、4号機への外部電源の接続を終了。4号機経由で3号機に電気を送るための作業も完了した。既に接続を終えている2号機から1号機へ、5号機から6号機へ電気を送る作業も終え、すべての号機で外部電源から電気を受け取る態勢が整った。
東電によると、今後の復旧作業はまず建屋内の機器を点検・交換し、通電が可能な状態にした上で、原子炉を監視する中央制御室や原子炉、使用済み核燃料プールの冷却機能の復活を目指す。
東電は当初、建屋の損傷が少ないため外部からの放水による冷却が難しい2号機を優先して電源復活作業を進めてきた。しかし21日に2号機と3号機の建屋から煙が上がり、作業員が一時避難して作業を中断。22日にも2、3号機から白煙が上がっているのが確認されたが、東電は使用済み核燃料プールから上がる水蒸気で影響はないと判断、作業を再開した。
電源が復旧すれば、中央制御室でヨウ素などの放射性物質を取り除く空調や照明が使えるようになり、作業効率が大幅に改善する。現在は最低限しか作動していないさまざまな計器類も復活し、より正確に原子炉内の状況などを把握できる。
ただ、地震と津波によって多くの計器や機器が被害を受けている可能性があり、交換や修理にはさらなる時間がかかるとみられる。東電は「原子炉が安定を取り戻すまでの工事全般の終了めどはまだ見通しを示せない」と説明している。【江口一、日野行介】
福島第1原発:「避難指示の方が…」 20〜30キロ圏内
人影がなく、夕方になってもほとんど明かりが漏れない福島県南相馬市原町区の原ノ町駅周辺。「屋内退避圏」にあたり、店を開けている商店は見当たらない=神保圭作撮影 東京電力福島第1原発から約20〜30キロの屋内退避圏内や隣接区域で、避難の動きが徐々に広がっている。放射線漏えいの風評被害もあって、物流が途絶えがちになることで商店が営業できない。このため食料や薬などの購入が難しくなり、避難指示圏でなくても住民は避難せざるを得ないと連鎖している。住民の流出で“ゴーストタウン”化しつつあり、なんとか地元で生活を続けようとする人たちが孤立している。住民からは「いっそ避難指示圏にしてくれた方が良かった」との声も上がる。【岡田英、岩佐淳士】
福島県南相馬市は、原発から20キロ内の避難指示圏と、20〜30キロの屋内退避圏、それ以外の区域に分かれている。徐々に避難する市民が増え、市のまとめでは人口約7万人のうち市内に残るのは推計約2万人。商店は軒並み閉店し、ボランティアの数も少ない。市職員は「食料調達は困難。家に備蓄したものを食べるしかないが、いつ尽きてもおかしくない」と不安を口にする。
救急医療も危うい。南相馬消防署によると、周辺の救急外来病院が閉鎖し、救急患者を約60キロ離れた福島市や郡山市の病院に搬送せざるを得ない状況だ。出動から医療機関への搬送に6時間掛かったケースもあり「ぎりぎりの状態」(鎌田芳明副署長)という。要員不足も深刻だ。救急の応援部隊も屋内退避圏に指定された15日を境に来なくなった。
屋内退避圏に住む建築業、渡部英夫さん(63)は当初地元に残るつもりだったが、長男に説得され仙台市に移った。「実際の放射線量は低いのに、離れて住む家族は報道を見て心配してしまう」と話す。
隣接地域にも影響は広がる。西隣の飯舘村は大半が30キロ圏外。村は19、20日、栃木県鹿沼市に希望者計511人を集団避難させた。親せき宅などに身を寄せた住民も多い。22日現在、村民約6200人のうち村内に残るのは約3200人だけだ。「ぽつぽつとくしの歯が抜けるようだ」。元郵便局長、佐藤英寿さん(62)の自宅周辺でも次々と住民が離れ、自治会で残るのは25戸中10戸ほど。夜になり明かりの消えた家々を見ると心細くなる。
佐藤さんも避難について悩む。南相馬市で被災した80代の寝たきりの女性2人が身を寄せており、食材や介護用品の備蓄にも限りがある。ガソリンは車のタンクに半分ほどあるが、避難時のことを考えると、買い出しも控えざるを得ない。21日には村内の水道水から安全基準を上回る放射性ヨウ素が検出され、飲めなくなった。
広がる不安にどう対処したら良いのか。福島県警幹部は「避難はゼロか100しかない。国の中途半端な線引きや説明不足が不安や混乱を増大させている」と不満を漏らした。
福島第1原発:原子炉工学の専門家2人 内閣官房参与に
政府は22日、東京電力福島第1原発の事故対応を強化するため、東京工大原子炉工学研究所の有冨正憲所長と斉藤正樹教授の2人を内閣官房参与に任命した。
枝野幸男官房長官は同日夕の記者会見で「2人とも原子力発電所について日本を代表する専門家だ。政府の対応に誤りがないよう助言をいただく役割を期待している」と説明した。
福島第1原発:水道水からヨウ素 乳児へのミルク禁止通知
厚生労働省は22日、福島県の5市町の水道水で国の基準を超える放射性ヨウ素が検出されたとして、水道水を使ったミルクを乳児に飲ませないよう各自治体に通知した。
対象は▽伊達市(1キログラム当たり120ベクレル・21日)▽郡山市(同150ベクレル・21日)▽田村市(同348ベクレル・17日、161ベクレル・19日)▽南相馬市(同220ベクレル・21日)▽川俣町(同293ベクレル・18日、130ベクレル・21日)。政府の原子力災害現地対策本部が財団法人・日本分析センターなどに調査を依頼した。
国の水道水の規制基準では、1キログラム当たり100ベクレルを超える放射性ヨウ素が検出されれば乳児に飲ませてはならない。一般向けの摂取基準は1キログラム当たり300ベクレル。【野倉恵】
東日本大震災:東北、燃料なお不足…ガソリン、関東は回復
販売が再開され、3000円分まで買えるようになったガソリンスタンド。来店者の車が行列し周辺道路を渋滞させないよう携行缶でのみ給油している=岩手県大船渡市で2011年3月22日午前11時9分、西本勝撮影 経済産業省は22日、東日本大震災で被災した東北地方と関東地方向け燃料の供給状況をまとめ発表した。東北地方で必要なガソリンなどの燃料は1日当たり約3.8万キロリットルだが、22日時点の供給量は約2.2万キロリットルにとどまっている。
西日本や北海道の製油所から東北に輸送を進めているが、輸送手段が限られ運びきれていない。21日には太平洋側の重要な石油出荷基地である出光興産の塩釜油槽所(宮城県塩釜市)に震災後初めてタンカーが入港。鉄道輸送も再開したため近く必要量は運べるようになる見通しだが、末端のガソリンスタンドに十分に行き届くには、道路事情などもあり数日かかるとみられる。
一方、関東向けの出荷量は22日までに平年並みに回復。通常営業に戻すスタンドも出始めている。【増田博樹】
東日本大震災:地震保険支払い1兆円規模に
東日本大震災の被害に対する地震保険の保険金の支払総額は1兆円規模に達する見通しだ。阪神大震災の約783億円を大幅に上回る過去最大の支払額になるのは確実。ただ支払保険金の一部は政府が引き受けるため、日本損害保険協会は「支払いが滞ることはない」と説明している。
民間のシンクタンクなどが22日までに試算した支払保険金総額は、ゴールドマン・サックス証券が最大8610億円、米リスク評価会社「EQECAT」は6500億〜1兆2000億円となった。
支払総額が最大となるのは、支払件数の大幅増加が予想されるためだ。1995年の阪神大震災時は約6万5000件だったが、全国平均で当時、約7%だった地震保険加入率は2009年度末で23%に上昇。被害の大きかった宮城県では32.5%となっており、全体の件数は数十万件になるとみられている。
毎日新聞 2011年3月22日 20時50分
決断と実行に欠ける…被災の民主議員、政府批判
読売新聞 3月22日(火)22時5分配信
民主党の黄川田徹衆院議員(衆院岩手3区)は22日、東日本巨大地震をめぐる政府の対応について、「過去の災害事例からマニュアルはあるのに、何を今さら議論しているんだ。必要なことは決断と実行で、我が党には決定的にそれが欠けている」と強く批判した。記者団の取材に語った。
黄川田氏の選挙区は、地震で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市。黄川田氏によると、市内にあった自宅や事務所は津波で流され、長男が遺体で発見された。両親と妻はなお行方不明という。黄川田氏は、菅首相が21日に予定していた被災地視察を悪天候を理由に中止したことについても「現場をどうしようという思いがない人が政治をしている。被災地で政治の顔が見えない」と訴えた。
福島第1原発4号機「プールの水量はっきりせず」 保安院
2011/3/17 10:29 div/div.JSID_key_html
経済産業省原子力安全・保安院は17日午前の記者会見で、東京電力の福島第1原子力発電所4号機の使用済み核燃料プールについて「状態がわからなく、水量もはっきりしない」と説明した。湯気や発煙についての報告がないことについても「蒸発しきったかどうかもはっきりしない」という。
そのうえで「本来ある水だけでなく爆発時の衝撃などで内部で水が移動した可能性があるが、いずれにしても核燃料を冷ますために注水をしないわけにはいかない」と強調した。
水蒸気爆発の可能性については「そうならないように、水のかけ方などを工夫するしかない」としている。〔日経QUICKニュース〕
有冨正憲のプロフィール
1947年生まれ 専門は原子炉工学研究所/エネルギー工学部門です。
所属学会は日本機械学会、日本原子力学会、日本混相流学会で
科学技術庁長官賞「原子力安全功労者表彰」、日本原子力学奨励賞、日本航空学術賞などの受賞歴があります。原子力のスペシャリストであるのは間違いないようですね。
主要論文
低アスペクト比磁性流体TVFにおける渦モード遷移の磁場制御
第83期日本機械学会流体工学部門講演会講演概要集 ( その他、 2005 ) /,159
気泡流における超音波を用いた流動判別
第83期日本機械学会流体工学部門講演会講演概要集 ( その他、 2005 ) CD-ROM/No. 1107,1-4
マルチウェイブ超音波流速分布計測法を用いた混相流計測手法の開発
第83期日本機械学会流体工学部門講演会講演概要集 ( その他、 2005 ) /,164
流速分布計測法と伝播時間差計測法を用いたハイブリッド型超音波流量計に関する基礎研究, , (2005-10), p.167.
第83期日本機械学会流体工学部門講演会講演概要集 ( その他、 2005 ) /,167
流速分布計測法と伝播時間差計測法を用いたハイブリッド型超音波流量計に関する基礎研究
第83期日本機械学会流体工学部門講演会講演概要集 ( その他、 2005 ) /,167
開水路における複測定線流量計測に関する研究
第83期日本機械学会流体工学部門講演会講演概要集 ( その他、 2005 ) /,169
不凝縮性ガス存在下における凝縮液滴の可視化
可視化情報全国講演会(新潟2005)講演論文集 ( その他、 2005 ) /,287-288
垂直伝熱管型PCCSにおける鉛直円管外面の滴状凝縮熱伝達に関する基礎研究
本機械学会熱工学コンファレンス2005講演論文集 ( その他、 2005 ) /,39-40
パルス超音波を用いた沸騰二相流動判別に関する基礎研究
日本機械学会熱工学コンファレンス2005講演論文集 ( その他、 2005 ) /,375-376
磁性流体Taylor-Couette渦流れにおける変異モードの安定性
磁性流体連合講演会講演論文集 ( その他、 2005 ) /,16-20
-福島第1原発-放水、真水に切り替えを…有冨内閣官房参与
毎日新聞 3月22日(火)23時37分配信
東京工業大原子炉工学研究所長の有冨正憲教授
22日に内閣官房参与に任命された東京工業大原子炉工学研究所長の有冨正憲教授は同日、東京電力福島第1原発の放水について、「海水注入は塩分が炉内にたまり、冷却能力が低下して腐食が進む。早急に真水に切り替えなければならない」と語った。
東京都内で開かれた市民らとの「情報交換会」で発言した。有冨教授は「海水注入は緊急避難としてはやむを得ない措置だったが、海水注入は一刻も早くやめるべきだ。政府や東電に申し入れてきたが後手に回っている」と語った。【小川節子】
住田健二[スミタケンジ]1930年8月、大阪府生まれ。1953年3月、新制第1回生として大阪大学理学部物理学科(浅田研・物性室)卒。1975年8月、大阪大学工学部原子力工学科教授。1993年12月、原子力安全委員会委員。1998年6月、同委員会委員長代理。2000年5月、(社)日本原子力学会会長。2002年8月、(財)原子力文化振興財団・副理事長
東電、役員の報酬カット検討…原発事故で
. 東京電力は22日、福島第一原子力発電所の事故を受け、清水正孝社長ら役員の報酬カットを検討すると発表した。
東電では、柏崎刈羽原発(新潟県)の運転停止などで業績が悪化した2007年度以降、役員の報酬を10〜20%カットしており、削減幅をさらに拡大する方針だ。
(2011年3月22日23時51分 読売新聞
いわき市で震度5強が2回…震源は福島浜通り
読売新聞 3月23日(水)7時25分配信
23日午前7時12分頃、福島県浜通りを震源とする地震があり、同県いわき市で震度5強、同県白河市、宮城県角田市、茨城県常陸太田市、筑西市、鉾田市などで震度4を観測した。
同7時36分頃にも、福島県浜通りを震源とする地震があり、同県いわき市で震度5強、茨城県鉾田市で震度5弱、同県常陸太田市、北茨城市、つくば市などで震度4を観測した。
気象庁によると、震源の深さはそれぞれごく浅く、約10キロ、マグニチュードは6・0、5・8と推定される。
これらの地震による津波の心配はないという。
福島第1原発:保安検査官2人戻る 敷地内で情報収集
経済産業省原子力安全・保安院は22日、東京電力福島第1原発から福島県庁に避難していた保安検査官のうち2人が同日、同原発に戻ったことを明らかにした。検査官は通常7人が原発周辺に常駐しているが、15日に現地対策本部が同原発周辺から県庁内に避難したのに合わせて拠点を移していた。
西山英彦審議官が22日の会見で明らかにした。2人は今後、東電が敷地内に設置した緊急対策本部に泊まり込み、情報収集に当たるという。
15日に2人を避難させた理由を西山審議官は「(原発周辺に)残した方が良かったという考え方もあったと思うが、常駐させるのは生活上の不便や、(食料を運ぶなど)後方支援の問題もあった」と説明した。
2人が避難したことで、保安院は作業の進捗(しんちょく)状況など現場の情報を東電から聞き取るしかなく、敷地内の放射線量のモニタリング(監視)業務も東電に指示していた。避難指示の適切さについて西山審議官は「巨大なプラントなので、国が逐一見るのは不可能。現場にいなくても規制はできる」と釈明した。【日野行介、関東晋慈】
東日本大震災:千葉・旭市津波 最大波は2時間半後か
11日午後3時40分すぎ、飯岡漁港に押し寄せる津波=旭市内の刑部岬から旭市の渡辺義美さん撮影
11日午後4時15分すぎ、潮が引いて海底が露出した飯岡漁港。その向こうを画面右手に向かって津波が走っている=旭市内の刑部岬から同市の渡辺義美さん撮影
11日午後5時20分すぎ、飯岡地区を襲った最大波とみられる津波。左の大きな建物が旧飯岡農協=旭市の神原重見さん撮影 11日の東日本大震災で千葉県旭市沿岸を襲った津波では、地震から約2時間半後の波が最大だった可能性があることが、銚子地方気象台の記録や住民の証言から分かった。これより前に津波は2度押し寄せ、2度目はそれほど大きくなく、住民が安心して家の様子を見に戻るなどして被害が拡大したとみられる。専門家も2時間半後の最大波に注目しており、津波の警報や注意報の発令中は絶対に海に近付かない−−という防災意識の徹底が求められる。【武田良敬】
県内で最も津波被害が深刻だった九十九里浜東端の旭市飯岡地区から匝瑳市境にかけての沿岸部では、防波堤から約80メートル内陸の市街地に2メートル以上の津波が押し寄せたとみられ、死者12人、行方不明者3人を出した。
11日の地震は午後2時46分に発生した。銚子漁港に気象台が設置する潮位計のデータによると、同沿岸部では30分近く経過した午後3時10分ごろから潮位が急上昇し、同40分ごろ高さ2メートル超を記録。その後潮位はいったん下がったものの、再び上昇し、午後4時10分ごろ高さ1メートル超を記録した。最初に比べ高さは半分以下だった。
ところが、午後5時をすぎて潮位は三たび急激に上昇し、同22分に最大の高さ2メートル40センチを記録した。地震から2時間36分後だった。この時刻前後に大きな津波が旭市を襲ったとみられる。その後潮位の振幅は徐々に小さくなるが、12日午前中までは高さ1メートルを超える津波が繰り返し押し寄せたことがうかがえる。
福島第1原発:「原子力安全規制見直しを」 班目委員長
原子力安全委員会の班目春樹委員長は22日の参院予算委員会で、東日本大震災に伴う福島第1原発の事故について「(耐震設計が)想定を超えたものだった。世界的な見直しがなされなければならない」と指摘した上で「今後の原子力安全規制行政を抜本的に見直さなければならない」と述べ、従来の原子力安全規制を大幅に見直す考えを明らかにした。事故については「個人的には謝罪する気持ちはある」と述べた。
社民党の福島瑞穂党首が、班目氏が07年2月の中部電力浜岡原発運転差し止め訴訟で、複数の非常用発電機が起動しない可能性を問われ「そのような事態は想定しない。想定したら原発はつくれない」と発言したことを追及したのに対し、班目氏は「割り切らなければ(原発の)設計ができないことは事実。割り切り方が正しくなかったことも、十分反省している」と述べた。
班目氏が東日本大震災発生直後の12日未明、菅直人首相に「水素が発生する可能性がありますが、大丈夫です」と説明したことについては「(説明で)首相の判断が甘くなったことはないと理解している」と説明した。
原子力安全委員会は国の安全規制について基本方針を決定し、関係省庁や東電など事業者を指導する強い権限を持つ独立機関。班目氏は原子力工学などが専門の元東大大学院教授で、10年4月から現職。【中山裕司】
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毎日新聞 2011年3月23日 2時34分
巨人オーナー 開幕再延期なら交流戦開催再考も
スポニチアネックス 3月23日(水)7時0分配信
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球団事務所をあとにする巨人・滝鼻オーナー(右)
巨人・滝鼻卓雄オーナーが、開幕が再延期となった場合、交流戦開催を再考する可能性に言及した。午後6時半すぎ。球団事務所を去る際、セ・リーグの3・29開幕が政府により差し戻しを食らったことに話が及ぶと、語気を強めた。
開幕戦を再延期した場合は試合数、開催時期など交流戦開催再考も辞さないとし「交流戦の日程だってどうなるか分からないわけでしょ。それをすっ飛ばすっていうなら、いろんな組み合わせができるかもしれない」とも発言。「やめるって言っているわけじゃない」としながらも26日のオーナー会議で議題とする意向だ。
語気強めた巨人オーナー「開幕を何日にしろなんてお上が決めることかね」
球団事務所をあとにする巨人・滝鼻オーナー(右)
Photo By スポニチ
巨人・滝鼻卓雄オーナーが、セ・リーグの3・29開幕が政府により差し戻しを食らったことに話が及ぶと、語気を強めた。
「節電してくれってことは政府が言うことだろうけどさ、開幕を何日にしろなんてのはお上(かみ)が決めることかね」。さらに「パ・リーグが先行していろんなことを決めているようですけど、そうはいかない」とセパ同時開幕への動きもけん制した
蓮舫担当相「その時に日本の状況が変わってると思っているのですか?」
セ・リーグの3月29日開幕と「減灯ナイター」が蓮舫節電啓発担当相(43)ら閣僚に差し戻しを食らった。
節電のため薄暗い大臣室で、防災服姿の蓮舫担当相は開口一番「セ・リーグ理事長はどなたですか?」と切り出し、矢継ぎ早に攻め立てた。
「開幕25日を29日に延期したのはどうしてですか?納得できる理由を説明してください」と迫った。さらに4月5日から東京電力管内で「減灯ナイター」を始めることにも「その時に日本の状況が変わってると思っているのですか?(ナイターに)こだわるなら科学的な根拠を示していただきたい」。電力量40%ダウンなどの大節電策にも首をかしげたという。
. [ 2011年3月23日 06:50 ]
中日オーナー「一番困っているのは巨人」
【セ球団側の反応】
▼中日・白井文吾オーナー 東京がフランチャイズのチームについては、東京以外の地域で試合することを検討すべきではないか。電力事情が悪く、一般の人が苦しんでいる。そういうところでナイターをやってたくさん電力を消費するのは、市民感情とマッチしない。各球団がどう考えているかはわからないが、一番困っているのは巨人だろう。
▼横浜・笹川博史取締役連盟担当 従わざるを得ない部分もある。球団としては、あしたまでに方向性を出さないと。(デーゲームが増えると収益が減るが)本当に難しい問題。夏になっても電力の問題などでダブルヘッターも難しいだろうし、試合数が減ることになるかもしれない。
▼広島・鈴木清明球団本部長 ウチとしてはスタンスは変わらない。(試合を)できないところでは無理だが、できるところからやっていけばいいと思う。各球団がどんな考えか聞いてみたい。
. [ 2011年3月23日 06:00
3号機中央制御室に通電、炉心に真水注水へ
読売新聞 3月23日(水)12時1分配信
東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所では22日夜に3号機で中央制御室に電気が通り、照明が点灯、23日朝から3、4号機の使用済み核燃料一時貯蔵プールや原子炉に真水を送り込む補給水系ポンプを稼働する作業が進められている。
1号機でも中央制御室の計測器の一部に電気が届き、原子炉内の温度が設計温度より約100度高くなっていることなどが判明した。2号機は電源接続作業を行うタービン建屋の放射線量が高く、この日の作業を一部中断した。
3号機については、中央制御室の計測データを取得するための電源が入っている。24日をめどに、炉心に送り込む水を海水から真水に切り替え、注水する装置を復活させる予定。また、放水で冷やしている使用済み燃料プールについては、消防ポンプを使って海水を送り込む装置を動かすことを検討している。放水が続けられている4号機の使用済み燃料プールについても、同様に消防ポンプを利用した注水ができないか検討を行う。
中央制御室は、核物質防護上、詳細な位置は明らかにされていないが、3、4号機のタービン建屋に挟まれるように建つ中央制御棟の2階にある。通常、2交代制で数人〜十数人の作業員で監視している。高い放射線を防ぐため、鉛板を設置して、ここを拠点に、制御系を動かす地下のバッテリー充電器室の修理や機器の交換、タービン建屋の西側に隣接する原子炉建屋のポンプ類、電気系統などの点検を急ぐ。
一方、経済産業省原子力安全・保安院は、1号機の圧力容器内の温度が上昇しているのを受け、消防ポンプで2系統の配管を稼働させ、毎時18トンの海水を注入し始めたことを明らかにした。1、3、4号機については22日夜から23日未明にかけて、炉心などの様々なデータを取得するための計器用の電源に通電に成功したという。
1号機の原子炉内の温度は、午前6時には設計上の温度(302度)を大幅に上回る400度以上となったが、注水を始めてから少しずつ温度が下がり、午前10時には390度となった。
2号機については、津波による浸水被害が大きく、放射線量も非常に高いことから電源回復作業が難航している。 .最終更新:3月23日(水)12時1分
震度5強の余震2回 警戒を
3月23日 9時6分
23日朝、東北の太平洋沿岸の巨大地震の余震とみられる強い地震が相次ぎ、福島県で2回、震度5強の揺れを観測しました。気象庁は引き続き、強い余震に警戒を呼びかけています。
23日午前7時12分ごろ、福島県浜通りを震源とするマグニチュード6.0の地震があり、福島県いわき市で震度5強を観測しました。その20分余りあとの午前7時36分ごろにも福島県浜通りを震源とするマグニチュード5.8の地震があり、再び福島県いわき市で震度5強を観測したほか、茨城県鉾田市で震度5弱を観測しました。今月11日に起きた巨大地震の余震で震度5強以上を観測したのは今月19日以来です。気象庁によりますと、今月11日の巨大地震のあと、東北から関東の広い範囲で余震が続いていて、これまで震度4以上の揺れを観測する余震はこれまでにおよそ70回に上っています。気象庁はこれまでの余震の推移について、日を追うにつれて回数は少なくなっているものの、今後もマグニチュード7以上の余震が起きる可能性があり、震源の近くでは震度6弱から6強の激しい揺れとなるおそれがあるとしています。被災地の建物は、これまでの地震の揺れや津波で損傷を受けていて、余震で倒壊するおそれがあるうえ、大きな余震で津波が起きるおそれもあるとして、引き続き、強い余震に警戒するよう呼びかけています。また、23日朝の被災地は、各地で0度前後の厳しい冷え込みになり、気象庁は被災した人の中には、避難生活で体調を崩す人も出ていることから、体調の管理に十分注意してほしいとしています。
「松島が守ってくれた」対岸の町、死者1人
読売新聞 3月23日(水)7時48分配信
拡大写真
津波の被害が少なかった松島町(手前)と日本三景「松島」(21日、読売機から)=米山要撮影
東日本巨大地震により、日本三景の一つで宮城県の特別名勝・松島も大津波に見舞われた。
文化庁や松島町によると、島の一部が崩落したり、島と島とを結ぶ橋が壊れたり、大きな被害を受けた。一方、島々の対岸にある松島町の死者は、22日午後6時現在、1人にとどまっている。隣の東松島市の犠牲者は650人を超えた。住民は「島が津波から守ってくれた」と感謝、美しい景観を取り戻そうと、流れ着いたがれきの撤去に取り組み、再生に動き出している。
島々をつなぐ橋は2本が全半壊し、海岸線沿いにある商店の1階が泥水につかった。しかし、津波で多くの住民が死亡・行方不明となっている他の三陸沿岸地域と比べると津波の被害は少ない。松島湾内に点在する島々が緩衝材となり、津波の勢いを弱めたためとみられ、松冨英夫・秋田大教授(水工学)は「津波の一部は島にあたって反射する。はね返った分、陸に押し寄せる波のエネルギーは弱まり、これまでの津波と同様、今回も津波による被害を減らしたと考えられる」と分析。商店街で酒店を営む佐々木繁さん(62)は「島が守ってくれた」と話す。
地元漁師の大山守一さん(83)は「昔の大津波では島が一つなくなった。その時に比べれば、目に見える被害は大きくないのではないか」。
伊達政宗ゆかりの国宝・瑞巌寺は地震の激しい揺れで、庫裏の壁が崩れ落ちたり、亀裂が走ったりした。津波は参道まで押し寄せたが、建物に大きな影響はなかったとみられる。
海岸に近い松島博物館では地震の直後、館員が来館者を小高い場所にある駐車場まで車で避難させた。津波は門まで押し寄せたが、全員無事だった。
水が引いた町では、住民たちに瑞巌寺の修行僧もボランティアとして加わり、流れ着いたがれきや泥の除去作業などを進める。佐々木さんは「我々には、前に松島の島々、後ろに瑞巌(寺)さんがある。必ず再生します」と力を込めた。
一方、津波で流された松島湾を周遊する遊覧船の捜索は今も続く。42年間遊覧船で観光客を案内してきた伊藤章さん(62)は「沖合に養殖網などが漂流し、当分船は出せない。でも、お客さんにまた、美しい風景を楽しんでもらいたい」と話した。
松島の美しい景観は、遠目には地震と津波前と大きく変わっていないようにも見える。しかし、名物のカキ養殖は、養殖棚が流されるなど大きな打撃を受けている。若い頃からカキ養殖を続ける佐藤長芳さん(77)も養殖棚を流された。「カキで生活してきたが、年も年なので、やめざるを得ないかも……」と将来への不安を隠せないでいる。(井上亜希子、林理恵) .最終更新:3月23日(水)7時48分
NKH
福島第一原発 冷却機能回復へ作業
22日夜、震災以来11日ぶりに中央制御室に照明がともった福島第一原子力発電所3号機では、23日、外部電源を使って原子炉に水を送るポンプの試運転を行う予定です。
24日にも原子炉に水を入れる予定で、東京電力は、本来の冷却機能の回復に向けて作業を進めることにしています。
福島第一原発3号機で、22日夜、中央制御室に、震災以来11日ぶりに外部電源による照明が点灯し、深刻な事態に陥っている1号機から4号機の中では、初めて中央制御室に外部電源が復旧しました。
東京電力や経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、外部電源の復旧作業は、22日夜から23日未明にかけて、1号機と3号機、それに4号機の原子炉などのデータを計る計測器に電源を引き込んだということで、問題がないことが確認できたものから実際に電気を通し、中央制御室のパネルに表示させるということです。
また、3号機では、原子炉に真水を送り込むポンプの試運転を行う予定だということです。
これは、原子炉に水が足りなくなったときにあらかじめタンクにためておいた水を送り込む、補給水系と呼ばれるもので、24日にも実際に原子炉に水を入れる作業を行うことにしています。
一方、最も早く作業が進んでいた2号機については、原子炉の隣にあるタービン建屋の中の放射線量が高く、慎重に作業を進めているということです。
このほか、1号機では原子炉の温度が高い状態が続いていて、炉心の温度が設計段階で想定されていた最高温度の302度を超え、およそ400度に達したため、23日午前2時23分から、これまで使っていた配管に加え、別の配管を通じて炉心への給水を始め、炉心の冷却を強化したということです。
また、使用済み燃料プールに水を入れる作業は、4号機では東京電力が手配した、場所を絞って大量の水を注ぎ込める特殊な車両による注水が午前10時すぎから3時間程度の予定で始まり、3号機では東京消防庁が横浜市消防局の部隊と協力して、午後4時から2時間程度、放水を行う予定です。
東京電力は、外部電源による電気での設備や機器の復旧を急ぎ、本来の冷却機能の回復に向けて作業を進めることにしています。
3月23日 13:20更新
▲ページトップへ.原発30キロ沖の海域調査へ
福島第一原子力発電所の周辺の海で、国の基準を上回る放射性物質が検出されたことから、文部科学省はさらに範囲を広げ、原発から30キロ沖で海水中の放射性物質を調査し、過去のデータと比較して公表することになりました。
東京電力によりますと、福島第一原発の施設からの水を流し出す「放水口」の南330メートルの地点で、法律で決められた基準値の126.7倍の濃度の放射性ヨウ素131が検出されたほか、原発から16キロ南にある岩沢海岸付近でも、基準値の16.4倍の濃度の放射性ヨウ素131が検出されました。
これを受けて、文部科学省はさらに広い範囲の調査を23日から行うことになりました。
原発から30キロ沖に調査船を出し、南北70キロにわたって10キロごと、あわせて8か所で海水を採取します。
文部科学省は同じ海域で、毎年調査を行っていて、今回と過去のデータを比較したうえで、公表することにしています。
福島第一原発から出た放射性物質は、燃料プールを冷却するために行われた放水の水や周辺で降った雨とともに海に流れ出ている可能性が指摘されています。
経済産業省の原子力安全・保安院は「燃料の冷却を優先させなくてはならない厳しい状況にあり、海への影響を十分に調べる必要がある」としています。
3月23日 4:15更新
▲ページトップへ.温度計復旧 原子炉の状態把握
危険な状態が続いている福島第一原子力発電所では、地震で停電して以降、計器類のほとんどが使えなくなっていますが、1号機から3号機の原子炉の表面を計る温度計が復旧したことが分かりました。
東京電力では原子炉の圧力や水位に加え、温度のデータも得られたことで、原子炉の状態がより分かり、冷却への対応に生かせるとしています。
福島第一原子力発電所では、今月11日の地震と津波ですべての電源が失われ、原子炉の状態などを知るための計器類のほとんどが使えなくなりました。
東京電力がバッテリーなど仮設の電源で復旧を試みたところ、今月19日の朝に3号機で、原子炉の外側の表面にある温度計の表示が復旧しました。
その際の温度計の値は366度と、通常、運転中の温度に比べて高く、東京電力は、炉内を冷やすため注入する海水の量を増やす対応を取りました。
東京電力では、温度のデータが得られるようになったことで、原子炉の状態がより分かり、冷却への対応に生かせるとしています。
原子炉の表面を計る温度計は、その後、20日に1号機と2号機でも復旧し、その結果、1号機の温度も、22日午後3時半の時点で394度と高いことが分かり、東京電力では水の量を徐々に増やすなどの対応を取ることにしています。
3月23日 4:15更新
▲ページトップへ.原発爆発当時 通信手段厳しく
東京電力福島第一原子力発電所の3号機で、先週、爆発が起きて11人がけがをした際、現場近くで治療に当たった医師がNHKの取材に応じ、「現場の通信手段が限られて、けが人を搬送する病院の確保が難しく、大変な状況だった」と振り返りました。
福島第一原発では、地震の3日後の今月14日、3号機で水素爆発が起き、原子炉を冷却する放水作業を行っていた自衛隊員など11人がけがをしました。
千葉市にある放射線医学総合研究所の富永隆子医師は、地震の翌日から原発からおよそ4キロ離れた防災拠点のオフサイトセンターに駐在していて、けが人の治療に当たりました。
富永医師によりますと、3号機で爆発が起きた時、オフサイトセンターには、各省庁の担当者などが100人以上いたのに対し、外部との通信手段は衛星電話の2回線しかなかったということです。
さらに電話自体がなかなかつながらない状況が続いたため、けが人を搬送する病院が決まるまでおよそ2時間かかったということです。
富永医師は、「軽症だったので、受け入れ先を探す時間はあったが、重症だったらと考えるとぞっとします。現場の通信手段が限られて、けが人を搬送する病院の確保が難しく、大変な状況でした」と振り返りました。
そのうえで、富永医師は、「原子力災害への対応では通信ができなくなるとは考えられていなかったので、対策を見直す必要があるのではないか」と話しました。
3月23日 5:30更新
▲ページトップへ..ご意見・お問い合わせ | NHK における
中性子線検出、12〜14日に13回
. 福島原発
東京電力は23日、東電福島第一原発の原子炉建屋の約1・5キロ・メートル西にある正門付近で、これまでに2回だけ計測されたとしていた中性子線が、12〜14日に計13回検出されていた、と発表した。
観測データの計算ミスで見落としていたという。
中性子は検出限界に近い微弱な量だった。東電は、「中性子は、(核燃料の)ウランなど重金属から発生した可能性がある。現在は測定限界以下で、ただちにリスクはない。監視を強化したい」としている。
(2011年3月23日13時10分 読売新聞)
東京の浄水場から放射性ヨウ素検出 乳児の基準値2倍超 「飲用控えて」
産経新聞 3月23日(水)14時24分配信
東京都は23日、水道局の金町浄水場(葛飾区)から、放射性物質が乳児の暫定基準値の2倍を超える数値を測定したことを明らかにした。
都によると、放射性ヨウ素を水道水1キロあたり210ベクレルを検出したといい、乳児に水道水の飲用を控えるよう要請した。乳児の水道水の摂取を控える地域は、東京23区、武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市。
厚生労働省が示した乳児の飲用を控える暫定規制値は1キロあたり100ベクレル
深刻さ判断できず=農産物の放射性物質検出−WHO
【ジュネーブ時事】世界保健機関(WHO)広報官は21日、福島第1原発事故を受け農産物から食品衛生法の暫定規制値を超える放射性物質が検出されたことに関し「十分な情報がなく(健康被害への深刻さに関する)判断はできない」と明確な評価を避けた。
事故が完全に収束していないため「漏れた放射性物質の量、影響を受けた野菜や土壌についての調査を現時点で始めることはできない」とも語り、今後の被害の広がりを慎重に見極める構えを示した。(2011/03/22-05:49)
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避難・屋内退避区域外にお住いの皆様へのQ&A
平成23年3月23日
経済産業省
原子力安全・保安院
原子力安全委員会から、3月22日付けで避難・屋内待避区域外にお住まいの皆様へのQ&Aが届きましたので、お知らせします。
問1.雨に濡れてしまいましたが、健康に影響があるのですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、雨に濡れても健康に影響を及ぼすレベルではありません。気になるようでしたら、頭髪、皮膚はシャワーなどで洗い流し、濡れた衣服は洗濯してください。
問2.どのくらい雨に濡れたら健康に影響があるのですか?
答.避難・屋内退避区外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、雨に濡れても健康に影響を及ぼすレベルではありません。
問3.子どもや妊婦についても大丈夫なのですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、放射線への感受性が高い子供や胎児に対しても健康に影響を及ぼすレベルではなく、妊娠を継続することについては問題ないと思われます。
問4.外出先で傘等の雨具がなく雨に濡れてしまったので心配です。
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、雨に濡れても健康に影響を及ぼすレベルではありません。気になるようでしたら、頭髪、皮膚はシャワーなどで洗い流し、濡れた衣服は洗濯してください。
問5.雨に濡れた髪の毛はどうしたらいいですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、雨に濡れても健康に影響を及ぼすレベルではありません。気になるようでしたら、髪をシャワーなどで洗い流してください。
問6.洗髪した水はそのまま流してもいいのですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、健康に影響を及ぼすレベルではありません。洗髪した水はそのまま流しても大丈夫です。
問7.雨に濡れた服を洗濯したいのですが、そのまま排水してもいいですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、雨に濡れた衣服の洗濯排水はそのまま流しても大丈夫です。
問8.カバンやスーツなど、洗えないものが雨に濡れてしまいましたが、どうしたらいいですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、健康に影響を及ぼすレベルではありません。気になるようでしたら、タオルなどで拭取ってください。使ったタオルは洗濯していただければその後の使用に問題はありません。
問10. 雨に濡れた傘や雨具はどうしたらいいですか?
答.避難・屋内退避区外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、傘や雨具はそのまま再度使用しても問題ありません。
問11. 車や自転車が雨に濡れたのですが、そのまま使用して大丈夫ですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、そのまま使用しても問題ありません。
問12. 雨水をトイレなどで使っているのですが大丈夫ですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、健康に影響を及ぼすレベルではありません。トイレなどの雑排水に使用しても問題ありません。
問13. ペットが外で雨に濡れてしまったけど、どうしたらいいですか?
答.避難・屋内退避区外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、健康に影響を及ぼすレベルではありません。したがって、ペットが雨に濡れても問題はありません。気になるようでしたら、タオルで拭取るか、シャワーなどで体を洗い流してあげて下さい。
問14. ペットが水たまりで水を飲んでしまったけど、心配ないですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、水たまりの水を飲んだとしても健康に影響を及ぼすレベルではありません。
問15. 雨が降った頃から(発表されている)線量測定結果が高くなりましたが、それでも本当に大丈夫なのですか?
答.雨に含まれた微量の放射性物質が地面に残るため、降雨後はその場所の線量が高くなることがありますが、現在観測されている線量は、健康に影響を及ぼすレベルではありません。
問16. 今後、水道水や農作物中の放射能がもっとあがるのではないですか?
答.今後の風向きや雨によっては、放射能レベルが高くなることがあります。知事等から出荷や摂取の制限が出されるまでは、特段注意を払う必要はありません。
問17. 井戸水を使っているのですが、飲んでも心配ないですか?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、健康に影響を及ぼすレベルではありません。
問18. 家で野菜を作っているのですが、食べても平気ですか?
答.出荷制限区域外の地域において、微量な放射能が検出されている地域がありますが、健康に影響を及ぼすレベルではありません。気になる方は、よく水洗いしてください。
出荷制限区域内においては、家庭菜園で作られた葉菜類(出荷制限品目)はできるだけ食べることを控えてください。
問19. 出荷制限品目以外の葉菜類は食べても大丈夫ですか?
答.出荷制限品目以外の葉菜類は食べても問題ありません。
問20. 出荷制限品目の葉菜類を食べてしまいましたが、大丈夫ですか?
答.1年間食べ続けた場合を想定して制限値を決めています。1、2週間食べ続けても問題ありせん。
問21. 心配なので被ばく検査を受けたいのですが?
答.避難・屋内退避区域外の地域においても、微量な放射能が検出されている地域がありますが、健康に影響を及ぼすレベルではありませんので、被ばく検査を受ける必要はありません。
問22. ヨウ素剤を服用する必要はありますか?
O 答.現時点において、ヨウ素剤を服用する必要はありません。今後、災害対策本部等からの情報によく注意し、その指示に従ってください。
問23. どこに問い合わせたらいいですか?
答.文部科学省、放射線医学総合研究所が皆様のご心配にお応えしております。以下の連絡先に問い合わせてください。
文部科学省
健康相談ホットラインの開設(福島原子力発電所の周辺にお住まいの皆様へ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/03/1303849.htm
健康相談ホットライン 0120−755−199
※なお、具体的な除染方法等については、以下の窓口までご相談ください。
被ばく医療健康相談ホットライン090-5582-3521
090-4836-9386
080-2078-3308
090-7408-1074
090-8591-0735
080-2078-3307
放射線医学総合研究所
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i6
(本発表資料のお問い合わせ先)
原子力安全・保安院
原子力安全広報課:吉澤、小山田
電話:03−3501−1505
03−3501−5890
「地震よかった」の大阪府議長、公認取り消しへ
. 巨大地震
大阪府議会の長田義明議長(76)が、東日本巨大地震について「天の恵み」と発言した問題で、所属する自民党府連は23日、府議選(4月1日告示)に大阪市鶴見区選挙区から立候補予定だった長田氏の公認を取り消す方針を固めた。
府連幹部は「不適切な発言で、公認は有権者の理解を得られない」としている。長田氏も立候補辞退の意向を周辺に漏らしており、23日中にも最終判断するという。
長田氏は、橋下徹知事の咲洲(さきしま)庁舎(旧WTC)への府庁舎全面移転構想に反対している。20日の事務所開きのあいさつで、同庁舎に地震の被害が出たことに触れ、「地震が起きてよかった。知事の考えが間違っていたことが示された」と話していた。
(2011年3月23日14時51分 読売新聞)
独など7か国の大使館、西日本に機能を移転
. 福島原発
巨大地震
東日本巨大地震と東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、東京都内にあるスイスやドイツなど7か国の大使館が、大阪や神戸、広島など西日本に機能を移した。
関西に「足場」がない国は、ホテルやオフィスビルの一室を借りて移動。ほかにも数か国が移行を検討しているという。
外務省などによると、機能を移したのはスイス、ドイツ、クロアチア、ネパール、エクアドル、パナマ、フィンランド。原発事故に加え、計画停電の影響で業務に支障が出たためという。
ドイツとパナマは、大阪、神戸両市内の領事館にそれぞれ大使館業務を移転。他の5か国は大阪市内のホテルや広島市内のオフィスビルなどに臨時事務所を開設した。このほか、オーストリアが大阪市内の領事館に業務を移行しつつあり、スロベニアも移転を検討しているという。
(2011年3月23日14時42分 読売新聞)
オール電化住宅、普及裏目…原発2基分の消費増
. 計画停電
オール電化などのPR施設「電力館」、20日の改装オープン予定が延期に(東京・渋谷区で)
東京電力が、給湯や調理などすべてを電気でまかなう「オール電化住宅」の普及を推進してきたことが、今回の電力不足に拍車をかけている。
この3年間で戸数が倍増し、最大で原子力発電プラント2基分にあたる約200万キロ・ワット分の電力消費能力が増えた可能性がある。東電は、東日本巨大地震後、計画停電をせざるをえない状態で、オール電化の普及策は抜本的な見直しを迫られている。
東電によると、管内9都県のオール電化戸数は2002年3月末時点で1万3000戸だったのが、08年3月末に45万6000戸になった。10年末には85万5000戸に倍増した。「原子力は発電時に二酸化炭素を排出せず、地球温暖化の防止につながる。省エネにもなる」とアピールし、電気料金の割引を適用してきたが、急速な普及策が裏目に出た形だ。
(2011年3月23日14時42分 読売新聞)
グーグル書籍電子化和解案、承認せず…連邦地裁
. 【ニューヨーク=小谷野太郎】インターネット検索サービス最大手の米グーグルが進める絶版書籍の電子化を巡り、米作家組合などと合意した修正和解案について、ニューヨークの連邦地裁は22日、「競合他社に比べグーグルが有利になりすぎる」として承認を拒否し、再度の修正を命じた。
連邦地裁は、「著作権者の許可を得ずに書籍の電子化を認めた修正案は公正ではない」と判断した。その上で、著作権者から許可を得た書籍のみを対象とするよう勧告した。地裁の判断に対し、グーグルは「失望したが、オンラインで世界中の本を閲覧できる環境作りを続けていく」との声明を出した。
グーグルは全米の大学図書館などと提携し、蔵書を電子化してインターネット上で検索・閲覧できるサービスを始めた。これに対し、米出版業界が著作権侵害にあたるとして2005年に提訴した。両者は08年10月、グーグルが収益の約6割を著作権者に支払うなどの和解案で合意していた。
(2011年3月23日11時55分 読売新聞)
福島第1原発:岐阜県の援助隊が入院患者の搬送拒否
福島第1原子力発電所の事故で現地に派遣されている岐阜県緊急消防援助隊が、屋内退避区域になっている半径20〜30キロ圏内の病院の入院患者の搬送について「安全が確保されていない」などとして断っていたことが23日分かった。
同県消防課によると、県内からは22消防本部のうち10消防本部の隊員が緊急消防援助隊として交代で被災地に入り、被災者支援に当たっている。同援助隊は、福島県の依頼を受けた消防庁から17日に20〜30キロ圏内の患者の搬送要請を受けた。しかし、当時参加していた6消防本部がいずれも断る意向を示したという。岐阜市消防本部では「隊員の安全を第一に考えた」と理由を説明している。【岡大介】
東日本大震災:被害額最大25兆円 政府が初の試算
津波から10日以上経過しても水浸しの仙台市若林区=2011年3月22日、陸自ヘリから丸山博撮影 東日本大震災と大津波で損壊した道路や住宅、港湾施設などの被害額について、政府が最大約25兆円に上るとの試算をまとめたことが23日分かった。与謝野馨経済財政担当相が同日午後に開く月例経済報告関係閣僚会議に提出する。政府が東日本大震災の被害額を試算するのは初めて。被災地域が広範囲にわたる上、大津波の被害が大きいため、95年の阪神大震災での被害額(10兆円)を大幅に上回る。被災地復興に向けて政府が検討している11年度補正予算の規模も大きく膨らみそうだ。
政府は今回の東日本大震災の被害額試算に当たって、阪神大震災の際の建物の損壊率などを参考に2通りの方法で道路や港湾などインフラや住宅、工場などを対象に被害額を算出。その結果、少なく見積もっても被害額は約16兆円、最大で約25兆円に達する見通しとなった。この試算には、東京電力の福島第1原発の事故に伴う損害などは含まれておらず、最終的にはさらに被害額が膨らむ可能性が高い。
阪神大震災では、政府が3度の補正予算の編成で震災関係対策費約3.2兆円を計上したが、野田佳彦財務相は「(東日本大震災に対する補正の規模は)阪神より大きくならざるを得ない」としており、財源確保も大きな課題となりそうだ。【谷川貴史】
09年衆院選、1票の格差「違憲状態」…最高裁
読売新聞 3月23日(水)15時16分配信
2009年8月の衆院選を巡り、議員1人当たりの有権者数の格差(1票の格差)が最大2・30倍となった小選挙区の区割りは、投票価値の平等を保障した憲法に反するとして、各地の有権者が各選挙管理委員会に選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の上告審判決が23日、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)であった。
大法廷は、各都道府県に1議席を配分した上で残りを人口比で割り振る「1人別枠方式」と、同方式で生じた格差について「違憲状態」と判断し、同方式を廃止するよう求めた。選挙無効の請求は退けた。
1994年に導入された衆院選小選挙区比例代表並立制での格差について、最高裁が違憲状態と判断したのは初めて。「1人別枠方式」という制度自体が違憲状態とされたことから、国会が選挙制度の抜本的な見直しを迫られるのは必至だ。
09年8月の衆院選を巡っては10件の訴訟が起こされ、各地の高裁の判断が、「違憲」4件、「違憲状態」3件、「合憲」3件と分かれた。最高裁は昨年9月、このうち9件の審理を、15人の裁判官全員で審理する大法廷に回付していた。 .
福島第一3号機から黒い煙 作業員ら退避2011年3月23日18時3分
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ライブカメラから見た、23日午後4時の福島第一原発。煙が上がっていた=東京電力のホームページより
東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の3号機で23日夕、黒い煙が出ているのが見つかった。3、4号機の建屋内にいた作業員と、放水作業にたずさわる横浜市消防局と東京消防庁の職員は退避した。炎は確認されていないという。経済産業省原子力安全・保安院によると、付近の放射線モニタリング値に大きな変化はみられないという。
保安院によると、3号機では23日は外部電源の復旧にあたって機器の点検作業を続けていた。3号機は22日夜に中央制御室に照明がついたばかり。外部から供給された電力を使って24日にも新たにポンプを作動させ、復水貯蔵タンクに保存されていた真水を炉心に注入する予定だった。
3号機では23日、使用済み燃料プールに内部の配管から海水35トンを注入。同様の方法で、24日に4号機、25日に1号機に注入していくという。
また、1号機は炉内の温度が設計上の最高温度302度より100度高い約400度まで上がったため、23日未明、給水量を1時間あたり2立方メートルから18立方メートルに増やした。緊急用の消火系と呼ばれる配管に加え、給水系と呼ばれる配管からも海水を注入。午後0時現在、炉内の温度は50度ほど下がったものの、炉内の気圧は高まっている。
2号機では原子炉建屋の横のタービン建屋内で高い放射線量が検知されていたことが明らかになった。原子力安全・保安院によると、18日にポンプのモーターを交換する際に計ると、1時間あたり500ミリシーベルト相当の放射線量が検出された。交換作業は止まっているという。
4号機では50メートルを超える高さから遠隔操作できる特殊なコンクリートポンプ車で使用済み燃料プールへの放水が進められた。23日午前に福島県いわき市で震度5強を観測する地震があったが、福島第一原発の作業に影響はなかったという。
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都内の浄水場から放射性ヨウ素 乳児飲用に適さぬ濃度2011年3月23日17時46分
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【動画】放射能が検出された金町浄水場
乳児の飲用に適さない濃度の放射性ヨウ素が検出された東京都水道局の金町浄水場。後方は東京都心=23日午後2時54分、東京都葛飾区、本社ヘリから、仙波理撮影
東京都水道局は23日、金町浄水場(葛飾区)から乳児の飲用に適さない濃度の放射性ヨウ素が検出されたと発表した。検出濃度は1リットル当たり210ベクレルで、厚生労働省が21日に示した乳児の飲用に関する指標値の100ベクレルを110ベクレル上回っていた。
金町浄水場は23区の東側を中心に給水しているが、一部は地下水や他の浄水場などの水に混ぜて多摩地区まで送られている。
このため、都は23区と武蔵野、町田、多摩、稲城、三鷹各市での乳児の飲用を控えるよう呼びかけている。ただ、「厚労省設定の数値は長期間飲用した場合の健康被害を考慮したもので、代替飲用水が確保できない場合は摂取しても差し支えない」としている。
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2011年3月23日(水)
県、水の安全強調 北茨城など基準値以下
福島第1原発の放射能漏れ事故を受け、水道水を所管する県生活衛生課や各保健所に「水は安全か」との問い合わせが相次いでいる。橋本昌知事は「まったく心配することはない」と強調し、冷静な対応を求めている。
同課によると、問い合わせは20日から増えだし、21日は66件に上った。「水道水を飲んでも大丈夫か」「井戸水は大丈夫か」などの心配の声が寄せられた。基準値以上の放射性ヨウ素が検出された福島県飯館村の水道水に対し、厚生労働省が飲むのを控えるよう要請たことも影響し、22日も問い合わせが続いた。
県は19日に北茨城市華川浄水場と高萩市関口浄水場、20日に水戸市楮川浄水場、つくば市中央配水場から採取した。国の原子力安全委員会が定める摂取基準値は水道水1キロ当たりヨウ素は300?でセシウムは200?。これに対し北茨城は10・0と1・17、高萩は8・4と1・26、水戸は8・9と4・84、つくばは4・9と1・88となっており、いずれも基準値を大きく下回っている。橋本知事は「いずれも基準値以下。心配ない」と話した。
県は今後、ひたちなか市西十三奉行の県環境放射線監視センターで継続して調査していく方針。
2011年3月20日(日)
北茨城と高萩の水道から微量放射線「人体に影響ない」と知事
県は20日、福島第1原発の事故を受け、北茨城市と高萩市で19日採取した水道水に含まれる放射性のヨウ素とセシウムの濃度を発表した。いずれも国の基準値を大幅に下回り、橋本昌知事は「極めて低いレベル。飲んでも人体への影響はまず考えられない」と安全性を強調した。
県によると、北茨城市華川浄水場と高萩市関口浄水場の水道水から微量のヨウ素とセシウムを検出した。しかし、華川の値はヨウ素が基準の30分の1(10・0ベクレル)、セシウムは171分の1(1・17ベクレル)と、「ほとんど無視できる数値」(橋本知事)。関口はヨウ素8・4ベクレル、セシウム1・26ベクレルと華川より低かった。
隣県の宇都宮市(ヨウ素77ベクレル、セシウム1・6ベクレル)より数値はかなり低く、橋本知事は「風向きなどが影響しているのではないか」と語った。
国の原子力安全委員会が定める摂取基準値は水道水1キロ当たりヨウ素が300ベクレル、セシウムは200ベクレル。
文部科学省は19日、本県を除く首都圏など1都5県の水道水からヨウ素とセシウムを検出と発表。県庁や保健所に県民から「水道水は安全か」との問い合わせが相次いでいた。
県は20日に水戸市、つくば市の水道水も採取、分析結果は21日に分かるという。
“雨に溶け込み集まったか”
3月23日 16時53分
東京都葛飾区にある浄水場の水から、乳児の摂取限度の指標を上回る放射性ヨウ素が検出されたことについて、環境中の放射能に詳しい、学習院大学理学部の村松康行教授は、「落下してきた放射性物質が直接、浄水場の水に入ったのではなく、大気中を浮遊していたものが、きのうの雨に溶け込んで集まり、高い値が出たと考えられる。風呂や洗濯など、口に直接入らないものは水道水を使ってかまわないし、代わりの飲み水が手に入らない場合、一時的に使う分には問題ない。今後も高い値が続くのか、地域的に広がりが生じるのか、監視を強める必要がある」と話しています。
周辺の土から高濃度放射性物質
福島第一原子力発電所の事故で文部科学省が周辺で採取した土を分析した結果、原発から北西に40キロの地点で、通常と比べて非常に高い濃度の放射性物質が検出されました。
文部科学省は、福島第一原発の事故の影響を調べるため、福島県に依頼して、今月18日から20日にかけて、原発周辺の自治体で5センチの深さからサンプルの土を採取し、放射性物質がどの程度含まれるか分析しました。
その結果、原発から北西に40キロの飯舘村の地点で、土壌1キロあたり、▼放射性ヨウ素131が117万ベクレル、▼放射性セシウム137が16万3000ベクレル、検出されました。
文部科学省が所管する財団法人で、環境中の放射性物質の分析を行っている「日本分析センター」によりますと、土壌に含まれる放射性物質については基準がないものの、長期的な影響が続く放射性セシウムについては、通常の値と比べますと、1万倍を超える濃度になっているということです。
これについて「日本分析センター」では、「通常と比べて非常に高い数値ではあるものの、その上を歩いた人が浴びる放射線量や、農産物への影響については、実際に調べてみないと分からない」と話しています。
今回の調査結果については現在、原子力安全委員会で詳しい評価を行っています。
03月23日 18時08分
1600倍の放射線を測定 IAEA、原発周辺地域で
2011年3月22日 10時47分
【ウィーン共同】国際原子力機関(IAEA)は21日、IAEAの放射線測定チームが福島第1原発の周辺地域の土壌と大気から測定した放射線量を発表、原発から約20キロ離れた福島県浪江町付近で通常の約1600倍に相当する毎時161マイクロシーベルトの放射線量を測定したと明らかにした。
文部科学省の調査では浪江町で15日、330マイクロシーベルトが測定されている。IAEAは「高い数値が測定された。状況を見守っていきたい」としている。
IAEAのチームは20日、原発から16〜58キロ離れた10以上の地点で土壌と大気の双方を測定。測定値には土壌と大気双方のデータを盛り込んだとしている。IAEAによると、原発の50〜70キロ圏の土壌からも通常より高い放射線量が測定されたという。IAEAは0・1マイクロシーベルトを通常値としている。
チームは今後数日間、福島県内で作業を続ける。原発から52キロ離れた二本松市内では4・2マイクロシーベルトだった。
IAEAは17日、日本政府の要請でチームを日本に派遣した。天野之弥事務局長は「専門家チームをさらに派遣したい」としている。
[社会]実に見苦しい読売グループの醜態 13:16
昭和29(1954)年、読売新聞が原子力平和利用をテーマに「ついに太陽をとらえた」の連載を開始いたします。
いまだ戦後9年ほどしか経過しておらず、国民の間では広島・長崎の惨禍の記憶も生々しく残り原子力に対するアレルギーが強くある中で原子力平和利用をテーマした連載は異色であり異彩を放つのですが、「大正力」こと「読売中興の祖」正力松太郎社長の強力なリーダーシップのもと、読売はグループを上げて日本の原発開発推進の報道に突き進みます。
2年後の昭和31年(1956年)、正力松太郎は1月に原子力委員会初代委員長に就任、そして5月には初代科学技術庁長官に就任、日本初の原子力発電所建設に向けて強力に法整備や東海村建設などに動きます。
この功績で正力は後に日本の「原子力の父」と称されるわけです。
当時の正力は読売新聞社長という枠を越えてたいへん精力的に活動しています、やがて始まろうとするTV放送にもいち早く法整備の段階から参画し日本初の民放である日本テレビの初代社長に昭和27年(1952年)就任、翌年、昭和28年(1953年)8月 - 日本テレビ放送網の本放送が開始されます。
また自身がオーナーを務める読売巨人軍の興行を活性化、やがて日本テレビによる巨人軍の試合のTV中継全国放送を通じてプロ野球を国民的人気のプロスポーツに育て上げます。
これらの業績により正力は、「原子力の父」と並んで、日本の「プロ野球の父」、「テレビ放送の父」とも称されています。
当時の正力の目的は発行部数トップであったライバル朝日新聞を打倒し読売新聞を発行部数日本一にすることにありました。
日本テレビの巨人戦の高視聴率とともにライバル朝日新聞がTV放送進出に大きく出遅れたこともあり、読売は急速に発行部数を伸ばしていき、正力の悲願はかない昭和53(1978)年読売の発行部数ついに朝日を抜いて日本一となり、今日では発行部数1000万部を誇る世界一の新聞社となりました。
TVに進出し、プロ野球を活性化し読売巨人軍を国民的人気チームにしあげ、それを利用しライバル朝日を発行部数で追い抜く、その戦略は見事でしたが、大正力は政界にまで進出して原子力の平和利用推進していますが、今日では正力がアメリカCIAの意向に従って行動していたことが明らかになっています。
早稲田大学教授の有馬哲夫がアメリカ国立第二公文書館によって公開された外交機密文書を基に明らかにしたところによれば、A級戦犯として公職追放されていた正力は、戦犯不起訴で巣鴨プリズン出獄後、アメリカ中央情報局(CIA)の指示のもとで、日本へのテレビの導入と原子力発電の導入を推進します、彼はCIAからは"podam"、"pojacpot-1"というコードネームを与えられ、これらの件に関する大量のファイルがアメリカ国立第二公文書館に残っています。
「問題ない」…官房長官、水買い占め自粛要請
読売新聞 3月23日(水)17時30分配信
枝野官房長官は23日午後5時すぎに記者会見し、東京都内に水道水を供給する浄水場から乳児が飲む規制値の2倍を超える放射性ヨウ素が検出されたことについて、「東京電力福島第一原発から放射性物質が大気中に出ていることは間違いなく、雨も降ったため色々なルートで影響を与えることはありえる」と述べた。
そのうえで、「乳幼児には摂取を控えることが望ましい数値だが、大人や子どもが使う分には全く問題ない。生活用水としても問題はない」と強調した。
枝野氏は、乳児を持つ家庭への具体策を東京都と協議していることを明らかにした上で、「必要な分を超えて水を買い求めることは自粛して頂くとありがたい」と述べた。 .最終更新:3月23日(水)17時30分
浜岡原発に関して設計者からの言葉 傑作(5)
2011/3/19(土) 午後 11:10気になること地震 Yahoo!ブックマークに登録 ブログ仲間のhitomiさんの記事からコピーしてお知らせいたします。 ご興味がある方だけ、お読みになってください。 この内容を信じるか信じないかは、読まれる方の責任において行ってください。 hitomiさんの元の記事はこちら↓ http://blogs.yahoo.co.jp/shishi5235/32403593.html データ改ざんし、建設した浜岡原発。
辞表を出した設計者谷口雅春氏の言葉です。
東海地震に耐えられない浜岡原発
実際に原子炉設計に携わり、「データを偽造して地震に耐えうることにする」との会議に立ち会った
ことから、技術者の良心で辞表を出した経緯を公表し、警鐘を鳴らした設計者。しかし電力会社を
広告主にもつ大手マスコミはこの事実を取り上げず、行政に知らせても音沙汰なし。
東海地震が起きれば関東・関西一円に放射能汚染が広まる危険性は高く、早急な対策が
必要だ。「このままでは大変なことになる」という設計者の決意の証言を報じる。
(取材・代筆、佐々木敬一)
私は1969年に東京大学工学部舶用機械科の修士課程を修了後、東芝子会社の「日本原子力事業」
に入社し、1972年当時は、申請直前だった中部電力の浜岡原子力発電所2号機(静岡県御前崎市)
の設計に携わっていました。東芝が浜岡原発の受注先の一つで、私は東芝に出向中でした。
浜岡2号機の設計者は数十人で、1「炉心構造物設計」、2「制御棒設計」、3「汽水分離機・蒸気
乾燥器設計」の3つのチームに分かれていました。私は1に所属し、核燃料を支える炉心支持
構造物といわれる箇所を担当していました。原子炉の中心的な部分です。
必要なデータを私が集計し、それをもとに、計算担当者が耐震計算を行っていました。
◇「この数値では地震がくると、もたない」
ところが1972年5月頃、驚くべき事態が起こりました。部門ごとの設計者の代表が集まった会議で、
計算担当者が「いろいろと計算したが無理だった。この数値では地震がくると浜岡原発はもたない」
と発言したのです。
原因は、第一に、浜岡原発建設地の岩盤が弱いこと、第二に、核燃料集合体の固有振動数が
想定地震の周波数に近いため、とのことでした。
第一の「岩盤が軟弱」という点では、浜岡原発の建設地は、150年前に発生した安政の大地震など
200年周期でM8クラスの地震が起きており、岩盤が断層、亀裂だらけで、地震に非常に弱い地盤
です。
しかも、今後起こるといわれる東海大地震の震源域は駿河湾といわれており、その駿河湾の震源地
が、ちょうど浜岡原発の真下に位置しているのです。
第二の「固有振動数」については、地震が起きた際には、周波数があります。その周波数と、
核燃料集合体の固有振動数が近い場合は、地面と燃料集合体が共振し、何倍も大きく振れることに
なります。耐震計算の結果、浜岡原発の核燃料搭載部分はその共振が著しく、地震が起きたら
もたない、との結果が出たのです。
◇3つの偽造
会議では、さらに驚くべきことに、計算担当者が「データを偽造し、地震に耐えうるようにする」と
述べました。偽造は三点でした。
第一に、岩盤の強度を測定し直したら、浜岡原発以前に東電が建設した福島原発なみに、岩盤は
強かった、ということにする。
第二に、核燃料の固有振動数を実験値ではなく、技術提供先である米ゼネラル・エレクトニック社
(GE)の推奨値を使用することで、地震の周波数は近くないことにする。
第三に、原発の建築材料の粘性を、実際より大きいこととし、これにより地震の振動を減退している
こととする。
私は、それを聞いて「やばいな」と思い、しばらく悩んだ末に上司に会社を辞める旨を伝えました。
自分の席に戻ったところ、耐震計算結果が入った三冊のバインダーが無くなっていました。
そのため、証拠となるものは何も持っておりません。
技術者の良心から日本原子力事業を辞することに。
その時の辞表。
それから1ヵ月位慰留を受けた後、私は技術者の良心に従い、警告の意味を込めて、退社しました。
その後は、コンピューター関連会社など、原発とは無縁に30 年以上生きてきましたが、浜岡で
地震が起きたら、核が飛散する、との考えはいつも頭から離れることはなく、横浜にマンションを買って
住んでいた時もありましたが、もっと浜岡から離れた方が安全だと思い千葉に移り住むなど、私の
人生に暗い影を落とし続けてきました。
こういうエピソードもあります。東芝の子会社を退社してから10年ほど経ったときのことでした。
私は大学院時代の研究室のOB会に参加したのですが、そこでちょうど東芝と同じく浜岡原発2号機
の建設の一部を請け負っていたIHI(石川島播磨重工業)に勤める後輩と会いました。
私は、浜岡原発の耐震が持たないのを知って、会社を辞めた、と経緯を話したところ、各地の原発を
回っているというその後輩は、「そう言われれば、浜岡はちょっとした地震でもビンビン揺れますね」と
言ったのです。中電や下請け会社など原発関係者にとっては、そんなことは周知の事実でありながら、
安全に無神経でいることに暗澹たる思いに駆られたものです。
◇関東、関西一円に放射能汚染の危険性
そして、2005年2月8日付の朝日新聞の朝刊記事に、「浜岡原発1、2号機に亀裂」とありました。
地盤が軟弱な上、大きな地震も無かったのにひびが入ったのは、やはり耐震性に問題があったの
ではないか、と私は驚き、このままでは大変なことになると危機感を募らせ、証言を決意しました。
受理を伝える手紙だけ来たが、その後3ヶ月、音沙汰なし
その後すぐに、経済産業省の原子力安全・保安院と市民団体に告発文を出し、4月15日には
静岡県庁で記者会見を行いました。経産省からは手紙の返事を受け取りましたが、
「今後調べます」との趣旨が記載してあるだけで、その後、音沙汰はありません。記者会見について
は、結局、取り上げたマスコミは地元静岡のテレビ局や中日新聞社など、ごくわずかでした。
記者会見の折、代表幹事の記者がニヤニヤと笑いながら私に質問してきたため、不思議に思ったの
ですが、それは、巨大スポンサーである電力会社に楯突いても無駄だよ、という態度でももちろん
あったと思いますが、それだけではない、と私は考えています。記者の薄笑いには、
「そんなわけがないだろう」との意識が働いていた、と考えます。
後で気づいたことですが、地元静岡では、事実とは逆に、「浜岡原発の地盤は福島原発の地盤より
強い」との中電の言い分が、広く浸透しているのです。それは、反原発を訴える人々や記者の人々
ほど、そう思い込んでいるように見受けられました。
中電が原子力委員会に提出した浜岡原発2号機の設置申請書には、参考資料として、電力中央
研究所のレポートが添付されました。電力中央研究所とは、電力会社の出資による財団法人で、
国からの委託も受けており、御用学者を動員し、原発を推進している機関です。そのレポートに、
福島原発に比べ、浜岡の岩盤は強かった、との嘘の主張があるのです。
地元の人々にしてみれば、「安全であってほしい」との願いが、安易に中電の話を信じさせてしまって
いる、と感じました。
早急に対策を打たなければ取り返しのつかない大事故につながってしまいます。それは、
一地元住民だけの問題ではありません。地震が起き、原発が破損するということは、
核分裂生成物が外に漏れるという事であり、東京・大阪を含む関東・関西一円が放射能に
汚染される、ということを意味するのです。
【シミュレーションの状況設定】
■事故想定:突然、1〜4号炉のうち2号炉がメルトダウン事故(BWR1タイプ)。
■事故原因:ミサイルテロ、東海地震、等考えられるが、ここでは特定しない。
■風向き:年間のうち御前崎で観測される約7割の南西風(偏西風)
■日時:実測の大気データ2002年8月9日で拡散した場合
◆放射性物質発生データ提供:京大原子炉実験所(小出裕章助手)
◆拡散分布シミュレーション計算協力:鈴木基雄(元日本気象協会調査部)
引用: 「浜岡原発、巨大地震対策虹のネットワーク」より
チェルノブイリ原発事故の汚染を浜岡に当てはめると、近畿地方と関東一円から新潟に至る広い
地域で長期間、人が住めない程の放射能汚染が生じます。
参考:「放射能の風はこうして首都圏まで流れてくる!」
また、浜岡2号機から放射能が放出され、東京方向が風下と想定した場合、放射能汚染により
ガンで亡くなる人数は176万人に達し、名古屋方向が風下なら95 万人が死亡する、との試算も
あります。
(京大原子炉実験所の故・瀬尾健助手の開発したプログラムをもとに同研究所の小出祐章助手が
計算した「ガンによる死亡予測」より)
しかも、これは2号機に限った予測であって、5号機までの全てに原発震災が起きた場合は、
この程度ではすみません。
原発は、エネルギー政策の一環として、国策でつくり続けてきました。最近いろいろ調べてみて
思ったことは、国と電力業界、原子力産業が一体となって、人々の安全を無視し、つくり続け
ているということです。
浜岡に地震が起きた時、どういう事態になるのか、想像するだけで恐ろしいことです。
そして、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
+++ 記者コメント +++
7 月26日発売の月刊「WILL」に掲載予定でしたが、広告主(発売中の号には4頁も広告があることが判明)ということで急遽、取りやめに。タブーがない税金ネタに差し替えました。やはり原発はマスコミタブーです。メディアリテラシーを持たない国民は、残念ながらそれに気づけない。事故が起きてから後の祭りになりかねないわけですが…。(編集)
続きを読む http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-2593.html#ixzz1H0lzIh00
東北太平洋地震や津波、福島原発事故など続くさなかに、今度は、15日午後10時31分ごろ、静岡県東部を震源とする地震があったそうだ。気象庁の観測によると、震源地は静岡県東部で震源の深さは10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは6.0と推定。
この地震による津波の心配はないということだけど、心配なのが、東海地震に耐えられないとされる浜岡原発2号だ。東北太平洋地震で、東海第2原発のポンプが停止したことが伝えられたが、静岡の地震による東海原発の様子はいまのところ、まだ日本のニュースでは伝えられていない。この原発の危険性を伝える記事があったので、念のため紹介しておこうと思う。
この記事は、『My News Japan』の佐々木敬一氏が、浜岡原発の設計者であった谷口雅春氏から聞いたことを取材、代筆したものだ。日付が2005年の7月13日となっており、6年前に書かれた記事だが、もし、改善が図られていない場合は、大いに参考にするべき記事だと思う。
浜岡原発2号は東海地震に耐えられない 設計者が語る
谷口雅春
08:44 07/13 2005
72年当時、自分が担当していた部分は、原子炉圧力容器内の
炉心支持構造物であった(マーカー着色部分)
実際に原子炉設計に携わり、「データを偽造して地震に耐えうることにする」との会議に立ち会ったことから、技術者の良心で辞表を出した経緯を公表し、警鐘を鳴らした設計者。しかし電力会社を広告主にもつ大手マスコミはこの事実を取り上げず、行政に知らせても音沙汰なし。東海地震が起きれば関東・関西一円に放射能汚染が広まる危険性は高く、早急な対策が必要だ。「このままでは大変なことになる」という設計者の決意の証言を報じる。(取材・代筆、佐々木敬一)
私は1969年に東京大学工学部舶用機械科の修士課程を修了後、東芝子会社の「日本原子力事業」に入社し、1972年当時は、申請直前だった中部電力の浜岡原子力発電所2号機(静岡県御前崎市)の設計に携わっていました。東芝が浜岡原発の受注先の一つで、私は東芝に出向中でした。
浜岡2号機の設計者は数十人で、1「炉心構造物設計」、2「制御棒設計」、3「汽水分離機・蒸気乾燥器設計」の3つのチームに分かれていました。私は1に所属し、核燃料を支える炉心支持構造物といわれる箇所を担当していました。原子炉の中心的な部分です。
必要なデータを私が集計し、それをもとに、計算担当者が耐震計算を行っていました。
◇「この数値では地震がくると、もたない」
ところが1972年5月頃、驚くべき事態が起こりました。部門ごとの設計者の代表が集まった会議で、計算担当者が「いろいろと計算したが無理だった。この数値では地震がくると浜岡原発はもたない」と発言したのです。
原因は、第一に、浜岡原発建設地の岩盤が弱いこと、第二に、核燃料集合体の固有振動数が想定地震の周波数に近いため、とのことでした。
第一の「岩盤が軟弱」という点では、浜岡原発の建設地は、150年前に発生した安政の大地震など200年周期でM8クラスの地震が起きており、岩盤が断層、亀裂だらけで、地震に非常に弱い地盤です。しかも、今後起こるといわれる東海大地震の震源域は駿河湾といわれており、その駿河湾の震源地が、ちょうど浜岡原発の真下に位置しているのです。
第二の「固有振動数」については、地震が起きた際には、周波数があります。その周波数と、核燃料集合体の固有振動数が近い場合は、地面と燃料集合体が共振し、何倍も大きく振れることになります。耐震計算の結果、浜岡原発の核燃料搭載部分はその共振が著しく、地震が起きたらもたない、との結果が出たのです。
◇3つの偽造
会議では、さらに驚くべきことに、計算担当者が「データを偽造し、地震に耐えうるようにする」と述べました。偽造は三点でした。
第一に、岩盤の強度を測定し直したら、浜岡原発以前に東電が建設した福島原発なみに、岩盤は強かった、ということにする。
第二に、核燃料の固有振動数を実験値ではなく、技術提供先である米ゼネラル・エレクトニック社(GE)の推奨値を使用することで、地震の周波数は近くないことにする。
第三に、原発の建築材料の粘性を、実際より大きいこととし、これにより地震の振動を減退していることとする。
私は、それを聞いて「やばいな」と思い、しばらく悩んだ末に上司に会社を辞める旨を伝えました。自分の席に戻ったところ、耐震計算結果が入った三冊のバインダーが無くなっていました。そのため、証拠となるものは何も持っておりません。
技術者の良心から日本原子力事業を辞することに。
その時の辞表。
それから1ヵ月位慰留を受けた後、私は技術者の良心に従い、警告の意味を込めて、退社しました。その後は、コンピューター関連会社など、原発とは無縁に30年以上生きてきましたが、浜岡で地震が起きたら、核が飛散する、との考えはいつも頭から離れることはなく、横浜にマンションを買って住んでいた時もありましたが、もっと浜岡から離れた方が安全だと思い千葉に移り住むなど、私の人生に暗い影を落とし続けてきました。
こういうエピソードもあります。東芝の子会社を退社してから10年ほど経ったときのことでした。私は大学院時代の研究室のOB会に参加したのですが、そこでちょうど東芝と同じく浜岡原発2号機の建設の一部を請け負っていたIHI(石川島播磨重工業)に勤める後輩と会いました。
私は、浜岡原発の耐震が持たないのを知って、会社を辞めた、と経緯を話したところ、各地の原発を回っているというその後輩は、「そう言われれば、浜岡はちょっとした地震でもビンビン揺れますね」と言ったのです。中電や下請け会社など原発関係者にとっては、そんなことは周知の事実でありながら、安全に無神経でいることに暗澹たる思いに駆られたものです。
◇関東、関西一円に放射能汚染の危険性
そして、2005年2月8日付の朝日新聞の朝刊記事に、「浜岡原発1、2号機に亀裂」とありました。地盤が軟弱な上、大きな地震も無かったのにひびが入ったのは、やはり耐震性に問題があったのではないか、と私は驚き、このままでは大変なことになると危機感を募らせ、証言を決意しました。
受理を伝える手紙だけ来たが、その後3ヶ月、音沙汰なし
その後すぐに、経済産業省の原子力安全・保安院と市民団体に告発文を出し、4月15日には静岡県庁で記者会見を行いました。経産省からは手紙の返事を受け取りましたが、「今後調べます」との趣旨が記載してあるだけで、その後、音沙汰はありません。記者会見については、結局、取り上げたマスコミは地元静岡のテレビ局や中日新聞社など、ごくわずかでした。
記者会見の折、代表幹事の記者がニヤニヤと笑いながら私に質問してきたため、不思議に思ったのですが、それは、巨大スポンサーである電力会社に楯突いても無駄だよ、という態度でももちろんあったと思いますが、それだけではない、と私は考えています。記者の薄笑いには、「そんなわけがないだろう」との意識が働いていた、と考えます。
後で気づいたことですが、地元静岡では、事実とは逆に、「浜岡原発の地盤は福島原発の地盤より強い」との中電の言い分が、広く浸透しているのです。それは、反原発を訴える人々や記者の人々ほど、そう思い込んでいるように見受けられました。
中電が原子力委員会に提出した浜岡原発2号機の設置申請書には、参考資料として、電力中央研究所のレポートが添付されました。電力中央研究所とは、電力会社の出資による財団法人で、国からの委託も受けており、御用学者を動員し、原発を推進している機関です。そのレポートに、福島原発に比べ、浜岡の岩盤は強かった、との嘘の主張があるのです。
地元の人々にしてみれば、「安全であってほしい」との願いが、安易に中電の話を信じさせてしまっている、と感じました。
早急に対策を打たなければ取り返しのつかない大事故につながってしまいます。それは、一地元住民だけの問題ではありません。地震が起き、原発が破損するということは、核分裂生成物が外に漏れるという事であり、東京・大阪を含む関東・関西一円が放射能に汚染される、ということを意味するのです。
【シミュレーションの状況設定】
■事故想定:突然、1〜4号炉のうち2号炉がメルトダウン事故(BWR1タイプ)。
■事故原因:ミサイルテロ、東海地震、等考えられるが、ここでは特定しない。
■風向き:年間のうち御前崎で観測される約7割の南西風(偏西風)
■日時:実測の大気データ2002年8月9日で拡散した場合
◆放射性物質発生データ提供:京大原子炉実験所(小出裕章助手)
◆拡散分布シミュレーション計算協力:鈴木基雄(元日本気象協会調査部)
引用: 「浜岡原発、巨大地震対策虹のネットワーク」より
チェルノブイリ原発事故の汚染を浜岡に当てはめると、近畿地方と関東一円から新潟に至る広い地域で長期間、人が住めない程の放射能汚染が生じます。
参考:「放射能の風はこうして首都圏まで流れてくる!」
また、浜岡2号機から放射能が放出され、東京方向が風下と想定した場合、放射能汚染によりガンで亡くなる人数は176万人に達し、名古屋方向が風下なら95万人が死亡する、との試算もあります。(京大原子炉実験所の故・瀬尾健助手の開発したプログラムをもとに同研究所の小出祐章助手が計算した「ガンによる死亡予測」より)
しかも、これは2号機に限った予測であって、5号機までの全てに原発震災が起きた場合は、この程度ではすみません。
原発は、エネルギー政策の一環として、国策でつくり続けてきました。最近いろいろ調べてみて思ったことは、国と電力業界、原子力産業が一体となって、人々の安全を無視し、つくり続けているということです。
浜岡に地震が起きた時、どういう事態になるのか、想像するだけで恐ろしいことです。そして、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
+++ 記者コメント +++
7月26日発売の月刊「WILL」に掲載予定でしたが、広告主(発売中の号には4頁も広告があることが判明)ということで急遽、取りやめに。タブーがない税金ネタに差し替えました。やはり原発はマスコミタブーです。メディアリテラシーを持たない国民は、残念ながらそれに気づけない。事故が起きてから後の祭りになりかねないわけですが…。(編集)
東海第2原発ポンプが停止 「冷却に支障なし」
2011/03/14 04:05 【共同通信】
東日本大震災の揺れで自動停止した茨城県東海村の日本原子力発電東海第2原発で、原子炉の圧力抑制プールの水を冷やすためのポンプ2台のうち、1台が地震当日に停止していたことが、13日までの茨城県への報告で分かった。
茨城県原子力安全対策課によると、もう1台は動いており、冷却には支障はないという。同原発の原子炉には全ての制御棒が完全に挿入されているとしている。
日本原子力発電安全管理室は「炉心は問題なく冷却されている」としている。
メールで名前と住所を送って、『予想される東海地震の震源域で運転されている浜岡原子力発電所の運転の停止を願う要望書』 への賛同しよう。
「福島原発事故を受けて、浜岡原発の運転停止を願う市民有志」
続きを読む http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-2593.html#ixzz1HQ9J4ITR
広島・長崎にはまだ放射能が残っているのですか?
12 いいえ、実質的には残っていません。
両市の残留放射線量は、現在では年間の自然放射線量(0.001−0.003 Sv)よりもはるかに少なく、健康への影響は全く心配ありません。残留放射能は爆発後1週間で90%以上が消滅し、1年以内に自然放射線のレベルになりました。
この問題に関連して、「ウランやプルトニウムは核廃棄物処理場で危険物となる可能性があり、またチェルノブイリ事故の後も環境中に危険なレベルで存在していたのなら、なぜ広島と長崎は住めない状態ではないのですか。」という質問もよく受けますので、ここで合わせて解説したいと思います。
原爆が炸裂して、その結果残留放射能が生じることになるのですが、その出来方には2通りあります。一つは、核分裂生成物 あるいは核物質自体(広島原爆に使用されたのはウラン、長崎原爆に使用されたのはプルトニウムです)が放射性降下物(フォールアウト)として降ってきて地上を汚染するものです。同じような土壌汚染がチェルノブイリ事故でも起こりましたが、その規模ははるかに大きなものでした。 → [詳しい説明はこちらをご覧ください]
残留放射能のもう一つの出来方は、中性子線が地面や建物に当たって生じるもので(中性子放射化)、放射能を持たない物質に放射能を帯びさせることにより生じます。
放射性降下物(フォールアウト)
広島・長崎の原爆は、地上600 m(広島)、503 m(長崎)の高度で爆発しました。そして巨大な火球となり、上昇気流によって上空に押し上げられました。爆弾の中にあった核物質の 約10%が核分裂を起こし、残りの90%は火球と共に成層圏へ上昇したと考えられています。
その後それらの物質は冷却され、一部が煤(すす)と共に黒い雨となって広島や長崎に降ってきましたが、残りのウランやプルトニウムのほとんどは恐らく大気圏に広く拡散したと思われます。当時、風があったので、雨は爆心地ではなく、広島では北西部(己斐、高須地区)、長崎では東部(西山地区)に多く降りました。
この地上汚染による最大被曝線量は、広島では 0.01−0.03 Gy、長崎では0.2−0.4 Gyと推定されています。爆心地での降下物による被曝線量は上記の値の約10分の1と考えられています。
現在では放射能は非常に低く、特に1950年代60年代を中心に世界中で行われた(地下ではなく)大気圏核実験により世界中に降った放射性降下物による微量の(プルトニウムなどの)放射能との区別は困難です。
中性子放射化
原爆から放出された放射線の90%以上はガンマ線で、残りが中性子線でした。
中性子線には、ガンマ線とは異なり、放射性でない原子を放射性の原子に変える性質があります。爆弾は地上よりかなり上空で爆発したので、爆弾から放出された中性子線は、地上に届いても弱いものでしかありませんでした。ですから、原爆の中性子線によって生じた誘導放射能は、ネバダ(アメリカ南西部)、マラリンガ(オーストラリア南部)、ビキニ環礁、ムルロワ環礁などの核実験場で生じたような強い汚染ではなかったのです。
これまでの推定では、爆発直後から今日までの 爆心地 における最大放射線量は広島で 0.8 Gy、長崎で 0.3−0.4 Gyと考えられています。また爆心地からの距離が 0.5 kmの場合には爆心地における値の約1/10、1 kmでは 約1/100と考えられています。この誘導放射能は爆発後の時間経過と共に急速に減少しました。すなわち、爆発後1日目に上記の値の約80%、2−5日目までに 約10%、6日目以降に残り10%が放出されたと考えられています。爆心地付近は、火災がひどく翌日までほとんど立ち入りできなかったことを考えると、誘導放射能による被曝線量は、上記爆心地の値の 20%(広島では 0.16Gy、長崎では 0.06−0.08 Gy)を超えることはほとんどなかったのではないかと思われます。 約10%、6日目以降に残り10%が放出されたと考えられています。爆心地付近は、火災がひどく翌日までほとんど立ち入りできなかったことを考えると、誘導放射能による被曝線量は、上記爆心地の値の
広島と長崎の原爆では、心配しないといけないほど大量に生成された長寿命の放射性原子(セシウム134)でも半減期は約2年でした。こうして生じた様々な放射能は、その大半が短時間で消失してしまったため、現在では超高感度の特殊な装置を用いてかなりの時間と労力をかけてようやく測定できる程度のものです。このように低レベルではありますが、最近開発された超高感度な方法を使って得られた残留放射能の測定値は、原爆によって放出された中性子線量の推定に使われており、最新の原爆放射線量推定方式(DS02)の根拠の一部となっています。
異例・姿見えぬ菅首相、関係者から不満の声
読売新聞 3月23日(水)19時52分配信
東日本巨大地震の発生後、菅首相が自ら一方的に発表する時以外、メディアの取材や国会答弁など表舞台に姿を現さない状態が続いている。
東京電力福島第一原子力発電所の事故に専念するのが理由とされるが、首相のリーダーシップが見えない現状に、関係者から不満の声も出ている。
枝野官房長官は23日の記者会見で、「(首相は)慌ただしく過ごしている。表に見える形で動くことがリーダーシップとして効果的な場合もあるが、多くの場合は、必ずしも目に見えるものではない」と首相の仕事ぶりを説明した。
首相は18日、地震発生後1週間を機に国民向けのメッセージとして記者会見したが、その後は記者団の取材に応じていない。21日には、宮城、福島両県の視察を計画し、その際に取材に応じる計画もあったが、天候悪化を理由に視察が中止となった。国会でも多忙を理由に答弁していない。
首相の最大の関心事は、原発事故への対応にあるとされる。周辺は、最近の首相について「東京電力との統合本部と連絡を取り、指示を出していることが多い」と話す。
同本部に詰めている細野豪志首相補佐官は23日に官邸を訪ねた際、「首相に原発の全体像、概略について説明した」と記者団に語った。 .
3号機の黒煙「注視する」 枝野長官会見
産経新聞 3月23日(水)20時29分配信
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記者会見する枝野幸男官房長官=23日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)(写真:産経新聞)
枝野長官会見(3)
−−福島第1原発3号機で黒煙が確認されているが、その深刻度についての政府の認識とは
【図で見る】人体に影響する放射線量とは
「これについては、何がどう深刻化かを一義的に申し上げられる状況ではない。3号機については中央制御室の照明などが復旧し、前に進んでいる。本日の3号機については、使用済み核燃料プールの冷却浄化系統から使用済み核燃料プールへの海水の注入、つまり外からの消防車などの給水でなくて、原子炉内の系統からプールに水を入れることの実施ができている。その意味では、冷却を安定的に行うためのプロセスは、3号機についてはほかの機より進んでいる」
「一方で原因についての検討、調査をしているが、煙が出る状況が何度か繰り返されているので、その状態については注視していく。一概にどこがというよりも、少なくとも1〜4(号機)について注視しながら、安定化を進めているとの認識だ」
−−3号機の構造の問題で、高濃度の放射線が漏れやすいといったことの認識はあるのか
「必ずしも、3号機について特別なことがあるとの認識はしていない」
−−3号機の核燃料プールが損傷しているとの見方があるが
「少なくとも、燃料プールにおいて、一定の水があるのはさまざまな状況から間違いないとの認識はもっている」
−−SPEEDI(スピーディー)について。午前中の記者会見では発生源の原発からどの程度出て、種類も分からず使いにくいと述べていたが、公表するには誤差がかなりあるとみているのか
「まさに、出てきたものについて実際にシミュレーションを行った原子力安全委員会にとどまらず、専門家に分析していただいている。ただ、そうした専門的なという以前の問題として、風下のある地点で、大気中の放射性物質を測定し、そこで得られた時間帯で変わってくる一番高い数字をコンピューターに入力して、そこから逆算をし、原子炉から放出されている放射性物質の量を試算をする」
「その試算に基づいて、いろいろなものがどこにどう広がっているかというシミュレーションをする、というプロセスを踏んでいるので当然、原子炉からどの程度の量が出ているかについて、一定の数字を基にシミュレーションした場合とは異なるだろうということは、専門家の分析を待たず一般的にいえることだ。ただ、そうした上で、専門家にどう分析し、どう扱うかの検討をいただいている」
−−SPEEDIは当初、非公開だったが、公表した理由は
「少なくとも『こうしたシミュレーションをするコンピューターのシステムがある、したがってこれについてはさまざまな使い方は専門家に任せるが最大限、使うように』との指示は先週半ばに出していた。なおかつ、データや分析結果は必ず、隠すことなく国民に公表するんだということを原子力安全委員会にとどまらず、関係機関については繰り返し申し上げてきた。したがってシミュレーションができた以上はこ公表するのは当然であるということで私にも報告があった」
−−精度の誤差はあるとはいえ、公表することで不安になる人もいるかもしれない。それを基に、屋内などへの退避範囲を広げる考えはあるか
「退避の範囲は、常にさまざまなモニタリングの数字に基づき、さらに専門家の分析に基づき、常に最適なものを指示するという姿勢できている。今回のシミュレーションの参考資料のひとつにはなるだろうと思っている。ただ、さまざまな、例えば放射線量のモニタリングの数字とかを踏まえ、それからシミュレーションの結果も屋外で24時間活動している場合を前提としてのシミュレーションであるということなどを踏まえ、現時点で、これを変更するということにはならない」
「したがって、専門家の皆さんにこのシミュレーションも含めて検討してもらい、この間、そうした地域についてはさまざまなモニタリングもさらに頻度を高めることで万全を期していきたい。直ちに何かをしなければいけないということではない、ということは理解してほしい」
−−3号機だが先日、灰色の煙が出たが、今回の煙との因果関係はあるのか
「前回もそうだったが、原因について確定的なことを申し上げられる状況ではない。原子炉の圧力とか、周辺の放射線量の数字といった数字を、しっかりと注視しながら進めている。原子炉の建物の中の状況なので見に行くのは難しいが、安全性を確保しながら冷却機能を回復させることを、そうした現象をみながら進めていただいている」
−−前回は「建物内の残骸(ざんがい)が燃えている」との見解を示していたが、今回の煙の原因とは
「まさに、私は専門家ではないので、私が申し上げられるのは可能性的なところ。原因について判断するには、内部の構造について承知している東京電力をはじめ、科学的な知見に基づいてその原因については専門的に分析してもらっている。残念ながら、得られている情報量からは何らかの確定的なことを示すことはできていない」「こういう状況の中で、さまざまに把握できるモニタリングの数字に基づいて、安全に最大限の配慮をしながら作業を進めている」
−−放射線物質に関し、国として「安全だ」と判断する根拠とは
「原子力安全委員会あるいは放医研、それから原子力安全・保安院、それから、さまざまな専門家の学者の皆さん、さまざまな皆さんの意見を踏まえてなおかつ、これは国際的な機関、この事故の起こる前から原子力安全委員会などでも『この基準値は1年間、標準的に摂取し続けても人体に影響を与えるものではない』という、さまざまな基準の数値がある。そうしたものを専門家に分析してもらい、それに基づき、今の時点で若干の量を摂取をしたり、そうした地域にいても、そうした基準値の意味から考えて影響が出るものではない部分について申し上げている」
−−原発周辺住民の話ではあるが、民主党内などから国や東電などの賠償額の引き上げが必要だとの声が出ている。東電の責任についてはどうみる
「1点目は、あらゆることを考えないといけないが、まずは周辺住民への健康を被害を防ぎ、原発の事態をこれ以上悪化させずに収束させることに総力をあげている状況だ。それについては、事故の状況が収束の方向に進んでいき、健康被害についても状況が悪化しない、となったときにはじめて、担当部局を含めてしっかりと対応しなければいけない」
−−原子力損害の賠償に関する法律で「一部、免責規定としてその損害が天災地変、社会的動乱が生じたときはその限りではない」との免責規定がある。今回は当てはまるのか
「まさに先ほど来申し上げている通り、周辺住民の皆さんの健康への被害を防ぐこと。そして、この原子力発電所の今の事故の状況を収束に向かわせる。このことをしっかり行った上で、この間のプロセスの検証も含めて判断すべきだと思う」
小出裕章・京大原子炉実験所助教(原子核工学)の話
福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールの水が失われているとすれば、原子炉内の燃料より量が多い分、2号機より危険が大きい。事態は米スリーマイルアイランド事故をはるかに超え、チェルノブイリ事故に近づいている。
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記事本文の続き 「人体に影響がないレベル」というが、急性障害が出るか否かだけで、人体にまったく影響がない放射能はない。
東京電力が苦闘し敗北してきた過程をみると好転は難しいかもしれないが、これ以上放射性物質が出るのを防ぐためには、水の注入で冷やし続けられるか、その一点にかかっている。
東日本大震災で炉心溶融の被害が出た福島第1原発について、ロシアの核物理学研究施設クルチャトフ研究所のベリホフ所長は12日、1986年に大事故を起こしたチェルノブイリ原発と違い、燃えやすい黒鉛が炉心を取り巻くタイプではなく、核分裂反応が制御できなくなった同原発のような事故は起きないとの見方を示した。ロシアのメディアが伝えた。
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記事本文の続き チェルノブイリ原発の地元ウクライナにあるチェルノブイリ・センターのグルイガロ副所長も「日本の原子炉は近代的なタイプ。核分裂は制御され、(放射性物質を含む)蒸気が排出される可能性があるにすぎない」として、放射性物質が大量に漏れることはないとの見解を示した。ロシア非常事態省も「(日本の原発の)状況は一貫してコントロールされている。脅威はない」との声明を出した。(共同)
放射能漏れ、どの部分から? 特定遅れれば放出長期化も2011年3月24日0時38分
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. 東京電力福島第一原発では、爆発が起きて以降、人体に有害なレベルの放射線が敷地内で観測され続けている。放射性物質は、どこからもれているのか。考えられるのは使用済み核燃料の貯蔵プールと、原子炉やその周辺部分の破損だ。漏出部分を突き止めるのが遅れれば、放射性物質の放出は長引くことになる。
同原発4号機では15日に核燃料プール付近で火災があった。プールの水位が下がって使用済み核燃料が露出し、水素が発生して爆発したとみられている。このとき外部に放出された放射性物質が、敷地内にとどまって放射線を出し続けている。これが考えられる一つのシナリオだ。
プールでなく、原子炉からもれている可能性もある。
東電は、水素爆発が起きて建屋が壊れた1、3号機について、「格納容器の健全性は保たれている」との説明を続けている。格納容器につながる圧力抑制室で爆発が起きた2号機も、大きく壊れているとは考えにくいとの立場だ。損傷が大きければ「放射線量はこんなものではすまないはず」(東電)だからだ。
だが、部分的な破損の可能性を示すデータはある。その一つが、核燃料のウランが核分裂してできる放射性のセシウムが外部で検出されていることだ。
内部の圧力が高まった格納容器が壊れないよう、蒸気を外に逃す措置もとられている。ただ蒸気はいったん水の中をくぐっているため、この措置でセシウムが外部に出た可能性は低い。
では、破損部分はどこなのか。可能性が高いのは、検査の際などに人間が内部に出入りするときにつかう「パーソナルエアロック」というドアだという。関係者によると、ドアと格納容器のすきまを埋めるパッキンが「一番弱い」とされているからだ。
東電はこのほか、接続部分などの小さな箇所が破れている可能性も認めている。たとえば、圧力容器や格納容器から外部へ通じる配管だ。配管には弁があり、地震を感知して発電が自動で止まると同時に、弁は閉じられる。仮に弁から先の配管が破れても、炉内部と外部が直接つながるわけではないが、もともと配管の中にあった放射性物質を含む水などが、漏れだした可能性はあるという。
大気中の放射線量、東北南部と関東で高め2011年3月23日19時15分
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放射線地図
放射能汚染が広がるイメージ
大気中の放射線量は、文部科学省などのまとめでは、23日も引き続き、東北南部と関東の10都県で平常時より高めに推移した。ほかの地域の放射線量は、平常時の範囲内の変動におさまっている。
23日午後2時現在、福島県の一部と茨城県の一部では、1時間あたり1マイクロシーベルト(シーベルトは人間が放射線を浴びた時の影響度を示す単位)以上の放射線量が測定された。茨城県高萩市は、福島第一原発から福島県いわき市よりも遠くにあるが、同市を超えるレベルの放射線量を記録した。
東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県での計測値は20日には平常値の範囲内だった。しかし、その後、21〜22日の降雨の影響などからやや高めになっている。
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首都圏、放射性降下物増える 東京で前日比10倍も2011年3月23日0時1分
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. 文部科学省は22日、福島第一原発事故の影響を受け、上空からちりなどとともに落ちた放射性物質の測定結果を発表した。首都圏などを中心に増加傾向を示した。東京都新宿区で1平方メートルあたり5300ベクレルのセシウム137、3万2千ベクレルのヨウ素131を検出、前日に比べ、いずれも約10倍の濃度に上がった。健康に影響を与える値ではないが、長期に及ぶ監視が必要になる。
放射性降下物の測定は、文科省が21日午前9時から22日午前9時にかけて全国で行い、分析した。
東京都の値は、前日のセシウム560ベクレル、ヨウ素2900ベクレルから急上昇した。22日発表のセシウムの値は、放射線管理区域の基準値4万ベクレルの8分の1、ヨウ素の値は、5分の4にあたる。
この他の自治体のセシウムの値も、さいたま市が1600ベクレル(前日790ベクレル)、甲府市が400ベクレル(同不検出)、宇都宮市が440ベクレル(同250ベクレル)と、軒並み上昇した。
前日に、最も高い値を記録した茨城県ひたちなか市では、やや下がったものの、セシウム1万2千ベクレル、ヨウ素8万5千ベクレルと、依然、高い値を記録している。福島や宮城は震災の影響で計測できていない。
東日本は22日も、雨や雪が降ったところが多く、大気中に漂うちりとともに、放射性物質が落下したとみられる。ヨウ素の半減期は8日間と短いが、セシウムの半減期は30年で、地面に降りた後も長期間放射線を出し続ける。土壌や水、農作物への放射能汚染につながりかねないため、今後も監視を続ける必要がある。
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原発から北西で高めの放射線 米エネルギー省が測定
2011/3/23 14:08 div/div.JSID_key_html
【ワシントン=御調昌邦】米エネルギー省は22日、福島第1原子力発電所の事故に関する放射線の観測結果を公表した。調査したすべての地域で放射線は毎時300マイクロシーベルトを下回る「低いレベル」にあったものの、原発から北西の地域で他の地域より高めの放射線が測定されたことを明らかにした。
同省は17〜19日に原発から約45キロメートルの範囲で、米国防総省の航空機からの測定に加え、地上の多数の地点からもデータを得たという。同省が示した観測結果によると、原発から北西方向に向かって約25キロメートルの帯状の地域で毎時125マイクロシーベルトを超える放射線が検出されたという。
シミュレーションのソースは下記ブログにあり
http://blog.livedoor.jp/wisteriabook/archives/2767204.html
ドイツシミュレーション
http://www.spiegel.de/panorama/0,1518,bild-192707-751072,00.html
オーストリア
http://www.zamg.ac.at/aktuell/index.php?artikel=ZAMG_2011-03-21GMT10:22
女川原発 事故時対策拠点が壊滅 発電所で監視継続
河北新報 3月24日(木)6時14分配信
東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の事故時などに対策拠点(オフサイトセンター)となる同町の県原子力防災対策センターが、東日本大震災による津波の直撃で使用不能となっていることが23日、分かった。放射線の監視などを行う隣接の県原子力センターも壊滅的な被害で、環境放射線などを監視できない状態。いずれも機能回復のめどは立っていない。
経済産業省原子力安全・保安院によると、自動停止後の女川原発の監視は、仮のオフサイトセンターを仙台市内の仙台第2合同庁舎に置いた上で、国の保安検査官2人が女川原発内に常駐して継続している。
原子力センターの石川陽一所長によると、津波は2階建ての対策センター屋上をのみ込んだ。屋上には石川さんら関係者や住民ら約20人が避難していた。このうち対策センター内にある国の保安検査官事務所の男性所長や県職員ら数人が流され、現在も連絡が取れていないという。
オフサイトセンターは緊急時、国や自治体の関係者らが情報交換や対策を検討する拠点。発電所の状況や放射線測定値を確認できるシステムなどの設備は、津波で使えなくなったとみられる。
原子力センターも周辺に設置している7カ所の放射線測定ポイントの全てが測定不能になった。女川原発周辺の放射線は、東北電力が敷地内で測定しているデータで監視する状況となっている。
宮城県は「女川原発が安定的に停止していることを日々、確認している。福島第1原発事故の県内への影響に関する対応に追われており、女川の監視体制の再構築には時間がかかる」と説明している。 .
第一原発3号機 注水作業を再開
3月24日 9時50分
深刻な状態が続いている福島第一原子力発電所では23日、3号機から黒い煙が上がったため、1号機から4号機でのすべての作業が中断していましたが、黒い煙が収まったことから、東京電力は、24日午前5時30分すぎに3号機の使用済み燃料プールへの注水作業を再開しました。
福島第一原発では23日、3号機のポンプに外部からの電源をつないで冷却水を送り込む機能を復旧させる作業などを予定にしていましたが、午後4時20分ごろに3号機の原子炉が納められた建物から黒い煙が上がったため、東京電力は、作業員を退避させ、1号機から4号機でのすべての作業を中断しました。東京電力福島事務所によりますと、3号機から上がっていた黒い煙は、23日午後11時30分の時点と、24日午前4時50分の時点で、発生が止まっていたことが確認されたということです。このため東京電力は、作業員への退避命令を解除し、午前5時30分すぎに3号機の使用済み燃料プールへの注水作業を再開したということです。東京電力はこのあと、23日に予定していた、3号機のポンプに外部からの電源をつないで冷却水を送り込む機能を復旧させる作業などを再開することにしています。また、1、2号機の中央制御室に電源を復旧させる作業も再開する予定で、作業が順調に進めば、24日中に1号機の中央制御室の照明が点灯するということです。一方、5号機では23日夕方、ポンプにトラブルが発生し、冷却機能が再び失われましたが、使用済み燃料プールの温度は24日午前5時の時点で45.1度と安全な状態になっているということで、東京電力は、午前中には冷却機能を復旧させたいとしています。
東日本大震災:「電波時計」に誤差 避難対象で停波
電波時計の電波を発信する標準電波送信所=福島県都路村の大鷹鳥谷山で2011年3月23日、本社ヘリから川田雅浩撮影 時刻合わせをしなくても正確な時を刻む「電波時計」が、東日本大震災の影響を受けて一部の地域で誤差が出ている。時計に時刻などの情報を届ける「標準電波」送信所が、東京電力福島第1原発事故の避難指示の対象区となり、無人化して運用できなくなっているからだ。
電波時計は、日付や時刻などのデータを含む標準電波を1日に数回、自動的に受信して補正することで正確さを保っている。標準電波の時刻データは「10万年に1秒の誤差」という原子時計に基づき、福島県の大鷹鳥谷山(おおたかどややま)と、福岡・佐賀県境の羽金山(はがねやま)の2カ所から発信されている。約1000キロの範囲内ならば安定的に受信でき、二つの送信所で全国を網羅していた。
運用する情報通信研究機構(東京)によると、このうち大鷹鳥谷山は福島第1原発から約17キロにあり、12日に起きた1号機の水素爆発後に20キロ圏内に出された避難指示で、職員全員が避難した。高電圧の設備もあり無人では運用できないため、同日午後8時前に停波した。
標準電波を受信できない場合、電波時計はクオーツ時計として動く。平均で1カ月あたり15秒程度の誤差があり、停波後は数日に1秒ずつずれが生じている可能性がある。
同機構や時計メーカー各社には、利用者から「時計が補正されない」などの問い合わせが毎日数件から数十件寄せられている。だが、同機構は「復旧の見込みは立っていない」としている。【瀬上順敬】
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毎日新聞 2011年3月24日 11時23分(最終更新 3月24日 11時28分)
東日本大震災:反原発団体の請願、初採択へ 佐賀・唐津
佐賀県玄海町の九州電力玄海原発3号機で1次冷却水に放射性ヨウ素が漏れた問題で、同町に隣接する唐津市議会は23日、反原発団体が提出した、九電に原因究明を求める請願書を25日に採択する方針を決めた。東京電力福島第1原発の事故で「原子力の安全神話が崩れ去った」(市議)のが理由で、反原発団体の請願を同市議会が採択するのは初めて。
請願書を提出したのは「玄海原発対策住民会議」と「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」。(1)市民や県民に対する説明会を開く(2)漏えい燃料体を研究機関に持ち込み原因特定する−−ことを九電に申し入れるよう求めている。
市議会では民主党会派が反対したものの、その他は「市民の安全確保のためにも採択すべきだ」との意見でまとまった。
請願書を提出した石丸初美さん(59)は「真剣に取り組んでくれてうれしい。県民の安全のために九電に申し入れてほしい」と話した。
同3号機は昨年12月に1次冷却水の放射性ヨウ素濃度が上昇。今年2月、調査した九電がウラン燃料棒に微細な穴(ピンホール)が開いて漏れ出たのが原因と判断した。同機は09年12月からプルサーマル発電を実施しているが、今回のトラブルはプルサーマルとは無関係とされている。【原田哲郎】
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毎日新聞 2011年3月24日 10時22分
地震:茨城・鉾田で震度5弱=24日午前8時56分
24日午前8時56分ごろ、茨城県で強い地震があり、鉾田市で震度5弱を観測し、関東を中心に東北や中部地方の一部で震度4〜1の揺れを感じた。気象庁によると、震源地は茨城県南部で、震源の深さは約50キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は4.9と推定される。気象庁は東日本大震災の余震としている。この地震で、東北・上越新幹線は一時運転を見合わせた。【飯田和樹】
主な各地の震度は次の通り。
震度5弱=鉾田市▽震度4=茨城県つくば市、笠間市、栃木県小山市、真岡市、埼玉県春日部市▽震度3=水戸市、宇都宮市、さいたま市、福島県白河市、群馬県館林市、千葉市、東京都千代田区、横浜市
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毎日新聞 2011年3月24日 9時07分(最終更新 3月24日 9時51分)
福島第1原発:大気中の放射線量は横ばい…都道府県別
文部科学省は23日、福島第1原発から北西40キロの飯舘村内など10地点の土壌調査で、土1キログラム当たりから放射性ヨウ素6970〜117万ベクレル、放射性セシウム1260〜16万3000ベクレルが検出されたと発表した。文科省は「土から出ている放射線量は小さく体外被ばくの危険はないが、周辺の土地で作った農作物に影響がどう出るのか予測できない数値で、内閣府の原子力安全委員会の評価を待つしかない」と説明した。
18〜22日に採取した原発から25〜45キロの土壌を調査し、飯舘村(放射性ヨウ素117万ベクレル、放射性セシウム16万3000ベクレル、20日採取)が最も高かった。そのほかの数値は▽同村(同30万ベクレル、同2万8100ベクレル、19日採取)▽北西約45キロの川俣町(同8万5400ベクレル、同8690ベクレル、19日採取)▽北約25キロの南相馬市(同3万5800ベクレル、同4040ベクレル、19日採取)−−など。放射線量が半分になる「半減期」は、放射線ヨウ素で約8日、放射性セシウムで約30年とされ、文科省は「このレベルの放射性セシウムが検出されると、将来的に土地の使用方法を考える必要も出てくる」と分析した。
23日午前9時までの24時間で採取した1平方メートル当たりの定時降下物(雨やちりなど)では、岩手や茨城、東京など13都県で2〜3万6000ベクレルの放射性ヨウ素が、秋田や東京、神奈川など11都県の降下物から1.8〜1900ベクレルの放射性セシウムが検出された。前日より低下傾向で、首都圏の数値がやや上がったのは雨が降ったためとみられる。
都道府県で22日に採取した水道水では、12都県で1キログラム当たりの放射性ヨウ素が0.14〜19ベクレル、4都県で放射性セシウムが0.31〜5.3ベクレル検出された。
都道府県に設置するモニタリングポスト(MP、自動観測局)は、23日午後5時時点(埼玉県は計画停電のため午後3時時点)で、茨城0.343マイクロシーベルトなど8都県で大気中の1時間当たりの放射線量が通常値を超えた。前日比で数値はほぼ横ばい。
一方、福島第1原発から20〜60キロ離れた福島県内の34カ所の屋外で、23日午前7時50分〜午後3時11分にモニタリングカーで調査したところ、1時間当たりの大気中の放射線量は0.8〜103マイクロシーベルトだった。【篠原成行】
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毎日新聞 2011年3月23日 21時04分(最終更新 3月23日 23時32分)
地殻の破壊、茨城県沖で止まった…その理由は?
. 巨大地震
東日本巨大地震を引き起こした地殻の破壊が茨城県沖で止まったのは、フィリピン海プレート(岩板)によるものであることが、海洋研究開発機構の調査でわかった。
地殻の破壊は、宮城県沖から北と南へそれぞれ進んでいったが、南下していった破壊は、茨城県沖と房総沖の境にある同プレートの北東端でちょうど止まったとしている。
一般に、余震の発生領域は、地震を引き起こした地殻の破壊が起きた領域とほぼ同じであると考えられている。同機構がこれまでの探査で分かっていた茨城県沖の地下構造と、余震の発生領域を比較した結果、余震の発生領域の南限がフィリピン海プレートの北東端に一致していることが判明。同プレートの北東端が、地殻破壊の房総半島沖への南下を食い止めたとみている。
日本列島の太平洋沖合では、東日本をのせた北米プレートに太平洋プレートが沈み込む一方、西日本をのせたユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込んでいる。
しかし、関東地方では地殻構造が複雑で、北米プレートの下にフィリピン海プレートと太平洋プレートが沈み込む3重構造。茨城県沖は太平洋プレートの上にのるプレートが、北米プレートからフィリピン海プレートに代わる場所にあたっている。
同機構の小平秀一上席研究員は「東海地震や南海地震の発生にかかわるフィリピン海プレートへの巨大地震の影響を評価していきたい」と話している。
(2011年3月24日14時45分 読売新聞)
30キロ沖で基準の2倍検出
福島第一原子力発電所の周辺の海では、国の基準を上回る放射性物質が検出されましたが、30キロ沖で、23日、文部科学省が行った調査でも、最大で基準値のおよそ2倍の濃度の放射性物質が検出されました。
文部科学省は調査を継続して、魚介類などへの影響を詳しく分析することにしています。
文部科学省が調査したのは、福島第一原発から東へ30キロ沖の太平洋です。
南北70キロにわたって、10キロごと、あわせて8か所で調査したところ8か所すべてで、放射性ヨウ素131と放射性セシウム137が検出されました。
このうち3か所で、放射性ヨウ素131の濃度が国の基準を上回り、▼北から3つめの調査点が基準のおよそ1.92倍。
▼北から5つめの調査点がおよそ1.37倍。
▼北から6つめの調査点が1.05倍でした。
放射性セシウム137の濃度はいずれも国の基準以下でしたが、昨年度の調査結果と比較すると、およそ1万倍にあたる値だったということです。
23日の東京電力の調査では放射性ヨウ素131が▽福島第一原発の放水口の南、330メートルの地点で、基準値の146.9倍の濃度。
▽原発から16キロ南にある岩沢海岸付近で19.1倍の濃度で検出されています。
文部科学省では、調査を継続して魚介類などの環境にどのような影響を与えるのか、分析することにしています。
海洋中の放射能に詳しい海洋生物環境研究所の御園生淳研究参与は、「放射性物質は、沖に行くほど拡散され、濃度が下がっていく。放射性ヨウ素131は、8日で半分になるので魚介類への影響もなくなると思う。放射性セシウムについては、いまの時点では人体への影響があるとは考えにくいが、魚の中で濃縮されるので引き続き監視し、影響を評価していく必要がある」と話しています。
03月24日 17時16分
東京都の水道水「2日間は注意を」 摂取制限解除で
産経新聞 3月24日(木)16時23分配信
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金町浄水場の水から放射性物質が検出されたことを受け、乳児用に保存水の配布を受ける住民ら。=24日午後、台東区東上野の台東保健所(写真:産経新聞)
東京都水道局の金町浄水場(葛飾区)で、水道水から乳児の摂取制限を超える放射性ヨウ素が検出された問題で、都は24日、水道水1キログラム当たりの放射性ヨウ素が79ベクレルに減少したと発表した。食品衛生法で定めた1歳未満の乳児の暫定基準値の100ベクレル範囲内に改善したため、都は摂取制限を解除。ただ、配水管などに水が残っている可能性もあり「2日間は注意をしてほしい」と呼びかけた。
【写真で見る】基準値超えるヨウ素が検出された金町浄水場
暫定基準値は、長期にわたり摂取した場合の健康影響を考慮して設定されており、都は「降雨による影響があったとみられ、長期的に制限を超えて摂取する可能性は低くなった」として解除を決めた。
都では23日の時点で、金町浄水場の水を使っている東京23区と武蔵野、三鷹、町田、多摩、稲城の5市で乳児が飲むのを控えるよう要請。該当地域の乳児(約8万人)のいる家庭に対し、1人当たり3本、計24万本のペットボトル(550ミリリットル)の配布を24日午前から開始。25日もさらに24万本を追加で配布する予定。
22日午前9時に3カ所の浄水場で実施した検査では、小作浄水場(羽村市)で32ベクレル、朝霞浄水場(埼玉県朝霞市)では検出されなかった。金町浄水場では23日午前9時の採取でも水道水1キログラムあたり190ベクレルを検出していた。
石原慎太郎知事は24日の記者会見で「摂取を控える必要はない。値は上下すると思うが、一時的に上回っても長期間で範囲内だった構わない」と冷静な行動を求めた。
加納時男出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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前参議院議員 加納 時男
生年月日 1935年1月5日(76歳)
出身地 東京都中央区
出身校 東京大学法学部・慶應義塾大学卒
前職 東京電力社員
世襲 無
選出選挙区 比例代表区
当選回数 2回
所属党派 自由民主党(古賀派)
会館部屋番号 参議院議員会館737号室
ウェブサイト 加納時男公式ホームページ
加納 時男(かのう ときお、1935年1月5日 - )は日本の政治家。参議院議員(2期)。議員時代は自由民主党・宏池会所属していた。母方の叔父に藤山一郎がいる。
目次 [非表示]
1 経歴・人物
2 著作
3 脚注
4 関連項目
5 外部リンク
経歴・人物 [編集]芝中学校・高等学校・東京大学法学部卒業。慶應義塾大学経済学部(通信教育課程)卒業。東京電力副社長(原子力担当)。東大教養学部講師なども務めた。朝まで生テレビ!の原発討論の回には推進側パネリストとして出演。
1998年、 第18回参議院議員通常選挙に経団連の組織内候補として自由民主党公認で比例代表区に出馬、当選。
国会議員の中ではエネルギー問題に精通する数少ない議員の一人で、エネルギー政策基本法の成立に尽力。
北京オリンピックを支援する議員の会の会員。第1次小泉内閣では文部科学大臣政務官をつとめた。
2008年8月、福田康夫改造内閣で国土交通副大臣に就任、麻生内閣でも留任した。2009年9月16日退任。
準大手ゼネコンの西松建設から、同社のOBらを代表とした政治団体を隠れ蓑に多額の政治献金を受けていた1人だったことが2008年12月末に表面化した[1]。加納は200万円分のパーティー券を購入してもらっており、「社会通念上いかがなものかと感じ、返却することにした」と述べている[2]。
2010年の第22回参議院議員通常選挙には党の内規により不出馬。
作業員2人ベータ線熱傷の可能性、福島原発
産経新聞 3月24日(木)17時5分配信
東京電力は24日、東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所で作業をしていた協力企業の従業員3人が173〜180ミリシーベルトの被曝(ひばく)をしたと発表した。このうち2人は足の皮膚に放射性物質(放射能)が付着したとみられ、福島市内の病院に搬送された。2人は放射線によるやけどである「ベータ線熱傷」の可能性も否定できないという。
東電によると、3人は午前10時ごろから、3号機の1階から地下1階にかけてケーブルを敷設する作業を行っていた。病院に運ばれた2人は現場にたまっていた水に足をつけていた。
東電は2人が放射線による皮膚損傷を負ったことを受け、1〜4号機の地下での電源復旧作業などを一時中止した。3号機以外でも水がたまっている地下での作業は中止するべきだと判断した。
原発をコンクリートで封鎖の可能性と英紙
配信元:
2011/03/19 11:33更新
記事本文 英紙タイムズ(電子版)は18日、福島第1原発について、1986年に事故が起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発と同じように最終手段としてコンクリートで封鎖される可能性があると報じた。東京電力の技術者の話として伝えた。
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記事本文の続き チェルノブイリ事故では、放射性物質の拡散を防ぐため原発をコンクリートで覆う措置が取られた。同紙は「最悪の場合の手段だが、そうなった場合、原発の周辺は事実上、数十年間立ち入り禁止になるとみられる」としている。(共同)
電源回復「これから本当の勝負」どうなる福島第1原発
産経新聞 3月24日(木)20時27分配信
東日本大震災で深刻な被害を受けた東京電力福島第1原発の1〜4号機で通電が可能な状態になり、復旧に向け光明が差しつつあるが、専門家は「電源回復だけで事態が好転するわけではない」と、楽観を警戒する。第1原発は今後どうなるのか。核燃料が残されたままの1〜3号機の原子炉圧力容器内では一部炉心が溶融した可能性もあり、専門家は「予断を許さない状況に変わりなく、これからが本当の勝負」とみる。
■当面の状況は
原発を運転・監視する“頭脳”である中央制御室の電源が回復すれば、原子炉の状況が正確に把握できるようになると期待される。京都大原子炉実験所の宇根崎博信教授(原子力基礎工学)は「電源回復で計測機器のデータが正確なのか把握でき、故障箇所が分かれば修理すべきところもはっきりする」と強調。
大阪大の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)も「放射性物質(放射能)を除去できる空調を動かして放射能レベルを下げられ、中央制御室での長時間作業が可能になる。照明で夜間も作業できる」と期待を示す。
ただ、専門家は「電源回復=設備復旧」という単純な見方には否定的だ。宇根崎教授は「電源回復でも、本格的復旧にはまだ時間がかかる」とし、九州大学の工藤和彦特任教授(原子力工学)も「電源回復と機能復旧は違う。ただちに原子炉の状況が好転するとは限らない」と指摘する。
課題は何か。電源が回復しても冷却水を循環する冷却システム自体が損傷などで機能しない可能性があるが、「機器がどれだけ壊れているのかも分からない」(工藤特任教授)。機器の健全性確認が急務となる。
■懸念材料は
懸念材料は機器損傷だけではない。「現場で対応している作業員の体力、精神力は限界に達している。ヒューマンエラーの発生が懸念される」と指摘するのは、宇根崎教授だ。
実際、14日には職員がパトロールで目を離したすきに、2号機へ海水を注入していたポンプが燃料切れで停止。原子炉内の水位が低下し、“空だき”状態になる事態が発生した。
宇根崎教授は「電源回復で新しい作業が増えると、今まで以上に慎重さが求められる」と警鐘を鳴らす。
一方、原子炉や使用済み核燃料貯蔵プールに注入された海水が故障原因となったり、海水の蒸発で結晶化した塩が燃料棒に付着、冷却を妨げる恐れもあり、工藤特任教授は「海水は緊急避難措置。早く真水に変えるべきだ」と強調する。
■今後の対策、展望は
電源が回復しても、1〜3号機は炉心が一時的に露出し、専門家は「予断を許さない状況に変わりはない」と口をそろえる。注水できないという最悪シナリオを想定すれば、核燃料が溶け出し、原子炉圧力容器を溶かして破壊するケースも否定し切れないという。
ただ、冷却水を供給する本来のシステムが復旧しなかった場合でも、熱交換器と呼ばれる装置を緊急的に取り付けて冷却させることが可能だといい、工藤特任教授は「核燃料が完全に溶けて大きな核分裂反応につながることはない。冷やすことが大事だ」と話す。
一方、原子炉建屋が壊れ、放射性物質を含んだ水蒸気を大気中に放出したとみられる使用済み核燃料貯蔵プールも厳しい状況だ。工藤特任教授は「放射能の放出を抑えるには、今後、コンクリートか鋼鉄製のふたで密封することが必要」と指摘している。
福島第1原発:メーカーも技術者ら投入 事故収束に全力
東日本大震災で被災した東京電力・福島第1原発に、原子炉メーカーが技術者や作業員を派遣し、業界を挙げて事故収束に躍起となっている。だが、原子炉冷却作業が長期化する中、24日には最前線で作業を請け負う「協力会社」の3人が被ばく。大量の放射性物質が漏れる環境下、防護服に身を包んだ難しい作業が続いている。
福島第1原発では24日朝、東電や原子炉メーカーなどの従業員581人が作業に入った。通常運転時は4000〜5000人いるが、事故後、ほとんど避難し、一時は東電社員と協力会社員ら57人まで減少。その後、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能回復作業のため、協力会社が派遣人数を増やし、送電線の設置や電源復旧にあたっている。
福島第1原発の主契約メーカーは、▽1号機が米GE▽2、6号機がGE・東芝連合▽3、5号機が東芝▽4号機が日立製作所。東芝は「技術力、責任感のある選抜チーム」(広報室)約100人を派遣、電源復旧や海水くみ上げポンプの設置を担当する。神奈川県の原子力事業拠点でも、約600人が24時間体制で情報収集や対処方法の立案にあたり、冷却ポンプ用モーターなどを現地に送った。
日立は電気系統の技術者ら120人を派遣。原発拠点の日立工場(茨城県日立市)などで約900人が資材調達などにあたっている。原子炉圧力容器などを納めたIHIは、約30人が2号機の注水作業を手助けした。
各社とも原発の安全性を訴えてきただけに、24日の被ばく事故後も「安全に留意しながら作業を続けたい」と強調する。だが、原発内では下請け会社の従業員も多く作業しており、被ばくの報に家族の心労は募る一方だ。
また、電力各社も福島原発事故を「できる限り支援する」(関西電力の八木誠社長)ため、被災地に計約1400人を派遣。送電網の復旧や、原発周辺の放射線量測定などに取り組んでいる。国民の原発不信が高まる中、「今は福島の冷却と被災地支援しか考えられない」(大手電力幹部)状況という。【弘田恭子、青木勝彦】
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福島第1原発:1号機は高温高圧 安全委員長「最も懸念」
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福島第1原発:東電副社長「詳細は未確認」 被ばく確認で
毎日新聞 2011年3月24日 21時46分
福島第1原発:1号機は高温高圧 安全委員長「最も懸念」
一進一退の状況が続く東京電力福島第1原発。23日夜に会見した原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は「個人的な意見」と断った上で、「最も懸念されるのは炉内の温度、圧力が上がっている1号機。2、3号機は危機を脱したのではないか」との見解を示した。
1号機で何が起きているのか。経済産業省原子力安全・保安院によると、1号機の核燃料を収めた原子炉圧力容器内は23日には温度が394度にまで上昇した。圧力容器の想定温度上限は302度で、高温状態が長時間続くと損傷につながる可能性がある。温度を下げるため炉内への注水量を増やした結果、水蒸気が発生して圧力容器や外側の原子炉格納容器の内圧が上がった。燃料棒を冷やすための水の水位は十分でないと考えられている。
奈良林直・北海道大教授(原子炉工学)は、今後1号機で想定される最悪のケースとして、格納容器の損傷を挙げる。「400度近い圧力容器の温度は異常。高温環境の中で燃料棒を包む被覆管と容器内の水が反応して発生した水素が、圧力容器や格納容器にかなりたまっていると考えられる。それが排気などによって外部に漏れた場合、水素爆発を起こして格納容器を破損し、閉じ込めていた大量の放射性物質が放出する恐れがある」
さらに、水位が下がった高温の炉内で核燃料の溶融が進み、溶けた燃料が圧力容器下部の「制御棒駆動機構」など、強度がやや劣る部分から漏れ出す事態も考えられる。だが奈良林教授は「一気に圧力容器の底が抜けるようなことにはならない。量が少ないので、より深刻な水蒸気爆発を起こす可能性も低い」と話す。
圧力容器内の底などに溶融した核燃料が集まり、原発運転時と同様の連鎖的な核分裂反応を始める「再臨界」の可能性はどうか。小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子炉物理学)は「核燃料は、正常な状態で最も核分裂反応が進みやすいように作ってある。溶けた状態では、再臨界になるとは考えにくい」と話す。
奈良林教授も「たとえ核燃料が溶けて臨界に必要な量が集まったとしても、臨界を維持するために必要な水は塊の内部には入っていけないので、まず再臨界は起こらない、という意見が原子炉の専門家の大勢だ」と言う。
旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)では、原子炉が運転中だったのに加え、炉内に燃えやすい黒鉛を使っていたため、大規模な水蒸気爆発を引き起こし、圧力容器が吹き飛んで大量の放射性物質をまき散らした。これに対し、福島第1原発は地震と同時に自動停止しており、構造が異なるため炉内に黒鉛もない。奈良林教授は「福島第1原発では、チェルノブイリのようなことは起こらない、と言い切ってよい」と話す。【西川拓】
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毎日新聞 2011年3月24日 20時41分
福島第1原発 長靴はかず足ぬれ 作業手順に問題か
毎日新聞 3月24日(木)21時6分配信
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福島第1原発の原子炉建屋とタービン建屋の構造
東日本大震災を被災し、深刻な事態が続く東京電力福島第1原発で24日、復旧作業にあたっていた男性作業員3人が、高い放射線量の被ばくを受けた可能性があることが判明した。ベータ線による熱傷の疑いがあるという。場所は、原子炉建屋の隣に建つ発電用のタービン建屋。通常は、原子炉建屋に比べ、放射線の影響が少ない場所だが、3号機では原子炉建屋の水蒸気爆発など、トラブルが相次いでいた。作業手順に問題はなかったか。なぜタービン建屋で高い放射線による被ばくが起きたのか。復旧の行方に暗雲が垂れこめた。【下桐実雅子、八田浩輔、永山悦子、河内敏康】
【ニュースの一報】福島第1原発:作業員被ばく搬送 3号機作業中に
福島第1原発では、原子炉内で熱した湯から発生する蒸気を使い、隣のタービン建屋に設置された大きな羽根車を回転させて発電する。タービン建屋には、放射性物質を含む蒸気や、蒸気が冷えてできた水が入る復水器があるが、通常は厳重に密閉され、高い放射線量は検出されることはない。一方、第1原発では、2号機のタービン建屋でも、毎時500ミリシーベルトに該当する強い放射線が確認されるなど、タービン建屋の汚染が問題になっていた。
東京電力によると、作業員は丈の短い靴で水に入り、足がぬれたという。住田健二・阪大名誉教授(原子炉工学)は「放射線を含む可能性がある水の近くで作業をするなら、防水の長靴をはくなど、防護対策をとるのが常識だ。作業の管理に問題がなかったのか疑問が残る」と指摘する。
福島第1原発では、水素爆発などが相次ぎ、作業現場の放射線量が高くなっている。従来、原発で働く作業員の被ばく線量の限度は年間で50ミリシーベルトで、緊急作業時は100ミリシーベルトだった。厚生労働省は、この事故に対応する特例として、限度を250ミリシーベルトに引き上げた。被ばくした作業員は、放射線を遮蔽(しゃへい)する防護服を着ていたというが、高い放射線量を浴びた。
中川恵一・東京大付属病院准教授(放射線医学)は「発がんの危険性が上がるレベルの被ばくだ。作業員の安全管理を見直すべきだ」と話し、防護服の着用や、被ばく量を計測する線量計の使用法の徹底を求めた。
3号機は、13日に燃料棒が溶ける炉心溶融が起きて大量の水素が発生、翌14日に原子炉建屋が爆発した。その後、屋根が吹き飛んで野ざらしになった使用済み核燃料プールの水の温度が上昇し、大量の水蒸気が立ち上った。このため、17日からプールを冷やす放水作業が開始。自衛隊のヘリコプター、自衛隊や東京消防庁などのポンプ車による放水が続いている。
タービン建屋で起きた作業員被ばくについて、沢田哲生・東京工業大助教(原子核工学)は「原子炉圧力容器からタービン建屋につながる主蒸気管がある。そこに何らかの損傷があったとすれば重大なトラブルで信じがたい」と話す。
一方、小出裕章・京都大原子炉実験所助教は「今回の被ばくは、敷地全体が汚染されていることの表れ。電源が回復し、一つ一つの機器を動かしていく段階だが、多くの作業員が大量の被ばくを覚悟しなければいけない。被ばく限度を引き上げても、すぐに限界に達する状態だ。次々と人が必要になるが、特殊技能を持った人員は確保できるのか。先行きが心配だ」と話す。
記者の目:福島第1原発の放射性物質漏出=斗ケ沢秀俊
16日、ラジオ福島の電話インタビューに応じた。福島支局長と東京本社科学環境部長を務めた縁で依頼された。私は「皆さんが今受けている放射線量は健康に全く影響しません。安心してください」と断言した。「安心しました」というメールやファクスがたくさん寄せられ、ラジオ福島は何回も再放送したという。人々が放射線の影響をどれほど心配しているのか、改めて痛感した。原子力開発史上前例のない重大な事態であることは言うまでもないが、東京を「脱出」する人もいると聞くにつけ、私たちに必要なことは事態を冷静に見守ることだと思う。
◇特殊な数値で不安高まる
不安が高まったのは15日午前、枝野幸男官房長官が「東京電力福島第1原発3号機周辺で、1時間当たり400ミリシーベルトの放射線量が測定された。これは健康に影響を及ぼす可能性がある数値」と発表した時からだ。この放射線量だと、1時間そこにいた場合、白血球の一時的減少などの症状が出る可能性がある。
これは3号機の損傷箇所のがれき付近で測定されたとみられる特殊な数値で、同じ敷地内でも第1原発正門の放射線量は同10ミリシーベルト程度だったことが後に分かったが、「400ミリシーベルト」の数値と、健康への影響に言及した枝野長官の姿が繰り返し放映された。
さらに同日夕、東京都内で原発から飛来した放射性物質が検出されたことが明らかになり、人々の不安は募った。
実際に、健康影響はあるのか。放射線を人体が受ける「被ばく」には、外部被ばくと内部被ばくがある。外部被ばくは放射線を直接受けることであり、内部被ばくは放射性物質を含む空気を吸い込んだり食品を摂取することによって生じる。当面、問題となるのは、身体が直接受ける外部被ばくだ。
外部被ばくは2通り考えられる。(1)直接、原発から放出される放射線による被ばく(2)原発から放出された放射性物質が各地に降り、これが放射線を出しているために起こる被ばく−−の二つだ。放射線量は「距離の2乗に反比例する」という法則があり、避難範囲である周囲20キロの外側では、(1)の原発からの放射線は無視できる線量になる。
◇現時点では健康に影響ない
各地で測定されている放射線量のほとんどは、(2)の飛来した放射性物質に由来している。福島県のモニタリングで測定された17日夕までの最高線量は最大でも30マイクロシーベルト(マイクロはミリの1000分の1の単位)以下で、多くは2〜5マイクロシーベルト。胸部エックス線CTを1回受ける被ばく量が約6900マイクロシーベルト。仮に30マイクロシーベルトが続いたとしても、230時間にわたって外にいてCT1回と同程度という計算になる。
新聞やテレビの報道で、必ず出てくる言葉がある。「ただちに健康に影響するレベルではない」。この表現は科学的には正しい。私は知人に問われた。「ただちに影響しないということは、後で影響するかもしれないということでしょう」。実際には、合計の被ばく量が100ミリシーベルト以下では、将来がんになる確率が高まることはないとされる。
いま必要なのは「科学的に正確な情報」よりも「的確な情報」であり、現在の放射線量であれば、「健康に影響がない」と言い切ってよい。
燃料棒の水面上への露出などにより、放出される放射性物質がもっと増えるなど、事態が深刻化した場合は被ばく量が増える。そうなったら、その時点で避難すべきかどうかを判断しても間に合う。
もう一つの不安は「チェルノブイリ原発事故のようになるのか」ということだ。チェルノブイリ事故では、運転中に核分裂が制御できなくなり、出力が急上昇して、大爆発、大火災が発生した。膨大な量の放射性物質が上空に達し、世界全体に降り注いだ。
福島第1原発は1〜3号機は地震直後に自動停止して、制御棒が挿入された。4号機は定期点検中だった。いずれも、今は核分裂反応が起こっていない。「チェルノブイリとは全く状況が異なる」というのは、多くの専門家の共通認識だ。
考えられる最悪の事態は、圧力容器、格納容器内の圧力が高まって損傷し、内部の放射性物質が外部に出ることだが、その場合でも大爆発には至らず、放射性物質の大半は敷地周辺にとどまるだろう。放射線量はかなり高くなるが、それでも「距離の2乗に反比例」するから、20キロ以上離れた地域の住民が致死量に達する放射線を受けることは考えられない。まして、一部の人々が言う「首都圏壊滅」はありえない。
ラジオ福島でこうした話をした後、福島市の男性がツイッターで「ほんと安心してゆっくりご飯を食べました。久しぶりに味のするご飯でした」と書いていた。被災者にとって的確な情報がいかに必要かを物語っている。
現場では東電や協力会社の社員、自衛隊、警察関係者らが懸命に放水作業などをしている。冷静に事態を見守ろう。私は現場の努力が実を結び、事態が打開されることを切に願っている。(東京編集局)
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毎日新聞 2011年3月18日 1時11分
放射性廃棄物役に立った:0件
質問者:mk23_sp 投稿日時:2011/03/06 23:10 困り度:
原子核分裂反応によってウランが「クリプトン+中性子」と「バリウム+中性子」に分裂しますよね?
この時出てくるクリプトンとバリウムって放射性廃棄物ですか?
質問番号:6574295
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回答者:kagakusuki 回答日時:2011/03/07 04:12
-原子核分裂反応によってウランが「クリプトン+中性子」と「バリウム+中性子」に分裂しますよね?
必ずしも「クリプトン+バリウム+中性子」に分裂するとは限りません。
ウラン235が核分裂する際には、分裂によって出来た原子核の中には、質量数(原子核中の陽子の数と中性子の数の合計した数)が95と139の原子核の割合が最も多くなるというだけで、どの元素の、どの同位体に分裂するのかは、決まっていません。
【参考URL】
核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団 - 核燃かんたん講座 - 基礎講座その1 原子力発電の原子って何?
http://www5a.biglobe.ne.jp/~genkoku/kiso-koza-1. …
ですから、クリプトンやバリウムの放射性同位体も生じますが、放射性ではないクリプトンやバリウムの同位体や、クリプトンやバリウム以外の元素の放射性同位体や安定同位体も生じます。
尤も、ウランの原子核中に含まれている中性子の割合は、軽い元素の安定同位体の原子核中に含まれている中性子の割合よりも多いため、放射性同位体が生じる確率の方がかなり高くなります。
但し、クリプトン92やバリウム141は半減期が短く、クリプトン92は1.84秒でβ線を出してルビジウム92に変わり、ルビジウム92は4.49秒でβ線を出して、放射性のストロンチウム92(半減期2時間40分)に変わります。
又、バリウム141は18.27分でβ線を出して、放射性のランタン141(半減期91.1分)に変わります。
【参考URL】
クリプトンの同位体 - Wikipedia
バリウムの同位体 - Wikipedia
この様に半減期が特に短い放射性同位体は、比較的短時間で別の元素の同位体に変わり、量が減ってしまいますから、原子炉の中で生じる端から崩壊して減って行きますし、バリウム141の場合は、原子炉を止めてから半日ほどで量が百万分の1以下になってしまいます。
原子炉を止めて、使用済み核燃料を取り出す際には、使用済み燃料が冷えるまで(即ち、半減期の短い放射性核種が崩壊して、ある程度量が減るまで)待ってから行いますから、その間にクリプトン92やバリウム141は殆ど無くなってしまいます。
核分裂後の放射性廃棄物は、使用済み核燃料から分離したものですから、その中には、半減期が特に短い放射性同位体は、あまり含まれていない事になります。(但し、半減期が少し長めの放射性核種が崩壊して、半減期が短い別の放射性核種が生じる事もあります)
その結果、放射性廃棄物の中には、安定同位体と、半減期が中くらい〜長い放射性同位体が残る事になります。
例えば、普通の原子炉(熱中性子を使う原子炉)から出る使用済み核燃料中の核分裂生成物に含まれる、クリプトンの同位体の量は、クリプトン85(半減期10.76年β崩壊)が累積核分裂収率(他の放射性核種が崩壊する事によって、その核種が生成した回数を積算した数が、元のウラン原子の個数の何%になるのかを現した値)で、1.29%である他は、殆どが安定同位体でクリプトン83が1.01%、クリプトン84が1.69%、クリプトン86が1.97%です。
同様にバリウムに関しては、放射性の同位体は、バリウム139(半減期83.06分β崩壊)が6.41%、バリウム140(半減期12.75日β崩壊)が6.21%、安定同位体のバリウム138が6.77%です。
【参考資料】
アイソトープ手帳
編集・発行:(社)日本アイソトープ協会
発売所:丸善(株)
この様に、放射性廃棄物の中のクリプトンやバリウムには、放射性同位体と放射性ではない同位体の両方が含まれていますが、混ざり合っている同位体を分離するためは、比較的高度な技術と、大きな労力が必要になるため、放射性同位体だけを分離して処分する様な事は、おそらく行われておらず、放射性同位体と安定同位体が混ざった状態で、まとめて処分しているのではないかと思います。
福島原発事故 そこが知りたい
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Q 放射線と放射能はどう違うの?
A 放射線は、高いエネルギーを持つ微小な粒子の流れや電磁波のことです。
ある種の原子核は時間とともに放射線を出して別の状態に変化します。これを崩壊といいます。放射線を出す物質を放射性物質といい、放射性物質が放射線を出す能力が放射能です。
Q 放射線にはどのようなものがあるの?
A 主なものにアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線があります。
アルファ線はヘリウム(原子番号2の元素)の原子核で、透過力が弱く、紙や数センチメートルの空気で遮ることができます。皮膚にアルファ線を受けても体内に入ることはありません。しかし、口などからアルファ線を出す放射性物質が体内に入ると、その周囲の細胞は重大な損傷を受けます。
べータ線は電子で、厚さ数ミリメートルのアルミニウムで遮ることができます。
ガンマ線は光や電波のような電磁波の一つで、透過力が強く、遮るには厚い鉛、コンクリートが必要です。
中性子線は、原子核が核分裂を起こしたときに放出される中性子です。中性子線は透過力が強く、遮るには水やコンクリートの厚い壁が必要です。
Q 放射性ヨウ素が野菜から検出されていますが、放射能汚染のニュースに出てくる「核種」って何?
A 原子は、原子核とその周囲に存在する電子でできています。核種とは、原子核の種類のことで、原子核を構成する陽子と中性子の数の組み合わせで決まります。
ヨウ素は、原子番号53(陽子の数が53個)の元素で、70〜78個の中性子をもつ6種類の核種があります。自然界に存在するヨウ素はほぼ100%が安定な核種ヨウ素127。その他は不安定な放射性核種です。今回、検出されているヨウ素131は、ベータ線を出して別の核種に崩壊し、8日で半減します。8週間で128分の1になる計算です。
Q セシウムも検出されていますが?
A セシウム(原子番号55)には、4種類の核種が存在しています。安定な核種はセシウム133。今回、検出された放射性セシウム134、137はベータ線を出して、それぞれ2年、30年で半減します。これらはガンマ線も放射します。
一方、自然界にほとんど存在しない人工元素プルトニウム(原子番号94)には、8種類の核種があります。原子炉の中でウラン238が中性子を吸収した結果できるプルトニウム239は、アルファ線を出して崩壊し、約2万4000年で半減。ガンマ線も放射します。23日現在、福島第1原発周辺でプルトニウムが検出されたという発表はありません。
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/03/24 このブログを購読する
福島原発事故 作業員のベータ線熱傷から推測できる事故の深刻さ:ストロンチウム [ 社会・政治・経済 ]
福島原発3号機のタービン建屋地下一階で作業中の作業員3人が、173〜180ミリ・シーベルトの被曝を受け、病院へ運ばれた。放射性物質を含んだ水(海水?)が約30cmくらいたまっており、作業中にこの水が長靴に侵入し、皮膚にやけどのような傷を負ったらしい。専門用語で「ベータ線熱傷」と呼ばれる急性の放射線やけどであるという。
問題は、作業員にやけどを負わせた放射性物質の種類が公表されていないことである。
どのような放射性物質がベータ線を発生しているのか、調べてみた。
原爆先生の特別授業 特定非営利活動法人ヒロシマの九日間ホームページより
http://www.hiroshima9.com/housyasen/housyasen.html
ベータ線
セシウムのように中性子が多い物質は、中性子1個が陽子に変化して全く異なる物質であるバリウムとなり、この時電子1個を同時に放出します。この電子の流れを「ベータ線」と言います。ベータ線は強いエネルギーを持っています。
原子力発電の原子炉内では核分裂の連鎖反応が行なわれていますが、この核分裂でウラン235は二つの物質に分裂します。どんな物質になるかはその時その時で様々ですが、例えばクセノン(陽子数54)とストロンチウム(陽子数38)に分裂します。クセノンは、約1秒で中性子1個が陽子に変わってセシウム(陽子数55)となり、その際電子1個(ベータ線)を放出し、その後1秒以内に再度中性子1個が陽子に変わってバリウム(陽子数56)となり、これも電子1個(ベータ線)を放出し、その後1千分の1秒という極短い時間に再び中性子1個が陽子に変わってランタン(陽子数57)となり、またまた電子1個(ベータ線)を放出し、またその後百分の1秒で同様にセリウム(陽子数58)となり、これも電子1個(ベータ線)を放出することになります。これらクセノン、セシウム、バリウム、ランタンは、ベータ線という放射線を放出する物質であることから放射性物質ということになります。
このベータ線は強いエネルギーを持っていますので、セシウムなど多数の分裂片が皮膚に付きますと、強いエネルギーによって皮膚を焼き放射線特有のヤケドが起こります。そして放射線は人体に入り込むと細胞を侵すことになります。
このように、核分裂の分裂片が原子力発電から生じる放射線で最も恐れるものであります。
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本来、タービン建屋地下一階に、このような危険な放射性物質を含んだ水が溜まっているはずはない。これら放射性物質は損傷した核燃料棒から漏れ出てくる物質である。
このことから容易に想像できるのは、やはり3号機の使用済み核燃料プールは破損して底が抜けているのではないかということ。そして使用済み核燃料棒は過熱して重大な損傷を生じているのではないか。
プール容量の3倍もの海水を投入したにも関わらず、プールが海水で満たされたという証拠はない。投入した3000トンもの海水は、破損した核燃料棒から漏れ出した危険な放射性物質とともにプールから漏出し、その一部がタービン建屋の地下一階に溜まっているものと推測される。また、原子炉圧力容器に直結している配管が損傷している可能性もあるだろう。
このように考えると、作業員が被曝した原因の物質は、もしかしてストロンチウム90なのではないかと疑いたくなる。
下記記述はウィキペディアより引用した。
ウランの核分裂生成物など、人工的に作られる放射性同位体としてセシウム137と共にストロンチウム90がある。ストロンチウム90は、半減期が28.8年でベータ崩壊を起こして、イットリウム90に変わる。体内に入ると骨の中のカルシウムと置き換わって体内に蓄積し長期間に亘って放射線を出し続ける。このため大変危険である。原発事故で放出される量はセシウム137と比較すると少ない。
ストロンチウム90の崩壊により生成されるイットリウム90は高エネルギーのベータ線(228万電子ボルト)を放出する。このベータ線は水中で10mmまで届き、ストロンチウム90はベータ線を放出する放射性物質としては健康影響が大きい。皮膚表面の1cm2に100万ベクレルが付着した場合は、その近くで1日に100ミリ・シーベルト以上の被曝を受けると推定される。
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この記述からもわかるように、遮蔽を失ってしまった核燃料プールの核燃料棒から漏れ出し、作業員に放射線やけどと、短時間で100ミリ・シーベルトを越える被曝を負わせた放射性物質はおそらくストロンチウム90ではないか。
さらに恐ろしいことに、核燃料棒からストロンチウム90が漏れ出るような状況であれば、同時にプルトニウムも漏れ出しているのではないかと想像できる。
極めて恐ろしい状況だ。
福島原発周囲の環境中(大気、土壌、海水)のストロンチウム濃度とプルトニウム濃度を大至急測定して、汚染の有無を確かめるべきだと思う。
さらに、作業員の年齢が30代と20代という若い人たちだったことに驚いたのは私だけだろうか。若い人に被曝させてはならない。
福島第一原発事故、スリーマイル超えレベル6相当に2011年3月25日3時0分
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事故評価と放射能放出量
東京電力福島第一原発の事故は、放出された放射能の推定量からみて、国際評価尺度で大事故にあたる「レベル6」に相当することがわかった。すでに米スリーマイル島原発事故(レベル5)を上回る規模になった。局地的には、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故に匹敵する土壌汚染も見つかっている。放出は今も続き、周辺の土地が長期間使えなくなる恐れがある。
原子力安全委員会は、SPEEDI(スピーディ)(緊急時迅速放射能影響予測)システムで放射能の広がりを計算するため、各地での放射線測定値をもとに、同原発からの1時間あたりの放射性ヨウ素の放出率を推定した。事故発生直後の12日午前6時から24日午前0時までの放出量を単純計算すると、3万〜11万テラベクレル(テラは1兆倍)になる。
国際原子力事象評価尺度(INES)は、1986年のチェルノブイリ原発事故のような最悪の「レベル7=深刻な事故」を数万テラベクレル以上の放出と定義する。実際の放出量は約180万テラベクレルだったとされる。今回は少なくともそれに次ぐ「レベル6」(数千〜数万テラベクレル)に相当する。
経済産業省原子力安全・保安院は18日、福島第一原発の1〜3号機の暫定評価を「レベル5」と発表したが、今後放出量の見積もりが進めば、再検討される可能性が高い。
土壌の汚染は、局地的には、チェルノブイリ事故と同レベルの場所がある。
原発から北西に約40キロ離れた福島県飯舘村では20日、土壌1キログラムあたり16万3千ベクレルのセシウム137が出た。県内で最も高いレベルだ。京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)によると、1平方メートルあたりに換算して326万ベクレルになるという。
チェルノブイリ事故では、1平方メートルあたり55万ベクレル以上のセシウムが検出された地域は強制移住の対象となった。チェルノブイリで強制移住の対象となった地域の約6倍の汚染度になる計算だ。今中さんは「飯舘村は避難が必要な汚染レベル。チェルノブイリの放射能放出は事故から10日ほどでおさまったが、福島第一原発では放射能が出続けており、汚染度の高い地域はチェルノブイリ級と言っていいだろう」と指摘した。
金沢大の山本政儀教授(環境放射能学)によると、1メートル四方深さ5センチで、土壌の密度を1.5程度と仮定すると、飯舘村の1平方メートルあたりのセシウム濃度は約1200万ベクレルに上る。チェルノブイリの約20倍。「直ちに避難するレベルではないが、セシウムは半減期が30年と長い。その場に長年住み続けることを考えると、土壌の入れ替えも必要ではないか」と話した。
健康への影響はどうか。チェルノブイリ原発事故では、強制移住の地域では平均50ミリシーベルト程度の放射線を浴びたとされる。しかし汚染地での長期の住民健康調査では、成人では白血病などの発症率は増えていない。
甲状腺がんは増えたが、事故当時小児だった住民が放射性ヨウ素で汚染された牛乳などを飲んで内部被曝(ひばく)したためとみられている。飯舘村の24日午後までの放射線の総量は、3.7ミリシーベルトだ。
長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「チェルノブイリ原発事故後でも小児甲状腺がん以外の健康障害は認められず、すぐに健康を害するとは考えにくい。高い汚染が見つかった地域では、データをもとに住民と十分に話し合って対応を考えてほしい」と話している。
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-放射性物質-雑草からセシウム265万ベクレル 飯舘村
毎日新聞 3月24日(木)20時10分配信
文部科学省は24日、福島第1原子力発電所から北西約40キロの飯舘村で20日採取した雑草から1キログラム当たり254万ベクレルの放射性ヨウ素、265万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。文科省は「データを再検討するが、家畜が食べた場合は影響がある可能性が高い」と説明した。定時降下物(雨やちりなど)からは、西日本の島根県でも微量の放射性ヨウ素が検出された。
文科省は18〜21日に原発から25〜45キロの6市町村の雑草を調査。飯舘村以外の放射性ヨウ素、放射性セシウムの最高値(単位ベクレル)は▽南相馬市(49万7000、2万4900)▽いわき市(69万、1万7500)▽川俣町(30万8000、13万8000)▽田村市(7万5700、5万)▽小野町(20万1000、7万3800)。
23日に8地点で採取した土壌調査でも飯舘村が最高値で、それぞれ20万ベクレル、4万5000ベクレルを検出した。
23日に初めて採取した原発沖約30キロの海域8カ所の海水1リットル当たりからは、放射性ヨウ素24.9〜76.8ベクレル、放射性セシウム11.2〜18.2ベクレルを検出。水中濃度限度は各40ベクレル、90ベクレルで、放射性ヨウ素が3カ所で限度を上回ったが、文科省は「すぐには影響はでないが、海洋生物への蓄積も考えられ長期的な調査が必要」と分析した。
23日採取の水道水1キログラム当たり、10都県で放射性ヨウ素0.75〜56ベクレル、6都県で放射性セシウム0.13〜9.3ベクレルを検出。24日午前9時までの24時間の定時降下物は1平方メートル当たり、13都県で放射性ヨウ素0.96〜1万6000ベクレル、11都県で放射性セシウム4.7〜210ベクレルを検出した。
モニタリングポスト(自動観測局)での大気中の放射線量は、24日午後5時時点で山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の8都県で通常値を超えた。福島県では24日、原発から25〜60キロの屋外27カ所で計測。1時間当たりの放射線量が最高だったのは浪江町(北西約20キロ)の106マイクロシーベルト。23日午前に103マイクロシーベルトだった飯舘村(北西約32キロ)は30マイクロシーベルトに下がった。【篠原成行】
◇家畜が食べれば影響も
飯舘村の雑草から検出された高濃度の放射性物質の数値について、野口邦和・日大歯学部専任講師(放射線防護学)は「同じ地域の野菜や土壌にも同じように放射性降下物が付着しているだろう」と分析。唐木英明・元東大アイソトープ総合センター長(獣医学)も「かなり高い濃度。もし畜産牛が食べれば牛乳や肉からも検出されるだろう」と話す。
農林水産省は19日、東北、関東の畜産農家に▽原発事故の前に刈り取った飼料を使う▽家畜の飲用水には水道水や井戸水を使う▽当面は放牧をやめる−−ことを呼びかけており、汚染された牧草を畜産牛が食べる可能性は現時点では低いとみられる。飯舘村は高級和牛ブランド・飯舘牛を育てる畜産農家が多いが、村産業振興課は「雑草を食べることはあり得ない」と話す。
野口氏は「今後農作物を作ったり人が立ち入っても大丈夫なのか。現在の避難・屋内退避エリアでいいのかも検討した方がいい」と話し、政府に更に詳しい調査を求めている。【小島正美、五味香織】
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.最終更新:3月24日(木)22時41分
放医研「体内被曝を確認」 福島第1原発で被曝の作業員
産経新聞 3月26日(土)0時8分配信
東京電力福島第1原発3号機の地下で、作業中に両足を被曝(ひばく)した関電工の社員2人と同社下請け社員1人について、放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)は25日午後、高度な被曝治療を施すために3人を受け入れた。放射線量を検査した結果、いずれも全身の被曝量は170〜180ミリシーベルトを測定。両足を被曝した2人については「体内被曝が認められる。外部被曝は詳細な検査を待つことになるが、皮膚から2〜6シーベルトが測定されるだろう」との見解を示した。
この日、両足を被曝した2人は入院先だった福島県立医大病院(福島市)から、一緒に被曝した同社下請け社員とともに放医研に到着。放医研によると、3人は自力歩行が可能だったといい、除染に加え、体表面などの被曝放射線量の測定後、放医研内の重粒子医科学センター病院に入院した。
放医研によると、両足を被曝した2人は口からの吸入により、体内被曝をしたとみられるが、吸入量は少ないため、「(現時点では)治療が必要なほどの体内汚染はない」と説明。
皮膚の汚染についても、ベータ線など複数の放射線による汚染があるとみられるものの、「予想の範囲内の被曝放射線量であれば、皮膚の移植は必要なく普通のやけどの治療で回復する」とした。
ただ、経過観察のため最低4日ほど入院し、皮膚については退院後も合わせて10日間くらい様子を見る必要があるという。
残る下請け社員については体内被曝などはなく、「遅くとも4日間の検査入院で退院できるだろう」とした。
3人は24日、冷却機能復旧のため3号機地下で作業、線量計のアラームが鳴ったが、機器の故障と思い作業を2時間ほど続行していた。両足を被曝した2人は長靴をはいておらず、足が水に漬かっていた。当時の水面の放射線量は、通常の原子炉内の水の約1万倍である約400ミリシーベルトで、少なくともセシウムなど5種類以上の放射線物質が含まれていたという。
2作業員、被ばく量2千〜6千ミリ・シーベルト
読売新聞 3月25日(金)23時36分配信
東京電力福島第一原子力発電所3号機で被曝(ひばく)した作業員3人のうち2人は、足の皮膚表面の被曝線量は2000〜6000ミリ・シーベルトと高く、作業中に吸い込んだ放射性物質による内部被曝もあることが25日、放射線医学総合研究所(千葉市)での精密検査で分かった。
同研究所の明石真言(まこと)・緊急被ばく医療研究センター長によると、3人のうち、20代と30代の作業員の2人は長靴を履いておらず、靴に入った水で足を被曝した。くるぶし以下に強い被曝が認められたが、皮膚にやけどなどの症状は出ていない。「被曝線量は非常に高いが、局所的であり、全身被曝に比べて、はるかに健康への影響は少ない」という。
ただし、局所でも3000ミリ・シーベルト以上被曝すると、5日〜2週間程度で熱傷などの症状が出る恐れがあり、経過観察が必要という。放射線の一種であるベータ線熱傷も確認できていない。
この2人は尿などから放射性物質が検出され、内部被曝が確認された。足には傷がなく、空気中の放射性物質を吸い込んだとみられる。被曝の程度は軽いとみられ、すぐに治療が必要なレベルではなかった。
残りの1人は長靴をはいていたため、水にぬれておらず、足の被曝も内部被曝も確認されなかった。
3人は、早ければ週明けにも退院する見通しという。 .
福島原発1、2号機・地下の水にも高い放射線量 復旧作業が中断
産経新聞 3月25日(金)14時48分配信
東日本大震災で深刻な被害を受け予断を許さない危険な状況が続く東京電力福島第1原発で、東電は25日、1、2号機の建物地下で見つかった水たまりから高い放射線量が確認されたとして、復旧作業を中断したことを明らかにした。
2号機は15日の爆発で格納容器につながる圧力抑制室が破損したとみられており、建屋内は放射線量が高くなっている。
一方、黒煙が発生し中断していた3号機の復旧作業は24日に再開されたが、作業員3人が被曝したほか、2号機は放射線量が高くてポンプのある建屋内に入れないなどの障害が発生している。
1万倍濃度の水の排水を実施
3月25日 12時47分
24日、作業員3人が被ばくした福島第一原子力発電所の3号機で、被ばくの原因となった水から運転中の原子炉の水のおよそ1万倍の濃度の放射性物質が検出されました。東京電力では、作業の妨げとなるこの水を取り除く作業を行うとともに、作業員に対して放射線の量を測定する線量計の警報が鳴ったら直ちに作業を中断することなどを周知しました。
福島第一原発では、24日、3号機のタービンが入った建屋の中で、作業員3人が深さ15センチの水につかって作業をしたところ、173ミリシーベルトから180ミリシーベルトの被ばくをしました。このうち2人は、多量の放射線で皮膚が損傷する「ベータ線熱傷」の疑いがあり、25日、入院先の福島県の病院から千葉市にある放射線医学総合研究所へ搬送され、専門的な治療を受けることになっています。作業員が被ばくした水については、東京電力の分析で1cc当たり、390万ベクレルと、運転中の原子炉の中の水のおよそ1万倍の濃度に当たる放射性物質が検出されています。検出されたのは、いずれも原子炉内で核分裂した際に発生する放射性物質で、東京電力では、高濃度の放射性物質を含む水が3号機の復旧作業の妨げになることから排水作業を行っています。一方、作業員3人が被ばくしたことを受けて、経済産業省の原子力安全・保安院は東京電力に対して、再発防止のため、直ちに放射線管理の在り方を見直し、改善するよう指示しました。このため、東京電力は、25日朝、すべての作業員に対して、▽放射線の量を測定する線量計の警報が鳴ったり、ぬれたりしたら直ちに作業を中断することや、▽もし、作業中、事前の想定と異なることがあった場合はすぐに東京電力に連絡してもらい、指示を仰ぐことなどを周知徹底したということです。
東京で自国民にヨウ素剤配布開始 仏大使館
2011.3.17 23:12
東日本大震災に伴う福島第1原発の事故で、フランス外務省報道官は17日、在日大使館を通じて東京周辺在住のフランス人に対し被曝による健康被害を抑える「安定ヨウ素剤」の配布を始めたと発表した。
外務省は原発事故の深刻化を受けた「予防的措置」とした上で「特に妊娠中や出産直後の女性、子供たち、若者にとって、この錠剤の服用は重要だ」と呼び掛けている。
また「ヨウ素剤が効いている期間は限られているので、必ず大使館または日本当局の指示に従って服用に及ぶこと」ともしている。
東京と周辺地域に住むフランス人は通常約7000人だが、帰国や他の地域への避難で現在は約3000人という。(共同)
安定ヨウ素剤の配布に係る市長メッセージ(平成23年3月18日9時発表)
更新日 平成23年3月18日
安定ヨウ素剤の配布に係る市長メッセージ
この度の原子力発電所の事故につきましては、市民の皆様も大変御心配のことと存じます。
私は、この問題に際し、皆様には大変な状況の中で御協力をいただいておりますこと、誠にありがたく思っております。
本市の場合、現在、国による退避指示の範囲にはなく、健康被害が心配されるものではありませんが、避難所において、他の市町村から避難されている方に出身自治体において、安定ヨウ素剤がすでに配布され、市民に不安が広がってきていること、
また、なぜ配らないのかという市民の不安に思う気持ちに応え、万が一、高い濃度の放射能物質にさらされた場合に備え、「安定ヨウ素剤」を本日からお配りすることといたしました。
なお、配布の対象となる方は、国の基準により、40歳未満の方に限ります。
ただし、40歳以上の方であっても、妊娠されている方には配布いたします。
この「安定ヨウ素剤」は、万が一、高い濃度の放射性物質にさらされた場合、甲状腺への影響をやわらげることができるとされているものです。
服用については、「安定ヨウ素剤」と一緒にお配りする「用法の指示」に従い、「市から指示があった時以外は絶対に服用しない」など適切な対応をお願いいたします。
重ねて申し上げますが、服用いただく際には、私から「服用してください」とお知らせをいたします。その指示に従い、適切な対応をお願いします。
市民の皆様には、引き続きの御協力、そして冷静な御行動をお願い申し上げ、私からのメッセージといたします。
平成23年3月18日
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30キロ圏外の一部、内部被曝の可能性 極端な例で試算 朝日 3月23日 23時34分
原子力安全委員会は 23日、福島第一原発の被災に伴う住民の被曝量や放射性物質が
降る範囲を、SPEEDI( スピーディ=緊急時迅速放射能影響予測 )システム で試算、結果を初めて
公表した。 原発から北西と南の方向に放射性ヨウ素が飛散し、最も影響を受けるケースだと、
30キロ圏外でも 12日間で100m?を上回る甲状腺の内部被曝を起こす可能性がある、
との結果が出ていた。 ( 朝日の元記事に 地図が載っています )
委員会は、原発の被災後、12日午前6時から24日午前0時までずっと屋外で過ごした
という最も厳しい条件で、各地の モニタリング の データ などを元にヨウ素の放出量を仮定、
ヨウ素の影響を もっとも受ける1歳児の甲状腺の内部被曝量を試算した。
試算によると、一日中外にいた場合、内部被曝が 12日間で100m?に達する可能性が
ある地域には、原発の北西にある福島県南相馬市や飯舘村、川俣町のほか、南に位置する
いわき市などの一部が含まれていた。100m?は、安定ヨウ素剤を飲むかどうかの判断の
一つ、という。ただ、屋内にいた場合は、この1/4から1/10程度に減るという。
班目(マダラメ)春樹委員長らは「 非常に厳しい条件を想定した。直に対策を取る必要はない 」
と話した。
SPEEDI は、原発の位置や放出された放射性物質の種類、量や高さ、地形などを元に気象データ
を踏まえて計算。 安全委は 16日から試算用に情報を収集し、20日から陸向きの風に
なったため、試算をしたとしている。
原発から放出される物質や放出量などの情報を把握することが困難で、予測システム という
使い方ではなく、モニタリング から逆算して使う形になったという。 班目委員長は「 実際に
システム を使うには 地表の放射性物質は除き、空中を飛ぶ物質を調べないといけない。推定が
困難だった 」と話した。
各地で放射性物質が検出されるようになった後も 同委員会は公表してこなかった。
一方、米国や フランス、オーストラリア など海外機関は 独自に拡散予測を インターネット で公開。情報
の透明性に批判が集まっていた。
この事態になっても、班目氏を更迭できない 原子力安全委員会 及び政府に、
日本国民の信頼を期待することは、とても ムリなことでしょう。
彼は、原発推進を図る政界・官界と産業界をバックとする学者閥の代表者なのですから。
今の事態は、企業の不祥事で 社会の指弾を浴びる社長といった図を 遥かに越えて、
彼の言動が 国の根幹を危うくしてきたという 凄まじい不祥事なのですから。
又、政府は ハッキリと 原発推進政策を温存しようとする意図を放棄して、事に当たらなくては、
日本と世界の人々に 説得力ある行動を取れないのではないでしょうか?! 合掌
大気中の放射線量、東北南部と関東で高め 朝日 23日 19時15分
大気中の放射線量は、文部科学省などのまとめでは、23日も引き続き、東北南部と関東の
10都県で平常時より高めに推移した。 他の地域の放射線量は、平常時の範囲内の変動に
おさまっている。
23日午後2時現在、福島県の一部と茨城県の一部では、1時間あたり1μ?( ?は
人間が放射線を浴びた時の影響度を示す単位 )以上の放射線量が測定された。
茨城県高萩市は、福島第一原発から福島県いわき市よりも遠くにあるが、同市を超えるレベル の
放射線量を記録した。
東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県での計測値は 20日には平常値の範囲内だった。
しかし、その後、21〜22日の降雨の影響などから やや高めになっている。
■ 北西25キロに高放射線量地域 米エネルギー省発表
産経 3.23 12:57
米 エネルギー 省は 22日、福島第1原発事故で放出された放射性物質により、放射線量が
高い帯状の地域が 北西方向に約25キロ広がっているとの観測結果を発表した。
日本に派遣された同省の観測チームは、地上から1mの範囲の放射線量を計測できる装置を
航空機に取り付け、17日から19日にかけて原発から半径約45㌔以内の状況を調べた。
その結果、北西方向に 約25㌔にわたり、1時間当り125μ? 以上の地域が広がって
いた。 この線量は、8時間で一般人の年間被曝線量限度 千μ? になる高い数値。毎時
300μ? を超えた地域はなかったという。
エネルギー 省は 約8トンの資材とともに33人の専門家を日本に派遣。日本政府と協力して
事故対策に当たっている。(共同)
■ 活動限定にいら立ちも 米軍即応部隊「 待機 」
産経 3.19 18:40
東日本大震災と福島第1原発の事故を受け、米軍は 空母や無人機を投入して支援作戦
「トモダチ」を本格化させている。 ただ、発生から1週間余りが経過しても 即応部隊で
ある 海兵隊の現地入りは限られ、放射能対応を専門とする部隊も待機状態。
日本から具体的な任務を要請されず「 能力を持て余している 」(軍事筋)米側から、
いら立ちが垣間見える。
「 実は まだ任務が与えられていない 」。米国防総省当局者は18日、沖縄のキャンプ・ハンセン
を拠点とする海兵隊の第31海兵遠征部隊(31MEU)約2200人が、秋田沖の揚陸艦
3隻で「命令待ち」の状態が続いていると明かした。 米軍支援は 日本の要請に基づくのが
原則だ。(共同)
福島原発の放射性物質、チェルノブイリの2〜5割 産経 3/24 00:37
オーストリア 気象当局は23日、福島第1原発の事故後、3〜4日の間に放出された放射性物質
セシウム137の量は、チェルノブイリ の原発事故後10日間の放出量の20〜50%に相当するとの
試算を明らかにした。
同当局は 双方の事故現場から1日当たりに放出された セシウム137の量は「 大差がない 」
とする一方、放射性物質の影響を総合的に判断した訳ではなく、福島の事故規模が チェルノブイリ
よりも大きいとは「 決して言えない 」としている。
同当局は、包括的核実験禁止条約(CTBT)機構の暫定技術事務局が 日本や米国、ロシア
などで集めたデータを基に試算したとしている。
被ばく2作業員搬送 やけどの症状 毎日 24日 21時06分
東電は 24日、福島第1原発3号機の タービン 建屋で作業していた3人が 40〜50分の作業
で 170 m? 以上の被曝をしたと発表した。この内 2人の両足の皮膚に放射性物質が付着
していたため 福島市の病院に搬送された。千葉市の放射線医学総合研究所に転院する。
3人は全身の状態は良好だが 他の建屋での同様の作業も中断した。安全管理が問われそうだ。
東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、3人は 20〜30代の東電の協力会社の社員。
同日午前10時から、いずれも タービン建屋地下で電源復旧のための ケーブル接続作業をしていた。
3人は 防護服を着ていたが、搬送された2人は 短い靴で、暗い中での作業だったために
深さ約15cmの水に気付かず、くるぶしまで浸かった。水が放射性物質に汚染されていた
可能性がある。
搬送された2人の被曝線量は、30代男性が 180.07 m?、20代男性が 179.37 m?。
東電は「 火傷のような症状があり、ベータ線による熱傷の可能性がある 」としている。
残る1人は、30代男性で 173 m?だった。
3人は 線量計を所持し、20m? の被曝で 警報アラーム が鳴るように設定されていた。
実際に アラーム が鳴ったかどうかは 調査中という。3人が気づいた時には 線量計の値が
170 m? を超えていた。24日時点で 被曝線量が 100 m?を超えた作業員は 計14人に
なるが、今回の値は最も高いという。
厚労省は、同原発で作業にあたる人の年間の累積被曝線量の上限を 250m?としている。
東電によると、3人の累計被曝線量は この値を超えていない。
東電は 今回の事態を受け、同日午後0時10分に タービン建屋1階、地下の作業員に対して
退避指示を出した。 放射線源や被曝の原因を調べ、除去や遮蔽(シャヘイ)ができれば作業を
再開する。
※ベータ線熱傷
皮膚表皮の底にある細胞分裂が活発な層が、放射線の一種のベータ線を浴び、
破壊されて起こる熱傷のような症状。高濃度の放射性物質が皮膚に付くことなどが
原因となる。被曝して数日から数週間後、赤くなった後に ただれたりする。
基本的には 感染症を防ぎながら回復を待ち、治らなければ皮膚移植をする場合
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被ばく量、30km圏外で高い地域も
. 福島原発
福島第一原発から半径20〜30キロ・メートル圏内の自治体に対し、政府が住民の自主避難を促すよう求めた背景には、原子力安全委員会が23日に公表した放射性物質の拡散予測結果がある。
「SPEEDI(スピーディ)」と呼ばれる予測システムはずっと屋外にいた場合を想定。同じ福島第一原発の30キロ・メートル圏内でも、地域によって被曝(ひばく)量が大きく異なり、30キロ・メートル圏外でも非常に高い地域があることを示した。放射性物質の広がりは地形や風向きに大きく左右される。安全委の班目(まだらめ)春樹委員長は23日の記者会見で、「スピーディの予測結果から、ある程度、放射性物質の拡散の傾向が見て取れる。同心円状に避難範囲を決めているが、そろそろきめ細かく設定し直す時期に来ている」と語った。
実際、福島県が観測した大気中の放射線量の結果から、15日から24日午後4時までずっと屋外にいた場合の被曝量を計算すると、同原発から北に約24キロ・メートル離れた南相馬市では620マイクロ・シーベルトなのに、北西約40キロ・メートルの飯舘村では4000マイクロ・シーベルトで、1年間に日本人が自然から受ける1500マイクロ・シーベルトを大きく上回る。こうした結果は、スピーディの予測とも一致する。
東京女子大の広瀬弘忠教授(災害・リスク心理学)によると、放射線量が特定の観測地点だけ高くなる現象は、チェルノブイリ原発事故の際もみられた。広瀬教授は「政府は予測結果をもっと早く公表し、避難区域の設定に生かすべきだった。避難の範囲を同心円で設定し、徐々に広げていったのは科学的な根拠に乏しい」と語る。
(2011年3月25日23時27分 読売新聞)
14地点で強い揺れが2〜3分間続く…巨大地震
. 巨大地震
東日本巨大地震(マグニチュード=M=9・0)で震度5強以上を記録した気象庁の14観測点では、震度4以上の強い揺れが2〜3分間も続いていたことが同庁の解析で分かった。
過去の大きな地震と比べて倍以上も長い。震源域が長さ450キロ、幅200キロと極めて広く、プレート境界の岩盤の大きな破壊が約3分間にわたり、連続して起きたためとみられる。
震度4以上の揺れが約3分10秒と最も長かったのは、福島県いわき市小名浜の観測点(震度6弱)。青森県五戸町古舘(同5強)が約3分、仙台市宮城野区五輪(同6弱)が約2分50秒で続いた。宮城県沖の震源から約400キロ離れた東京都千代田区の気象庁(同5強)でも約2分10秒だった。
(2011年3月25日19時51分 読売新聞)
検潮所の津波データ発見、宮古では8・5m以上
. 巨大地震
気象庁が東日本巨大地震直後に津波の観測データが伝送されなくなった岩手・宮古、大船渡の2観測点について、検潮所に残された記録を回収したところ、津波の高さは宮古で8・5メートル以上、大船渡で8・0メートル以上だったことがわかった。
宮古の記録は検潮所観測では史上最高。
港湾空港技術研究所が港などで行った現地調査では、津波は宮城・女川で約15メートルに達していたことが分かっているが、検潮所の観測では、これまで福島・相馬の7・3メートル以上が最高だった。
気象庁によると、今回の地震では、青森・八戸から福島・小名浜までの6観測点で検潮所のデータ伝送が止まった。
宮古の検潮所は岸壁ごとなくなっていたが、データを記録する装置は10メートル高い場所にあり、伝送停止後6分間の記録が残っていた。大船渡は検潮所の建物が浸水したが、データの一部が復元できた。
一方、津波が高台などを駆け上った高さ(遡上(そじょう)高)は、同研究所の調査では岩手・大船渡港周辺(綾里地区)の約24メートルが最高。岩手・久慈港の約13メートルが続いた。
今回の津波は押し寄せてから引くまでの時間が長かったため、ひとつの津波の一部分しか観測していない可能性がある。気象庁はこのため、「津波の実際の高さはもっとあったのではないか」とみている。
(2011年3月24日10時36分 読売新聞)
1号機の炉心、一時400度に…燃料棒露出続く
. 福島原発
原子炉内の温度が、一時400度まで上昇した福島第一原発1号機に関して、東電は23日未明から仮設ポンプで、海水の注水量を増加、冷却作業を進め、午後6時現在で温度を306度まで下げた。
しかし、燃料棒は水面から露出したまま高温になったとみられ、圧力も上昇し、炉内の状態は不安定なままだ。専門家も炉心の一部が溶けた可能性があるなどとし、十分な警戒が必要としている。
元原子力安全委員の住田健二・大阪大名誉教授(原子力工学)は、「同じように原子炉内に注水し続けている2号機の温度(約100度)と大きな温度差があるのが気になる」と指摘。「炉心の一部が溶け、炉内が高温になったと考えられる。圧力容器を溶かすほどではないが、炉内が落ち着いていない。温度は今後、急上昇する危険性がある。細心の注意が必要だ。最も重要なのは、炉の近くで中性子線の有無を確認し、核分裂反応が連続して起きる臨界がわずかでも起きているのかどうかを知ることだ」と話す。
「異常な高温状態だ」と話すのは杉山亘・近畿大原子力研究所講師(原子力安全学)。約70気圧になる通常運転中でも水温は280度程度にとどまるとし、「冷たい水を高温の原子炉内に入れると、(原子炉につながる)給水配管が急な冷却で、破損するおそれもある」という。
宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)は「原子炉の上部と下部で同じ約400度を示したのは、燃料の上部が冠水していないというより、水がほとんど入っていないのではないか。圧力容器を壊すような数値ではないが、深刻な状況が続いていると言える」としている。
(2011年3月24日09時23分 読売新聞)
北西30キロ、24時間で年間許容量超す放射線
. 福島原発
文部科学省は25日、福島第一原子力発電所の北西約30キロの地点で、23日正午過ぎからの約24時間に1437マイクロ・シーベルトの放射線量を観測したと発表した。
年間に自然界や医療行為以外で人が浴びてよいとされる許容量1000マイクロ・シーベルトの1・4倍にあたる。
同原発から北西方向ではこれまでも比較的高い放射線量が観測されているが、政府の原子力安全委員会は25日の記者会見で「風向きや地形の影響で局地的に計測されたと考えられる。全体的に放射線量は減少しており、健康に影響が出る状況ではない」と述べた。24時間積算でのデータ発表は初めて。
一方、同原発の太平洋岸沖合約30キロの8地点で24日に採取した海水からは、1リットルあたり16・9〜59・1ベクレルの放射性ヨウ素131を検出した。3か所で安全基準の同40ベクレルより高いが、前日よりやや低い傾向。放射性セシウム137はいずれも基準値を下回った。
(2011年3月25日19時48分 読売新聞)
東日本大震災:福島第1原発事故 顔見えない原子力安全委 「危機感ない」批判も
震災後初の会見で弁明する班目春樹・原子力安全委員長=2011年3月23日午後10時、山田大輔撮影
◇記者会見23日の1度だけ
東京電力福島第1原発が東日本大震災で被災して2週間。予断を許さない状況が続く中、「原子力安全の番人」である内閣府原子力安全委員会の活動が見えづらい。班目(まだらめ)春樹委員長(元東京大教授)が顔を見せたのは22日の国会答弁、そして23日の記者会見だけ。「顔が見えない」との批判が高まっている。【山田大輔】
◇「黒衣役」というが…「官房長官の家庭教師役」
「委員長がいつ出てくるのかと、ずっと待っていた。抑え込んでいる勢力がいるのかと疑いを持って見てきた」。99年の核燃料加工会社「JCO」の臨界事故時、国の方針が定まらない中で住民の避難を決めた村上達也・茨城県東海村長は、安全委の沈黙をこう評する。
原子力安全委は、原子力船「むつ」の放射能漏れ事故(74年)で高まった社会不信に応えるため78年に発足、JCO事故で体制が強化された。原子力安全規制への信頼性向上が使命で、国会の同意を得て首相が任命した専門家5人が行政機関や電力会社を指導、首相への勧告権限も持つ独立機関だ。
JCO事故の際は発生直後から連日会見を開いたが、今回は情報発信が極めて少ない。班目委員長が公の場に初めて姿を見せたのは22日の参院予算委。12日、菅直人首相の現地視察に同行し「水素爆発は起きない」と説明したことや、中部電力浜岡原発運転差し止め訴訟の証人として07年、地震で非常用発電機が作動しない可能性を「割り切らなければ原発はできない」と述べた責任を追及された。
班目委員長は答弁で「原子力を推進してきた者として個人的に謝罪する気持ちはある」と話したが、首相は22日、他の専門家2人を内閣官房参与に任命するなど、安全委への不信感を示した。
事務局によると、班目委員長らは発生以来、内閣府の執務室に連日泊まり込んで、分析結果を官邸に伝えたり、必要な対策を各省庁に指示しており「会見する余裕がないほど忙しい」という。しかし、与党関係者は「今やっていることは枝野幸男官房長官の家庭教師。自分たちからは何も言わず、聞かれれば答える状態で、危機感に乏しい」と批判する。
23日夜、初めて記者会見に臨んだ班目委員長は「官邸の発表が我々の考えに沿っている限りは『黒衣役』に徹するつもりだった」と弁明した。安全委が各省庁に行った指示の公表も「各省庁がすればいい」と話した。
原子力を考える市民活動を主宰する松田美夜子・前原子力委員会委員は「データだけ示されても不安に思う人もいる。(農作物などの)風評被害を防ぐためにも、専門知識のある安全委が前面に出てちゃんと説明すべきだ。国民の信頼を得るためにあるのだから、原子力安全にかかわる説明は安全委の責任だ」と指摘する。
◇震災後の原子力安全委の動き◇
11日=緊急技術助言組織を招集、福島県原子力災害対策センターに職員派遣
12日=菅直人首相の福島第1原発視察に班目春樹委員長が同行
17日=現地作業員の放射線量限度を250ミリシーベルトに引き上げる件を了承
11〜21日=官邸の原子力災害対策本部に委員長が11回出席
21日=放射性物質を帯びた農作物の出荷制限品目などについて助言
22日=参院予算委に出席▽近藤駿介原子力委員長、寺坂信昭原子力安全・保安院長と班目委員長が官邸に呼ばれ、菅首相から「連携を良くしろ」と指示される▽東電による海水分析結果に関して「直ちに住民の健康に影響はない。引き続き調査を」と助言
23日=初めて記者会見
◇原子力安全委員の顔ぶれ◇
(◎は委員長、敬称略)
◎班目春樹(元東京大教授、熱工学)▽久木田豊(元名古屋大教授、原子力熱工学)▽久住静代(元放射線影響協会放射線疫学調査センター審議役、放射線影響学)▽小山田修(元日本原子力研究開発機構原子力科学研究所長、原子炉構造工学)▽代谷誠治(元京都大原子炉実験所長、原子炉工学)
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毎日新聞 2011年3月25日 東京夕刊
原子力安全委員長、国会で想定の甘さ認める(03/23 00:10)
原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は22日の参院予算委員会で、福島第1原発事故について「想定を超えたもので、想定が悪かった。事故の想定は世界的な見直しが必要だ」と述べ、従来の地震や津波災害の想定に誤りがあったことを認めた。
班目氏は12日に菅直人首相が福島原発を視察した際、「水素爆発はない」と説明。これが、建屋爆発を見通せず、政府の対応を鈍らせたとの批判が出ている。これに関し、班目氏は「(説明したのは)格納容器の中の話。首相の判断が甘くなったことはない」と、言い逃れとも取れる答弁1 件を繰り返した。
一連の事故については「原子力を推進してきた者の一人として、個人的に謝罪するつもりはある」と自らの責任に言及した。
同委は原子力関連の行政機関を専門・中立的な立場から指導する役割を担っている。
道外
高線量区域は自主避難を 原子力安全委が提言(03/25 13:17)
東京電力福島第1原発の事故で、国の原子力安全委員会は25日、「放射性物質の放出が継続すると考えざるを得ず、20〜30キロの屋内退避区域のうち線量が高いと考えられる区域に住む住民に対し積極的な自主的避難を促すことが望ましい」との見解を示した。
さらに「これらの区域以外の屋内退避区域に住む住民も、予防的観点から自主的に避難することが望ましい」とした。
見解では「現在の防護区域を変更する必要はない」とした上で「周辺の緊急時モニタリングの結果などを踏まえて適時検討することが肝要」としている。
政府、混乱恐れ「自主避難」 「対応遅い」と批判続出(03/25 20:37)
政府が25日、福島第1原発から半径20〜30キロ圏内で屋内退避し、生活が困窮している住民に自主避難を促したのは、「避難指示」とした場合、放射性物質による危険度が増したと受け止められ、混乱を招くとの懸念があったためだ。
ただ、事実上の避難勧告となったことに対し、関係自治体や住民からは「対応が遅い」と批判が続出。自主避難に向けた政府と自治体の調整が難航する可能性もある。今後、放射線量が増大すれば避難指示を検討するが、「迷走した」との非難も浴びそうだ。
枝野幸男官房長官は午後の記者会見で、自主避難の促進に関し「各地域の事情に合わせて自治体と連携している」と強調。対応が遅れたとの指摘については「専門家の意見に基づき、一定のゆとりを持った形で退避等の指示を決めている」と反論した。
政府は、屋内退避の対象地域で、物資不足などによる生活困難を背景に自主避難する人が増えている実態を踏まえ、避難指示の範囲拡大も検討してきた。しかし、「社会的な理由による範囲拡大は混乱を招く。きめ細やかに対応しないといけない」(政府筋)と判断。放射線量の上昇ではなく、住民の生活困難を前面に、自主避難を打ち出した。
一方、防衛省は25日、半径20〜30キロ圏内が屋内退避から避難指示に切り替わった場合に備え、自衛隊が地元市町村や警察、消防と協力して住民の居住状況調査を始めたと明らかにした。対象区域に残っている人数を把握するとともに、自力避難が可能か介護が必要かなどの情報収集を急ぎ、避難指示が出た際の誘導計画に反映させる。
東電に賠償免責の適用ない 福島第1の補償で官房長官(03/25 20:08)
枝野幸男官房長官は25日午後の記者会見で、巨大な自然災害などの場合に電力会社を免責する原子力損害賠償法(原賠法)の例外規定が福島第1原発の事故で東京電力に適用される可能性について「社会状況からありえない」と明言した。
福島第1原発事故に関わる国による補償は、国と東電の契約の上限の1200億円にとどめ、上限を上回る賠償責任は東電が原則として負うことになる。
原賠法では「異常に巨大な天災地変または社会的動乱」の場合は、原子力災害に対する東電など原子力事業者の賠償責任を免除し、国が負担する免責条項を定めている。
政府内には当初、今回の地震と津波は「未曽有の大災害だ」として免責を適用することも検討したが、各地で放射性物質の検出が相次ぎ、東電が賠償責任を免れるのは「国民感情からも受け入れられない」(財務省幹部)と判断した。
東電が補償しきれない場合は、国が財政投融資で東電に融資する案や、金融機関から東電への融資に政府保証を付ける案が出ている。
原発事故対応見通しの甘さ認める 原子力安全委員長 (03/22 19:49)
原子力安全委員会の班目春樹委員長は22日午後の参院予算委員会で、福島第1原発事故について、事故対応の想定見通しが甘かったことを認めた上で「原子力安全規制行政を抜本的に見直さなければならない」と述べた。「(原子力行政を)推進してきた者の一人として謝罪する気はある」とも語った。
原子力利用の安全規制に関する国の政策や基準を決定する原子力安全委のトップが東日本大震災発生後に対応の不備を認めたのは初めて。
班目氏は、地震発生時に非常用発電機が2機とも作動しなかったことに関し「(そうした事態は想定できないと)割り切らなければ原発は設計できない。割り切り方が正しくなかったことは十分反省している」と述べた。その上で「事故の想定は世界的な見直しが必要だ」と指摘した。
社民党の福島瑞穂党首に対する答弁。
東電、1号機の高放射線量を事前把握 作業員らに伝えず2011年3月26日12時49分
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. 東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)で、3人が作業に入る6日前の18日、水がたまっていた1号機のタービン建屋地下で高い放射線量を確認しながら、東電は作業員らに注意喚起をしていなかったことがわかった。東電は「情報共有が早ければ被曝を防げた可能性があった」と認め、謝罪した。
東電福島事務所によると、6日前の18日、1号機のタービン建屋地下1階で作業した際に放射線量を測定、作業員の被曝線量の上限(250ミリシーベルト)に迫る毎時200ミリシーベルトと高いことを確認していた。
一方、3人の作業員が3号機で作業を始めたのは、24日午前10時半ごろ。作業員には1号機の情報は伝わっていなかった。
3号機では前日にはなかった水が深さ15センチになっていたが、3人は前日の作業では線量が低かったこと、「タービン建屋は通常、線量が高い場所でない」と思っていたことなどから、水につかって作業をして、被曝した。18日のデータが事前に伝わっていれば、作業員らの思い込みを防げた可能性がある。
東電福島事務所の小山広太副所長は「1号機の現場の状況の情報をしっかり各現場で作業している人たちに注意喚起していれば、今回の被曝は防げたと思っており、反省している」と謝罪した。
東電によると、建屋内に津波による海水が残っていると考えて排水を検討。その準備として水を分析するため、24日午前9時半に1号機で水を採取、分析した。東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、3号機と同様、通常の原子炉内の冷却水より約1万倍強い、1立方センチ当たり380万ベクレル(放射能の単位)の放射能が検出された。
含まれている放射性物質の種類は3号機とほぼ同じだった。セシウム137など燃料に含まれる物質が検出されており、原子炉内から漏れ出した可能性がある。
保安院は3号機の水の発生源について、使用済み核燃料の貯蔵プールよりも原子炉内の可能性の方が高いとの見方を示した。
東電はまた、2号機のタービン建屋地下でも表面付近で毎時200〜300ミリシーベルトの高い放射線量の水がたまっていることを明らかにした。これにより、高い放射線量の水がたまっていたのは1、2、3号機となり、今後、配管の損傷などからどういう経路で漏出が広がったのかを調べていくことになる。
水たまりの深さは3号機で最大1.5メートル、2号機は1メートル、1号機は40センチ。4号機でも、放射性物質の状況は不明だが、80センチの水がたまっているという。
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東電福島原発事故:人間能力の限界を超える危機連鎖続く 新ベンチャー革命2011年3月16日
1.東電福島原発老朽機、危機の連鎖止まらず
2011年3月16日朝、東電福島第一原発の定検で運休中の4号機建屋から再び火災が発生したとのこと。放射能レベルが高すぎて、現場に近づけないようです。使用済み燃料プールの循環冷却が行われておらず、水温が上がりすぎて、燃料がむきだしになったと予想されています。
まさに、第一原発は連日、危機の連鎖で対応不能となっています。一方、第二原発は、自衛隊の協力もあって、危機を脱しているようです、
ほぼ同じ立地条件である福島第一、第二原発が、地震被災後、なぜこれほど差が出ているのか、非常に疑問です。第二原発の方が、第一より、10年後に建設されており、設備も技術も耐震設計もすべて、第二の方が第一より好条件であるのは確かです。
第一原発の危機が続く根本原因は、地震外力被害よりも、周辺設備の津波冠水による機器故障です。非常用電源設備故障と非常用発電機の重油燃料タンクの破壊です。この意味で、第一原発の危機は、盲点を突かれたような恰好となっています。
一方、第二も第一と同様の津波被害を起こしていますが、第二は14日までに炉心冷却システムを回復させています。また第一の5号機、6号機は話題にされていません。
この事実から、第二にあって第一(とくに1号機から4号機)にない、なんらかの設備的差異があるようです。つまり1号機から4号機には、他機に比して、なんらかの安全対策上の不備があることを窺わせます。
2.東電原発BWRのマークⅠとマークⅡの比較
東電のHP(注1、注2)によれば、BWR(沸騰水型原子炉)にはマークⅠ、マークⅡ、そしてマークⅡ改良の3タイプがあります。今、危機に瀕している第一原発1号機、2号機、3号機、4号機はいずれもマークⅠという旧式です。この旧式原発マークⅠの特徴は、米国GEオリジナルタイプであるということです。マークⅠは、GEの設計図に沿って、GEの指導の下で東芝、日立が建設したものです。
一方、マークⅡ以降の原発は、東芝、日立中心で大幅改良された日本型タイプであると思われます。図面上からもマークⅠとマークⅡは大きく異なります。ということは、危機に瀕したマークⅠ(1号機〜4号機)は危機に瀕するだけの技術上のなんらかの不備があるのではないでしょうか。
さて、福島第一原発の航空写真によれば、5号機と6号機は1〜4号機の敷地とは独立しており、数100mの間隔があります。5号機はマークⅠですが、6号機はマークⅡです。この5号機、6号機は技術リーダーシップがGEから東芝に移行している過渡期の原発と思われます。そして、マークⅡは、東芝および日立主導の原発でしょう。
3.危機に瀕しているのは、GEオリジナルの老朽機のみ
上記の分析から、結局、危機に瀕しているのは、もっとも旧い同じ敷地内の1〜4号機(GEオリジナル)に絞られます、つまり同じ第一原発でも5号機、6号機(1号機〜4号機の建設後のフィードバックにより改良されているはず)は危機に瀕していません。
ちなみに、2007年7月16日、新潟中越地震に襲われた東電柏崎原発は設計地震外力の2〜3倍の地震を被災したのに致命的被害を受けていません。こちらは、福島第二よりさらに改良されています(モダナイゼーション)(注3)。
なお、本ブログでは東電柏崎原発の耐震強度についてすでに、評価しています(注4)。こちらは津波を受けていないため、本来の耐震強度信頼性が発揮され致命的災害に至りませんでした。その実績が高く評価され、東電原発建設の重電メーカー・東芝が原子力推進者である世界的寡頭勢力の代理人・ビル・ゲイツ(元マイクロソフト会長)から注目されたわけです(注5)。
4.新潟中越地震被災経験を福島第一老朽機交換に活かさすヒマがなかった?
2007年の新潟中越地震にて、東電は原発震災で大打撃を受けています。その復旧から立ち直ったのは2009年以降です。そのとき、東電経営者は、福島第一の老朽機対策検討の余裕がなかったのでしょう。2011年2月現在、柏崎原発で復旧しているのは、最新鋭のABWR7号機、6号機、そしてマークⅡ1号機、マークⅡ改良型5号機ですが、マークⅡ改良型2、3、4号機はまだのようです。
東電は柏崎7基完全復旧後、福島老朽機対策を検討する予定だったかもしれませんが、地震は待ってくれませんでした。不幸にも、もっとも耐震信頼性の弱い福島第一の1〜4号機に、よりによって、新潟よりもっと大きい地震が襲ったのです。さらに、想定されない大津波にも襲われたのです。
しかしながら、想定されない地震と津波で原発が破壊されても、それは言い訳になりません。少なくとも、日本の太平洋沿岸立地のエネルギー・プラントはチリやスマトラ島の大地震・津波を想定して設計・建設すべきです。これが今回の地震被害の教訓です。
6.東京湾のエネルギー・プラント設計に大津波襲来は想定されていない
筆者はIHI時代、東京湾に多数、立地するLNG(液化天然ガス)タンクの設計を担当していましたが、原発同様、耐震設計は行われています。LNGタンクの場合、地震波長周期成分により発生するスロッシング(液面が踊る現象)対策と、地震による液体層状化攪乱で起きうるロールオーバー(液化ガスの大量急速気化膨張現象でタンク内圧急上昇)対策が大変です。
しかしながら、LNGタンク耐震設計に大津波襲来は想定されていません。タンク四周にはダイクという土手(タンク破壊でリークした貯蔵液を外部に出さないための土手)が設けられていますが、せいぜい3mの高さであり、10m規模の大津波は防げません。
東京湾を含む地震多発地域の臨海エネルギー・プラントは10m級の津波用スーパー堤防と堤防内排水設備が必須となります。
ところで、福島第一原発の使用済み核燃料貯蔵プールは地震によるスロッシング対策はなされているのでしょうか。上記、福島第一原発4号機(地震時、運転休止中だった)の火災の原因はプールの冷却水不足のようです。上記プール内に水があるのかないのか、監視カメラもついていないのでしょうか、それとも遠隔監視システムも破壊されたのでしょうか、あるいは単にその電源が使用不能なのでしょうか。被災現場は4号機火災に、まるで成り行きまかせのようです。
福島第一原発の現場関係者はあまりの危機連鎖に、もう思考停止の状態のようです。人間の能力の限界に来ているようです。
(私のコメント)
昨日の福島第一原発は、現場の放射線の値が大きくて近づけない状況にあるようだ。夕方自衛隊のヘリから放水しようとしましたが、放射線が強くて引き揚げてしまった。地上からの高圧放水車の放水も行なわれるのだろうか? 午前9時48分にヘリからの放水が行なわれたようですが、4回ほどで引き揚げたようです。警察の高圧放水車の放水はまだのようですが、現場の放射線の値はどうなっているのだろうか?
現場の放射線の値が大きくなっているのは、使用済みの核燃料がプールに保管されていますが、加熱されて水がなくなり、水素が発生して火災と爆発が起きて、屋根と壁を壊してしまったために放射線が直接出ているのだろう。水で冷やせば使用済み核燃料は安全になるのでしょうが、水がなくなり露出して過熱しているようだ。テレビの解説ではよく分からない。
テレビの解説者は、東大や京大の原子力の専門家ということでしたが、当初は使用済みの核燃料の危険性を何も指摘していなかった。各原子炉の内部には使用済み核燃料の保管プールがあるそうですが、その仕組みも解説されていなかった。なぜ最初から危険性を専門家たちは指摘できないのでしょうか? 現場の東京電力の社員はパニック状態になり、成り行きを見るしかなくなっている。
昨日から現場の放射線の値が発表されなくなりましたが、使用済み核燃料が露出してしまっているのだから放射線が直に外に出てしまっている。コンクリートの壁も一部損壊しているからだろう。テレビの解説では原子炉内部の隔壁容器の事ばかり言っていましたが、使用済み核燃料の方が屋根が吹き飛んで燃料棒が一部出ているのだろう。これでは現場に近づけない。
警察の放水車は4000リットルの水が入るそうですが、放水は出来るのだろうか? 最後の頼みは外部電力の復旧ですが、復旧できればポンプや制御機器が動けば事態は好転しますが、まだ分からない。だから電源が復旧するのを待つしかないのだろう。
新ベンチャー革命の筆者も、IHIのエンジニアだった人であり、LNGプラントの設計者だった人のようですが、東京湾岸の各種プラントの安全性にも疑問を指摘しています。原子力発電プラントのみならず各プラント工場の安全性は指摘しても、当事者は安全だというばかりで市原の石油プラントも火災事故で大爆発している。原因はよく分からない。
新ベンチャー革命でも指摘しているように、事故を起こしているのは福島第一原発の1号機から4号機までであり、5号機と6号機は何とか無事だったようだ。この違いはどこにあるのだろうか? 1号機から4号機はGE製の原子炉であり、安全対策にもともと問題点が指摘されていて、廃炉にすべきものだった。しかし東京電力は安全対策をしないまま10メートルを超える大津波がやってきた。
冒頭の写真は福島第二原発の写真ですが、津波で被害を受けましたが何とか機能は維持しています。これらのマークⅡ型原子炉は日立と東芝が建設したものですが、システム全体が日本の地震対策など施されているのでしょう。だから福島第一原発は老朽化して廃止すべきものだったのです。40年以上も経っていれば配管も薄くなってしまって、どこから漏れ出すか分からない。
国会ではこのような原発の安全性に議論がなされてきたはずですが、安全だということで突っぱねられてしまっている。確かに最新型の原発は安全なのでしょうが、40年前の原子炉は明らかに危険だった。テレビの専門家の解説でも1号機から4号機まではGE製の設計で作られていることが指摘されていない。
2007年の柏崎原発の中越地震では設計値の3倍の地震でも壊れませんでしたが、それだけ耐震性が考慮されていたのでしょう。問題の根本原因は老朽化した原子炉を使い続けてきたことに問題があり、昨日も上げた老朽化原発は廃炉にすべきでしょう。福島第一原発と第二第二原発とではアメリカ製と国産の違いが明らかにあります。GEも以前から老朽化した原発は危険と言っていたようですが、東京電力はそれを無視して採算ばかりを重視したのでしょう。
自衛隊のヘリからの放水が僅かな期待ですが、やはり最後は自衛隊頼みだろう。警察の放水車の放水は11時を過ぎても行なわれていませんが、命がけの作業は警察官では無理であり、軍人でなければ命がけの作業が出来ない。経済産業省の保安院の高級官僚たちは、現場のことが分からず原子炉のことも知らない。ただ官僚というだけで霞ヶ関で優雅な生活をしているようだ。
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福島原発事故とその関連事項、外部リンク(科学者の社会的責任)
最終更新2011.3.25(HP開始2011.3.17)
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物理学の知識と冷静にデータに基づいて考える訓練を受けた科学者のひとりとして、
稚拙ではありますが、いてもたってもいられないので自分ができることを始めました。
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「サンデー毎日」2011.3.27号、pp.28-29に評論家,佐高 信氏が、
「原発事故はまぎれもなく企業災、政治災だ」という文章の中で、今回の東北関東
大震災で自らも九死に一生を得たという稀有な体験を踏まえ、
「地震による津波が発生したことを原因として東京電力の福島原子力発電所
で爆発事故が起こったことを彼らは”説明”しようとしている。それは無意識に
自らの責任を免れようと思っているからではないか。(中略)。また専門家と称する
大学教授たちのテレビでのコメントも、私の怒りをされにかきたてるものでしかな
かった。最悪は免れたと対応を評価するするような発言もあったが、日本の原発は
世界一安全と喧伝してきたのはどこのどいつなのか。この問題でも企業は多くの
タレントを駆使して安全PRを繰り広げてきた。しかし、そのおカネを最悪の事態
に備えることに回すべきではなかったか。(以下略)」
全く、同感!!
◎一読の価値あり:20年間、原子力発電所の現場で働いていた平井憲夫氏(故人)のHP
http://www.iam-t.jp/HIRAI/index.html#about
福島第1原発:1日で1年分の放射線量 北西30キロ地点
福島第1原子力発電所周辺の積算線量結果
屋内退避、避難に関する指標(原子力安全委員会による) 文部科学省は25日、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発から北西約30キロの地点で、24時間の累積放射線量が最大約1.4ミリシーベルトに上ったとする測定結果を発表した。防御なしで屋外にいた場合、一般の日本人の人工被ばく年間限度(1ミリシーベルト)を超える放射線を1日で受ける計算。【山田大輔、河内敏康】
◇異例の「自主避難」、安全委が国に要請
内閣府原子力安全委員会は同日、放射性物質の拡散が収まる見通しが立たないことを受け、政府が「屋内退避」指示を出している同原発から半径20〜30キロ圏内の住民は「自主的に避難することが望ましい」との助言を、原子力災害対策本部(本部長=菅直人首相)に対して行った。安全委の防災対策指針には、累積放射線量に応じて屋内退避や避難を選択するための指標があるが、どちらでもない「自主避難」を国に要請するのは極めて異例だ。
これを受け枝野幸男官房長官は同日、20〜30キロ圏内の市町村に対し「住民の自主避難を促進するとともに、政府の避難指示が出た場合には直ちに避難を実施するようお願いしたい」と、自主避難を促す考えを示した。対象地域は9市町村で、1万1000人程度がいるとみられる。
文科省の調査は、震災以降定期的に実施しているモニタリング(監視)で、1時間当たりの放射線量が高めに出ている北西約30キロの5地点(福島県浪江町、飯舘村)と、南約25キロ(同広野町)の1地点を選び、簡易型線量計を設置して23日昼から24時間の累積放射線量を測定した。
その結果▽浪江町の国道399号沿いで1.437ミリシーベルト▽飯舘村で0.864ミリシーベルトなどの高い値となった。南の広野町では0.109ミリシーベルトだった。文科省は「くぼ地などの地形や風向き、積雪などで特に高くなる場合もある。今後、測定を約60地点に増やし、拡散状況の調査精度を上げたい」と話す。
安全委の助言は、25日の臨時会で決定した。「今後なお、放射性物質の放出が継続すると考えざるを得ない状況」を踏まえ、原発の事故対応が長期化する可能性を指摘。「20〜30キロの屋内退避区域のうち、線量が比較的高いと考えられる区域の住民については積極的な自主的避難を促すことが望ましい」と要請した。
30キロ圏内で線量がそれほど高くない区域からも「予防的観点などから自主的に避難することが望ましい」とした。特に政府に対して避難場所の確保や地域の交通事情を考慮するよう求めたほか、避難する場合は線量が高くなる雨天時を避けるよう求めた。
一方で、避難や屋内退避区域を拡大することは現在は必要ないとしつつ、線量測定の結果次第で「見直しの必要性について適時に検討することが肝要」と、今後の監視を促している。
◇放射線量、低下傾向 安全委
安全委の代谷(しろや)誠治委員らは25日夜に会見し、福島県浪江町などで高い累積放射線量が観測されたことについて「地域は限定的で既に住民は避難している」とし、現時点で屋内退避区域を拡大する状況にないと強調した。
「自主避難」を助言した理由については「屋内退避区域の住民は、物資調達など生活に苦労している。防災計画は、屋内退避がずっと続くことを想定しておらず、現状がある程度長く続くとの予想の下、条件が整う(避難できる)人は無理にとどまらなくてもいいということだ」と説明した。
また、高い線量は原発の水素爆発などで一時的に大量の放射性物質が放出された影響と説明した。代谷委員は「全体的に放射線量は低下傾向にある。水や食物の摂取制限を守れば健康に影響はない」と語った。
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毎日新聞 2011年3月26日 1時05分(最終更新 3月26日 1時37分)
東日本大震災 茨城・水戸市の国指定の文化財「偕楽園」、休園を余儀なくされる
フジテレビ系(FNN) 3月26日(土)12時56分配信
東日本大震災による影響で、茨城・水戸市の国指定の文化財「偕楽園」は休園を余儀なくされている。
梅の名所で知られる偕楽園は、3月末までの梅祭りの期間中、およそ100品種、3,000本の梅が咲き、例年であれば、およそ100万人が訪れていた。
しかし地震後、湖畔を望むがけで120メートルにわたって地割れが起きていたり、「好文亭」は外壁が崩れるなど、震災のつめ跡が大きく残っていて危険なため、休園が続いている。
偕楽園・横田義彦公園センター長は「想像もしない被害ですね。けががなかったことが、一番安心しました」と話した。
偕楽園は国指定の文化財のため、文化庁と協議して修復作業に入る予定だが、開園のめどは、いまだ立っていないという。.最終更新:3月26日(土)14時52分
東電に情報公表を厳しく指導 作業員被曝で枝野氏
産経新聞 3月26日(土)17時34分配信
東京電力福島第1原子力発電所3号機で作業員3人の被曝(ひばく)した事故で、枝野幸男官房長官は26日午後の記者会見で、東電が作業前に放射線量を確認しながら作業員に注意喚起しなかったとされる問題について「官邸にそういった報告はなかった」と述べた。
その上で枝野氏は「必要な情報は正確かつスピーディーに報告しないと、政府も適切な指示を出せないし、国民からも不信の念を持たれる。政府として、情報の公表や報告を東電に徹底していくよう厳しく指導していかなければならない」と述べ、東電の対応を批判した。
「汚染情報なぜ共有しない」東電の対応、専門家ら批判2011年3月26日17時0分
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. 東京電力福島第一原子力発電所3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)事故をめぐり、東電側が2号機の同建屋でも同様の放射線量を6日前に把握しながら、注意喚起していなかったことが判明。東電側は26日、後手にまわった対応への釈明に追われた。専門家らは、ずさんな安全管理を批判している。
同日午前の東電本社。連日の記者会見に姿を見せた福島第一原発の藤森昭彦・環境担当は、注意喚起がなかった理由を問われ、言葉に窮した後、「十分な情報共有がなされていなかった。現場の混乱があったと思われる」。絞り出すような声だった。高い放射線量の公表が遅れたことについても、吉田薫広報部部長が「申し訳ない」と述べるにとどまった。
経済産業省原子力安全・保安院も、東電から高い放射線量の報告を25日未明に受けながら、公表したのはほぼ1日後。西山英彦審議官は「3号機に神経が集中していたという事情があった」と釈明。ある保安院職員は「バタバタした状況が続いて、保安院でも情報整理ができていないのだ」と混乱ぶりを嘆いた。
元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二さん(原子核工学)は、「情報共有されていなかったことは非難されるべきだ。一義的には放射線管理担当者の責任だと思うが、組織としてずさんだったと言われても仕方ない」と東電の対応を批判。同実験所の小出裕章助教(同)は、「作業員は非常に困難な状況で、一刻も早く冷却ポンプを復活させようと水に入ったのだろう。これを教訓に、東電側は情報を共有させ、作業員一人一人の身を守ることを考えないといけない」と話す。
また、宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子炉工学)は、「長靴を履いていれば、水につかって作業してもやむを得ない放射線量だった。直接肌に触れることの危険性が、現場で作業する人にどの程度伝わっていたのか。東電が協力会社側にも十分に注意し、管理する必要があった」と指摘した。
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官邸、眠れぬ城…枝野氏奔走・影薄い首相
. 巨大地震
背後のビルの明かりと車の光跡にはさまれて暗く沈む首相官邸。震災発生から2週間、菅首相の姿が国民から見えない(24日午後8時から多重露光)=川口正峰撮影
25日午前8時過ぎ。薄青色の上下の防災服にスニーカー姿の菅直人首相(64)が、閣議で集まった閣僚に声をかけながら官邸4階の閣僚応接室に現れた。
ソファから立ちあがった閣僚17人も全員、オレンジや黄など色とりどりの防災服姿。3月11日の地震以降、永田町の「定番服」であるスーツにネクタイ姿はめっきり減った。すっかり板についてきた閣僚の防災服姿だが、日がたつにつれ、シワも目立ち始めた。
連日連夜、記者会見を行う枝野幸男官房長官(46)にも、さすがに疲労の色がにじむ。政府のスポークスマンとして、震災から2週間で計41回をこなした。未曽有の国家危機のただなかで、国民にわかりやすく、信頼できる情報を伝え、不安を広げないようにしないといけない。よく見ると、会見中、額には玉のような汗が浮かんでいる。
地震直後は、官邸内の執務室のソファで数時間の仮眠を取るだけの日々が続いた。周囲の勧めもあり、15日以降は同じ敷地内にある官房長官公邸で休むようにもなった。それでも、家族が住む東京・赤坂の衆院議員宿舎にはたった一度荷物を取りに帰っただけだ。
情報発信だけではない。枝野氏の執務室には、昼夜を問わず、放射能漏れ事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所の最新情報や、被災地復興へ向けた各省庁間の調整などの報告が飛び込んでくる。あふれる情報を精査し、「影が薄い」との指摘も多い菅首相の補佐役として適切な助言もしないといけない。
24日。午前9時から菅首相と班目(まだらめ)春樹原子力安全委員会委員長(62)、海江田万里経済産業相(62)、武藤栄東京電力副社長らとの打ち合わせに同席した枝野氏は、その後すぐ記者会見に臨み、打ち合わせの内容にも触れながら複雑な原発情報を説明した。
刻々と進展する放射能漏れ事故と、その余波である計画停電や食料の安全問題に、国民の関心は非常に高く、責任は重い。めまぐるしい調整や記者会見が一日中続いた後、枝野氏が公邸に戻ったのは午後10時前。その後も電話連絡などに追われた。
(2011年3月26日16時33分 読売新聞)
東日本大震災:県、HPで放射線値速報 7地点、10分おき測定 /福島
◇「高いが人体に影響なし」
東電福島第1原発の放射能漏れを受け、県は15日夜、県のホームページの「被害情報速報」欄で、県内7地点で10分置きに測定している放射線値を公表し始めた。16日はアクセスが殺到し、つながりにくい状態が続いた。福島市で15日午後5時以降、1時間当たり平常値の500倍近い20マイクログレイ前後に達するなど、広範囲に原発事故の影響が出ていることが分かる。【関雄輔】
マイクログレイは物質に吸収される放射線エネルギーを示し、一般に使われるマイクロシーベルトとほぼ同じ数値になる。県内の観測地点の平常値は1時間あたり0・02〜0・06程度。今回の高い値も胸部X線検診で受けるより低い値で、県は「すぐに人体に影響するレベルではない」と話している。
福島市では15日夕に急上昇し、午後7時に23・88に達した。2号機の圧力抑制室損傷や4号機の火災で漏れた放射性物質が流れてきたとみられる。
いわき市では、2号機で2回目の「空だき」になり、原子炉格納容器内の蒸気を抜く作業を始めた15日未明に急上昇。午前4時に23・72に達した。その後は1前後に下降したが、16日午前に再上昇し、正午で3・81になった。南相馬市では、1号機で爆発があった12日夕に上昇し、午後9時に20。その後も2〜4と平常時より高い。
郡山、白河両市では15日午後に一時的に7〜8程度に上昇。会津若松市と南会津町では、平常値より高いがほぼ1以下で推移している。
県はこのほか、原発から40キロ以内の8地点に持ち運びできる測定器を設置したが、バッテリー切れなどで安定した測定ができない地点も多い。うち飯舘村では15日午後に40を超え、その後も20以上の高い値を示している。文部科学省の調査で、原発から30キロ圏内で屋内退避区域である浪江町で15日夜、300マイクロシーベルトを超す数値が検出されたという情報もある。
一方県は16日、被ばく量を計測する「スクリーニング」で、新たに会津大学(会津若松市)と県立南会津病院(南会津町)の2カ所に常設の検査所を設け、避難者以外の希望者の受け入れを始めた。これで計8カ所になった。
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東日本大震災:10県39万9329人が避難
毎日新聞 2011年3月17日 地方版
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経産省-no-11-20110312004.pdf
経産省-no-9-20110312002.pdf
・福島第一発電所注水機能回復のための電源確保の状況
電源車からのケーブルのつなぎ込み作業中。 (12日4:00現在)
・1号機の格納容器内圧が上昇しており、設計値400kPaのところ、840kPa程度まで上昇している可能性がある。
2号機原子炉建屋から水=排水口まで流れた跡—福島第1原発
時事通信 3月27日(日)0時43分配信
東京電力は26日、福島第1原発2号機の原子炉建屋から水が流れ出た跡が確認されたと発表した。25日午前9時ごろ見つかり、建屋の搬入口から外の排水口まで続いていた。建屋内のどこから出たかは確認されていない。
経済産業省原子力安全・保安院によると、流出跡付近では毎時15ミリシーベルト程度の放射線が計測されたが、流れた水が原因かどうか分かっていない。これまで2号機に放水は行われておらず、使用済み核燃料プールへの注水でも、大量にあふれるような方法は取っていないという。
-福島第1原発-東電「貞観地震」の解析軽視
毎日新聞 3月26日(土)18時47分配信
産総研の研究チームが仮定した貞観地震の震源域と周辺で起きた過去の宮城県沖地震の震源域(産総研の図を基に2010年5月作成)
東京電力福島第1原発の深刻な事故原因となった大津波を伴う巨大地震について、09年の経済産業省の審議会で、約1100年前に起きた地震の解析から再来の可能性を指摘されていたことが分かった。東電は「十分な情報がない」と対策を先送りし、今回の事故も「想定外の津波」と釈明している。専門家の指摘を軽んじたことが前例のない事故の引き金になった可能性があり、早期対応を促さなかった国の姿勢も問われそうだ。
【巨大地図で把握する】東日本大震災の被害全容
09年6月、原発の耐震指針の改定を受け、電力会社が実施した耐震性再評価の中間報告書案を検討する審議会。869年に宮城県沖で発生したマグニチュード8以上とみられる「貞観(じょうがん)地震」を、岡村行信委員(産業技術総合研究所活断層・地震研究センター長)が「非常にでかいもの(地震)が来ているのが分かっている」と取り上げた。
当初の報告書案はこの地震に触れていなかった。東電は「被害はそれほど見当たらない」と答えたが、岡村さんは、宮城県から福島県の広い範囲で浸水したという最新の研究から「納得できない」と追及。その後に提出された報告書案は「(貞観地震と同規模の揺れは)想定内」とし、現在の耐震構造で問題ないとの見方を示した。
岡村さんは、04年のスマトラ沖大地震のように、幅広い震源域がほぼ同時に破壊する「連動型地震」を想定した対応を求めたが、審議会の事務局は「最終報告書で検討する」という形で収めた。
◇専門家「貞観の再来」
多くの専門家は、東日本大震災を「貞観地震の再来」とみている。同研究所などは05年以降、貞観地震の津波による堆積(たいせき)物を調査。同原発の約7キロ北の福島県浪江町で現在の海岸線から約1.5キロの浸水の痕跡があったほか、過去450〜800年程度の間隔で同規模の津波が起きた可能性が浮かんだ。
東電によると、現地で測定された地震動はほぼ想定内で、地震によるトラブルは少なかった。一方、非常用電源の喪失などの津波被害で、原子炉が冷却できなくなった。
◇「『想定外』は言い訳」
東電の武藤栄副社長は25日の会見で「連動地震による津波は想定していなかった」「(貞観地震に対する見解が)定まっていなかった」と釈明。東電の対応に、岡村さんは「原発であれば、どんなリスクも考慮すべきだ。あれだけ指摘したのに、新たな調査結果は出てこなかった。『想定外』とするのは言い訳に過ぎない」と話す。【須田桃子、藤野基文】
住金、鹿島の火力発電再開…全量を東電に供給へ
. 巨大地震
住友金属工業は26日、鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)内にある火力発電所の稼働を再開したと発表した。
発電した電力の全量(出力47万5000キロ・ワット)を東京電力に供給する。発電規模は茨城県内の家庭用電力需要をまかなえる規模に相当する。
住金は11日の東日本巨大地震の発生後に発電所の稼働を止めた。設備の一部が損傷したが、25日夕に発電を再開し、26日未明にフル稼働を回復した。
また、同製鉄所では、炉内への送風を止めて休止していた第1高炉も26日午前9時過ぎに送風を再開し、第3高炉とあわせて高炉2基ともに稼働を再開した。
(2011年3月26日22時55分 読売新聞)
東電、「電力使用状況データ」提供
.
東京電力の公式Twitterアカウントのツイート 東京電力は、3月24日、ウェブサイト上で公開している「電力の使用状況グラフ」の元となるデータのダウンロード提供を開始した。
「電力の使用状況グラフ」のページ(http://www.tepco.co.jp/forecast/index-j.html)下部の「電力の使用状況データのダウンロード」というリンクを右クリックし、「対象をファイルに保存」や「名前をつけてリンク先を保存」を選ぶと、CSV形式のファイルをダウンロードできる。リンクをそのままクリックすると、ブラウザ上にデータが表示される。
「電力の使用状況グラフ」は、東京電力のサービスエリア内の1時間ごとの当日の電力使用実績(速報値)や前日実績、前年の相当日の実績をグラフで表示するもの。「本日のピーク時供給力」も表示している。電力供給逼迫のため、3月14日から実施している計画停電に伴い、3月22日から掲載を開始した。
東京電力の公式Twitterアカウントでは、3月24日1時31分に、「■電力使用状況グラフ■ページの最下段にデータを掲載しましたので、ご利用いただけると幸いです。これからも皆さまのニーズに合わせて改善していきたいと思います。」と発信している。
(2011年3月25日 読売新聞)
福島第1原発:1号機地下計測値は誤り 東電が訂正
東京電力福島事務所は26日、福島第1原発「1号機のタービン建屋地下で見つかった水たまり付近の空気中で1時間当たり200ミリシーベルトを計測した」との発表が誤りだったと訂正した。小山広太副所長は「広報や社内の情報共有を徹底したい。適切に対応していれば3号機での被ばく事故は防ぐことができたという認識は変わらない」と話した。
同事務所は26日午前、1号機タービン建屋の地下で見つかった放射線量が高い水たまりは18日に確認し、大気中の放射線量が1時間当たり約200ミリシーベルトだった、と発表した。
だが実際には、1号機の水たまり付近の大気を計測したのは24日で、水の表面付近の放射線量は1時間当たり約60ミリシーベルト、空気中は同約25ミリシーベルトだった。【関東晋慈、松本惇】
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福島第1原発:1日で1年分の放射線量 北西30キロ地点
毎日新聞 2011年3月26日 21時24分
福島第1原発:累積放射線量2.8ミリシーベルトに
福島第1原子力発電所周辺の累積線量結果 文部科学省は26日、東京電力福島第1原発の北西約30キロ付近の4地点で、23〜25日の47〜50時間の累積放射線量が1.323〜2.829ミリシーベルトに達したと発表した。1時間当たりの線量は24日までより減少傾向にあるが、一般の日本人の人工被ばく年間限度は1ミリシーベルトで、依然高い状態が続いている。
累積放射線量が1ミリシーベルトを超えたのは、福島県浪江町の3地点と北西約32キロの飯舘村の1地点。浪江町の国道399号沿いで2.829ミリシーベルト、飯舘村で1.727ミリシーベルトなどだった。
4地点のうち浪江町の2地点と飯舘村は、屋内退避指示が出されている原発から20〜30キロ圏の範囲外。原子力安全委員会が定める防災指標は「コンクリート家屋内への退避や現場からの避難」の基準を50ミリシーベルト以上の被ばくが予測される場合としており、文科省は「すぐに健康被害が出るわけではないが、累積放射線量が上がってくれば対策が必要」と説明した。
一方、北約45キロの相馬市は48時間で0.077ミリシーベルト、南約25キロの広野町は46時間で0.197ミリシーベルト、北西約60キロの福島市は26時間で0.052ミリシーベルト。浪江町と飯舘村周辺の数値が突出し、文科省は「地形や風向きの影響と考えられる」としている。【篠原成行】
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福島第1原発:1日で1年分の放射線量 北西30キロ地点
毎日新聞 2011年3月26日 20時22分(最終更新 3月27日 0時40分)
ウラン235の核分裂による主な核分裂生成物 生成物 収率 半減期 特記
東電 煙と放射線量の関連調査
3月21日 21時55分
21日午後、東京電力福島第一原子力発電所3号機から灰色がかった煙が上がり、2時間余りたった午後6時すぎまでに収まりました。一方、午後6時20分すぎには、2号機の原子炉がある建物から水蒸気のような白い煙が出ているのが見つかったということです。東京電力によりますと、この間、敷地内の放射線量は、一時、上昇傾向にありましたが、午後6時半から再び下がり始めたということで、煙との関連を調べています。
21日午後3時55分ごろ、福島第一原発3号機から灰色がかった煙があがり、煙は黒くなったり、灰色になったりしましたが、2時間後の6時すぎまでに収まり、この時点で、火は確認されませんでした。原子力安全・保安院によりますと、現場は、原子炉が入っている建物の南側の場所で、使用済み燃料プールの上に当たり、東京電力は1号機から4号機で電源の復旧作業などに当たっていた作業員全員を避難させました。一方、午後6時20分すぎには2号機の原子炉がある建物で、屋根の山側の隙間から水蒸気のような白い煙が出ているのが見つかったということです。東京電力によりますと、2号機や3号機から西におよそ1キロ離れた地点の放射線量は、午後5時40分に1時間当たり494マイクロシーベルトだったのが、午後6時半には、1時間当たり1932マイクロシーベルトまで上がりました。その後、再び下がり始め、午後8時半には1時間当たり442マイクロシーベルトに下がったということで、東京電力が煙との関連を調べています。この煙で21日に予定されていた、東京消防庁や、東京電力が手配した場所を絞って大量の水を注ぎ込める特殊な車両による放水は中止されたということです。
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フランスの独立系原子力監視機関が報じる2011年3月21日の福島原発の記事
ジャンル : 政治・経済 スレッドテーマ : 環境・資源・エネルギー
フランスの独立系原子力情報センター、「CRIIRAD」の2011年3月21日11時(日本時間で同日19時)の発表記事を読んでみましょう。ここに含まれるいくつかの情報、たとえば、「ホウレンソウの汚染が27倍」などの情報は日本の報道にも現れていますが、指摘と解説の仕方に注意して読んでいただきたいと思います。
言えることは、大気中の放射能汚染は継続的に測定しないと意味がないということを繰り返し指摘していることの重さ、そして、日本の政府発表の決まり文句である「ただちに健康に影響を及ぼす放射能ではない」という言葉は見当たらない、ということでしょうか。
以下、急いで訳しただけの手抜きエントリーですが、原子力産業から独立した機関がこういう指摘や報道の仕方をしないと、原子力産業や原子力産業と癒着した政府から出てくる公式発表だけでは被害の現状はわからない、ということは感じていただけるのではないでしょうか。日本でも、原子力資料情報室(CNIC)などがそういう努力をしているとおりです。
●CRIIRAD (フランスの独立系原子力情報センター「放射能についての研究・広報の独立委員会」)
http://www.criirad.org/
CRIIRADからの発表
(リンク、クリックはこちらから---- (トップページから)"Accidents nucleaires au Japon : dossier special" ---- "Communique du 21/03/2011 a 11h:ALERTE RADIOACTIVE SUR LE JAPON :les vents 21/03/2011 les masses d’air contamine vers les
2011年3月21日 11時
日本の放射能への警告
風が汚染された空気の塊を居住者の多い地域に押しやっている
土曜日以降CRIIRADが示しているように、気候条件は日本の住民にとって好都合とはいえない。福島第一原子力発電所からの放射能漏れは太平洋に向かってではなく、内陸部に向かっている。
●茨城県での放射線レベルの上昇
福島第一原子力発電所の南約100kmの茨城県では、放射線の単位時間当たりの量がはっきりと増加している。3月17日以来、0.1〜1μSv/h(マイクロシーベルト/時)の値にある。
高萩では、放射線の上昇は3月21日(月)の現地時刻9時ごろに始まった。11時30分と14時の間には、単位時間当たりの量は10倍、すなわち0.37〜3.7μSv/h(マイクロシーベルト/時)になった。
放射能レベルの時間的変遷:添付のpdfファイルを参照のこと。
空気の汚染についてのデータはずっと取られていない。したがって、健康リスクのレベルについては、空気の量的活量の対策が必要であるということを繰り返す以外に正確なことは言えない。もし、日本の当局が必要な設備を持っていないとしたら、国際社会はすぐにそこを改善する必要がある。それはすでになされたはずであろうと思う。これらの情報は復元が不可能であろう。
●東京の空気の汚染
東京での空気の汚染は、ヨウ素131に関しては、3月20日(日)の0〜8時での1立方メートルの空気あたり0.1Bq(ベクレル)から、3月21日(月)の8〜10時での1立方メートルの空気あたり15.6Bqへと変化している。それ以降は汚染レベルは減少している。14〜16時には1立方メートルの空気あたり8Bqとなっている。しかし、気象学的シミュレーションの結果に照らして、この汚染レベルの低下はそれ以降の時間帯には有意な結果であるとはほとんど思われない。
情報源:東京都工業技術研究所
表(原ファイル参照。転記省略) 凡例(左の列から右の列へ)
東京時間
日付(日-月-年) // 測定開始時刻 // 測定終了時刻 //
1立方メートルの空気あたりBq(ベクレル)量
ヨウ素131 // セシウム137 //
パリ時刻(参考)
日付(日-月-年) // 測定開始時刻 // 測定終了時刻.
CRIIRADのラボは先日3月17日の警戒の呼びかけを繰り返す。放射性ヨウ素の活量は過小評価されている。なぜなら、その分析は煙霧質しか捕捉せず、ガスは捕捉しないダストフィルターによるものだからである。実際、放射性ヨウ素(ヨウ素131、132、133)は原則としてガスの形状で存在している。リスクレベルをより正確に評価するには、放射性ヨウ素の活量には10を掛けるべきだという可能性はかなりある。
重要な情報:空気は放射性希ガス(クリプトン85、キセノン133、…)も含んでいる。トリチウム、ルテニウムの同位体、テルル、ストロンチウムの活量も測定しなければならない。また、超ウラン元素や、プルトニウム238、239、240、あるいはアメリシウム241のような放射性毒性の非常に強いアルファ線放射体を含んでいるかを確かめる必要もある。すでにもう一週間前にCRIIRADがこの問いを発している!
情報の再確認のために:3月15日(水)の0時から3月16日(水)18時(現地時間)までの期間、つまり42時間の追跡で、活量は次の通りであった。
ヨウ素131:1立方メートルの空気あたり14.9Bq(ベクレル)
ヨウ素132:1立方メートルの空気あたり14.5Bq(ベクレル)
セシウム134:1立方メートルの空気あたり3.4Bq(ベクレル)
セシウム137:1立方メートルの空気あたり3.2Bq(ベクレル)
3月15日の10時から12時までの間は、放射能の量の増加は最大であった。11時のダスト採取で放射能がピークを示した。
ヨウ素131:1立方メートルの空気あたり241Bq(ベクレル)
ヨウ素132:1立方メートルの空気あたり281Bq(ベクレル)
セシウム134:1立方メートルの空気あたり64Bq(ベクレル)
セシウム137:1立方メートルの空気あたり60Bq(ベクレル)(すなわち原発事故の前のレベルの1000万倍)
今のところ、東京の空気での活量はこれらの値よりも低いままである。(幸いなことに、すぐに減少した。)状況が悪化しないように祈らなければならない。住民がさらされたリスクは、被ばく継続時間の間の受けた被ばくの全体(外部被ばく、吸入、経口摂取)を累計して評価しなければならないことを改めて指摘したい。
●状況はリアルタイムで追跡しなければならない
状況は時刻ごとに追跡しなければならない。住民の被ばくレベルは以下の要因によって変わる。
1/ 検査されておらず、10日前から発表されていない、放出された放射性物質の強度!に左右される。
2/ 汚染された空気塊の通過によって汚染された地域を決めることになる風向と風力。住民の被ばくは放射能の広がりによって放出された放射能の量(マイクロシーベルト/時で測定される)と、そこに存在し、つまり住民によって吸入される放射性物質の性質と活量(1立方メートルの空気あたりのBq(ベクレル)値で測定される放射性核種それぞれの活量)とに左右される。
3/ 地上への堆積を強める降雨と降雪に左右される。地上への堆積は、外部被ばくを増加させる。放射性粒子と、溶解し地面に蓄積したガスから放射された放射能の高まりと、さらに特に、食物連鎖の汚染の増加(下記のリスク食品ではすでにかなり値が高い)がそれである。
●食品の汚染
福島第一原子力発電所が大気中に放射性物質を放出してすでに一週間以上がたっている。食品の分析からは、ホウレンソウと牛乳の中の極端に高い放射能レベルが示されている(公式発表)。
放射能基準をかなり超えており、汚染された食物は市場から必ず回収する必要がある。われわれに入ってきた情報によれば、日本の当局によって回収措置が確かにとられている。汚染地域の住民には、リスク食品(特に、葉の広い野菜、牛乳、フレッシュチーズ)を摂取しないように強く勧告することが重要である。(たとえば子どもにとっての牛乳のように)もしこれらの食品のいくつかが必要不可欠ならば、汚染されていない食品を供給する組織的手段をとらなければならない。(地域ごとに当該食品を除去することがたぶん適切であろうと思われる。)
ホウレンソウを測定したところ、サンプル採取地域(茨城県北部)が福島原子力発電所の南80〜120kmのところに位置しているためになおさら憂慮すべき結果を示している。日曜日の朝にCRIIRADが発表した情報は、ヨウ素131が15000ベクレル/kgに達した汚染レベルを示していた。つまり、2000ベクレル/kgという汚染限界値の7倍以上である。
2011年3月18日に茨城県日立市で採取されたサンプルでは、ヨウ素131の活量は54100ベクレル/kgであった。つまり、日本での現行の限界値の27倍高い汚染レベルである。
これらのホウレンソウで測定された活量は、放射性物質の限界量の経口摂取が1年あたり1ミリシーベルトという最大許容摂取量の限界(住民にとっての限界量)を超える状態に至るほどの高い値を示している。
下の表で、われわれはヨウ素131の活量(単位:ベクレル)を、国際基準で認められている効果ある摂取量係数にもとづいて計算した。その活量は、もし経口摂取されたなら、1年あたり1ミリシーベルトという最大許容摂取量の限界に等しい量を生体に入れることになるものである。
特に解剖学的な特性からいって、子どもにとってはこの値は大人よりも低い。なぜなら、同じ活量を経口摂取しても、子どもにとってはもっと大きな摂取量ということになるからである。その摂取量は生体に入る体積あたりエネルギーに対応しており、子どもの器官は大人よりも小さいからである。低年齢の一人の子どもが5000ベクレルの放射性ヨウ素を経口摂取すると、1ミリシーベルトの量を摂取したことになる。それに対して、大人にとっては、そこまでに達するのに必要な量は8倍の45500ベクレルとなる。
表(原ファイル参照。転記省略) 凡例(左の列から右の列へ)
年齢層 (1歳未満、1〜2歳、2〜7歳、7〜12歳、12〜17歳、17歳以上)// 量係数(単位:シーベルト/ベクレル) // 1ミリシーベルトで経口摂取されるヨウ素131の活量 // 1ミリシーベストに達するために、54100ベクレル/kgの放射能を含むホウレンソウの量
もし茨城地区の家族が54100ベクレル/kgのホウレンソウを食べた場合、吸入や他の食物の経口摂取や汚染された地面からの放射線被ばくの蓄積を計算に入れなくても、年少児は103グラムを経口摂取するだけ、5歳児は185グラムを経口摂取するだけ、成人は840グラムを摂取するだけで、数日の何度かの食事だけで年間許容量に達してしまう。
(翻訳転載ここまで)
過去の関連記事。
■原子力事故についての徹底的な情報公開を政府と東京電力に求めないと今後の事故でも同じ真実隠しの繰り返しになるでしょう。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-337.html
2007年7月24日
福島第1原発:1号機でも高濃度水、核燃料の一部漏出か
福島原発で被ばくした作業員の状況を図を使いながら説明する放射線医学総合研究所の明石真言緊急被ばく医療研究センター長=千葉市で2011年3月25日午後9時41分、三浦博之撮影
福島第一原発の原子炉建屋とダービン建屋の構造 東京電力は25日夜、東日本大震災で被災した福島第1原発1号機のタービン建屋地下でも水たまりが見つかり、採取した水から1立方センチメートル当たり約380万ベクレルの放射能を持つ放射性物質が検出されたと発表した。原子炉の冷却水の約1万倍の濃度。ヨウ素131やセシウム137などで、溶融した核燃料の一部が漏れ出した可能性がある。24日には3号機のタービン建屋地下で3人が被ばくし、2人が放射性物質に汚染された水たまりに足を入れて被ばくしている。3号機の水について東電や経済産業省原子力安全・保安院は25日、原子炉から燃料の一部が漏れ出したとの見解を明らかにした。
東電によると水たまりは24日までに1〜4号機で見つかった。タービン建屋の地下は2区画に区切られているが、配電盤などがある区画はすべて津波で水没しており、その水深は▽1号機約40センチ▽2号機約1メートル▽3号機約1.5メートル▽4号機約80センチ。もう一つの区画に浅い水たまりが点在しているという。東電は2、4号機の水たまりについても調べている。
3号機で見つかった水について東電の武藤栄副社長は25日、「原子炉側から出てきた可能性がある」と話した。保安院も「原子炉から何らかの理由で放射性物質が漏れている可能性が高い」との見方を示しており、厳重に閉じ込められているはずの核燃料の一部が原子炉建屋の外に漏れ出た可能性がある。
3号機で被ばくした3人は25日、福島県立医科大病院から千葉市の放射線医学総合研究所に転院した。放医研は3人の診察後会見し、汚染された水に触れた2人が放射性物質を吸い込むなどして内部被ばくをしていたことや、2人の患部から2〜6シーベルト(2000〜6000ミリシーベルト)という高い放射線量が検出されたことを明らかにした。しかし「局部的な被ばくで治療は必要でない」といい、3人は28日にも退院の見通し。
原子炉の冷却作業では25日、1号機と3号機の原子炉に注入する水を海水から真水に切り替えた。注入手段も、現在の消防のポンプ車からやがて外部電力に切り替える。【斎藤有香、平川昌範、江口一、藤野基文】
福島第1原発:2号機の水濃度は通常の1000万倍
東京電力によると、福島第1原発2号機でたまった水から検出された放射性物質の濃度は、通常の原子炉の水の約1000万倍。
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福島第1原発:3号機で被ばく、1号機の情報伝わらず
福島第1原発:「トラブルは峠を越えた」技術協会最高顧問
毎日新聞 2011年3月27日 13時15分
福島第1原発:「トラブルは峠を越えた」技術協会最高顧問
日本原子力技術協会の石川迪夫最高顧問 【ワシントン斉藤信宏】79年の米スリーマイル島原発事故の検証に立ち会った日本原子力技術協会の石川迪夫(みちお)最高顧問が25日、米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長らとの面会を前にワシントン市内で記者会見した。福島第1原発事故について「使用済み核燃料プールでのトラブルは峠を越えた」との認識を表明。冷却水が失われ燃料棒が損傷したとみられる1〜3号機の原子炉についても「小康状態のまま2週間が経過しており、今後、大きな変化が生じるとは考えにくい」と述べて、事故は収束に向かいつつあるとの見方を示した。
石川顧問は、ヤツコ委員長が16日の米議会公聴会で、福島第1原発の4号機について「使用済み核燃料プールに水がなく、放射線量が極めて高くなっている」と警告したことについて「まったくの事実誤認だ」と強調。「使用済み核燃料の崩壊熱による水の蒸発は1日50トンに過ぎない。プールには1200トンの水があるから、仮に地震直後から蒸発が続いていたとしても、水は今も入っていることになる」と反論した。
一方、経済産業省原子力安全・保安院がレベル5と発表した事故の暫定評価について「スリーマイル島原発事故に比べて放射能汚染が広範囲に及んでいる上、1号機から4号機まで計4機で相次いで事故が発生していることを考えればレベル6に相当する」と認識の甘さを指摘した。
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福島第1原発:1号機でも高濃度水、核燃料の一部漏出か
毎日新聞 2011年3月26日 10時51分(最終更新 3月26日 11時18分)
2号機の水、放射性物質濃度は通常の1千万倍
. 福島原発
福島第一原子力発電所2号機のタービン建屋地下の水たまりで26日に採取された水から、高濃度の放射性ヨウ素134が検出された。
経済産業省原子力安全・保安院が27日、発表した。濃度は1立方センチ当たり29億ベクレルで、運転中の原子炉内の水に通常含まれる放射性物質の濃度の約1000万倍に上る。
また、この水たまりの表面で計測した放射線量は毎時1000ミリ・シーベルトを超えた。隣の3号機では、25日に作業員3人が被曝した際、同400ミリ・シーベルトだったが、26日は750ミリ・シーベルトに上昇していた。今後の作業への影響が懸念される。
2号機で高濃度だったヨウ素134は、これまで大気や海水から検出されているヨウ素131とは別の物質で、放射線を出して別の元素に変わるのが速い(半減期が短い)。なくなるのが速い物質が高濃度だったことから、現在も原子炉の水が漏れ続けている可能性があるという。
一方、同原発の放水口付近で26日午後2時半に採取した海水からは、濃度基準の約1850・5倍のヨウ素131が検出された。
(2011年3月27日12時16分 読売新聞)
陸自ヘリ撮影の原子炉映像、日米が共同分析
. 福島原発
日米両政府は25日、東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故に関し、陸上自衛隊ヘリが上空から撮影した原子炉などの映像について、共同で分析作業に着手した。
週明けからは原子炉内部を継続的に冷却するため、自衛隊と米軍が協力して真水を注水する方針で、日米両政府、自衛隊と米軍の協力が本格化している。
日米関係筋によると、日米が共同で分析するのは陸自ヘリUH1が23日に撮影した映像。日米の原子力専門家らが情報交換のために設置した会議で、24日夜に防衛省が米側に提供した。日本側の原子力安全委員会や原子力安全・保安院と、米側の米原子力規制委員会(NRC)などが共同で作業にあたっている。
(2011年3月27日15時55分 読売新聞)
官邸に報告なし…枝野長官、東電に不快感
. 枝野官房長官は26日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所3号機での作業員被曝(ひばく)事故の原因となった水の危険性を東電が事前に把握していたことが明らかになったことに不快感を表明、今後、東電に速やかな対応を求める考えを示した。
枝野氏は「首相官邸に報告はなかった。国民の不安、不信を招かないためにも、しっかりと情報を出すようさらに厳しく指導する」と強調。「あらゆる情報は正確にかつスピーディーに報告していただかないと、政府として適切な指示が出せない」とも述べた。
(2011年3月27日06時59分 読売新聞)
核燃料の損傷、進行か…汚染水から放射性物質
.
東京電力福島第一原子力発電所の放水口付近で採取した海水から、高濃度の放射性ヨウ素131が検出された問題で、東電や経済産業省原子力安全・保安院、専門家は26日、汚染水が原子炉につながる配管などから海に放出されたという見方を強めた。
汚染水からは、燃料が核分裂した際に生成する多種類の放射性物質が検出され、燃料損傷が進んでいる可能性を示している。大気中の放射線量に大きな変化はなく、浮遊する放射性物質が降下して海に溶け込んだことが原因とは考えにくいとの見方が強い。
この海水は福島第一原発1〜4号機の放水口から南へ約330メートルの場所で採取された。検出された放射性ヨウ素131の濃度は1ミリ・リットル当たり50ベクレルで、原子炉等規制法で定める濃度基準の約1250倍だった。
海水が高濃度の放射性物質で汚染された原因について、原発周辺で大気中の放射線量が急増した事実はなく、浮遊している放射性物質を落とす雨も降っていないことから、東電は26日の記者会見で「原子炉につながる配管から汚染水が流れ出した可能性がある」と説明した。
(2011年3月26日22時51分 読売新聞)
官邸機能不全:最悪の総理・原子力災害対策本部長(オリーブ)
http://www.asyura2.com/11/senkyo110/msg/353.html
投稿者 判官びいき 日時 2011 年 3 月 20 日 20:49:39: wiJQFJOyM8OJo
官邸が機能不全である。ツイッターで出てくる情報は、全部各省庁の動きに基づくものしかない。恐らく霞ヶ関は、菅総理を始めアテにならないと踏んで、各省庁で災害対策を進めているようだ。20日午後3号機の圧力が上昇し、ベント部を開放するか否かを原子力保安院が記者会見している時、原子力災害対策本部長である菅総理は自衛隊の卒業式で訓示を述べていた。
この人に、危機管理という言葉は存在しないようである。当初、福島第一原発の視察に赴いたが、特に問題ないと云われ、戻ったら爆発事故が起きた。既に福島県内各地で、規定値を超える核分裂生成物が検出されるなど、原子力被害も前代未聞の様相を呈している。東電の社長(経済産業省からの天下り)は、1回も記者会見に出ず、計画停電等には副社長が出て事故関係会見には現場の担当者が出ている。
原子力保安院の会見もこのところマスゴミ記者の知識レベルが上がり、厳しい質問に回答に詰まるようになって来ている。報道でも書かれるようになって来ているが、災害対策本部長たる菅総理の顔は全く見えない。地震と津波の災害も死者・行方不明者が2万人を超える規模となり、かつ、各被災地では物資不足が高まっている。
これらの情報の多くは、ツイッターから得ている。国会議員も災害支援に全力の模様だが、全容としてどのような対策が行なわれているかは全く伝わって来ない。一方、核分裂生成物の放出が人体に影響無しと報じられているが、背後では日本メジフィジックスが放射性セシウム体内除去剤1000瓶を製造供給元の独ハイル社から緊急輸入したことが3月15日分かり、「関係当局からの要請を受けたもので、今後、東日本大震災の被災地に輸送され、国主導で患者に無償提供される」という。是は、放射性セシウム体内除去剤である。
また放射性ヨウ素や放射性セシウムは、核分裂生成物であるが、この生成物が如何なる原因で放出されているのか、3号機の水蒸気は何処から出ているのかなどは報じられていない。原子力神話は、所謂、五重の壁(第1の壁はペレット。第2はペレットを密封した燃料棒(被覆管)。第3は原子炉圧力容器。第4は原子炉格納容器。第5が一番外側の建物の壁。)で説明されて来たが今や完全に崩壊している。
建物(建屋)は吹き飛び、格納容器は損傷が云われ、圧力容器には空焚きが起き、被覆管は損傷し、出るはずがない核分裂生成物が放出されていることは確実である。保安院は、これまで格納容器ベントを実施したと云っていたが実は1回もしていなかった。すると益々何処から核分裂生成物が出ているのかと云うことになる。(@@)
今回3号機でベントを実施する予定と会見しながら、30分後には、取りやめになった。恐らくMOX燃料がプルトニウムであるから、ベントの際に何が放出されるか想定できなくなったのだろう。厚生労働省に至っては、基準値を上回っても直ちに人体に影響はないと云い出す始末で、最早、管理不能の状況である。
そのような時に前述のとおり総理は、自衛隊の卒業式で訓示を行なっていた。原子力災害対策特措法では、原子力災害対策本部長は、原子力災害対策本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する、と明記されている。あんた、きちんと指揮しろよ。また震災・津波災害の被災地の情報も掌握出来ておらず、死者・行方不明者の数だけが増える。
被災者をどうするかも全く決まっていない。現在、官邸には7つの災害対策本部がある・・・らしい・・・がこれまで記者会見を開き、その進捗を発表したような形跡もない。つまり総力を挙げる全体指揮が全く機能していないのである。その結果、厚生労働省のように基準値を上回っても直ちに人体に影響はないなどの報道発表をすることになる。
そんなはずあるわけないだろうと誰しもが思うだろう。そしてその裏で、セシウム除去材を輸入したりする。全く矛盾している。NBCテロ対応専門部隊もあるが、活躍した話を聞かない。現在活躍しているのは消防庁だと云うのが大方の見方である。しかし放水が何処まで奏功するかは不明で、当座の使用済み燃料プール内に水を維持するのが主たる目的になる。
本質的には、電源を回復し、計器を稼動させ、ポンプを動かし、冷却水の循環を確保するのが基本である。ただ、現在も前述のように重要な情報が未確認とのことであり、未確認が多すぎるというのが今回の災害対策本部の特徴である。物資も全く届いていない状況で、災害から1週間も経過し、あー最悪の総理の時に最悪の災害が訪れてしまったと思っている。皆さんのご意見もお待ちする。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=105532
プルトニウム漏出も調査=土壌採取し分析—東電
時事通信 3月27日(日)17時55分配信
東京電力は27日、福島第1原発各基の原子炉から、毒性の強いプルトニウムが漏出していないか調べるため、同原発敷地内の土壌を21、22両日に採取したことを明らかにした。
東電によると、敷地内の5カ所で土壌を採取、日本原子力研究開発機構と日本分析センターに回された。分析は23日から始まり、結論が出るには約1週間かかる。同様の土壌採取は28日からも週2回続けるという。
プルトニウムは原子炉内でウラン燃料が燃える過程で生成される。
放射性物質の基準「厳格さ求めすぎ」 民主・岡田幹事長2011年3月27日19時25分
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. 民主党の岡田克也幹事長は27日、農産物の出荷停止や摂取制限の目安となる放射性物質の基準値について、「少し厳格さを求めすぎている」と述べ、風評被害を招かないためにも見直しが必要との認識を示した。青森県八戸市で記者団に語った。
現在適用されている食品衛生法の基準値は暫定的な数値で、食品安全委員会が体内に取り込んでも健康に問題がない数値について議論している。岡田氏は「心配ないものは心配ないときちっと言えることが必要だ。科学的な厳格さを求めすぎれば風評被害になる」と指摘した。
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プレスリリース 2011年福島第一原子力発電所2号機タービン建屋地下階溜まり水の測定結果について
平成23年3月27日
東京電力株式会社
本日、発表いたしました標記測定結果のうち、ヨウ素134の測定値の評価に
誤りがあるものと判断いたしました。
現在、改めてサンプリングを行い、分析、評価を行っておりますので、取りま
とまり次第、お知らせいたします。
以上
副社長「お騒がせした」=2日連続の訂正発表—放射性物質取り違え・東京電力
時事通信 3月27日(日)20時40分配信
「大変お騒がせして申し訳ない。なぜ間違ったのかよく調査したい」—。福島第1原発2号機のタービン建屋にたまった水の放射能をめぐり、誤った測定値を発表したことについて、東京電力の武藤栄副社長(原子力担当)は27日夜、緊急に開いた記者会見で頭を下げた。武藤副社長が訂正発表したのは2日連続で、混乱ぶりを印象付けた。
東電の説明では、サンプルの水を採取したのは26日朝。同日夕の測定では、分析機器から出た結果をうのみにし、コバルト56とみられる放射性物質を、ガンマ線の特徴が似たヨウ素134と取り違えたという。
放射能は時間の経過に伴って減少する。当初発表されたのは採取時点までさかのぼって計算した数値だったが、ヨウ素134は半減期が約53分と短いため、逆算した数値が極端に高まった。
しかし、ほかの物質に比べてヨウ素134が突出して見つかったことを、本来ならば疑問視すべきだった。国の原子力安全委員は「通常では考えられない物質が出ており、問い合わせした」と指摘していた。
武藤副社長は会見で「再評価する必要があるとは思っていた」と述べ、自身でも数値を疑っていたことを明らかにし、「ほかに発表した数値に誤りがあるかも、もう一度検討したい」と話した。
これに先立つ27日午後の会見では、原発事故収束までの見通しに関して「残念ながら何カ月、何年と言えるまで具体的な方策、スケジュールは詰まっていない」と述べた。
IAEA事務局長:福島原発危機、「終結には程遠い状況」−NYT紙
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Buzzurl 3月27日(ブルームバーグ):国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は26日、米ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、大震災で被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「終結には程遠い状況」だとの認識を示した。
同事務局長はその中で、これまでの措置は一時的なものにすぎず、同原発の被害状況を考慮すれば、原発の緊急事態は今後数週間あるいは数カ月続く可能性があると同紙に述べた。
同紙によると、天野事務局長はまた、原子炉への海水注入作業が成功したかどうかははっきりしないとした上で、「冷却システムが回復しない限り、温度は上昇し、新たな放射線漏れの恐れが高まると付け加えた。
福島原発危機、数か月続く可能性 仏IRSN
2011年03月26日 12:27 発信地:パリ/フランス
クリッピングする拡大写真を見る写真をブログに利用する自衛隊が撮影した、東京電力福島第1原子力発電所(2011年3月23日撮影、同25日提供)。(c)AFP/GROUND SELF-DEFENSE FORCES
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スライドショーを見る【3月26日 AFP】フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は25日、地震と津波で深刻な状態に陥った東京電力福島第1原子力発電所1、2、3号機の「先行きは不透明」で、このような状態は「数週間、あるいは数か月」続く可能性があるとの見通しを示した。
IRSNは、3号機の圧力容器で放射能漏れが生じた場合を想定して、今後考えられる環境汚染のいくつかのシナリオを検討した。
3号機では今週、黒煙が上がったが、IRSNによると黒煙の原因の1つとして、コリウム(炉心溶融物)とよばれる放射性のスラグが格納容器のコンクリートと化学反応した可能性が考えられるという。
コリウムが格納容器のコンクリートの床や、その他の放射性物質を封じ込めるための設備を溶かしてしまえば、放射性物質が土壌を通じて環境に放出される危険性が高まるという。
東京電力(Tokyo Electric Power Co.、TEPCO)は25日3号機の圧力容器が損傷を受けている可能性があると述べた。経済産業省原子力安全・保安院(NISA)の西山英彦(Hideyuki Nishiyama)審議官も、原子炉が損傷を受けた可能性が高いと述べている。(c)AFP
「想定超え」津波は考慮せず=原発耐震指針の委員長—被害経験なく「責任痛感」
時事通信 3月27日(日)14時17分配信
津波被害によって深刻な状況が続く東京電力福島第1原発について、国の原子力安全委員会の耐震設計特別委員長を務める入倉孝次郎京都大名誉教授(強震動地震学)が27日までに取材に応じ、「想定超えは常にあり得るという設計思想が、津波に対しては浸透していなかった。責任を痛感している」と語った。
入倉さんは地震の揺れの専門家。2006年に改定された原発の耐震設計審査指針や、既存原発の耐震性再確認の手法を検討した。「揺れに対しては、制御棒も動作し原子炉は止まった。指針では想定される地震を大きめに考えるが、それでも上回る可能性がある。そのリスクを考慮するのが原発の設計思想」と話す。原発を造る側から「起こりえないことまで考慮してはきりがない」と反発もあったが、05年の宮城県沖地震や07年の中越沖地震で原発が想定以上の揺れに見舞われ、原発の耐震性再評価につながった。
改定指針で、津波の記述は「地震に伴う随伴事象」としてわずか1項目だけ。断層調査や建物の強度など、地震の項目が多岐にわたるのに比べると極端に少ない。
入倉さんは「地震も津波も同じ自然現象。常に想定を超える可能性がある。機器が水をかぶっても、他に回避する方法があるのが原発の設計思想のはずだ」と指摘。「今回の事態を見ると、今まで言ってきたことは何だったのかという気がする」と悔しがる。
指針の中に、津波の想定を詳しく書くべきではなかったか。入倉さんは「指針はとても強いもの。書かれると事業者も規制当局も何とかしないといけなくなる。地震と違って過去に津波被害はなく、コンセンサス(合意)を得るのは難しかった」と明かした。
東日本大震災では、東北電力女川原発も激しい揺れと津波に襲われたが、無事に止まった。入倉さんは「徹底した分析があれば原発は本当は危険でないはず。責任は当然自覚しているが、どう安全を確保するかを冷静に振り返らなければならない」と語った。
放射線高濃度水「溶融燃料と接触か」…官房長官
. 福島原発
枝野官房長官は28日昼前、記者会見し、2号機のタービン建屋の地下にたまっていた水の放射性物質の濃度が高いことについて、「原子力安全委員会から、一時溶融した燃料と接触した水が何らかの理由で漏れている可能性が高いと報告を受けている」と述べた。
この濃度の高い水について、「建屋屋内だけで、屋外では検出されていない」とし、地下や海水に漏えいしないよう万全を期すとの方針を明らかにした。
(2011年3月28日11時54分 読売新聞)
3号機、水蒸気が激しく噴出…陸自ヘリ撮影
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陸自が撮影した27日の福島第一原発3号機格納容器付近からでる煙=防衛省提供
防衛省は27日、陸上自衛隊のヘリが同日午前に東京電力福島第一原子力発電所を上空から撮影したビデオ映像を公開した。
3号機では、これまで水蒸気が上がっていた使用済み核燃料貯蔵プールだけでなく建屋内の別の場所からも水蒸気が激しく噴き出していた。原子炉工学に詳しい専門家は「原子炉格納容器の遮蔽物付近から噴出しているように見えるが、一時貯蔵プールの蒸気が狭い空間に潜り込み、噴き出ている可能性が高い」とした。
(2011年3月28日12時16分 読売新聞)
2号機から高濃度汚染水…東電、分析めぐり混乱
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東京電力は27日、電源復旧作業が進められている福島第一原子力発電所2号機のタービン建屋地下1階にたまった水の表面や周囲の空気から、毎時1000ミリ・シーベルトを超える高い放射線量を計測したと発表した。
建屋地下には、原子炉の冷却機能回復に欠かせない主要なポンプや配管が集中しているが、2号機と同様、原子炉内の核燃料が損傷しているとみられる1、3号機でも、放射性物質の濃度は高いままで、東電は電気ケーブル敷設など復旧作業計画の見直しを迫られている。一方、汚染水の分析をめぐっては、東電が訂正の記者会見を開いて謝罪するなど、混乱した。
汚染水の採取は26日午前、2号機の建屋地下1階南西側の復水移送ポンプ付近で行われた。しかし放射線量が、線量計の最大設定値である毎時1000ミリ・シーベルトを超えて針が振り切れたため、作業員らはこれ以上続けるのは危険と判断して現場を離脱。正確な計測はできなかったという。この線量は、15分ほど浴びた場合、緊急作業時の年間限度である250ミリ・シーベルトに達する計算になる。3号機でも、建屋地下1階にたまった水の放射線量が、24日に作業員3人の被曝(ひばく)事故が起きた際は同400ミリ・シーベルトだったのに対し、26日は同750ミリ・シーベルトに上昇していた。
(2011年3月28日02時16分 読売新聞)
セシウムを誤認か…東電、未明の再訂正会見
. 東京電力が福島第一原子力発電所2号機のタービン建屋で、運転中の原子炉内の水の1000万倍、29億ベクレルという高濃度の放射性物質を含む汚染水が見つかったとした27日午前の発表は、ほかの物質を誤認した分析ミスだった。
東電は、一度訂正した物質の名前を28日未明の会見で再訂正するなど、終始混乱した。
東電は、24日に作業員3人が被曝(ひばく)した事故を受け、24日から26日にかけて、1〜4号機で見つかった汚染水について分析。2号機の数値は、炉内の水の1万倍程度としていたほかの汚染水と比べても際立っていた。29億ベクレルも含まれるとされたヨウ素134は、ウランの核分裂で生成する。寿命(半減期)は53分と短く、半日で1万分の1以下に減る。ところが、2号機の結果では、半減期の長いほかの物質の100倍以上も存在したことになっていた。
東電によると、27日午後に、同じ水を分析し直した結果、ヨウ素134と思っていた物質がほとんど減っておらず、原子の重さ(質量数)が同じセシウム134の間違いだったと気づいたという。セシウム134の半減期は2年と長く、放射線の放出が緩やかなので、ベクレルの数値は大きく下がる。同日夜の発表では、コバルト56の誤りの可能性が高いとしていたが、再検証の結果、違うとわかった。
(2011年3月28日01時21分 読売新聞)
放射性物質:米東海岸で検出 福島第1原発から放出か
【ロサンゼルス吉富裕倫】米メディアは26日、福島第1原発から放出されたとみられる放射性物質がノースカロライナ州、フロリダ州など初めて東海岸で検出されたと報じた。18日に西海岸のカリフォルニア州で検出されて以降、西風に乗って約1週間で大陸を横断したとみられる。
原子力発電所の観測施設で検出されたとの情報を環境保護団体が25日に入手し、通報を受けた米メディアが電力会社に確認した。原発の観測施設は一般の計測器に比べ感度が高いとされる。全米の観測施設網を管理している米環境保護局は、東海岸への放射性物質到達を発表していない。
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毎日新聞 2011年3月27日 18時29分(最終更新 3月27日 21時38分)
東日本大震災:伊科学者も「天罰」発言…批判殺到
【ローマ藤原章生】イタリア科学界の権威、国立研究会議(CNR)のロベルト・デ・マッテイ副会長(62)が東日本大震災を「神の善意の声であり、天罰だ」と語ったことに批判が集まっている。
同氏は16日に行ったラジオ講話で、1908年に同国南部で起きた地震について語った聖職者の言葉を借りながら「神は罪深い者だけでなく、徳のある罪なき者も罰する」などと述べ、被災者は一種の「犠牲」という考えを示した。
発言に反発する人々がネット上に辞任を要求するサイトを作り、27日までに約5000人が署名。26日付の伊スタンパ紙は1面コラムで、イタリアの守護神、聖フランチェスコをまつる「アッシジの大聖堂が(97年の地震で)壊れたのも修道士たちに対する天罰なのか」と批判した。
毎日新聞 2011年3月28日 11時28分
福島第1原発:事故の影響 世界で広がる見直し
独西部ケルンで、「福島は警告する。すべての原発停止を!」などと書かれた横断幕を掲げ行進するデモ隊=2011年3月26日、AP
各国の原発見直し状況 東日本大震災で被災した福島第1原発事故の影響が、世界各国に広がっている。ドイツが1980年以前に稼働した老朽原発7基の運転を3カ月間停止する措置に踏み切ったほか、中国も新規原発の審査を一時中断、イスラエルなどが計画中止を表明した。運転中に二酸化炭素をほとんど排出せず、地球温暖化対策の切り札として近年、再び脚光を浴びた原子力発電だが、再び「冬の時代」に逆戻りするとの観測も出始めている。【ロンドン会川晴之、ワシントン斉藤信宏】
◇EU、検査強化で合意 反原発運動が活発化
86年にチェルノブイリ原発事故を経験した欧州諸国は、今回の原発事故にいち早く反応した。欧州連合(EU、加盟27カ国)は15日の特別会合で域内諸国の原発の安全性検査を実施し、耐震性や津波対応に加え、冷却装置など、今回の事故で浮き彫りになった問題点を検査することで合意。25日の首脳会議で正式承認した。
チェルノブイリ事故後、欧州では原発懐疑論が高まり、イタリアなどが原発建設を凍結、英国など多くの諸国も新規計画を見合わせた。だが、当時と違い、エネルギー価格は高騰、風力など再生利用エネルギーのコストはまだ高く、EUの4分の1の電力を供給する原発に代わるエネルギー源確保は難しい状況にある。
経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は「原発は欧州の電力供給で重要な位置を占める」と強調。国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男事務局長も「地球温暖化対策のためには原発は不可欠」と述べるなど、各国に慎重な対応を求めている。
欧州最大の原発メーカーである仏アレバは「信頼回復が極めて重要」と、対話に努める姿勢を強調する。ただ、事故を機に、ライバルである日本メーカーが商戦から脱落する可能性が高いとの計算も働く。
しかし新規原発の審査を一時停止したスイスでは、直近の世論調査で反対派が87%を占めた。2年前は賛成が73%で、賛否が逆転した。ドイツでは26日、ベルリン、ハンブルクなど4都市で25万人規模のデモが実施されるなど、反原発運動が活発化している。
◇中国、新規建設計画を一時停止
中国は16日に、新規原発の建設計画の審査と承認を一時停止した。
急増するエネルギー需要を背景に、現在の13基の原発に加え、今後新たに25基建設する計画だが、国民の不安が高まっていることを考慮した。政府は「導入予定の原発は、より安全な新世代」と安全性を強調する発言を続けている。
◇イスラエル、ベネズエラ計画断念
計画停止も相次ぐ。イスラエルのネタニヤフ首相は17日、同国初の商業用原発計画の中止を表明した。同国沖で天然ガスが発見されたのも一因だ。
ベネズエラのチャベス大統領は23日、計画断念を表明した。
◇トルコは続行表明
一方、日本と同じ地震国のトルコは、エルドアン首相が「原発計画を停止する考えはない」と強調する。19年運転開始予定の黒海沿岸の原発は、東芝・東京電力の企業連合が交渉を続けているが、ユルドゥズ・エネルギー天然資源相は24日、交渉期限を今月末から年内いっぱいに延ばす考えを示すなど、日本の状況に配慮する考えを表明している。
79年のスリーマイル島原発事故以後、約30年間、原発の新規着工を凍結してきた米国は10年1月、着工容認に転じ、現在は24基の新設計画が進行中だ。
◇支持派は14ポイント減…米国
オバマ大統領は、就任直後から「エネルギー需要の増大に対処し、気候変動の被害を食い止めるためには原子力発電の拡大が不可欠だ」と主張してきた。しかし、福島第1原発事故後の米CBSテレビの世論調査で、新規原発建設支持派が43%と、2年半前に比べて14ポイント減少するなど国民に不安が高まっていることに配慮し、「国民の安全のため、責任ある対応が必要」と、安全性の検証を急ぐよう原子力規制委員会(NRC)に指示した。
ただ、米政府が原発建設の凍結に動いたわけではない。米政府は昨年2月、ジョージア州の原発2基向けに約83億ドル(約6700億円)の融資に対する政府保証を決定。25日にはNRCが「ボーグル発電所で建設許可の妨げとなるような環境への悪影響は見つからなかった」と発表し、原発建設への事実上のゴーサインを出した。
世界最多104基の原発が稼働し、電力の約20%を原発で賄う米国では、国民の不安を和らげつついかに計画通りに原発建設を進められるかが今後の焦点となっている。
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毎日新聞 2011年3月27日 20時05分(最終更新 3月27日 23時13分)
2号機付近の地下、水から高濃度放射線観測
読売新聞 3月28日(月)18時0分配信
東京電力は28日、福島第一原子力発電所2号機タービン建屋近くの立て坑が水で満たされており、水表面で1時間あたり1000ミリ・シーベルトを超える高い放射線量を確認したと発表した。
2号機タービン建屋の地下1階には同1000ミリ・シーベルトを超える水がたまっていることが確認されており、この水が漏れ出した可能性がある。
1号機では28日午後、原子炉圧力容器内の温度が設計値を超える304・5度まで上昇。経済産業省原子力安全・保安院は、炉心を冷やす水の流量を変えて温度を安定させる方針だ。
高い放射能を帯びた水が確認された立て坑は、タービン建屋から海側に向かって地中を横に伸びた「トレンチ」と呼ばれるトンネルの端にある。トレンチは高さ約4メートル、幅約3メートル、全長約76メートルで、配管や電線が敷設されている。
配管などの点検や修理の際に、人が立ち入って作業できる。立て坑は、放射性物質の存在を前提とした放射線管理区域の外にあり、通常は水に浸されることはない。
東電によると、立て坑の深さは15・9メートルあり、27日午後3時40分の時点で、上面から1メートルの深さまで水で満たされていた。水表面の放射線量は毎時1000ミリ・シーベルト超の高いレベルだった。 .
建屋外も1000ミリシーベルト以上=大量の高濃度汚染水—流出可能性調査・東電
時事通信 3月28日(月)17時42分配信
東日本大震災で危機的状況が続く福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で、東京電力は28日、2号機タービン建屋地下から海岸方向に延びる配管トンネルとその両側2本の立て坑に水がたまっており、27日午後に水面で毎時1000ミリシーベルト以上の強い放射線を測定したと発表した。水が周辺に漏れている可能性や排水作業による復旧の遅れが懸念される。
同建屋地下1階の水たまりでは26日に同レベルの強い放射線が測定され、原子炉から弁や配管を通じて漏れたとみられる高濃度の放射性物質を含む水がある。この水が地下トンネルなどの水とつながっている可能性がある。
トンネルには海水ポンプからの配管や電線が入っている。縦横3メートル前後で海側にある立て坑までの長さは約76メートル。立て坑の深さは15.9メートルで、地上から深さ約1メートルのところまで水が入っていた。立て坑とトンネルを合わせた容量は約6000立方メートル。
東電は海側の立て坑から海岸まで約55メートルあるため、水が直ちに海に流出することはないとみている。しかし、コンクリート製のトンネルが損傷して水が周囲の土壌に染み出していることも考えられ、東電は流出の可能性と併せて調査している。
トンネルや立て坑は放射線管理区域外で、放射性物質が検出されてはならない場所。
また、1号機タービン建屋の地下トンネルにたまった水の表面からは、毎時0.4ミリシーベルトの放射線を検出。3号機では、がれきが障害となり測定できなかった。
中国メディア、東電の分析混乱を厳しく批判
. 福島原発
【北京=関泰晴】中国メディアは28日、福島第一原発事故で東京電力が汚染水の分析などを誤って発表、訂正したことを大々的に伝え、日本の対応を批判した。
中国紙・新京報は「日本は迅速に全ての真実を公表しているのか。希望の兆候が表れては緊迫の状況に再び陥る原因はどこにあるのか」と非難する学者の論文を掲載した。
中国青年報は「あいまいな日本政府の態度が国民の恐慌を増加させている」と批判。「菅首相は『状況は楽観できない』と強調するが、具体的な解決策を示さないため、『政府は手の打ちようがない』との印象を与えている」と指摘した。国際問題専門紙・環球時報も1面トップで「日本の核情報が世界を困惑させた」との見出しを掲げ、世界各国のメディアが惑わされたと伝えた。
(2011年3月28日19時45分 読売新聞)
アエラ表紙に抗議、野田秀樹氏が連載降板
. 福島第一原子力発電所の事故を扱った朝日新聞出版発行の週刊誌「アエラ」3月28日号が、風評被害を広げると批判された問題で、同誌に随筆を連載してきた劇作家・演出家の野田秀樹さん(55)は、28日発売の4月4日号で連載を自ら降りることを明らかにした。
野田さんは、「ひつまぶし」と題した随筆の中で、「アエラ」28日号が表紙に「放射能がくる」と見出しを付けたことなどを疑問視し、「刺激的なコピーを表紙に使い人々を煽(あお)る雑誌だったとは気がつかないでいた」、「このアエラの『現実』に対する姿勢への不安が消えません」などと降板の背景を説明している。
朝日新聞出版は野田さんの指摘について、「(表紙に)恐怖心を煽る意図はなく、原発事故の深刻さを伝える意図で掲載しました」としている。
(2011年3月28日18時06分 読売新聞)
あの日、総理「少し勉強したい」と原発視察
. 福島原発
政府の原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は28日の参院予算委員会で、東日本巨大地震発生の翌12日に菅首相が東京電力福島第一原子力発電所を視察したことについて、「首相が『原子力について少し勉強したい』ということで私が同行した」と明らかにした。
首相は12日朝、ヘリコプターで同発電所を訪れ、約50分滞在して東電職員らから状況の説明を受けた。
この視察で東電の初動対応が遅れたとの指摘が出ている。班目氏は「現地で首相が行ったことで何か混乱があったとは承知していない」と述べたが、「勉強目的の視察」に改めて批判が出る可能性もある。
(2011年3月28日16時51分 読売新聞)
決して許されない…官房長官、東電の誤発表批判
. 福島原発
枝野官房長官は28日午前の記者会見で、東京電力が、福島第一原発2号機のタービン建屋地下にたまった水の濃度分析を誤って発表し、訂正を繰り返したことについて、「様々な安全確保のための大前提になるものなので、こうした間違いは決して許されるものではない」と、不手際を厳しく批判した。
同日朝、東電幹部を首相官邸に呼び、再発防止を求めたことも明らかにした。
経済産業省原子力安全・保安院も同日、東電に対し、「今後は分析結果を評価する体制を再構築し、評価手順を担当者に徹底してほしい」と、混乱を繰り返さないよう口頭で指示した。
(2011年3月28日16時15分 読売新聞)
放射線量高く、収容できない遺体…10キロ圏内
. 福島原発
警察庁は28日、福島県警が、東京電力福島第一原子力発電所の半径10キロ圏内で27日に発見した遺体について、遺体表面の放射線量が高く収容ができなかったことを明らかにした。
今後の対応を検討している。
同庁によると、10キロ圏内の大熊町に遺体があるとの情報があり、同県警が27日朝、防護服を着用した機動隊員ら15人を出動させた。その結果、原発から約5キロ離れた屋外で1遺体を発見したが、遺体表面の放射線量が、全身の除染が必要となる基準を超えていた。このため、「搬送する警察官や、遺体安置所の医師らが被曝(ひばく)する危険性が高い」(警察庁幹部)として近くの建物に安置するにとどめた。
同県警は同原発の事故後、半径20キロ圏内での遺体の捜索を中断している。ただ、10〜20キロ圏内では防護服を着用した上、避難をしていない住民の説得やパトロールを行っている。
(2011年3月28日19時45分 読売新聞)
がれき、宮城だけで「阪神」超の1800万トン
. 巨大地震
東日本巨大地震により発生したがれきや廃棄物の量が、宮城県だけで1800万トン(車や土砂を除く)に上ることが28日、分かった。
同県の村井嘉浩知事が明らかにした。環境省によると、阪神・淡路大震災では約1400万トンで、同県だけで上回った。岩手、福島県など他の地域でも大量のがれきが発生しており、全体量は大幅に膨らむ見通し。
1800万トンは、同県で通常出る一般ごみの23年分に相当する。同省によると、阪神・淡路大震災では処分に約3200億円かかったという。
また、警察庁の28日午後6時現在のまとめで、東日本巨大地震による死者は岩手県3242人、宮城県6627人、福島県974人など計1万901人。行方不明者も計1万7621人にのぼっている。
(2011年3月28日20時51分 読売新聞)
ニトリ、日本赤十字に地震義援金10億円を寄付
. 家具製造販売大手ニトリホールディングスの似鳥昭雄社長が28日、日本赤十字社本社(東京都港区)を訪れ、東日本巨大地震の被災者のための義援金10億円の目録を同社の近衛忠●社長に手渡した。(●は火へんに軍)
似鳥社長が私財の5億円を投じ、ほかの5億円はグループ会社の拠出と従業員からの寄付。似鳥社長は「仮設住宅の建設や医薬品の購入に役立ててほしい」と述べた。
ニトリはすでに約6億円相当の毛布や布団などを被災地に寄贈している。また、海外の取引先約80社も約2億円を寄付している。
(2011年3月28日17時20分 読売新聞)
経団連会長「法人税減税やめてもらって結構だ」
. 日本経団連の米倉弘昌会長は28日の記者会見で、東日本巨大地震の被災地復興に充てる財源を巡り、「個人的には、(法人税の)切り下げはやめてもらって結構だ」と述べた。
2011年度税制改正で予定されている法人税実効税率(現行40・69%)の5%引き下げを一時棚上げし、復興の財源に回すべきだとの考えを示したものだ。
4月11日に開かれる経団連の会長・副会長会議で加盟企業の意見を聞いた上で政府に提案する。
米倉会長は、法人税減税を棚上げする条件として「高速道路の無料化や子ども手当、高校授業料の無償化なども一時休止し、それでも足りない分を税制全般で考えるべきだ」と指摘し、11年度予算の大幅な見直しが必要との考えを示した。
また、「税財政と社会保障の一体改革をずらすことはいけない」と述べ、制度改革も復興対策と同時並行で進めるべきだと主張した。
(2011年3月28日18時55分 読売新聞)
土壌からプルトニウム検出「人体に問題はない」福島原発
産経新聞 3月29日(火)0時0分配信
東京電力は28日、福島第1原子力発電所の敷地内から、核分裂生成物のプルトニウムが検出されたと発表した。
21、22日に5地点で採取した土壌から、プルトニウム238、プルトニウム239、プルトニウム239の3種を検出した。東電は検出した計5点のうち2点について、今回の原発事故が原因とみている。
東電は「今回の検出量は通常の環境土壌中の濃度レベルで、人体に問題となるものではない」としているが、今後新たに3地点で調査を開始し、継続的に分析するという。東電の武藤栄副社長は会見し、「今回の事故で損傷した燃料から出た可能性が高い」と述べた。
福島第1原発 2地点で放射性物質急増 福島・飯舘村など
毎日新聞 3月28日(月)22時7分配信
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福島第1原子力発電所周辺の累積線量結果
文部科学省は28日、福島第1原子力発電所から北西約40キロの福島県飯舘村で26日に採取した雑草1キログラム当たりから、過去最高値の放射性セシウム287万ベクレルを検出したと発表した。北西約45キロの川俣町でも過去最高値のセシウム57万1000ベクレルを検出。これまで減少傾向だった放射性物質が2地点で急増した。文科省は「採取場所が全く同じではなく一概に評価できないが、高いレベルの放射性物質が残留していることは確かで、農作物への影響を注視する必要がある」と説明した。
【写真特集】自衛隊による福島第1原発の空撮映像
飯舘村の雑草のこれまでのセシウム最高値は20日採取分の265万ベクレル。セシウムの半減期は約30年で、採取地点付近では拡散しないで残留している可能性が高い。一方、放射性ヨウ素は20日採取分の254万ベクレルから103万ベクレルに減少。半減期が8日のためとみられる。
川俣町で26日採取された雑草のセシウムは25日採取の49万7000ベクレルを上回ったが、放射性ヨウ素は66万3000ベクレルから48万8000ベクレルに下がった。これも半減期の差が影響しているとみられる。
27日に採取した水道水1キログラムでは、茨城、栃木、埼玉、東京など10都県で放射性ヨウ素0.34〜37ベクレル、栃木、東京など6都県で放射性セシウム0.25〜5.2ベクレルが検出された。
28日午前9時までの24時間で採取した1平方メートル当たりの定時降下物(雨など)は茨城県で放射性ヨウ素74ベクレル、放射性セシウム21ベクレルを検出。他に9都県でヨウ素6.3〜59ベクレル、6都県でセシウム5.5〜36ベクレルを検出した。
都道府県に設置するモニタリングポスト(自動観測局、MP)は28日午後5時時点で茨城県0.229マイクロシーベルトなど7都県で1時間当たりの大気中放射線量の通常値を超えた。いずれも数値は低下傾向。
一方、原発から20〜60キロ離れた福島県内の41カ所の屋外で28日午前6時〜午後4時にモニタリングカーで調査したところ、1時間当たりの大気中放射線量は0.3〜77.6マイクロシーベルトだった。【篠原成行】
原発事故「明確な話避けてた」=政府、東電を批判—小沢氏
時事通信 3月28日(月)13時4分配信
民主党の小沢一郎元代表は28日午前、東京電力福島第1原発の事故に関し「原子力の溶融がずっと前から指摘されていたが、原子力安全・保安院、東電、内閣は明確な話を避けてきた」と述べ、政府や東電の対応を厳しく批判した。岩手県庁で達増拓也岩手県知事と会談後に記者団に語った。
小沢氏は、現在の事故対応について「思い切った手だてなしに(原発に)水を入れる、バルブを開けることを繰り返せば、放射能は広範囲に飛散し、汚染が広まることがある」と疑問を呈すとともに、「(政府は)国民、地域の皆さんに正直に話をして、理解を求めた上で、思い切った作業をするべきだ。このままずるずる行ってしまうと日本全体がめちゃくちゃになる」と強調した。
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【動画】自衛隊、放射性物質の放出が続く原子炉建屋を空撮=福島第1原発
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〔写真特集〕福島原発 地下トンネルに汚染水
〔写真特集〕東北地方太平洋沖地震
〔写真特集〕政治家・小沢一郎
.最終更新:3月28日(月)19時6分
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東日本大震災 小沢元民主代表が地元へ 岩手県知事と会談写真(毎日新聞) 28日(月)21時7分
-東日本大震災-小沢元民主代表が地元へ 岩手県知事と会談写真(毎日新聞) 28日(月)19時31分
原発事故で政府と東電を批判=小沢氏写真(時事通信) 28日(月)13時26分
小沢氏が盛岡入り「状況に応じて使える予算を」(読売新聞) 28日(月)12時40分
小沢元代表、政府の原発対応に懸念映像(TBS系(JNN)) 28日(月)12時33分
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コメントの使い方コメント [ 表示する|表示しない ].すべてのコメントを読むコメント数:1243件平均投稿数:107.3件/時投稿人数:1093人.こんにちは ゲスト さん.並べ替え [ 投稿順|そう思う順|そう思わない順|注目順|共感順 ]
2011年3月28日 13時5分tom*****さん.削除/違反報告私もそう思う16,893点私はそう思わない1,517点.東電も政府も確かにアレだが、いままで雲隠れして「復興=おカネ」の匂いでノコノコ出てきた貴様に批判する権利は無い
2011年3月28日 13時5分miy*****さん モバイルからの投稿.削除/違反報告私もそう思う14,106点私はそう思わない1,167点.逃げ回ってたお前に言う資格はないよな…
2011年3月28日 13時5分iga*****さん モバイルからの投稿.削除/違反報告私もそう思う11,172点私はそう思わない1,093点.役たたずは黙ってろ!消えろ!
2011年3月28日 13時5分rip*****さん.削除/違反報告私もそう思う9,195点私はそう思わない928点.いまさせ何を言ってるんだ?
2011年3月28日 13時5分bai*****さん モバイルからの投稿.削除/違反報告私もそう思う7,390点私はそう思わない866点.もう民社党はダメだ!
日本が終わる!
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国内トピックス
震災死者 1万1000人超える写真
東電、フランスに支援要請=「極めて危機的」と産業相
時事通信 3月28日(月)20時57分配信
【パリ時事】ベッソン仏産業担当相は28日のラジオで、東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発の事故を受け、東電から仏原子力庁と仏電力公社(EDF)、同国原子力大手アレバに支援要請があったことを明らかにした。EDFとアレバはAFP通信に、要請の具体的内容は明らかにできないとしている。
ベッソン氏は、現地で強い放射線が観測されたことを踏まえ、状況は「極めて危機的だ」と懸念を表明。「現時点で正確な状況把握は困難だ」と述べた。
アレバとEDFは既に、福島第1原発の事故を受け、燃料の核分裂反応を抑えるホウ酸約100トンのほか、防護服やマスクなどの支援物資を日本に送っている
原発から北西で高い放射線量 避難地域を超えて広がる
2011/3/28 20:10
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福島第1原発の爆発後に、北西方向の広い範囲で高い放射線量が観測され、土壌汚染は現在もかなり深刻のようだ。それは20キロ圏の避難地域を超えており、今後、事態がさらに深刻化した場合、避難のあり方などの見直しを迫られそうだ。
米エネルギー省がまとめた放射線量マップでは、原発から北西方向が真っ赤に染まっている。
南東の風と雨で汚染範囲が拡大か
北西方向に赤い帯が… その長さは、30キロほどもある。米軍機から2011年3月17〜19日に測定した一帯の放射線量は、1時間当たり125マイクロシーベルトだった。これは、8時間浴び続ければ、一般の人が1年間に浴びる放射線量の限度1000マイクロシーベルトに達する高い値だ。
米マップでは、さらに北西に離れた地域でも高い数値を示している。
この結果に沿うように、60キロほど離れた福島市で、爆発後の3月15日から高い線量が検出された。文科省によると、同市では同日に1時間当たり24マイクロシーベルトを観測。平常時は0.04というから、その600倍もの高濃度で、2日も続けて浴び続ければ年間限度に達することになる。
その後は、米軍機からの測定値も低下し、文科省の調べでは、福島市で28日現在3マイクロシーベルトほどに下がった。しかし、原発から北に25キロほど離れ、30キロ圏の屋内退避地域にある南相馬市よりも、かなり高い値が続いている。
60キロも離れた福島市で線量が高い原因は、原発からの風向きにあるらしい。
新聞各紙によると、線量が急激に上がった15日は、東電が原発周辺で南東の風が吹いていたことを観測している。福島市でもこの日は、東寄りの風だった。翌日からは、西寄りの風に変わっているが、15日は雨やみぞれ模様の天気だったため、大気中に浮遊していた放射性物質が地表に落ちた。その影響で、この日以降も高い線量が続いたようだ。
30キロ圏を超える地域でも耕作ができない可能性
米マップの赤い分布に沿うように、一帯の土壌からも高濃度の放射性物質が検出されている。
福島第1原発から北西に40キロほど離れた飯舘村では、2011年3月20日に土壌1キログラム当たり16万3000ベクレルのセシウム137が観測された。文科省の調査で分かったもので、福島県内で最も高い数値だ。
平常時は100ベクレルほどといい、その1600倍にも当たる。
朝日新聞の25日付記事によると、検出された数値は、1平方メートル換算で326万ベクレルになるとの研究者の試算がある。4万ベクレルを超えれば、国が放射線管理区域に指定しなければならず、研究者から「飯舘村は避難が必要な汚染レベル」との指摘が出ている。
同日現在では、同村の土壌汚染は、1キログラム当たり2万7900ベクレルにまで下がっている。しかし、まったく同じ場所で採取されたわけではなく、研究者の試算からすると、それでもなお管理区域に指定すべき汚染レベルということになる。
実際、筒井信隆農水副大臣は28日の国会答弁で、農水省も土壌調査を進めており、それ次第で、30キロ圏を超える地域でも耕作ができない可能性があることを認めた。
また、原発は予断を許さない状態が続いており、再爆発などの不測の事態がないとは言えない。こうしたことから、国の避難指示についても、同心円にこだわらず気象状況や線量観測結果に基づく柔軟な対応が今後求められそうだ。
hayano-6.同位体比は原発事故の判定指標】Pu-238/Pu-239・240同位体比が0.05以下なら核実験.チェルノブイリ事故の時は約0.5(気象研).福島第一原発敷地内のPu-238/Pu-239・240同位体比0.9-2.0は,明らかに事故由来.
参院予算委 視察批判に首相反論「現状把握は重要」
毎日新聞 3月29日(火)11時21分配信
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11年度予算案の締めくくり総括質疑が行われる参院予算委冒頭に発言する菅直人首相=国会内で2011年3月29日午前9時0分、藤井太郎撮影
菅直人首相は29日午前の参院予算委員会で、東日本大震災が発生した翌12日に東京電力福島第1原発を視察したことが放射性物質を含む気体を原子炉から排出する「ベント」の遅れにつながった、との指摘に対し「視察に行ったことで(初動対応が)遅延したという指摘はまったくあたっていない」と反論した。視察の理由については「現地の状況を把握することが大変重要だと考えた」と説明した。
【官房長官もフォロー】1号機の排気「再三指示」 枝野官房長官
自民党の礒崎陽輔氏に対する答弁。首相は視察の効果に関して「第1発電所所長に短時間だが会い、その人物を見たことがその後の対策を立てるうえで有効だと今でも思っている」と主張し、「政府は12日午前1時半にベントすべき姿勢を明確にし、一貫してその方針を東電に伝えてきた」と強調した。
原発事故への対応については「予断を許さない状況が続いている。最大限の緊張感を持って取り組む」と表明した。首相の国会答弁は震災発生後初めて。
また菅首相は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)と、税と社会保障の一体改革について「(大震災の)状況が一定程度方向性が見えた中で改めて検討することが必要ではないか」と述べ、6月に方針を示すとしていた当初予定を先送りする考えを示した。民主党の09年マニフェスト(政権公約)に関しても、震災対策を優先する考えを明らかにした。公明党の加藤修一氏への答弁。【中山裕司、大場伸也】
福島原発:東電全面退去打診 首相が拒否…水素爆発2日後
東京電力福島第1原発の高濃度放射能漏れ・爆発事故で、東電側が14日夜、同原発の職員全員を退去させる方針を政府に打診していたことが分かった。現地での作業継続は困難と判断したとみられ、自衛隊と米軍にその後の対応を委ねる構えだったという。菅直人首相は打診を拒否し、東電側も一部職員を残すことになったが、東電はその時点で高濃度の放射線被ばくが避けられない原子力災害に発展する可能性を認識していたことになる。
複数の政府関係者によると、東電側が14日夜、「全員退去したい」との意向を枝野幸男官房長官と海江田万里経済産業相にそれぞれ電話で申し入れた。両氏は認めず、首相に報告した。首相は15日午前4時過ぎ、清水正孝・東電社長を官邸に呼び、「撤退はあり得ない。合同で対策本部をつくる」と通告。その後、東京・内幸町の東電本店を訪れ、「東電がつぶれるということではなく、日本がどうなるかという問題だ」と迫ったという。
政府当局者は14日夜の東電側の打診について「全員を撤退させたいということだった」と明言した。
一方、東電側も首相への不満がくすぶる。東電によると、同原発では協力会社と合わせ計4000〜5000人が働いているが、現在、現地に残っているのは約300人。発電所の制御や復旧などの作業にあたっている。
東電関係者によると、15日早朝に首相が東電本店を訪れた際、事故対応に追われる社員が会議室に集まったが、首相は「こんなに大勢が同じ場所にいて危機管理ができるのか」と非難した。東電関係者は「『撤退は許さない』というのは『被ばくして死ぬまでやれ』と言っているようなもの」と漏らした。
東電幹部の話 (必要最低限の作業員を残し、あとは退去する)部分的な撤退を検討したのは事実だが、全員撤退を検討した事実は絶対にない。
【三沢耕平、小山由宇】
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東日本大震災:福島第1原発3号機 格納容器が損傷か
毎日新聞 2011年3月18日 2時33分
福島第1原発:汚染水対応 班目氏、「知識持ち合わせず」
班目春樹・原子力安全委員長は28日夜の記者会見で、東京電力福島第1原発のトレンチでみつかった高放射線量の汚染水への対応について、「どのような形ですみやかに実施できるかについて、安全委ではそれだけの知識を持ち合わせていない。まずは事業者(東京電力)が解決策を示すとともに、原子力安全・保安院にしっかりと指導をしていただきたい」と述べた。首相への勧告権限も持つ専門家集団トップの発言だけに、その役割について議論を呼びそうだ。
同委員会は原子力利用時の安全確保のために基本な考え方を示し、行政機関や事業者を指導する役割を担い、他の審議会より強い権限を持つ。だが、班目委員長は23日に会見するまで、国民に対して見解や助言の内容などを説明することがほとんどなく批判を浴びていた。【大場あい】
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【被災地の子どもたち】この子たちのためにも頑張ろう
【福島第1原発】「神のみぞ知る」池田副経産相が答弁、撤回し謝罪
毎日新聞 2011年3月29日 0時07分(最終更新 3月29日 0時23分)
鈴木篤之 すずき-あつゆき
1942−昭和後期-平成時代の原子力工学者。
昭和17年10月31日生まれ。国際応用システム分析研究所研究員などをへて,昭和52年東大助教授,61年教授。平成18年原子力安全委員会委員長。22年日本原子力研究開発機構理事長。東京都出身。東大卒。著作に「原子力の燃料サイクル」など。
【記事紹介】 ひと:鈴木篤之さん=もんじゅ推進役に転じた東大名誉教授
☆ 毎日新聞の記事である。日本原子力研究開発機構の理事長に公募で選ばれた鈴木篤之氏(前原子力安全委員長)について簡潔にまとめている。
ひと:鈴木篤之さん=もんじゅ推進役に転じた東大名誉教授
毎日新聞 2010年8月18日
事故後14年半ぶりに再開した高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する独立行政法人・日本原子力研究開発機構の理事長に公募で選ばれた。「日本は原子力の平和利用に徹してきたほぼ唯一の国。正念場に全身全霊を傾けたい」と抱負を語る。
東大教授時代からたびたび、もんじゅ事故(95年)の背景にある「組織の隠ぺい体質」を批判。原子力安全の番人である国の原子力安全委員長も務めた。「日本の原子力界では、適切な時期に適切な形で情報提供がされてこなかった。その象徴がもんじゅだった」
一転、17日からもんじゅの責任者。着任して早速、11拠点約4000人の全職員に情報共有の重要性をメールで訴えた。
「原子力を安全・安心なエネルギー源として利用できるようになるかが問われている重要な時期」と言う。安全委員長時代の07年に発覚した電力各社の不祥事をめぐって「国の検査をいたずらに増やすと、現場の負担が増えて安全上マイナス」と発言し、波紋を呼んだことも。委員長の任期中に、審査対象となる機構の理事長に応募したことをただされ「国会で承認された(委員長の)職を勝手に辞すべきでないと考えた。その間の発言はすべて公開し検証できるようにした」と釈明する。
来年秋、もんじゅは16年ぶりの発電再開という重大局面を控える。事故の様子をとらえたビデオ隠しなどで「事故が事件になった」と指弾された体質を改善できるか。手腕が試される。
1
鈴木 篤之 ID: 1000050011135
東京大学工学部 (2009年 CiNii収録論文より)
CiNii収録論文: 30件
?原子力システム開発の将来像 (2001)
?日本的原子力専門知の追究 (2009)
?ウラン濃縮技術開発の動向 (1986)
2
鈴木 篤之 ID: 9000000210533
東京大学 (2001年 CiNii収録論文より)
CiNii収録論文: 2件
?第1回istc/sacセミナー「核燃料サイクルおよび関連する処理処分に関する新しい手法 : 余剰兵器級プルトニウムとウランおよび原子炉級プルトニウムを考慮して」 (1998)
?パネルディスカッション 21世紀のエネルギー選択 -火力・原子力発電技術の将来- (2001)
3
鈴木 篤之 ID: 9000000958500
原子力安全委員会 (2007年 CiNii収録論文より)
CiNii収録論文: 3件
?「情報の非対称性」理論に学ぶ (2003)
?国民の立場に立って 国民の生命と安全を守ることが使命 (2007)
?原子力安全を巡って-よりロバストな仕組みは : とくに 透明性 手続き的安全性 専門知について (2007)
4
鈴木 篤之 ID: 9000003200098
東大 (1996年 CiNii収録論文より)
CiNii収録論文: 11件
?I. 総論(j22 23) (1996)
?25p-n-1 Rydberg原子のレーザー・マイクロ波二重共鳴イオン化分光 (1991)
?25p-n-1 Rydberg原子のレーザー・マイクロ波二重共鳴イオン化分光 (1991)
5
鈴木 篤之 ID: 9000004753630
東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻 (2003年 CiNii収録論文より)
CiNii収録論文: 22件
?金属酸化物粉末の光トラッピングにおける光学定数の影響 (1996)
?ラマン分光法によるウランの吸着挙動に関する研究 -銀コロイドおよび金コロイドへの吸着- (1997)
?異分野の融合 (1997)
6
鈴木 篤之 ID: 9000006836038
豊田工業高等専門学校建設工学専攻 (2004年 CiNii収録論文より)
CiNii収録論文: 2件
?247 テンセグリティシステムの形態特性 : 形状の安定性条件と自己釣合応力比(構造) (2004)
?テンセグリティ構造の形態解析--テンセグリティシステムの安定性条件 (2003)
7
鈴木 篤之 ID: 9000007108243
CiNii収録論文: 1件
?21世紀に向けた核燃料サイクル技術の展望 (原子力発電の新たな展開) -- (原子力発電の新技術) (1992)
8
鈴木 篤之 ID: 9000007216058
CiNii収録論文: 2件
?21世紀にむけた原子力の取り組みについて (特集 信頼性向上と高経年炉対策に取り組む原子力発電) (1998)
?原子力利用の信頼回復に向けて (特集 原子力再生への道--臨界事故を超えて) (2000)
9
鈴木 篤之 ID: 9000007275792
CiNii収録論文: 1件
?どうする日本の原子力-4-技術的選択肢としての原子力開発 (2000)
10
鈴木 篤之 ID: 9000007282553
CiNii収録論文: 3件
?原子力発電の燃料サイクル (1985)
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?レ-ザ-化学とビ-ム強度 (高温・高密度のエネルギ-の工学-特集-) (1987)
11
鈴木 篤之 ID: 9000007290504
CiNii収録論文: 1件
?レ-ザ-法トリチウム濃縮 (原子力と化学--現状と将来) (1983)
12
鈴木 篤之 ID: 9000007303567
CiNii収録論文: 1件
?マクロ・エネルギ-・システムのダイナミクス (1994)
13
鈴木 篤之 ID: 9000007578162
CiNii収録論文: 3件
?陸地処分安全評価の方法論 (低レベル放射性廃棄物の処分-特集-) (1986)
?冷戦の終焉と原子力の平和利用 (原子力平和利用と核物質管理のあり方--npt再検討・延長会議を目前にして-特集-) (1995)
?グロ-バル化時代における原子力 (原子力をめぐる国際環境を探る-特別企画-) (1991)
14
鈴木 篤之 ID: 9000007698968
CiNii収録論文: 1件
?日本の原子力政策とプルトニウム問題 (核不拡散体制と日本-焦点-) (1993)
15
鈴木 篤之 ID: 9000008021960
CiNii収録論文: 1件
?プルトニウム利用計画 是か否か (プルトニウム大論争-特集-) (1992)
16
鈴木 篤之 ID: 9000008141879
CiNii収録論文: 1件
?エネルギ-・マネジメントの時代-4-「資源備蓄型」の原子燃料サイクル (1995)
17
鈴木 篤之 ID: 9000008198089
CiNii収録論文: 1件
?エネルギ-社会の構造変化と原子力の国際貢献 (特集 原子力発電を考える) (1997)
18
鈴木 篤之 ID: 9000008392654
CiNii収録論文: 2件
?随伴感度解析法による工学バリア評価モデルの簡略化 (1988)
?高レベル廃棄物ガラス固化体浸出率の解析に関する研究 (1983)
19
鈴木 篤之 ID: 9000008974599
CiNii収録論文: 1件
?見えない世界?原子・分子の遊び空間 (1998)
20
鈴木 篤之 ID: 9000009045852
CiNii収録論文: 1件
?特集 原子力の研究・開発・利用は不可欠--安全の確保で国民の理解を 21世紀のエネルギーセキュリティ (2001)
班目 春樹(まだらめ・はるき)
昭和23年生まれ。東京大学工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。工学博士。東京芝浦電気(株)総合研究所研究員、東京大学講師、同助教授を経て、平成2年11月より東京大学大学院工学系研究科教授。総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会検査の在り方に関する検討会委員長ほか。
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国民の皆さんに理解していただきたいのは、規制を強めれば安全が確保されるのではないということです。現場を預かっている事業者が自主的にきちんと安全に対する取り組みをすることが重要なのです。事業者がいかに自主性を発揮して安全確保に取り組むか、ここにいかに魂を入れるかが最大のポイントだと思っています。
鈴木 篤之(すずき・あつゆき)
昭和17年生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。東京大学工学部教授、同大学院工学研究科教授等を経て、平成13年より原子力安全委員会委員。18年4月より原子力安全委員会委員長。
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原子力安全委員会は、一貫して事業者の自主的取り組みが大事だと主張してきました。保安検査あるいはいろいろな規制行為はそこを忘れないでほしい、とお願いし続けてきた立場からしても、今回の行動計画に、事業者の自主的取り組みを促すような項目が入っていることは大変いいことだと思います。そのことを今後ともぜひ続けてほしい。
広瀬 研吉(ひろせ・けんきち)
昭和23年生まれ。九州大学大学院工学研究科卒業。49年4月科学技術庁入庁。同庁原子力安全局原子力安全課長、経済産業省原子力安全・保安院審議官(実用発電用原子炉担当)、内閣府原子力安全委員会事務局長、(独)物質・材料研究機構理事等を経て、平成17年9月より原子力安全・保安院長。
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現在、私どもは新たな検査制度の見直しを進め、事業者の自主的な取り組みを前提にしようと考えています。事業者に保全プログラムを策定してもらい、その保全プログラムを私どもが見た上で、保全プログラムにのっとった形で検査をしていくという制度にギアを切りかえていく。今年度に着手できることは着手していきたいと考えています。
大津波 潮位の激しい変動確認
3月29日 4時50分
今回の大津波では、岩手県の沖合で地震の直後におよそ7メートルの津波が観測されたあと、30分ほどの間に潮位が10メートル近く下がるなど、激しい潮位の変動が6時間にわたって続いていたことが、国土交通省が設置した「GPS波浪計」のデータから確認されました。
国土交通省は、沖合で波の高さを測る「GPS波浪計」を青森県から福島県沖にかけて7つ設置しています。波浪計のデータは、今回の巨大地震の直後から電源の故障などで受信できなくなっていましたが、国土交通省がデータを回収し、港湾空港技術研究所で分析を行いました。その結果、岩手県釜石市の沖合、20キロの海上に設置した波浪計では、地震の直後から津波を捉え始め、地震発生から25分ほどで6.7メートルという最大の高さを観測していたことが確認されました。その後潮位は、およそ30分かけて10メートル近く下がりました。今回の大津波では、引き波によって建物や車などが海に流されており、急激な潮位の低下はこの引き波に対応している可能性があるということです。潮位の激しい変動はその後も続き、およそ6時間にわたって2メートルから1メートルほどの津波が繰り返し観測されていました。港湾空港技術研究所は「沿岸の検潮所の多くが大津波の直後に破壊されたなかで、津波の一部始終を捉えた貴重なデータといえるのではないか。さらに分析を進め、今後の防災対策に生かしていきたい」と話しています。
岩手・釜石、津波7波が襲来=20キロ沖で6メートル超—国交省
時事通信 3月29日(火)1時44分配信
東日本大震災で、岩手県釜石市の約20キロ沖で津波が第7波まで観測されたことが28日、国土交通省と港湾空港技術研究所の分析で分かった。第1波の高さは6.7メートルで、沿岸部への到達時は理論上13メートル程度という。
同省などによると、全地球測位システム(GPS)を利用した波浪計のデータから判明した。第1波は地震発生から15分後の11日午後3時1分から約6分間で緩やかに2メートル上昇、続く約4分間で急激に4メートル以上高くなった。
その後、午後8時台まで高さ2〜1メートルの第2波から第7波が観測された。4波目以降は1周期が50分程度と長かった。
また、海面から海底までの潮位が地震前に比べ、約55センチ上昇していた。同研究所は「地盤が沈下した可能性が非常に高い」としており、さらに分析を進める。
津波“挟撃”半島分断 陸前高田・広田半島で「水合」
河北新報 3月29日(火)14時44分配信
東日本大震災で深刻な津波被害を受けた岩手県陸前高田市で、広田半島を隔てた二つの湾に入った津波が陸地で合流して3キロ離れた湾同士がつながり、一時的に半島を分断していた。史上最悪の津波災害とされる明治三陸地震津波(1896年)でも同様の現象が起きた。陸前高田での現象は、東日本大震災の津波が明治三陸津波に匹敵するほどの威力があった可能性があることを示している。
津波が合流した場所は、陸前高田市南東部に突き出た広田半島の小友町地区。広田湾側と只出(ただいで)漁港側の湾との間にあるJR大船渡線周辺の陸地は津波後、ほとんど家屋が無くなり、3キロにわたってがれきが続く。
津波の合流を目撃した複数の住民によると、11日の地震発生後、只出漁港側から高さ3〜5メートルの津波が入り込んだ。その直後、広田湾側からは高さ10メートル前後の津波が到来し、二つの津波が広田半島先端部に通じる県道付近でぶつかり合い、巨大な波しぶきが上がったという。
10〜15分後には、また両方向から津波が押し寄せ、再び合流した。海水が引くまでJR大船渡線周辺の陸地は水路のようになり、広田湾と只出漁港側の湾がつながった。小友地区より先の広田半島は一時的に陸路が寸断された。
高台に逃げて無事だった丹羽五百子(いおこ)さん(71)は「二つの津波が家々をのみ込みながら、表現できないような音を立ててぶつかり合った。現実ではあり得ないことが目の前で起きて、生きた心地がしなかった」と振り返る。
明治三陸地震津波では、大船渡市の綾里(りょうり)半島で2キロ離れた綾里白浜地区と綾里港地区に押し寄せた津波が合流。この時、白浜地区では津波が標高38.2メートル地点まで到達し、国内観測史上最高記録となっている。
当時の津波の合流と湾がつながった現象は綾里地区で「水合(みずあい)」と呼ばれ、今でも明治三陸地震津波の壮絶さを伝える話として語り継がれている。(中村洋介)
-前後から波、脅威-
堺茂樹岩手大地域防災研究センター長(海岸工学)の話
大きな津波が発生した際の特徴ともいえる現象だ。半島の場合、付け根の部分に津波が迫ってくるので、半島を分断してしまう。半島で暮らす住民にとって目の前と背後から津波が押し寄せて来る状況なので、非常に恐ろしい災害といえる。 .最終更新:3月29日(火)14時44分
参院予算委 「津波の認識誤った」首相、視察批判には反論
毎日新聞 3月29日(火)11時21分配信
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11年度予算案の締めくくり総括質疑が行われる参院予算委冒頭に発言する菅直人首相=国会内で2011年3月29日午前9時0分、藤井太郎撮影
菅直人首相は29日午前の参院予算委員会で、東日本大震災の影響で東京電力福島第1原発を襲った津波について「(原発設置)当時の津波に対する認識が大きく間違っていたのは否定しようがない」と述べ、津波の想定を今後の検証対象とする考えを示した。一方、同原発を視察したことが放射性物質を含む気体を原子炉から排出する「ベント」の遅れにつながったとの指摘に対しては「(初動対応が)遅延したという指摘はまったくあたっていない」と反論した。首相の国会答弁は震災後初めて。
【官房長官もフォロー】1号機の排気「再三指示」 枝野官房長官
津波に関し、首相は「(1960年の)チリ地震の後にできた原子炉でありながら、チリ地震の基準も満たしていないとすれば相当問題だ」と述べた。視察がベントの遅れを招いたとの指摘には「政府は12日午前1時半にベントすべき姿勢を明確にし、一貫してその方針を東電に伝えてきた」と強調した。
原発事故への対応では「予断を許さない状況が続いている。最大限の緊張感を持って取り組む」と表明した。
同原発を廃炉にするかについては「専門家の意見を聞いて決めるが、その可能性は高い」と語った。【中山裕司、大場伸也】
原発事故、賠償検討組織立ち上げへ 経産相が方針2011年3月29日19時57分
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. 海江田万里経済産業相は29日の記者会見で、東京電力福島第一原発事故に伴う損害賠償を議論する組織を立ち上げる方針を明らかにした。避難を強いられた住民や、放射性物質が検出された農産物が出荷停止となった農家などへの補償額などを検討する。
原発事故の賠償の範囲などは、原子力損害賠償法(原賠法)に基づき、専門家らでつくる原子力損害賠償紛争審査会が決める。海江田氏は設置する政府組織について「審査会の手前の段階で、もう少し政治的な判断をするものになる」と説明。今回の賠償額は数兆円に達するとの見方もあり、保険などでカバーする原発1事業所あたり1200億円を超える分の東電と国の負担割合などについて検討するとみられる。
東京電力社長「痛恨の極み」、福島第一原発事故2011年3月19日1時25分
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東京電力の清水正孝社長は19日、福島第一原子力発電所1〜3号機の事故が、事態の深刻さを示す国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)の暫定評価で、米国スリーマイル島の原発事故と並ぶ「レベル5」に位置づけられたことについて、「極めて重く受け止めております。我が国が経験したことのない、大規模地震に伴う津波といった自然の脅威によるものとはいえ、このような事態に至ってしまったことは痛恨の極みであります」とするコメントを発表した。
.
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」の解析結果について
報道発表日
平成23年3月24日
概要
気象研究所において、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(M9.0)により観測された津波のデータを解析した結果、津波波源域が岩手県沖から茨城県沖にまで及ぶことが推定されました。
本文
北海道から関東地方にかけての太平洋沿岸及び沖合にある津波観測点(計19点)で得られた津波の到達時刻から逆算して津波波源域※を推定した結果、岩手県沖から茨城県沖の長さ約550km、幅約200kmの範囲に及ぶことが推定されました。
この解析により推定された津波波源域は、余震分布から推定される震源域とも整合しており、この地震の震源域は岩手県沖から茨城県沖にまで及ぶことが推定されます。
気象研究所では、さらに津波の発生過程など詳細な解析を行い、その結果を気象研究所のホームページ(http://www.mri-jma.go.jp/)にて公開していく予定です。
※津波波源域:海底面での地形変化により直接的に海面の高さが変化することで、津波の発生源となった領域
なお、これらの解析は、「海溝沿い巨大地震の地震像の即時的把握に関する研究」及び「沖合・沿岸津波観測等による津波の高精度予測に関する研究」の一環として行いました。
問い合わせ先
気象研究所 企画室
電話:029-***-****
資料全文
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」の解析結果について[PDF形式:191KB]
-大項目- 原子力安全研究
-中項目- 原子力施設などの安全研究
-小項目- 軽水炉の安全研究
-タイトル-
シビアアクシデント時の炉心溶融進展に関する研究 (06-01-01-09)
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-概要-
1979年3月に米国スリーマイル島2号機(TMI−2)で起きた事故では、原子炉炉心の約半分が溶融した。この事故は設計基準事故を超えた事故であり、シビアアクシデント(過酷事故)の典型例として位置づけられている。これを契機にシビアアクシデントの諸現象の把握やシビアアクシデントへの防止対策のため、炉心の損傷、溶融過程に関する研究が各国で精力的に実施されている。日本と海外の研究の現状と研究成果について概説する。
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-更新年月-
1999年03月
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-本文-
1.はじめに
シビアアクシデント(過酷事故)は、原子炉の安全設計・評価を行う際に想定される設計基準事象(原子炉施設の安全設計の妥当性を確認するために想定された事故等の事象)を超える事故である( 図1 )。原子炉の設計では、設計基準事象として想定される事故が発生しても、安全設備の作動によって、炉心の溶融あるいは著しい燃料の損傷が防止される。しかし、TMI−2事故では安全設備は作動したものの、ヒューマンエラーが加わって原子炉炉心の冷却ができずに炉心が溶融するに至った( 図2 )。
燃料の溶融等に関する研究はそれまでも行われていたが、TMI−2事故を契機に、シビアアクシデント時の各種挙動の解明と事故防止のための研究が各国で精力的に行われるようになった。炉心の溶融進展に関する研究は、シビアアクシデントに関する重要な研究の一つとして取り上げられている。
2.シビアアクシデント時の炉心溶融進展に関する研究
シビアアクシデントにおいては、炉心の冷却ができずに燃料の温度が異常に上昇すると燃料が溶融し、それが大規模に進展すると溶融燃料が原子炉容器下部へ落下し、原子炉容器の健全性を損い大量の放射性物質の放出を伴う大きな事故に発展する可能性を有する。炉心溶融に関する研究は、炉心燃料の溶融挙動を調べる個別試験研究と炉心溶融の進展を調べる総合試験研究に大別できる。
個別試験研究は燃料棒、制御棒、スペーサー等の炉心構成材料について温度が上昇した場合の挙動を調べるものであり、研究では材料( 表1 は主要な炉心構成材料の標準的な元素割合の例を示したもの)の組成比率や雰囲気条件を変えて、材料の酸化や溶融等が調べられている。試験研究の結果、異種金属が混じった場合には溶融温度は低くなり、また異種金属が接触している場合でも温度が上昇すると共融現象により低温で溶解するなどの種々の現象が定量的に明らかにされている。 図3 にシビアアクシデント時に炉心構成材料に生じると考えられる種々の現象を、 図4 に構成材料間に生じる反応速度定数の温度依存性を示す。
総合試験として燃料集合体規模で溶融挙動を調べた代表的な実験を 表2 に示す。この内TMI−2事故調査は、TMI−2の損傷炉心自身を調査解析をしたものである。また、PBF−SFD実験、ACPR−DF実験、NRU−FLHT実験は米国のSFD計画(Severe Fuel Damage and Fission Product Source Term Research計画)として燃料の挙動を調べたものであり、その後CSARP計画(Cooperative Severe Accident ResearchProgram)として実施されている。 Severe
CORA実験はドイツで電気加熱方式で行われた実験であり、炉外実験の利点を活かして20回以上の実験を行い多くの知見を得ている。OECD/LOFT実験は米国のLOFT炉を利用した大規模な実験であり、小規模実験とTMI−2事故とをつなぐ実験として評価されている。
一方、溶融燃料が原子炉容器下部に落下した場合の原子炉容器の健全性に関する代表的な研究として、 表3 に示す実験が行われている。このうち、ALPHA計画はわが国の原研(現日本原子力研究開発機構)で行われているもので、最大50?までのアルミナを用いた原子炉容器内溶融炉心の冷却性実験であり、溶融炉心の下部ヘッド内での冷却メカニズムの解明が進められている。
3.研究の成果
これら一連の個別実験、総合実験等の研究から下記のことがらが明らかになってきている。
(1)燃料の溶融に先行して燃料より低融点の炉心構成材料が溶融し、これが燃料集合体全体の損傷過程に重要な影響を及ぼすこと。
(2)異種金属の接触(制御棒材であるB4CとステンレスやAg−In−Cdとジルカロイ、燃料被覆管材であるジルカロイとスペーサ材のインコネル、燃料のUO2とジルカロイ等)においては、高温になると共融現象によってより低温で溶融が始まること。
(3)炉心の下部は温度が低いので、上部で溶融した燃料は下部で凝固し、冷却流路を閉塞させて炉心の冷却を阻害する可能性が増すこと。
(4)原子炉容器内での溶融炉心の冷却性について、原研(現日本原子力研究開発機構)でのALPHA実験では、冷却水が存在すると原子炉容器壁と固化したアルミナとの間に隙間ができて、これが熱抵抗層として働くとともに侵入した水が冷却効果を発揮して、原子炉容器の溶融を防止する効果を生じていると推測されるなどの研究成果が出されていること。
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-図/表-
表1 炉心構成材料に占める各構成元素の割合(TMI−2の場合)
表2 代表的な燃料集合体規模での損傷・溶融実験
表3 原子炉圧力容器の健全性実験
図1 シビアアクシデント時の原子炉格納容器内の主要な現象
図2 TMI−2事故終息後の炉心損傷状況推定図
図3 シビアアクシデント時に炉心構成材料に生じる現象
図4 炉心構成材料間の反応速度定数の温度依存性
・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。
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-関連タイトル-
シビアアクシデント時の格納容器の健全性に関する研究 (06-01-01-10)
シビアアクシデント時のFP挙動とソースターム評価 (06-01-01-11)
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-参考文献-
(1)大久保 忠恒ほか(編):軽水炉燃料のふるまい、原子力安全研究協会(1998年)
(2)日本原子力研究所:原子力安全性研究の現状、平成7年(1995年10月)
(3)杉本 純ほか:シビアアクシデントに関するCSARP計画の成果、日本原子力学会誌Vol.39、No.2(1997)
放射性物質:ヨウ素、福島で2万3000ベクレル
文部科学省は29日、福島県(福島市)の雨などの定時降下物1平方メートル当たりから、放射性ヨウ素2万3000ベクレル、放射性セシウム790ベクレルが検出されたと発表した。東日本大震災発生以降、福島県では水道水や土壌などの放射性物質測定のため計測機器が足りず、定時降下物の調査ができていなかった。高木義明文科相は「直ちに原子力安全委員会で分析するが、茨城県ひたちなか市でヨウ素9万3000ベクレルが検出された際は健康に被害はないと判断された」と説明した。
都道府県に設置するモニタリングポスト(自動観測局、MP)も、震災で計測機器が破損していた宮城県で28日夕から調査を開始。29日午後5時時点での1時間当たりの大気中放射線量は、通常値を超える0.103マイクロシーベルトだった。他の7都県でも通常値を上回った。
28日に採取した水道水1キログラムでは茨城、栃木、埼玉、東京など10都県で放射線ヨウ素0.77〜33ベクレル、栃木、東京など5都県で放射性セシウム0.32〜4.9ベクレルが検出された。数値は低下傾向。
一方、原発から20〜60キロ離れた福島県内の45カ所の屋外で、29日午前6時〜午後5時6分にモニタリングカーで調査したところ、1時間当たりの大気中放射線量は0.3〜73.5マイクロシーベルトだった。【篠原成行】
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福島第1原発:被ばく2作業員搬送 足に放射性物質
毎日新聞 2011年3月29日 20時45分(最終更新 3月29日 22時30分)
-福島第1原発-汚染水は数千トン 除去作業難航
毎日新聞 3月29日(火)22時8分配信
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発について、東電は29日、タービン建屋地下で見つかった高い放射線量を持つ汚染水の除去作業を継続した。しかし、汚染水が数千トンを超える見通しで、高濃度の放射能を帯びているため作業は難航している。内閣府原子力安全委員会の代谷誠治委員は29日、2号機の原子炉圧力容器が破損している可能性に言及した。圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄製で、核燃料を封じ込める最も重要な防護壁だけに、事態は深刻さを増している。
計画では、タービン建屋内にたまった汚染水をポンプで室内の復水器に送る。復水器は原子炉で発生し、発電のためにタービン建屋に送り込まれた蒸気を水に戻す装置だ。
このうち、1号機ではタービン建屋内の汚染水を24日夕から毎時6〜18トンポンプでくみ上げ、室内にある復水器に送り込んでいる。効果は不明だ。2号機では1号機と同様の作業を予定しているが、汚染水から毎時1000ミリシーベルト以上の高い放射線量を検出。被ばく回避の必要性から作業は遅れている。
2、3号機では復水器が満水で、汚染水を復水器に入れるための「玉突き作戦」に着手。復水器の水を「復水貯蔵タンク」に入れようと、このタンクの水を「サージタンク」と呼ばれるタンクに移す。
1〜3号機ではタービン建屋外の「トレンチ」と呼ばれるトンネル状の構造物から放射能を帯びた水(計約1万3000トン)が見つかったが、回収の見通しは立っていない。
経済産業省原子力安全・保安院は「汚染水をすべて回収しようと、いろいろ考えている」としている。
このほか、1号機では原子炉の温度が一時300度を上回る異常事態だったが、注水量を毎分113リットルから141リットルに増やし、改善傾向にある。4号機では29日、中央制御室の照明が点灯し、同原発の全6基の制御室が再開した。
一方、圧力容器の損傷が指摘された2号機は14日に原子炉の冷却機能を喪失。炉の水位が低下し、燃料棒が8〜9時間、水面から完全に露出する「空だき状態」になった。15日には格納容器の一部の「圧力抑制プール」で爆発が起き、格納容器損傷が指摘されている。その後、放射線量が毎時1000ミリシーベルト以上の汚染水がタービン建屋などで見つかった。代谷委員は「圧力容器内は高温なのに圧力が上がってこない。どこかが損傷している可能性がある」と語った。
東電は高線量の汚染水について「原子炉内で破損した核燃料に触れた水が、何らかの経路で漏れた。圧力計が壊れている可能性もある」としている。【西川拓、伊藤直孝、藤野基文、日野行介】
建屋、特殊布で覆う案 内閣、放射性物質の飛散防止に(1/2ページ)2011年3月30日3時3分
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放射性物質の飛散対策(イメージ)
東京電力福島第一原発で、建屋が吹き飛んだ1、3、4号機に、特殊な布をかぶせて放射性物質の飛散を防ぐ策を菅内閣が検討している。原子炉を安定して冷却するための電源復旧などに向けた作業環境を確保するためだ。タービン建屋地下に漏れ出した高濃度の放射能を含む汚染水の対策には、汚染水をタンカーで回収する案も出ている。東電の作業は難航しており、より大がかりな計画が必要との認識だ。
関係者が朝日新聞社の取材に明らかにした。二つの対策は、放射性物質が原子炉から出続けていることで、原子炉の冷却作業がうまく進まなくなったため、急きょ出てきた。自然環境に大量の放射性物質をまき散らせていることへのあせりもある。
大気への飛散対策では、まず1〜4号機の建物内に付着している放射性物質に、特別な塗料を吹き付けて、閉じこめる。
次に、原子炉建屋の上部を失っている1、3、4号機の壊れた部分を、特殊な布製の仮設建屋で覆う。密閉すると再び水素爆発が起きる危険性が出てくるため、フィルター付きの換気設備を取り付けることも検討している。
タンカーで回収する方法は、強い放射性物質を含む汚染水の存在が、電線敷設やポンプなど各機器の復旧など、原子炉を冷やすために必要な作業の妨げになっていることや、水量が増え海にあふれ出る危険性が指摘され始めたため、首相官邸を中心に28日に浮上した。
具体的には、第一原発の港湾部に空のタンカーを横付けし、2号機などに大量にたまっている放射性物質で汚染された水をポンプなどを使って移す案が出された。
ただし、国土交通省などから、大型のタンカーをつけられる岸壁施設が整備されていない、など慎重な意見が出た。ポンプで水を移す際の作業員の安全が確保できない、といった反対意見も広がった。
菅内閣はこのほかにも、厳しい放射線環境下で人間が作業することには限界があるため、ロボットを使ったり、機材をリモコンで操作したりするなどの対応も、産業界や米国と連携して考えている。
第一原発の事故問題などを担当する首相補佐官に任命された馬淵澄夫・前国土交通相が、細野豪志・首相補佐官とともにチームをつくり、対策を練り始めた。
対策チームには関係省庁や原子力安全委員会などの関係機関、東京電力、原発設備に関係する電機メーカー、ゼネコンなどが入っている。米国からも原子力規制委員会が参加している。
チームは「遮蔽(しゃへい)」「リモートコントロール」「燃料取り出し・移送」の三つの班に分かれ、検討作業を進めている。
「燃料取り出し・移送」班は、建屋が倒壊した場合、どうやって破損した燃料を取り出し、どこに運ぶかを検討している。
公務員給与5%カット検討=東日本大震災の復興財源—民主
時事通信 3月30日(水)2時32分配信
東日本大震災の復旧・復興財源をめぐり民主党内で、国家公務員の給与を5%カットする案が浮上していることが29日、分かった。2011年度で約1500億円を捻出する。人事院勧告に基づかない給与引き下げは極めて異例だが、全体で10兆円を超えるとされる震災復興費用の財源確保のためにはやむを得ないと判断した。
同日成立した11年度予算に計上されている国家公務員の給与費総額は3兆7642億円。民主党案では、月給などを特例的に5%削減する給与法改正案を通常国会へ提出。6月以降に引き下げた場合、約1500億円が捻出できる見通しで、がれき撤去などの災害支援策を盛り込む11年度第1次補正予算案の財源に充てる。
-福島第1原発-汚染水は数千トン 除去作業難航
毎日新聞 3月29日(火)22時8分配信
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発について、東電は29日、タービン建屋地下で見つかった高い放射線量を持つ汚染水の除去作業を継続した。しかし、汚染水が数千トンを超える見通しで、高濃度の放射能を帯びているため作業は難航している。内閣府原子力安全委員会の代谷誠治委員は29日、2号機の原子炉圧力容器が破損している可能性に言及した。圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄製で、核燃料を封じ込める最も重要な防護壁だけに、事態は深刻さを増している。
計画では、タービン建屋内にたまった汚染水をポンプで室内の復水器に送る。復水器は原子炉で発生し、発電のためにタービン建屋に送り込まれた蒸気を水に戻す装置だ。
このうち、1号機ではタービン建屋内の汚染水を24日夕から毎時6〜18トンポンプでくみ上げ、室内にある復水器に送り込んでいる。効果は不明だ。2号機では1号機と同様の作業を予定しているが、汚染水から毎時1000ミリシーベルト以上の高い放射線量を検出。被ばく回避の必要性から作業は遅れている。
2、3号機では復水器が満水で、汚染水を復水器に入れるための「玉突き作戦」に着手。復水器の水を「復水貯蔵タンク」に入れようと、このタンクの水を「サージタンク」と呼ばれるタンクに移す。
1〜3号機ではタービン建屋外の「トレンチ」と呼ばれるトンネル状の構造物から放射能を帯びた水(計約1万3000トン)が見つかったが、回収の見通しは立っていない。
経済産業省原子力安全・保安院は「汚染水をすべて回収しようと、いろいろ考えている」としている。
このほか、1号機では原子炉の温度が一時300度を上回る異常事態だったが、注水量を毎分113リットルから141リットルに増やし、改善傾向にある。4号機では29日、中央制御室の照明が点灯し、同原発の全6基の制御室が再開した。
一方、圧力容器の損傷が指摘された2号機は14日に原子炉の冷却機能を喪失。炉の水位が低下し、燃料棒が8〜9時間、水面から完全に露出する「空だき状態」になった。15日には格納容器の一部の「圧力抑制プール」で爆発が起き、格納容器損傷が指摘されている。その後、放射線量が毎時1000ミリシーベルト以上の汚染水がタービン建屋などで見つかった。代谷委員は「圧力容器内は高温なのに圧力が上がってこない。どこかが損傷している可能性がある」と語った。
東電は高線量の汚染水について「原子炉内で破損した核燃料に触れた水が、何らかの経路で漏れた。圧力計が壊れている可能性もある」としている。【西川拓、伊藤直孝、藤野基文、日野行介】
夕食後、しばらくしてTVをつけたら古舘キャスターの横で原発事故を解説した人に記憶があった。
解説曰く「チェルノビリと違い、周りが容器で覆われいるので心配はありません」。
オイオイ、20数年前、反対派に地震・津波等の危険性を指摘されながら、対策は万全で心配ないと言ったのは誰だ。楽観的なのにも程がある。
どっかにテープがあるはずなので探して全員の発言内容をチェックしようと思う。
下は、当時の原発問題の「朝生」出演者リスト。
広瀬隆は今週号の週刊朝日で再度、最悪の危険性があることを論じている。当時の発言で記憶に残っているのは、室田氏が原発は決してコストがあわないことを総合的に論じていたこと。さて石川氏はどうか。
「朝まで生テレビ」
1988年7月29日
田原総一朗、渡辺宜嗣、美里美寿々
-推進派-
逢坂國一((財)省エネルギーセンター専務理事)
石川迪夫(日本原子力研究所・動力試験炉部長)
加納時男(東京電力(株)原子力本部副本部長)
近藤達男(日本原子力研究所・燃料・材料工学部長)
竹内榮次(中部電力(株)原子力計画部長)
田中紀夫((財)日本エネルギー経済研究所研究理事)
沼宮内弼雄(日本原子力研究所・保健物理部長)
舛添要一(東京大学・教養学部政治学科助教授)
森雅英(関西電力(株)原子力本部副本部長)
渡辺昌介(元・動力炉・核燃料開発事業団環境資源部長)
-是々非々派-
西部邁(評論家)
コリーヌ・ブレ(フランス「リベラシオン」特約記者)
山口令子(ニュースキャスター)
栗本慎一郎(明治大学法学部教授)
-反対派-
石沢善成(青森県南津軽郡常盤村農協組合長)
大島渚(映画監督)
小原良子(大分県主婦。著書「原発いらん、命がだいじ」ほか)
小中陽太郎(作家、評論家)
槌田敦(理化学研究所研究員)
暉峻淑子(埼玉大学教授)
中島哲演(福井県明通寺福住職)
平井孝治(九州大学工学部助手)
広瀬隆(著書「東京に原発を!」ほか)
室田武(一橋大学経済学部教授)
10m津波想定せず…全国54基、電源喪失恐れ
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全国の原子力発電所が、東日本巨大地震で発生した10メートル級の津波を想定しておらず、想定を超えた津波に襲われると福島第一原子力発電所と同様の電源喪失に陥る恐れのあることが、読売新聞社の調査でわかった。
経済産業省は福島での事故を受けて、電力各社に対策の強化を求めるが、各社とも対応に追われている。
大地震などの際、運転中の原子炉を安全に停止するには、炉を冷却する装置が働く必要がある。各原発は、通常の外部電源が止まった時のために非常用電源を備えるが、福島第一原発では非常用ディーゼル発電機が津波で浸水し故障した。
読売新聞社が、全国の商業用原発54基について調べたところ、津波の想定は最高でも北海道電力泊原発(泊村)の9・8メートルで、最も低い関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は0・74メートルだった。
各社は、非常用電源を置く敷地が津波の想定より高いことから「安全」と判断している。
しかし、今回の津波では、福島第一原発が想定を上回る14メートルの津波に襲われたとみられるほか、日本原子力発電東海第二発電所(茨城県東海村)と東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)も、非常用の発電機を海水で冷やすポンプや熱交換機が水没で故障し、一部が使用不能になった。
(2011年3月30日08時36分 読売新聞)
「ざっくばらん」班目委員長発言に官邸ピリピリ
. 国の原子力政策の安全規制を担う原子力安全委員会の班目春樹委員長の発言に首相官邸が神経をとがらせている。
班目氏は28日の参院予算委員会で、菅首相が東日本巨大地震発生直後の12日、東京電力福島第一原子力発電所を視察したことについて、「首相が『原子力について少し勉強したい』ということで同行した」と語った。視察が「首相の勉強目的」とも取れる発言だったため、野党が「視察が初動の遅れにつながった」と猛反発。首相は29日の同委で、「そういう(勉強したいという)言葉を発した記憶はない」と打ち消しに躍起となった。
班目氏は22日に首相と面談した後も、「(首相に)呼びつけられ、怒られた」と記者団に説明、首相周辺が「首相は怒っていない」と“訂正”して回る一幕も。過去にも、原子力発電所の運転差し止め訴訟の被告側証人として、「どこかで割り切らないと(原発の)設計はできない」と証言したことがあり、22日の同委では「割り切り方が正しくなく、十分反省している」と述べた。
班目氏は東大教授などを経て、2010年4月に原子力安全委員に任命され、互選で委員長に就任。「ざっくばらんな性格で、偉ぶらない」と評されている。
(2011年3月30日08時11分 読売新聞)
貞観津波想定を…産総研、09年に見直し迫る
. 東日本巨大地震が起きた震源域内では、約1100年前にも巨大地震が起き、宮城—福島県沿岸部を中心に「貞観(じょうがん)津波」と呼ばれる大津波をもたらしたことが、産業技術総合研究所などの調査で判明している。
福島第一原発を襲った今回の津波について、東京電力は「想定外」(清水正孝社長)としているが、研究者は2009年、同原発の想定津波の高さについて貞観津波の高さを反映して見直すよう迫っていた。しかし、東電と原子力安全・保安院は見直しを先送りした。
869年の貞観津波が痕跡を残した堆積層が見つかったのは、宮城県石巻市から福島県浪江町にかけて。海岸線から内陸3〜4キロまで浸水していたことが分かった。貞観津波の450年前に大津波が起きたことも判明。貞観津波クラスが、450〜800年間隔で起きていた可能性がある。産総研活断層・地震研究センターの岡村行信センター長は同原発の想定津波の見直しを迫ったが、聞き入れられなかったという。
(2011年3月30日09時33分 読売新聞)
米軍の爆発物処理ロボット、日本へ無償提供
. 米国は東京電力福島第一原子力発電所事故への対応のため、イラクやアフガニスタンに派遣されている軍用ロボットを無償で提供することを決め、日本政府に伝えた。
29日までに日本に向け、空輸した。
提供されるのは米キネティック社の爆発物処理ロボットで、米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)が資金提供して開発したもの。無線による遠隔操作により、デコボコの不整地を走行することができる無限軌道車で、無人で爆発物探知などができることからイラクやアフガンで実戦にも投入されている。
(2011年3月30日08時44分 読売新聞)
此処より下に家建てるな…先人の石碑、集落救う
. 巨大地震
過去の津波で壊滅的被害を受けた姉吉地区にある石碑(27日、岩手県宮古市で)=菊政哲也撮影
「此処(ここ)より下に家を建てるな」——。
東日本巨大地震で沿岸部が津波にのみこまれた岩手県宮古市にあって、重茂半島東端の姉吉地区(12世帯約40人)では全ての家屋が被害を免れた。1933年の昭和三陸大津波の後、海抜約60メートルの場所に建てられた石碑の警告を守り、坂の上で暮らしてきた住民たちは、改めて先人の教えに感謝していた。
「高き住居は児孫(じそん)の和楽(わらく) 想(おも)へ惨禍の大津浪(おおつなみ)」
本州最東端の●ヶ埼(とどがさき)灯台から南西約2キロ、姉吉漁港から延びる急坂に立つ石碑に刻まれた言葉だ。結びで「此処より——」と戒めている。(●は魚へんに毛)
地区は1896年の明治、1933年の昭和と2度の三陸大津波に襲われ、生存者がそれぞれ2人と4人という壊滅的な被害を受けた。昭和大津波の直後、住民らが石碑を建立。その後は全ての住民が石碑より高い場所で暮らすようになった。
地震の起きた11日、港にいた住民たちは大津波警報が発令されると、高台にある家を目指して、曲がりくねった約800メートルの坂道を駆け上がった。巨大な波が濁流となり、漁船もろとも押し寄せてきたが、その勢いは石碑の約50メートル手前で止まった。地区自治会長の木村民茂さん(65)「幼いころから『石碑の教えを破るな』と言い聞かされてきた。先人の教訓のおかげで集落は生き残った」と話す。
(2011年3月30日07時22分 読売新聞)
高放射線量、主因は15日朝の爆発 風で30キロ圏外へ2011年3月30日11時2分
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福島市や福島県飯舘村の大気から高いレベルの放射線量が出たのは、福島第一原発で15日朝に起きた爆発が主因とする分析結果を、福島大学の渡辺明副学長(気象学)がまとめた。ちょうど、北西へ風がふき、雨も降っていた。いずれも原発から北西へ30キロ圏外だが、突出して高かった。米海洋大気局(NOAA)などの観測データから分析した。
渡辺さんは「今後、大きな爆発がなければ、値は下がっていく」とみている。
福島市と飯舘村の大気中の放射線量は15日の夕方以降に跳ね上がった。福島市では15日午後6時40分に毎時24.24マイクロシーベルト、飯舘村でも午後6時20分に44.7マイクロシーベルトの最高値を記録した。
この日の午前6時過ぎに、福島第一原発2号機と4号機で爆発と損壊があり、放射性物質が放出されていた。渡辺さんは、爆発と複数の気象、観測データとの関係を分析した。この結果、爆発当時、原発近くの大気が北西方向に風で運ばれ、夕方以降に福島市や飯舘村上空を通過していた。また、夕方から断続的に雨が降っており、上空に舞い上がった放射性物質が落下した可能性が高かった。
一方、16日午前も3号機で白煙が上がり、原発周辺では高い放射線量を記録したが、この時は原発から太平洋側に大気が流れ、飯舘村などの放射線量には影響しなかった。
福島市と飯舘村では30日、ピーク時の7分の1、6分の1に下がった。(杉本崇)
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福島第一原発事故、スリーマイル超えレベル6相当に2011年3月25日3時0分
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事故評価と放射能放出量
東京電力福島第一原発の事故は、放出された放射能の推定量からみて、国際評価尺度で大事故にあたる「レベル6」に相当することがわかった。すでに米スリーマイル島原発事故(レベル5)を上回る規模になった。局地的には、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故に匹敵する土壌汚染も見つかっている。放出は今も続き、周辺の土地が長期間使えなくなる恐れがある。
原子力安全委員会は、SPEEDI(スピーディ)(緊急時迅速放射能影響予測)システムで放射能の広がりを計算するため、各地での放射線測定値をもとに、同原発からの1時間あたりの放射性ヨウ素の放出率を推定した。事故発生直後の12日午前6時から24日午前0時までの放出量を単純計算すると、3万〜11万テラベクレル(テラは1兆倍)になる。
国際原子力事象評価尺度(INES)は、1986年のチェルノブイリ原発事故のような最悪の「レベル7=深刻な事故」を数万テラベクレル以上の放出と定義する。実際の放出量は約180万テラベクレルだったとされる。今回は少なくともそれに次ぐ「レベル6」(数千〜数万テラベクレル)に相当する。
経済産業省原子力安全・保安院は18日、福島第一原発の1〜3号機の暫定評価を「レベル5」と発表したが、今後放出量の見積もりが進めば、再検討される可能性が高い。
土壌の汚染は、局地的には、チェルノブイリ事故と同レベルの場所がある。
原発から北西に約40キロ離れた福島県飯舘村では20日、土壌1キログラムあたり16万3千ベクレルのセシウム137が出た。県内で最も高いレベルだ。京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)によると、1平方メートルあたりに換算して326万ベクレルになるという。
チェルノブイリ事故では、1平方メートルあたり55万ベクレル以上のセシウムが検出された地域は強制移住の対象となった。チェルノブイリで強制移住の対象となった地域の約6倍の汚染度になる計算だ。今中さんは「飯舘村は避難が必要な汚染レベル。チェルノブイリの放射能放出は事故から10日ほどでおさまったが、福島第一原発では放射能が出続けており、汚染度の高い地域はチェルノブイリ級と言っていいだろう」と指摘した。
金沢大の山本政儀教授(環境放射能学)によると、1メートル四方深さ5センチで、土壌の密度を1.5程度と仮定すると、飯舘村の1平方メートルあたりのセシウム濃度は約1200万ベクレルに上る。チェルノブイリの約20倍。「直ちに避難するレベルではないが、セシウムは半減期が30年と長い。その場に長年住み続けることを考えると、土壌の入れ替えも必要ではないか」と話した。
健康への影響はどうか。チェルノブイリ原発事故では、強制移住の地域では平均50ミリシーベルト程度の放射線を浴びたとされる。しかし汚染地での長期の住民健康調査では、成人では白血病などの発症率は増えていない。
甲状腺がんは増えたが、事故当時小児だった住民が放射性ヨウ素で汚染された牛乳などを飲んで内部被曝(ひばく)したためとみられている。飯舘村の24日午後までの放射線の総量は、3.7ミリシーベルトだ。
長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「チェルノブイリ原発事故後でも小児甲状腺がん以外の健康障害は認められず、すぐに健康を害するとは考えにくい。高い汚染が見つかった地域では、データをもとに住民と十分に話し合って対応を考えてほしい」と話している。
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東電の清水社長が入院、原発は勝俣会長が指揮
. 福島原発
東京電力は30日、清水正孝社長(66)が29日夜に極度のめまいと高血圧で容体が悪化し、都内の病院に入院したと発表した。
東電によると、29日夜に体調の不良を訴え、会社から社有車で都内の病院に向かい、診断の結果入院することになった。福島第一原子力発電所問題などについての指揮は、今後、勝俣恒久会長(71)が執るとみられる。
清水社長は今月16〜22日も体調不良により、本店(東京・内幸町)内で療養していた。東電は、「体調が回復し次第、復帰する」としている。ただ、政府と共同の「福島原子力発電所事故対策統合本部」の副本部長職は、当面、勝俣会長が代行する見通しだ。
(2011年3月30日13時03分 読売新聞)
消波ブロック、津波には逆効果 切れ目に集中、堤防決壊2011年3月30日12時0分
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津波を想定しない海岸堤防(右)は、消波ブロック(左奥)がとぎれた部分で決壊した。地面がえぐられ、堤防の内側の陸地だった部分まで海水が満ちている=福島県相馬市磯部地区
津波で破壊された福島県相馬市の住宅街。自衛隊員が捜索していた=27日、溝脇正撮影
東日本大震災で被災した福島県相馬市で、沖にある消波ブロックの列の間に津波が集中して、陸側の防波堤が決壊したことが、早稲田大の柴山知也教授(海岸工学)の調査で分かった。消波ブロックなどで高波や高潮に備えていた護岸設備は、前提としていない津波には弱かった。
柴山さんらが調べた相馬市の磯部地区は、砂浜の海岸に設けられた海岸堤防が複数の場所で決壊し、津波が街中に流入した。多くの家屋が押し流され、現在は基礎部分が残されている。
柴山さんによると、磯部地区の海岸堤防は海側に波の力を弱めるブロックを置いて台風などによる高潮や高波に備えている。堤防の沖には、海岸線と平行して消波ブロックが並べられている。消波ブロックの列は、海岸の水質悪化を防ぐためにすき間があけられている。
海岸堤防は、消波ブロックの列の切れ目に面した部分だけが決壊した。消波ブロックの切れ目に津波が集中、強い水流となって海岸堤防を直撃したと考えられる。柴山さんの測定では、磯部地区を襲った津波の高さは6〜8メートル。三陸地方を襲った十数メートルの津波に比べると低い。
福島県の基本計画では、磯部地区の海岸堤防の目的は台風などによる高潮や高波対策で、津波は想定外。国土交通省によると、過去に津波の被災経験の少ない地方では、海岸の防災対策で津波を考慮しないことが多いという。
柴山さんは「津波に備えた防潮堤は、水流に耐える設計で崩れにくいが、磯部地区のような波の勢いを吸収する堤防は、長時間にわたり水流が押し寄せる津波には弱かったのだろう。同様の海岸は多く、対策を考える必要がある」と話した。(長野剛)
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大津波は6時間で7回、高さ最大13mに
読売新聞 3月29日(火)12時22分配信
東日本巨大地震で発生した大津波は、約6時間にわたり三陸海岸に7回押し寄せていたことが、港湾空港技術研究所のデータ解析で明らかになった。
沿岸に到達した際の高さは最大13メートルに達していたとみられる。
同研究所は、岩手県釜石市の沖合20キロ(水深約200メートル)に設置したGPS(全地球測位システム)波浪計で観測された海面変動のデータから、最初の津波は、地震発生から約5分後の11日午後2時50分頃に到達したと分析。沖合20キロの地点で、海面は6分間で約2メートル高くなった後、続く4分間で4メートル以上も急上昇し、最大6・7メートルに達していた。
津波は水深が浅くなると高くなることから、沿岸部で最大13メートル程度になったと推定される。
津波はこの第一波が一番大きく、徐々に低くなったが、同日午後9時前の最後の津波も高さが約1メートルあった。同研究所は「最後の津波も、2010年のチリ津波の最大波より高かった。今回は格段に大きい津波だった」と分析している。 .
破壊力強い「射流」発生 専門家が津波を分析
2011年3月28日 10時39分
マグニチュード(M)9・0を記録した東日本大震災の津波で、通常より高速で破壊力が強い「射流」と呼ばれる水流が発生していたことが、専門家の分析で分かった。南北500キロに及ぶ震源域の一部が周囲より大きく隆起し、特殊な津波を引き起こした可能性が指摘されている。
「堤防から滝のように入り、ビルの3階まで通過した。秒速7、8メートルの流れだ」
岩手県釜石市を襲った津波で生じた射流の映像を、東京大地震研究所の都司嘉宣(つじ・よしのぶ)准教授が説明した。
射流は、波の伝わる速さを上回るスピードで進む水の流れ。波より遅い通常の「常流」は建物にぶつかると左右に避けていくが、射流は上に跳ね上がるようにして建物をなぎ倒す。死者200人の北海道南西沖地震(1993年、M7・8)で奥尻島などを襲った津波でも生じた。
今回は宮城、岩手県の検潮所は機器が壊れたが、東大地震研が釜石市沖55キロと100キロに設置した津波計はともに5メートルの津波を観測。この距離の沖合で1メートル超の津波が観測されたケースはほとんどない。
注目は波形。地震発生から11分間で水位2メートルとゆったりしたペースで上昇し、その後の2分間で一気に3メートル上乗せして鋭い形のピークを描いた。急上昇した波は水深が浅くなると一層増幅。徐々に水位が上がっていた海岸に突然、推定十数メートルの水の壁が現れ、堤防を越えて滝のように流れ落ちた。落下のエネルギーが加わり、陸上で射流になったと都司准教授は考えている。
「直径50キロ程度の狭い範囲の海底が、周囲より3〜4メートル高く隆起したのでは」と話した。
(中日新聞)
津波対策“日本一”も全滅 防潮堤に限界…岩手・田老ルポ
2011.3.28 14:25 (1/2ページ)
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高さ10メートル、長さ2・4キロもあった岩手県宮古市田老の防潮堤。津波は防潮堤を乗り越えた=23日午後、共同通信社ヘリから
総延長2.4キロ、高さ10メートルと国内屈指の防潮堤があった岩手県宮古市田老(たろう)地区。東日本大震災では、国内最大級の大津波が防潮堤の一部を崩壊させた。大量の濁流が地区に流入し、人家を一気にのみ込んでしまった。防潮堤は大津波に対し、どれほどの効果があったのだろうか。防潮堤の周辺を歩き、自分の目と耳で確かめてみた。(内海俊彦)
「防潮堤が壊れるなんて、思ってもみなかった」
崩壊した防潮堤の近くにあった実家が流された盛岡市の会社員、中野直之さん(46)。泥だらけの更地に変わってしまった思い出の地を、力なく見つめながら、こう話した。
陸地を津波から「ナ」の字型に守る防潮堤は、今回の大津波で東側500メートル部分が完全に崩された。引き波の影響なのか、大きなコンクリート壁が海側に向けて、いくつもなぎ倒されている。西側に延びる防潮堤も、表面のコンクリートが完全にはがされていた。
気象庁の観測では、今回の大津波は、宮古市が過去最大の8.5メートル以上を記録。ただ、防潮堤近くの岩肌に設置された、明治三陸津波(明治29年)の水位(高さ15メートル)を示す表示板の上方には、今回の津波で漂着したと思われる木くずが引っかかっていた。過去の津波をしのぐ規模だったことを物語っている。
2011.3.28 14:25 (2/2ページ)
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高さ10メートル、長さ2・4キロもあった岩手県宮古市田老の防潮堤。津波は防潮堤を乗り越えた=23日午後、共同通信社ヘリから
津波で壊れなかった防潮堤の内側にあった区域の家屋も、ほぼ全滅。市によると、地震から2週間以上が経過して、撤去作業がようやく本格化したが、作業のゴールは全くみえない。
田老地区の避難所から津波を眺めていた男性は「大きい津波が何度も防潮堤にぶつかり、高々と白波を上げていた。『ドーン、ドーン』という大きな音もして、とても恐ろしかった」と証言した。
流されずに残った観光ホテルの下層階では、車や木造民家の外壁など津波による漂着物が、むき出しの鉄柱にからみつき、無残な光景が広がっていた。
日戸(ひのと)源一さん(57)と文子さん(55)夫婦は流失した自宅を探しながら、力なくつぶやいた。「防潮堤があるから、自慢の防災の町だったんだけど…。せめて、住民が逃げる時間を稼いでくれたと思いたい」
仙台・若林57%浸水 津波、内陸に最大4キロ
仙台市若林区の荒浜地区は津波で全域が浸水し、壊滅的な被害を受けた=18日
東日本大震災の津波により浸水した面積が、仙台市若林区で区域全体の56.9%に達していたことが、国土地理院の分析で分かった。仙台市周辺の沿岸部は平地が広がっているため、記録的な津波が陸地深くまで押し寄せ、浸水面積が拡大したとみられる。
国土地理院の分析によると、仙台市周辺の浸水状況は表の通り。仙台市は若林区のほか、宮城野区も区域のほぼ3分の1が浸水した。多賀城、名取両市も市域の3割程度に及んだ。
津波は沿岸から2.5〜4キロまで入り込み、仙台東部道路の西側や宮城野区のJR仙石線中野栄駅、名取市の仙台空港周辺なども浸水エリアとなった。
津波は名取川の河口から約6キロ上流まで逆流し、太白区でも川沿いの土手などで浸水があった。
浸水エリアは、若林区や名取市では農地、森林、荒れ地などが7割を占めたのに対し、多賀城市では半分が住宅地や市街地だった。
国土地理院は空撮写真を基に、青森県から福島県までの太平洋沿岸で浸水面積が少なくとも計443平方キロに上り、宮城県では326平方キロに上ることを確認。市町村別にデータを整理した。調査が終わっていない地域もあり、浸水面積は今後変動する可能性もある。
港湾空港技術研究所の現地調査によると、震災による津波は仙台港で7.3〜8メートル、若林区の深沼海岸で9.7メートル、仙台空港ターミナルビルで5.7メートルの高さに達した痕跡が確認されている。
東電会長が会見で陳謝、1〜4号機廃炉を明言
読売新聞 3月30日(水)15時24分配信
東京電力の勝俣恒久会長は30日午後、体調不良で入院した清水正孝社長に代わって記者会見し、福島第一原子力発電所の事故について、「広く社会の皆様に大変なご不安、ご心配をおかけしていることを深くおわびする」と陳謝した。
同原発1〜4号機について「今の状況を見ると廃止せざるを得ない」と明言した。
その上で、同原発周辺に居住する被災者の生活支援に取り組むため、「福島地域支援室」を社内に設けることを明らかにした。
また、農作物などの事故による損害賠償については、「国の支援を受けながら、原子力損害賠償制度に基づき、誠意を持った賠償の準備をしている」とした。
計画停電については、電力需要が増える夏場に向けて電力供給の増強を図り、「最小限にとどめ、さらに回避すべくあらゆる努力をしたい」とした。 .
全原発で緊急用代替電源義務づけ…1か月以内に
読売新聞 3月30日(水)3時9分配信
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、経済産業省がまとめた原発の緊急安全対策の全容が29日、明らかになった。
津波や地震で非常用電源が使えなくなっても、原子炉や使用済み燃料プールを冷却できるよう、電力会社に緊急時の代替電源を用意することを義務づける。11の電力会社に対し、1か月以内に全原発で安全対策を講じ、状況を報告するよう求める。
安全対策は海江田経産相が今月中に通知する。地震後、各地で原発の新設工事を見合わせる動きが出始めているが、電力の安定供給には引き続き原発が重要だと判断し、既存の原発について安全規制を強化する。
具体的には、電源喪失時に必要な要員の配置や訓練、電源車や消防車、消火ホースを備え付けることなどを電力会社に求める。定期検査を終え今月末以降に再稼働の予定だった九州電力の玄海原発2、3号機(佐賀県)は、安全対策を優先するため稼働時期が1か月程度遅れることになる。
勝俣恒久出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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勝俣 恒久
かつまた つねひさ
生年月日 1940年3月29日(71歳)
出生地 東京都
出身校 東京大学経済学部
前職 東京電力社長
現職 東京電力会長
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第10代東京電力社長
任期 2002年9月 - 2008年6月
会長 田村滋美
勝俣 恒久(かつまた つねひさ、1940年3月29日 - )は東京電力代表取締役会長。
目次 [非表示]
1 経歴
2 人物
3 発言
4 役職
5 脚注
経歴東京都立新宿高等学校、東京大学経済学部卒業。1963年、東京電力入社[1]。
1996年6月、取締役企画部長に就任。1998年6月、常務取締役に就任。1999年6月、取締役副社長に就任。2002年10月、原発データ改竄事件で引責辞任した南直哉の後任として東京電力社長に就任する[2]。
「カミソリ勝俣」の異名をとった社長在職時は、先代に引き続き多くの不祥事を露呈した。周囲には「そろそろ疲れてきた」と漏らすものの、他電力への影響を恐れ、辞めるに辞められない時期を過ごした。2008年2月、柏崎刈羽原子力発電所のトラブルの責任を取り引責辞任。代表権は保持したまま、東京電力代表取締役会長に就任する[3]。
現在はCHAdeMO協議会会長などの役職にも就き、電気自動車の普及活動をしている[4]。
人物九州石油元会長の勝俣孝雄は実兄。丸紅元社長の勝俣宣夫は実弟。孝雄・恒久・宣夫で産業界の勝俣三兄弟として知られた[5]。
先代社長の南直哉と同じく企画畑出身で、電力自由化への対応、通信分野への本格参入を手がけてきた。原発データ改竄事件の際は社内の調査委員会の委員長を務め手腕を発揮。社長就任後は独占事業のぬるま湯に浸かる社員に競争意識を植えつけ、そのシャープさから「カミソリ勝俣」と恐れられた[6]。
引責辞任の契機となった柏崎刈羽原子力発電所のトラブルの際、当時の経済産業大臣・甘利明から深夜に呼びつけられ、厳重注意を受けた[7]。
発言「肩書にあぐらをかくのではなく、プレーヤーとして動くことが求められている」(企画部長時代)[8]
「ピンチのとき入社した社員は伸びる」(2003年の入社式での挨拶)[9]
「発電所は、電力が必要になってから建設しても間に合わない。良質の電気を安定供給するために、10年、20年先の電力需要を見越して発電所の整備を進めることが肝要だ」[10]
「安全・安定運転が地元の人の信頼を得るための基本。ヒューマンエラーの再発防止に心がけて欲しい」[11]
役職日本経済団体連合会評議員会副議長(2002年 - 2005年)
日本経済団体連合会副会長(2005年 - 2008年)
日本原燃会長(2005年 - 2008年)
電気事業連合会会長(2005年 - 2008年)
行政刷新会議 政府の物品調達のあり方などを見直す公共サービス改革分科会会長代理(2010年10月)
CHAdeMO協議会会長
安全保障と防衛力に関する懇談会(防衛大綱有識者会議)座長(麻生内閣時代)
「経済危機克服のための『有識者会合』」メンバー
東電・勝俣会長会見(1)「このような事態を引き起こし、心からお詫びします」
産経新聞 3月30日(水)20時41分配信
東京電力は30日、勝俣恒久会長が東京都千代田区の本店で記者会見した。福島第1原子力発電所の事故の収束見通しが立たない中で、29日夜には清水正孝社長が緊急入院する異例の事態となったため、勝俣会長が当面は陣頭指揮をとる。東日本大震災の発生以降、東電のトップが会見するのは、13日に清水正孝社長が会見して以来となる。
-記者会見は30日午後3時から東電本店で始まった。出席者は勝俣恒久会長、原子力・立地本部長の武藤栄副社長、電力流通本部長の藤本孝副社長ら首脳6人。午後2時59分に会場入りし、カメラのフラッシュの放列を浴びた6人の表情は一様に堅い。立ったまま、勝俣会長が福島第1原発の事故後を改めてお詫びし、経緯の説明を始めた-
勝俣会長「勝俣でございます。年度末までに社長から報告させること考えていたが、昨晩入院したため、急遽説明する。3月13日に会見して以降、今日まで時間たってしまった。大変申し訳なく思っています。まずはこのたびの震災で被災した方に心からお見舞いする。福島第1原発の重大な事故、作物、飲料水への影響拡大など、広く社会の方に不安、心配と迷惑かけたことに対して心からお詫びします。とくに発電所近くの双葉町、富岡町、楢葉町など周辺のみなさまには、地震の不安に加え、放射性物質の放出で避難所生活を強いることになり、心身両面で不便を
かけていることを本当に申し訳なく思う。福島知事をはじめ、大震災からの復興などをやる中で、このような事態を引き起こし、迷惑かけたことをお詫びします」
「福島第1は1〜4号機は最終冷却できていない状況にある。こうした中で現在、政府関係省庁、自治体、消防庁、自衛隊など緊急消防隊のみなさま、警察のみなさま、米仏の物資や技術支援、メーカー、ゼネコンの支援と指示をあおぎながら事態の収束に全力をあげて取り組んでいる。このような状況のなかで、避難開始直後より、避難所にいき、生活必需品をお届けしたり、避難所の物資の積み降ろし、食事の配膳などでお手伝いしている。被災されたみなさまの生活支援に取り組むため、福島地域支援室を新たに設ける。このたびの事故は地震によるが、原子力損害については国の支援を頂きながら、原発賠償法に基づき、誠意をもって取り組む」
「今回の地震に伴い大きな被害を受けたため、電力の安定供給が困難な状況だ。広域停電回避するため3月14日から計画停電を実施している。これにより当社サービス区域の住民に迷惑と不便をおかけしたことを心からお詫びする。これまで、みなさまの理解と鉄道の運行調整、オフィス、家庭の節電など幅広い協力、メディアによる計画停電の情報発信など様々な協力をいただいており、不測の広域停電を回避している。供給力確保に向けて全力を あげており、夏には4500万キロワットまで供給力を回復させる。ガスタービンによる供給能力の増強を今後も目指す。一方、需要面では政府で総合的な需要抑制のための計画をして頂いている
が、わたしどもとしても政府と緊密に連携し、国民、産業界の節電理解をたまわりながら、夏の計画停電は最小限として、回避すべく努力する。最後に、引き続き、政府自治体と緊密に連携しつつ、電力各社の応援頂きながら、これ以上の事態悪化防ぐとともに、収束に全力を挙げる」
東電・勝俣会長会見(2)「社長はそれほどかからずに戻り、指揮を執る」 (1/2ページ)2011.3.30 16:02
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会見する東京電力の勝俣恒久会長=30日午後、東京都千代田区の東京電力本店(寺河内美奈撮影)【拡大】
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東電・勝俣会長会見(1)にもどる
-冒頭の説明の後、質疑応答が始まった-
Q 3点質問したい。1つは清水社長が出てこない。これまでの勝俣会長の役割が今までとこれからどう変わるのか。清水社長の復帰はいつからか。もう1つは、原発の復旧の見通しについて、やはり長期化しつつあると思うが、会長がどう見ているか。3点目は、東電として60年の歴史があるが、今回の事故をどう考えるか
勝俣「はい。ええ。お答え申し上げます。まず、どういう役割かということだが、わたし自身、今、統合本部の毎日の会議に出席している。とくに、清水社長が16日から21日まで不在だったのを踏まえて、海江田万里経済産業相をはじめ官邸と、ときには話しをさせて頂いている。次の質問に絡むが、社長はそれほどかからずに戻り、指揮を執ると考えているが、その間、わたしとしては今まで通りの役割を果たす。それから原発の復旧の見通しは、正直、冷温に保つという最終冷却がまだできていない状況だ。最近は少し安定してきたが、冷温冷却できるようにならないと、安定しない。最大限そこに注力することが第一。それ以降、いろいろ課題あるが、こうした点については、今後、どういうステップでいくかを詰めたい」
Q 2点ある。海水を注入した1〜4号機は今後、廃炉になるとの認識はあるか。また、耐震や津波の対策について、東電としての責任についてはどう考えるのか
勝俣「まず海水注入は大きな問題。1〜4号機の今の状況を客観的にみると、恐らく廃止せざるを得ないと考えている。耐震の問題については、今回の地震、津波がどういうものであったか。これまでの対応どうだったか。今後、事故調査委員会を設けて、着実にチェックしたい」
Q 今回の事故が発生したことや、事態収束が長引いていることについて、政府、東電含めて、オペレーションのまずさによる人災の側面があるが、どう受け止めているのか
勝俣「はい。わたし自身はまずさというのは感じられませんでした。ただ、現場は電気が消えている。通信もできない状況で、いろいろ作業しなければならなかった。いろんな作業が予定より長くかかった。これまでボタン1つで動いたものが、手動でやらないといけない状況があって、意図せざる遅れがあったということかと思います」
【放射能漏れ】「経営者が雲隠れ」 米紙が東電社長を批判2011.3.29 20:19
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記者会見に臨む東京電力の清水正孝社長(中央)ら=13日夜、東京・内幸町(松本健吾撮影)【拡大】
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は29日、「経営者が雲隠れ」との見出しで、福島第1原発事故発生から2日後の13日以降、公の場に姿を見せていない東京電力の清水正孝社長を批判する記事を掲載した。
同紙は、問題が起きた際に連絡が取れなくなるのは、日本の経営者や政治家によくあることだと指摘。その上で、社長の行動を「理解できない」とする西岡武夫参院議長の発言や、メディアの間で社長の刑事責任を問うよう求める意見が出ていることを例に挙げ、批判が強まっていることを伝えた。記事は「誰もが清水社長は辞任することになると思っている」と指摘する一方で、「電力会社と政治家、原子力規制当局の緊密な関係を引き離さなければ解決にはつながらない」とする日本国民の声を紹介した。東電は27日、清水社長が16日に過労から体調を崩し、政府・東電の統合連絡本部を数日間離れていたことを明らかにした。
深刻危機に社長不在=「支障あり」と認める−東電
時事通信 3月30日(水)21時1分配信
「長期不在なら、支障が出てくる」。東京電力の勝俣恒久会長は30日の記者会見で、清水正孝社長が29日夜、体調を崩して入院したことによる社内の意思決定への影響を認めた。勝俣会長は「私が全体の調整役とならざるを得ない」と語るが、福島第1原発が深刻な状況に陥り、東電株価の下落も止まらないときにトップが欠け、同社が危機を抜け出す予兆は見えない。
勝俣会長によると、清水社長は29日、東電本社内の「福島原発事故対策統合連絡本部」の会議に出席。ところが、夜になって体調悪化の知らせを受け「びっくりした」と驚きを隠せない様子だ。社長は今月16〜21日も体調不良で本部を離れており、勝俣氏が「それほど(日数が)かからずに社長は戻る」と力説しても、不安は消えない。
清水社長から辞任の申し出はなく、当面は経営トップにとどまる見通しだ。その状態で「福島第1原発の事態の収束に全力を尽くすことが、私の最大の経営責任」と決意表明する勝俣会長。枝野幸男官房長官も、現時点では「(東電が)組織体としてしっかり責任を果たすことが重要だ」と述べるにとどまった。ただ、未曽有の原発事後に直面する中、健康不安を抱える社長が居座ることで、危機管理の観点から新たな批判を浴びかねない苦境に陥ったのは間違いない。
東京電力 清水社長の辞任は不可避
毎日新聞 3月30日(水)20時23分配信
拡大写真
東京電力の清水正孝社長=東京都千代田区で2011年3月13日、久保玲撮影
東京電力は30日、清水正孝社長(66)が29日夜に体調を崩して緊急入院したと発表した。原発事故の深刻化や計画停電などを巡り重要な経営判断を迫られる中でのトップ不在という異例の事態となり、清水社長の辞任は不可避の情勢となった。当面は社長職を代行する見通しの勝俣恒久会長は「社長から辞意は出ていない」と述べたが、清水社長復帰のめどがつかない中、東電は最高責任者の長期不在を避けたい考えだ。
【社長不在の事態に】東電社長が入院 高血圧とめまい
清水社長は事故直後、社内に設けた原子力緊急時対策本部の本部長に就任。15日には、事故対応を政府と一体で進めるために設置した「事故対策統合本部」(本部長=菅直人首相)の副本部長に就いたが、翌16日から体調を崩し、本店内で静養。22日にはいったん復帰したが、29日夜に再び体調を崩して都内の病院に入院した。【山本明彦】
【メディアと社会】原発事故報道と企業の社会的責任 渡辺武達
配信元:
2011/03/30 15:26更新
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.記事本文 3月11日以来、報道の多くが東日本大震災関連で、民放のCMも今は公徳心喚起のACジャパンによるものが中心。しかし、新聞は論理とデータで、テレビは映像で、ラジオはきめ細かな情報を中心に、人々の生命と財産の保全に大奮迅で、報道機関の使命を果たしている。チェーンメールや未確認情報が飛び交い、ネットは「巨大井戸端会議」化しているが、利用者にはそれらを割り引いて理解するメディアリテラシーがある。原発問題を除き、日本の社会情報環境は安心できる水準にあるといってよい。
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【「リスク」を読む】原発事故は予測で…
原発の在り方が争点に急浮上
記事本文の続き ■初めから真実の公開を
加えて、被災者を救援する消防士、警察官、自衛官、医師、原発の修復作業員、ボランティアの方々の無私の行動には頭が下がる。若い警察官が恋人に「今行かないと自分は一生悔やむことになる」と述べ、福島へ向かったそうだが、そうした人々が日本の凄(すご)さとして世界中から称賛されている。
しかし、政府と企業、メディアと国民との関係には今後改善すべき問題点がないわけではない。
第1は、原発事故の情報開示についてである。地震と津波について、私たちはかなり正確に理解できている。だが、原発事故について、CNN(米国)やBBC(英国)、その他の外国メディアでしか、実体がほとんどわからないのは問題である。日立製作所の高速増殖炉元設計技師で、マッキンゼー日本支社長の大前研一氏(67)が19日の公開講演で、東京電力(以下、東電)の情報隠蔽(いんぺい)体質を告発している。筆者もまた東電だけではなく、他の電力各社もこの点で「企業の社会的責任(CSR)」を果たしてこなかったと思う。
建屋の水素爆発を「大きな音がして外壁がはがれ、白煙が出た」、放射線量は「直ちに健康に影響しない」といい、官房長官や原子力保安院がオウム返しする。同時に、飲料水や野菜の汚染、摂取注意が公報されるから人々の不安感が増す。日本人は致命的なパニックなど起こさないから、初めから真実を公開すべきなのだ。
■「安全神話」作りに加担
第2は、メディア自体もCSRの問題は免れないということだ。電気業界はCM提供などあらゆる方法で原発の「安全神話」を作りあげてきた。東海村JCO臨界事故(1999年)や中越沖地震による柏崎刈羽(かしわざきかりわ)原発事故(2007年)では、下請け企業の失敗や「想定外」の自然災害を原因として挙げ、メディアもそれを是認してきたからである。しかも深刻な被曝(ひばく)者はたいてい下請け会社員だから、これは現在起きていることの正確な説明という報道原則に反している。
そうした無理の連続が日本の経済外交の柱の一つである「原発システム」の対外販売を絶望的にしてしまった。
筆者は原子力発電がどうしても必要であれば、政府と事業者はその功罪を正直に公開し、民意を問うべきだと主張してきた。かつて、四国の自然食品店が小さなフリップ広告の片隅に、「原発バイバイ」と書いたときも、現地のテレビ局はそれを偏ったメッセージだとして放映契約の途中で打ち切った。筆者はこの裁判の特別弁護人を務め、それこそ、強者の論理による自由な言論の抑圧だと断じた(拙著『メディア・トリックの社会学』世界思想社刊を参照)。
■評価を左右するもの
報道原則の第3は、同種の過ちを繰り返させないことだが、週刊誌はそんなことはお構いなしである。「新聞や放送が報じない…」とか、「次の大地震はいつ、どこか」などと恐怖だけを煽(あお)る記事も多い。現総理が平時の日本のリーダーとして最適人物ではないと筆者も思う。だが、「菅直人、亡国の7日間」などとの貶(おとし)め方はいかがなものか。
現在の原発政策を進めてきたのは歴代の自民党政権だ。それを大半の国民が受けいれ、地元には利益還元もされてきたのだから、現内閣への批判は復興作業にかかってからでもよい。半面、東京都知事の「震災は日本社会の我利私欲化への天罰だ」、大阪府議会議長の「震災は大坂への天の恵みだ」といった放言はKYであるばかりか、人格さえ疑う。
仙台の自宅で地震の恐怖と被害のひどさを体験したある作家が週刊誌で、「テレビは真実を映していない」と怒っているが、そんなことは神戸地震の報道で現地被災者がさんざん批判したことだ。メディア情報はすべて取材された間接的なものであり、メディアの評価は被害の実相と被害者の気持ちにどこまで寄り添えているかで決まる。
(同志社大学社会学部教授 渡辺武達
原発事故、最悪の中の最悪を考えなかった
配信元:
2011/03/30 06:58更新
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原発は化け物『経産省と保安院、菅首相が分離検討の意…アホ山!今こそ「友愛」の出番だぜ(嘲)原発事故の先般は?知ってって書かなかっ…(゚∀゚)敗因分析と対策安心させて、その後に、また小出しで、不…プロパガンダは「安全」真実は「危機」東日本大震災「汚染水の排出作業難航」今回の原発事故の教訓こんなカスの意見はきくな!
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記事本文【正論】
≪許されぬ「想定外」の言い訳≫
原発事故下にあえぐ福島県の地域住民の方々、ならびに、原発の現場で日夜を問わず国の破綻を防いでくれている多くの勇敢な方々に、まず、心からの同情と感謝を申し述べたい。これから後は、いよいよ指導者たちが政治的勇気を見せる番ではないかと考える。
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福島原発危機 「長期化」覚悟で対応を…
原発の津波対策を緊急実施 東北電力
記事本文の続き 今度の福島第1原発の事故は、原子力技術そのものの故障ではなく、電源装置やポンプや付帯設備(計器類など)の津波による使用不能の事態が主因である。防止策として予(あらかじ)め小型発電機を設置しておくべきだったと批判する人がいたが、福島では非常用ディーゼルが用意されていて、しかも、それがちゃんと動いたと聞く。しかしディーゼルを冷却するポンプが海側にあって流され、冷却できなかった。これがミスの始まりだったようだ。電源が壊れ、原子炉への注水機能がきかなくなった。Aの電源が壊れたらBの電源…C、Dと用意しておくほど、重大な予防措置が必要なはずではないか。
東北は津波のたえない地域である。設計者はそのことを当然知っていた。東京電力は今回の津波の規模は「想定外」だというが、責任ある当事者としてはこれは言ってはいけない言葉だ。たしかに津波は予測不能な大きさだったが、2006年の国会で、共産党議員がチリ地震津波クラスでも引き波によって冷却用の海水の取水停止が炉心溶融に発展する可能性があるのではないかと質問していた。二階俊博経産相(当時)は善処を約していたし、地元からも改善の要望書が出されていたのに、東電は具体的改善を行わなかった。
同原発は原子炉によっては40年たち、老朽化してもいたはずだ。東電が考え得るあらゆる改善の手を打っていた後なら、津波は「想定外」の規模だったと言っても許されたであろう。危険を予知し、警告する人がいても、意に介さず放置する。破局に至るまで問題を先送りする。これが、日本の指導層のいつもの怠惰、最悪の中の最悪を考えない思想的怠慢の姿である。福島原発事故の最大の原因はそこにあったのではないのか。
≪「フクシマ」に国家の命運かかる≫
作業員の不幸な被曝(ひばく)事故に耐えつつも日夜努力されている現場の復旧工事は、今や世界注視の的となり、国家の命運がかかっているといっても過言ではない。何としても復旧は果たされなければならない。230キロの距離しかない首都東京の運命もここにかかっている。決死的作業はきっと実を結ぶに違いないと、国民は息を詰めて見守っているし、とりわけ同型炉を持つ世界各国は、「フクシマ」が日本の特殊事情によるものなのか、他国でも起こり得ることなのか、自国の未来を測っているが、日本にとっての問題の深刻さは、次の2点であると私は考える。
第一は、事故の最終処理の姿が見えないことである。原子炉は、簡単に解体することも廃炉にすることもできない存在である。そのために、青森県六ケ所村に再処理工場を作り、同県むつ市に中間貯蔵設備を準備している。燃料棒は4、5年冷却の必要があり、その後、容器に入れて貯蔵される。しかし、福島第1原発の燃料はすでに溶融し、かつ海水に浸っているので、いくら冷却してもこれを中間貯蔵設備に持っていくことはできないようだ。関係者にも未経験の事態が訪れているのである。
≪見えて来ぬ事態収拾の最終形≫
殊に4号機の燃料は極めて生きがよく、いくら水を入れてもあっという間に蒸発しているらしい。しかも遮蔽するものは何もない。放射性物質は今後何年間も放出される可能性がある。長大で重い燃料棒を最後にチェルノブイリのようにコンクリートで永久封印して押さえ込むまでに、放射線出しっ放しの相手を何年水だけを頼りにあの場所で維持しなければならないのか。東電にも最終処理までのプロセスは分からないのだ。
それに、周辺地域の土壌汚染は簡単には除染できない。何年間、立ち入り禁止になるのか、農業が再開できるのは何年後か、見通しは立っていない。当然、補償額は途方もない巨額となるだろう。
問題の第二は、今後、わが国の原発からの撤退とエネルギー政策の抜本的立て直しは避け難く、原発を外国に売る産業政策ももう終わりである。原発は東電という企業の中でも厄介者扱いされ、一種の「鬼っ子」になるだろう。それでいて電力の3分の1を賄う原発を今すぐに止めるわけにいかず、熱意が冷めた中で、残された全国48基の原子炉を維持管理しなくてはならない。そうでなくても電力会社に危険防止の意志が乏しいことはすでに見た通りだ。国全体が「鬼っ子」に冷たくなれば、企業は安全のための予算をさらに渋って、人材配置にも熱意を失うだろう。私はこのような事態が招く再度の原発事故を最も恐れている。日本という国そのものが、完全に世界から見放される日である。
手に負えぬ48個の「火の玉」をいやいやながら抱きかかえ、しかも上手に「火」を消していく責任は企業ではなく、国家の政治指導者の仕事でなくてはならない。(評論家・西尾幹二)
「早く淡水に」「水源は」=菅首相から時々電話—東電会長
時事通信 3月30日(水)21時1分配信
「(原子炉を冷やすため注入している)海水を早く淡水に切り替えたらどうか」「水源はどうなっているのか」—。東京電力の勝俣恒久会長は30日の記者会見で、原発事故への対応をめぐって菅直人首相から電話で受けた最近の指示内容の一端を明らかにした。
菅首相は、東電本社内に設置された政府と東電による「福島原子力発電所事故対策統合本部」のトップ。首相は常駐していないが、勝俣会長は「時々、電話をいただく」という。電話以外にも本部に詰めている首相のスタッフを通じて連絡を取っているとしている。
また、菅首相が東日本大震災発生の翌日に福島第1原発を視察したことが原子炉から気体を放出するベント作業の遅れを招いたとの指摘について、会見に同席した武藤栄副社長は「ベントを早くするように(政府から)指示をいただき準備に入ったが、電源がない悪い環境の中で、ベントを行うまでに少し時間を要した」と述べた。
「5、6号機も廃炉に」東電会見に住民怒りの声
読売新聞 3月30日(水)20時44分配信
東京電力の勝俣恒久会長が福島第一原発1〜4号機について、「廃止せざるを得ない」「(住民が地元に戻れるのは)数週間では厳しい」などと述べたことを受け、福島県内各地で避難生活を送る住民からは、「5、6号機も廃炉に」「一刻も早く先行きを示せ」などと、改めて怒りの声が上がった。
東日本巨大地震後、東電の最高責任者が記者会見に応じたのは、13日の清水正孝社長以来17日ぶり。2時間以上にわたり、報道陣の質問に応じた勝俣会長は「最大限の補償、おわびをしたい」とし、情報提供の遅れが相次いでいることについて「情報を隠すということは全くないが、ミスが生じたりタイミングが遅れたりしているのは申し訳ない」と謝罪した。
同県田村市の市総合体育館に避難している大熊町大河原の無職市川武さん(68)は「こんな事故を起こしたんだから廃炉は当然」と語り、「避難生活はすでに2週間以上。体じゅうが痛く、心も休まらない。いつまでこんな生活が続くのか」と憤った。
保安院、経産省から分離へ=推進と規制、同一組織に問題—原発事故受け、政府・民主
時事通信 3月30日(水)17時16分配信
政府・民主党は30日、東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、原発に関する安全行政を抜本的に見直す方針を固めた。東電や経済産業省原子力安全・保安院の初動対応が遅れた原因を徹底分析するとともに、事故が終息に向かえば、具体案の検討に入る。菅政権内では、原子力の推進と規制の両部門が同一組織にあることで、「安全面のチェックが甘くなっていた」との見方が広がっており、保安院を経産省から分離する方向で検討する。
保安院は経産省の外局で、原子力施設の設置許可や保安検査などの安全規制が主な業務。2001年の中央省庁再編で、旧科学技術庁などに分かれていた原子力業務を一元化する形で設置された。ただ、同省には、原発を推進する資源エネルギー庁もあり、当時から「アクセルとブレーキを同じ役所が握るのは問題」との指摘があった。原発を抱える福島県の佐藤雄平、新潟県の泉田裕彦両知事はかねて、保安院の分離を政府に求めていた。
こうした中、対応の遅れから原発事故は深刻な事態に発展。菅直人首相は30日、首相官邸で会談した福島瑞穂社民党党首から保安院の分離を求められ、「これだけの事故があったのでしっかりとエネルギー政策を議論する。保安院の体制を含めて当然議論になる」と検討を表明。民主党幹部は「組織の見直しは必要。少なくとも経産省から保安院を分離すべきだ」と明言した。
14基の原発新増設、見直し…太陽光など重視へ
読売新聞 3月30日(水)5時37分配信
政府は29日、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、2030年までに少なくとも14基の原発の新増設を目標に掲げた「エネルギー基本計画」を見直す方針を固めた。
新たな基本計画は、原発重視から太陽光などクリーンエネルギー重視へと転換する考えで、14基の原発建設計画の中断や大幅延期は避けられない情勢だ。
菅首相は29日の参院予算委員会で「太陽光などクリーンなエネルギーについて、日本のエネルギー政策をどうするべきか改めて議論が必要だ」と答弁。海江田経済産業相は閣議後の記者会見で「基本計画は、これまでと同じような形ではいかない。政府全体でエネルギー政策をどうするのか話をしなければいけない」と強調した。 .最終更新:3月30日(水)5時37分
防衛省が言論封殺通達を一部撤回 思いやり予算成立と引き替え
産経新聞 3月30日(水)7時36分配信
防衛省は29日、昨年11月に自衛隊行事などでの民間人による政権批判を封じる事務次官通達を出した問題で、通達内容の一部を撤回し、変更する方針を固めた。北沢俊美防衛相が30日の参院外交防衛委員会で、新たな通達について正式に説明する。通達撤回を求めた自民党は同省の方針を受け、新たな在日米軍駐留経費負担特別協定(思いやり予算)の31日の参院本会議採決を容認。同協定は年度内に承認されることになった。
これまでの通達では、発出の直接の原因となった民間団体会長の発言を「不適切な発言」とし、自衛隊行事での民間人の政権批判を封じたり、部外行事への隊員の参加を控えさせていた。新通達ではこれらの記述は撤回。かわりに「政治的行為の制限に違反しているとのいささかの疑いも生じさせることがないよう、適切に対応する」とした。
防衛省政務三役には具体的内容を盛り込んだ通達を一度発出したので、内容を変更したとしても「自主規制」が働くとの意図もあるとみられる。
自民党内には新通達について、依然政権批判を封じる狙いが透けてみえるとして、なお異論もある。
政権批判を封じる通達、安住氏の主導と判明
配信元:
2011/01/27 01:47更新
記事本文【自由が危ない】
防衛省が昨年11月、自衛隊行事での民間人による政権批判を封じる事務次官通達を出した問題で、これを主導したのは当時防衛副大臣の安住淳民主党国対委員長だったことが26日、分かった。複数の防衛省筋が明らかにした。通達に関する会議で広田一政務官は「この通達はやりすぎだ」と再考を求めたが、安住氏は振り切ったという。
昨秋の臨時国会で自民党が「言論統制を強いる通達だ」として北沢俊美防衛相らを厳しく追及したことを受け、安住氏が通達撤回を検討していたことも分かった。安住氏は「撤回しても効力はものすごい。通達を1度出したことに意義がある」と周囲に語ったが、北沢氏は「撤回すると非を認めたことになり、さらに野党に追及される」と判断し、撤回を見送った。
通達は、11月3日の航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)の航空祭で、民間団体「航友会」会長が「一刻も早く菅政権をぶっつぶしましょう」などと政権批判したのがきっかけ。
これに激怒した安住氏は「何でもいいから制裁措置を考えろ」と対応策を指示。内局文書課が通達案を作成したところ、安住、広田両氏は担当幹部とともに防衛省内で会議を開き、通達案を協議した。
広田氏は通達への反発を憂慮し、「やり過ぎだ」と再考を促したが、安住氏は耳を貸さなかったという。その後、北沢氏も通達を了承し、11月10日付で通達が発出された。
広田氏の懸念の通り、自衛隊やOB組織、後援会などで「思想信条の自由を定めた憲法の精神に反する」と激しい反発が起き、自民党は国会で北沢氏らを追及。民主党からも「後世に残る政権の汚点だ」(党幹部)との批判が上がった。
これを受け、安住氏は通達撤回を検討した。この際に「撤回しても効力はものすごい」などと語ったのは、一度通達を出せば自衛隊内で強く印象づけられ、民間人の政権批判を控えさせる「自主規制」が働くと踏んだからだとされる。
安住氏は産経新聞の取材に対して「コメントしない」と語った。
福島第1原発 沸騰水型の構造裏目に
毎日新聞 3月31日(木)0時26分配信
拡大写真
沸騰水型(左)と加圧水型(右)の原子炉の違い
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の原子炉は、「沸騰水型軽水炉(BWR)」と呼ばれる。国内の商用炉の6割を占めるが、今回の事故によって起きた大量の放射性物質の放出や汚染水の問題は、この構造が裏目に出た可能性がある。核燃料が過熱によって損傷し、核燃料を厳重に閉じ込めるはずの「原子炉圧力容器」の底部から外部に漏れ出していると関係者は見ている。【日野行介、須田桃子、下桐実雅子、江口一、関東晋慈】
【福島第1原発】設計に弱さ GE元技術者が指摘
◇燃料、溶接部から漏出か
二ノ方寿(ひさし)・東京工業大教授(炉心安全性)によると、福島第1の原子炉は、水滴を含んだ蒸気を乾かす装置が圧力容器(高さ約22メートル)の上部にあるため、燃料棒の核分裂反応を止める制御棒は容器の底から通す構造になっている。圧力容器は厚さ約16センチの鋼鉄でできているが、底部には制御棒や中性子計測管を貫通させる100本以上の配管がある。
一方、商用原子炉のもう一つの型「加圧水型(PWR)」は、制御棒を上から差し込む構造だ。
現在、福島第1で発生している高濃度の汚染水や放射性物質は、圧力容器の底から漏れ出したものだと専門家は見る。
奈良林直・北海道大教授(原子炉工学)は2号機について「溶け落ちた高温の燃料が配管の表面や溶接部分を溶かして穴を開け、管内を伝わって少しずつ格納容器内に漏れ落ちたのでは」と推測する。小林圭二・元京大原子炉実験所講師も「損傷しているとすれば底の部分だろう。貫通部の溶接部分が損傷して隙間(すきま)ができ、ここから漏れている可能性が高い」と指摘する。
国側も圧力容器の損傷の可能性を考えている。経済産業省原子力安全・保安院は30日の会見で、1〜3号機の汚染水の起源について「圧力容器内で燃料棒が損傷してできた核分裂生成物が圧力容器の弁や管、(容器の底にある)制御棒の入り口とか弱いところから格納容器に出て、さらに漏れ出たと推測する」と話した。原子力安全委員会の代谷誠治委員も30日の会見で「1〜3号機は圧力容器内が高温なのに圧力が上がっていない。程度の差はあれ、圧力容器に損傷がある可能性は高い」と指摘した。本来なら、燃料棒を冷やすための注水によって大量の水蒸気が発生し、炉内の圧力は高まるはずだからだ。
これに対して東電は「水が外に出ているのは確かだが、どういう壊れ方か想定できない。大きく穴が開いているわけではない」と、圧力容器の損傷を明確には認めていない。
1時間当たり1000ミリシーベルト以上と、極めて高い放射能を帯びた汚染水が大量に見つかった2号機では、2度にわたって圧力容器内が空だきになり、燃料棒が露出。燃料の壊れ方が1〜6号機で最も大きいと考えられる。
さらに、圧力容器を納めた格納容器の一部「圧力抑制プール」付近で15日に爆発音があり、同プールの破損が懸念されている。こうした状況で、燃料の破片を含む水が直接、同プールの穴から外部に流出した可能性がある。2号機同様、圧力容器と格納容器内の圧力がほぼ等しくなっている3号機でも、同様の仕組みで燃料が漏れ出ている可能性は否めない。
原発で起こりうる重大事故については、配管から核燃料が漏れる可能性が国際会議で議論されたこともあり、配管や溶接部分のもろさはBWRの弱点と言える。二ノ方教授も「炉心が溶ける恐れがある場合、下部に貫通部分がある構造は弱みになる」という。
しかし奈良林教授は「今回はその弱点が安全弁的な役割を果たしている可能性がある」とみる。燃料が漏れ出るにしても、少しずつ出ることによって、圧力容器の底が一気に抜けて大量の核燃料が格納容器内の水と反応し水蒸気爆発を起こす「最悪のシナリオ」が避けられるからだ。仮に水蒸気爆発が起きれば、これまで以上に大量の放射性物質が飛び散って周囲に近付けなくなり、原子炉の冷却ができなくなる恐れがある。
福島第1の各原子炉では核燃料の冷却が進められている。
奈良林教授は「現在は収束に向かい始めるまでの最終段階。汚染水が海に漏れないよう対策を施し、さらに安定的に炉心を冷却できるシステムが確立できれば、半年から1年の間に冷却を終えられるだろう」と予測する。
◇日本の商用原子炉の型◇
沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)があり、BWRは燃料の核分裂で発生する熱で冷却水を沸騰させ、蒸気を隣接する建屋に送ってタービンを回す。一方、PWRは炉内の圧力を高めて1次冷却水の沸騰を抑え、その熱を2次冷却水に伝えて蒸気を作りタービンを回す。これにより、放射能を帯びた水は格納容器内に閉じ込められる。世界全体ではPWRが多く、79年に事故を起こした米スリーマイル島原発もPWR。国内では6割弱がBWRだ。
5万8000人失業の可能性 原発30キロ圏内 福島労働局 4800事業所に影響
福島労働局は29日、東日本大震災により、東京電力福島第一原子力発電所から半径30キロの避難指示・屋内退避圏内にある約4800事業所の労働者約5万8000人が失業する可能性がある、との予測を示した。30キロ圏内の事業所数とパート、アルバイトを含む労働者数をまとめた。
同労働局によると、避難指示区域の20キロ圏内には約2700事業所があり、労働者数は約3万3000人に上る。全事業所が事実上の休業状態のもようだ。屋内退避の20〜30キロ圏内は約2100事業所に約2万5000人が働いているが営業を継続している事業所はわずかとなっている。
(2011/03/30 09:00)
福島第1原発 海水から4385倍のヨウ素 南放水口近く
毎日新聞 3月31日(木)11時40分配信
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放射能の海洋汚染状況について資料を手に会見する経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦広報官=東京都千代田区で2011年3月31日午前11時20分、久保玲撮影
東京電力は31日、福島第1原発の南放水口(1〜4号機用)から南330メートル地点で30日午後に採取した海水から、法令限度の4385倍の濃度の放射性ヨウ素131を検出したと発表した。29日に同地点で採取された3355倍を超え、これまでの最高値。また、北放水口(5〜6号機用)の北約30メートル付近の海水からも、30日午前、1425倍の濃度の放射性ヨウ素が検出された。上昇傾向が続いていることから、経済産業省原子力安全・保安院は31日、海水や地下水の監視を強化することを明らかにした。
【なぜこうなった】福島第1原発:沸騰水型の構造裏目に
保安院の西山英彦審議官は会見で、「数値は段々と増えているが、原発から20キロ以内は避難区域に指定され、漁業は行われておらず、周辺住民にただちに影響はない。放射性物質は潮流に流され、拡散によって薄まる」との見解を重ねて示した。
海水の分析は、現在東電が福島第1、第2原発の放水口付近4カ所で実施。文部科学省が沖合30キロで実施しているが、新たに両原発から沖合15キロの地点など3カ所を追加する。
また、東電は海の汚染を調査するため、海藻のホンダワラなど海の生物のサンプル調査をすることも明らかにした。【足立旬子、日野行介】
福島第1原発:設計に弱さ GE元技術者が指摘
東京電力福島第1原発の原子炉を設計した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の元技術者、デール・ブライデンバーさん=2011年3月18日、本人が撮影、提供 【ロサンゼルス吉富裕倫】東京電力福島第1原発と同型の原子炉を設計した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の元技術者、デール・ブライデンバーさん(79)が毎日新聞の取材に応じ、原子炉格納容器について「設計に特有の脆弱(ぜいじゃく)さがあった」と指摘し、開発後に社内で強度を巡る議論があったことを明らかにした。
東電によると、福島第1原発はGEが60年代に開発した「マーク1」と呼ばれる沸騰水型軽水炉を6基中5基使っている。
◇議論封印「売れなくなる」
GEでマーク1の安全性を再評価する責任者だったブライデンバーさんは75年ごろ、炉内から冷却水が失われると圧力に耐えられる設計ではないことを知り、操業中の同型炉を停止させる是非の議論を始めた。
当時、マーク1は米国で16基、福島第1原発を含め約10基が米国外で稼働中。上司は「(電力会社に)操業を続けさせなければGEの原子炉は売れなくなる」と議論を封印。ブライデンバーさんは76年、約24年間勤めたGEを退職した。
ブライデンバーさんは退職直後、原子炉格納容器の上部が小さく、下部と結合する構造が脆弱で万一の事故の際には危険であることを米議会で証言。マーク1の設計上の問題は、米原子力規制委員会の専門家も指摘し、GEは弁を取り付けて原子炉内の減圧を可能にし、格納容器を下から支える構造物の強度も改善。GEによると、福島第1原発にも反映された。
しかし福島第1原発の原子炉損傷の可能性が伝えられる今、ブライデンバーさんは「補強しても基本設計は同じ。水素爆発などで生じた力に耐えられる強度がなかった」とみる。また「東京電力が違法に安全を見落としたのではない」としながらも、「電気設備の一部を原子炉格納容器の地下に置くなど、複数の重大なミスも重なった」と分析した。
ブライデンバーさんはGE退職後、カリフォルニア州政府に安全対策について助言する原発コンサルタントとして約20年間働き、現在は引退している。
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-福島第1原発-周辺の津波 14メートル以上の可能性
東日本大震災:被災地への義援金の主な受け付け窓口
毎日新聞 2011年3月30日 10時49分(最終更新 3月30日 12時32分)
-放射性物質-「さらに精緻な計測をしたい」 枝野官房長官
毎日新聞 3月31日(木)11時48分配信
会見する枝野幸男官房長官=首相官邸で2011年3月31日午前11時6分、手塚耕一郎撮影
枝野幸男官房長官は31日午前の会見で、国際原子力機関(IAEA)が福島県飯舘村での土壌調査で測定された放射線量について「避難基準の一つを上回った」としたことについて「IAEAのモニタリングを踏まえながら、さらに精緻なモニタリングを行い、こうした状況が長期間継続する可能性をしっかり把握して対処したい」と述べ、数値を慎重に評価する考えを示した。
【IAEAは】飯舘村、避難基準超す 日本にIAEA勧告
そのうえで枝野氏は「人体に影響を及ぼす可能性が長期間になりそうなら、退避等を検討せねばならない。その必要が生じた時にタイミングが遅れないよう万全を期したい」と述べ、放射線量が基準を長期間上回り続けた場合は、避難指示などを検討する考えを示した。
また、経済産業省原子力安全・保安院は「IAEAは『今回の結果は一つの指標に過ぎず、サンプルが少ないため、さらなる調査が必要』としており、政府としてもこの結果をしっかり受け止めている。飯館村には100人以上がまだ残っている。避難区域を広げるかどうかはまだ分からないが、住民には何らかの情報を提供したい」としている。
小沢氏「原発は発表より悪い事態のようだ」
. 福島原発
民主党の小沢一郎元代表は30日夜、東京都内の自宅で自らに近い若手の衆参両院議員十数人と懇談した。
出席者によると、元代表は福島第一原発の事故に関し、「自分なりに情報収集しているが、政府や東電が発表するよりも悪い事態になっているようだ」と語った。そのうえで、「政治は、最悪の事態を想定して対応を考えなければいけないのに、危機感を共有しきれていない」と述べ、菅政権の危機管理能力に疑問を呈した。
(2011年3月31日08時24分 読売新聞)
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20キロ圏に数百〜千の遺体か 「死亡後に被ばくの疑い」
福島第1原発事故で、政府が避難指示を出している原発から約20キロの圏内に、東日本大震災で亡くなった人の遺体が数百〜千体あると推定されることが31日、警察当局への取材で分かった。27日には、原発から約5キロの福島県大熊町で見つかった遺体から高い放射線量を測定しており、警察関係者は「死亡後に放射性物質を浴びて被ばくした遺体もある」と指摘。警察当局は警察官が二次被ばくせずに遺体を収容する方法などの検討を始めた。当初は20キロ圏外に遺体を移して検視することも念頭に置いていたが、見直しを迫られそうだ。
警察当局によると、高線量の放射線を浴びた遺体を収容する際、作業する部隊の隊員が二次被ばくする可能性がある。収容先となる遺体安置所などでも検視する警察官や医師、訪問する遺族らに被ばくの恐れが生じる。
遺体は最終的に遺族か各市町村に引き渡すことになるが、火葬すると放射性物質を含んだ煙が拡散する恐れがあり、土葬の場合も土中や周辺に広がる状況が懸念される。
警察当局は現場での除染や検視も検討しているが、関係者は「時間が経過して遺体が傷んでいるケースは、洗うことでさらに損傷が激しくなり問題だ」と指摘している。
身元確認のため、遺体から爪だけを採取してDNA鑑定する方法もあるが、爪も除染する必要があり、かなりの手間と時間がかかるという。
27日に、大熊町で見つかった遺体は、除染が必要な基準の一つである10万cpm(cpmは放射線量の単位)まで計ることができる測量計の針が、振り切れる状態だったという。このため福島県警の部隊は遺体の収容を断念している。
(2011/03/31 14:02)
それでも…オバマ大統領は原発推進路線を堅持
読売新聞 3月31日(木)11時22分配信
【ワシントン=山田哲朗】オバマ米大統領は30日、ワシントン市内のジョージタウン大学でエネルギー安全保障について演説、「米国は電力の5分の1を原子力エネルギーから得ている。原子力には大気中の二酸化炭素を増やすことなく電力を作る重要な能力がある」と指摘し、原発推進の姿勢を堅持する考えを表明した。
福島第一原発の事故で米国内でも原発の安全に懸念が高まっていることに対しては「安全は必ず確保する。調査結果や教訓を、次世代の原発の設計、建設に役立てる」と述べた。
また、中東政情が不安定になり原油価格が高騰している問題については「今から10年少しで、石油輸入量を3分の1削減する」とし、2025年までに石油の輸入量の3分の1を減らす方針を示した。 .最終更新:3月31日(木)11時22分
尖閣「日本領土はでたらめ」=教科書検定、事を荒立てず—中国
時事通信 3月30日(水)23時4分配信
【北京時事】中国国営新華社通信は30日、日本の教科書検定で、中学の社会科教科書を発行する7社がすべて尖閣諸島(中国名・釣魚島)について「日本固有の領土というでたらめを記述した」と伝えた。中国外務省が繰り返し強調している「釣魚島は中国固有の領土」という立場を引用したが、それ以上の反発は示していない。
尖閣諸島は中国にとっては主権、領土に関わる問題で譲歩できず、昨年9月の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件では、両国関係が悪化し、まだ完全には修復していない。ただ、東日本大震災で中国が日本に積極的に支援をするなど、両国の国民感情も改善しており、中国側は教科書検定で事を荒立てることはないと判断しているとみられる。
共産党機関紙・人民日報系の環球時報は30日、教科書検定について「韓国、(震災支援の)恩をあだで返す日本に不満」との見出しで、韓国での反発は報じたが、尖閣問題については触れなかった。
なぜ女川原発は無事だった 津波の高さは福島と同程度(1/2ページ)2011年3月31日12時52分
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高さ約15メートルの高台の上に造られた、東北電力の女川原発=08年12月、朝日新聞社ヘリから
東北電力女川原子力発電所=23日、宮城県女川町、朝日新聞社機から、堀英治撮影
東日本大震災の際、東北電力の女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)も、東京電力福島第一原発と同じクラスの津波に襲われたが、福島第一のような大きな被害はなく、危機的な状況に陥ることはなかった。その違いは何だったのか。
福島第一原発から北に約120キロ離れた太平洋岸にあり、三つの原子炉が並ぶ女川原発。福島第一原発を襲った津波は高さ14メートルを超えたが、女川町を襲った津波は17メートルクラスだったとする調査結果が出ている。津波で、女川原発の1〜3号機のうち、2号機の原子炉建屋の地下3階が浸水したが、原子炉を冷やすために不可欠な電源が失われることはなかった。
女川原発の安全審査で想定した津波の高さは最大9.1メートル。想定を大きく上回ったのは、福島第一原発と同じだ。それにもかかわらず、被害が小さかった理由について、東北電力は「詳しい経緯は今後の調査を待たなければならないが、余裕を持った造りが大きかったと考えられる」と指摘した。
「余裕」が最も表れているのは、原子炉建屋の海面からの高さだ。同原発の主要施設の標高は14.8メートルあり、10メートル前後だった福島第一より高い。女川原発は2号機の熱交換器室が浸水の影響で使えなくなった1系統を除き、非常用電源が正常に稼働した。施設の位置の高さが津波の被害を防いだ可能性があるという。
また、女川原発では、福島第一原発とは違い、外部電源が失われなかったことも大きかった。東北電力によると、女川原発につながる2系統の送電幹線のうち、片方は地震の影響で止まったものの、もう一つは電気を送り続けた。同原発1号機は変圧器の故障でこの外部電源が使えなくなったが、2、3号機では維持された。福島第一原発で外部電源が喪失したことについて、東電側は「送電鉄塔が地震で倒れたため」と説明している。
ただ、津波対策として原発を海面からより高く建設することは容易でないという。原発は大量の冷却水を必要とするため、海水面近くに造らなければならない。核燃料や運搬時に燃料を包むキャスクなど、何トンもの重量がある荷物は船で敷地内に運び込まれることが多く、建屋の標高が高くなれば、作業がそれだけ困難になるという面もある。
宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子炉工学)は「原発は、硬い岩盤の上に建設することが不可欠だ。国内でも、原子炉建屋の高さがまちまちなのは、適した岩盤の位置によるという事情がある」と話している。(中井大助)
福島第一1〜3号機、注水ポンプに外部電源
. 福島原発
東京電力は1日、福島第一原子力発電所1〜3号機の原子炉に注水する仮設ポンプについて、外部電源につなぐ作業が2日までに完了する見通しだと発表した。
現在は非常用のディーゼル発電機を使っている。外部電源で駆動すれば、燃料切れの心配がない安定した注水ができると期待される。
一方、爆発事故で敷地内に飛散した放射性物質が舞い上がり、作業員が吸い込むのを防ぐため、東京電力は1日午後、放射性物質が砂やほこりと一緒に飛び散るのを防ぐ飛散防止剤の試験散布を始める。3月31日に開始の予定だったが、雨で延期されていた。
飛散防止剤は、特殊な合成樹脂製で、ガレキなどの表面を固めて砂などの飛散を抑える。散布場所は、重要な機器がない4号機の西側、5、6号機の北側の2か所。原液約9000リットルを6〜7倍に薄めた希釈液約6万リットルを、2週間かけて散布し、結果をみて本格的な使用の是非を決める。1日は、4号機の西側約200平方メートルの範囲に約400リットルをまく計画。散布には、容量2000リットルの特殊散水車1台を使用。作業員3人が一組となり、散水車のホースを持って希釈液をまく。1〜4号機のタービン建屋地下にたまった汚染水の処理は、1、2号機は復水貯蔵タンクから圧力抑制室用水タンクへ、3号機は復水器から復水貯蔵タンクへ、それぞれ水の移し替えが行われる予定。東電は1、2号機のタービン建屋の照明復旧も目指している。
(2011年4月1日14時00分 読売新聞)
分析に誤り、東電に保安院が厳重注意
. 東京電力は、福島第一原発の地下水から国の安全基準の約1万倍の放射性ヨウ素131などが見つかったと31日夜に発表したが、ヨウ素以外の物質の分析に誤りがあったと1日認めた。
経済産業省原子力安全・保安院は同日、東電に厳重注意した。
(2011年4月1日15時03分 読売新聞)
スリーマイルは1か月後、安全な冷温停止状態に
. 福島第一原発と似た過酷事故に見舞われた米スリーマイル島原発事故(1979年)では、どう対応したのか。
同原発では、発電用タービン停止に伴う原子炉の緊急停止後、運転員が判断ミスで炉内を冷やす緊急炉心冷却装置(ECCS)の注水量を絞るなどした。その結果、炉内の水位が下がり、核燃料の一部が溶融する事態になった。
しかし、この時は福島第一原発と違い、ポンプなどを動かす電源に異常はなかったため、試行錯誤を繰り返しながらも各種冷却系を総動員。事故発生から約16時間で、原子炉を安定的に冷却する機能が回復し、約1か月後には安全な冷温停止状態になった。
(2011年4月1日13時38分 読売新聞)
福島原発事故 全世界が注視する日本の対処(3月29日付・読売社説)
福島第一原子力発電所の事故は、日本だけの問題ではない。その対処の仕方に、世界の原子力平和利用の行方がかかっていると言えよう。
巨大地震と大津波という天災が直接的な原因とはいえ、安全性で世界最高水準と評された日本の原発が無残な姿をさらしている。
原子力は温室効果ガスを出さないクリーンエネルギーとして見直され、世界各地で原発の新規建設が活発化していた。「原子力ルネサンス」と呼ばれるその動きに、今回の事故は冷水を浴びせた。
欧州連合(EU)は域内すべての原発について、耐震性能などの安全点検を行うことを決めた。
原発17基が稼働するドイツは、1980年以前に建設した7基を3か月間の運転停止とした。
メルケル独政権は、前政権の「脱原発」政策を転換し、既存の原発の稼働期間を延長する政策を掲げていたが、その方針を再び転換する可能性も出てきた。27日の地方選挙では、「反原発」の世論を背景に環境政党が躍進した。
欧米諸国では、79年の米スリーマイル島、86年の旧ソ連・チェルノブイリの両原発事故でも原発の安全性へ不安が広がり、新規建設の停滞を余儀なくされた。
だが、エネルギー安全保障や地球温暖化対策の観点からも、原発は安全に管理する限り、電力供給で重要な位置を占め続けよう。
世界では、約30か国で原発が稼働中だ。建設中または計画中の国も含めれば四十数か国に上る。
世界最多の原発を保有する米国では、今回の事故で、新規建設凍結を求める声が議会から出た。しかし、オバマ大統領は、事故から「教訓を学ぶ」とし、原発建設推進の方針堅持を表明している。
米国の次に原発の多いフランスは、新規建設も、他国への原発売り込みも続ける方針だ。韓国も原発推進の姿勢を変えていない。
中国、インドなどの新興国を含む多くの国は、増大する自国のエネルギー需要を原発なしに満たすことができないのが実情だ。
原発の安全性を確立することが国際社会にとって急務である。
福島第一原発からの放射性物質の放出が長期に及べば、深刻な国際問題になりかねない。
日本は情報を各国と共有し、世界中の核専門家の協力を仰いで、迅速に事故を収拾しなければならない。それが、世界の原発推進国の信頼を保つ唯一の道である。
(2011年3月29日01時27分 読売新聞)
日本の対応、各国に不安…正確な情報発信必要
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福島第一原発の放射能漏れ事故をめぐり、日本政府の対処や情報発信に国際社会で不満が高まっている。
日本政府が定めるより広範な区域から自国民の退避を求める国が相次ぐなど過剰ともいえる国際社会の反応は、事態収拾に向けた日本政府の決意や能力に対する不信感の表れといえる。放射能汚染拡大の危機を食い止めるには米国をはじめ国際社会の協力が欠かせず、そのためにも正確な情報発信を通した信頼回復が急務だ。
◆自国民に退避勧告◆
米政府の日本政府に対する不信感を象徴しているのが、各原子炉の被災状況について詳細データの提供を受けられないという米国の不満だ。
日本政府筋が18日明らかにしたところによると、米国は地震発生直後から、国務省や国防総省など複数ルートを通じ「1979年のスリーマイル島原発事故の経験に立ち、正確なデータがあれば、日本の効果的な対策に協力できる」と伝えてきた。しかし、日本側は米国の期待にとても応えられていない。同筋は「米国からは情報提供が乏しいとの怒りの声が伝わっている」と肩をすくめる。
日米の関係がこのようにこじれている陰には、日米同盟を揺るがせた民主党政権下で、両国間のパイプが細り円滑な意思疎通が困難になっている実態がある。1号機で水素爆発が起きた12日、日本政府が何時間も事実を公表しなかった不手際も疑心暗鬼に拍車をかけた。それが放射能拡散の可能性への過剰な備えにもつながっている。
米政府が、日本国内にいる米国人に半径50マイル(約80キロ・メートル)の範囲からの避難を勧告したのも過剰な備えの例といえる。
日本政府の屋内退避要請は同30キロ・メートル、避難指示は同20キロ・メートルの範囲にとどまっている。事態収拾に向けた日本政府の指導力に対する疑念も避難の範囲を広げておこうとの意識につながっている可能性がある。
欧州諸国やオーストラリアなどが広い範囲での退避勧告に踏み切ったのは、米国に追随していれば安心との判断からとみられる。「情勢は不安定でこの先の見通しが立たない」(豪州のラッド外相)との不安も過度な退避行動に駆り立てている。英国政府は自国民に、「追加的な予防策」として同80キロ・メートルの範囲で退避を促しているものの、一義的には日本政府の助言に従うことを求めている。
韓国外交通商省も18日、被災地で活動している救助隊員107人の3分の2を新潟に移動させたことを明らかにした。
それでも枝野官房長官は18日、「(日本政府は)今の時点で把握しているデータと専門家の分析に基づき、必要な措置を判断している」と強調した。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は18日、日本政府の判断は「IAEAの基準に沿っている」と述べ、各国が極端に用心深くなっていることを裏付けた。
天野事務局長はIAEAの専属チームを発足させ、東日本各地の放射線量測定に着手する方針も示した。独立したデータを示し、各国の不安を静める狙いもある。
◆受け入れ態勢不満◆
各国の不満は情報開示だけでなく、救援物資の受け入れ態勢をめぐっても噴出している。
インターファクス通信などによると、ロシア政府は16日からイリューシン76型機を2機、極東のハバロフスク、ブラゴベシェンスクの2空港で出動待機させた。医薬品や毛布など被災者向けの緊急支援物資に加え、現地で活動しているロシア救助隊用の燃料や食料を積み、復路では日本に滞在中の自国民を避難させる計画だった。
ところが、日本の空港当局からは周辺の地方空港を含め着陸許可が出なかった。18日午前(日本時間同日夕)になってようやく1機が成田空港に向けて飛び立ったものの、2日間近い貴重な時間が失われる結果となった。外交筋によると、「発着枠がいっぱい」との説明だったが、ロシア側が利用を希望した新潟空港は、中国旅客機の臨時便などを受け入れていた。
米国をはじめ国際社会の支援を生かすには、連絡を密にして現状を正しく説明し、不足している機材があれば素早く受け入れを決める必要がある。首相官邸、経済産業省原子力安全・保安院、東京電力や、自衛隊、消防庁、警察庁は相互の情報交換を徹底して透明な情報発信を図る必要がある。(政治部 古川肇、ワシントン 山田哲朗、モスクワ 貞広貴志、クライストチャーチ 岡崎哲、ソウル 門間順平)
(2011年3月19日01時32分 読売新聞)
常磐線の線路復旧作業を公開 JR東日本
JR東日本水戸支社は31日、運転見合わせが続いているJR常磐線のいわき−内郷駅間(福島県いわき市)の線路復旧作業を報道陣に公開した。
同区間は地震の影響でレールがゆがんで沈下するなどしている。同日は約600メートル区間を約120人態勢で作業を進めた。運び込んだ砕石を手作業や重機で敷き詰めて高さを調整していた。
常磐線は上野方面から順次、運転が再開している。高萩(茨城県)−いわき駅間は4月下旬までに再開する見込み。いわき−亘理駅(宮城県)の復旧は見通しが立っていない。同社は復旧工事の進捗(しんちょく)状況を確認し来週中にもあらためて運転計画を公表する方針。
【写真】急ピッチで復旧工事が進むJR常磐線=31日午前10時ごろ、いわき市内郷地区
地下水も基準の1万倍 原発、汚染拡大を裏付け
福島第1原発事故で東京電力は3月31日、1号機のタービン建屋付近の地下水から、敷地境界で設定されている基準の約1万倍の放射性ヨウ素が検出されたと発表した。東電は「非常に高い値と認識している」としている。
地下水で放射性物質が確認されたのは初めて。汚染の拡大があらためて裏付けられた。東電は、汚染された地下水がくみ上げられて側溝を通じて海に流れ込んだ可能性は低いとみているが、「(地下経由で)海に流出した可能性は否定できない」とした。
東電は各号機タービン建屋外の立て坑で見つかった水に含まれる放射性物質の濃度も発表。2号機では1立方センチ当たり計約1200万ベクレルで、通常の運転中の炉水と比べ数万倍の高濃度だった。
東電によると、地下水は通常、地盤が緩まないように各号機の地下15メートルからくみ上げている。普段の放射性物質の濃度は、計器で測定できない程度の低水準という。
東電は31日、原子炉などの冷却機能回復の障害になっている、タービン建屋や立て坑のたまり水の排水作業を続けた。この日は冷却用の真水を積んだ米軍提供の台船1隻が原発の岸壁に接岸。近くの坂下ダムを利用した真水の供給を補う。
東電によると、被ばく線量が緊急時の上限の100ミリシーベルトを超えた作業員は、4月1日までに2人増えて計21人になった。厚生労働省は今回の事故対策に限り、上限を250ミリシーベルトにしている。
1〜3号機のタービン建屋地下にたまっていた水は各号機の復水器に送り込む予定だが、復水器はすでに満杯。復水器の水を別のタンクに移すための“玉突き”式の移送作業を続けた。
各建屋の外にある立て坑のたまり水については、水位が高かった1号機の水があふれないよう別の貯水槽へ移送し、3月31日午前までに水位が約1メートル低下した。東電は水に含まれる放射性物質の解析も進める。
新たな水の移送先や貯蔵場所として、既設の重油タンクなどのほか、タンクの仮設、原発周辺にプールを造るなどの手段が検討されている。
【写真】 東京電力福島第1原発へ向かう米軍提供の台船=3月25日、東京湾の浦賀水道で共同通信社ヘリから
(2011/04/01 10:53)
首相、原発増設計画を白紙見直し 福島第1すべて廃炉
菅直人首相は31日、福島第1原発事故を踏まえ、2030年までに原発を現状より14基以上増やすとした政府のエネルギー基本計画を抜本的に見直す方針を表明した。共産党の志位和夫委員長と官邸で会談した際、「白紙で見直すことを含めて検討する」と述べた。福島第1原発の1〜6号機全てについても「廃炉にしないといけない」と明言した。
これを受け政府は、原発に代わるエネルギー源の確保と、地球温暖化対策推進の両立という難題に取り組むことになるが、難航は必至だ。政府が推進してきた原子力技術の輸出政策に影響する可能性もある。
枝野幸男官房長官は記者会見で、エネルギー計画見直しに関し「今回の原発事故の検証を行った上で、予断を持たずにさまざまな検討をしなければならない」と述べた。
志位氏との会談で首相は、原子力利用を推進する経済産業省から原子力安全・保安院を分離できるか検討する考えを重ねて強調。「『原子力村』の雰囲気が存在する。反省が必要だ」と指摘し、電力業界と省庁が一体で原発を推進する態勢を見直す考えを示した。
また東日本大震災の復興財源に関し、11年度税制改正法案に盛り込んだ法人税率の引き下げ見直しに加え、証券優遇税制の延長中止も「検討の土俵に乗せたい」と述べた。
経産省によると、日本では震災前、54基の原発で電力の30%弱を賄っていた。政府は昨年6月、温室効果ガスの排出削減目標の実現に向け、原子力の積極的な利用拡大を図るとするエネルギー基本計画を閣議決定した。
【写真】 菅直人首相
(2011/03/31 19:20)
浪江町で2900倍放射能
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の調査で、原発から西北西におよそ30キロの浪江町で採取した土から通常のおよそ2900倍の放射性セシウムが検出されました。
専門家は「雨などの影響で局地的に高くなっている可能性があるので、引き続き広く調査を行う必要がある」と指摘しています。
文部科学省は福島第一原発の事故の影響を調べるため、周辺の市町村で5センチの深さで土を採取し、含まれる放射性物質について分析しています。
30日の午前10時50分に原発から西北西におよそ30キロの浪江町の地点で採取した土を分析した結果、放射性のセシウム137が1キログラムあたり29万ベクレル検出されました。
土に含まれる放射性物質を対象にした環境基準はないということですが、学習院大学理学部の村松康行教授によりますと、通常、土で検出される放射性セシウムは1キログラムあたり多くて100ベクレル程度で、今回はその2900倍にあたるということです。
村松教授は「雨などの影響で局地的に高くなっている可能性があるので、引き続き広く調査を行う必要がある」と指摘しています。
この地点では前日に採取した土からも高い濃度の放射性セシウムが検出されていましたが、今回はこれを7万ベクレル上回って、文部科学省が行っている調査ではこれまでで最も高い値となります。
また、放射性のヨウ素131も1キログラムあたり71万ベクレルと高い濃度を検出しました。
一方、文部科学省は、プルトニウムとウランの分析結果もあわせて発表しましたが、原発から20キロから30キロの屋内退避圏内にある3つの地点で先月22日と23日に採取した土からは、▼プルトニウムは検出されず、▼ウランも自然界にあるレベル以上は検出されなかったとしています。
04月01日 22時21分
-福島第1原発-格納容器内の爆発防止へ窒素補充を検討
毎日新聞 4月2日(土)11時31分配信
福島第1原発3号機=2011年3月18日(陸上自衛隊提供のビデオから)
東京電力は2日、福島第1原発1〜3号機の原子炉格納容器を、窒素ガスで満たす「窒素パージ(置き換え)」を検討していることを明らかにした。窒素は燃えにくく、格納容器内の爆発を防ぐ役割がある。同原発では3月12日に1号機、14日に3号機の建屋内で水素爆発が起きており、さらなる水素爆発を防ぐ狙い。
【東日本大震災 図説集】各地の被災状況、原発の仕組みや避難区域など
格納容器は通常、窒素で満たされている。一連の事故では、電源喪失で過熱した燃料の被覆管が水と反応して大量の水素が発生、格納容器から原子炉建屋内に漏れ出して爆発を起こし、建屋が損壊した。爆発後の格納容器内は、従来入れていた窒素が減少している可能性がある。
格納容器には、空気を窒素に置き換える装置が備わっており、窒素パージにはそれを使う。正常に動くかどうかは不明だが、東電は「いずれ着手しなければならない」としている。【酒造唯】
枝野長官会見(1)「原子炉爆発はない」(31日午前11時)
産経新聞 3月31日(木)12時38分配信
枝野幸男官房長官が31日午前11時から首相官邸で開いた記者会見の詳報は以下の通り。
【IAEA調査】
−−IAEA(国際原子力機関)が福島県飯舘村に放射性物質の濃度調査に入って、IAEAの基準だと、避難の値を超えていて、避難勧告を出すよう日本政府に伝えたということだが、どう対応するか
「IAEAの土壌調査の中に、IAEAの基準の一つを超過するものがあったという報告と、その状況を踏まえて状況を慎重に把握するよう助言があったということだ。当該周辺含めて、この間、大気中の放射線量についての継続的なモニタリングも行ってきているので、今回の土壌についてのIAEAのモニタリングの結果も踏まえながら、さらに精緻(せいち)なモニタリングを行っていかなければならないと考えている」
「なお、この土壌の放射線量が基準値を超えているということについては、長期間、そうした土壌の地域にいると蓄積で健康被害の可能性が生じるという性質のものなので、大気中の放射線量、周辺地域、継続してモニタリングを行っている。今の時点で健康被害の可能性というよりも、こうした状況が継続する、長期にわたるという場合の可能性について、しっかりと把握をして対処していかなければならない。そういう性質のものと認識している」
−−現時点で、避難地域を拡大する考えはないと
「直ちにそういったことではない性質のものだと思っているが、当然、土壌の放射線値が高いということは、長期的には影響を与える、蓄積をしていけば可能性があるので、さらにしっかりとモニタリングを行って、必要なのがあれば、対応して参りたいと思っている」
【土壌調査、海水調査】
−−農林水産省が周辺の土壌調査をやると発表した。一方で海水汚染の影響調査についてはどうか
「これについても、放水口のところで高い数値が出ているわけだから、海水で拡散されると、薄まるということは想定されるにしても、万が一にも影響が出るようなことがあってはいけないと思うので、しっかりと、より広い地域でのモニタリングを強化してまいりたいということで、これはすでに指示をしているところだ」
−−土壌の放射能汚染だが、長期的には除染で対応できるのか
「いや、まずは、それが人体に影響を及ぼすような可能性のある、長期間になれば、あるいはなりそうであれば、待避などを検討しなければならないと思っている。それについては大気中の放射線量のモニタリングも含めて、万全を期して、そういった必要が生じたときに、タイミングが遅れるということがないように万全を期して参りたいというのが現状だ」
【IAEA調査】
−−飯舘村は原発から40キロ程度離れているが、土壌で長期間、健康被害がありそうな場所はどの程度あるか
「繰り返しになるが、現状ではそういった状況ではないということだ。それから、例えば土壌の放射線量が多くても、半減期の短い放射性ヨウ素などの場合と、長いもので、当分、土壌の放射線量が変わらないというものの場合とでは違ってくる。こういったことは原子力安全委員会をはじめとして、専門家の皆さんに分析をしていただいて、健康被害の可能性があれば、必要な措置をとらなければならないということで、慎重に分析をしていただいているという状況だ」
「これについては、できるだけ今、広範な地域で、一番、量的にできるのが大気中の放射線量のモニタリングで、これについては周辺地域も、それから逆に20キロ圏内地域も、両面において、できるだけ広範に詳細に行っているところだ。さらに長期的な影響ということでの土壌の調査ということも、これもできるだけ場所を増やして、しっかりと把握をして参りたいということは、この間、鋭意進めているところだ」
−−長期的には影響を与えると。長期的とはどのくらいの期間を指すのか
「まさに、それぞれの放射線量の数字が出ているわけだが、そこに含まれている放射性物質の、まあ主に半減期の長い、短いということがある。それから、それがその後、増えているのか。新たに例えば、土壌に降っている状況なのか、それともかつて降っていたものが、例えば放射性ヨウ素であれば、半減期が短いから減っている状況なのか。そうしたことによって、その影響がどの程度の期間及ぶのか、長く及ぶのか、それとも短いものなのか。そういったことを含めて、きちっと分析をして、そして万が一にも安全性の観点から必要な措置が遅れることのないように、専門的な分析と調査を進めていただいていると。こういうことだ」
−−既にこれまでの間で、長期にわたっているという認識はないか
「それも含めてこの間、放射線量のモニタリングがされている地域、それからどの程度の確からしさがあるかは別にしても、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による分析などに基づき、専門家の皆さんに、長期間そこにいることによる放射線の影響の可能性については、分析をし続けている。さまざまな判断を専門家の皆さんにあおいでいる状況だ」
【圧力容器】
−−圧力容器の損傷について。専門家からは、周辺に漏れた水から高濃度の放射線物質を含んでいるので、圧力容器の制御棒の差し込み部分が損傷していて水が漏れているとの指摘があるが
「燃料棒に由来する放射性物質を含んだ高濃度の水がタービン建屋に出ているのということなので、何らかの形で水が出ているのは間違いないが、その部分がどこなのか、について現時点で特定できているとか、どの可能性が有力であるというような情報はまだいただいていない。現場においてなかなか困難だとは思うが、直接、間接、さまざまな状況を分析して、できるだけ特定してほしいとお願いしている」
−−圧力容器の密閉性は100%という現状ではないという認識はあるか
「それは当然、燃料棒に由来する放射性物資が出ているわけだから、残念ながらそれは間違いない」
【再臨界の可能性】
−−IAEAの昨日の会見で、再臨界の可能性を指摘する声が出たが、政府の認識を
「IAEAのブリーフでも、もちろん、こういった状況だから、あらゆる可能性を想定して日本政府としても、特に良くないことが起きないようにやっている。あらゆる事象について可能性を否定できない。そういったことは共有しているが、同時にそうした事態が生じている明確な証拠があるわけでないとおっしゃっていただいている。また、原子炉が爆発するようなことはないことは強調したいということもおっしゃっている。その意味では認識に大きなズレはない」
2号機のピットに亀裂、高濃度汚染水が直接海に流出
産経新聞 4月2日(土)15時15分配信
東京電力は2日、福島第1原子力発電所2号機の取水口付近にあるコンクリートの立坑「ピット」内にたまった水から毎時1000ミリシーベルト以上の強い放射線量が計測され、ピットのコンクリートの亀裂から汚染水が海に流出していたと発表した。流出量は不明だが、海水の放射能汚染が進んだ可能性もある。
汚染水は、午前9時半に東電の作業員が確認。ピット側面のコンクリート部分に長さ約20センチの亀裂があり、そこから海に汚染水が流れ出ていた。東電はピット内の水と海水を取水しており、現在、分析を進めている。
大気の放射線量 減少か横ばい
4月2日 13時39分
2日、各地の自治体で、これまでに観測された大気中の放射線量は、ほとんどの地点で減少か横ばいとなっています。
2日午前0時から午前9時までの各地の観測によりますと、福島県では、福島第一原子力発電所から北西に65キロほど離れた福島市で、午前1時に1時間当たり2.84マイクロシーベルト、郡山市では、午前6時などに1時間当たり2.38マイクロシーベルトと、震災の前に観測されていた通常の値よりも高い放射線量を計測しました。また、南相馬市では、午前9時などに1時間当たり0.91マイクロシーベルト、いわき市では、午前6時などに1時間当たり0.62マイクロシーベルトと、通常の値よりもやや高い放射線量を計測しました。茨城県では、北茨城市で午前0時10分に1時間当たり0.56マイクロシーベルト、水戸市で午前4時などに1時間当たり0.18マイクロシーベルト、宮城県の仙台市で午前9時に1時間当たり0.08マイクロシーベルトと、いずれも通常よりやや高い数値を計測しました。また、栃木県の宇都宮市や群馬県の前橋市、神奈川県の川崎市と横須賀市、それに茅ヶ崎市、東京の新宿区、さいたま市、千葉県市原市のそれぞれの観測地点などでも通常よりもやや高い数値を計測しました。しかし、大気中の放射線量はほとんどの地点で減り続けていて、これらの数値の放射線を浴びたとしても、健康に影響が出るレベルではないということです。一方、札幌市、青森市、秋田市、岩手県の盛岡市、山形市、静岡市、新潟県の柏崎市、甲府市、長野市などでは、引き続き、通常より高い放射線量は計測されませんでした。
水素爆発防止へ窒素充填…東電が検討
. 福島原発
東京電力は2日、福島第一原子力発電所で再び水素爆発が起こるのを防ぐため、原子炉の格納容器内に窒素を充填(じゅうてん)する検討に入った。
原子炉の熱を取り除く冷却システム用の海水ポンプには同日、外部電源がつながった。炉心への注水ポンプに外部電源をつなぐ作業も同日中に完了させる計画だ。窒素の充填は1〜3号機などが対象だ。格納容器内にはもともと、空気中の酸素と反応して水素爆発が起きないよう、不活性ガスの窒素が入っているが、なんらかの理由で窒素が漏れ出た可能性がある。
このままでは内部で発生した水素が爆発する恐れがあるため、窒素を補充し直し、酸素の流入を防ぐ狙いがある。ただし、容器が損傷している場合、補充で容器内の蒸気が外部に漏れる恐れもあるため、慎重に検討するとしている。
(2011年4月2日13時09分 読売新聞)
福島第一原発、立て坑にコンクリ注入開始
読売新聞 4月2日(土)19時16分配信
福島第一原子力発電所2号機の取水口付近で、立て坑(ピット)の亀裂から放射線量の強い汚染水が海に流れ出た問題で、東京電力は2日、流出源とされる立て坑と、汚染水がたまっている作業用トンネル(トレンチ)がつながっており、汚染水が流れた可能性があると発表した。
東電は同日午後、立て坑にコンクリートを注入した。午後7時頃に2回目の注入を行い、明朝までに汚染水の流出防止効果を確認したいとしている。
立て坑は電源ケーブルの点検用に設けられたもので深さ約2メートル。同日朝、強い放射線を放つ汚染水がたまり、立て坑の側面にある亀裂(約20センチ・メートル)から海に流出しているのが見つかった。 .最終更新:4月2日(土)19時16分
「谷垣首相」打診説、駆ける 大連立で思惑交錯 自民なおも「5Kはずし」主張
産経新聞 4月2日(土)7時57分配信
平成23年度予算の成立というヤマを越え、菅直人首相が自民党との大連立への環境整備に本腰を入れ始めたようだ。そこには、「大震災からの復旧・復興」を大義名分にした政権延命策という思惑も透けてみえるが、ラブコールを送られる自民党は「首相退陣」を大連立の前提条件としている。大連立を唱えれば唱えるほど自らの立場が危うくなる−。首相はそんなジレンマを抱えている。(加納宏幸、佐々木美恵)
1日夕の記者会見で、首相は自民党への“期待”を隠そうとしなかった。
「復旧・復興に関しては与野党を超えて協力する態勢をつくりたい。自民党をはじめとする各野党とともに計画を立てていく形が生まれることを切望している」
首相は自民党との連携に向けた舞台装置も用意していた。有識者や被災地関係者による「復興構想会議」の設置だ。
「復興構想会議の提案や計画を実行に移すための政府の態勢づくりに入り、今月中には固めたい」
首相は会見でこう表明した。被災者からすれば、これから態勢をつくるというのはあまりにも悠長な話だが、首相には、復旧・復興案を策定する際に自民党案も取り込むことで、大連立に向けた信頼関係を醸成する狙いがある。
民主党側も大連立への布石を打ち始めた。
◆閣僚増員を提示
岡田克也幹事長は1日、内閣法改正による閣僚の3人増員の具体像を自民党の石原伸晃幹事長に示した。増員される閣僚は、震災復興担当相、松本龍防災担当相が兼務する環境相、枝野幸男官房長官が兼務する沖縄北方担当相の3ポスト。加えて副大臣6人、政務官6人、首相補佐官5人を増やす案も提示した。来るべき大連立を見据えれば、自民党に用意できるポストは多ければ多いほどいい。
岡田氏は1日、三重県四日市市で記者団に「これだけ大きな災害なので、総力を結集して能力がある人に働いてもらうことは当然だ」と述べた。
未曽有の災害を受け、政界が大連立に向けて動いているのは間違いない。ただ、その場合の首相が誰であるかという点では、さまざまな思惑が交錯する。
「谷垣禎一・自民党総裁を首相とするのなら協力してもらえるか」「首相に加え、いくつか閣僚ポストを付けてもいい」
自民党重鎮のもとには最近、民主党側からこんな持ちかけがあるという。1日には民主党が「首相・谷垣氏、副総理・仙谷由人官房副長官、民主党代表・輿石東参院議員会長」という大連立案を打診したという噂が政界を駆けめぐった。
◆参画に傾く重鎮
自民党は重鎮を中心に大連立への参画に大きく傾いている。谷垣氏は31日、麻生太郎元首相の事務所を訪れ、大連立に関して相談を持ちかけた。
谷垣氏「どうしたらいいでしょうか…」
麻生氏「総裁が『やる』という腹を固めなければ、事態の収拾はつかないでしょうが」
谷垣氏は麻生氏に、首相からの打診は一度きりということも打ち明けた。
自民党執行部にしてみれば、首相退陣という条件が確約されない限りは大連立には踏み出しにくい。自民党が子ども手当など「バラマキ4K」に「菅抜き」を加えた「5Kはずし」にこだわるのは、求心力を失った首相が大連立を推進できるとは信じていないからだ。ましてや、党内抗争を繰り広げる民主党が「谷垣首相」でまとまるのか…。
「誰が首相の首に鈴を付け、民主党をまとめられるのか。その見極めがつかないうちに大連立への回答はしにくい」
-東日本大震災-大きな揺れを4回繰り返す 東北大が解析
毎日新聞 4月2日(土)19時2分配信
東日本大震災と過去の宮城県沖地震の波形比較※観測点・仙台住友生命ビル、南北方向=源栄正人・東北大教授提供
マグニチュード(M)9.0の東日本大震災で最大震度6強を観測した仙台市で、3分間にわたって大きな揺れを4回繰り返していたことが東北大の地震波形の解析で分かった。最初の2回の揺れだけでも、28人の死者を出した78年の宮城県沖地震(M7.4)が2度起きたことに相当する大きさで、けた違いの巨大地震の姿が波形を通じて明らかになった。専門家は、こうした長時間の強い揺れが建築物を損傷させ、津波に流される被害を拡大させた可能性があると指摘している。
JR仙台駅前のビルに設置した地震計のデータを同大の源栄(もとさか)正人教授(地震工学)が解析した。瞬間的な揺れの強さを表す加速度は最大317ガルで、同地点で観測した78年宮城県沖地震の約1.3倍程度だったが、揺れの継続時間は4.5倍だった。源栄教授は「同じ場所で観測した両地震を比較することでM9クラスの地震がいかに長く揺れるか分かる。例えるなら初めに78年の宮城県沖地震クラスが1度起きて、さらにそれを上回る地震が起きた」と説明する。
一般的に構造物は長い時間繰り返して揺すられることに弱い。同大の今村文彦教授(津波工学)は、今回の揺れが津波被害を拡大させた可能性を指摘する。甚大な津波被害を出した宮城県女川町では、これまで津波の避難場所に有効とされてきた鉄筋コンクリート造りの建築物が複数押し倒されたことが確認された。今村教授は「長時間の揺れがコンクリート造りの建築物の基礎部分を損傷させ、津波で押し流された可能性もある。沿岸部では、液状化や地盤の沈降もあった。今回の大震災は複数の災害が同時に起きて被害を大きくしたと言える」と話す。【八田浩輔】
建築研地震波形
http://smo.kenken.go.jp/ja/smreport/201103111446
海底地盤が5m隆起、津波を巨大化か
読売新聞 4月2日(土)21時28分配信
マグニチュード(M)9・0を記録した東日本大震災で、震源の東端に位置する海底地盤が約5メートル隆起していたことが、東北大学地震・噴火予知研究観測センターによる水圧計の調査でわかった。
M7クラスの地震での隆起は1メートル程度と考えられており、今回は大きな隆起が津波を巨大化させたとみられる。
水圧計が設置されていたのは、震源から約100キロ東の海底(水深約5800メートル)。海のプレート(岩板)が陸のプレートに沈み込む境界(日本海溝)の付近で、海溝から陸側に約20キロの位置にある。
同センターが3月24日に水圧計を回収し、水圧から海水面の変動を推定したところ、地震により海底地盤が約5メートル隆起していることがわかった。震源域全体(長さ450キロ、幅200キロ)の中でも、観測地点の隆起量が最大とみられる。海底地盤の隆起量を実測できたのは、世界初。 .最終更新:4月2日(土)21時28分
放射性物質予測、公表自粛を 気象学会要請に戸惑う会員2011年4月2日19時25分
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. 福島第一原発の事故を受け、日本気象学会が会員の研究者らに、大気中に拡散する放射性物質の影響を予測した研究成果の公表を自粛するよう求める通知を出していたことが分かった。自由な研究活動や、重要な防災情報の発信を妨げる恐れがあり、波紋が広がっている。
文書は3月18日付で、学会ホームページに掲載した。新野宏理事長(東京大教授)名で「学会の関係者が不確実性を伴う情報を提供することは、徒(いたずら)に国の防災対策に関する情報を混乱させる」「防災対策の基本は、信頼できる単一の情報に基づいて行動すること」などと書かれている。
新野さんによると、事故発生後、大気中の放射性物質の広がりをコンピューターで解析して予測しようとする動きが会員の間で広まったことを危惧し、文書を出した。
情報公開を抑える文書には不満も広まり、ネット上では「学者の言葉ではない」「時代錯誤」などとする批判が相次いだ。「研究をやめないといけないのか」など、会員からの問い合わせを受けた新野さんは「研究は大切だが、放射性物質の拡散に特化して作った予測方法ではない。社会的影響もあるので、政府が出すべきだと思う」と話す。
だが、今回の原発事故では、原子力安全委員会によるSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)の試算の発表は遅すぎた。震災発生から10日以上たった23日に発表したときには、国民に不安が広まっていた。
気象学会員でもある山形俊男東京大理学部長は「学問は自由なもの。文書を見たときは、少し怖い感じがした」と話す。「ただ、国民の不安をあおるのもよくない。英知を集めて研究し、政府に対しても適切に助言をするべきだ」
火山防災に携わってきた小山真人静岡大教授は、かつて雲仙岳の噴火で火砕流の危険を伝えることに失敗した経験をふまえ、「通知は『パニック神話』に侵されている。住民は複数の情報を得て、初めて安心したり、避難行動をしたりする。トップが情報統制を命じるのは、学会の自殺宣言に等しい」と話している。(鈴木彩子、木村俊介)
.
東日本大震災 ソフトバンク孫氏 個人で義援金100億円
毎日新聞 4月3日(日)22時23分配信
拡大写真
ソフトバンクの孫正義社長=長谷川直亮撮影
ソフトバンクは3日、孫正義社長(53)が東日本大震災の被災者への義援・支援金として、個人で100億円を寄付すると発表した。またソフトバンク代表としての役員報酬(09年度実績は約1億800万円)も、引退するまでの分全額を寄付する。このほか、ソフトバンクグループも企業として10億円を寄付するという。義援金は日本赤十字社や共同募金会を通じた寄付のほか、NPO支援、震災遺児支援などに充てると説明している。
【記事を読んだ皆さんもぜひ】被災地への義援金の主な受け付窓口
孫社長は今回の寄付についてコメントしていないが、震災後に福島県を訪ね、インフラ復旧などへの協力を申し出たり、震災で両親を亡くした震災遺児に18歳になるまで携帯電話を無償貸与する方針も打ち出すなど、公私両面で被災者支援に取り組んでいる。【乾達
M9.0の大地震でも倒壊しない日本の建築物に感嘆の声=中国
Y! 【社会ニュース】 【この記事に対するコメント】 2011/03/18(金) 12:42
東北関東大震災は中国をはじめとする世界各国で大きく報じられているが、中国ではマグニチュード9.0の大地震でも倒壊しない日本の建築技術の高さに対しても感嘆(かんたん)の声があがっている。捜狐焦点網が報じた。
中国のインターネット上では「日本以外の人口密集国家でM9.0レベルの大地震が発生すれば、地震だけで数万人の死傷者が出るだろう」と論じ、「日本の建築物を見たあとにわが国の建築物を見ると、何もかもひどすぎることが分かる」、「M9.0は四川大地震よりも大きな規模だ。しかも地震の後には津波が来ている。中国の不動産ディベロッパーは反省し目を覚ますべきだ。日本の地震を見てみろ。地割れが出現し、深刻な地盤沈下や道路寸断も起きた。しかし、多くの建築物は何ともない。多くの住宅は地盤沈下にともなってそのままの形で沈んでいる」など、日本の建築物の耐震性を高く評価した。
また、感嘆の声をあげているのは一般人だけではなく、専門家も同様だ。日本の建築物の堅強(けんきょう)さには専門家も驚嘆の声を上げている。不動産ディベロッパー華遠集団の任志強総裁は、「震撼(しんかん)した。も建物の倒壊で死亡する人がほとんどいなかったとは。これこそ人間第一主義だ」と発言している。
中国エネルギーネットの首席情報官である韓暁平氏は、「日本国民の災害に対する冷静な対応は、われわれも学ぶべきだ。これほどの規模の地震でも、秩序を保ち、人を責めることがない。しかし、さらに重要なのはこれほどの地震でも倒壊による死傷者が非常に少ないことだ。これは日本の建築物の高いクオリティをよく表している」と指摘した。
中国地震網の潘懷文主任は「急速な発展段階にある中国では、高層建築の建設も目覚ましい。しかし建築物のクオリティは低く、日本の建築物の耐震レベルには遠く及ばない」とし、『第12次5カ年計画』期間中に建築品質に関しての統一基準を設け、災害時の物的および人的被害を軽減するよう備えることを主張した。(編集担当:畠山栄)
「電源喪失で容器破損」東電報告書検討せず
読売新聞 4月4日(月)3時8分配信
東京電力福島第一原子力発電所2、3号機で使われている型の原発は、電源が全て失われて原子炉を冷却できない状態が約3時間半続くと、原子炉圧力容器が破損するという研究報告を、原子力安全基盤機構が昨年10月にまとめていたことがわかった。
東電は報告書の内容を知りながら、電源喪失対策を検討していなかったことを認めている。
国は2006年に「原発耐震設計審査指針」を改定し、地震の想定規模を引き上げた。これを受け、国の委託で原発の安全研究に取り組む基盤機構が、09年度から様々な地震被害を想定した研究を始めた。
1970年前後に開発された、2、3号機の型の沸騰水型原発(出力80万キロ・ワット)については、地震で電源喪失した場合、原子炉内の温度や水位、圧力などがどう変化するかを計算した。
その結果、3時間40分後には圧力容器内の圧力が上がって容器が破損し、炉心の核燃料棒も損傷。格納容器も高圧に耐えきれず、6時間50分後に破損して、燃料棒から溶け出した放射性物質が外部へ漏れるとした。 .最終更新:4月4日(月)3時8分
津波、37・9mまで駆け上がる…国内最大級
読売新聞 4月3日(日)23時5分配信
岩手県宮古市の田老地区で、東日本大震災の津波が高さ37・9メートルまで山中を駆け上がっていたことが3日、東京大学地震研究所の現地調査で分かった。
これまでの東日本大震災の津波調査での中では最大記録。明治三陸地震(1896年)の際に、同県大船渡市で観測された国内最高の38・2メートルに迫る。
同地区の小堀内漁港周辺で行った調査では、海岸から200メートル離れた山の斜面の高さ37・9メートル地点で、落ち葉が津波により洗い流されていたほか、その数メートル下では消防車が大破していたことが確認された。
同研究所の都司嘉宣准教授は「調査はまだ始まったばかりで、さらに高い地点で津波の痕跡が見つかる可能性は十分にある」と話している。 .最終更新:4月3日(日)23時5分
福島第1原発 東電、ベント着手遅れ 首相「おれが話す」
毎日新聞 4月4日(月)4時0分配信
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大地震発生を受け、国民に向け呼びかける菅直人首相=首相官邸で2011年3月11日、藤井太郎撮影
東日本大震災から一夜明けた3月12日午前6時すぎ。菅直人首相は陸自ヘリで官邸屋上を飛び立ち、被災地と東京電力福島第1原発の視察に向かった。秘書官らは「指揮官が官邸を不在にすると、後で批判される」と引き留めたが、決断は揺るがなかった。
【原子炉・タービン・トレンチ】汚染水が漏れた様子を図解
「総理、原発は大丈夫なんです。構造上爆発しません」。機内の隣で班目(まだらめ)春樹・内閣府原子力安全委員会委員長が伝えた。原発の安全性をチェックする機関の最高責任者だ。
第1原発は地震で自動停止したものの、原子炉内の圧力が異常に上昇した。東電は格納容器の弁を開放して水蒸気を逃がし、圧力を下げる作業(ベント)を前夜から迫られていた。班目委員長は「視察の前に、作業は当然行われていたと思っていた」と振り返る。だが、着手は遅れた。
首相は官邸に戻った後、周囲に「原発は爆発しないよ」と語った。
1号機でようやくベントが始まったのは午前10時17分。しかし間に合わず、午後3時半すぎに原子炉建屋が水素爆発で吹き飛ぶ。「原発崩壊」の始まりだった。致命傷ともいえる対応の遅れは、なぜ起きたのか。
◆ ◆
11日、東電の勝俣恒久会長は滞在先の北京で震災の一報を知る。心配する同行者に「情報がない」と漏らし顔をゆがめた。衛星携帯で本店と連絡を取り続けたが、帰国できたのは翌12日。清水正孝社長も出張先の関西から帰京できない。東電はトップ不在のまま対策本部を置く。
一方、官邸の緊急災害対策本部。当初、直接東電とやりとりするのではなく経済産業省の原子力安全・保安院を窓口にした。「原子炉は現状では大丈夫です」。保安院は東電の見立てを報告した。
しかし、事態の悪化に官邸は東電への不信を募らせる。菅首相は11日夕、公邸にいる伸子夫人に電話で「東工大の名簿をすぐに探してくれ」と頼んだ。信頼できる母校の学者に助言を求めるためだった。
11日午後8時30分、2号機の隔離時冷却系の機能が失われたことが判明する。電源車を送り込み、復旧しなければならない。「電源車は何台あるのか」「自衛隊で運べないのか」。首相執務室にホワイトボードが持ち込まれ、自ら指揮を執った。
官邸は東電役員を呼びつけた。原子炉の圧力が上がってきたことを説明され、ベントを要請した。しかし東電は動かない。マニュアルにはあるが、日本の原発で前例はない。放射性物質が一定程度、外部へまき散らされる可能性がある。
「一企業には重すぎる決断だ」。東電側からそんな声が官邸にも聞こえてきた。復旧し、冷却機能が安定すればベントの必要もなくなる。
翌12日午前1時30分、官邸は海江田万里経産相名で正式にベントの指示を出した。だが、保安院は実際に行うかどうかについて「一義的には東電が決めること」という姿勢を変えない。国が電力各社に文書で提出させている重大事故対策は「事業者の自主的な措置」と位置づけられている。
「東電はなぜ指示を聞かないのか」。官邸は困惑するばかりだった。首相は「東電の現地と直接、話をさせろ」といら立った。「ここにいても何も分からないじゃないか。行って原発の話ができるのは、おれ以外に誰がいるんだ」。午前2時、視察はこうして決まった。
事故を防ぐための備えは考えられていた。しかし、それでも起きた時にどう対応できるか。班目委員長は取材に「自分の不明を恥じる」と言ったうえで、こう述べた。「その備えが足りなかった」
◆
東日本大震災から人も国も再び立ち上がるには何が必要なのか。教訓を得るというには重すぎる出来事を後世にどう伝えればいいのか。あらゆる現場を見つめ直し、長い時間をかけて考え続けなければならない。随時掲載する「検証 大震災」の初回は、かつてない原発の大事故に政府や東電が当初どう対処したのかを報告する。【震災検証取材班】
原子力災害対策特別措置法第10条
0330
原災法の条項であり、原子力防災管理者 の通報義務について規定したもの。原子力防災管理者は、原子力事業所 の区域の境界付近において定められた基準以上の放射線量が検出されたり、又は定められた原子力事象の発生についての通報を受けたとき、又は発見したときは、直ちに、主務大臣 、所在都道府県知事、所在市町村長及び関係隣接都道府県知事(事業所外運搬に係る事象の発生の場合にあっては、主務大臣並びに当該事象が発生した場所を管轄する都道府県知事及び市町村長)に通報しなければならない。所在都道府県知事及び関係隣接都道府県知事は、関係周辺市町村長にその旨を通報しなければならない。また、この場合に、主務大臣は、都道府県知事又は市町村長の要請により、その事態の把握のため専門的知識を有する職員を派遣しなければならない。
原子力災害対策特別措置法第15条
0331
原災法の条項であり、原子力緊急事態宣言 について規定したもの。主務大臣 (経済産業大臣、文部科学大臣或いは国土交通大臣)は、通報された放射線量が、避難・退避が必要になると予想される異常な水準の放射線量以上の放射線量が検出されたり、又は、原子力緊急事態 の発生を示す事象の場合で、原子力緊急事態が発生したと認めるときは、内閣総理大臣に報告を行う。内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言及び緊急事態応急対策 を実施すべき区域、原子力緊急事態の概要、区域内の居住者、滞在者その他の者及び公私の団体に対し周知させるべき事項の公示 を行う。原子力緊急事態宣言の解除も本条項による。
原子力緊急事態
0319
原子力発電所などの原子力施設 より放射性物質又は放射線が異常に原子力施設の外へ放出或いは政令で定められた事象が発生した事態。原災法に基づき、あらかじめ定められた異常な事態に至った場合には、直ちに内閣総理大臣に報告(原災法第15条 1項)し、内閣総理大臣は直ちに原子力緊急事態宣言 を発出する(原災法第15条2項)とともに、内閣総理大臣を本部長とする原子力災害対策本部を設置する(原災法第16条)こととしている。内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言 及び緊急事態応急対策 を実施すべき区域、原子力緊急事態の概要、区域内の居住者、滞在者その他の者及び公私の団体に対し周知させるべき事項の公示 を行う。
原子力災害対策特別措置法第15条第1項の規定に基づく特定事象(原子炉冷却機能喪失)の発生について
平成23年3月14日
東京電力株式会社
福島第一原子力発電所
平成23年3月11日、福島第一原子力発電所1号機(沸騰水型、定格出力46万キロ
ワット)、2号機および3号機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワット)は定格
出力一定運転中のところ、同日午後2時46分頃に東北地方太平洋沖地震により、タ
ービンおよび原子炉が自動停止しました。
(お知らせ済み)
その後、2号機では、原子炉隔離時冷却系により原子炉への注水を行っておりま
したが、本日、原子炉隔離時冷却系が停止したことから、午後1時25分に、原子力
災害対策特別措置法第15条第1項の規定に基づく特定事象(原子炉冷却機能喪失)
が発生したと判断しました。
以 上
放射性物質拡散予測、気象庁に公開を指示
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していなかった問題で、枝野官房長官は4日、気象庁に公開を指示した。
ドイツなど欧州諸国の気象機関は、各国の気象機関が観測した風向などのデータに基づき、独自に拡散を予報し、サイトで公開している。噴火時の火山灰や、黄砂の飛散予測と基本的には同じ仕組みだ。
気象庁は、情報発信は原子力災害対策本部に一元化されているため、独自には公表できないとしていたが、枝野長官は記者会見で「少なくとも隠す必要のない情報。誤解を生まないよう十分説明し、公表すべきだった」と述べた。
日本には原子力事故時に放射性物質の飛散予測を行う「SPEEDI(スピーディ)」というシステムがあるが、政府は、日々予測を速報するこの情報も公開していないため、原子力関係者らが批判している。
(2011年4月4日22時48分 読売新聞)
東電副社長、福島第一原発「増設は無理」
. 福島原発
東京電力の藤本孝副社長は4日の民放番組で、国に提出した電力供給計画で増設を盛り込んだ福島第一原発の7、8号機について、「増設は無理だと思っている」と述べ、事実上、増設を断念する考えを示した。
供給計画では、東電は1995年度の計画から7、8号機の増設を盛り込んでいる。3月末に提出した計画でも増設を盛り込んでいたため、福島県などから反発が強まっていた。
藤本副社長は、「(震災後に計画を見直す時間がなく)暫定的に出した。計画が見通せる段階で速やかに変更計画を出したい」と述べた。
(2011年4月4日22時21分 読売新聞)
細野氏の事態長期化発言、各党から批判
. 「各党・政府震災対策合同会議」の実務者会合で4日、細野豪志首相補佐官が、福島第一原子力発電所の放射性物質の外部放出が止まる時期を「達成は数か月後が目標」とした発言に対する批判が相次いだ。
細野氏の発言は、福島第一原発周辺住民の避難生活長期化を示唆していたが、各党は「被災者の心づもりが必要になるので、(収束時期を)はっきりさせるべきだ」「全体の避難計画を見直す必要がある」などと求めた。
また、会合では、〈1〉5月末をメドに、全被災者を避難所から仮設住宅に移住させる〈2〉2011年度補正予算案の早期編成——など、政府に取り組みを求める緊急事項案をまとめた。6日に幹事長、政策責任者らによる合同会議で正式決定し、政府に提出する。
(2011年4月4日23時42分 読売新聞)
福島第1原発:「透明性確保を」IAEA事務局長クギ刺す
ウィーンのIAEA本部で始まった原子力安全条約検討会合=2011年4月4日、AP 【ウィーン樋口直樹】原発の安全性の確保・向上を目指す「原子力安全条約」(72締約国・機構)の検討会合が4日、ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部で開幕した。東京電力福島第1原発事故の行方に国際社会の強い関心が集まる中、天野之弥IAEA事務局長は冒頭、「極めて深刻な状況が続いている」との見方を示した。「原子力への信頼の回復と維持には、安全基準の厳守と完全な透明性が欠かせない」とも指摘。情報の秘匿などは許されないとクギを刺した。
天野氏は福島原発事故の深刻さにかんがみ、「平常通りの取り組みで済むはずがない」と述べ、「締約国が初期的な見解や教訓を共有する最初の公式な機会になる」と意義を強調。最優先課題として目前の危機の克服を挙げる一方、事故の「反省と評価を始めなければならない」とも述べ、原発の安全性について本質的な改善に取り組む決意を示した。
天野氏によると、日本に派遣されたIAEAの原子炉専門家は数日内に福島第1原発の危機管理室を訪ね、「第1次情報」を入手する予定。状況が整い次第、国際的な専門家調査団が日本に派遣され、事故の評価に当たるという。6月20日からウィーンで開かれるIAEA閣僚級会議で、初期的な評価などが協議される見通し。
事故から3週間が過ぎたが、強力な放射線に阻まれ、原子炉の中がどうなっているのか知り得ない状況が続く。4日には低レベルの汚染水約1万トン以上の海洋放出が始まった。
解決策が見えない状況の中、会合参加国からは、日本やIAEAからの情報の量にはおおむね満足する声がある一方、情報の質や真偽を問う厳しい声が聞かれた。
毎日新聞の取材に対し、アラブ首長国連邦代表団のアフメド氏は「日本の当局者は国民を安心させ、事態を混乱させたくないと考えている。メディアに伝わる情報は詳細ではない」と指摘。スウェーデンのフローディン氏も「公式に伝えられていないもっと詳しい技術情報があると思う。我が国の原発施設と比較できるような詳細な情報が欲しい」と注文した。
日本の近隣国の参加者は匿名を条件に「放射能汚染の拡大を心配している。健康被害はない、との日本当局の報道発表には懐疑的だ」と本音をのぞかせ、「事故直後の東京電力の不誠実な対応には、不信感を抱かざるを得なかった」と語った。
一方、パキスタンのミンハジ氏は「情報が遅いとの批判もあったが、事故直後は仕方がない。大事なのは、今回の事故を教訓に危機管理のあり方を学び合うことだ」と指摘。メキシコのゴンザレス氏は「IAEAの情報提供で現時点では健康被害がないことが分かり、安心している」と語った。
検討会合は14日までの11日間。日本からは経済産業省原子力安全・保安院の担当者らが参加した。4日夕には、日本政府とIAEAの共催で福島原発事故に関するセミナー(非公開)も開かれ、最新情報を基に質疑応答などが行われる。
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毎日新聞 2011年4月4日 23時39分(最終更新 4月5日 0時58分)
日本料理店、大量倒産も=原発事故受け—香港
時事通信 4月5日(火)17時17分配信
【香港時事】日本にとって最大の農水産物輸出市場である香港で、これまで人気が高かった日本料理店が、福島第1原発事故の影響を受けて大量に倒産する恐れが出てきた。
九竜地区の繁華街にある高級日本料理店の経営者は「仕入れ先を関東以西に替えているが、影響は免れない。客が全部で2、3人の日もある」と嘆く。香港人の来客はほとんどなくなったという。
地元各紙によると、同じ地区にある別の高級日本料理店は1日、売り上げが7割も落ちたため閉店に追い込まれた。一部の日本料理店は食材を日本産から米国産などに切り替えて、安全をアピールしている。
香港飲食業協会の黄家和会長は地元紙に「約600軒の日本料理店のうち100軒以上が倒産してもおかしくない」と語った。立法会(議会)では「政府が日本料理店に緊急融資を実施すべきだ」との声も出ている。
香港メディアは連日、日本の放射能汚染問題を大きく報じており、日本食品離れは今後、料理店だけでなく、スーパーなど小売店にも広がる可能性がある。
日本の科学に激震
日本の研究者たちは、地震で破損した装置や寸断されたインフラと懸命に戦っている。
Ichiko Fuyuno
2011年3月11日、マグニチュード9.0の大地震と想定をはるかに超えた津波が東北地方と関東地方を襲った。東北大学大学院生命科学研究科の田村宏治(たむらこうじ)の研究室は、地震によりめちゃくちゃになった。本や顕微鏡、DNAシーケンサーやサンプルは床にたたき落とされた。幸いにも、田村が器官形成の研究に用いているヤモリ、アフリカツメガエル、ゼブラフィッシュは、地震には耐え、生き延びた。だが、今、ゆっくりと死に向かっている。断水により水槽の水がなくなる可能性があるからだ。「ここの動物たちが水なしでどのくらい生きられるかと思うと、不安です」と彼は言う。「けれども、多くの被災者が生きるために水を必要としている今、研究のことなど考えていられないのです」。
日本の多くの研究者と同じく、田村は、台無しになった研究計画について心配しながら、地震と津波によって2万人以上が命を落とし、50万人近くが住む家を失ったことに深い悲しみを感じている。現時点(3月21日現在)では、少なくとも大学および研究所の構内での犠牲者は報告されていない。しかし、地震発生から時間が経ち、被害の状況が明らかになるにつれ、研究者たちは、復興への道のりは長く、困難なものになると予想している。研究室やその他の施設の物理的な損壊に加えて、インフラが破壊され、東京を含む東日本の広い範囲で停電が発生しているからだ。
学術研究機関の中で最も大きな被害を受けたのは、東北大学である。東北大学は、材料科学、工学、生物医学研究が盛んだが、震源に近い仙台にあり、4月下旬までの休講が決まっている。現在、緊急チームが被害の調査を進めているが、電気、ガス、水道の供給が断たれているうえ、断続的な余震もあり、困難をきわめている。仙台より北方の沿岸部女川町にある同大学大学院農学研究科の女川フィールドセンターでは、建物が津波の直撃を受けた。メインキャンパスでも、6棟の建物が危険で立ち入りができないと判定された。
東北大学の建物のいくつかは激しく損傷し、立ち入り危険と判定された。
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)は、金属ガラス、ポリマー、ナノデバイスの研究で名高いが、山本嘉則(やまもとよしのり)機構長によると、今回の震災で10億円相当の機器が失われたことがわかっており、より詳細な評価が行われれば、被害額はさらに大きくなるだろうという。破損した機器の中には、世界最高レベルの電子顕微鏡や、表面の原子配列を調べるための装置も含まれている。
震源からもっと遠い茨城県の海岸にある大強度陽子加速器施設(J-PARC)も閉鎖されている。3基の加速器は損傷していないように見え、施設も津波による被害は受けていない。しかし、地震により水道が止まって水の供給が断たれ、周辺地域の道路はゆがみ、コンピューター・サーバーは損傷した。研究者らは、3月下旬から施設の電源スイッチを入れ、予備的な点検を始める予定である。
茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光科学研究施設(フォトンファクトリー)のシンクロトロンも損傷した。施設長の若槻壮市(わかつきそういち)は、3月15日に世界の研究コミュニティーに宛てて手紙を書き、「線形加速器はかなりの損傷を受けた」が、「5本あるタンパク質構造解析用放射光ビームラインには大きな損傷は見られない」と報告している。
一方、福島第一原子力発電所をはじめとする複数の原子力発電所が操業を停止したことで、関東地方は電力不足に陥り、計画停電が毎日実施されている。関東地方にある多くの学術研究機関(その中には、東京大学や理化学研究所の一部の施設も含まれている)は、大幅な節電と、スーパーコンピューターなどの大型施設の閉鎖を余議なくされている。
インフラの寸断と原子力発電所の事故という不測の事態に、日本在住の外国人の間には、西日本に移動したり、日本を出国したりする動きが広まっている。理化学研究所脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)の Adrian Moore は、「これは重大な問題です」と言う。彼の研究室には外国人のポスドクが6人いるが、そのうちの5人が、事態が落ち着くまで日本を離れている。J-PARCでは、すべての外国人研究者が、帰国するか、インフラがいくらか回復しているつくば市の寮に入っている。日本政府は、大学や研究施設の再建のために、緊急の資金提供を考えている。
重苦しい状況の中で、明るいニュースもあった。地震当日、青森県八戸港には、日本の地球深部探査船「ちきゅう」が停泊していた。世界最大級の掘削能力(海底下7000m)を持つ「ちきゅう」は、八戸沖の海底下にある石炭層の掘削を行う航海に備えていたのだ。地震発生時、「ちきゅう」には見学に訪れた小学生48人が乗船していた。「ちきゅう」は地震発生から30分もしないうちに、この小学生たちを含む200人を乗せて港を出た。津波の際には、海岸にいるより、船に乗って海に出ているほうが安全なのである。沖合に出てまもなく、津波がやって来た。津波は、約5万7000トンもある「ちきゅう」を2回転半も回転させたが、けが人は出なかった。唯一の被害は、船の6基あるスラスターのうちの1基が壊れたことだった。石炭層生命圏掘削プロジェクトの航海主席研究者の1人、海洋研究開発機構の稲垣史生(いながきふみお)は、「犠牲者が出なかったのは、ほとんど奇跡でした」と言う。しかしながら、予定されていた航海は、当然中止になった。
東北大学副学長の北村幸久は、同大学の学生も教職員も、世界中から寄せられる応援メッセージに励まされているという。「我々はくじけません。復興に向けて情熱を取り戻しつつあります」と彼は語っている。
(翻訳:三枝小夜子
福島第一、安全設計で第二と違い 電源喪失巡り東電指摘(1/2ページ)2011年4月6日5時2分
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西方約38キロ、高度約7300メートルから見た福島第一原子力発電所=5日午後3時10分、福島県大熊町、朝日新聞社機から、堀英治撮影
福島第一原発と福島第二原発の比較
東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所で、津波を受けて電源喪失事故に至った主要な理由は、福島第二原発との安全設計上の違いにあると、東京電力作成の資料で指摘されていることが分かった。第一ではタービン建屋内の非常用ディーゼル発電機などが冠水し、使用不能。第二では、発電機などが気密性が高い原子炉建屋内にあり、機能を維持した。今後、事故の検証で安全設計の問題が焦点の一つになるのは確実だ。
福島第一、第二の両原発は3月11日、5.2〜5.7メートルの想定を大幅に上回る14メートル以上の津波に襲われた。電源を失った第一では原子炉の制御が困難になり、その後、深刻なトラブルが続発。第二では原子炉の冷却水を海水で冷やすシステムが正常に働かなくなるなどのトラブルがあったが、大きな事故には至らなかった。
東電の柏崎刈羽原発(新潟県)がこの結果を分析した資料や東電関係者の話によると、津波による設備の損傷の違いは、(1)原子炉の非常用ディーゼル発電機と変圧器などの電源装置(2)原子炉の残留熱を除去するための海水をくみ上げるポンプ——に現れた。
(1)では、タービン建屋などにある福島第一の発電機が冠水し、6号機の1系統を除き使用不能。原子炉建屋内の福島第二では、1号機の原子炉建屋が浸水したものの、機能が維持された。
(2)では、設備がほぼむき出しの状態で置かれた福島第一のポンプがすべて運転不能になった。一方、ポンプ用の建屋内に置かれた福島第二では、1、2、4号機のポンプが運転不能となったものの、3号機は機能が保たれ、原子炉を冷却することが可能だった。
(1)、(2)とも福島第二と同じ設計となっている柏崎刈羽原発では、この結果を受けて説明資料を作成。柏崎刈羽は「気密性の高い原子炉建屋に設置」しているとし、福島第一との違いを際立たせている。
また、資料では、東北電力から送られている、外部電源の状態についても言及。福島第一、第二ではいずれも、東北電力からの送電が部分的に残っていたが、福島第一では、受電するための設備が地震や津波で被害を受け、外部電源が失われた。これに対し、福島第二では受電設備が機能しており、外部電源の一部が生きていた。
事故収束の見通しが立っていない福島第一とは対照的に、福島第二では、3号機が地震発生の翌日の12日に、残る1、2、4号機も14〜15日に原子炉内の温度が100度未満の「冷温停止」となり、安全が宣言された。
東京電力本社は「(柏崎刈羽原発の指摘について)問題があると認めたわけではない。今後詳細に検討し、整理したい」としている。(中井大助)
姿見えぬ原子力安全委 事故時の助言役、果たせず2011年4月5日12時16分
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事故後、初めて開催された原子力安全委員会の定例会。右端が班目春樹委員長=4日、東京・霞が関
原子力安全委員会の位置づけ
原子力の安全確保の基本方針を決める原子力安全委員会の存在が、揺らいでいる。事故時には専門家の立場から政府や事業者に助言をする役割も担うことになっているが、福島第一原発の対応では本来の使命を十分に果たせていない。未曽有の大事故に、能力の限界を指摘する声も内部から上がっている。
安全委は内閣府に置かれた、省庁から独立した機関。作業員2人が死亡、住民ら約660人が被曝(ひばく)した核燃料施設JCOの臨界事故(1999年)の反省から、直接事業者を規制する原子力安全・保安院が経済産業省の中に設けられ、その保安院の安全規制を監視するお目付け役として、独立色を強めたはずだった。
安全委の委員は、原子力や放射線などの専門家5人。約100人の職員が事務局として支える。ふだんは安全審査や原子力防災の指針を定めるなどの仕事をしているが、今回のような事故時には、緊急に専門家集団を設けて首相に技術的助言をすることが原子力災害対策特別措置法で決まっている。
だが、安全委は当初沈黙を続けた。住民の被曝や汚染の広がりの予測に役立つ放射能拡散の試算もなかなか公表しなかった。
班目(まだらめ)春樹委員長が初めて会見したのは、地震発生から12日後の3月23日。「助言機関として黒衣に徹してきた」と釈明した。2号機の建屋外で高濃度の放射能汚染水が見つかった28日の会見では、「どんな形で処理できるか知識を持ち合わせていない。保安院で指導してほしい」と自らの役割を否定するような発言も飛び出した。
安全委は事故発生当日、専門家集団を招集するとともに、現地へ職員を派遣した。官邸や保安院、東電にも連絡係を置いて情報を集めてきた。だが、委員の一人は「今の安全委では人手が足りない」と漏らす。
代谷(しろや)誠治委員は「原子炉の圧力などの重要なデータが時々刻々で入ってこない」と打ち明ける。4月1日に始まった原発敷地内での飛散防止剤散布も「漏れ伝わってきた程度」といらだちを隠さない。
JCO事故の際に陣頭指揮を執った安全委員経験者らからは「今回は安全委の顔がみえない」「技術的側面の支援をしていない」との批判まで出ている。
政府内でも存在感は薄れていくばかり。菅直人首相は3月16日から29日にかけて原子力などの専門家6人を内閣官房参与に次々と起用。4月1日には放射線医学の専門家を首相官邸に招いて意見交換した。その一方で、政府は保安院の院長や審議官の経験者を安全委事務局に送り込み、てこ入れを図り始めた。
安全委は4日に開いた定例会で、地震後初めて保安院から事故の正式な報告を受けた。報告内容はすでに入手済みの情報ばかり。班目委員長は「保安院とのコミュニケーションが足りないと思っていた。今回の報告が改善の一歩になれば、というのが本音だ」と話した。
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福島第一の揺れ、耐震設計の想定超える 2・3・5号機2011年4月2日1時58分
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. 東京電力は1日、東日本大震災で被災した福島第一原発で耐震設計による想定を上回る揺れを観測していたと発表した。同原発は2006年に改定された新耐震指針に基づき想定を1.6倍にかさ上げしたが、過小評価だった。新指針での想定を超えたのは全国で初めて。原発の地震対策が揺らいだことになり、他の原発への影響も必至だ。
新指針は、阪神大震災後の知見を踏まえ28年ぶりに改定。これに沿って各電力会社は08年3月、既存原発の揺れの想定を大幅に引き上げた。東電は第一原発が想定する地下の揺れを引き上げ、さらに個別に3、5号機について安全性は確保されると報告。経済産業省原子力安全・保安院も妥当だと評価した。
公表されたのは最下階の地震計のデータで、2号機が想定の438ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)に対して、1.25倍の550ガルを記録。5号機で548ガル(想定452ガル)、3号機でも507ガル(同441ガル)が観測された。
新指針は「極めてまれで施設に大きな影響を与える地震動」を想定するよう求めている。東電は、今回の地震の規模に近いとみられている「貞観(じょうがん)地震」(869年)の揺れでも超えないと想定。超える場合もその確率は1万年から100万年に1回と評価していた。
旧指針は、東北電力女川原発、北陸電力志賀原発、東電柏崎刈羽原発で相次ぎ想定を超えたため問題化。新指針を踏まえて各原発の安全性を再評価する作業が進められていた。今回の地震で、新指針による国の審査のあり方が問われることになる。
原発の復旧作業では、東電は1日、放射性物質を含んだ粉じんの飛散を防ぐため敷地内で合成樹脂を散布する作業を始めた。乾くと膜のようになり半年から1年ほど飛散を防ぐ効果が期待できるという。米軍の船から敷地のタンクに向けた真水の補給も始まった。
なぜ女川原発は無事だった 津波の高さは福島と同程度2011年3月31日12時52分
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高さ約15メートルの高台の上に造られた、東北電力の女川原発=08年12月、朝日新聞社ヘリから
東北電力女川原子力発電所=23日、宮城県女川町、朝日新聞社機から、堀英治撮影
東日本大震災の際、東北電力の女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)も、東京電力福島第一原発と同じクラスの津波に襲われたが、福島第一のような大きな被害はなく、危機的な状況に陥ることはなかった。その違いは何だったのか。
福島第一原発から北に約120キロ離れた太平洋岸にあり、三つの原子炉が並ぶ女川原発。福島第一原発を襲った津波は高さ14メートルを超えたが、女川町を襲った津波は17メートルクラスだったとする調査結果が出ている。津波で、女川原発の1〜3号機のうち、2号機の原子炉建屋の地下3階が浸水したが、原子炉を冷やすために不可欠な電源が失われることはなかった。
女川原発の安全審査で想定した津波の高さは最大9.1メートル。想定を大きく上回ったのは、福島第一原発と同じだ。それにもかかわらず、被害が小さかった理由について、東北電力は「詳しい経緯は今後の調査を待たなければならないが、余裕を持った造りが大きかったと考えられる」と指摘した。
「余裕」が最も表れているのは、原子炉建屋の海面からの高さだ。同原発の主要施設の標高は14.8メートルあり、10メートル前後だった福島第一より高い。女川原発は2号機の熱交換器室が浸水の影響で使えなくなった1系統を除き、非常用電源が正常に稼働した。施設の位置の高さが津波の被害を防いだ可能性があるという。
また、女川原発では、福島第一原発とは違い、外部電源が失われなかったことも大きかった。東北電力によると、女川原発につながる2系統の送電幹線のうち、片方は地震の影響で止まったものの、もう一つは電気を送り続けた。同原発1号機は変圧器の故障でこの外部電源が使えなくなったが、2、3号機では維持された。福島第一原発で外部電源が喪失したことについて、東電側は「送電鉄塔が地震で倒れたため」と説明している。
ただ、津波対策として原発を海面からより高く建設することは容易でないという。原発は大量の冷却水を必要とするため、海水面近くに造らなければならない。核燃料や運搬時に燃料を包むキャスクなど、何トンもの重量がある荷物は船で敷地内に運び込まれることが多く、建屋の標高が高くなれば、作業がそれだけ困難になるという面もある。
宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子炉工学)は「原発は、硬い岩盤の上に建設することが不可欠だ。国内でも、原子炉建屋の高さがまちまちなのは、適した岩盤の位置によるという事情がある」と話している。(中井大助)
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原発の全電源喪失、米は30年前に想定 安全規制に活用2011年3月31日16時39分
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. 東京電力福島第一原子力発電所と同型の原子炉について、米研究機関が1981〜82年、全ての電源が失われた場合のシミュレーションを実施、報告書を米原子力規制委員会(NRC)に提出していたことがわかった。計算で得られた燃料の露出、水素の発生、燃料の溶融などのシナリオは今回の事故の経過とよく似ている。NRCはこれを安全規制に活用したが、日本は送電線などが早期に復旧するなどとして想定しなかった。
このシミュレーションは、ブラウンズフェリー原発1号機をモデルに、米オークリッジ国立研究所が実施した。出力約110万キロワットで、福島第一原発1〜5号機と同じ米ゼネラル・エレクトリック(GE)の沸騰水型「マークI」炉だ。
今回の福島第一原発と同様、「外部からの交流電源と非常用ディーゼル発電機が喪失し、非常用バッテリーが作動する」ことを前提とし、バッテリーの持ち時間、緊急時の冷却系統の稼働状況などいくつかの場合に分けて計算した。
バッテリーが4時間使用可能な場合は、停電開始後5時間で「燃料が露出」、5時間半後に「燃料は485度に達し、水素も発生」、6時間後に「燃料の溶融(メルトダウン)開始」、7時間後に「圧力容器下部が損傷」、8時間半後に「格納容器損傷」という結果が出た。
6時間使用可能とした同研究所の別の計算では、8時間後に「燃料が露出」、10時間後に「メルトダウン開始」、13時間半後に「格納容器損傷」だった。
一方、福島第一では、地震発生時に外部電源からの電力供給が失われ、非常用のディーゼル発電機に切り替わったが、津波により約1時間後に発電機が止まり、電源は非常用の直流バッテリーだけに。この時点からシミュレーションの条件とほぼ同じ状態になった。
バッテリーは8時間使用可能で、シミュレーションと違いはあるが、起きた事象の順序はほぼ同じ。また、計算を当てはめれば、福島第一原発の格納容器はすでに健全性を失っている可能性がある。
GEの関連会社で沸騰水型の維持管理に長年携わってきた原子力コンサルタントの佐藤暁さんは「このシミュレーションは現時点でも十分に有効だ。ただ電力会社でこうした過去の知見が受け継がれているかどうかはわからない」と話す。
一方、日本では全電源が失われる想定自体、軽視されてきた。
原子力安全委員会は90年、原発の安全設計審査指針を決定した際、「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又(また)は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない」とする考え方を示した。だが現実には、送電線も非常用のディーゼル発電機も地震や津波で使えなくなった。
原子力安全研究協会の松浦祥次郎理事長(元原子力安全委員長)は「何もかもがダメになるといった状況は考えなくてもいいという暗黙の了解があった。隕石(いんせき)の直撃など、何でもかんでも対応できるかと言ったら、それは無理だ」と話す。(松尾一郎、小宮山亮磨)
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甘い想定、頼った「最終手段」 福島第一原発事故2011年3月14日
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. 福島第一原発では、1号機に続いて炉心溶融の可能性が強い3号機でも格納容器にある弁を開ける作業をとった。このガス放出弁は、実は、原発の建設時には「日本では炉心溶融が起こらない」として装備されていなかった。海外の動きにおされて導入したこの弁が、今は最悪の事態を回避する命綱になっている。当初の事故想定がいかに甘かったかを示している。
弁は格納容器内のガスを放射能除去フィルターを通して外部に出すものだ。
1号機は12日に放出を行った。電源がないため、職員の手や小型のコンプレッサーで弁を開いた。圧力容器から出たガスで8気圧まで上昇していた格納容器内の圧力が大きく下がった。格納容器は4気圧まで耐えられる設計。8気圧は厳しい状況だった。
専門家は、もし弁がなければ、格納容器の爆発から大惨事にいたった可能性が高かったとみる。弁に助けられた。
3号機でも13日から、弁を開けた。
福島第一原発の6基の原発は1970年代に、福島第二原発の4基の原発は80年代に運転を開始した。いずれも建設当時に弁はなかった。炉心溶融などの過酷事故(シビアアクシデント)は起こらないという考えからだった。
しかし、79年、米スリーマイル島(TMI)原発で炉心溶融が起き、爆発の一歩手前までいった。86年には違う炉型の旧ソ連チェルノブイリ原発で炉心爆発が起きた。
このため、フランスやスウェーデン、ドイツ、米国では炉心溶融に備え、格納容器に弁をつける変更を始めた。
日本ではその後も「過酷事故は起こらない。対策は不要」とされてきた。しかし、92年に原子力安全委員会が「検討が必要」との見解を出し、その後、電力業界も「確率は極めて低いが安全性を高める」として方針を変えた。
東京電力などがもつ沸騰水型炉(BWR)は90年代半ばから弁の設置を始めた。ガスは格納容器下部からフィルターを通って外部に出るようになっている。
一方、関西電力などの加圧水型炉(PWR)の格納容器は大きくて余裕があるので、弁はつくらず、格納容器内を冷やす装置の強化などで対応している。
ただ、弁の開放は放射性ガスの放出という「やってはならないこと」の実施だ。格納容器の防護機能を自ら捨てて、圧力容器という最後のとりでを守る「最終手段」といえる。実際、今回、弁を開いたときには、原発周囲の放射線強度が上がり、被曝(ひばく)者もでている。
リスクも大きい。1号機ではガス放出のあと、建屋内で水素爆発がおきた。建屋の壁が吹き飛び、負傷者4人を出した。水素がたまったことにはガス放出が関係しているとみられている。
もし大きな爆発が起きれば、大規模な放射能放出も考えられる。ぎりぎりの判断と覚悟が求められる作業だ。
東京電力は弁を開けることをどこまで現実的に考えていたのだろうか。
炉心溶融を起こし、大量の避難民を生み、放射性物質を放出させた事実は、日本人の原子力への考えを決定的に変えるだろう。「想定外の……」の繰り返しでは片づけられない。そして、まだ原発の危機は全く去っていない。(編集委員・竹内敬二)
5割の親が津波避難を制止 釜石で防災意識調査
関連記事を検索してみますか?釜石 津波 避難 防災教育 「お母さんに逃げようと言ったら、(津波は)来るわけがない、うるさいと怒られた」−。昨年11月15日の千島列島沖地震で津波注意報に伴う避難指示が出た岩手県釜石市で、「避難しよう」と呼び掛けた2つの小学校の児童81人に対し、5割を超す親が「大丈夫」と引き留めていたことが、群馬大工学部の片田敏孝教授(災害社会工学)の防災意識調査で13日までに明らかになった。 釜石市は、1933年3月3日に同市沖を震源とし、約3000人の死者を出した昭和三陸津波1 件の被災地の一つ。対象の子供らは防災教育を受け避難意識が高くなっているのに対し、大人の防災意識の低下が鮮明になった格好で、片田教授は「子供を介した保護者への防災教育1 件が課題だ」と指摘している。
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釜石 津波 避難 防災教育 2007/04/12 23:46
防災の教え、命救った 釜石「津波てんでんこ」生かす 小中学生、高台へ一目散(03/27 06:55)
避難の様子を話す釜石東中の3年生たち。一帯では津波で学校や多くの家屋が流された
東日本大震災で1200人を超す死者と行方不明者を出した岩手県釜石1 件市では、3千人近い小中学生のほとんどが無事に避難1 件した。背景には、古くから津波に苦しめられてきた三陸地方の言い伝え「津波てんでんこ」(自分の責任で早く高台に逃げろの意味)に基づいた防災教育がある。想定外の大津波が押し寄せる中、防災の教えが子供たちの命を救った。(報道本部 枝川敏実、写真も)
釜石市北部の大槌湾を望む釜石東中学校(生徒数222人)は、同湾に流れ出る鵜住居(うのすまい)川から数十メートルしか離れていない。11日午後の地震発生時は、各教室で下校前のホームルームが行われていた。
立っていられないほどの横揺れが生徒たちを襲った。1階にいた3年生の栗沢正太君(15)は避難口を確保しようと、とっさに窓を開け、机の下へ。揺れが一段落すると、担任教師が「逃げろ」と叫び、栗沢君が校庭に出ると、2、3階にいた1、2年生も非常階段を下りてきた。
校庭に出た生徒たちは教師の指示を待たず、高台に向かって走りだした。途中、同校に隣接した鵜住居小学校(児童数361人)の児童も合流。小学生の手を引く中学生の姿も目立ったという。
子供たちは普段の防災訓練で使っている高台に集まろうとしたが、だれかが「まだ危ない」と言いだし、さらに高い場所にある老人施設まで移動。学校から1キロも走っていた。
教師たちが点呼を取ったところ、登校していた両校の児童生徒計562人全員の無事が確認できた。その5分後、両校の校舎は津波にのみ込まれた。
津波は地震発生後、いつ来るか分からない。教師の指示が遅れると、逃げ遅れることになる。釜石市内の小中学校は指示されなくても「とにかく早く、自分の判断でできるだけ高いところ」に逃げるよう指導してきた。
釜石市は昭和三陸地震(1933年=昭和8年)やチリ地震(60年)などの津波で大きな被害を受けた。市内の各小中学校は津波を経験した高齢者の講演会などを開いたり、当時の映像を見せたりして津波の恐ろしさを教えてきた。釜石東中の場合、平均して週1時間を防災教育に充て、年3回避難訓練を行っている。
市教委などによると、今回の震災で、釜石市内の小中学生2923人のうち、死者と行方不明者は5人。ほとんどが学校を休んでいた子供で、学校からの避難がほぼうまくいったことを裏付ける。
一方、釜石港沖には2009年、マグニチュード(M)8・5の地震を想定し、高さ約6メートル、全長約1・6キロの防波堤が建設された。耐震性を増すなど最新の技術が駆使されたが、10メートル以上とされる今回の津波1 件であっけなく破壊された。
船や家を失い、避難所に身を寄せる漁業者からは「防波堤があるから、(津波1 件対策は)万全だと思っていた」との声が多く聞かれた。釜石市の幹部は「津波対策は防波堤の建設などのハード面と、津波の恐ろしさを啓発するなどのソフト面があるが、今回の震災でソフト面の大切さを痛感した」と話している。 〈津波てんでんこ〉 岩手県大船渡市の津波災害史研究家山下文男さん(87)が、幼少時に父母が語っていた言葉を講演で紹介したことなどがきっかけで広がったとされる。「てんでんこ」は「てんでんばらばらに」の意。もともとは自分だけでも高台に逃げろという考え方を示すが、現在の三陸地方では自分の命は自分の責任で守れという教訓として使われている。
水素爆発阻止、1号機格納容器へ窒素注入作業
読売新聞 4月6日(水)21時31分配信
東京電力は6日午後10時半、福島第一原子力発電所1号機の格納容器で水素爆発が起きるのを防ぐため、格納容器内への窒素ガスの注入作業を始めた。
原子炉等規制法第64条に基づく緊急措置。1〜3号機では原子炉内の燃料集合体の70〜25%が損傷しているとみられ、格納容器内では高い放射線量も依然検出されており、復旧作業は困難を極めそうだ。
東電などによると、1号機では、原子炉の圧力容器内で核燃料棒を包む被覆管のジルコニウムが熱で損傷、水蒸気と反応するなどしてできた水素が外側の格納容器内に漏れ出ている可能性が高い。水素の濃度が4%以上になると、酸素と結びついて水素爆発を起こす恐れがあるため、あらかじめ窒素を注入し、空気中の酸素を格納容器の外に出して爆発を防ぐ。ただし、窒素注入すると、格納容器内の放射線量の高い空気が配管の継ぎ目などから押し出されて外に漏れてしまうため、慎重に作業を進めている。
注入する窒素は約6000立方メートルで、作業は6日間かかる見込み。2、3号機でも準備が整い次第、窒素を注入する方針だ。 .
2011年04月06日 (水)
メモ:なぜ窒素ガスを注入するのか?
東京電力福島第一原子力発電所1号機の原子炉が入っている格納容器で、水素爆発が起きることを避けるために、東京電力は、格納容器内に「窒素ガス」を注入する計画を明らかにしました。
なぜ「窒素ガス」を注入するのか?まとめました
格納容器になぜ「窒素ガス」を注入するのか。
目的は、格納容器内にたまった水素によって爆発を生じさせないようにするためです。
水素は閉じた空間で濃度が高くなると、酸素と反応し爆発しやすくなる性質があります。
その濃度は「爆発限界」と呼ばれ、水素が4%以上、かつ酸素が5%以上となっています。
福島第一原子力発電所の場合、その濃度に達しないよう、酸素の濃度を4%以内に抑えることが厳しく求められています。また、今回のような緊急事態に備え、格納容器内の水素と酸素を結合させて水に戻す装置も設置されています。
今回は、化学反応を起こしにくい「窒素ガス」を入れることで、格納容器内にたまっている水素と酸素の濃度を下げて水素の「爆発限界」以下にし、水素爆発を防ごうというのです。
【なぜ、そもそも、そんな危険な状態になったのか?】
今回の東電福島第一原発の事故では、先月、1号機と3号機で一時、原子炉内の水位が下がり、燃料棒が露出した際、燃料棒を覆うジルコニウムと呼ばれる合金と水蒸気が反応して水素が発生。
さらに、損傷した核燃料から出る放射線によっても水が分解して水素と酸素が発生し、最終的に水素爆発が起きて原子炉建屋が壊れ放射性物質が外部に放出される大きな要因ともなりました。
いま懸念されているのは、1号機から3号機の原子炉で長期間にわたって水位が上がらず燃料棒が半分近く露出する状態が続いたことで、水素や酸素が大量に発生しているとみられることです。
さらに、原子炉を冷やすための淡水の注入によって発生した水蒸気が、格納容器内で冷えて水になると容器内の圧力が下がり、外部から酸素を含んだ空気が入ってくることも不安視されています。
東京電力によりますと、現在、1号機の格納容器の圧力は、およそ1.5気圧で、計画では窒素ガスを6000立方メートル、6日間かけて注入するということです。
【窒素ガス注入の課題は?】
しかし、窒素ガスの注入には課題もあります。
事故発生以来、水素や酸素の濃度が計測できなくなっていて、現在どこまで水素や酸素の濃度が高まっているか把握できていません。また電源が使えないため、水素と酸素を結合させる装置も動かなくなっています。
さらに圧力をかけて注入することになるため、今、格納容器の中にある放射能を帯びた水蒸気や気体の一部がケーブルや配管などの容器を貫く貫通部などから漏れ出るおそれがあるとしています。
爆発という最悪の事態を避けるための窒素ガスの注入作業には、安全面に配慮した細心の注意と、徹底した外部への気体の漏えい防止策が求めめられます。
-福島第1原発-累積20ミリシーベルト退避検討を…安全委
毎日新聞 4月6日(水)22時21分配信
福島第1原発事故について、内閣府原子力安全委員会は6日、累積の被ばく放射線量が20ミリシーベルトを超える可能性のある住民に対し、屋内退避や避難などの防護措置を講じるよう政府に伝えたことを明らかにした。事故が長期化しており、現状が続けば、何も指示が出ていない30キロ以遠でも数週間で20ミリシーベルトを超える可能性があるといい、政府に新たな対応を求めた形だ。
安全委の防災指針では、外部被ばくの予測が10〜50ミリシーベルトだと屋内退避、50ミリシーベルト以上だと避難としている。現在、福島第1原発周辺では半径20キロ以内は避難、20〜30キロは屋内退避の指示が出ているが、屋内退避が長期化して生活に支障が出始めている上、30キロ以遠でも累積の放射線量が10ミリシーベルトを超える地点が出てきた。
安全委は国際放射線防護委員会が緊急時の被ばくについて、20〜100ミリシーベルト以内と定めているのを踏まえ、下限の20ミリシーベルトを基準に採用した。代谷(しろや)誠治委員は「防災指針は事故発生後の短期間の措置を想定しており、長期化によって実情に合わなくなった。わずかでも超えてはならないという数字ではない。避難などの範囲をどうするかは行政が決めることだ」と説明した。【西川拓】
http://toofuya.blogspot.com/
http://cnic.jp/files/earthquake20110311/F1parameter110326_b.pdf
http://cnic.jp/files/earthquake20110311/F1parameter110326_a.pdf
電源喪失、認識の甘さ陳謝 保安院・安全委トップら2011年4月7日0時25分
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. 東京電力福島第一原子力発電所で深刻なトラブルを招いた、非常用を含めた電源喪失事故。経済産業省原子力安全・保安院や原子力安全委員会のトップらが、6日の衆院経済産業委員会で、電源喪失を「想定外」としていた過去の認識について陳謝した。
この日、これまでに原発問題を国会で追及してきた吉井英勝衆院議員(共産)が質問。原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は昨年5月の同委で、電源喪失は「あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計はしている」と発言していたが、この日は「当時の認識について甘さがあったことは深く反省をしている」と述べた。
これまでの法廷証言などで電源喪失の可能性を否定してきた班目春樹・原子力安全委員長は「事故を深く反省し、二度とこのようなことが起こらないようにしたい」と答えた。
また、過去に同様の見解を示してきた前原子力安全委員長(現・日本原子力研究開発機構理事長)の鈴木篤之氏も「国民の皆様に大変申し訳ないと思っている。痛恨の極み」。電源喪失の事態に備えてこなかったことは「正しくなかった」とした。(野口陽)
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東日本大震災:電源喪失で炉心溶融、現実にはほぼ起きない 保安院長、昨年衆院で説明
経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が、昨年5月26日の衆院経済産業委員会で、福島第1原発で起きたような原発の全電源喪失による炉心溶融事故について、ほぼ起きないと説明していたことが分かった。寺坂院長はこうした事故の可能性は認めたものの、「ゼロじゃないという意味の論理的世界」と答弁していた。
吉井英勝議員(共産)の質問に答えた。
寺坂院長は、全電源喪失事故とは「外部電源が喪失し、非常用ディーゼル発電機や隣の発電所からの電源融通もできない事態」と説明。「非常に小さな確率(のトラブル)が一つ一つ実現して、冷却機能が長時間失われると、炉心溶融は論理的には考え得る」と述べた。【酒造唯】
福島第1原発:「スリーマイル島事故より深刻」 国連委
【ウィーン樋口直樹】国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR)のバイス議長は6日、ウィーンで記者会見し、福島第1原発事故の重大性について、旧ソ連チェルノブイリ事故(86年)と米スリーマイル島事故(79年)の中間との見解を示した。日本政府はスリーマイル島事故並みとの暫定評価を下している。国連機関からより厳しい見方が示されたことで、評価見直しの機運が高まる可能性もある。
バイス氏は福島原発事故による環境への影響について「チェルノブイリ事故ほど劇的ではないが、スリーマイルよりも確実に深刻だ」と言明。「スリーマイルでは(放射性物質が)ほとんど封じ込められ、外部への影響はあまりなかったが、チェルノブイリでは我々の予想を超える膨大な影響があった。福島はその間のどこかだ」と理由を説明した。
ただ、バイス氏は「(福島原発事故が)現在進行形の危機であり、中間のどこに位置するのかは分からない」とも話した。
経済産業省原子力安全・保安院は先月18日、福島第1原発1〜3号機の事故について、原子力施設事故の国際評価尺度(INES)で国内では最悪の「レベル5に相当する」との暫定評価を発表。炉心溶融を起こしたスリーマイル島事故並みとの認識を示していた。INESは0〜7の8段階。史上最悪の原発事故と言われるチェルノブイリ事故はレベル7だった。
一方、ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部では6日夜、原子力安全条約検討会合のグループ討議で、日本の担当者が条約の履行状況などを説明。グループ外の国を含む200人以上の専門家らが出席した。福島原発事故への緊急対応を説明する日本に対し、参加国からは低レベル放射能汚染水の海中放出を懸念する声なども上がったという。
【関連記事】
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炉心溶融
東日本大震災:福島第1原発事故 放射性物質封じ込め「数カ月目標」−−細野補佐官
毎日新聞 2011年4月7日 10時02分
平成23年3月11日(金)午後 .原子力災害対策特別措置法の規定に基づく住民への避難指示について
大変お待たせをして失礼をいたしました。先程の発表同様、全体を聞いていただいて、落ち着いて対応していただきたいということを、まず冒頭申し上げます。先程、21時23分、原子力災害対策特別措置法の規定に基づきまして、福島県地域、大熊町、二葉町に対し、住民の避難の指示をいたしました。福島の原子力発電所の件で、3km以内の皆さんに避難の指示、3kmから10kmの皆さんに屋内での退避、という指示をいたしました。対象地域、福島原子力発電所の3km内の地域に住んでいらっしゃる方、滞在してらっしゃる方は、落ち着いて速やかに避難を始めていただきたい。3kmから10kmの皆さんは、屋内において退避をしていただきたいと。これは念のための指示でございます、避難指示でございます。放射能は現在、炉の外には漏れておりません。今の時点では環境に危険は発生しておりません。安心して地元市町村、警察、消防などの指示に従って下さい。安全な場所まで移動する時間は十分にあります。ご近所にも声を掛け合って、慌てず冷静に行動をして下さい。自衛隊を始め、支援体制を全力で現在整えております。不確実な噂などに惑わされることなく、確実な情報だけに従って行動するようお願いをいたします。繰り返しますが、先程の福島の原子力発電所の件、原子力災害対策特別措置法に基づいて、3km以内の皆さんには、退避を、避難を。そして、3kmから10kmの皆さんには屋内での退避ということの指示が、本日21時23分に出されました。現在、福島県、あるいは大熊町、二葉町、そしてそれぞれの消防、警察等に対して、この指示をお伝えをして、対応を取っていただいているところであり、加えて、警察、自衛隊が現地に既に入っておりまして、警察、自衛隊によるこの指示に基づく、対応も進めるところでございます。私(官房長官)の方からの発表は以上でございます。なお、技術的なこと等については、別途経産省の方等で、ご報告をいただけるかというふうに思いますが、現時点では、既に一部の報道ございますが、原子炉のうち、1つが冷却が出来ない状況に入っておりますので、このままの状態が続いた場合に備えて、念のため、避難をしていただきたいということでございます。
放射線の影響 広島・長崎の長期調査からわかったこと2011年4月7日10時36分
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放射線は人体にどんな影響を与えるのか。広島・長崎の被爆者たちの健康調査で多くのことが分かっている。大きな犠牲から得られたデータは、世界の放射線防護対策の基礎となっている。
◇
健康調査は、1947年に米国が設けた原爆傷害調査委員会(ABCC)が始め、75年から日米共同運営の「放射線影響研究所(放影研)」が引き継いだ。
被爆者9万4千人と、そうでない2万7千人を生涯にわたり追跡調査。うち約2万人は2年に1度の健康診断や生活習慣調査を続けている。
放影研の大久保利晃理事長は「系統的な長期調査で、世界が必要とするデータを発信できた」と話す。国際放射線防護委員会(ICRP)の委員で大分県立看護科学大の甲斐倫明教授も「放射線のリスク推定で決定的な役割を果たすのが放影研のデータ。ICRPもこれを基本に計算している」と説明する。
長年の調査でわかった主なポイントは次の通りだ。
■がん
被曝(ひばく)後10年目ぐらいから乳がんや胃がん、大腸がん、肺がんなどにかかる人が増え始める。統計で、被曝していない人より多いと明確なのは200ミリシーベルト以上浴びた場合だけだ。通常、30歳から70歳までにがんになる人は30%。30歳で200ミリシーベルト浴びると33%に上がる。
100ミリシーベルトの場合は、計算上は31.5%だが、追跡調査では判別できない。喫煙の有無による差の方が大きく、少量の放射線による差は統計をとっても数字に表れないからだ。
被曝年齢が低いほどリスクは大きく、女性は男性よりリスクが若干大きいことはわかっている。
■白血病
被曝から2年で増え始め、子どもは同年齢の発症率の数倍に増えた。6〜8年後から患者は減り始め、20年ほどで日本人の平均レベルになった。発症率の増加は大きいが、比較的まれな病気で、被曝で増えた患者はがんに比べ少ない。
■胎児への影響
妊娠何週目の被曝かで大きな差があった。一番影響が大きかったのが、妊娠8週から15週。被曝線量が多いほど知的障害児が生まれる割合が増えた。「200ミリシーベルトまでは発生頻度が上がるようには見えない」と放影研の中村典(のり)主席研究員は言う。16週から25週では500ミリシーベルトを超えてから頻度が増え、0週から7週と26週以降では影響は見られなかった。
■遺伝への影響
親が被爆者の「被爆二世」について、死産や奇形、染色体異常の頻度に親の被曝の影響は見られなかった。小学生になったときの身長、体重などにも影響はなかった。2007年には、糖尿病や高血圧など6種類の生活習慣病について約1万2千人の健康診断結果が報告され、「遺伝的影響は見られない」と結論づけられた。
◇
ただ、原爆は一度に放射線を浴びており、事故などによる比較的低いレベルの放射線を長期間受ける場合の健康被害は分かってないことも多い。(編集委員・高橋真理子)
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■被爆と被曝
原爆の被害を受けるのが被爆。放射線にさらされることは被曝と書く。被爆者の放射線被曝量を推定し、健康影響との関係が調べられてきた。
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東電2011/03/20 21:00会見のポイント 02:37
3号機の格納容器圧が下がらなかったのでドライベントを検討したが、その内自然的に下がった(理由不明)ため、ドライベントは行わず。
1号機が水素爆発する前に「ベントを開く」的な言葉があったが、これは格納容器圧の水蒸気を外部に放出することで、内圧を下げる効果があるが、放射線が水蒸気と共に外部に漏れる。ただ、特殊なフィルターがあるので、それほどは漏れないらしいが、具体的な効果や数値は不明(東電が言うには)
「ベント」は2種類あって、今まで開いていたのは、「ウェットベント」と呼ばれるもので、圧力抑制室(圧力抑制プール)から、プール水から水蒸気を抜くことである。これの利点は、外に漏れる放射能物質が比較的低くなること。ただし、プール水が一定量入っているとここからは抜けなくなる欠点がある。
もう1つは「ドライベント」と言うものがある。これは、格納容器から直接水蒸気を抜くことができるが、「ウェットベント」と比べて100倍程度放射能物質が多く漏れてしまうが、「ウェットベント」できない場合に用いられる。
また、格納容器内の放射線量は約70シーベルト/時間の非常に強い放射線であり、特殊なフィルターを通しても非常に強い放射能物質が漏れる危険がある。
70シーベルト/時間とは、それを浴びると確実に死ねる量で、この十分の1でも恐らく確実に死ねる量である。JCOの臨界事故では、死亡した2人の人達は、推定16-20シーベルト以上の被爆。
ただ、「ウェットベント」で最大どれくらいの放射能物質が漏れるかとか、「ドライベント」で最大最大どれくらいの放射能物質が漏れるかとかは、東電の会見では明らかな数値は把握していないとのこと。
現在原発復旧に携わる作業員の服装についてだが、放射線を防ぐ効果はないものでの作業とのこと。手袋も医療で使う手術用手袋2枚重ねのような、多分こんな感じ。
あとは、明日東電副社長が夕方ごろに会見するそうだ。
ただ、記者からの突っ込みで、明日ごろ電源の一部復帰が見込まれるが、そこで、副社長の登場は意図的なのかとか、今まで雲隠れしていたが、今になって出てくる根拠だとか、たまたま、明日電源が復旧し、そしてたまたま、副社長が会見するのですか?とか、分かりきったことを、皮肉を込めて東電の人間に言っていたのは、正論だと思った。そして、現在はその副社長はどこにいるかと言うと、東電は、今までは福島第一原発の近く(たしか60KM離れた福島の庁舎だったか)で、陣頭指揮を取っていたが、現在は東京に戻っていると言う回答に、じゃあ、いまからでも、副社長来てもらって会見してくださいと言うと、東電の人は30秒ぐらい沈黙していた。
多分家に帰っており、会見場所にはいないだろうから、そんなことは出来ないだろう。居たら出来たはずだが。
あと社長はどこで何をしているかと言う記者の問いに、東京の方で陣頭指揮を取っている。また保安院や政治家がいるような場所と言っていた。社長は会見しないのかの問いに、東電側は確認してみますとのこと。
今回の会見で分かったのは、「ベントを開く」とあるが、2種類あること、そして、それぞれリスクがあること。「ドライベント」はかなり危険であること。
1号機が水素爆発する前の「ベントを開く」作業は何故詳しく説明しないのか。また、NHKに代表されるような原発専門家は何故この辺を突っ込まないのか?
掘れば掘るほど、色々でてきそうだ。
東電、蒸気放出の実施日を訂正
2011.3.21 11:15
東京電力は21日、福島第1原発2号機で原子炉格納容器内の放射性物質を含む蒸気を外に逃がした操作について、実施したのは15日午前0時からの数分間だったと発表、「16日から17日にかけて実施した」との20日の説明を訂正した。
格納容器につながる「圧力抑制プール」内の水を通さずに蒸気を直接逃がすため、放射性物質をより多く放出する方法だった。
東日本大震災:福島第1原発事故 放射性物質、放出続く 格納容器の圧力不安定
福島第1原発 見取り図(2011年3月22日付朝刊) ◇減圧排気/抑制プール/燃料プール
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発から放出されたとみられる放射性物質が、周辺の都県で農作物や水道水から見つかった。1〜3号機で格納容器内を減圧するための排気が行われたほか、1、3、4号機では炉内から漏れたとみられる水素による爆発の影響と、覆いの壊れた使用済み核燃料プールからも放出があるとみられる。また、格納容器が壊れた可能性も否定できない。原発は外部電源が回復し始め、使用済み核燃料プールの温度が下がるなど、状況の好転は見られるものの、なお不安定な状態が続いており、今後も放出が続く恐れもある。【藤野基文、須田桃子、江口一】
原子炉格納容器は、原子炉本体である圧力容器を守る重要な設備だ。圧力容器の温度が上がると、格納容器の中にある水が蒸発し、圧力が上がる。そのままでは格納容器が破損する恐れがあるため、蒸気を外部へ逃がす必要がある。
3号機では20日、格納容器内の圧力が急に高まり、東電は一時、容器内の水蒸気を直接、大気中に放出する「ドライベント」と呼ばれる方法での排気を検討した。通常は、格納容器内の水蒸気をいったん圧力抑制プールに導き、プールの水で冷やして体積を減らすとともに、含まれる放射性物質を取り除いて排気する「ウエットベント」と呼ばれる方法が使われる。しかし、この方法だと準備に約2時間必要だという。
原発から放射性物質が放出される仕組み(2011年3月22日付朝刊) 伊藤哲夫・近畿大原子力研究所長は「ヨウ素もセシウムも水溶性なので、水を通さないドライベントでは、ウエットベントの場合の100倍近い放射性物質が放出されてしまう」と指摘する。
3号機はその後、格納容器内の圧力が下がったため、ドライベントは見送られた。しかし、冷温停止した5、6号機以外は炉内の状況は不安定で、今後も圧力の上昇は否定できない。東電によると、2号機では15日にドライベントを試みたが、実際には排気されなかったという。
伊藤所長は「緊急措置であれば、ドライベントもやむを得ない。ドライベントによって住民の避難範囲を広げる必要はないだろう」と話す。
一方、19日に採取した空気中から核分裂の際に発生する代表的物質のヨウ素やセシウムが、基準の約6倍の濃度で検出されたことから、東電は21日の会見で「詳細は分からないが、いずれかの原子炉が破損している可能性も否定できない」との見解を示した。2号機では15日、格納容器内で爆発音があり、格納容器が破損した可能性が指摘されている。
◇爆発・火災のたび増加
東京電力福島第1原発では、水素爆発や火災などが起こるたびに敷地境界などでの放射線量が増加し、使用済み核燃料プールの温度低下が確認された20日以降も依然として高いレベルにある。
福島第1原発の放射線量の推移(2011年3月22日付朝刊) 市民団体「環境エネルギー政策研究所(ISEP)」(東京)が東電のホームページで公表している計測値を基に作成したグラフによると、正門で測定していた12〜16日は、トラブルが起きるたびに数値が上昇。15日に起こった2号機の爆発後は1時間当たり1万1930マイクロシーベルトまで上がった。
正門の線量が上昇したため、17日以降は敷地内の別の地点で測定した数値が公表されているが、事務本館北で18日午後5時に5055マイクロシーベルトを記録。20日以降も2000マイクロシーベルトを超えた状態が続いていた。核燃料プールの温度は100度未満になったが、1、3、4号機は建屋が破損し、放射性物質が外部に出やすい状態になっているとみられる。【大場あい】
英訳
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福島第1原発:ヨウ素とセシウム、事務所北側で検出
毎日新聞 2011年3月22日 東京朝刊
死亡・行方不明、遺族に35万円=原発事故避難者も対象—震災義援金
時事通信 4月8日(金)15時41分配信
東日本大震災で全国から日本赤十字社と中央共同募金会に寄せられた義援金について、有識者委員会(会長・堀田力さわやか福祉財団理事長)が8日、厚生労働省で開かれ、死者・行方不明者の遺族、全壊の住宅被害者と福島第1原発事故の避難者に各35万円、半壊の住宅被害者に18万円とする第1次の配分基準を決めた。
委員会では「当面の生活支援のため一刻も早く義援金を配るべきだ」との意見で一致。両団体に集まった計約1300億円は、被害の全容判明を待たずに分配することとした。
福島第1原発「廃炉に10年」 東芝がロードマップを提出
産経新聞 4月8日(金)11時56分配信
福島第1原子力発電所の原子炉を製造した東芝が米原子力企業3社と共同で、同原発1〜4号機の廃炉に向けたロードマップ(工程表)を東京電力と経済産業省に提出したことが8日、分かった。今後5年をめどに原子炉圧力容器内の燃料棒や貯蔵プール内の使用済み燃料を撤去。10年後にはすべての機器や関連設備も撤去し、更地にする。
こうした工程表は、日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)のグループも提出する見通しだ。
東芝の工程表は、米スリーマイル島原発事故の廃炉作業にあたった経験を持つ米ウエスチングハウス、同ショー・グループ、同バブコック・アンド・ウィルコックス(B&W)の3社と共同で作成した。福島の場合、事故発生から半年後には原子炉内が冷温状態で安定化すると想定。この間、ロボットを使って建屋内のがれきを撤去し、廃炉に向けた作業環境を整える。
5年後には燃料棒や使用済み燃料を撤去し、別の容器に密閉して冷却保存。10年後には機器や建屋の撤去も終える考えだ。
ただ現時点では、福島第1原発の原子炉内の状況が詳しく把握できておらず、工程表は「あくまでも技術的な提案」(東芝)。状況の推移を見極めながら、スケジュールを改訂する。
一方、日立とGEのグループも「(原子炉)安定化後の長期的なプランを検討中」(日立の中西宏明社長)としており、近く工程表を提出する考えだ。
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.最終更新:4月8日(金)17時14分
東京電力福島第一原発の1、3号機で発生した水素爆発は、経済産業省原子力安全・保安院が想定していない事態だったことがわかった。
保安院が8日夜、記者会見で明らかにした。
水素ガスは、原子炉内の水位が低下し、核燃料棒が水から露出して高温になると発生する。しかし、保安院によると、圧力容器を囲む原子炉格納容器には通常、窒素を充満させており、水素と反応して爆発を引き起こす酸素はほとんど存在しない。実際には、1号機で3月12日、3号機では同14日に、格納容器のさらに外側の原子炉建屋で、水素爆発が起きた。
保安院側は「設計上は格納容器から水素が漏れないようになっている。国の安全審査でも、漏れてしまったらどうするかという設計上の手当はされていない」と認めた。
(2011年4月8日22時27分 読売新聞)
東日本大震災に対して、ソフトバンクの創設者 孫正義氏は、活発に活動している。時には、副大臣と喧嘩をするほどだ。なりふり構わず行動しているようにも見てとれるが、そこには同氏なりの考えがある。
孫正義氏は、自身のTwitterで活発な行動の真意を明かした。
■東電経営陣、言語道断!
孫正義氏が気に掛けていることのひとつに原子力発電所の事故がある。同氏は、原子力発電所について、どう思っているのだろうか。
「一般的に原発はコストパフォーマンスが高いと言われていますが、数万年にも及ぶ廃棄物の管理、事故で生じる環境、経済的リスク…経営者の観点からリスク対効果について意見を聞いてみたい。」とのコメントに対して、孫正義氏は「原発の真のコストパフォーマンスは最悪。」と、コメントしている。
「東電の今年の計画に福島原発7、8号機増設と言う事が上がっているようです。国に上げるのに、改定して提出出来なかったって意味がわかりません。わかりません東電が…」とのコメントに対しては、「東電経営陣、言語道断!」と、孫正義氏は東京電力に対して批判している。
原子力発電所は、発電効率が高く発電時に二酸化炭素を排出することがないため、「地球環境にやさしい」という表現がなされてきた。孫正義氏は、原子力発電所の建設については、あくまで反対の構えだ。
■身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
「この原発による国難が無事に何事も無く過ぎて「お前が騒ぎ過ぎた」と批判された時、私は心の底から喜んで辱めを受け入れます。本当に皆と一緒に日本の無事を祝福。私自身の名誉や批判などは、人々の命の尊さと比べる次元のものにあらず。」と、孫正義氏は、これまでの活発な活動の真意を明らかにした。
「私自身の時間の3割をこの国難の為に費やしています。今は、平常時の1.5倍増の仕事時間です。」とつぶやいていることからも、孫正義氏がどれほど気に掛けているのかが見てとれる。孫正義氏を嫌っている人の中にも、同氏の行動を賞賛している人は多い。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という故事成語がある。一身を犠牲にするだけの覚悟があって初めて、活路を見出せるというものだ。孫正義氏の行動は、まさに、この故事成句ではないだろうか。
枝野氏「よくやっている」「総理候補に浮上」と評価される理由なし
菅内閣の「嘘」体質は常軌を逸している。
本誌は4月1日号で原子力安全・保安院の中村幸一郎・審議官の“更迭”をスクープした。
東大工学部出身の技術キャリアである中村審議官は、震災翌日の会見で、検出された放射性物質から、
「(1号機の)炉心の中の燃料が溶けているとみてよい」と炉心溶融の可能性に言及した。正しい認識だった。
ところが、菅首相と枝野幸男・官房長官は、「国民に不安を与えた」と問題視し、中村氏を会見の担当から
外すように経産省に指示したのである。そして、枝野長官は会見で、炉心溶融情報について、「炉を直接見る
ことはできない」といってのけ、中村氏の正しい指摘を封印した。
あの段階でメルトダウンを認め、すぐに海水注入の措置を取っておけば、その後の水素爆発、放射性物質の
拡散は防げた可能性が高いと専門家は指摘する。菅氏、枝野氏が国民を危機に陥れた責任は非常に重い。
その枝野氏は、今になってメルトダウンを認め、廃炉の可能性を言い始めたが、間違いを認めるなら、
まず自分の嘘と失敗を詫びたらどうか。この男が「よくやっている」とか「総理候補に浮上した」などと
評価される理由はどこにもない。
http://www.news-postseven.com/archives/20110405_16641.html
-都知事選-原発へのスタンスも注目に 主要候補
毎日新聞 4月8日(金)20時16分配信
福島第1原発事故が、都民の生活にも影響を及ぼす中で行われている東京都知事選は、10日の投開票日に向けた各陣営の懸命の訴えが続いている。計画停電の実施や水道水の摂取制限などは生活に密接にかかわるだけに、大電力消費地・東京のトップを目指す主要候補の原発へのスタンスも注目される。【東京都知事選取材班】
主要候補のうちいずれも新人のワタミ創業者の渡辺美樹氏(51)、前宮崎県知事の東国原英夫氏(53)、共産党前参院議員の小池晃氏(50)=共産推薦=は、原発の見直しや自然エネルギーへの転換を訴える。
「原発には反対だが、争点にはならない」と話していた渡辺氏。関心の高まりを感じ、終盤戦から「原発推進には違和感を感じる」と自然エネルギーへの転換を訴えるようになった。「今街を見て少々暗くてもそんなに困らない。子どもたちに負担をかけてまで便利で豊かな生活をする必要があるのか」と問いかけている。
東国原氏は選挙ビラのマニフェストの冒頭に「原子力からグリーンエネルギーへ」と、原発の縮小・見直しを掲げている。五輪誘致のための都の基金約4000億円を太陽光発電の普及などに充てるという。「立ち止まって考えるべきだ。自然エネルギーにシフトする機会だ」と訴えている。
小池氏は、「原発の安全神話と決別して、安全最優先で見直そう」と、新たな原発建設計画の撤回などを訴える。「都は東京電力の大株主。都のエネルギー政策にかかわる問題」と重視。さらに「都民の最大の関心事に触れないのは、極めて無責任だ」と徹底した論争を望んでいる。
現職の石原慎太郎氏(78)のスタンスは異なる。1日の記者会見で、「(今回の事故で)原子力が全面否定されることは、国にとって好ましくない」と語り、資源の乏しい日本には必要との立場を貫く。「フランスのように電力をほとんど原子炉に頼って見事に運営している国もある。技術が劣っているなら取り戻し、安全な運営に努めたらよろしい」とも話した。
窓に鉛板、福島第一原発「免震重要棟」の写真公開2011年4月9日0時36分
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福島第一原発の免震重要棟で1日に行われた災害対策本部会議の様子=東京電力提供
東京電力は8日、福島第一原子力発電所にある復旧作業の拠点「免震重要棟」で開かれた災害対策本部会議の様子を初めて写真で公開した。
入り口で厳重に放射線量を測り汚染されないようにしている。窓を鉛の板で覆い汚染物質を除去する装置もある。高濃度の放射能に汚染された敷地内で唯一、防護服を脱ぐことができる。東電や関連企業の関係者が詰め、日中は200〜300人いる。一部は寝泊まりもしている。
免震重要棟は新潟県中越沖地震(2007年)の後に災害時の対策室を置くため高台に作られた。震度7クラスの地震に対応した免震構造。
全電源喪失、国は「考慮する必要はない」と解説
読売新聞 4月9日(土)8時33分配信
国や電力会社は、原子炉制御の“命綱”ともいえる電源を、どう位置づけてきたのだろうか。
規制当局である内閣府の原子力安全委員会は、1990年に定めた発電用軽水炉の安全設計審査指針の解説に、長時間の全電源喪失について「考慮する必要はない」と明記している。
理由は「送電線の復旧または非常用交流電源設備(非常用ディーゼル発電機)の修復が期待できるため」としており、国は外部電源を失ってもすぐに非常用発電機が作動すると想定してきた。
各原発は、同指針に基づいて設計されており、非常用電源を含むすべての電源喪失に対して万全の備えをしてきたとは言い難い。東北電力関係者は「外部送電線など電源確保の方法はたくさんあると考え、これまでは全電源喪失は想定していなかった」と話す。東京電力は急きょ、11日に柏崎刈羽原発で全電源喪失などを想定した訓練を行うことにした。 .最終更新:4月9日(土)8時33分
「すべて見直す必要ある」=原発安全対策で不備認める—保安院
時事通信 4月9日(土)18時50分配信
「絶対大丈夫と信じていたが、こういう事態になった」。経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は9日午前、記者会見し、原発の安全対策に不備があったことを認め、根本的に見直す方針を明らかにした。
西山審議官は福島第1原発事故について、「多重防護、5重の壁など絶対大丈夫と言ってきたことについて、信じてやってきたが、こういう事態になった」と反省。その上で「今回の経験を踏まえ、これまでのことにとらわれず、すべてのことについて見直す必要がある」と述べた。
保安院が同日、原発を保有するすべての電気事業者に対し、原子炉が運転停止中でも、2台以上の非常用ディーゼル発電機を確保するよう指示したことに関連し、記者からの質問に答えた。
さらに同審議官は同日午後の会見で、非常用電源の確保など緊急対策の実施後、技術的な面を中心に安全対策の見直しを進める考えを示唆。「絶対安全の意味が変わってきた。今回の津波なども想定した上で、絶対安全を目指さないといけない時代が来たと思う」と話した。
東日本大震災 東京電力、福島第1原発を15メートル近い波が襲ったとする調査結果公表
フジテレビ系(FNN) 4月9日(土)21時37分配信
東京電力は、東日本大震災で、福島第1原発には15メートル近い高さの波が襲っていたとする調査結果を公表し、映像などを公開した。
公開された津波の映像は、避難した作業員が、近くの展望台から第1原発付近を撮影したもので、東京電力では、付近のがけに当たった波しぶきの高さは、20メートルを超えているのではないかとしている。
また東京電力は、第1原発をおよそ14〜15メートルの津波が襲い、原子炉建屋やタービン建屋を含むエリアのほぼ全域で、浸水の深さが、およそ4〜5メートルに及んだという調査結果を明らかにした。
東京電力が震災前に想定していた津波の高さは、最大で5.7メートルだったという。
一方で、第2原発では、津波の高さは海水ポンプの設置エリアで7メートル程度で、主要建物エリアでは道路が冠水したものの、第1原発ほどの被害はなかった。.最終更新:4月9日(土)21時37分
“放射性物質が北半球全域に拡散”
TBS系(JNN) 4月8日(金)14時24分配信
核実験を監視するため、世界63か所に観測地点を設けているCTBTO=包括的核実験禁止条約機関は7日、福島第一原発から拡散した放射性物質が、これまでに世界30か所で観測されたと発表しました。
3月14日にロシアで、その2日後の16日にはアメリカの西海岸で観測されるなど、北半球全域に広がっていることが確認されたとしています。
観測されたのはヨウ素131とセシウム137ですが、観測された量は、いずれの地点でも人体や環境に影響を及ぼすレベルと比べると「相当低い」ということです。(08日12:52).最終更新:4月8日(金)14時24分
復興を問う 原子力安全研究協会理事長・松浦祥次郎氏
産経新聞 4月2日(土)7時56分配信
拡大写真
原子力安全研究協会、松浦祥次郎理事長(写真:産経新聞)
■原発 事態乗り切り経験生かせ
−−東京電力福島第1原子力発電所の現状をどうみる
「原子炉に水を入れて冷やし続けるとともに汚染レベルが上昇した水の漏出を抑えなくてはならない。やるべきことははっきりしているが、非常に難しい局面になっている。高いレベルの放射性物質(放射能)がある中での作業だ。現場が最もやりやすい環境を整える必要がある」
−−具体的には
「重要なのは、現場のトップと国や東京電力など『中央』の人がどれだけ意思の疎通ができているかだ。原子炉に詳しい現場ですら経験したことのないことが次々起きている。現場と中央が連携を密にし、いろいろな専門家が関わるべきだ。知恵を結集させなくてはならない」
−−地震国日本が原発をもつことは
「地震国でも耐えられる構造の原発を造ることは工学的に可能だ。今回の事故を教訓に想定を超える津波にどう対応するか。例えば潜水艦の技術を活用すれば、原子炉の冷却機能を失わない防水性の非常用電源を開発することは可能だ。原発の建設費に対して、高額過ぎるリスクコントロールにはならないだろう」
−−今後の原子力政策はどうなる
「今回の事故を受けて、政府と社会学者や工学者が集まって議論することになる。知恵を使って日本がエネルギーを使わない社会を作ることもできるだろう。だが、それは別の次元の話だ。原発は社会を動かし経済を成長させるエネルギーの源。福島第1原発が陥ったような全電源装置が喪失しても、冷却できる次世代軽水炉はある。安全な原発が可能なのだから、今後も核エネルギーを選択する可能性は十分にある。今は事態を乗り切り、経験をどう生かすかが問われる」
東日本大震災(NHK スペシャル/原子力委員会元委員 松浦祥次郎氏の説明はわかりやすい)
2011年4月9日(土) 午後7時30分?
NHK スペシャル
東日本大震災1か月
第1部 福島第一原発事故
出口は見えるのか
東日本大震災から1ヶ月。NHKスペシャルは2部構成で伝える。第1部では、未だ予断を許さない福島原発事故の最新情勢、第2部では、震災後1か月の被災地の現状を描き、生活再建への課題を探る。(http://www.nhk.or.jp/special より)
原子力委員会元委員らが陳謝
事態収束の兆しが見えない東京電力の福島第一原子力発電所について、国の原子力委員会や原子力安全委員会の元委員らが、1日、記者会見し、原子力の利用を先頭に立って進めてきた立場から国民に陳謝するとともに、政府は国を挙げて事態に対処する強力な態勢を作るべきだなどと訴えました。
記者会見したのは、原子力委員会の元委員長代理の田中俊一氏や原子力安全委員会の元委員長の松浦祥次郎氏、それに東京大学名誉教授の石野栞氏の3人です。3人は、日本の原子力利用を支えてきた研究者や技術者16人を代表して、1日、文部科学省で記者会見し、「これまで原子力の平和利用を先頭だって進めてきた者として、今回の事故を防ぎえなかったことについて、国民に申し訳なく思います」と述べました。そして、事態は次々と悪化し、収束の見通しは得られていないとして、電源と冷却機能を回復させ、原子炉や燃料プールを冷却し、大量の放射性物質の拡散を防ぐための対策を急ぐ必要があるとしました。具体的な対策としては、▽安定した冷却機能の復旧に向けて、24時間態勢で作業を進める一方で、作業員の人数を増やして1人当たりの作業時間を制限し、被ばく量を少なくすること、▽放射性物質の拡散を防ぐとともに、汚染の影響を評価し、避難している住民が帰れるまでの手順を示すことなどを挙げました。そのうえで、危機的な事態に専門家の知識や経験が十分に生かされていないとして、政府の下に、原子力事故の解析や放射線の計測評価など経験と技術を持った専門家を結集し、国民に情報を提供し協力を求めながら、国を挙げて事態の収束に当たることが重要だと訴えました。(4月1日 19時31分 NHK ニュース)
原発リスクを理解できない元原子力安全委員会委員長は京都大学工学部を出て日本原子力研究所に務めた人物 [ カテゴリ未分類 ]
福島第1原発の事故が今後、どのような方向へ進むかはわからないが、この事故を「最悪」と呼ぶことはできない。「運」が悪ければ、地震の直後に配管の破断から圧力容器の爆発、放射性物質の大量放出というシナリオもありえたからである。現在の状況も深刻だが、最悪の事態にならなかったことは幸運だった。
松浦祥次郎という人物がいる。現在は「原子力安全研究協会理事長」という肩書きなのだが、2000年から2006年まで原子力安全委員会の委員長を務めていた。3月31日付けの朝日新聞に掲載された記事によると、全電源喪失というような、「何もかもがダメになるといった状況は考えなくてもいいという、暗黙の了解があった」と松浦は語る。「隕石の直撃など、何でもかんでも対応できるかと言ったら、それは無理だ」とも弁解しているのだが、ならば原発などに手を出すべきではなかった。
3月30日付けの読売新聞によると、松浦理事長はオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)やモニタリング・ポスト(放射線監視装置)について、「壊れないにこしたことはない。ただ、今回のような大地震に耐えられる耐震性を保つにはコストがかかるし、非常用電源を長時間動かす燃料を常備するには防火上の安全性確保という問題もある」と話している。大地震に耐えられるオフサイトセンターやモニタリング・ポストを作れないなら、そんなものは意味がない。強欲さ剥き出しのコメントだ。
松浦理事長の経歴を見ると、1960年に京都大学工学部応用物理学科を経て同大学の大学院工学研究科の修士課程を修了し、工学部原子核工学科の助手を経て1961年には日本原子力研究所の職員になっている。1998年に同研究所の理事長となり、2000年には原子力安全委員会の委員長に就任している。いわゆる「原子力ムラ」の住人だ。
まつうら しょうじろう
概要
日本の工学者。京都大学工学部応用物理科卒業し、京都大学大学院工学研究科で修士となり、助手となるが、1961年に、日本原子力研究所の職員とな。1998年に、日本原子力研究所の理事長になる。
2000年4月17日から2006年4月16日まで、内閣府の審議会である「原子力安全委員会」の委員長を勤めていた。
2011年3月からの福島第一原子力発電事故で、責任追及の矢面に立たされている人物。
2011年4月8日現在、原子力安全研究協会の理事長になっている。
発言内容およびその解説
発言内容が問題となっている
時事通信社サイトより
時事通信社 - 「解決法突き詰めず、申し訳ない」=原発推進めぐり元安全委員長より転載再構成
原子力安全委員会の松浦祥次郎元委員長は2011年4月1日、福島第1原発の事故を受け文部科学省で記者会見し、「原子力の利益は大きく、科学技術を結集すれば、地震や津波にも立ち向かえると考えて利用を進めてきたが、考えの一部をたたきつぶされた」と述べ、「問題の解決法を突き詰めて考えられていなかったことを申し訳なく思う」と謝罪した。
松浦元委員長らは会見で、冷却装置が復旧できなければ、大量の放射性物質が外部に流出する恐れを否定できないとして、一刻も早い装置復旧を提言。東京電力や経済産業省原子力安全・保安院の態勢の不備が一因となり、復旧が遅れていると指摘し、日本原子力研究開発機構など関係機関を総動員した態勢の構築を求めた。(2011/04/01-22:21)
ウィキペディア「原子力安全委員会」より
ウィキペディア「原子力安全委員会」より、一部転載
1990年、原発の安全設計審査指針の策定時において、原子力安全委員会は、「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又(また)は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない」と想定していた。全電源喪失は絶対に起させないという方針で、地震や津波の規模を予測し、安全対策を立てていた。しかし、結果的には、2011年の福島第一原発事故において想定を上回る事態となってしまった。このことについて、松浦祥次郎元原子力安全委員長は、「(当時は)何もかもがダメになるといった状況は考えなくてもいいという暗黙の了解があった。隕石(いんせき)の直撃など、何でもかんでも対応できるかと言ったら、それは無理だ」と釈明している[3]、後日の会見では、「原子力の利益は大きく、科学技術を結集すれば、地震や津波にも立ち向かえると考えて利用を進めてきたが、考えの一部をたたきつぶされた」と述べ「問題の解決法を突き詰めて考えられていなかったことを申し訳なく思う」と謝罪の意を伝えた[4]。
以上のように、原子力安全委員会は、原発の長期間にわたる全電源喪失を、まったく想定していなかったのであるが、米国においては同様ではなかった。1980年代の初頭において、オークリッジ国立研究所(ORNL)が、福島第一原発と同型の炉(ゼネラル・エレクトリック社製の沸騰水型"マークI")について、全電源が喪失した場合のシミュレーションを行い、米原子力規制委員会(NCR)が、その結果報告を受けている[3]。朝日新聞の報道によれば、そのシミュレーションの内容は、福島第一原発の事故と似ているものであり、結果報告は、米国の原発の安全規制に生かされているとされる[3]。ただし、ナショナルジオグラフィックの報道によれば、(米国においては原発の全電源喪失が想定されていたとしても、)日本と違って米国は安全であると「楽観視」はできないとされる[5]。
東電の清水社長、福島県を訪問し謝罪へ
. 福島原発
東京電力は10日夜、東日本大震災から1か月となる11日に、清水正孝社長が福島第一原子力発電所がある福島県への訪問を調整していることを明らかにした。
清水社長は福島県に行き、原発事故で大きな迷惑や苦労をかけている県民に謝罪の気持ちを伝える意向という。
清水社長は福島第一原発の事故後、福島県の佐藤雄平知事に謝罪訪問を申し入れたが断られている。清水社長が公の場に姿を見せるのは3月13日の記者会見以来。29日に体調不良で入院し、4月7日に業務に復帰していた。
(2011年4月11日00時53分 読売新聞)
原発事故1か月、保安院の西山審議官が陳謝
. 経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は10日夕の記者会見で、福島第一原子力発電所の事故発生から1か月を前に「多くの住民や全国の方々にご心配をおかけしている。避難している方々には申し訳なく思う」と陳謝した。
原子炉を冷やすシステムの復旧については、「関係者が全力で進めて今の状況に持ってきた。早く安定した冷却状態にして、外部への放射線放出も収めたい」と話した。
(2011年4月10日22時53分 読売新聞)
福島第1原発:20キロ圏を警戒区域に 政府が設定方針
福島第1原子力発電所周辺の累積線量結果(9日現在、単位はミリシーベルト。1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルト) 政府は10日、福島第1原発事故で避難指示を出している半径20キロ圏内について、立ち入り禁止や退去命令を出すことができる「警戒区域」とする方針を固めた。福山哲郎官房副長官が同日、福島県を訪れ地元自治体との調整に入った。避難住民が今後一時帰宅する際には、退去を拒む人が出る事態も想定される。住民の安全確保のために政府や自治体の指示に従ってもらうには、法的根拠を整える必要があると判断した。
福山氏は同日のフジテレビの番組で「20キロ圏内には放射性物質がある。一時帰宅後の(住民の)除染措置の計画をしっかり立てるため、それぞれの自治体と相談して警戒区域に設定する必要があるという認識だ」と語った。
枝野幸男官房長官は警戒区域の設定と一時帰宅の時期に関し「今、最終段階の詰めをしている。(段取りの発表は)そう遠くない時期と思っている」と首相官邸で記者団に語った。20キロ圏外が警戒区域に含まれる可能性については「どういった範囲をどうするのかという詰めをしている」と述べるにとどめた。
警戒区域は災害対策基本法に基づき、市町村長が設定する。今回の避難指示は政府が決めたため、首相が原子力災害対策特別措置法によって市町村長に指示する形を取る。警戒区域が設定されると、防災関係者ら以外の立ち入りが禁止され、退去を命じることができる。
また、福山氏は一時帰宅の方法について「何日も戻れるのではない。防護服を着て、警察や自衛隊の協力を得ながら、重要なものを取りに帰るために1、2時間戻っていただく」と説明した。また、「30キロ圏外でも(放射)線量が上がっている地域がある」と指摘し、避難指示を拡大する際に、放射線の測定結果に基づき、30キロ圏外にも及ぶ可能性を示唆した。【吉永康朗】
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毎日新聞 2011年4月10日 21時45分(最終更新 4月10日 22時46分)
「津波のときは井戸を見ろ」 先人の教えで津波避け助かる
2011.3.16 13:18
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倒壊した自宅の周りを片付けるお年寄り=15日午後、岩手県大槌町
「津波の時は井戸に気をつけろ」。岩手県大槌町栄町の佐藤綾子さん(59)は二十数年前に近所の高齢者から聞いたこんな教えを覚えていて、津波から逃げ延びた。「昔聞いた話が本当に役に立つとは」と先人の知恵に驚いた様子だった。(清作左)
佐藤さんは二十数年前、当時小学生だった長女(32)と、学校の学習発表会のために津波について勉強していた。
そのとき、明治29年に起きた明治三陸大津波に被災した近所のお年寄りから体験談を聞いた。「津波の時は井戸の水が引いて、ゴボゴボという音がする。井戸には気をつけて」と佐藤さんは振り返る。それ以降、「津波が来そうな時はとにかく井戸を見る」と肝に銘じていたという。
この知恵が今回の震災で生きた。揺れが収まった後、佐藤さんはすぐに自宅の井戸をのぞいた。「(井戸の水が)今まで見たことないぐらいに真っ茶色に濁っていた。これはまずいと思って、すぐさま逃げた」
自宅は津波に飲み込まれたが、佐藤さんは高台に逃げて助かった。
高台から見ると、町に煙がたなびいていた。「よく見ると水しぶきだった。あんなに近くまで来るなんて…」と今回の津波の壮絶さを語った。
「先人の教えは大事なんだと、今回のことで教わりました」と笑顔を見せた。
此処より下に家建てるな…先人の石碑、集落救う
.
過去の津波で壊滅的被害を受けた姉吉地区にある石碑(27日、岩手県宮古市で)=菊政哲也撮影
「此処(ここ)より下に家を建てるな」——。
東日本巨大地震で沿岸部が津波にのみこまれた岩手県宮古市にあって、重茂半島東端の姉吉地区(12世帯約40人)では全ての家屋が被害を免れた。1933年の昭和三陸大津波の後、海抜約60メートルの場所に建てられた石碑の警告を守り、坂の上で暮らしてきた住民たちは、改めて先人の教えに感謝していた。
「高き住居は児孫(じそん)の和楽(わらく) 想(おも)へ惨禍の大津浪(おおつなみ)」
本州最東端の●ヶ埼(とどがさき)灯台から南西約2キロ、姉吉漁港から延びる急坂に立つ石碑に刻まれた言葉だ。結びで「此処より——」と戒めている。(●は魚へんに毛)
地区は1896年の明治、1933年の昭和と2度の三陸大津波に襲われ、生存者がそれぞれ2人と4人という壊滅的な被害を受けた。昭和大津波の直後、住民らが石碑を建立。その後は全ての住民が石碑より高い場所で暮らすようになった。
地震の起きた11日、港にいた住民たちは大津波警報が発令されると、高台にある家を目指して、曲がりくねった約800メートルの坂道を駆け上がった。巨大な波が濁流となり、漁船もろとも押し寄せてきたが、その勢いは石碑の約50メートル手前で止まった。地区自治会長の木村民茂さん(65)「幼いころから『石碑の教えを破るな』と言い聞かされてきた。先人の教訓のおかげで集落は生き残った」と話す。
(2011年3月30日07時22分 読売新聞)
-地震-福島、茨城で震度6弱、津波警報=午後5時16分
毎日新聞 4月11日(月)17時20分配信
11日午後5時16分ごろ、福島県浜通りを震源とする地震があり、福島県いわき市などで震度6弱を観測した。気象庁によると、震源地は同市の西南西30キロ付近で、震源の深さは約10キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.1と推定される。
気象庁はこの地震で、茨城県に津波警報、宮城県、福島県、千葉県九十九里・外房に津波注意報を出している。
主な各地の震度は次の通り。
震度6弱=福島県いわき市、中島村、古殿町、茨城県鉾田市▽震度5強=福島県白河市、須賀川市、茨城県日立市、高萩市、北茨城市
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.最終更新:4月11日(月)17時45分
原発事故、スリーマイル上回るレベル6の可能性(読売新聞)
http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/861.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 4 月 10 日 00:07:35: igsppGRN/E9PQ
原発事故、スリーマイル上回るレベル6の可能性
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110409-OYT1T00754.htm?from=top
東京電力福島第一原子力発電所の事故の深刻さは、国際原子力事故評価尺度(INES)で、チェルノブイリ原発事故に次ぐ「レベル6」(大事故)である可能性が出てきた。経済産業省原子力安全・保安院は先月18日、暫定評価として米スリーマイル島原発事故と同じレベル5(施設外へのリスクを伴う事故)としていた。
INESの評価は、国際原子力機関(IAEA)の基準をもとに、各国の監督機関が行い、IAEAに報告する。チェルノブイリ原発事故は、最悪のレベル7(深刻な事故)で、レベル6と確定すれば、商業炉の事故では初めてとなる。
レベル5以上の大きな事故は、放出した放射性物質の量で判断される。原子力安全委員会によると、先月12〜24日に大気に放出されたヨウ素131の総量は、単純計算で約3万テラ・ベクレル(テラは1兆)。これは数千〜数万テラ・ベクレルというレベル6の条件にあてはまる。
(2011年4月9日23時26分 読売新聞)
原発事故、スリーマイル上回るレベル6の可能性
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所の事故の深刻さは、国際原子力事故評価尺度(INES)で、チェルノブイリ原発事故に次ぐ「レベル6」(大事故)である可能性が出てきた。
経済産業省原子力安全・保安院は先月18日、暫定評価として米スリーマイル島原発事故と同じレベル5(施設外へのリスクを伴う事故)としていた。
INESの評価は、国際原子力機関(IAEA)の基準をもとに、各国の監督機関が行い、IAEAに報告する。チェルノブイリ原発事故は、最悪のレベル7(深刻な事故)で、レベル6と確定すれば、商業炉の事故では初めてとなる。
レベル5以上の大きな事故は、放出した放射性物質の量で判断される。原子力安全委員会によると、先月12〜24日に大気に放出されたヨウ素131の総量は、単純計算で約3万テラ・ベクレル(テラは1兆)。これは数千〜数万テラ・ベクレルというレベル6の条件にあてはまる。
(2011年4月10日01時55分 読売新聞)
-地震-福島第1原発1〜3号機の注水作業を再開
毎日新聞 4月11日(月)18時13分配信
海側から臨む福島第一原発。右奥から原子炉建屋6号機、5号機、1号機、2号機、3号機、4号機。左端は集中環境施設=2011年4月10日午前11時、本社ヘリから高度1350メートル、30キロメートル離れて撮影
東京電力によると、11日夕の地震後、福島第1原発への外部電源が遮断され、1〜3号機の原子炉を冷やすための真水の注水作業が一時止まったが、外部電源の復旧とともに再開した。現場の作業員に対しては免震重要棟に退避するよう命令が出た。
【1〜4号機を図解】福島第1原発の現状を見る
東電によると、この地震により第2原発4号機地下で観測された揺れの強さ(最大加速度)は、垂直方向が69.4ガル、水平方向は67.2ガルだった。
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.最終更新:4月11日(月)18時40分
福島第1原発 最悪レベル7 チェルノブイリに並ぶ
毎日新聞 4月12日(火)11時45分配信
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海側から望む福島第1原発。右奥から原子炉建屋6号機、5号機、1号機、2号機、3号機、4号機。左端は集中環境施設=2011年4月10日、本社ヘリから高度1350メートル、30キロメートル離れて撮影
政府は12日、東京電力福島第1原発1〜3号機の事故について、原子力施設事故の深刻度を示す国際評価尺度(INES)で、最も深刻なレベル7(暫定)に相当すると発表した。1〜3号機では東日本大震災に伴い、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能が失われ、水素爆発などで大量の放射性物質が外部に放出される事態に陥っている。史上最悪の原発事故と言われた86年のチェルノブイリ原発事故(旧ソ連)と同じレベルに並んだが、経済産業省原子力安全・保安院によると、放出量は同事故の約10分の1とみられるという。
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チェルノブイリ事故で放出された放射性物質の総量は520万テラベクレル(ベクレルは放射線を出す能力の強さ、テラは1兆倍)。これに対し、今回の事故で空気中に放出された放射性物質の量を、保安院は37万テラベクレル、内閣府原子力安全委員会は63万テラベクレルと推定している。
INESは、国際原子力機関(IAEA)が定めた世界共通の尺度。0〜7までの8段階で評価する。数値が大きいほど深刻さを増す。INESでは、数万テラベクレル相当の放射性物質の外部放出がある場合をレベル7と定めている。
安全委員会は11日、福島第1原発事故について、発生当初から数時間、1時間当たり最大1万テラベクレルの放射性物質を放出していたとの見解を示した。今回の事故では、計測機器の故障のため、原発から放出された放射性物質の総量は分かっていない。安全委は原発周辺で計測された放射線量などから、事故直後から4月5日までの間の大気中への放出量の逆算を試みた。各号機ごとの放出量は特定できていない。
保安院は3月18日、福島第1原発1〜3号機の暫定評価を「施設外へのリスクを伴う事故」のレベル5と発表していたが、今回の事故は数時間の放出でレベル7に相当すると判断し、評価尺度を引き上げた。
原子力施設の事故を巡ってはこのほか、炉心溶融が起き、放射性物質が外部に放出された79年の米スリーマイル島原発事故がレベル5。国内では99年のJCOウラン燃料加工施設臨界事故がレベル4で最高だった。【河内敏康、八田浩輔】
【ことば】チェルノブイリ原発事故
1986年4月26日、旧ソ連のチェルノブイリ原発4号炉で出力が急上昇して制御がきかなくなり爆発、原子炉や建屋が破壊された。火災も発生し大量の放射性物質が飛散し、北半球全体で放射能が検出される未曽有の事故になった。この事故で原発職員や消防士31人が死亡、周辺住民ら数百万人が被ばくした。世界保健機関(WHO)によると、事故起因のがんで9000人が死亡。ウクライナでは、事故後に生まれた子どもが甲状腺がんを発症するなど被害は今も続いている。
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.最終更新:4月12日(火)13時7分
レベル7「売れなくなるのか」 産業界 広がる不安
産経新聞 4月13日(水)7時57分配信
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原発事故を受けた各企業・団体の動き(写真:産経新聞)
■自動車や電子部品も「安全証明」
「このまま売れなくなってしまうのか」。日本の産業界に、東京電力福島第1原子力発電所の事故の国際評価が最も深刻な「レベル7」まで引き上げられたことに対する不安が広がっている。海外からの「日本産」「日本製」に向けられる視線は厳しく、実際に食品や工業品では輸出先が慎重姿勢を示すことが増えた。正確な情報発信など、風評被害対策が急務だ。
[フォト] 海外通信社は「遅さ」批判「1カ月の確認に驚き」
「6月にはモモやブドウの輸出が始まる。原発による打撃は大きい」。福岡県などが出資する貿易会社、福岡農産物通商(福岡市)はレベル7によるイメージの悪化に強い懸念を示した。3月下旬には県産イチゴ「博多あまおう」が香港などの輸入業者から契約の一時停止を求められた。
日本が輸出に力を入れるコメも同様だ。日本産への評価が高かった中国は、新潟、山形を含む東北、関東甲信越の12都県に対し、輸入停止の措置を取っている。
原発事故による放射能漏れを受けて、27カ国・地域(EUを含む)が日本の農産物や加工食品の輸入停止や安全証明書を要求する事態となっている。農林水産省幹部は「ますます各国の日本を見る目が厳しくなる」と肩を落とす。
農産物だけではない。メーカー各社も放射性物質(放射能)対策に懸命だ。
放射線量検査を手がける日本海事検定協会(東京都中央区)では、「普段なら微々たる件数」しかない民間企業からの検査依頼が、東日本大震災から約1カ月間で、200件を超えた。
検査対象は電子部品といった工業品からコンテナや船舶まで幅広い。「輸出先のバイヤーや輸入業者から安全証明を求められる事例が増える一方だ」(中山和英・企画総務チーム長)と悲鳴を上げる。
日産自動車の台湾法人は日本から部品を輸入したり、その部品を使って組み立てた完成車を台湾市場に出荷したりする段階で、放射能検査を実施。出荷の際には「放射能検査済み」のシールを張る。半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、海外の取引先に対して製品の「安全性」に関する説明を強化。レベル7への引き上げについて「今後どのような影響が出るのか、引き続き注視する」としている。
海外から迎える社員や出向者が多い日本ヒューレット・パッカードは「今回のレベル7への引き上げを重く受け止めている。事業継続とのバランスを取る上で難しいかじ取りを迫られるだろう」と話す。外国人社員の一時帰国などの措置も、今は決めていないが、今後、慎重に検討する。
外国人観光客の減少にも拍車がかかるのは必至だ。
帝国ホテルによると、震災の影響で、通常4〜5割の外国人の利用比率は2割を切るまでに落ちた。レベル7の衝撃について同社では「海外で衝撃的に報道され、『危険な国』と思われると一段と利用客が減るかもしれない」と不安を隠さない。
ある旅行会社は「国内外に正確な情報を提供し、風評被害を食い止める対応が必要だ」と訴える。レベル7ショックはその間も日本経済に影を落としそうだ。
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東日本大震災後、それでも日本で学びたい ウクライナ
ネスレ日本が国内工場に放射能測定機器を設置
.最終更新:4月13日(水)12時41分
菅政権、根回し不足…与野党から反発噴出
. 東日本大震災の復旧・復興策の策定をめぐり、政府・民主党の拙い対応が目立っている。
2011年度第1次補正予算案の財源案は、調整不足のため、政府・与党内から反発が噴出。菅首相が記者会見で野党に呼び掛けた復興計画作りについても根回し不足がたたり、「唐突すぎる」と不満が相次いでいる。
首相は、総額4兆円規模の第1次補正予算案では国債を発行しない方針だ。財源不足を補うため、補正予算の原案には、基礎年金の国庫負担に充てる予定だった2・5兆円を補正予算の復興財源に回すことを明記し、11日に自民、公明両党にも伝えた。
これに対し、事前に知らされていなかった厚生労働省側は強く反発。慌てた野田財務相は11日、細川厚生労働相に釈明した。しかし細川氏は13日の衆院厚生労働委員会で、「年金の安定性との整合性を考え、総合的に判断しなければいけない」と年金財源の「流用」に強い不快感を表明した。
民主党内には、「年金財源の2・5兆円全額を復興に使うのは難しい。1兆円程度の建設国債発行はやむを得ないのでは」(幹部)との声も出始めている。
歳出の見直しによる補正予算の財源確保にも、党内から異論が相次ぐ。13日の党外務部門会議は、補正予算の原案に盛り込まれたODA(政府開発援助)2割削減の方針に反対することを決めた。原案では約1000億円の財源を捻出するとしているが、会議では反論が出たという。
(2011年4月13日23時51分 読売新聞)
首相発言なかった?…原発周辺「当面住めない」
. 菅首相は13日、首相官邸で松本健一内閣官房参与と東日本大震災の復興に関して意見交換した。
松本氏は会談後、福島第一原子力発電所周辺の避難対象区域について、首相が「当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか。そういう人を(内陸部に)住まわせるエコタウンのような都市を考えなければならない」と述べたと記者団に明らかにした。
首相の発言が報道されると、松本氏は改めて記者団に「発言は私の推測だ。首相は言っていない」と述べ、訂正した。首相は13日夜、首相官邸で記者団に「私が言ったわけではない」と強調した。福島県の地元住民の感情などに配慮したものとみられる。
松本氏の訂正後の話によると、松本氏は首相に、避難区域には当分「住めない」との見通しを示したうえで、住宅を高所に移したり、自然エネルギーに頼った都市を作る「エコタウン構想」を説明。首相は「それがいいのではないか」と応じたという。
(2011年4月13日20時41分 読売新聞)
レベル7引き上げ「遅かった」…官房副長官陳謝
. 福山哲郎官房副長官は13日夜のBSフジ番組で、東京電力福島第一原子力発電所事故の評価の「レベル7」への引き上げ時期が遅かったとの批判について、「遅かったことは本当に反省しなければならない。もう少し早く発表するべきでなかったかという批判は真摯(しんし)に受け止めなければならない」と陳謝した。
引き上げについて菅首相は12日の記者会見で「専門家の判断だ。何かが遅れた、(事故を)軽く見たということは全くない」と述べ、問題はなかったとの認識を示していた。
(2011年4月14日00時41分 読売新聞)
原発10キロ圏内で大規模捜索へ…福島県警
. 福島県警は13日、東日本大震災後、福島第一原発の事故で避難指示区域に指定されている原発から半径10キロ圏内で、14日から初めて大規模な行方不明者の捜索を行う、と発表した。
発表によると、捜索を予定しているのは、第一原発から10キロ圏内の浪江町の沿岸部。津波被害の甚大な地区で、警察官約300人を投入し、捜索班、放射線量測定班、搬送班などに分かれて活動する予定。
(2011年4月14日00時22分 読売新聞)
30キロ圏外も避難指示区域へ、飯舘村も対象に
. 政府は、屋内退避指示が出ている東京電力福島第一原子力発電所から20〜30キロ圏内について、避難指示に切り替えるとともに、新たに30キロ圏外の地域も避難指示対象とする方針だ。
大半が30キロ圏外となる福島県飯舘村などを念頭に置いたもので、放射線量の計測値によって避難指示区域の拡大を検討する。
枝野官房長官は11日午前の記者会見で、「放射線量のモニタリングの結果や気候などを踏まえて最終的な詰めをしている。同心円的な対応ではない。関係地域の皆さんとは話を始めている。風向きや地形にも影響される」と述べ、地元自治体とも調整を進めていることを明らかにした。
政府はまた、避難指示を出している20キロ圏内について、指示に従わない住民もいるため、法的拘束力の強い「警戒区域」に設定する方針だ。同区域に設定すれば、市町村長により、強制力のある退去命令や立ち入り禁止などの措置を取ることが可能になる。枝野氏は会見で、「半年、1年を見通しての対応なので、しっかり準備する」と述べた。
(2011年4月11日14時03分 読売新聞)
役員・管理職の報酬・給与削減の方針…東電社長
.
記者会見で渋い表情を見せる東京電力の清水正孝社長=吉岡毅撮影 東京電力の清水正孝社長は13日に記者会見を開き、「役員、管理職の報酬は削減する方向」と述べ、福島第一原子力発電所の事故の責任を取り、役員、幹部社員を当面の間、減給とする考えを示した。
役員報酬は4月分からカットする方針だが、減給額などについては明らかにしなかった。
清水社長が、記者会見を開いたのは東日本大震災発生から2日後の3月13日以来1か月ぶり。清水社長は、原発事故で被災した地域住民に対する損害賠償金の仮払いについて、「窓口をできる限り早く開設し、当面必要な資金を仮払いする」と述べ、早期に行う考えを示した。ただ、金額や支払時期は明言を避けた。
経営合理化策については、「聖域を持たずに、様々な分野でスリム化を図る」と語り、今後、事業売却や人員削減などにも着手することを示唆した。
また耐震補強工事を終えて系統機能試験を行っている柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の3号機(出力110万キロ・ワット)については、「できれば年内のうちに(動かしたい)」として年内の再稼働を目指す考えを示した。しかし、地元自治体は今回の原発事故で態度を硬化させており、再稼働のハードルは高そうだ。
(2011年4月13日19時20分 読売新聞)
与野党から首相批判噴出…1か月過ぎてレベル7
. 菅首相の東日本大震災発生後の対応は不適切だとして与野党で12日、首相への批判が噴出した。
統一地方選前半戦での民主党敗北に加え、東京電力福島第一原子力発電所事故の暫定評価が、発生から1か月を過ぎて「レベル7」に引き上げられたことが退陣論を勢いづかせている。
みんなの党の渡辺代表は党会合で、「政府は『レベル7』の原発事故という懸念を示してこなかった。過小評価を続けた菅政権の責任は重大だ」と述べ、首相は危機管理に失敗したと断じた。その上で、「首相に代わってもらうのが危機管理の要諦だ」と、退陣を迫る考えを表明した。
自民党の小池総務会長も記者会見で、「初動の遅れが(事故の)レベルを上げてしまったのではないか」と批判。地震・津波の被災地復興にも首相の指導力が欠如しているとし、「さっさと退陣することが復興への早道だ」と強調した。
「レベル7」問題は、同日の各党・政府震災対策合同会議の実務者会合でも取り上げられ、野党側から「『チェルノブイリ級』という言葉が出てくると国民は驚く。情報開示をもっときちんとすべきだ」などと厳しい注文が相次いだ。
(2011年4月13日14時27分 読売新聞)
露地シイタケ出荷制限…福島の16市町村
. 枝野官房長官は13日午前の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所事故により食品衛生法の暫定規制値を超える放射性物質が検出されたとして、福島県の5市8町3村の露地栽培の原木シイタケについて、出荷制限を指示したことを明らかにした。
対象は伊達市、相馬市、南相馬市、田村市、いわき市、新地町、川俣町、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、飯舘村、葛尾村、川内村。飯舘村に関しては、食べることを控える摂取制限も指示した。1日にいわき市で、8日に伊達市、新地町、飯舘村で採取された露地シイタケから規制値を超える放射性物質が検出されていた。飯舘村では規制値の26倍の放射性セシウムが検出された。施設栽培のシイタケからはほとんど検出されていないため、制限は露地栽培のシイタケに限られる。
厚生労働省によると、規制値を超えた地域のシイタケはすでに出荷が自粛されており、市場には流通していない。
(2011年4月13日13時17分 読売新聞)
小沢氏が「内閣不信任案」への同調を示唆 菅首相に自発的退陣促す
産経新聞 4月14日(木)1時37分配信
民主党の小沢一郎元代表が12日夜に都内の私邸で開いた側近議員との会合で、「菅直人首相(党代表)を退陣させるためには内閣不信任案可決しかない」と語ったことが13日分かった。小沢氏は東日本大震災や東京電力福島第1原子力発電所事故の政府対応に強い不満を漏らしているが、「倒閣」に言及したのは初めて。野党側が6月22日の国会会期末に向け検討している不信任案への同調を示唆することで、首相に自発的退陣を促す狙いがあるとみられる。
複数の出席者によると、小沢氏は「党代表は両院議員総会で辞めさせることができるが、首相は不信任案を可決させることでしか辞めさせられない」と指摘。その上で、「今こそ国民のために行動しなければならない」と決意を示した。
内閣不信任案が可決すれば、憲法の規定により内閣総辞職か衆院解散となるが、小沢氏は首相が衆院解散に踏み切る可能性について「東北地方では投票所がないから、当分選挙ができない。首相が解散を打つことはできない」との見通しを示した。ただ、後継の首相候補を誰にするかなど、小沢氏が具体的にどのような政治行動を取るかについては言及しなかったという。
自民党関係者によると、小沢氏は自民党の大島理森(ただもり)副総裁や森喜朗元首相、古賀誠元幹事長と接触を図ろうとしている。小沢氏が不信任案への同調を示唆したことで、与野党を巻き込んだ政界再編の動きが今後、活発化する可能性がある。
内閣不信任案を衆院の過半数(239議席、欠員2を除く)で可決させるには、民主党会派(306議席)から80人程度が造反する必要がある。衆院の小沢グループ(約90人)が同一行動を取れば可決できるが、慎重論もある。
「社会的に許されない」=電力会社への経産OB天下り—枝野官房長官
時事通信 4月13日(水)17時8分配信
枝野幸男官房長官は13日午後の記者会見で、放射能漏れ事故を起こした東京電力に監督官庁の経済産業省OBが天下りしていることについて、「(原発への)チェック態勢が甘くなったのではないかと疑義を持たれるのは当然だ。法律上、天下りに該当するかにかかわらず、社会的に許されるべきではない」と述べた。
枝野長官は「行政権の範囲の中で、こうしたことを今後させないため、ほかの電力会社を含めて許さない姿勢で対応したい」と強調した。
福島原発、4号機の使用済み燃料損傷の可能性
産経新聞 4月13日(水)20時21分配信
東京電力は13日、福島第1原子力発電所4号機の使用済み核燃料プールで採取した水から、1立方センチメートル当たり401ベクレルの放射性物質が検出されたと発表した。東電は「一部の燃料棒が損傷した可能性は否定できない」としている。
東電によると、12日に大型ポンプ車を使いプールから水を採取。分析の結果、1立方センチメートル当たりの放射性ヨウ素131は220ベクレル、セシウム134は88ベクレル、同137は93ベクレルだった。平常時のプールではヨウ素131やセシウム134の濃度は検出限界以下という。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は会見で、燃料棒損傷の原因として「外部電源が喪失し、燃料の冷却が不十分だった」と推定したが、「(放射性物質の)量としては相当高い濃度ではない」とした。
また、4号機で3月15日に発生した火災や爆発については「プールの燃料が冷却できずに水素爆発を起こした可能性はあると思うが、詳細は調査したい」と述べるにとどめた。
停止中の柏崎刈羽原発年内に動かす…東電・清水社長もう明言
スポーツ報知 4月14日(木)8時4分配信
めまいなどの体調不調で一時ダウンしていた東京電力の清水正孝社長が13日、復帰後初めて会見し、現在運転を停止している新潟県の柏崎刈羽原発2〜4号機のうち3号機を、年内に運転再開したい考えを明らかにした。2〜4号機は07年7月に起きた新潟県中越沖地震で被災して以来、稼働していない。原発の安全性に厳しい視線が注がれる中、運転再開には地元を中心に反発の声が上がりそうだ。
病み上がりのトップから重い発言が飛び出した。清水社長は会見で、柏崎刈羽原発3号機について「年内に工事を終え、了解をいただく手続きに入りたい」と明言。報道陣が再確認すると「年内に動かしたいということだ」と念を押すように話した。
同原発は07年、新潟県中越沖地震で被災。全7機が運転を中止した。その後、1、5〜7号機は復旧。2〜4号機は停止したままだったが、同社長はこれらについて「運転再開に向けて耐震補強工事を進めている」と話した。
福島第1原発の1〜4号機を廃炉する方針はこれまでと変わらず。震災後、停止している5、6号機や福島第2原発は、「将来について未定」とした。現在建設中の東通原発(青森県)についても「今後どうするかはこれからで、今申し上げる段階ではない」と言うにとどめた。
東電が懸念するのは、今後想定される電力不足。これまでは計画停電や節電の効果、被災した火力発電所の復旧のおかげで何とか電力を供給してきた。震災当初は3000万キロワット台だった電力も、この日は4150万キロワットを供給するまで回復した。
しかし、夏場はエアコンなどの使用で需要の大幅増が予想される。記録的な猛暑を記録した昨年は6000万キロワットを超えたことも。このため東電では柏崎刈羽の復旧を急いできたが、柏崎市などの自治体が難色を示している。
会見では「ベストを尽くしてきた」と話す社長に「ベストを尽くして爆発ですか」。役員報酬の削減を言及すると、「まだもらってたんですか」など報道陣と激しいやりとりがあった。「(体調は)現在もこれからも、万全です」と話した同社長だが、原発アレルギーが生まれつつある世論の反発は避けられそうもない。
溶融燃料「粒子状、冷えて蓄積」1〜3号機分析
読売新聞 4月14日(木)19時59分配信
注水冷却が続けられている東京電力福島第一原子力発電所1〜3号機について、日本原子力学会の原子力安全調査専門委員会は14日、原子炉などの現状を分析した結果をまとめた。
3基は核燃料の一部溶融が指摘されているが、専門委は「溶融した燃料は細かい粒子状になり、圧力容器の下部にたまって冷えている」との見解を示した。
専門委では、東電や経済産業省原子力安全・保安院などが公表したデータをもとに、原子炉の状態を分析した。
それによると、圧力容器内の燃料棒は、3号機では冷却水で冠水しているが、1、2号機は一部が露出している。1〜3号機の燃料棒はいずれも損傷し、一部が溶け落ちている。溶融した核燃料は、冷却水と接触して数ミリ以下の細かい粒子に崩れ、燃料棒の支持板や圧力容器下部に冷えて積もっていると推定している。これは、圧力容器下部の水温が低いこととも合致している。沢田隆・原子力学会副会長は「外部に出た汚染水にも、粒子状の溶融燃料が混じっていると思われる」と説明した。 .最終更新:4月14日(木)22時44分
津波伴うM8級、1か月内にも再来…専門家
読売新聞 4月14日(木)3時15分配信
東日本大震災の震源域の東側で、マグニチュード(M)8級の巨大地震が発生する可能性が高いとして、複数の研究機関が分析を進めている。
日本海溝の東側で海のプレート(岩板)が引っ張られる力が強くなっているためで、早ければ1か月以内に津波を伴う地震が再来する危険がある。
M9・0の東日本大震災は、押し合っていた海のプレートと陸のプレートの境界面が破壊されて起きた。そのため周辺の地殻にかかる力が変化し、東日本全体で地震が誘発されている。
京都大防災研究所の遠田晋次准教授(地震地質学)は全地球測位システム(GPS)の測定データから、海のプレート内部で引っ張られる力が強くなっていることを突き止めた。明治三陸地震(1896年)の37年後、昭和三陸地震を起こしたメカニズムと共通しているという。「今、昭和三陸規模の地震が起きると、仙台市で10メートルの津波が押し寄せる計算になる」と言う。 .最終更新:4月14日(木)19時1分
「国は事故を過小評価」専門家から批判の声も
読売新聞 4月12日(火)20時20分配信
福島第一原子力発電所の事故の国による評価は、事故発生直後の「4」が3月18日に「5」に、そして20日以上たった4月12日になって最悪の「7」に変わった。
専門家からは「国は事故を過小評価しようとしてきたのではないか」との批判の声も上がっている。
原子力安全委員会によると、外部に出た放射性物質の大半は、1〜4号機で水素爆発や火災などのトラブルが相次いでいた3月15日頃までに放出されていた。15〜16日にかけ、放射性物質の放出総量が跳ね上がっており、安全委は2号機の圧力抑制室が15日に損傷し、大量の放射性物質が放出された結果と見ている。
当時、すでにフランス原子力安全局は「6」、米民間機関「科学国際安全保障研究所」も「6または7」との見解を示していたが、保安院は「健康にかかわるものでない」として見直す姿勢は見せなかった。
しかし、18日には国際世論に押されるように「5」に変更した。保安院の西山英彦審議官は「圧力や温度などが大きく変動し、評価が難しかった」と弁明。その後は「6にするには早い」と繰り返してきた。 .最終更新:4月12日(火)20時20分
東電社長「柏崎刈羽3号機、年内に…」地元反発
. 福島原発
東京電力の清水正孝社長は13日の記者会見で、2007年の新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市、刈羽村、全7基)で今も停止中の2〜4号機のうち、3号機について、「運転再開に向けてできるだけ早く、年内には手続きに入りたい」と発言した。
これに対し、柏崎市の会田洋市長は14日、報道陣に「福島第一原発の状況が収束していない状況で、そうした発言がなされることは理解できないし、驚いている」と反発。「原発の安全性について国から新しい方針が示されないと、運転再開は難しい」と否定的な考えを明らかにした。
また、新潟県の泉田裕彦知事も同日、報道陣に「まさに点検、国での審査の途中で、現時点で(運転再開を)どうこう言うことはありえない。スケジュールに見通せるものがあると思っていない」と述べ、慎重な姿勢を示した。
(2011年4月14日20時11分 読売新聞)
「菅内閣そのものが大災害」伊吹文明氏
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所の避難対象区域を巡る菅首相と松本健一内閣官房参与との当面「住めない」とのやりとりは、14日も与野党に波紋を広げた。
首相サイドは火消しに躍起になっているが、与野党双方の「嫌・菅」ムードや首相退陣論に拍車をかけている。
首相は14日、「計画的避難区域」に町の一部が設定される福島県川俣町の古川道郎町長と首相官邸で会談した際、前日の「住めない」発言について「私は言っていない」と改めて否定し、「国が避難については全責任を持ってやる。原発事故を早期に収束するように全力を挙げる」と強調した。
しかし、地元の憤りは収まっていない。町長は会談後、記者団に「『20年は戻れない』なんてとんでもない。(首相の)話を聞いていると、現場の苦労をどれほど分かっているのか」と不満をぶちまけた。
首相サイドは防戦に懸命だ。民主党の玄葉政調会長は14日の党政調の会合で「松本氏の発言に憤りを感じている。私たちは心の痛みが分かる政治をしていかないといけない」と松本氏の責任を強調した。
ただ、首相への批判は足元の民主党内でも強まっている。樽床伸二衆院国家基本政策委員長は14日の自らのグループ会合で、「こういう状況では国家のためにならないという気持ちは強く持っている」と述べた。小沢一郎元代表を支持するグループ幹部は「首相は被災民の心を分かっていない。2011年度第1次補正予算の成立を花道にやめてもらいたい」と語る。輿石東参院議員会長は14日の政府・民主党首脳会議で、首相と松本氏との会談を念頭に、「そんなにいろんな人に会わない方がいい」と首相をたしなめた。
野党も勢いづいている。自民党の谷垣総裁が14日、早期退陣を要求したほか、伊吹文明元財務相は伊吹派会合で「菅内閣そのものが(日本にとって)大災害だ」と指摘し、民主党議員から菅政権打倒への協力の呼びかけが自民党側に寄せられていることも明らかにした。
(2011年4月14日22時44分 読売新聞)
地盤沈下、陸前高田84cm…3県で広範に確認
. 巨大地震
国土地理院は14日、東日本大震災による岩手、宮城、福島各県での地盤沈下の調査結果を公表した。
岩手県陸前高田市で84センチ、宮城県石巻市で78センチ、気仙沼市で74センチなど、3県の広い範囲で地盤沈下が生じていることが分かった。
調査は5〜10日に全地球測位システム(GPS)を使って実施。震源に近い3県13市町の基準点28か所の標高を計測し、震災前と比べた結果、すべてで地盤沈下が確認された。
同院はこれまでに、牡鹿半島(石巻市)で1・2メートルの地盤沈下が起きたことを常設の電子基準点の解析で確認しているが、詳細な状況を把握するため、沿岸部にGPSを持ち込み調査していた。
石巻市では地盤沈下のため満潮時の浸水が続いている。同院は今回の調査結果について「今後の津波や大潮対策に活用できる」としている。
(2011年4月14日19時48分 読売新聞)
1〜3号機の放射性物質1〜2%放出…保安院
. 福島原発
経済産業省原子力安全・保安院は14日、福島第一原子力発電所1〜3号機にあった放射性物質のうち、約1〜2%が放出されたとの推計を発表した。
東電から取り寄せた核燃料のデータから計算したもので、ヨウ素131は1〜3号機の原子炉内に計610万テラ・ベクレル(テラは1兆倍)あったが、このうち13万テラ・ベクレルを放出。セシウム137は71万テラ・ベクレルのうち、6100テラ・ベクレルが放出されたという。
同原発ではこの日、高濃度の放射性物質を含む汚染水が海へ広がるのを抑える水中カーテン「シルトフェンス」の設置が完了した。
(2011年4月14日23時13分 読売新聞)
1、2号機地下水の放射性物質濃度が10倍に
. 福島原発
経済産業省の原子力安全・保安院は14日午後10時30分過ぎ、記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所の1号機と2号機付近で採取した地下水の放射性物質の濃度が、約1週間前に比べて約10倍に増加したと発表した。
保安院は14日夜、東京電力に対し、地下水の監視強化を指示した。これを受け、東電では地下水のサンプリング調査の回数を、従来の週1回から3回に増やすという。
(2011年4月14日23時03分 読売新聞)
「地震の予知は不可能」…東大教授が寄稿
. 巨大地震
「地震の長期予測や予知は不可能で、東海地震の予知研究はやめるべきだ」などとする、ロバート・ゲラー東京大教授(地震学)の論文が14日、英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
ゲラー教授は、阪神大震災(1995年)や新潟県中越地震(2004年)など、国内で死者10人以上が出た地震は、国の評価では発生の可能性が低いとされた地域で起きたと指摘。東海地震のような大地震の前兆をとらえて予知することは世界的に見ても不可能で、地震の基礎研究は研究者による幅広い議論によって再構築していくべきだと主張している。
東日本大震災については、地震発生の時期は予測できなくても、東北地方に大津波をもたらした貞観地震(869年)や明治三陸地震(1896年)の例から、今回の規模の津波は想定可能だったとしている。
(2011年4月14日11時36分 読売新聞)
止まらない中国人の帰国ラッシュ 繊維業界は操業停止の大ピンチ
J-CASTニュース 3月30日(水)19時52分配信
東北関東大震災の影響で在日中国人の帰国ラッシュが相次いだ。中国政府が帰国するように勧告し、親達も子供に戻ってくるように強く呼び掛けたためだ。中国からの留学生や研修生だけで数十万人いるとされ、それが工場や飲食店の労働力になっていた。
それが一気に帰国したために労働力が不足し、繊維業界に至っては数万人規模の中国人研修生が働いていたため、産業自体の崩壊が危ぐされているという。
■「工場を停止しなければならない、そんな状況」
日本繊維産業連盟によれば、日本全国には繊維業界に携わる中国からの研修生が数万人規模でいる。彼らは3年の間研修と実習を行うが、現場になくてはならない労働力になっていた。しかし、大震災後に中国政府が帰国を勧めたことと、中国では悲観的な報道が相次いだため、親達が心配して連れ戻すこととなった。
繊維業界で受け入れが多いのはニット。縫製業の中小企業に関しては中国人が大半を占めていた。そうした労働力が一気に居なくなってしまった。
「工場を停止しなければならない、そんな状況が相次いでいる」
と日本繊維産業連盟は頭を抱えている。
どれほどの人数が中国に帰国したのか、はっきり分かっていない。中国大使館が2011年3月21日に発表した数字によれば、この日までに9300人の中国人を中国国内に運んだとし、その大部分は被災地から避難した人々だった。被災地でない場所に住んでいる中国人も相次いで帰国している。
その影響は繊維以外にも及んでいる。中国人が働いている主な業種には飲食店やコンビニ、旅館業などがある。横浜中華街発展会協同組合によれば、中国に帰国するため店を閉める店舗が出ている。コンビニの「ローソン」によれば、中国に帰国した正社員は1人もいなかったものの、アルバイトに関しては急遽、人材派遣の関連会社を通じて日本人のアルバイトを補填した。
■今後の日本の雇用を考える教訓になる?
山梨県の石和温泉では16人の中国人研修生を受け入れていたが、7月までの研修期間を切り上げ全員が帰国することになった。中国側からの帰国の要望があったためだ。石和温泉旅館協同組合によれば、研修生といえども最前線で働く貴重な人材だった。大震災以降、温泉地は客足が激減、今は大丈夫だが、客足が戻ったときに人手不足になる可能性も出ている、と話す。
自動車部品業界でも多くの中国人が働いていたが、帰国の途についた人は多い。日本自動車部品協会によれば、部品製造工場は今回災害の被害が大きかった岩手、宮城、福島、茨城に集中していて工場の稼働がストップしている。そのため、中国人労働者が抜けた影響はわからないが、工場の稼働に合わせ中国から戻ってもらうか、国内で新たな労働力を探すしかない、と打ち明ける。
中国の労働者事情に詳しい移民政策研究所の坂中英徳所長によれば、日本の企業は中国人なら集めやすいと安易に採用してきたが、そうした労働力に頼り切ってしまうと今回のようなことが起こるのは当然だ、と警告する。
「日本にもたくさん労働力がありその活用を図ることや、中国人も不安定なアルバイトではなく正社員として採用することを考えてほしい。とにかく、今回は今後の雇用を考えるいい機会になったのではないか」
「なぜ、地位にしがみついているのか」 菅首相、記者会見の質問に不快感
J-CASTニュース 4月12日(火)20時32分配信
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国旗を背に会見に臨む菅首相。国旗からは喪章が取り外されていた
菅直人首相は2011年4月11日、記者会見を開き、福島第1原発事故の対応や統一地方選前半の民主党大敗をめぐり与野党から退陣論が高まっていることについて、辞任を否定した。
会見は東日本大震災の発生から1か月がたった4月11日夕方に予定されていたが、同日午後の余震で翌日に延期されていた。統一地方選については、
「厳しい結果だったことは真摯に受け止めたい。責任については、後半が終わった上で改めて党でしっかりと検証する」
と辞任を否定。産経新聞の阿比留瑠比記者が
「現実問題として、与野党協議の最大の障害になっているのが総理の存在であり、後手後手にまわった震災対応でも、総理の存在自体が国民にとっての不安材料になっている。一体何のために、その地位にしがみついているのか、考えを聞かせてほしい」
と批判を展開すると、
「阿比留さんのものの考え方がそうだということと、私が客観的にそうだということは、必ずしも一致しないと思う」
「私とあなたのものの見方は、かなり違っているとしか申し上げようがない」
と、不快感をあらわにした。
この日の会見では、菅首相は冒頭に
「いよいよ復旧に入らなければならない。そして復興に向かわなければならない」
と述べ、震災への対応が新たな段階に入ったことを強調。前日までは確認できた国旗の喪章も取り外されていた。
「NHK解説委員、出番減らされた」 TV爆弾発言にネットで波紋
2011/4/12 20:28
政府や東電に厳しい指摘をしたとして、NHKの水野倫之解説委員が出番を減らされた——。民放のテレビ番組でこんな爆弾発言があり、ネット上で波紋を呼んでいる。しかし、NHKの広報部では、「そういう話は聞いていません」と言っている。
爆弾発言をしたのは、政治解説で知られる白鴎大学教授の福岡政行さんだ。
政府や東電に厳しい指摘をしたため?
現在は出番も回っているが… テレ朝系で2011年4月11日夜放送の「たけしのTVタックル」で、原発事故が終息する状態が話題になったときのこと。福岡さんは、政府や東電に対する批判についてこう漏らしたのだ。
「あんまり厳しく言うと、NHKの水野なんとか委員のように出番が少なくなっちゃった…と言っちゃいけないんですが、生番組だから言いました」
これに対し、政治評論家の三宅久之さんが「あなたはね、ちょっと余計なことが多すぎるよ」と口を挟む。同時にスタジオから笑い声が上がったが、福岡さんは、そのまま原発事故の話を続けた。
ネット上では、福岡さんのこの話が話題になり、様々に憶測する向きが出た。
「水野も、枝野の『ただちに影響はない』に噛みついてたからな」「危ない危ない、深刻深刻いいまくってたもん」「『悪戯に国民の不安を煽った』などと、政府関係者からクレームが入ったのではないか」…
こうした2ちゃんねるの書き込みは、まとめブログ「アカ速」などにまとめられている。
日刊ゲンダイの3月28日発売号によると、水野解説委員は、前日放送の震災特集番組で、政府や東電に厳しい指摘を連発した。
「事態を後追いしているようにしか見えない」「この事故がもっと深刻だと考えられなかったのか」「6機同時進行だから、レベル5のスリーマイルを上回って6といっていい」
こうした物言いで出番が減らされたというのは、どこまで本当なのか。
NHKの広報部では、政府・東電批判による出演への影響について、「そういう話は聞いていません」と取材に回答した。福岡政行さんの発言については、「他局の放送でのことですし、文脈が分かりませんので、コメントすることはございません」と言っている。
一方、ネット上では、干されたのは水野倫之解説委員だけではないとの声が上がっている。科学文化部の山崎淑行記者も、出番が減らされているのではという憶測が出ているのだ。
山崎記者は、福島第1原発1号機で爆発があった2011年3月12日、政府や東電は適宜情報を出しているものの、マスメディアが重大な情報を入手できていないと明かした。そして、静かに怒りをにじませるような表情でこう言ったのだ。
「ここはもう徹底的に糾弾されるべきです…」
そして、爆発や放射線量を考えると、原子炉、さらに格納容器が破損した可能性が非常に高いと大胆に予言。放射性物質が大気中に大量に出ていることが考えられると、その後の展開まで見通していた。
2ちゃんなどでは、山崎記者がその発言で出番が減らされ、代わりに出番が増えた水野解説委員も今度は同じ目に遭っているのでは、とうがった見方もある。その一方で、多忙のため2人が交代で勤務するシフトを組んだとの週刊誌報道や、現在は出番が回ってきていることから、干されたわけではないのではとの指摘も出ている。
NHKの広報部では、「ネット上の話は把握していませんので、コメントのしようがありません。そのときの必要性に応じてやっています」としており、政府・東電批判から2人の出番を減らしたという事実は全面的に否定している。
東日本大震災 復興構想会議 原発除外に異論が噴出
毎日新聞 4月14日(木)21時9分配信
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東日本大震災復興構想会議であいさつする(左から)梅原猛特別顧問と御厨貴議長代理、五百旗頭真議長、菅直人首相=首相官邸で2011年4月14日午後2時22分、藤井太郎撮影
「全国民の英知を結集する」として菅直人首相が発足させた東日本大震災復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)の議論が14日始まった。6月末をめどに第1次提言をまとめることを確認したが、首相が議論の対象から原発問題を外すよう指示したのに対し哲学者の梅原猛特別顧問らから異論が噴出。震災発生後の本部・会議の乱立や政治主導の政権運営に疑念を呈する発言も相次ぎ、復興構想の具体化に不安を残すスタートとなった。【平田崇浩】
【復興会議では】五百旗頭議長、復興税を提案
「原発問題を考えずには、この復興会議は意味がない」
以前から原発の危険性を唱えてきた梅原氏は会議の終了後、記者団にこう言い切った。首相自ら特別顧問就任を要請した梅原氏だが、東京電力福島第1原発事故の収束する見通しの立たない中、賛否の割れる原発問題に踏み込みたくない首相の意向と会議の間に初会合からずれが生じた。
原発事故の被害に苦しむ福島県の佐藤雄平知事は「原子力災害も皆さんに共有していただきたい。安全で安心でない原子力発電所はありえない」と提起。秋田県出身の脚本家、内館牧子氏も「地震、津波、原発事故という3本の柱で考えたい」と述べ、復興構想の中に原発をどう位置づけるかが議論の焦点の一つになりそうだ。
内館氏は対策本部や会議の乱立にも「復興構想会議もその中の一つと国民に思われたら、東北がつぶれる」と苦言。震災後も府省や自治体との連携不足が目立つ菅政権に対し、「官僚と県や市が一体となってやることがまず第一」と注文をつけた。
五百旗頭氏は会議後の記者会見で「(検討)部会で専門的な議論をするときには官僚機構から知恵を出してもらいたい」と強調。会議の下に設置する検討部会(部会長・飯尾潤政策研究大学院大教授)で提言の肉付けを進める段階で、官僚の協力を期待する考えを示した。
こうした委員の不安を見透かすように、自民党の谷垣禎一総裁は同日の記者会見で「会議が乱立して役割分担がはっきりしない問題が対応のまずさにつながっている面もある」と批判した。
菅首相は12日の記者会見で「野党にも(復興の)青写真を作る段階から参加していただきたい」と呼びかけたが、与野党の対立は逆に深まっている。
-福島第1原発-10キロ圏内を捜索 10遺体を発見
毎日新聞 4月14日(木)20時36分配信
避難指示と屋内退避指示の範囲
深刻な放射性物質放出事故のため、行方不明者の捜索がほとんど手つかずだった東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)から半径10キロ圏内で14日、県警による本格的な捜索が始まった。初日は遺体10体を発見して、7遺体を収容した。高い放射線量が検出された遺体はなかったという。
【福島第1原発】見えぬ恐怖 20キロ圏内捜索に同行
県警はまず、原発の北約7キロで津波被害が大きい浪江町請戸(うけど)地区に機動隊員ら約300人を集中投入。隊員は白い防護服に身を包み、放射線の計測器の値に注意しながら慎重に捜索した。
県災害対策本部によると、13日までに同町の死者は3人、行方不明者は183人とされていた。請戸地区では住宅など630棟のうち約9割が倒壊。がれきは津波に襲われた時のまま、沿岸部に散乱していた。
捜索の実施期間は未定。強い雨が降れば隊員の被ばく量が増える危険があるため中止する。【金寿英
政府、賠償金の仮払い実施を正式決定 1世帯100万円
産経新聞 4月15日(金)9時59分配信
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原発事故経済被害対応本部の会議に臨む(左から)枝野幸男官房長官、海江田万里原子力経済被害担当相、鈴木寛文科副大臣=15日午前、国会内(酒巻俊介撮影)(写真:産経新聞)
政府は15日、東京電力福島第1原子力発電所事故の避難住民らに対する損害賠償の内容を協議する「経済被害対応本部」(本部長・海江田万里経済産業相兼経済被害担当相)の初会合を開き、避難や自宅待機している住民に対し、東京電力が賠償金の仮払いを実施することを正式決定した。
[フォト] 東電社長「一日も早く仮払いを」と語るも目標明示せず
これを受けて、海江田万里経産相は同日の閣議後の記者会見で、東京電力に対し、賠償金の仮払いを速やかに実施するよう要請したことを明らかにした。金額は原発から30キロ圏内の全世帯を対象に1世帯当たり100万円、単身世帯は75万円。市町村を通じて月内にも支給を始める。総額については「(東電には)500億円ぐらいの準備があると聞いている」とした。
一方、出荷停止を余儀なくされた農業漁業者や事業者に対しては「仮払いはあくまでも避難や屋内待避を余儀なくされた方が対象」(海江田経産相)として、4月中の仮払いの対象にはならないとした。
海江田経産相は協同組合の融資を活用するなどの調達手段を活用してほしいとしたうえで、「農林漁業や事業者への補償もできるだけ早くという思いはある」と話した。
仮払いの対象地域は12市町村で約4万8000世帯。被災した市町村が移転などで人手が不足していることから、東電に対し専用の相談窓口を設けることも提案しているという。避難指示が発動されていない「計画的避難区域」についても今後、仮払いの措置対象となる。
東電に天下り年収1860万円の元原発官僚 ただいま雲隠れ中
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2011/04/12 10:15更新
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東電だけじゃない【拡散情報】原発放射能別に高給でもいいんだよ黙認してきたではないか?東京電力の過去の内部告発問題と事実上の…原発利権、なんだか、、、スゴイっ!福島は柏崎原発事故と同じレベル7はレベル7莫大な予算が付きながら原発利権に魂を引かれた人々
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記事本文 原発事故が深刻化する中で雲隠れした原発官僚がいる。今年1月に資源エネルギー庁長官から東京電力の顧問に天下った石田徹氏だ。
東電は「個人情報だから」との理由で報酬を明らかにしていないが、「天下りの不文律として、退官直前と同額程度(年収約1860万円)が払われている」(経産省幹部)とされる。しかも、「ほとぼりが冷めた頃に副社長に昇格する予定」(東電関係者)という。
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記事本文の続き その動静は一切出てこない。経産省中堅が明かす。
「石田さんが表立って動くと、経産省は“天下りがいるから東電に甘い”と批判されかねない。そこで、石田さんは経産省の上層部に電話し、東電の首脳に経産省の意向を伝える連絡役に徹している。石田さんの役割は、東電の支払う賠償額を出来るだけ減らすことにある」
東電の経営が傾けば、経産省は特Aクラスの天下り先を失う。石田氏と経産省の関心はそこにしかないのか。
経産省を中心に政府が拠出する原子力予算は年間約8370億円(2011年度概算要求額)。そこに原子力安全基盤機構、日本原子力文化振興財団など数多くの天下り法人もぶら下がっている。現役・OBを問わず原発官僚の責任も厳しく追及されるべきだ。
※週刊ポスト2011年4月15日号
福島第一原発 原子炉6基並ぶ世界に例ない“原発銀座”の理由 東電に警察・公安から天下り多い理由 暴力団からの「用心棒」 原子力安全委員 最短週10分の会議出席で年収1650万円 原発事故の原因の一つ 東電社内人事で原発専門家追放の過去 節電大臣蓮舫氏 計画停電に「初めての事なので」とパニック
原子力安全委員 最短週10分の会議出席で年収1650万円
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2011/04/09 23:44更新
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こんなに高給を払っていいわけ委員会は仕分けて復興費へ回そう実際の対策工事は?ただちに問題はない枝野官房長官の会見
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記事本文 原発事故で刻々と状況が悪化する中でお目付役である原子力安全委員会は何をしていたのか。震災発生翌日(3月12日)の朝、菅首相の原発視察に同行した班目春樹・原子力安全委員会委員長。
同委員会は原子力の安全確保のために内閣府に設けられた「原発の監視役」で、事故が起きれば専門家としての知見を国民に示す立場にある。
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記事本文の続き が、班目氏が初めて会見したのは23日の夜。28日の会見では、建屋に溜まった高放射線量の汚染水処理について、「知識を持ち合わせていないので、東電と原子力安全・保安院にしっかりと指導をしていただきたい」と答えて周囲を唖然とさせた。
同委員会は委員長以下、委員5人はいずれも常勤の特別職公務員。ただし、常勤といっても定例会議は週1回だけ。議事録を確認する限り、会合は最短で10分弱、長いもので1時間半だった。これで約1650万円の年収(月給93万6000円とボーナス)を貪っている。
なお、内閣府には原子力関係予算の配分を審議する「原子力委員会」もあるが、こちらの委員(常勤3人)も同額だ。だが、事故発生後の会議はすべて休会となっている。今、働かなくていつ働くのか。
※週刊ポスト2011年4月15日号
ヘリで福島原発行った菅首相の「カイワレ作戦」今回通用せず 安全対策3原則のうちひとつしかできなかった福島第一原発 原子炉の稼働率が低いのはマスコミが原発に神経質過ぎるため ハーバード出身の西山英彦審議官ら震災・原発会見の7人衆 原発事故の原因の一つ 東電社内人事で原発専門家追放の過去
小沢氏、震災対応で首相に直談判 倒閣視野、来週にも
民主党の小沢一郎元代表は、東日本大震災や福島第1原発事故への政府対応を不満として、近く菅直人首相に会談を申し入れる方針を固めた。小沢氏周辺が14日、明らかにした。首相の指導力不足を指摘して対応改善を求める見通し。与野党で退陣要求が相次ぐ中、首相が会談に応じない場合も含め、対応次第では小沢氏や支持派議員が倒閣の動きを強めるとの見方があり、緊迫した局面も予想される。
小沢氏は統一地方選後半戦が投開票される24日までに会談を実現させたい考えだ。13日には周辺に「首相に意見を言うために会う。とにかく信義を尽くしてみる」と表明。「それでも聞いてもらえなかったら仕方がない。後世『あの時の政治家がきちんと対応せずに日本をつぶした』と言われるわけにはいかない」と、倒閣も選択肢から排除しない考えを示唆した。
側近議員によると、小沢氏が危機感を募らせているのは対応の遅れ。政府や民主党内に会議や対策チームが乱立する一方、権限や目的、組織同士の関連性が不明確だとして「指揮系統をシンプルにして政治主導でトップが責任を持って迅速に判断すべきだ」と提言する見通しだ。挙党態勢の構築も求めるとみられる。
特に原発事故で状況悪化を受けて徐々に避難区域を拡大した手法を批判。「最初に大きく構え、安全を確認して縮小する方法を取るべきだった」と主張しているという。
小沢氏は政治資金問題での党員資格停止処分に不服を申し立てている状況。3月11日の震災発生以降、地元の岩手県が被災したこともあって表向きの政権批判を控えてきた。しかし4月10日の統一選前半戦で民主党が敗北したのを受け、12日の鳩山由紀夫前首相との会談で、菅政権では震災に対応できないとの認識で一致。13日には「無責任な内閣の対応は、さらなる災禍を招きかねない」との文書を配布するなど批判を強めていた。
電事連新会長、損害賠償負担は「承っていない」
読売新聞 4月15日(金)19時31分配信
電気事業連合会の会長だった東京電力の清水正孝社長(66)が会長職を辞任したのに伴い、15日付で新会長に就任した関西電力の八木誠社長(61)が同日、記者会見を開いた。
八木新会長は、東電福島第一原子力発電所の放射性物質漏えい事故について、「同じ電気事業に携わるものとして心よりおわびする。電力業界が一つになって非常事態に立ち向かい、原子力の安全に全力を期す」と述べ、原発事故の収束に向けて業界を挙げて取り組む姿勢を強調した。
一方、原発事故の損害賠償負担を、東京電力だけでなく原発を持つ他の電力会社にも求める案が浮上していることに対しては、「電事連としては承っていない。仮に負担するとなると(電気料金で)国民に負担してもらうことになる。説明が必要だ」と賛否を明らかにしなかった。 .最終更新:4月15日(金)19時31分
大震災の津波、宮古で38・9m…明治三陸上回る
読売新聞 4月15日(金)12時2分配信
東日本大震災の津波が、岩手県宮古市の重茂(おもえ)半島で38・9メートルの高さまで達していたことが、東京海洋大学の岡安章夫教授の調査で分かった。
岸から400メートル離れた同半島の姉吉漁港近くの山の斜面で、津波によって木が倒れていることを発見した。
斜面を駆け上がった津波の遡上(そじょう)高として、明治三陸地震(1896年)の記録を初めて抜いた。明治三陸地震では、同県大船渡市の綾里(りょうり)地区の38・2メートルが最大記録。東日本大震災では、宮古市田老(たろう)地区の小堀内漁港近くでも37・9メートルの遡上高が確認されている。 .
第1原発10キロ圏、新たに21遺体=収容で除染必要なし—福島県警
時事通信 4月15日(金)22時0分配信
東日本大震災で福島県警は15日、放射能漏れ事故を起こした福島第1原発から10キロ圏内の大規模捜索で、新たに21人の遺体を発見したと発表した。10キロ圏内の大規模捜索が始まった14日と合わせると、計31遺体が見つかった。
県警によると、これまでに27遺体を収容。運び出せなかった4体も含め、いずれも除染の必要はなかった。
県警機動隊員ら約300人は同県浪江町の請戸漁港周辺を捜索。双葉地方広域消防本部の署員らも加わり、天神渕橋から請戸橋の間を重点的に捜索した。
16日には、壊れたドアをこじ開ける際などに使われる油圧式の救助用具数台を投入し、車内やがれきの下に取り残された遺体の収容を進める。15日と同様の態勢で請戸漁港付近を捜索し、今後は沿岸部を南下する方針。
茨城県南部で震度5強…津波の心配はなし
産経新聞 4月16日(土)11時26分配信
16日午前11時19分ごろ、関東地方で地震があり、茨城県南部で震度5強を観測した。気象庁によると、震源は栃木県南部で深さ約70キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は5.9と推定される。なお、この地震による津波の心配はない。
主な震度は次の通り。
震度5強=茨城県南部。震度5弱=茨城県北部、栃木県南部、埼玉県北部。震度4=福島県中通り、福島県浜通り、栃木県北部、群馬県北部、群馬県南部、埼玉県南部、千葉県北西部、東京都23区。
「原発ほぼ制御不能の所まで行った」細野補佐官
. 福島原発
細野豪志首相補佐官は16日午前のBS朝日の番組で、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生直後の状況について、「どん底までいった。ほとんど制御不能のところまでいった」と述べ、一時、かなり危機的な事態に陥っていたことを明らかにした。
その上で、「少しずつだが、コントロールできるようになった。冷却機能の回復という大きな壁を乗り越えないといけない」と強調した。
(2011年4月16日13時49分 読売新聞)
先日のM7余震、予想外の井戸沢断層が原因
. 巨大地震
11日に福島県東部で起きた、東日本大震災の余震とみられるマグニチュード(M)7・0の地震は、大きな地震の発生が予想されていなかった「井戸沢断層」が動いて起きていたことが分かった。
M9・0の東日本大震災の影響で、内陸部の活断層でも力のかかり具合が変化して地震が起きやすくなっていると見られ、動く確率が低いとされてきた活断層にも警戒が必要だと、専門家は指摘している。
井戸沢断層は長さ19キロ程度。国の地震調査研究推進本部は、地表でのずれの長さが20キロ以上の活断層は、M7相当の地震が起きうるとして、規模や発生確率を予測する長期評価を発表しているが、井戸沢断層は対象外だった。
しかし、山形大学の八木浩司教授(地形学)らが11日の地震を現地で調査したところ、震源付近の井戸沢断層沿いで、地盤の西側が0・8〜1・5メートル沈下し、水平方向にも最大約30センチずれていた。断層のずれは少なくとも約7キロにわたるとみられる。
東日本大震災のように、海と陸のプレート(岩板)境界で起こる海溝型地震の前後には、内陸部の活断層でも地震が活発化する傾向がある。1896年の明治三陸地震でも、約2か月後に秋田県東部で陸羽地震(M7・2)が起きている。
(2011年4月16日15時52分 読売新聞)
岩手・宮城・福島での浸水車両、27万台
. 東日本大震災の津波で水につかった自動車が岩手、宮城、福島の3県で少なくとも約27万台に上ることが、社団法人・日本鉄リサイクル工業会北海道支部の推計で分かった。 3県にある自動車数の約7%に匹敵する規模という。
内訳は、宮城が約12万5000台、福島が約10万2000台、岩手が約4万台。
警察庁が3月18日に発表した死者や行方不明者数などから「被災率」を算出し、直近の自動車登録・届け出台数を掛けて算出した。
(2011年4月16日16時21分 読売新聞)
3・11津波、貞観地震しのぐ…浸水域も高さも
. 東日本大震災のマグニチュード(M)9・0の地震で起きた津波は、仙台平野の海岸線から5〜5・5キロ・メートルにまで達し、過去最大級だった「貞観地震」(869年)の大津波を超えていたことが、東北大学災害制御研究センターの調査でわかった。
同センターの菅原大助博士研究員らは仙台市内の約300地点を調査。海岸から5キロ・メートル以上離れた4地点でも水田のわらや漂流物のごみなどを確認した。
貞観地震の頃の海岸線は現在より約1キロ・メートルほど内陸側で、津波は海岸線から3〜4キロ・メートルまで押し寄せたことがわかっている。
また、コンピューターで貞観地震の大津波と、今回の津波を再現したところ、貞観の津波の高さは海岸線から1・5〜3・4キロ・メートルで約2・5メートルだったのに対し、今回は海岸から2〜3キロ・メートルで高さ約2・8メートルと推定され、高さでも貞観を上回っていた。
(2011年4月16日19時32分 読売新聞)
小沢氏「震災対応今のままだと取り返しつかぬ」
. 民主党の小沢一郎元代表は16日午後、インターネット番組に出演し、東日本大震災を巡る政府の対応について「非常に遅いし、不足している。国内的な実害と国際社会の信用低下で、二重に被害が大きくなった」と菅政権の対応を厳しく批判したうえで、「今のままでは取り返しのつかない状況に陥る。非常に深刻だ」との認識を示した。
また、小沢氏は今後の政局への対応について、「今のような状況をさらに政治が続けていくことは許されない。思い切った政策を菅首相が決断して、皆で頑張ろうというのならいいが、そうでない場合は、政治家としてどうすべきか考えなければならない」と述べた。
(2011年4月16日16時58分 読売新聞)
福島第1原発:ヨウ素、セシウム過去最高 30キロの海水
文部科学省は16日、15日に採水した福島第1原発の東約30キロ地点の海水から、1リットル当たり161ベクレルの放射性ヨウ素と、同186ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。3月23日から付近の海域で断続的に調査しているが、今回は過去最高の数値だった。
原発から放出する場合の濃度限度はヨウ素が1リットル当たり40ベクレル、セシウムが同90ベクレル。今回はそれぞれ4倍、2倍の高い数値が出た。
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毎日新聞 2011年4月16日 23時41分
福島第1原発:海水、ヨウ素濃度6500倍 2号機取水口
陸上自衛隊がヘリで撮影した福島第1原発2号機=2011年3月27日、防衛省提供 東京電力は16日、福島第1原発2号機の取水口前の海水で、法令限度の6500倍に当たる放射性物質のヨウ素131の濃度を15日に検出したと発表した。2号機から海に流出していた高濃度汚染水の止水対策を実施した2日以降は濃度が低下傾向だったが、15日は一転して前日の約6倍と上昇に転じた。東電は「シルトフェンスによる拡散防止の効果が出た可能性もある」と話す。同フェンス設置により汚染水が滞留し、濃度が上昇した可能性があるとみている。
一方、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は濃度上昇について、「目視では、新たな汚染水の流入はない」とした。ただ、半減期8日のヨウ素が長く滞留することは考えにくく、見えないところから漏れている可能性も否定できないため、「今後のモニタリングデータを注視したい」と述べた。
また、東電は1〜4号機建屋の地下水位が13日時点で、地表から7.2〜6.6メートルまで上昇していると発表した。通常を約6メートル上回る。地下水からは放射性物質が検出されており、各号機の建屋に流入したり、建屋外の地下水などに広がる恐れがあるため、くみ上げて仮設タンクに移すことを検討している。【河内敏康】
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毎日新聞 2011年4月16日 20時43分(最終更新 4月16日 21時34分)
福島第1原発:飯舘、川俣で説明会 福山官房副長官に憤り
福島第1原発事故で計画的避難区域に指定される福島県飯舘村を訪れ、住民らに対する説明会で陳謝する福山哲郎官房副長官。左端は飯舘村の菅野典雄村長=福島県飯舘村で2011年4月16日午後、共同 福山哲郎官房副長官は16日、福島第1原発から半径20キロ圏外に設けられる「計画的避難区域」となる福島県飯舘村と川俣町を訪れ、住民らを対象にした説明会で「困惑と不安と心配をかけ、心からおわび申し上げます」と陳謝。そのうえで「健康第一、安全第一でいったん避難をお願いしたい」と呼びかけた。政府高官が原発周辺の住民に協力を求めるのは初めて。出席者からは「村民を置き去りにして話が進んでいる」などの反発が相次いだ。
飯舘村の説明会には自治会や農業、商工団体の代表ら約100人が参加。当初、冒頭20分だけ報道陣に公開する予定だったが、出席した村民の求めで全面公開になった。福山氏は避難先の仮設住宅建設や住宅借り上げ、農業被害の補償を確約。家畜の圏外移動や農地の土壌改良などを検討していると説明した。
これに対し、菅野典雄村長は「全村避難に驚き、不安、憤りの気持ちがある。ものすごい精神的、肉体的、経済的に、そして子供の心を傷める」と苦言を呈した。酪農家の男性は「微妙な体調管理もある。(家畜の移動は)無理じゃないか」と牛の全頭買い取りなどを求める意見が出たほか、「牛は家族と同じ。村を離れられない」といった声が出た。
参加者の一人は「私は村を守るため避難はしない。何か罰則はあるのか」と心情を訴えた。
福山氏は「安全に問題があると分かっていて、ここにいてとは言えないことも理解いただきたい」と理解を求めた。避難の終了時期については「原発がまだ不安定。原発の安定化に全力を注ぐ」と明言できなかった。
計画的避難区域は原発事故から1年間の累積放射線量が20ミリシーベルトに達する可能性がある福島県内の5市町村に設定され、原発から30キロ以上離れた両町村も含まれている。政府の避難指示があれば1カ月程度での域外への避難が求められる。飯舘村は全域が対象。
川俣町の説明会には約400人が参加。福山氏は同町内の計画的避難区域が一部にとどまることから、仮設住宅を町内の放射線リスクが低い場所に建設して「町内避難」を目指す意向を示した。【吉永康朗】
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毎日新聞 2011年4月16日 20時50分(最終更新 4月16日 22時53分)
4号機のプール、核燃料は水面下に 東電が画像公開2011年4月17日3時1分
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12日に採水した際に撮影した福島第一原子力発電所4号機の燃料プール=東京電力提供
東京電力は、福島第一原発4号機の燃料プールの水を12日に採った時に撮影した画像を公開した。プールに放水しているコンクリートポンプ車のアームの先端に容器とカメラを装着。ひもでたらした容器で約400ミリリットル採水した。核燃料は水面下にあり、水蒸気が水面から立ち上っていたという。
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民主・岡田氏、復興税に不快感「国会で議論すべき問題」2011年4月16日21時10分
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. 民主党の岡田克也幹事長は16日、復興構想会議の初会合で「震災復興税」が提起されたことについて「最初からこの話が出たのは違和感がある。負担の話が独り歩きするのはいかがなものか。政府・国会で議論すべき問題だ」と不快感を示した。千葉県旭市で記者団に語った。また、自民党の石原伸晃幹事長は同日、愛知県犬山市での会合で、菅直人首相が消費増税を軸に検討していることについて「消費税なんて今上げられるわけがない」と批判した。
原子炉外付け冷却検討…建屋内の装置稼働進まず
読売新聞 4月16日(土)21時44分配信
東京電力は16日、福島第一原子力発電所1〜3号機の外側に新たな冷却装置を設置し、原子炉と配管でつないで炉心を冷やす「外付け冷却」の準備を始めたことを明らかにした。
冷却装置は、板状の配管を組み合わせた「プレート式」。原子炉で温められた冷却水が通るプレートと、海水が通るプレートを交互に重ねて、冷却水の熱を奪う。海水の代わりに空気を通して「空冷式」として使うことも可能という。
東電は、複数の熱交換器を取りよせ、能力や設置方法を比較、検討して、実際に導入が可能か判断する。 .最終更新:4月17日(日)1時33分
-福島第1原発-海水、ヨウ素濃度6500倍 2号機取水口
毎日新聞 4月16日(土)20時44分配信
陸上自衛隊がヘリで撮影した福島第1原発2号機=2011年3月27日、防衛省提供
東京電力は16日、福島第1原発2号機の取水口前の海水で、法令限度の6500倍に当たる放射性物質のヨウ素131の濃度を15日に検出したと発表した。2号機から海に流出していた高濃度汚染水の止水対策を実施した2日以降は濃度が低下傾向だったが、15日は一転して前日の約6倍と上昇に転じた。東電は「シルトフェンスによる拡散防止の効果が出た可能性もある」と話す。同フェンス設置により汚染水が滞留し、濃度が上昇した可能性があるとみている。
【写真特集】東電、福島第1原発施設内の写真公開
一方、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は濃度上昇について、「目視では、新たな汚染水の流入はない」とした。ただ、半減期8日のヨウ素が長く滞留することは考えにくく、見えないところから漏れている可能性も否定できないため、「今後のモニタリングデータを注視したい」と述べた。
また、東電は1〜4号機建屋の地下水位が13日時点で、地表から7.2〜6.6メートルまで上昇していると発表した。通常を約6メートル上回る。地下水からは放射性物質が検出されており、各号機の建屋に流入したり、建屋外の地下水などに広がる恐れがあるため、くみ上げて仮設タンクに移すことを検討している。【河内敏康】
日本の電力消費量について
工場におけるコンプレッサの電力消費量は工場全体のどのくらいの割合か。そして日本全体のコンプレッサ電力消費量はどのくらいか調べるため調査開始した。株式会社富士経済のレポート「電力使用機器の消費電力量に関する現状と近未来の動向調査」が見つかった。この中にはコンプレッサに関する記述はないが、コンプレッサを含むモータについて詳しく書かれている。このレポートを基に私見を交えてまとめた。
① 日本の全電力消費量(1年間)は、約10000億kWhである。
② 国民一人当たりに換算すると、1kWになる。国民一人当たり平均常時1kW使っていることになる。
10000億/(365*24)/1億=1kW
③ 日本の全電力消費量は市場規模として20兆円になる。(1kWh=20円として)
10000億*20円=20兆円
④ 日本の全電力消費量の内訳は、製造業(42.8%)、業務(29%)、家庭(28.2%)である(表1参照)。製造業が多くを占めている。
⑤ 人口10万人の都市では、その都市に含まれる製造業も含めて、100MW電力を消費していることになる。
10万*1kW=100MW
⑥ ドイツなどに見られる風力発電(直径100m)は1MW/基であるから、100基ほどで10万人都市の電力が賄えることになる。
⑦ 製造業の電力消費量(42.8% 4273億kWh)の内訳は、生産用動力モータ(58%)、空調用動力モータ(11%)、ヒータ(11%)である。(表2参照)
⑧ 生産用動力モータは2479億kWhで日本の全電力消費量の25%にあたる。
⑨ 製造業にそのほかの用途(家庭、業務、運輸)のモータを加えると、全モータの電力消費量は全電力消費量の57%(5731億kWh)になる。
福島第1原発:原子炉建屋にロボット潜入 遠隔で調査
パックボットが福島第1原発3号機の原子炉建屋の二重扉を開ける様子=2011年4月17日(東京電力提供) 東京電力は17日、福島第1原発3号機の原子炉建屋の内部状況を、遠隔操作ロボットを使って調査した。放射線量や温度などのデータを採取し、今後の復旧作業の参考にする。同原発で原子炉建屋の内部を調べるのは、東日本大震災後の水素爆発以降で初めて。
ロボットは米アイロボット社製「パックボット」で、長さ70センチ、幅53センチ、重さ35キロ。無償提供された2台を使って、原子炉建屋の二重扉のうち、外側を人が開けてロボットを投入し、内扉はロボットが開けて内部に進入。線量や温度、湿度、酸素濃度を確認し、映像を撮影する。結果は18日に公表する予定。
同原発では事故後、放射線量が高くて人が原子炉建屋内に入れず、内部の状況を確認できていない。今回の調査の前に東電が1、3号機の二重扉の一つ目の扉を開けて中の放射線量を調べたところ、1号機では1時間当たり最大270ミリシーベルトと高い線量を記録、3号機では同10ミリシーベルトだった。
東電はロボットで各号機の原子炉建屋内部の現状を確認し、今後、人や機械がどの程度作業できるのかを探る方針だ。【江口一、伊藤直孝】
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福島第1原発:放射線抑制6〜9カ月 年内避難解除困難に
福島第1原発:収束までに2段階 東京電力
福島第1原発:3分野、5課題で目標…東京電力の工程表
福島第1原発:事態収束への道筋、東電が午後3時から会見
福島第1原発:ヨウ素、セシウム過去最高 30キロの海水
毎日新聞 2011年4月17日 20時51分(最終更新 4月17日 21時26分)
原発「減らす・やめる」41% 朝日新聞世論調査2011年4月18日0時1分
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原子力発電は今後…
朝日新聞社が16、17日に実施した全国定例世論調査(電話)で原子力発電の今後について聞いたところ、「減らす方がよい」と「やめるべきだ」が計41%だった。東日本大震災の復興財源にあてるための増税については「賛成」59%が「反対」31%を上回った。
世論調査—質問と回答〈4月16、17日実施〉
「原子力発電は今後どうしたらよいか」という質問で四つの選択肢から選んでもらうと、「増やす方がよい」5%、「現状程度にとどめる」51%、「減らす方がよい」30%、「やめるべきだ」11%。日本は電力の3割を原子力発電でまかなっていると紹介したうえで同様の質問をした2007年の調査では、「増やす」13%、「現状程度」53%、「減らす」21%、「やめる」7%で、「減らす」と「やめる」の合計が28%にとどまっていた。
原子力発電の利用の賛否は「賛成」50%、「反対」32%。「反対」の層でも、原子力発電の今後について20%が「現状程度にとどめる」と答えた。男女別では、男性で「賛成」62%、「反対」27%だったのに対し、女性では38%対37%でほぼ並んだ。
福島第一原発の事故に対しては、「大いに」56%、「ある程度」33%の合わせて89%が「不安を感じている」と答えた。
他の原発で大きな事故が起きる不安については、「大いに感じる」が50%、「ある程度感じる」が38%。「大いに感じる」と答えた人のなかでは、原子力発電を今後、「減らす」「やめる」と答えた人の合計が55%と高い。
復興財源のための増税に賛成する意見は、民主支持層で66%と高かったが、無党派層で59%、自民支持層でも53%に上った。復興の主な財源として増税と国債のどちらがよいか尋ねると、「増税」48%、「国債」25%だった。
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「原発に不安」88% 都民に本紙緊急調査
2011年3月19日 朝刊
東日本大震災を受けて、東京新聞は東京都内の有権者を対象に緊急世論調査を実施した。福島第一原発の事故について「非常に不安」55・3%、「ある程度は不安」32・8%と答え、「不安」が88・1%にのぼった。
「国内にある原発は今後、どうすべきだと思うか」と聞いたところ「運転しながら安全対策を強化していく」が56・2%と半数を超えた。「いったん止め、対応を検討する」は25・2%、「やめて、別の発電方法をとる」は14・1%だった。
「非常に不安」と答えた人でみると「運転しながら安全対策」46・5%、「いったん止め」29・9%、「やめて、別の発電方法」19・9%だった。
「ある程度は不安」という人では「運転しながら安全対策」65・3%、「いったん止め」22・3%、「やめて、別の発電方法」8・3%という割合。事故に不安を抱きながらも、原発に依存している現状を認識していることがうかがえた。
◆計画停電 8割が賛成
都民は計画停電に理解示す−東京都内の有権者を対象にした東京新聞の世論調査では、計画停電について「賛成」「どちらかといえば賛成」が八割以上を占め、多くの人が理解を示していることが分かった。
「今回実施されている東京電力の計画停電についてどう思うか」と聞いたところ、「どちらかといえば賛成」42・5%、「賛成」41・2%、「どちらかといえば反対」9・8%、「反対」4・1%の順だった。
「計画停電で最も困ること」は「医療」が最多の31・3%で、「通勤・通学」24・8%、「介護・育児」9・3%、「通信・通話」8・8%。
調査では今回の震災への政府の対応も聞いた。「適切」「どちらかというと適切」と答えた人が53・2%に上り、「不適切」「どちらかというと不適切」は42・6%で、10ポイント以上も開きがあった。
政府の対応には一定の理解が示されたようだが、東京電力の対応についてはどうだったか。「どちらかというと適切だった」23・9%、「適切だった」5・6%と、合わせても三割に届かず、都民の評価は厳しい。
首都圏の地震対策で強化すべき点は「情報発信」「原発などの安全対策」「食料などの備蓄」「家屋や建物の耐震化」の順に多かった。
都の地震対策については「十分」「どちらかというと十分」と答えた人は三割にとどまり、六割が「不十分」「どちらかというと不十分」だった。
内閣支持は28%に上昇、世論調査 原発対応評価せず58% 共同通信の全国電話世論調査によると、内閣支持率は28・3%で、先月中旬の前回調査から8・4ポイント上昇した。
▽原発対応を58%が評価せず
共同通信が26、27日に実施した全国電話世論調査によると、福島第1原発事故への政府対応について「評価しない」とする回答が58・2%となり、「評価する」の39・3%を上回った。
▽被災者支援を57%が評価
共同通信の全国電話世論調査で、東日本大震災の被災者支援での政府対応について「評価する」が57・9%となり、「評価しない」の39・2%を上回った。
▽67%が復興のための増税に賛成
共同通信の全国電話世論調査で、復興財源のための増税について「賛成」とする回答が67・5%となり、「反対」の29・4%を上回った。
東北沖大地震世論調査 原発事故不安を感じる94.8%(オリーブ)
http://www.asyura2.com/11/senkyo110/msg/645.html
投稿者 判官びいき 日時 2011 年 3 月 27 日 12:56:54: wiJQFJOyM8OJo
東北沖大地震に関する世論調査 速報(有効回答1061件)
設問1 東北沖大地震の対応についてお答えください。
1)政府の対応は適切である・・・・・・・4.5%
2)どちらかをいえば適切である・・・・・23.3%
3)どちらかをいえば適切とはいえない・・20.2%
4)対応が遅く不適切・・・・・・・・・・34.7%
5)機能していない・・・・・・・・・・・16.1%
6)その他・・・・・・・・・・・・・・・0.9%
設問2 福島第一原発事故についてお答えください。
1)原発に不安を感じる・・・・・・・・・69.0%
2)どちらかをいえば不安を感じる・・・・25.8%
3)どちらかをいえば不安を感じない・・・2.9%
4)不安はない・・・・・・・・・・・・・1.3%
5)その他・・・・・・・・・・・・・・・0.6%
設題3 今後の原発についてお答えください
1)もう造れないだろう・・・・・・・・・・・・11.8%
2)現在の原発も見直すべきだ・・・・・・・・・33.7%
3)改良して造ればよい・・・・・・・・・・・・14.6%
4)政府や東電の体質が今のままなら造れない・・18.2%
5)太陽光発電などに大きくシフトすべきである・20.3%
6)その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.9%
設題4 震災、津波、原発事故に対する政府の対応は
1)100点・・・・・・・・・・・・・・0.6%
2)80点・・・・・・・・・・・・・・・10.7%
3)60点・・・・・・・・・・・・・・・29.4%
4)40点・・・・・・・・・・・・・・・26.8%
5)20点・・・・・・・・・・・・・・・21.0%
6)0点・・・・・・・・・・・・・・・・10.8%
設題5 危機管理には誰が総理に望ましいと思いますか。
1)菅直人・・・・・・・・・・・・・・・36.8%
2)小沢一郎・・・・・・・・・・・・・・63.1%
東北沖大地震に関する世論調査の速報をお届けする。政府の対応が適切かの問いには、適切27.8%、適切ではない71%となった。原発事故に関しては、不安を感じるが94.8%となり、国民全体が不安を感じていることが分かった。今後の原発建設については、造ればよいは14.6%となり、見直し・造れない・太陽光等へシフトは84%を占めた。
震災・津波・原発事故に関する政府対応については、40点以下が58.6%となった。危機管理の総理には、二択だが小沢一郎氏が菅氏を圧倒し、63.1%を占めた。全体として菅総理の東北沖地震への対応は評価されておらず、多くの国民が適切とは云えないと判断している。
特に回答者の3分の1が「対応が遅く不適切」としており、後手後手の対応が批判につながっている。また、避難圏が半径10キロから20キロに広がり、今度は30キロになり、福島県はライフラインが停止している。民間の運送会社も放射能を恐れて活動できないからだ。政府は、安全だとテレビで流すだけで、現実との距離は非常に大きい。
そうこうするうちに韓国、台湾、香港、中国、韓国、シンガポール、オーストラリアが福島、群馬、栃木、茨城の4県産の原乳や乳製品、果物、野菜と海産物の輸入を停止した。米食品医薬品局(FDA)も23日4県で生産された牛乳と乳製品、野菜、果物の輸入を差し止める決定を行なった。
このような国際情勢の下、日本だけが安全だ安心だと云うことは国民生活の冒涜ではないかと指摘したい。また東京電力福島第1原子力発電3号機で、復旧作業中に被曝した作業員3人のうち、2人が関電工の社員で、1人が関電工の関連会社社員であることが分かった。恐らく原発は、もう東電で今後事業を継続することは困難になると見ている。
菅総理は昨日の会見で「原子力安全委員長など専門家の意見を聞いて判断している」と云い、斑目委員長は「格納容器で爆発は起きないと云ったが、建屋で起きないとは云っていない」などと述べている。最早、政府は責任逃れに終始し、事故を東電に押し付け、自分らは逃げるつもりである。しかし東電は、11日15時41分に特定事象発生の通報を経済産業大臣、福島県知事、大熊町長、双葉町長と関係各機関へ行なっている。
誰しもが疑義を共有し始めたのは、初動の24時間である。只今日本は、地震、津波、原発事故、無能な総理と云う惨劇を背負い、国際社会での信頼をも失おうとしている。皆さんのご意見もお待ちする。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=106111
読売新聞が2011年4月4日付朝刊で報じた世論調査結果によると、国内の原子力発電所の今後のあり方について、「現状を維持すべきだ」と答えた人が最も多く46%だった。以下、「減らすべきだ」29%、「すべてなくすべきだ」12%などと続いた。調査は電話方式で1〜3日に実施したという。回答率は62%で1036人の有権者の回答を得たとしている。
また、JNN(TBS系)が4月4日に伝えた世論調査2 件結果(調査実施は2、3日)では、「『これまで通り稼働しながら安全対策を強化すべき』と答えた人が最も多く」とし、「いったん停止させ対応を検討すべき」と「原発2 件は停止させ別の発電方法をとるべき」との声がそれぞれ15%程度だった。
原発推進学者が次々懺悔 「国民に深く陳謝する」
2011/4/16 13:17
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東京電力の福島第1原子力発電所の深刻な事故を受け、政府の原子力安全委員会の歴代委員長を含む原発推進派学者の重鎮たちが原発の「安全神話」崩壊に懺悔を繰り返している。特に元原子力安全委員長の松浦祥次郎氏や前原子力委員会委員長代理の田中俊一氏ら原発推進の学者16人がこのほど、異例の緊急提言を行った。
「原子力の平和利用を先頭だって進めてきた者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝する」との謝罪を前面に掲げた提言の内容は政府や東電の発表よりも今回の事故を深刻に受け止めており、緊迫感が伝わってくる。
大量の放射能を閉じ込めるのは極めて困難、と認める
「私たちは事故の推移を固唾を飲んで見守ってきた。しかし、事態は次々と悪化し、事故を終息させる見通しが得られていない」「膨大な放射性物質は圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている」 「特に懸念されることは溶融炉心が圧力容器を溶かし、格納容器に移り、大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである」
提言は、水素爆発などで格納容器が破壊され、放射性物質が長期にわたり国土を汚染する可能性を指摘している。日本を代表する学者たちが、チェルノブイリ原発事故級の最悪の事態を想定していることがわかる。
16人は東京大学名誉教授、京都大学名誉教授、東京工業大学名誉教授など錚々たるメンバーで、原子力安全委員会や原子力委員会の歴代委員長や委員を務めるなどした日本を代表する原子力の専門家たちだけに、発言には重みがある。
特に気になるのは、「当面なすべきことは原子炉及び使用済み核燃料プール内の燃料の冷却を安定させ、大量の放射能を閉じ込めること。これを達成することは極めて困難であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束ない」と述べた点で、有効な解決策を見いだすのが難しいことを自ら認めているとも受け取れる発言だ。
2011年4月1日、会見した田中俊一氏は「原子力の平和利用を進めて、まさかこういう事態、これほど国民に迷惑をかけるような事態は予測していなかった。結果的にこういうことになっていることについて、原子力を進めてきた人間として、国民に謝らなくてはならないという気持ちは、みんな持っていると思う」と心境を明かした。
田中氏は提言をまとめた理由について「(我々は)余計なことを言わなくてもいい年齢だけれども、黙っていられないと。とにかく早くこの状況を抜け出して頂きたいという思いでまとめた」と述べた。学会で地位も名誉もある学者たちが、自分たちのこれまでの仕事を全否定するような今回の提言や会見が、事故の深刻さを物語っている。
原子力安全委員会では、歴代OB、現役首脳も自己批判
提言は、最後に事態打開策について「当面の難局を乗り切るためには、関係省庁に加え、産業界、大学等を結集し、我が国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的な取り組みが必須である」と指摘する。
提言に加わっていない原子力安全委員会前委員長の鈴木篤之氏(日本原子力研究開発機構理事長)も4月6日、衆議院経済産業委員会に招致され、「国民にたいへん申し訳ない。私にとって痛恨の極みだ。この事故を反省し、よく考えていかないといけない」などと反省の弁を述べている。
原子力安全委員会では、歴代OBに限らず、現役首脳も自己批判に追い込まれている。斑目春樹委員長は、やはり6日の衆議院経済産業委員会で、「今回の事故を深く反省し、二度とこのようなことが起こらないよう指導していきたい」などと弁明に懸命だった。
炉内温度が上昇、地下水の放射能濃度10倍 不安定な状態続く福島第1原発
2011/4/15 19:06
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福島第1原子力発電所の事故は、深刻な事態を打開できないままだ。1〜3号機では核燃料が破損し、一部は溶け落ちていると指摘された。
さらに1、2号機では、付近の地下水に含まれる放射性物質の濃度が増し、3号機では原子炉内の温度が急上昇と、片時も気の抜けない状態が続いている。
核燃料の一部が溶融し、一部が圧力容器の底に
日本原子力学会の原子力安全調査専門委員会は2011年4月14日、福島第1原発の原子炉の分析結果を発表した。それによると原子炉の圧力容器内にある核燃料は、3号機ではすべてが水に浸かっている半面、1、2号機では一部が露出している。さらに1〜3号機では核燃料の一部が溶融し、その一部が粒子状になって圧力容器の底にたまって冷えているとの見解だ。
たまっている燃料が熱を帯びれば、圧力容器を破る危険も生じるが、現時点では水で冷やされており心配はなさそうだ。ただし、停電が発生して燃料の冷却に支障が生じれば、温度が上昇して危険な状態になる可能性は否定できない。
同委員会では、圧力容器が爆発するような事態に陥ることは今のところ考えられないとしたものの、復旧作業が順調に進んだとしても「核燃料が安定するまで2、3か月はかかる」と長期戦になる見通しを示した。
「最悪の事態」にはならないようだが、原子炉については不可解な点も多い。同じ4月14日、東京電力は会見で1、2号機のタービン建屋近くで採取した地下水の放射性物質の濃度が、4月6日からの1週間でおよそ10倍に増えていることを明らかにした。
さらに15日には、2号機のトレンチにたまった高濃度の放射能汚染水の水位が再び上昇したと東電が発表。トレンチからは、復水器へ660トンの汚染水を移送する作業が行われていったんは水位が下がっていた。しかし15日には地表から91センチの水位に達し、移送前の状態に戻った格好だ。
2号機では、一時汚染水が海に流れ出して漁業関係者らから批判を浴びた。東電ではトレンチからの再移送を検討しているが、復水器の容量にも限りがあるため、原発の敷地内に仮設タンクを設置したり、「メガフロート」を配備したりと汚染水対策を急ぐ予定だ。
250度まで温度上昇、計器故障の疑いも
心配の種はまだある。3号機では、圧力容器内で急激な温度上昇が認められたのだ。経済産業省の原子力・安全保安院によると、圧力容器の上のふたと容器の接続部分で、4月12日にはほぼ正常温度の170度だったが14日には約250度に達した。原因は不明だが、保安院では計器の故障の疑いもあると指摘した。
接続部の温度は約300度まで耐えられる設計のため、ただちに危険な状態に陥ることはないと保安院は説明するが、明確な原因が判明していないだけに不安も残る。
4号機も決して安泰ではない。3月11日の地震発生時に定期点検中だったため圧力容器内に燃料棒はなかったが、貯蔵プールに入っている核燃料の状態が気がかりだ。3月15日に爆発と火災で建屋が壊れ、プールがむき出しになっているためだ。
東電は4月13日、4号機のプールの水を分析した結果を公表し、通常より高い値の放射性物質が検出されたとした。「一部の燃料が破損しているが、大部分は健全ではないかと推測している」と東電は話すが、1〜3号機の原子炉同様4号機の貯蔵プールも常に注水を続けて冷やし続けないと、大量の放射性物質が放出される危険性は今も回避できていない。
東大教授「日本全国どこでも危ない」 地震の場所や時期など予測は不可能
2011/4/14 19:04
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「日本の地震研究を見直すときがきた」と提言する研究者が現れた。東京大学のロバート・ゲラー教授は、東日本大震災の発生を受けて、長年にわたる日本政府の地震予知政策に異論を唱える、衝撃的ともいえる論文を発表した。
過去30年間、日本で大きな被害を出した地震は、政府の予測とは違った場所で起きている。そもそもいつ、どこでどの程度の規模の地震が起きるかなど予測できるはずがない——。ゲラー教授は鋭く指摘する。
30年以上起きない「東海地震」はミスリード
ゲラー教授が作成した「震災発生マップ」(ウェブサイトより) ゲラー教授の論文は2011年4月13日、英国の権威ある科学誌「ネイチャー」電子版に掲載された。冒頭で「日本政府は、地震の発生を確実に予測することは不可能だと国民に対して認めるべきだ」「誤解を招く『東海地震』という用語の使用をやめること」「1978年に制定された大規模地震対策特別措置法の廃止」の3点を要旨に掲げている。
文部科学省に設置されている地震調査研究推進本部は、毎年、「全国地震動予測地図」を発表している。2010年5月20日の最新版では、今後30年以内に震度6弱の地震が起こる確率が高い地域として静岡県や愛知県、紀伊半島東部から南部、四国南部が挙げられた。いわゆる東海地震、東南海地震、南海地震が起きるとされている場所にあたる。
ゲラー教授はこの地図と、1979年以降に国内で発生した地震で10人以上の犠牲者を出した規模のものがどこで起きたかを重ね合わせた。1993年の北海道南西沖地震や95年の阪神大震災、2008年の新潟県中越沖地震など該当する地震は9件あるが、いずれも「予測地図」に示された東海、東南海、南海地震の場所から大きく外れているのが分かる。東日本大震災に関しては、宮城県の一部が地図上で高確率地域となっているものの、震度6強を観測して大きな被害を受けた岩手県や福島県、また栃木県や茨城県北部は「発生率6%以下」と低い確率に区分けされている。
この点をゲラー教授は指摘し、「30年以上にわたって日本政府や、地震調査研究推進本部とその前身の組織は『東海地震』という用語を頻繁に用いてミスリードしてきた。マスコミは、この地震が本当に起きるもののように報じて、国民は『東海地震』の発生が時間の問題だと信じ込むようになった」と批判。巨大地震がいつどこで起こるかは、今の研究レベルでは予測することは不可能だと断言した。
東日本大震災「過去の歴史から想定できた」
テレビ番組でもゲラー教授は、政府が「東海地震」の危険性を強調するあまり、それ以外の地域の人々は、「自分が住む場所は地震なんて起きないだろう」と思い込むのが危ないと警鐘を鳴らす。
むしろ「日本全国どこでも、地震の危険性はある」というのが同教授の考えであり、東日本大震災は決して想定外ではなかったという。今回の震災で壊滅的な被害を受けた三陸沿岸は、歴史的にも頻繁に大規模な地震や津波が起きている点を説明。1933年の昭和三陸地震では死者が1500人以上に達したほか、1896年に発生した地震で「高さ38メートルにも及ぶ津波に襲われて2万2000人以上が亡くなった」という。さらに歴史をさかのぼって、平安時代にあたる869年の「貞観津波」についても、論文で触れている。
「地震発生の場所や時間を特定することはできないが、世界各地の地震活動と、東北での過去の記録に基づいて地震発生の危険度を予測したのであれば、3月11日の東日本大震災は『想定』できたに違いない」
と、同教授は主張する。
東海地震に関しては、現在も気象庁が該当地域の地殻変動の様子を観測し、頻繁に結果を公表している。これは「大規模地震対策特別措置法」(大震法)に基づいているのだが、そもそも地震の予知は不可能と考える同教授は、東海地震の予測などナンセンスとして「大震法の廃止」を訴える。そのうえで、地震研究は官僚主導ではなく、物理学に基づいて日本のトップ研究者が進めていくべきだと論文を締めくくっている。
-福島第1原発-経産省幹部の電力会社への天下り当面自粛
毎日新聞 4月18日(月)11時57分配信
参院予算委開会冒頭に東日本大震災と福島第1原発事故について報告する枝野幸男官房長官=国会内で2011年4月18日午前9時52分、藤井太郎撮影
枝野幸男官房長官は18日午前の記者会見で、経済産業省幹部職員の電力会社各社などへの再就職を当面自粛させると発表した。枝野氏は理由について「国民の疑念を招かないため」と説明。すでに再就職している同省OBについても自発的な退任を促した。
【これまで天下りがあった】福島第1原発:東電への天下り、容認しない考え 官房長官
経産省によると、対象となるのは、東京電力など電力会社とJパワー(電源開発)、日本原子力発電の計12社。内容は(1)経産省事務次官、資源エネルギー庁や原子力安全・保安院の幹部職員ら計15人(1日現在)の役員就任自粛(2)局長や審議官ら計55人(同)の退職後3年間の役員就任自粛(3)エネ庁と保安院の課長職経験者の退職後2年間の再就職自粛−−の3本柱。電力各社などにも自粛措置を説明し、協力を求める。
経産省の外局として、電力を所管するエネ庁と原発の安全性を監督する保安院があり、役員への再就職が多いと問題視されていた。枝野官房長官は再就職したOBについても、「直接自粛を求める対象にはなり得ないが、当然、政府の対応を見て、それぞれの個人の責任と判断で適切な対応をされると期待している」と述べた。【影山哲也、立山清也
福島第1原発 4号機原子炉建屋も浸水 プール補強遅延も
毎日新聞 4月18日(月)11時3分配信
拡大写真
無人ヘリが4月10日に撮影した福島第1原発4号機の原子炉建屋=東京電力提供
東京電力福島第1原発4号機の原子炉建屋地下1階に、放射性物質を含んだ水が約20センチの深さでたまっていることが18日、分かった。東電が17日発表した工程表では、同建屋は余震対策として使用済み核燃料プールの補強工事が必要としているが、建屋の浸水が確認され、工事には時間がかかりそうだ。
4号機は3月15日に壁の一部が破損した。震災当時、原子炉内の工事で全燃料がプールに移されていたため、他号機より高い余熱で水素が発生、爆発したのが原因とみられている。プールには核燃料1331体を収めた約1400トンの水が入り、余熱で水温が90度まで上昇した。このため、コンクリート圧送車で冷却水を補給している。
壁の破損は当初、建屋の表面のみとされていたが、後の調査でプールの重さを支える構造壁まで損傷が及んでいたことが判明。壁にかかる荷重を緩和し、耐震性を保つには、コンクリートでプールの底などを補強することが必要になっている。
しかし、経済産業省原子力安全・保安院によると、16日から作業員が建屋に入って調査した結果、地下1階が浸水していることが分かった。使用済み燃料の一部が破損して放射性物質を含むプールの水が漏れるか、あふれた可能性があるという。4号機では、タービン建屋地下にも汚染水がたまっているが、より高濃度の2号機の汚染水処理が優先され、4号機の対策は未定という。
一方、1号機の再爆発を防ぐために続けられている原子炉格納容器への窒素注入は、18日午前6時までに予定量を超える7100立方メートルの注入を終えた。しかし、同容器内の圧力がやや下がる傾向にあり、容器の一部に漏れがあることが分かった。保安院は、水素爆発の危険がなお続くため、今後も窒素注入を続行することが必要だとしている。【山田大輔】
東電:勝俣会長ら経営幹部総退陣へ 福島原発事故受け
東京電力は17日、福島第1原発事故の深刻化を受けて、勝俣恒久会長や清水正孝社長をはじめとした副社長以上の経営陣が退陣する方針を固めた。勝俣会長は会見で自らの進退について「原則(6月下旬の)株主総会時に責任を取ると思う」と表明。清水社長についても「(辞意は)同じだと思う」と説明した。
さらに東電は原発事業担当の武藤栄副社長ら副社長6人も退陣する方向で調整している。退陣する役員は退職金を辞退する。ただ、東電は「(事故が収束しない)状況で幹部がかなりの数で抜けるのが良いのか、悩みは深い」(勝俣会長)とし、清水社長らの退陣時期は、事故収拾に一定のメドが付いた段階にしたい考えだ。【山本明彦】
【放射能漏れ】原子炉建屋10〜57ミリシーベルト 東電がロボット調査結果公表
産経新聞 4月18日(月)12時43分配信
拡大写真
作業ロボット「パックボット」がタービン建屋から原子力建屋への二重扉を開ける様子=17日、福島第1原発3号原子炉建屋内(東京電力提供)(写真:産経新聞)
東京電力福島第1原子力発電所事故で、同社は18日、ロボットを遠隔操作して実施した1、3号機の原子炉建屋内の調査結果を公表した。1号機の原子炉建屋内の放射線量は毎時10〜49ミリシーベルト、3号機は同28〜57ミリシーベルトだった。3月の水素爆発以降、1、3号機の原子炉建屋内に入っての調査は初。
[写真で見る]ロボット技術が“苦戦”する理由、なぜ?
ロボットによる調査は17日に実施。1号機は1階北側の二重扉周辺を、3号機は1階南側二重扉周辺で、線量や温度などを調べた。
その結果、1号機は室温が28〜29度、湿度が49〜56%、酸素濃度は21%。3号機は室温が19〜22度で湿度32〜35%、酸素濃度は21%。3号機の建屋内は「障害物が多く、前進が困難だった」(東電)という。
18日は2号機の原子炉建屋内をロボットで調査する方針。今後、作業員が入って作業ができるかなどを検討する。
また、東電は18日、1〜3号機のタービン建屋地下や配管トンネル「トレンチ」にたまった汚染水の総量が6万7500トンに上るという試算を公表した。
特に線量が高いとみられる2号機の汚染水は2万5千トン。1号機が2万500トン、3号機が2万2千トンという。
原発増設の凍結示唆=避難住民の帰宅へ努力—菅首相
時事通信 4月18日(月)16時55分配信
菅直人首相は18日午後、東日本大震災に関する参院予算委員会の集中審議で、今後の原子力政策について「(東京電力福島第1原発)事故を踏まえて白紙から検証し、再検討する必要がある」と強調した。その上で「安全性を確認することを抜きにして、これまでの計画をそのまま進めていくことにはならない」と述べ、原発増設計画の凍結を示唆した。
国内には福島第1原発を含め54基の商業原発があり、政府は2030年までに14基以上を新増設することを計画している。首相は3月に共産党の志位和夫委員長と会談した際にも「白紙を含め検討する」と述べていたが、国会でも事故の検証を踏まえて再検討する方針を示した。
また、首相は福島第1以外の国内の原発について「これまでの(安全)基準でいいか再チェックする必要がある」と述べた。
首相は原発事故で避難している住民への対応について「(東電が事故収束への工程表の第2段階とした)6〜9カ月たった時点で、できる限り多くの方が戻っていけるように努力するのが政府の役割だ」と述べ、帰宅実現へ最大限努力する考えを強調した。
一方、民主党マニフェスト(政権公約)の重点政策に関しては、「最優先されるべきは震災の復旧・復興だ。その優先度の中で判断していく」と、復興財源確保のため柔軟に見直す姿勢を示した。公明党の加藤修一、みんなの党の小野次郎、社民党の福島瑞穂各氏に対する答弁。
2号機使用済み燃料、損傷か=保管プールの水分析—福島第1原発
時事通信 4月18日(月)23時41分配信
福島第1原発事故で、東京電力は18日、2号機の使用済み核燃料プールの水を分析した結果、保管していた燃料棒が損傷している可能性があると発表した。損傷の程度は不明で、詳しく調べる。
東電は仮設の冷却システム構築を検討するため、2号機燃料プールにつながっているタンクの水を採取し、放射性物質を分析。ヨウ素が1立方センチ当たり4100ベクレルだったのに対し、セシウムは同4000〜16万ベクレルだった。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「セシウムが異常に多い」と説明。原子炉内の燃料から出た場合の測定値とは異なるといい、プール内の使用済み燃料が損傷した可能性が高いとみている。プールには核燃料棒を束ねた燃料集合体が615本入っている。
一方、経済産業省原子力安全・保安院はプールの燃料ではなく、原子炉内から漏れた可能性が高いとみている。使用済み燃料は長期間冷却されており、半減期の短いヨウ素131が高濃度で検出されるのは不自然と説明。原子炉から出た放射性物質が格納容器の外に飛散し、燃料プールに入ったと考える方が自然という。
東電によると、余震対策として進めていた電源の2重化工事は18日に完了。東電と東北電力が別系統で供給していた電源をケーブルでつなぎ、片方が遮断されても外部電源を確保できるようにした。
また1、3号機原子炉建屋内を調査した遠隔操作ロボットは同日、2号機の同建屋を調査した。 .最終更新:4月18日(月)23時41分
東電工程表、実施に相当の困難と班目委員長
読売新聞 4月18日(月)20時19分配信
内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は18日、東京電力が発表した事故収束への工程表について「相当のバリアがある」と述べ、実施には困難が伴うとの認識を示した。
また「工程表の精査はできていないが、スケジュールありきで安全がおろそかになることは避けてほしい」と語った。
班目委員長は「一番難しいのは2号機対策」とし、理由としてタービン建屋地下に高濃度の放射性物質を含む汚染水があることを挙げた。フランスから導入予定の浄化処理技術についても「本当に(高濃度の汚染水に)使えるのか、安全委員会側として承知していない」と効果に未知数の部分が多いことを挙げた。 .最終更新:4月18日(月)20時19分
-福島第1原発-東電社長、初動遅れ釈明…参院予算委
毎日新聞 4月18日(月)20時0分配信
参院予算委で福島瑞穂社民党党首の質問にこたえる東京電力の清水正孝社長=国会内で2011年4月18日午後5時16分、藤井太郎撮影
東京電力の清水正孝社長は18日、参院予算委員会に参考人として出席し、福島第1原発事故への初動対応で、原子炉格納容器の内部圧力を下げる「ベント」作業が遅れ、事故が悪化したとの指摘に対し、「暗闇の中で作業を強いられ、通信機能も喪失して連絡が困難だった」と説明。放射能漏れを謝罪した上で「電源が喪失し、放射線量も高い厳しい状況だった。何より周辺への影響があるので、(住民が)避難(したか)をしっかり確認する時間が必要だった」と釈明した。
【地図と図解】福島第1原発周辺の累積線量結果
清水社長が国会で答弁したのは事故後初めて。津波対策が不十分だったとの指摘には、「14〜15メートルの津波は想定できず、そういう意味では甘かった」と認めた。【山本明彦
菅首相の視察、初期対応に影響せず=原発事故で清水東電社長
時事通信 4月18日(月)16時4分配信
東京電力の清水正孝社長は18日午後の参院予算委員会で、福島第1原発事故の初期対応で格納容器の圧力を抑制するために気体を放出する「ベント」が、菅直人首相の視察で遅れたとの見方があることに関連し、「首相の視察は特に影響がなかった」と述べた。
また、原発事故の風評被害に対しては、「原子力損害賠償紛争審査会の指針に基づき対応する」とし、文部科学省など国の指針に沿って支払いを進める姿勢を示した。加藤修一氏(公明)への答弁。
「天下り」批判、東電顧問の前エネ庁長官退任へ
読売新聞 4月18日(月)23時1分配信
東京電力は18日、前資源エネルギー庁長官で顧問の石田徹氏について、4月末の退任を決めた。
福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、経済産業省などから電力業界への「天下り」に批判が高まっているためだ。
民主党政権はこれまで、省庁があっせんしていない場合の再就職は認めていた。だが枝野官房長官は天下り規制の強化の一環として、同日の記者会見で、石田氏に自発的な退職を促していた。
石田氏は昨年8月にエネルギー庁を退官し、今年1月に東電顧問に就任。6月の役員就任が確実視されていた。
東電は経産省OBを受け入れ続け、エネ庁長官経験者は石田氏で2人目だった。 .最終更新:4月18日(月)23時1分
つくば市、福島からの転入者に放射能検査要求
. 福島原発
茨城県つくば市が、東京電力福島第一原発の事故で福島県から避難して転入する人たちに、放射能汚染の有無を確認する検査を受けた証明書の提示を求めていたことが18日、わかった。
市側は「市民に無用な不安を与えない目的だった」としているが、転入者からの抗議を受け、検査を求めないことにした。
つくば市によると、市民課長名で3月17日、福島からの転入者にスクリーニング検査を求めることに決め、担当する窓口へ通知した。窓口の担当職員が、転入者に消防本部や保健所で検査を受け、証明書をもらうように指示するなどしていたという。原発事故が起きてから、つくば市には福島県いわき市などからの住民が避難している。
今月11日、つくば市内の研究機関に就職するため仙台市から転居してきた男性(33)が証明書の提示を求められ、このことを茨城県に訴えたことから問題が発覚した。つくば市の岡田久司副市長は、「放射能汚染について、誤解があったと認めざるを得ない」と釈明した。
(2011年4月19日03時07分 読売新聞)
福島1〜3号機核燃料、保安院「溶融」と初見解
. 福島原発
経産省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は18日の記者会見で、1〜3号機の核燃料が「溶融していると思われる」と述べ、内閣府の原子力安全委員会に報告したことを明らかにした。
保安院はこれまで、核燃料の損傷が3%以上としてきたが、「溶融」との見解を出したのは初めて。
保安院は炉心の壊れ具合によって3段階に定義されると報告。「炉心損傷」は、焼き固めた燃料(ペレット)を覆う金属の被覆管が壊れているが、燃料体の形は崩れていない状態。ペレットの一部が溶けだしている状態を「燃料ペレットの溶融」、溶けた燃料が下に落ちていくのを「メルトダウン(炉心溶融)」とした。
その上で、「ペレットが溶融している」とした理由について、2、3号機は「ペレットが溶融して生じる放射性物質が高濃度の検出された」ことを、1号機は「水素爆発に至った」ことを挙げた。
(2011年4月18日22時47分 読売新聞)
日本原子力技術協会の記者会見・3月18日(金)
2011-03-18 23:47:50 | 研究・科学技術・人生とは今日で大地震からちょうど一週間。今日は午後3時半から日本外国特派員協会にて、日本原子力協会(JANTI)の福島原発事故に関する記者会見が行われたので、午後に有給休暇を取って、参加してきました。今日の午後は東大の地震研でも東日本大震災に関するワークショップがあったので、どちらに参加するか、ちょっと迷ったのですが、国内外のブログの読者や知り合いの多くから「記者会見へ行って、また福島原発の情報をアップして下さい。」というお便りもあり、結局日本原子力協会(JANTI)の記者会見に行くことにしました(冒頭の写真)。
この会見、最初の40分が日本原子力協会(JANTI)からの原発事故に関する説明だったのですが、目新しい情報も殆どなく、しかも今回の事故(地震・津波時の事故発生から現在まで)を、スリーマイル島の原発事故と非常に似ているという前提のもとで、説明がなされ、将来もスリーマイル島のように数週間で収束するだろう、と楽観的な話を、元理事長の石川氏が明るい笑顔でされたのですが、話の流れがしっかりしていなかったり、その根拠となるデータをきちんと示してくれず(あるいは数値を何度も間違えて読み上げたり、隣の通訳や同技術協会の方からもスピーチや発言のなかの不明な点や度重なるエラーを指摘されたり)、といった具合で、記者会見というよりも、スリーマイル原発と福島原発の事故の経過のまとめを聞いている感じでした。このため、このブログでも紹介した、今週の日曜(3月12日)から火曜(3月14日)まで三夜連続で行われた原子力資料情報室(CNIC)の記者会見と比べると、情報の質、プレゼンの準備、話の流れ・内容の(感情に訴えるのではなく)論理性など、全ての点でサッパリでした。私は、原子力資料情報室(CNIC)の会見の仕方も、良い点と改善すべき点は分析し、このブログでも数回に分けて紹介しましたが、今日の日本原子力協会の会見、スピーチ・プレゼンのつたなさ以前に、その内容の根拠の薄さに、唖然としてしまいました。
プロジェクターも用意してあるのに、配った資料(スリーマイルと福島原発の構造図)を読みながらの説明。パワーポイントなどのスライド・ショーがないんですよ。難しい用語が続き、理系、しかも物理化学や原子炉の基礎知識がないと解らないような部分が多かったです。中には明らかに間違った発言や数値もあり、例えば、「水素爆発は危ないが、水蒸気爆発は比較的マイルドで心配ない。」と言った間違った(少なくとも誤解を招く)発言がありました。JANTIから参加された他の方々から、「石川元理事は高齢ですので」というフォローが何度もありましたが。しびれを切らせて、途中で帰る記者さんたちも何人も居ました。
その後の質疑応答の時間も、記者の質問に対する答えが日本政府のように楽観的で、発言のちょっとした撤回・訂正や話した数字の訂正も続き、福島原発を全体として安全視している理由もわからず、答えになっていない事もありました。原子力資料情報室(CNIC)の三夜の会見の時には、食いつくように厳しい質問をする記者さんもいらっしゃったのですが、今回は記者さんの質問にも熱がそれほど入って居なかったように思えます。
私も、同席した知り合いの記者さんたちも、ガッカリです(会見後の夕食のときに、その話になりました)。
もう一つ、今日ガッカリしたのが、外国人記者の数がぐっと減っている事です。友人で週末などによく一緒に遊んでいたドイツ人の記者さんも大使館からの命令で、昨夜から東京を退避している、と今日になって、日本外国特派員協会で聞かされました。当然、記者会見の会場に居る、外国人記者の数が減ってしまっており、これで十分な質疑応答ができるのか?といった感じです。
帰りの電車でメールを見たら、原子力資料情報室(CNIC)からメールで今日の夜8時からの、福島原発に関する記者発表と、UStream中継の案内が来てました。時計を見たらもう9時。時既に遅しです。録画したのなら、後で観れるかなあ?
福島原発事故の最新情報に関する、原子力資料情報室(CNIC)とUStreamの随時報道・生中継のURLはこちら。
http://cnic.jp/
http://www.ustream.tv/channel/cnic-news
(生中継をしていないときでも、ページの下のほうに、過去の放送分のビデオがあり、閲覧できます。)
というわけで、今日の会見から役に立ちそうな新しい情報を引き出す事はできませんでしたが、私の知る限り、原子力資料情報室(CNIC)の情報をネットなどでまめにチェックし、政府・TEPCO・メディアなどの報道と比較するのが良策だと思います。
原子炉下部損傷の影響か=2号機建屋内の蒸気—福島第1原発
時事通信 4月19日(火)20時22分配信
福島第1原発の2号機原子炉建屋内に高温の蒸気がこもっていることがロボット調査で分かったことについて、東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は19日夜の記者会見で、原子炉下部の圧力抑制室が一部損傷しているとみられることが原因の可能性があると述べた。
しかし、その場合は原子炉建屋内の放射線量が、1階入り口内側で測定された毎時4.1ミリシーベルトより高くなると考えられる。蒸気の原因は特定できておらず、安定冷却に向けた工程表の見直しに至るかはまだ判断できないという。
2号機は原子炉から高濃度の放射能汚染水が漏れ、タービン建屋地下や海水配管トンネルなどに大量にたまっていると考えられる。東電は19日午前10時8分から汚染水を集中廃棄物処理施設へ移送し始めた。
ポンプの能力から計算すると、同日午後6時時点で96トン移送したはずだが、トンネル立て坑の水位は同日午前7時時点の地表まで80センチからほとんど変わっていないという。
一方、1、3号機の原子炉建屋内のロボット調査でがれきが見つかり、内部の放射線量が高かったのは、水素爆発の影響が考えられる。安定冷却に向けた作業に向け、別のロボットでがれきを撤去することも検討したいという。
松本参与の発言要旨
松本健一内閣官房参与が13日、菅直人首相と会った後に記者団に語った内容の要旨は次の通り。
【1度目の説明】
(福島第1原発から)放射能が漏れ続け、土地が汚染され続けると、復興をそこで考えることはできない。そこの人々は当面戻ることができないので、新しい都市を内陸部につくって、5万人とか10万人とかの規模のエコタウンをつくるという復興の方向があるだろうと(首相に)申し上げた。
原発の周囲30キロあたり、場合によっては飯舘村のように30キロ以上のところもあるが、そこには当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか、ということになってくる。そういう人々を住まわせる都市を、エコタウンを考えなければならないということを(首相は)言っていた。
その場合には、市の中心部はドイツの田園都市をモデルにしながら再建を考えなければならないということも言っていた。岩手県陸前高田市には1本だけ残った松がある。ああいうものも復興の元気を出す力にしたいともおっしゃった。
【2度目の説明】
(「20年住めない」との発言は)私の発言だ。首相は私と同じように臆測(認識)しているかもしれないが、首相は言っていないということだ。首相から「俺はそういうことは言ってないよ」と電話があった。エコタウンについては、首相はその方向性だと言っている。(2011/04/13-19:39)
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物議醸す「首相発言」=情報発信不足が遠因
菅直人首相が語ったとされる内容が会談相手を通じて伝えられ、物議を醸すケースが相次いでいる。最近では、福島第1原発の放射能漏れ事故で周辺地域に「10年、20年住めない」とした「発言」が報じられ、首相は直後に「私が言ったわけではない」と否定したが、福島県関係者らの猛反発を買った。首相周辺は、発言が外に漏れぬよう「情報統制」に神経をとがらせている。
「まるっきりうそっぱちだ」。首相は15日、首相官邸を訪れた福島県選出の渡部恒三民主党最高顧問に「福島県民も俺も怒っている」と抗議され、「住めない」発言を改めて否定した。
本はといえば、首相と13日に会った松本健一内閣官房参与が首相発言として記者団に紹介。その内容が報道され波紋を広げるや、首相は松本氏に電話し、打ち消すよう求めた。
原発事故で緊迫していた3月16日には、笹森清内閣特別顧問が首相と会談した後、「最悪の事態になったときには東日本がつぶれることも想定しなければならない」と首相が述べたと記者団に説明した。首相は今月12日の記者会見で国民の不安をあおったと指摘され、「そういう(危機的な)認識は持っていた」と発言を半ば認めた。
首相サイドは「防衛策」に乗り出している。いつもは能弁な笹森氏は13日、官邸に首相を訪ねた帰り際、「何か言うと書かれるから発言は控える」と口を閉ざした。首相から「細かく言わないで」と注文を付けられたためだ。枝野幸男官房長官も14日の会見で「外で説明するときは誤解を招かないように留意いただくよう徹底しなければいけない」と強調した。
首相は東日本大震災発生後、震災対応を理由に1日1回行っていた「ぶら下がり」取材に応じておらず、情報発信不足が混乱を招く遠因となっているとの見方もある。しかも、松本氏や笹森氏を起用したのはほかならぬ首相だ。民主党内からは「ぶら下がり取材にも応ぜず、参与ら身内を通じて(間接的に)説明すること自体、最高責任者の自覚がない。批判されるのは自業自得だ」(小沢氏系若手)と厳しい声が出ている。
◇物議を醸した首相発言
【3月12日】
「原子力について少し勉強したい」(東日本大震災発生翌日、福島第1原発を視察した際に。同行した班目春樹原子力安全委員長が3月28日の参院予算委員会で明らかに)
【15日】
「あなたたちしかいない。(福島第1原発からの)撤退などあり得ない。覚悟を決めてほしい」(東京電力本社での関係者との協議で)
【16日】
「福島第1原発が本当に最悪の事態になったときには東日本がつぶれることも想定しなければならない」(笹森清内閣特別顧問と首相官邸で面会時に。4月12日の記者会見で首相は「そういう認識を持っていたことはその通りだ」と述べ、発言を半ば認める)
「僕はものすごく原子力に詳しいんだ」(笹森氏との面会時に)
【4月11日】
「原発問題で頑張っている細野豪志首相補佐官にしっかりした立場を与えたい。原発災害担当相に起用したい」(斉藤鉄夫公明党幹事長代行への電話で)
【13日】
「そこ(福島第1原発の周辺地域)には当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのか、ということになってくる」(松本健一内閣官房参与と首相官邸で面会時に。首相は同日夜、「私が言ったわけではない」と記者団に釈明)(2011/04/16-14:36)
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圧力抑制室損傷の2号機、特殊セメントで密封
読売新聞 4月17日(日)20時58分配信
東京電力は17日、福島第一原子力発電所の事故収束に向けた作業計画をまとめた工程表を発表した。
格納容器下部の圧力抑制室が損傷している2号機では、放射能汚染水の増加を抑えるため冷却水の注入量を少なめにし、ドーナツ状の圧力抑制室の周囲を特殊なセメントで固めて密封する。このため他の原子炉より作業が長期化する可能性がある。 .最終更新:4月17日(日)20時58分
ソフトバンク孫社長 「自然エネルギー財団」設立へ 科学者100人集めて政府に提言
産経新聞 4月20日(水)17時49分配信
ソフトバンクの孫正義社長は20日、太陽電池など環境エネルギーの普及を促進するため、「自然エネルギー財団」を設置すると発表した。世界中の科学者ら約100人に参加を促し、政府への政策提言などを行うという。
同日午後、開かれた民主党の復興ビジョン会合で明らかにした。
孫社長は福島第1原発の事故を受け、自然エネルギーへの転換を主張。東日本大震災の被災地域を中心に「東日本ソーラーベルト」を作る構想などを提案したほか、普及促進策として自然エネルギーで発電された電力の全量買い取り制度の導入も求めた。
孫社長は「太陽電池の輸出国として世界最大のソーラーベルトを作ろう。もう一度日は昇る。希望あふれるビジョンを作ろう」と語った。
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び方悲しみを自粛する -.原発を擁護する藤沢 数希 / 記事一覧
.3・11の東日本大震災は、津波により福島第一原発の深刻な事故を誘発してしまった。それ以降、メディアは毎日のようにこの原発事故の様子を報道している。そして否が応にも、日本には反原発の機運が高まってきている。反原発には「今すぐ日本中の全ての原発を止めて廃炉にしろ」という過激な意見から「今後の日本のエネルギー政策の中でなるべく原発の比率を減らしていくべきだ」という穏便なものまで様々ある。しかし筆者は、今回の"FUKUSHIMA"の原発事故の後でさえも、日本はより安全な洗練された原子力技術の確立を目指し、さらに原発を推進していくべきだと考えている。以下にその理由を示そう。
1.原子力は経済的な電力
今回の"FUKUSHIMA"の後、原発による電力が一見安いのは、まさにこのような事故による莫大な損害賠償金が考えられていないからだ、という意見がたくさんあった。本当だろうか? 今回、事故のあった原発から半径20km以内の住人に避難指示が出されたが、8万人程度の人々が生活していた。"FUKUSHIMA"は軽水炉型の原発としては、おそらく最悪の規模の事故になってしまったが、仮に半径20kmの地域が完全に住めなくなってしまったとしたらどの程度の賠償金が必要なのだろうか?
1世帯4人だとすると約2万世帯に保証しなくてはいけない。新しく家を買って(2000万円)、新たな生活をスタートするための支援金(500万円)を払うとしよう。そうすると2500万円x2万世帯=5千億円になる。もっと半径を広げて保証する世帯の数を2倍にしたとしてもたったの1兆円程度だ。さらに農産物などの保証に数千億円かかったとしても2兆円はいかない金額である。売上が5兆円を越える東電にとっては簡単に負担できる金額であり、原発が40年も稼働できることを考えると、万が一の事故の損害賠償を考慮したとしても、依然として原発の電力は安いのである。
2.原子力は化石燃料に頼らない
また、長い目で見れば、地球環境問題も深刻だ。原発を減らしていくとなると、石油、石炭、ガスなどの化石燃料に頼らざるをえないわけだが、いずれ枯渇し、CO2を大量に放出するこれらのエネルギーが持続可能でないことは明白だ。
3.客観的には他の電力よりも安全
原発は事故が起こった際に、非常に多くの犠牲者がでると思われているが、現実はそうではない。"FUKUSHIMA"の前までは、史上2番目に最悪の原発事故であるスリーマイルではひとりの犠牲者も出さなかった。史上最悪の原発事故であるチェルノブイリでは、高放射線環境で事故処理に従事した作業員が数十名死亡し、近隣住民が牛乳を通して摂取してしまった放射性ヨウ素131による甲状腺癌で、数百人から数千人が死亡した。
史上最悪の原発事故であるチェルノブイリを含めてみても、世界の電力をこれだけ供給する原発の貢献に比して、その犠牲者の数は少ない。炭鉱では毎年のように崩落事故があり多くの犠牲者が出る。メキシコ湾原油流出事故では多くの犠牲者が出た。石油の採掘も非常に危険な作業なのである。その上、石油を燃やす自動車の排ガスによる喘息などでは毎年おびただしい数の人が死ぬ。原発事故の犠牲者に比べれば、自動車事故で死ぬ人の数はゼロの数が3つ以上違う。ある研究によると、石油と石炭と原子力を比べた場合、1テラ・ワット・アワー当たり、石油では36人が死に、石炭では161人が死に、原子力では0.04人が死ぬ。
さらに現在主流の軽水炉型の原発では、チェルノブイリのような大事故が起こる確率はほぼありえないのである。
4.そもそも日本だけ原発をやめても意味がない
最初に書いたとおり、中国は国策としてこれから多数の原発を稼動させる。また、世界中は核ミサイルで溢れている。原子力が利用されるのは、発電所やミサイルだけではない。今回の大震災ですぐに救助に駆けつけたアメリカの空母、ロナルド・レーガンは原子力エネルギーで推進する。また今回、被災者の状況を宇宙から詳細に明らかにしたアメリカの多くの軍事衛星も、原子力電池を搭載している。
このような状況の中で、日本だけが安定したエネルギーである原子力を放棄する意味はなんだろうか? 筆者には経済的にも、安全保障的にも自殺行為にしか思えない。
5.原発は作ることより、壊すことの方がはるかに難しい
これは原発の欠点でもあるのだが、原発は作り、それを稼働するよりも、それを止めて、廃炉にする方がはるかに難しい。今回の福島第一原発の事故からすでに2週間以上が経過している。制御棒が入り核分裂反応を停止されてもなお、残りカスの核崩壊だけですごい熱と放射線をまき散らして制御不能になっている。この核燃料の「余熱」だけでもあと10年は燃え続けるのだ。核反応とはロウソクやダイナマイトのような化学的なプロセスとは全く違ったメカニズムなのである。だからこそ無尽蔵のエネルギーを生み出すことが可能なのだ。
それゆえに原発を止めて、核燃料廃棄物を適切に処理し、廃炉にすることは極めて難しく、その技術もまだ確立されているとはいえない。一番安価な方法は、原発に制御棒を入れ、核燃料の余熱を管理しながら稼動させ続けることだ。そんなリスクのある「発電しない原発」、つまり何の経済的な恩恵もない原発を抱え続けることに何か意味があるのだろうか? 地元住民にとってもそれは決していい選択肢とはいえない、と筆者は思う。
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ドイツ、原発早期全廃へ 福島事故で首相方針
2011年4月17日 朝刊
【ベルリン=弓削雅人】ドイツのメルケル首相は十五日、「脱原発」の見直しを進めてきた政策を転換、国内の原子炉全廃を早期に実現する方針を決めた。野党社会民主党(SPD)を含む国内十六州の州首相らと協議、連立与党が推進してきた既存原子炉の稼働延長を短縮することで合意。福島第一原子力発電所の事故を受け、原発政策が変更を余儀なくされた形だ。
メルケル首相は、州首相らとの協議後に記者会見し「可能な限り早く、原子力エネルギーから脱却したいと思う」と述べ、風力などのクリーンエネルギーへの転換を早める考えを表明した。
首相は昨秋、平均十二年間の延長を決めた原子炉の稼働期間を短縮するため、六月中旬までに関連法案を改正する意向。だが、連立与党内では、電力供給の20%余りを担う原発廃止による産業活動の停滞やクリーンエネルギー導入による国や各州の多大な経済負担に異論もある。首相は延長期間や財源については明言しなかった。
メルケル首相は会見で、送電網の整備、電気料金の改定、核廃棄物処理場の点検などに関する包括的な法的措置が必要とし、「政策の転換は新しい挑戦だ」と強調した。
ドイツは第一原発事故を受け、稼働中の原子炉十七基の延長を三カ月間凍結。一九七〇年代から稼働する七基は運転を停止した。
根強い「反原発」の世論に、福島原発事故が追い打ちをかけ、連立与党は州議会選挙で環境政党に政権を奪われた。また、連立与党の自由民主党(FDP)が選挙後、脱原発に急転換し、エネルギー政策をめぐって大きく揺れていた。
孫正義社長が東日本大震災で100億円を寄付
ソフトバンクグループ創業者の孫正義氏が、東日本大震災の義援金として100億円を寄付すると発表した。併せて2011年度から引退するまでの報酬も寄付する。この発表は4月2日に動画サイト・ユーストリームやニコニコ生放送で生中継された「田原総一郎×孫正義 対談 〜東日本大震災について〜」で行われた。
この番組では評論家の田原総一朗氏や原子力発電所の設計者を交え、福島第一原発事故についての深い議論がなされた。番組の冒頭ではソフトバンクの復旧への取り組みなどを説明した。被災地入りしたソフトバンクの社員からは、小学生が避難した屋上まで津波が襲ったと生々しい被害状況が語られた。孫氏は「一日も早く通信設備を復旧させたい」と述べた上で、寄付を発表した。
本題は孫氏と田原氏、原子炉圧力容器の設計技師の田中三彦氏(サイエンスライター)、格納容器の設計技師の後藤政志氏の4人により、福島第一原発事故について議論された。田中氏は福島原発4号炉の設計者であったが、反原発の立場に変わったという。
反原発に変わった理由を田原氏に尋ねられた田中氏は「原発事故は人々の暮らしを変えてしまう」と答えた。一方、会社で設計していた頃は「事故が起きたら、どうなるかということは中々考えない」と述べた。
後藤氏は福島第一原発が「冷やす、閉じ込める」に失敗したと断言した。格納容器の本来の圧力は1気圧であり、事故後に9気圧になったのは極めて異常という。田原氏は政府や東京電力が炉心溶融を発表することが遅れたことに激しく憤っていた。
田中氏は政府のデータ隠しと判断誤りの可能性を指摘した。首相官邸は原子炉内の水位や圧力などのデータを公開しているが、そのデータの更新時刻は地震発生から約12時間後の3月12日2時以降になっている。1号機は津波による電源喪失ではなく、地震を原因とする典型的な冷却材喪失事故の可能性が高い。それは地震直後の原子炉のデータで判断できるが、それが公開されていない。
また、公開データを分析すると、1号機の水位が低下して燃料棒が露出しそうになっているが、政府の文書などでは2号機に注目していた。判断誤りの可能性があると指摘した。その結果、1号機の水素爆発を予想できなかったという。
対談では、安全を強調する政府の発表やマスメディアの報道姿勢も批判対象となった。震災に乗じたデマが問題になっているが、根拠なく安心を強調することも流言飛語という点で見解が一致した。
放射線量が低下していると報道されているが、後藤氏は楽観ムードを戒めた。放射線量が低下しても、放射性物質がなくなったり、薄まったりするわけではない。また、気象条件によって特定地域に放射線量が高いホットスポットが生じることもあるという。
前半では設計者の二人による原発の説明が中心で、孫氏は聞き役になっていた。説明が一通り終了し、田原氏の退席後は三人により産業構造や政治を含む様々な話題が取り上げられた。孫氏は原発問題についてツイッターで積極的に発言してきたが、この番組でも孫氏の原発への高い危機感が浮き彫りになった。孫氏は福島原発周辺の住民に避難を説得したというエピソードを紹介した。また、孫氏が高速増殖原型炉「もんじゅ」の炉内中継装置落下事故の影響を尋ね、設計者が二人とも沈黙してしまう場面もあった。
(林田力)
イタリア、原子力発電の再開を無期限凍結
. 【ウィーン=末続哲也】イタリア政府は19日、原子力発電を再開する計画を無期限に凍結することを決めた。ANSA通信が伝えた。福島第一原発事故をきっかけに高まった反原発世論が沈静化しないため。ベルルスコーニ首相は、政権への打撃を回避するために計画断念に追い込まれた形だ。
イタリアでは原発再開の是非を問う国民投票が6月に予定され、「再開反対」が多数となることが確実。首相は「無期限凍結」を表明することで、政権への致命傷となりかねない国民投票を回避したい考えだ。
イタリアは、チェルノブイリ原発事故後の1987年、国民投票で原発廃止を決めた。だが、フランスなどからの電力輸入コストが割高なため、ベルルスコーニ政権が原発再開を決定。3月には福島第一原発の事故を受け、2013年に始まる予定だった原発建設の1年間凍結を決めていた。
(2011年4月20日11時37分 読売新聞)
1号機「燃料が溶融の可能性」…東電認める
. 福島原発
東京電力の松本純一・原子力立地本部長代理は20日、燃料の約70%が損傷しているとみられる福島第一原子力発電所1号機の原子炉について「燃料が溶融している可能性がある」と認め、「圧力容器の中ほどに水あめのような状態で引っかかり、底までは落ちていないだろう」と述べた。
理由として、圧力容器の底部の温度が上部より低いことを挙げた。
東電はこれまで、燃料の損傷状況について「表面に穴が開いたり、燃料を詰めた合金製の被覆管が割れたりしているのではないか」と説明し、溶融については明言していなかった。
(2011年4月20日22時30分 読売新聞)
仏原発支持、58%に低下=日本は39%—世論調査
時事通信 4月21日(木)8時51分配信
【パリ時事】フランス人の58%が原子力発電に賛成しているものの、その割合は東日本大震災前の66%から低下したとする世論調査が20日、同国テレビで公表された。電力供給の約8割を原発に依存する「原発大国」フランスだが、福島第1原発の事故を受け、信頼が揺らいだ。
AFP通信によれば、調査は事故後に47カ国で実施された。原発への支持率が最も高かったのは中国で、70%。韓国が64%、ナイジェリアが63%、ブルガリアとチェコが各61%でこれに続く。
原発反対はオーストリアの90%を筆頭に、89%のギリシャ、80%のグルジアなどが高率。原発計画の無期限凍結を決めたイタリアは75%、反原発を掲げる「緑の党」が支持を伸ばしているドイツでも73%が反対と回答した。
日本では事故前に62%だった原発支持が39%にまで急低下。米国は支持が47%、ロシアは52%と、賛否が拮抗(きっこう)している。
調査はギャラップ・インターナショナルなどが実施した。
世界の世論「原発反対」増加 9割が東日本大震災認識2011年4月20日19時52分
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. 東日本大震災による福島第一原発事故を受け、世論調査機関が世界47カ国・地域で調べた結果、原発賛成が震災前の57%から49%に減る一方で、原発反対は32%から43%に増えた。
各国の世論調査機関が加盟する「WIN—ギャラップ・インターナショナル」(本部=スイス・チューリヒ)が3月21日から4月10日までアジアや欧州、北南米、アフリカなどの3万4千人以上を対象に調べた。
91%が日本での震災を知っており、81%が福島での放射能漏れについて聞いたことがあると回答。18%が「日々インターネットで情報収集している」とした。
原発がある国だと、日本では原発反対が28%から47%に増え、原発賛成は62%から39%に激減。カナダやオランダなどとともに反対と賛成が逆転した。中国やロシアは原発賛成が多数派だが、いずれも賛成が10%以上減った。震災前にすでに原発反対が賛成を上回っていたベルギーやドイツ、スイス、ブラジルでは、その差がさらに広がった。
日本の経済復興については、48%が震災前と同じかさらに成長すると答え、38%は震災前のレベルに戻れないと答えた。(ジュネーブ=前川浩之)
.
Apr 21, 2011
東日本大震災が世界の原子力発電に対する考え方に与えた影響 - ギャラップ・インターナショナル国際世論調査
2011年4月20日
日本リサーチセンター
株式会社日本リサーチセンターが加盟しているギャラップ・インターナショナル・アソシエーションでは、47カ国の人々を対象に、国際世論調査「日本の津波と原子力発電に対する世論調査−Global Barometer of Views on Nuclear Energy After Japan Earthquake 」を平成23年3月21日から4月10日にかけて実施しました。ここに、ワールドリリースレポートを発表いたします。ご高覧いただければ幸いです。
主な質問項目
1. あなたは、現在、世界のエネルギー供給源のひとつとして、原子力を使用することについてどのように考えていますか。
2. あなたは、日本で大地震が発生し、直後に大規模な津波におそわれたことをご存知ですか。
3. あなたは、日本で、震災の被害によって原子力発電所で放射能漏れがあったことをご存知ですか。
4. 日本での震災が起こる前、あなたは、世界のエネルギー供給源のひとつとして原子力を使用することについて、どのようにお考えでしたか。
5. あなたは、日本の震災や津波の情報を、主にどのような情報源から入手しましたか。
6. 震災の日本経済に与える影響について、あなたはどのようにお考えですか。
7. あなたは、自分の国で、放射能事故が起こる可能性はどの程度あると思いますか。
8. あなたは、自分の国の原子力発電所は(あるいは、原子力発電所を保有している近隣諸国は)事故や天災に対して安全だと思いますか。
※日本は、1、4、6のみ実施しております。
※5−8はオプション質問のため、実施していない国もあります。
調査結果の要約
詳細に関しましては、下記PDFファイルを参照ください。
?(添付資料)東日本大震災が世界の原子力発電に対する考え方に与えた影響−詳細 (PDF:1260KB)
ギャラップ・インターナショナル・アソシエーション
http://www.gallup-international.com/
1947年にジョージ・ギャラップ氏とヨーロッパの仲間によって設立され、チューリッヒに本部があります。現在世界の65カ国でメンバーを持ち、100カ国以上の国々で世論調査や市場調査を実施しています。
■ お問い合わせ窓口
株式会社 日本リサーチセンター
ギャラップ・インターナショナル・アソシエーション担当 熊田・西村
TEL:03-6667-3135 FAX:03-6667-3471
「原発は現状維持」最多46% 読売の世論調査
2011/4/ 4 16:50
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その他 本文印刷
「原発 世論調査」の記事をお探しですか?最新関連記事が 3 件 あります。 読売新聞が2011年4月4日付朝刊で報じた世論調査結果によると、国内の原子力発電所の今後のあり方について、「現状を維持すべきだ」と答えた人が最も多く46%だった。以下、「減らすべきだ」29%、「すべてなくすべきだ」12%などと続いた。調査は電話方式で1〜3日に実施したという。回答率は62%で1036人の有権者の回答を得たとしている。
また、JNN(TBS系)が4月4日に伝えた世論調査3 件結果(調査実施は2、3日)では、「『これまで通り稼働しながら安全対策を強化すべき』と答えた人が最も多く」とし、「いったん停止させ対応を検討すべき」と「原発3 件は停止させ別の発電方法をとるべき」との声がそれぞれ15%程度だった。
原発「減らす・やめる」41% 朝日新聞世論調査2011年4月18日0時1分
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原子力発電は今後…
朝日新聞社が16、17日に実施した全国定例世論調査(電話)で原子力発電の今後について聞いたところ、「減らす方がよい」と「やめるべきだ」が計41%だった。東日本大震災の復興財源にあてるための増税については「賛成」59%が「反対」31%を上回った。
世論調査—質問と回答〈4月16、17日実施〉
「原子力発電は今後どうしたらよいか」という質問で四つの選択肢から選んでもらうと、「増やす方がよい」5%、「現状程度にとどめる」51%、「減らす方がよい」30%、「やめるべきだ」11%。日本は電力の3割を原子力発電でまかなっていると紹介したうえで同様の質問をした2007年の調査では、「増やす」13%、「現状程度」53%、「減らす」21%、「やめる」7%で、「減らす」と「やめる」の合計が28%にとどまっていた。
原子力発電の利用の賛否は「賛成」50%、「反対」32%。「反対」の層でも、原子力発電の今後について20%が「現状程度にとどめる」と答えた。男女別では、男性で「賛成」62%、「反対」27%だったのに対し、女性では38%対37%でほぼ並んだ。
福島第一原発の事故に対しては、「大いに」56%、「ある程度」33%の合わせて89%が「不安を感じている」と答えた。
他の原発で大きな事故が起きる不安については、「大いに感じる」が50%、「ある程度感じる」が38%。「大いに感じる」と答えた人のなかでは、原子力発電を今後、「減らす」「やめる」と答えた人の合計が55%と高い。
復興財源のための増税に賛成する意見は、民主支持層で66%と高かったが、無党派層で59%、自民支持層でも53%に上った。復興の主な財源として増税と国債のどちらがよいか尋ねると、「増税」48%、「国債」25%だった。
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調査日 2011年4月2日,3日 定期調査
JNN調査
稼動中の原発はどうすべき?
【画像】 現在、国内では50基以上の原子力発電所が稼動していて、日本の発電電力量のうち、およそ3割が原子力発電で占められています。
あなたは現在稼動中の国内の原子力発電所について、どうすべきだと思いますか? 一つだけ選んで下さい。
国内の原発の増設について?
【画像】 国内の原子力発電所は、今後も増やす計画で、建設中のものもあります。
あなたは国内の原子力発電所の増設についてどう思いますか? 一つだけ選んで下さい。
東日本大震災:復興増税、賛成58%−−毎日新聞世論調査
◇政府の原発対応「評価せず」68%
毎日新聞は16、17両日、全国世論調査を実施した。東日本大震災の対応のうち、福島第1原子力発電所の事故に対する政府の取り組みに対しては、「まったく評価しない」(23%)と「あまり評価しない」(45%)と合わせ、否定的な回答が68%に上った。放射性物質に関する政府の発表についても「信用していない」が58%に上り、原発事故に対する国民の不安・不信感が浮き彫りになった。被災地復興財源の確保に向けて、増税については「賛成」が58%を占め、「反対」(33%)を上回った。
設問:原子力政策に頼る日本のエネルギー政策は?
日本の電力の約3割を原発でまかなう現在のエネルギー政策については「やむを得ない」が40%。「原発は減らすべきだ」(41%)と「全て廃止すべきだ」(13%)を合わせると、54%がエネルギー政策の見直しが必要との認識を示した。
NHK調査 内閣支持率27%
4月18日 19時45分
NHKが行った世論調査によりますと、菅内閣を「支持する」と答えた人は27%で、前回、2か月前の調査に比べて6ポイント上がりました。
NHKは、今月15日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは1689人で、67%に当たる1131人から回答を得ました。それによりますと、菅内閣を「支持する」と答えた人は27%で、前回、2か月前の調査に比べて6ポイント上がり、「支持しない」と答えた人は59%で、5ポイント下がりました。支持する理由では、▽「ほかの内閣よりよさそうだから」が41%、▽「支持する政党の内閣だから」が21%などとなっているのに対し、支持しない理由は、▽「実行力がないから」が49%、▽「政策に期待が持てないから」が27%などとなっています。菅内閣に最も期待することについては、▽「東日本大震災や原発事故への対応」が38%、▽「年金や医療などの社会保障政策」が14%などとなっています。次に、被災者の支援や復旧復興に向けた取り組みなど、政府の震災対応を全体として評価するか聞いたところ、▽「大いに評価する」が5%、▽「ある程度評価する」が37%、▽「あまり評価しない」が41%、▽「まったく評価しない」が14%でした。また、福島第一原子力発電所の事故を巡る政府の一連の対応を評価するか聞いたところ、▽「大いに評価する」が2%、▽「ある程度評価する」が25%、▽「あまり評価しない」が43%、▽「まったく評価しない」が25%でした。そして、国内の電力全体の3割を供給してきた原子力発電所を今後どうすべきだと思うか尋ねたところ、▽「増やすべきだ」が7%、▽「現状を維持すべきだ」が42%、▽「減らすべきだ」が32%、▽「すべて廃止すべきだ」が12%でした。次に、震災の復興対策などに取り組むため、民主党と自民党が大連立政権を組むことへの賛否を尋ねたところ、▽「賛成」が45%、▽「反対」が17%、▽「どちらともいえない」が33%でした。一方、菅総理大臣にいつまで総理大臣を続けてほしいと思うか聞いたところ、▽「できるだけ早く退陣してほしい」が32%、▽「今年の年末までは続けてほしい」が24%、▽「民主党の代表の任期が終わる来年秋まで続けてほしい」が29%、▽「来年秋以降も続けてほしい」が5%でした。さらに、衆議院の解散・総選挙の時期については、▽「できるだけ早く行うべきだ」が17%、▽「今年の年末までには行うべきだ」が27%、▽「来年中には行うべきだ」が19%、▽「再来年の任期満了まで総選挙を行う必要はない」が25%でした。
【追加・訂正】 この「緊急提言」について、カナダのシンク・タンク「ピース・フィロソフィー・センター」(Peace Philosophy Centre)が一層詳しい消息を掲載している。(2011年4月7日閲覧
-http://peacephilosophy.blogspot.com/p/blog-page_31.html-)。
中で、筆者は次のように書いている。
『立命館大学平和ミュージアム名誉館長、国際関係学部名誉教授の安斎育郎さんから送られてきた識者による「建言」を掲載します。安斎さんは、東大の放射線防護学の研究者・教員であった1960年代後半から日本の原発政策に反対し、さまざまなアカデミック・ハラスメントを受けました。安斎さん自身はこの「建言」の提言者には入っていません。東大工学部原子工学科の同期生から送られたきたとのことです。私の手元には3月31日(カナダ時間)に届いています。』
また送られてきた文書の日付は「2011年3月30日」となっている。私はこれまで『赤旗』の報道に従って日付を「4月1日」としてきたが、これは誤りであるので「3月30日」に訂正したい。さらにこの文書には共同提言者16人の名前がすべて記載されている。追加しておきたい。なお提言本文には異同はなかった。
青木 芳朗 元原子力安全委員
石野 栞 東京大学名誉教授
木村 逸郎 京都大学名誉教授
齋藤 伸三 元原子力委員長代理、元日本原子力学会会長
佐藤 一男 元原子力安全委員長
柴田 徳思 学術会議連携会員、基礎医学委員会 総合工学委員会合同放射線の利用に伴う課題検討分科会委員長
住田 健二 元原子力安全委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
関本 博 東京工業大学名誉教授
田中 俊一 前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
長瀧 重信 元放射線影響研究所理事長
永宮 正治 学術会議会員、日本物理学会会長
成合 英樹 元日本原子力学会会長、前原子力安全基盤機構理事長
広瀬 崇子 前原子力委員、学術会議会員
松浦祥次郎 元原子力安全委員長
松原 純子 元原子力安全委員会委員長代理
諸葛 宗男 東京大学公共政策大学院特任教授
なお同サイトは是非とも一読しておいて欲しい。
東京電力福島第一原子力発電所事故は、今や地球規模での未曾有の災害に発展しそうな勢いを見せている。少なくとも、原子力災害対策本部発表データ(原子力災害対策本部 平成23年-2011年-福島第一・第二原子力発電所事故についての一連のデータを参照の事)を読む限りそうだ。
今は、「日本の国民の中に無用な心配を煽ってはいけない」、とかこれを契機に「反原発感情が出てはいけない」とか、「日本の国民の中に自衛隊やアメリカ軍の存在を売り込んでやろう」とか余計なことを考えているべき時ではない。ましてや、東京電力という一民間会社の行く末だろうが、原子力学者個人のメンツや体面だろうが、そんなことを考えている時ではない。「原発推進派」だろうが「原発容認派」だろうが「原発反対派」であろうが、全ての政治家・学者・研究者・技術者・役人・市民の知恵を絞って、総力を挙げて破局を避けるべき時だ。テレビや新聞など大手マスコミで働いている諸君にも云いたい。今は上からの指示とか、自分個人の社内での出世とか、計算とか体裁やミエにこだわっている時ではない。一人一人が自分の判断で、自分の良心のみを唯一の判断基準として動くべき時だ。日本国を守るためではない。自分の家族や友人や、自分の子供や孫を破局から守るためなのだ。
そんな風に思っている時に、やっと4月1日「原子力専門家の緊急提言」が発表された。彼らこそ福島原発で今何が起きているか、我々日本国民が対応を誤れば、どんな破局を迎えるか誰よりも一番よく知る人たちなのだ。
『赤旗』2011年4月3日(日)付け1面記事によれば、この提言を発表したのは松浦祥次郎・元原子力安全委員長、田中俊一・元原子力安全委員長代理、石野栞(しおり)東京大学名誉教授ら16人だという。
松浦は2000年4月7日 - 2006年4月16日まで原子力安全委員長だった。現在の委員長の班目春樹の2代前の委員長である。田中俊一は2007年1月より原子力委員会委員長代理(常勤)である。また原発推進を学術的にサポートしてきた日本原子力学会の学会長をつとめたこともある。石野栞は原発推進の重鎮の一人でもある。
いわば「原発推進派」の学界の大物たちがズラリと並んでこの緊急提言をした。その骨子は一言に尽きる。
『 事態をこれ以上悪化させずに、当面の難局を乗り切り、長期的に危機を増大させないためには、わが国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的克つ戦略的に取り組むことが必須である。私たちは、国をあげた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである。』
わけ知りの人の中には、国の原子力行政の中でかつての栄光を取り戻すためのパーフォーマンスさ、と解説する人もいるかも知れない。
しかし私はそうは思わない。というのはこの声明が率直な反省と陳謝ではじまっているからだ。
『 はじめに、原子力の平和利用を先頭だって進めてきた者として今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。』
彼らはこれまでのいきさつや行きがかりや体裁をかなぐり捨てて、取りようによれば全面的な自己否定まで行って、国民に陳謝しているのだ。自分が彼らの立場にたったと考えてみて欲しい。これだけ率直な反省と陳謝を行うには相当な覚悟がないとできまい。
今のところインターネットでこの「緊急提言」が読めない。幸いにして同日付「赤旗」4面に全文が掲載してあるので、これを丸写しする形で再録する。青字の見出しは私が後で検索するためにつけたものである。以下本文。
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原子力専門家の緊急提言 2011年3月30日
「国民に深く陳謝」
はじめに、原子力の平和利用を先頭だって進めてきた者として今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。
私たちは、事故の発生当初から速やかな事故の収束を願いつつ、事故の推移を固唾を飲んで見守ってきた。しかし、事態は次々と悪化し、今日に至るも事故を収束させる見通しが得られていない状況である。既に、各原子炉や使用済み燃料プールの燃料の多くは、破損あるいは溶融し、燃料内の厖大な放射性物質は、圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている。
特に懸念されることは、溶融炉心が時間とともに、圧力容器を溶かし、格納容器に移り、さらに格納容器の放射能の閉じ込め機能を破壊することや、圧力容器内で生成された大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである。
最悪事態回避の唯一の方法
こうした深刻な事態を回避するためには、一刻も早く電源と冷却システムを回復させ、原子炉や使用済み燃料プールを継続して冷却する機能を回復させることが唯一の方法である。現場は、このために必死の努力を継続しているものと承知しているが、極めて高い放射線量による苛酷な環境が障害になって、復旧作業が遅れ、現場作業者の被ばく線量の増加をもたらしている。
こうした中で、度重なる水素爆発、使用済み核燃料プールの水位低下、相次ぐ火災、作業者の被ばく事故、極めて高い放射能を含む冷却水の大量漏えい、放射能分析データの誤りなど、次々にさまざまな障害が起こり、本格的な冷却システムの回復の見通しが立たない状況にある。
一方、環境に放出された放射能は、現時点で一般住民の健康に影響が及ぶレベルではないとはいえ、既に国民生活や社会活動に大きな不安と影響を与えている。さらに、事故の収束については見通しがないとはいえ、住民避難に対する対策は極めて重要な課題であり、復帰も含めた放射線・放射能対策の検討も急ぐ必要がある。
一部専門家任せにせず総力を結集せよ
福島原発事故は極めて深刻な状況にある。さらなる大量の放射能の放出があれば、避難地域にとどまらず、さらに広範な地域での生活が困難になることも予測され、一東京電力だけの事故でなく、既に国家的事件というべき事態に直面している。
当面なすべきことは、原子炉および使用済み核燃料プール内の燃料の冷却状況を安定させ、内部に蓄積されている大量の放射能を閉じ込めることであり、またサイト内に漏出した放射能塵(じん)や高レベルの放射能水が環境に放散することを極力抑えることである。これを達成することは極めて困難な仕事であるが、これを達成できなければ事故の収束はおぼつかない。
さらに原子炉内の核燃料、放射能の後始末は、極めて困難で、かつ極めて長期の取り組みとなることから、当面の危機を乗り越えた後は、継続的な放射能の漏えいを防ぐための密閉管理が必要となる。ただし、この場合でも、原子炉内から放射線分解によって水素ガスが出続けるので、万が一にも水素爆発を起こさない手だてが必要である。
事態をこれ以上悪化させずに、当面の難局を乗り切り、長期的に危機を増大させないためには、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、関係省庁に加えて、日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所、産業界、大学等を結集し、わが国が持つ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的に取り組むことが必須である。
私たちは、国をあげた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである。
福島原発事故についての緊急建言
(★4月12日、安斎さんのコメントを追加し、ジャパン・タイムズ、『週刊金曜日』の落合恵子さんのコラムで紹介されたときのことも追加し、再掲載しています。こちらをご覧ください。)
立命館大学平和ミュージアム名誉館長、国際関係学部名誉教授の安斎育郎さんから送られてきた識者による「建言」を掲載します。安斎さんは、東大の放射線防護学の研究者・教員であった1960年代後半から日本の原発政策に反対し、さまざまなアカデミック・ハラスメントを受けました。安斎さん自身はこの「建言」の提言者には入っていません。東大工学部原子工学科の同期生から送られたきたとのことです。私の手元には3月31日(カナダ時間、日本では4月1日)に届いています。
安斎さん曰く:
赤字部分は、私にも不気味です。原発を推進してきた名だたる人々も先の見定めがつかない事故の現状は、とても危うい。事態の悪化を招かないために、日本政府に声を集中して下さい。「専門家」任せは危ないです。「専門家」に任せた結果が現状です。「隠すな、ウソつくな、意図的に過小評価するな」、「最悪に備えて、最善を尽くせ」。
ここにこれを掲載するのは、原発を推進してきた人たちを応援するためではなく、この人たちさえ、ここまでの危機感を持っているということを知らせるためです。
************************************************************************
福島原発事故についての緊急建言
はじめに、原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。
私達は、事故の発生当初から速やかな事故の終息を願いつつ、事故の推移を固唾を呑んで見守ってきた。しかし、事態は次々と悪化し、今日に至るも事故を終息させる見通しが得られていない状況である。既に、各原子炉や使用済燃料プールの燃料の多くは、破損あるいは溶融し、燃料内の膨大な放射性物質は、圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている。
特に懸念されることは、溶融炉心が時間とともに、圧力容器を溶かし、格納容器に移り、さらに格納容器の放射能の閉じ込め機能を破壊することや、圧力容器内で生成された大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである。
こうした深刻な事態を回避するためには、一刻も早く電源と冷却システムを回復させ、原子炉や使用済燃料プールを継続して冷却する機能を回復させることが唯一の方法である。現場は、このために必死の努力を継続しているものと承知しているが、極めて高い放射線量による過酷な環境が障害になって、復旧作業が遅れ、現場作業者の被ばく線量の増加をもたらしている。
こうした中で、度重なる水素爆発、使用済燃料プールの水位低下、相次ぐ火災、作業者の被ばく事故、極めて高い放射能レベルのもつ冷却水の大量の漏洩、放射能分析データの誤りなど、次々と様々な障害が起り、本格的な冷却システムの回復の見通しが立たない状況にある。
一方、環境に広く放出された放射能は、現時点で一般住民の健康に影響が及ぶレベルではないとは云え、既に国民生活や社会活動に大きな不安と影響を与えている。さらに、事故の終息については全く見通しがないとはいえ、住民避難に対する対策は極めて重要な課題であり、復帰も含めた放射線・放射能対策の検討も急ぐ必要がある。
福島原発事故は極めて深刻な状況にある。更なる大量の放射能放出があれば避難地域にとどまらず、さらに広範な地域での生活が困難になることも予測され、一東京電力だけの事故でなく、既に国家的な事件というべき事態に直面している。
当面なすべきことは、原子炉及び使用済核燃料プール内の燃料の冷却状況を安定させ、内部に蓄積されている大量の放射能を閉じ込めることであり、また、サイト内に漏出した放射能塵や高レベルの放射能水が環境に放散することを極力抑えることである。これを達成することは極めて困難な仕事であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束ない。
さらに、原子炉内の核燃料、放射能の後始末は、極めて困難で、かつ極めて長期の取組みとなることから、当面の危機を乗り越えた後は、継続的な放射能の漏洩を防ぐための密閉管理が必要となる。ただし、この場合でも、原子炉内からは放射線分解によって水素ガスが出続けるので、万が一にも水素爆発を起こさない手立てが必要である。
事態をこれ以上悪化させずに、当面の難局を乗り切り、長期的に危機を増大させないためには、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、関係省庁に加えて、日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所、産業界、大学等を結集し、我が国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的な取組みが必須である。
私達は、国を挙げた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである。
平成23年3月30日
青木 芳朗 元原子力安全委員
石野 栞 東京大学名誉教授
木村 逸郎 京都大学名誉教授
齋藤 伸三 元原子力委員長代理、元日本原子力学会会長
佐藤 一男 元原子力安全委員長
柴田 徳思 学術会議連携会員、基礎医学委員会 総合工学委員会合同放射線の利用に伴う課題検討分科会委員長
住田 健二 元原子力安全委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
関本 博 東京工業大学名誉教授
田中 俊一 前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
長瀧 重信 元放射線影響研究所理事長
永宮 正治 学術会議会員、日本物理学会会長
成合 英樹 元日本原子力学会会長、前原子力安全基盤機構理事長
広瀬 崇子 前原子力委員、学術会議会員
松浦祥次郎 元原子力安全委員長
松原 純子 元原子力安全委員会委員長代理
諸葛 宗男 東京大学公共政策大学院特任教授
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このページには信じられないほどのアクセス数があった。どうやらインターネット上ではここにしかないらしい。「提言」というのだから幅広く政府、東電、関係省庁、メディア等に送ったのかと思っていたが、それもわからない
読売新聞の4月2日の報道を参考までにつけておく。
原発事故、国内の経験総動員を…専門家らが提言
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110401-OYT1T00801.htm?from=tw
福島第一原子力発電所の事故を受け、日本の原子力研究を担ってきた専門家が1日、「状況はかなり深刻で、広範な放射能汚染の可能性を排除できない。国内の知識・経験を総動員する必要がある」として、原子力災害対策特別措置法に基づいて、国と自治体、産業界、研究機関が一体となって緊急事態に対処することを求める提言を発表した。
田中俊一・元日本原子力学会長をはじめ、松浦祥次郎・元原子力安全委員長、石野栞(しおり)・東京大名誉教授ら16人。
同原発1〜3号機について田中氏らは「燃料の一部が溶けて、原子炉圧力容器下部にたまっている。現在の応急的な冷却では、圧力容器の壁を熱で溶かし、突き破ってしまう」と警告。また、3基の原子炉内に残る燃料は、チェルノブイリ原発事故をはるかに上回る放射能があり、それをすべて封じ込める必要があると指摘した。
一方、松浦氏は「原子力工学を最初に専攻した世代として、利益が大きいと思って、原子力利用を推進してきた。(今回のような事故について)考えを突き詰め、問題解決の方法を考えなかった」と陳謝した。
(2011年4月2日01時42分 読売新聞)
(その後新聞赤旗、ジャパンタイムズでも取りあげられていたことがわかり、『週刊金曜日』でも落合恵子さんが取りあげました。こちらの投稿を見て下さい。)
Sunday, April 17, 2011IPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、首相官邸資料「チェルノブイリ事故との比較」との驚くべき相違
(4月19日更新。論文要旨5−8ページの翻訳が終わりました。翻訳はまだ微調整する可能性があります。)
IPPNW(核戦争防止国際医師会議−1985年ノーベル平和賞受賞。日本支部サイトはhttp://www.hiroshima.med.or.jp/ippnw/)のドイツ支部がまとめたチェルノブイリ原発事故25年の研究調査報告が4月8日に発表されました。IAEAやWHOの「公式研究」のデータは「信頼性が欠如」したものだと論じています。英語サイトはここです。http://www.chernobylcongress.org/
レポートのリンクはここです。http://www.chernobylcongress.org/fileadmin/user_upload/pdfs/chernob_report_2011_en_web.pdf
5−11ページの Executive Summary (研究要旨)のうちの5−8ページを以下に翻訳しました。
論文要旨
「原子力産業はチェルノブイリ並みの破局を毎年繰り返す恐れがある」
ハンス・ブリックス(1986年、IAEA国際原子力機関当時事務局長)
この論文はチェルノブイリの惨事にもたらされた健康被害で妥当と思われる指摘を含んでいる研究論文を評価しています。この論文の著者たちは、方法論的に正確であり、理解可能な分析を選ぶことに重点を置きました。すでに述べた方法論的な困難があるので、この論文の目的は、明らかに間違っているIAEAの統計と対比して「正しい」統計を示すことではありません。「正しい」統計など見つけるのは無理だからです。これらの研究結果は、私たちがチェルノブイリの健康被害を論じるときに、どれぐらい幅広く多様な健康被害を扱わなければいけないかという指標を提供することしかできないのです。
チェルノブイリの惨事により特に放射線に被ばくした集団は、
a.事故後除染に関わった人たち(除染作業労働者liquidators, 「リクビダートル」と呼ばれる)83万人(ヤブロコフ、2010年)
b.30キロ圏と他地域で高度な汚染があった場所から避難した人たち 35万4千人(ヤブロコフ、2010年)
c.ロシア、ベラルーシ、ウクライナの高放射線地域の人々 830万人(ヤブロコフ、2010年)
d.ヨーロッパ全土の比較的低度の被ばくをした人たち 6億人(フェアリー、2007年)
チェルノブイリによる追加被ばくの結果として予想される病気、健康被害として
a.ガン。ただし、多くのガンは25−30年の潜伏期があることを注記しなければいけない。今のところ、甲状腺ガン、乳ガン、脳腫瘍しか見られていない。しかし除染作業労働者たちは他のさまざまな臓器にもガンを発生させている:前立腺ガン、胃がん、血液のガン、甲状腺ガン。
b.先天性異常:奇形、死産、子どもの数の減少。
c.癌性でない病気。多くの臓器が影響を受ける:脳障害、老化の加速、心理的障害。
研究結果要旨
1. 低レベル放射線(0〜500 mSv)の影響は体系的に監視、調査された。特に、遺伝的影響はチェルノブイリ以前には不明確であった。この研究は、細胞ならびに細胞内の分子構造に関する研究によって補強されている。にもかかわらず、ICRPは100 mSv を胎児の奇形をおこす限界線量として規定し続けている。この主張は多くの研究で無効性が明らかになっている。
2.遺伝子の不安定性や巻き添え効果(放射線に直接影響されていない細胞の遺伝子の変化)などの予期せぬ影響が見いだされた。
3. 放射線レベルが低いほど、癌の急激な増加が起きる前の潜伏期間が長くなる(2000年までにPierce と Prestonにより放射線影響研究所RERF 研究の中で確認された)。
4. 遺伝子の不安定性は遺伝子により受け継がれ、世代を経るごとにねずみ算式に増加してゆく。除染作業労働者と放射線被ばくのない女性の間に生まれた子どもたちの染色体異常を示す多くの研究結果が、被害を受けた3つ全ての共和国の研究センター(モスクワ、ミンスク、キエフ)で入手できる。蓄積効果の最初の兆候は、被曝した親から生まれた子供に発生する甲状腺癌であろう。しかしながら、これはまだ確実とはいえない。
5. 癌以外の疾患の発症が増加していることが見出された。それは主に心臓血管系と胃の疾患であり、神経・精神疾患の症例は低線量被曝の身体的影響であることが見いだされた。後者は主として除染作業労働者とその子供たちの研究において見いだされた。
6.ロシア当局の調査によると、除染作業労働者のうち90%は病気になっている。すなわち、少なくとも74万人が重い病気にかかっている。彼らは老化が早く、平均より多くの数々のガン、白血病、身体上、そして神経・精神的な病気を患っている。多くの人が白内障になった。潜伏期間が長いため、今後、ガンの発生率が高くなると予想される。
7.独立した研究によると、11万2千人から12万5千人の除染作業労働者が2005年までに死亡している。
8.現存する(複数の)調査によると、チェルノブイリによる乳児の死亡は約5千である。
9. 遺伝的および催奇形障害(奇形の発生)も、直接の被害を受けた3国にとどまらずヨーロッパ諸国でも著しく増加した。バイエルン州だけでも、チェルノブイリ後になって先天的奇形が1000から3000人増加したことが見出された。恐らく、ヨーロッパで1万人以上の重篤な奇形が放射能によって起こされた可能性がある。チェルノブイリ事故の結果として西ヨーロッパで10万から20万件の流産があったとIAEAが結論づけているが、報告に上らない症例の推定数はさらに多い。
10.UNSCEAR(国連原子放射線影響科学委員会)によると、チェルノブイリ近辺で1万2千人から8万3千人の子どもが先天奇形を持って生れており、世界全体では3万人から20万7千人の遺伝子障害を持った子が生まれている。予測される被害全体のうち10%のみが、被ばく一世代目に見られる。
11.チェルノブイリ事故後、ヨーロッパで死産や奇形が増えただけでなく、女児と男児の胎芽の比率が変わってきている。1986年以降、生まれてくる女子の数が男子に比べ有為的に少ない。
Kristina Voigt とHagen Scherbの論文によると、1968以降の統計で、チェルノブイリ以降、ヨーロッパで生まれて来る子どもの数が予測に比べて80万人も少ない。この論文では全ての国を対象にしていなかったため、 チェルノブイリ以降「生まれてこなかった」子どもの数は約100万人と、Scherb は予測している。大気圏核実験後もこのような影響が見られた。
12.ベラルーシだけでも、事故以降1万2千人以上が甲状腺ガンを患っている(Pavel Bespalchuck, 2007)。WHOの予測では、ベラルーシのゴメリ地域だけで、5万人の子どもたちが生存中に甲状腺ガンを患うであろうということである。全部の年齢集団を合わせたら、ゴメリ地域だけで10万の甲状腺ガンという計算になる。
13. ベラルーシとウクライナで調査された甲状腺癌の症例に基づいて、Malko (2007)は将来の発症数を推定し、これに放射線の因子を加算した。彼の計算では1986年から2056年までの間に92,627人が甲状腺癌になる。この計算は除染作業労働者の甲状腺癌を含んでいない。
14.チェルノブイリ以降、1976年から2006年までの推移の中で、チェルノブイリ以降、スエーデン、フィンランド、ノルウェイの新生児死亡率は15.8%増加している。Alfred Korblein の計算では、1987年から1992年の間に、新生児死亡は1209人増加している(95%信頼区間:875人から1556人)。
15. ドイツでは、チェルノブイリ事故直後の9ヶ月間に、新生児の染色体異常であるトリソミー21(ダウン症候群)に著しい増加があったことを科学者たちは見出した。この傾向は特に西ベルリンと南ドイツで顕著であった。
16.Orlov と Shaversky は、ウクライナの3歳以下の子どもたちの間で、脳腫瘍が188例見られたと報告した。チェルノブイリ以前(1981から1985)では9例だった—1年平均にしてみてると2例にもならない。1986年から2002年の間に179人が脳腫瘍の診断を受けている−1年平均で10人以上である。
17. 南ドイツのより強く汚染された地域では、神経芽細胞腫と呼ばれる非常にまれな型の腫瘍を発症した子供の特異な集団が見出された。
19.数年間、タイプ1糖尿病(インシュリンに依存する糖尿病)が子どもと青年層に急激に増えた。
20.白血病やガンといった目立つ症例よりも、癌性ではない疾病数がはるかに上回っている。
チェルノブイリ地域における被災者全体の健康状態の変化の全貌は、残念ながら現在に至るまで確実に総括されていない。北半球の全住民にとってこの惨事が何であったのか総括されていないことはいうまでもない。この論文で言及した数値は、一面では恐ろしく高く、別の面ではかなり低く見えるかも知れない。しかしここに集められた研究のほぼ全てが比較的少人数の集団を対象にしたものであったことを考慮しなければならない。発症率にほんのわずかな変化があったとしても、より多人数の集団に当てはめた場合、それは広範囲に及ぶ深刻な健康被害の前兆であるかも知れない。
結論
癌以外の疾病の発症数は、以前に想像されていたよりもずっと劇的なものである。除染作業労働者の早期の老化のような「新しい」症状は、研究では未だに答えを出すことができない疑問を呈している。
2050年までに、さらに何千もの患者がチェルノブイリ原子力事故の影響として診断されることだろう。原因と、顕在化した身体症状との間には長い時間差があるので、油断はできない。チェルノブイリは終わっていない。
特に悲惨なのは、死産したり、幼くして死んだり、奇形や遺伝病を持って生まれたり、通常ならば決して発症することのない病気を抱えながら生きることを余儀なくされた、何千人もの子供たちの運命である。
チェルノブイリによって起こされた遺伝的欠陥は全世界を今後長期間にわたり苦しめ続けるだろう。多くの影響は、二世・三世の世代にならないと明らかにならないだろう。
健康被害の程度は未だに明らかではないとしても、福島の原子力事故によってもたらされる苦難は、同等の規模であり、将来的にも同様の展開となることは予測できる。
(翻訳 酒井泰幸、乗松聡子)
次に、首相官邸のホームページにあった「チェルノブイリ事故との比較」を見てください(下に引用)。これによると、チェルノブイリ事故で放射線が原因で亡くなったとされる数は、28名の作業員と、小児甲状腺ガンで15名だけ、合計43名のみです。官邸資料が言う「20年目のWHO,IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国の合同発表」とは、「チェルノブイリフォーラム」のことです。対象集団が60万人しかなく、過小評価と批判されるこの報告でさえ、「放射線被ばくにともなう死者の数は、将来ガンで亡くなる人を含めて4000人である」と言っているのです。この報告に準拠していることになっているこの官邸の資料はそれに触れていません。
その後2006年のWHO報告では死者は9千件(対象集団は740万人)、IARC(国際ガン研究機関)論文では1万6千件(対象集団はヨーロッパ全域5.7億人)と報告されています。(参照:京大・今中哲二論文「チェルノブイリ事故による死者の数」)他にも多数公的・民間機関の研究結果はありますが、ここでは、数ある研究の中でも被害を低く見積もっているといわれる公的機関の研究結果の重要部分でさえ、官邸資料は無視しているということを強調しておきます。また、この官邸資料は英語に翻訳して、国際社会に対し「これが日本の見解である」と発表する予定があるのかを問いたいです。
翻訳や、まとめに協力してくれる方は info@peacephilosophy まで、お願いします。また、このサイトの「原発問題ビデオ集」(このページの上部からリンク)と、「必見 チェルノブイリ被害」で、チェルノブイリ関連のビデオ(日本語字幕つき)を紹介しているのでご覧ください。
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以下、官邸ホームページより。
チェルノブイリ事故との比較
http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g3.html
平成23年4月15日
チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO, IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表し、25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表した。これらの国際機関の発表と福島原発事故を比較する。
原発内で被ばくした方
*チェルノブイリでは、134名の急性放射線傷害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。
*福島では、原発作業者に急性放射線傷害はゼロ、あるいは、足の皮膚障害が1名。
事故後、清掃作業に従事した方
*チェルノブイリでは、24万人の被ばく線量は平均100ミリシーベルトで、健康に影響はなかった。
*福島では、この部分はまだ該当者なし。
周辺住民
*チェルノブイリでは、高線量汚染地の27万人は50ミリシーベルト以上、低線量汚染地の500万人は10〜20ミリシーベルトの被ばく線量と計算されているが、健康には影響は認められない。例外は小児の甲状腺がんで、汚染された牛乳を無制限に飲用した子供の中で6000人が手術を受け、現在までに15名が亡くなっている。福島の牛乳に関しては、暫定基準300(乳児は100)ベクレル/キログラムを守って、100ベクレル/キログラムを超える牛乳は流通していないので、問題ない。
*福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト以下になっているので、放射線の影響は起こらない。
一般論としてIAEAは、「レベル7の放射能漏出があると、広範囲で確率的影響(発がん)のリスクが高まり、確定的影響(身体的障害)も起こり得る」としているが、各論を具体的に検証してみると、上記の通りで福島とチェルノブイリの差異は明らかである。
長瀧重信 長崎大学名誉教授
(元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)
佐々木康人(社)日本アイソトープ協会 常務理事
(前 放射線医学総合研究所 理事長)
(官邸ホームページからの引用終わり)
投稿者 Peace Philosopher 時刻: 1:19 PM Email This
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ラベル: Fukushima Nuclear Power Plants 福島原発問題, Hiroshima/Nagasaki/Nuclear Disarmament, In Japanese 日本語投稿, Nuclea Nuclea
寺坂原子力保安院院長は、私が政務官のときに、新しくできたこの院の次長になった方です。もともとは経済学部の出身で、理科系ではありませんが、その後ずっとこの畑を歩んでおり、かなり精通はしていたと思います。とてもまじめな人で、先週の土曜日に、短時間顔を見た限りでは、辛そうでした、キャパオーバーな感じでもありました。彼をしても、現地の状況など分かってないことが多すぎて、東電に命令しようとしてもとてもできなかったんでしょうね。
だいたい、昨年行われていた福島原発の訓練が置いていた前提からしてこの津波とはレベルが違うもの。
すべてのバックアップ電源が使えなくなって、あそこまで強大な津波が直撃することは、想定範囲を大きくこえていたということは間違いないでしょう。
もちろん、想定外の大惨事になってしまえば、どんな言い訳をしても、経済産業省も監督官庁の責任は免れないし、保安院は直接の最高責任者ですから、責任重大です。
こういう時に「希望的楽観論」に傾斜しがちなのは、「サラリーマン課長が動かしている国」のいつもの弱点です。
そんな状態にも拘らず、あくまで冷静に淡々とレクをしている西山審議官も、もともとは通商政策の課長でしたが、原子力に異動して数年以上たっていて、事故やトラブルの処理もかなりやってきてはいますでしょう。
寺坂信昭
商務流通審議官 プロフィール寺坂信昭(てらさかのぶあき)生年月日昭和28年4月9日学歴昭和51年3月東京大学経済学部卒業主な職歴 昭和51年4月通商産業省入省 平成元年1月大阪通商産業局総務部総務課長 平成元年7月近畿通商産業局総務企画部総務課長 平成3年2月産業政策局商政課取引信用室長 平成5年6月大臣官房参事官(労務担当) 平成6年7月資源エネルギー庁公益事業部ガス事業課長 平成8年6月中小企業庁計画部金融課長 平成10年6月資源エネルギー庁石炭・新エネルギー部計画課長 平成12年6月産業政策局総務課長 平成13年1月通商産業省から経済産業省へ 平成13年1月経済産業政策局経済産業政策課長 平成14年3月大臣官房会計課長平成15年4月資源エネルギー庁電力・ガス事業部付兼同部電力事業政策企画室長 平成15年6月資源エネルギー庁電力・ガス事業部長 平成16年6月大臣官房審議官(経済産業政策局担当) 平成17年9月原子力安全・保安院次長 平成19年7月商務流通審議官最終更新日:2008年9月17日 このページの先頭 平成13年1月通商産業省から経済産業省へ
理事長交代のお知らせ
平成22年8月31日に行われた幣協議会理事会において、現理事長直江重彦は健康上の理由により 8月末日を持って退任し、現副理事長の薦田康久が理事長に就任することに決定しました。
○ 新理事長略歴
氏名: 薦田 康久 (こもだ やすひさ)
生年月日: 昭和28年 2月12日 愛媛県出身
学歴: 昭和50年 3月 東京大学工学部卒業
主要経歴: 昭和50年 4月 通産省入省
平成 4年 7月 資源エネルギー庁公益事業部ガス保安課長
平成 9年 7月 資源エネルギー庁公益事業部電力技術課長
平成14年 7月 原子力安全・保安院審議官(核燃料サイクル担当)
平成19年 7月 原子力安全・保安院長
平成21年 7月 退職
平成21年10月 (財)電力中央研究所特任顧問
【名前】広瀬研吉 (ひろせけんきち) 【略歴】 昭和49年九大工卒、科学技術庁入省 平成 4年6月科学技術庁研究開発局海洋開発課長 平成 6年7月原子力安全核燃料規制課長 平成8年10月科学技術振興事業団科学技術理解増進室長 平成10年6月原子力安全局原子力安全課長 平成13年1月原子力安全・保安院審議官(実用発電原子炉担当) 平成14年8月文部科学省大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当) 平成15年7月内閣府原子力安全委員会事務局長 平成16年7月独立行政法人物質・材料研究機構理事平成17年9月より現職 タグ 平成14年8月文部科学省大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)
官僚 学者・研究者
松永和夫
経済産業政策局長 プロフィール松永和夫(まつながかずお)生年月日昭和27年2月28日学歴昭昭和49年3月東京大学法学部卒業主な職歴 昭和49年4月通商産業省入省 昭和63年6月通商政策局経済協力部経済協力課経済協力企画官 平成2年6月日本貿易振興会ニューヨーク・センター産業調査員 平成5年6月資源エネルギー庁石油部流通課長 平成7年6月環境立地局環境政策課長 平成10年6月通商政策局総務課長
平成12年6月資源エネルギー庁石油部長 平成13年1月通商産業省から経済産業省へ 平成13年1月資源エネルギー庁資源・燃料部長 平成14年7月原子力安全・保安院次長 平成16年6月原子力安全・保安院長 平成17年9月大臣官房総括審議官 平成18年7月大臣官房長 平成20年7月経済産業政策局長最終更新日:2008年9月17日 このページの先頭へ
【東京】日本共産党の吉井英勝衆院議員が2010年5月に開催された衆院経済産業委員会で、自然災害により原発のバックアップ・システムが崩壊し、炉心溶融につながる可能性を指摘したが、これに対し、経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は、そのような事態は実質的には起きないとの認識を示していたことが分かった。
Nuclear and Industrial Safety Agency
深刻な被害を受けた福島第1原発(23日)
吉井議員は、地滑りや地震などで原発の非常用内部電源や外部電源が断たれると、炉心を冷却する能力が奪われることになると指摘。この事故は実際に約2週間前に福島第1原発で起きた。
今回の事故については、日本の原発の監督当局と原発を運営する電力事業者が最悪の事態に備えることを怠ったとの批判も出ている。電力業界は、非常事態には電源を確保し、冷却水を原子炉に送り込む多重防護措置が講じられていると指摘していた。
同委員会の議事録によると、吉井議員は違った見解を取った。
吉井議員は、内外の過去の経験に基づき最悪の事態を想定すべきで、原発の停止後に原子炉の熱を冷やす能力を失えば、炉心溶融につながるという最も深刻な事態に備える必要がある、と強調していた。
これに対し寺坂院長は答弁で、理論的にはあり得るが、ほんとんど考えられないとの認識を示していた。
同院長は、炉心溶融は外部電源と非常用の内部電源の喪失、近隣の発電所からの電源融通ができない事態の時に起きるが、これらの事態の一つでさえも起きる確率は極めて小さい、と述べていた。
議事録によると、同院長は「最悪の事態が起こらないように工学上の設計をしている。ほとんどそういったことはあり得ないだろうというぐらいまでの安全設計をしている」と答弁していた。
福島第1原発を運営する東京電力は、通常及び非常用電源が断たれた今回の地震と津波の規模について、同社の想定を上回っていたとしている。
吉井議員はインタビューで、結局、かれらは深刻な事故は決して起きないだろうと考えていただけだ、と述べた。
原子力安全・保安院は昨年の同委員会での答弁についてコメントを控えた。
継続的な核エネルギー利用に反対する同議員は国会で、これまにもこのような問題を提起していた。06年3月には原発の冷却水をくみ上げるディーゼルエンジンが津波で浸水し機能しなくなる可能性を指摘していた。このような事態は福島第1原発でも起きた。
放射能の大気放出続く…1日154兆ベクレル
. 福島原発
内閣府原子力安全委員会は23日、東京電力福島第一原子力発電所から大気中に放出された放射性物質の量が、放出量が落ち着いた今月5日の時点でも、1日あたり154テラ・ベクレル(1テラは1兆)に達していたことを明らかにした。
5日に福島第一原発から大気に放出された放射性物質の推定値は、ヨウ素131が毎時0・69テラ・ベクレル、セシウム137が同0・14テラ・ベクレル。国際的な事故評価尺度(INES)で使われるヨウ素換算値で、ヨウ素とセシウムの合計量を計算し直すと、放出量は同6・4テラ・ベクレル(24時間で154テラ・ベクレル)となることがわかった。同委員会はこれまで、5日ごろの放出量について、セシウムとヨウ素の量を単純に合計し、「毎時約1テラ・ベクレル以下」と低く見積もっていた。
(2011年4月23日21時15分 読売新聞)
高放射線量がれき発見…保安院すぐに公表せず
. 福島原発
経済産業省原子力安全・保安院は23日、東京電力が福島第一原子力発電所3、4号機の近くで毎時900ミリ・シーベルトに達する高放射線量のがれきを発見し、撤去したと発表した。
これまでに確認されたがれきの放射線量は、最高でも毎時100〜200ミリ・シーベルト程度で、今回のがれきは「3号機の水素爆発と関連している可能性がある」と説明している。
見つかったのは、縦横が各30センチ、厚さ5センチのコンクリート片。東電が20日午後に見つけ、21日に有人の重機で鋼製コンテナに回収した。コンテナから約1メートルの距離で測った線量は、毎時1・1ミリ・シーベルトに落ちていたという。
保安院は、コンクリート片の発見後すぐに東電から報告を受けていたが、公表していなかった。西山英彦審議官は、「今後は、分かったことはすぐに公表したい」と話している。
(2011年4月23日20時56分 読売新聞)
国家戦略相「原発14基の新増設ありえない」
. 玄葉国家戦略相(民主党政調会長)は23日、視察先の福島市内で記者団に対し、政府のエネルギー基本計画について、「2030年までに新規の原子力発電所を14基造るという現在の計画はありえない」と述べ、原発の新増設の目標を抜本的に見直す方針を明言した。
その上で、見直しによって不足する電力については、「蓄電池を含めた分散型エネルギーの活用や、送配電システムの高度化などでカバーすることになるのではないか」と語った。
(2011年4月23日20時34分 読売新聞)
首都圏地盤に力、南関東のM7級誘発も…東大研
. 巨大地震
東日本大震災で起きた地殻変動の影響で、首都圏の地盤に力が加わり、地震が起きやすい状態になっているとの解析結果を、東京大地震研究所のグループが22日、発表した。
解析結果は、大震災後に発生した地震の分布ともほぼ一致している。同研究所では、国の地震調査委員会が今後30年間に70%の確率で起きると予測しているマグニチュード7級の南関東の地震が誘発される可能性があるとして、注意を呼びかけている。
同研究所の石辺岳男・特任研究員らは、首都圏で過去24年間に起きた約3万の地震で破壊された領域が、大震災でどのような影響を受けたかを解析。地震が起きやすくなる力が働く領域は約1万7000で、起きにくくなる領域の約7000よりも多いことが分かった。震源が30キロよりも浅い地震は静岡県東部から神奈川県西部で、30キロよりも深い地震は茨城県南西部、東京湾北部で起きやすくなっていることが判明した。
(2011年4月23日08時10分 読売新聞)
福島第一原発周辺の放射線量、地域でまちまち
. 福島原発
文部科学省は18、19日に、東京電力福島第一原発から1〜21キロ離れた128地点で1時間あたりの放射線量を測定した。
その結果からは、地域によって放射線量が大きく異なる現状が浮かびあがった。
同原発から1〜5キロ離れた福島県大熊町、双葉町の6か所で50〜110マイクロ・シーベルトを観測した一方、北西約3キロ(双葉町新山下条)で1・8マイクロ・シーベルト、北西約4キロ(同町前田)で2・1マイクロ・シーベルトなど、原発に近い地域でも、相対的に低い放射線量の地点もあった。
年間100ミリ・シーベルト以上を浴びると、将来、健康に影響が出る可能性が生じるとされる。1日のうち16時間は木造家屋で過ごし、8時間屋外で活動すると仮定した場合、年間で浴びる積算放射線量を100ミリ・シーベルト以下に抑えるには、1時間あたりで19マイクロ・シーベルト未満に抑える必要がある。文科省の測定では、128地点中17地点で、19マイクロ・シーベルト以上だった。
(2011年4月23日10時16分 読売新聞)
人が多すぎて…復興構想会議、運営めぐり危機感
. 東日本大震災復興構想会議は23日の第2回会合で、会議の運営方法をめぐって、各委員から改善を求める声が相次いだ。
意見集約に向け委員の間に早くも危機感が漂っている。
赤坂憲雄学習院大教授は終了後、記者団に「あまりに人が多すぎて議論ができない。本当はしゃべりたいことがいっぱいあるが、時間が足りなくて煮詰まらない」と不満を漏らした。「5月の連休明け以降は交通整理していくと思うが……」と、第1次提言取りまとめにも不安を見せた。
会合では、下部組織の検討部会が財源論などの議論をすでに始めていることについて、橋本五郎読売新聞特別編集委員が「構想会議とかかわりなく、独立して議論が先行している印象を受ける」と指摘。高成田享仙台大教授や大西隆東大教授らが同調した。五百旗頭真議長は「(部会には)7合目、8合目まで議論してもらい、頂上に登り詰めるのは我々がやる」と釈明する場面もあった。
この日は、会合のテーマを事前に決め、委員が事前にメモを提出し、議長が整理して論議することや、緊急課題について1回ごとに提言を行うよう求める意見も出た。
(2011年4月24日16時12分 読売新聞)
-福島第1原発-敷地内の汚染地図公表
毎日新聞 4月24日(日)21時0分配信
福島第1原発の主な地点の放射線量※数字はミリシーベルト/時。東電のデータから、4月23日午後5時20分現在
東京電力は24日、福島第1原発1〜4号機の建屋周辺約150地点の1時間当たりの放射線量を記録した汚染度マップ(23日午後5時20分現在)を公表した。作業員の限度以上の被ばくを防ぐため、3月22日から作製。空間の放射線量では、2号機原子炉建屋西側のがれきが散らかっていた場所が70ミリシーベルトと最大だった。
【図説 連日更新】全都道府県の最新の放射線量など
空間放射線量は原子炉建屋付近が比較的高く、1号機10〜40ミリシーベルト▽2号機3〜70ミリシーベルト▽3号機3〜60ミリシーベルト▽4号機0.4〜1.1ミリシーベルト。タービン建屋付近は3号機付近が3.5〜20ミリシーベルトだったが、ほかでは数ミリシーベルトだった。
1号機と3号機の原子炉建屋付近では数カ所でがれきの線量も測定。20日に3号機付近で見つかった900ミリシーベルトが最大で、その近くに300ミリシーベルトのがれきもあった。2号機のトレンチ(トンネル)にある高濃度の放射性物質を含む汚染水を集中廃棄物処理施設(集中環境施設)へ移送する配管の表面は、75〜160ミリシーベルトだった。
東電は「現在の線量が作業の工程を大きく左右するものではない」と話している。【奥山智己】
「原発止めろ」と東電までデモ 市民団体など4500人
原発に反対し、東京電力本店(奥)近くをデモ行進する人たち=24日午後、東京都千代田区
旧ソ連のチェルノブイリ原発事故から26日で25年になるのを前に、原発に反対する市民団体などが24日、東京都港区内の公園で集会を開き、脱原発社会の実現を訴えた。約4500人の参加者は集会後、東京電力本店前までデモ行進し「原発止めろ」と声を上げた。
「原発とめよう!東京ネットワーク」の主催。集会の冒頭、市民団体「原子力資料情報室」の伴英幸共同代表が「大きな余震があれば福島第1原発でさらに事故が起きる可能性があることを認識しなければならない」とあいさつ。
チェルノブイリ原発事故で被災した非政府組織(NGO)メンバー、パーベル・ウドビチェンコ氏もゲストとして参加。「(汚染された地域では)牛乳から基準を超える放射性物質がしばしば検出されるため、孫は新鮮な牛乳を飲めない。核の災いが再び起きることがないようにしましょう」と訴えた。
プレスリリース 2011年福島第一原子力発電所プラント関連パラメータの訂正について
平成23年4月24日
東京電力株式会社
平成23年4月18日より当社ホームページ上に掲載している福島第一原子力発電
所各号機のプラント関連パラメータについて、データの一部に誤りがあることを
確認したことから、本日、原子力安全・保安院に報告いたしました。
現在、引き続きデータの確認作業を行っており、今後、確認結果をとりまとめ
て、原子力安全・保安院に報告することといたします。
現時点で、データの誤りを確認した箇所は、別紙のとおりです。
以 上
・別紙−1:『プラント関連パラメータ(総括表)』正誤表(PDF 39.2KB)
官房長官記者会見
平成23年3月11日(金)午後 .首都圏の皆様への発表について
私の方から、特に首都圏の皆様向けに発表をさせていただきたい、お願いをさせていただきたいというふうに思っております。首都圏の鉄道等の交通機関が現在、不通になっております。今、国土交通省を通じて、各交通機関と連絡を取っておりますが、現時点で復旧の目途は立っておりません。まもなく6時になりまして、もう既に会社等から帰宅に向かってらっしゃる方もいるかもしれません。しかしながら、交通機関が動いていない状況でございますと、場合によっては歩道が満員電車状態になる。当然のことながら、自動車等は大変渋滞をしてしまって動かなくなります。それから、もし歩いて帰途を考えられました時には、途中で情報、食料、水、トイレ等に大変困惑をされるケースが想定をされます。従いまして、交通機関に関する情報をテレビ、ラジオ等でしっかりと把握をしていただきまして、こうしたものが動かないという状況では、帰宅ではなくて職場等で待機をして、安全な場所で待機をしていただきたいということをお願いを申し上げます。繰り返しお願いを申し上げます。現時点では、首都圏の鉄道等の交通機関の回復の目途が立っておりません。この後、夜を迎えます。もちろん近い方は別でありますけれども、例えば県外、県境を越えて等ですね、遠距離の方、交通機関が動かない状況で徒歩等で無理に帰宅をされる、情報等がない中で帰宅をされるということになりますと、むしろ2次的な被害に遭われるということにもなりかねません。是非、冷静に落ち着いていただきまして、遠距離、また中遠距離の方についてはですね、無理にご帰宅をされないということをお願いを申し上げる次第であります。政府としても各交通機関、鉄道各社等と国土交通省が連絡を取って、早期の復旧を要請しているところでございますが、余震等も生じている状況でございます。安全を確保できませんと交通機関、鉄道等を動かすことができませんので、こうした安全確保されるまで、是非、中遠距離の皆さんについては無理なご帰宅をされないよう、冷静な対応を私(官房長官)の方からお願いを申し上げます。
都営地下鉄、一部で運転再開 大江戸線は全線で2011年3月11日22時57分
. 地震の影響で全線運休していた東京都営地下鉄は、午後8時40分に大江戸線、同10時前に新宿線で全線の運転を再開した。浅草線の西馬込—浅草橋間、三田線の三田—西高島平間では折り返し運転を始めている。
東京メトロ銀座線全線と半蔵門線の一部で運転再開2011年3月11日20時49分
. 全路線で運転を見合わせていた東京メトロは、午後8時40分、銀座線の全線と半蔵門線の九段下—押上で運転再開した。
地震:JR東日本管内の運転中止
2011年3月11日 19時17分 更新:3月11日 19時20分
JR東日本は11日、東北地方で発生した強い地震のため、新幹線を含めて東北と首都圏の鉄道の運行を中止すると発表した。同日中の回復はない見込み。
震災直後の鉄道運転再開、どう判断 国交省、首都圏調査2011年4月23日10時19分
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.帰宅できない通勤客であふれる渋谷駅=3月11日午後6時、東京都渋谷区、三浦英之撮影
主な路線の運転再開状況
東日本大震災の発生直後、首都圏のすべての鉄道が運転を見合わせ、多くの帰宅困難者が出た。運転再開のタイミングは各社でまちまちで、主要駅や幹線道路に人があふれた。判断はどこで分かれたのか。震災から1カ月以上たち、ようやく国土交通省が調査に乗り出した。
■分かれ目は官房長官会見
自宅をめざす人が都心の主要駅に集中した3月11日夕。鉄道各社と国交省は運転を再開できるタイミングをうかがっていた。「再開すれば都内にとどまっている人を外に送り流せる」。国交省鉄道局は当初、そう踏んでいた。
都心で震度5強を記録したが、首都圏で脱線や死傷者が出る事故はなかった。国交省と鉄道会社のマニュアルでは、線路や設備に損傷がないか点検をした後、2〜5回の試運転を経て再開することになっていた。
だが、午後5時半過ぎ、枝野幸男官房長官が記者会見で「帰宅ではなく、職場など安全な場所で待機していただきたい」と呼びかけた。
これを機に鉄道各社の判断が二つに分かれた。
JR東日本は午後6時20分、「安全確認ができない」として山手線や中央線など首都圏の全線を終日運休にすると発表。新宿駅や渋谷駅には多くの人が残り、駅前の道路や他路線への連絡通路にあふれた。
JR東の清野智社長は「(一部再開して)運転本数を減らして動かすと、かえって駅が大混乱になる」と釈明するが、国交省は「(多くの路線に乗り換えられる)山手線が再開されなかったのは誤算」と残念がる。東武鉄道、京成電鉄、京急電鉄も11日は運転再開しなかった。いずれも路線は複数の都県にまたがり、長い。
一方、午後8時40分には東京メトロが銀座線の運転を再開した。点検区間が短く、ターミナル駅である渋谷駅で混乱を防ぐための警備態勢も整ったためだ。同時に都営地下鉄大江戸線も動き始めた。ところが、銀座線では渋谷駅で山手線などが運転再開していなかったため、乗客が殺到。警備要員も足りず、運転を何度も止める混乱がその後も続いた。
午後10時ごろからは西武鉄道や京王電鉄、東急電鉄が点検を終えて次々と運転を再開。メトロと東急が調整し、半蔵門線と東急田園都市線の乗り入れも始まった。メトロなど多くは終夜運転をし、帰宅困難者は次第に減っていった。
ある私鉄の担当者は「JRが早々と運転打ち切りを決め、帰宅困難者があふれた。我々はなんとしても動かさないといけない状況だった」と話す。
■「情報の一元化必要」
幹線道路では、鉄道をあきらめた人たちが徒歩で自宅をめざし、女性や子供、高齢者らが深夜まで長時間の移動を強いられた。
国交省は「今後予想される首都圏直下型地震では、線路そのものが損傷を受けたり、火災が起きたりする可能性もある。今回以上の混乱になるだろう」とみる。
震災直後、国交省や鉄道各社をつなぐ鉄道電話などのネットワークは生きていたが、携帯電話や固定電話が通信規制などでつながらなくなった。国交省に各社からの連絡がまったく入らない時間帯もあり、同省は各社の輸送指令室に職員を派遣し情報収集する事態に。一斉に運転中止した際のマニュアルは整備されていたが、同省の担当者は「どの路線からどう再開すればよいか、マニュアルでは解決できなかった」と話す。
11日中に運転再開した私鉄の担当者は「想定を超える混乱の中で、まず自社路線を少しでも再開することで精いっぱいだった」と話す。その上で、「運転再開のタイミングを各社で合わせるなど、首都圏全体の鉄道網をどう動かすかという視点に立った情報交換が必要だ」と指摘する。
震災時の鉄道利用者の被害を研究する中央大の鳥海重喜助教(情報工学)は「各社の情報を一元的に集めるセンターをつくり、時間帯などのシミュレーションに基づいて混乱が少なくなる運行再開方法を通達する仕組みができないか」と提案する。
相互乗り入れする会社同士だけでなく、JRと私鉄など競合する路線でも運転を調整すれば、一方に乗客が集中することもなくなる。
駅や道路が混雑しないよう自治体や警察との連携も不可欠だ。一般車の幹線道路への流入を規制してバスをスムーズに通らせたり、出張者など首都圏の鉄道に詳しくない人を避難場所に誘導したりする工夫も必要になる。
同省は今月20日、今後予想される震災時に、どう運転再開するかを鉄道各社と話し合う協議会を立ち上げた。乗客への情報提供や点検に要した時間を各社から聞き取り、5月中に結果をとりまとめて各社と共有する。震災から1カ月以上過ぎたが、同省は「計画停電や余震への対応に追われ、鉄道各社の当日の動きでわかっていないことは多い」と検証の遅れを認めた。(永田工、宮嶋加菜子)
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福島第一原発トラブル 経産省が警戒本部設置2011年3月11日19時26分
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. 東京電力の福島第一原子力発電所で、原子炉の運転に必要な電気が送れなくなっているため、経済産業省は11日夕、原子力災害対策特別措置法に基づき、同省内に警戒本部を設置した、と発表した。原子力安全・保安院によると、福島第一原発の1、2号機で非常用電源などが使えなくなり、緊急炉心冷却装置が稼働できない状況だという。
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緊急事態の判断基準はどのようになっていますか。
原子力災害対特別措置法では、原子力事業者に、国及び自治体への“一定の事象発生時の通報”を義務付けています。また、内閣総理大臣は、主務大臣からの報告を受け“原子力緊急事態宣言”を発出し、緊急事態応急対策実施区域や原子力緊急事態の概要を公示、関係市町村長等に避難等につき指示することとなっています。 異常事態発生の際の通報基準及び緊急事態判断基準 次のいずれかに該当する場合、原子力事業者は、国、都道府県知事及び市町村長等に異常事態として迅速に通報するとともに、周辺住民等への影響に関する情報の把握や原子力災害の発生又は拡大防止のために必要な応急措置を実施し、さらに、事故の経過を的確にこれらの機関に連絡しなければなりません。
・ 原子力事業所の境界付近において、1地点で継続して10分以上毎時5マイクロシーベルト以上、又は2地点以上で同時に毎時5マイクロシーベルト以上の空間放射線量率が検出される (ガンマ線が毎時1マイクロシーベルト以上の場合は、中性子線も測定し、それらの合計の線量が毎時5マイクロシーベルト以上。なお、落雷によるものを除く)
・ 排気筒等通常時に施設の外部に放射性物質の放出が行われる場所において、拡散した後の放射能水準が、境界付近において毎時5マイクロシーベルト以上に相当(累積放出量で管理している場合には、一事象により50マイクロシーベルト以上に相当)するような放射性物質が放出される
・ 火災、爆発その他これらに類する事象の発生に起因して、閉じ込め機能の異常が発生した場合であって、管理区域外の場所で、毎時50マイクロシーベルト以上の空間放射線量率が検出される、又は毎時5マイクロシーベルト以上に相当するような放射性物質が放出される
・ 原子力事業所外運搬中に事故が生じ、輸送容器から1m離れた地点で毎時100マイクロシーベルト以上の空間放射線量率が検出される又は放射性物質が漏洩する
・ 原子炉以外で臨界状態が発生する又はその蓋然性が高い状態にある
・ 原子力施設の特性を踏まえた個別の事象であって、軽水炉において制御棒の挿入による原子炉の停止ができない
等 次のいずれかに該当する場合、内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言を発出します。
・ 原子力事業所の境界付近において、1地点で継続して10分以上毎時500マイクロシーベルト以上、又は2地点以上で同時に毎時500マイクロシーベルト以上の空間放射線量率が検出される(ガンマ線が毎時5マイクロシーベルト以上の場合は、中性子線も測定し、それらの合計の線量が毎時500マイクロシーベルト以上。なお、落雷によるものを除く)
・ 排気筒等通常時に施設の外部に放射性物質の放出が行われる場所において、拡散した後の放射能水準が、原子力事業所の境界付近において毎時500マイクロシーベルト以上に相当(累積放出量で管理している場合には、一事象により5ミリシーベルト以上に相当)するような放射性物質が放出される
・ 火災、爆発その他これらに類する事象の発生に起因して、閉じ込め機能の異常が発生した場合であって、管理区域外の場所で、毎時5ミリシーベルト以上の空間放射線量率検出される、又は毎時500マイクロシーベルト以上に相当するような放射性物質が放出される
・ 原子力事業所外運搬中に事故が生じ、輸送容器から1m離れた地点で毎時10ミリシーベルト以上の空間放射線量率が検出される又は放射性物質が漏えいする
・ 臨界事故が発生する
・ 原子力施設の特性を踏まえた個別の事象であって、軽水炉においてホウ酸水を注入する等の操作によっても原子炉の停止ができない
等
〔出典〕 「原子力施設等の防災対策について(原子力安全委員会)」(昭和55年6月決定、平成15年7月改訂)
「原子力災害対策特別措置法施行令」(平成12年4月5日政令第195号)
「東日本大震災は首都圏4 件の鉄道網にも大打撃を与えましたが、JR東日本は震災当日(3月11日)、早々に終日運休を決め、シャッターを下ろして駅から乗客を閉め出しました。私鉄や地下鉄が夜までに一部復旧し、終夜運転したのに比べて、あまりに不誠実な対応ではないでしょうか」=東京都北区の男性会社員(55)
社長は謝罪
マグニチュード(M)9.0と国内最大級となった東日本大震災では、都内でも震度5強を観測し、首都圏4 件のありとあらゆる交通機関がマヒした。発生が午後3時前だったため、夕方以降は大量の「帰宅困難者」が街中にあふれた。
東京都によると、公共施設など都内の1030カ所に開設された避難所に身を寄せた帰宅困難者は、翌12日の午前4時時点で約9万4000人。ピーク時には10万人を大幅に超えていたとみられる。この非常事態に、京王電鉄や小田急電鉄、東京メトロなど多くの私鉄や地下鉄は、当日夜になって徐々に運転を再開。終夜運転も行って、帰宅困難者の解消に努めた。
対照的だったのがJR東だ。11日夕方の段階で「安全確認に相当時間がかかる」として全線で終日運転見合わせを決定。東京駅などを除く首都圏のほとんどの主要駅でシャッターを下ろして駅を“閉鎖”した。JR主要駅周辺には行き場をなくした人々が滞留し、声を荒らげて駅員に詰め寄るなど混乱を招いた。
こうしたJR東の判断に対し、石原慎太郎都知事が「体質が露呈した。私は許せないと思う」と発言するなど批判が集中。JR東の清野智社長は4月5日の定例会見で「列車が動かない中で構内に乗客が集まれば大きな混乱を生じる」と説明したが、避難場所への誘導などが十分でなかったことを認めて謝罪した。
震災当日のJR東日本と主な私鉄、地下鉄の運行4 件・復旧状況
福島第1原発 初の共同会見 東電・保安院・安全委
毎日新聞 4月25日(月)20時55分配信
拡大写真
福島原子力発電所事故対策統合本部の事務局長として、会見する細野豪志首相補佐官(右)=東京都千代田区で2011年4月25日午後5時30分、森田剛史撮影
福島原子力発電所事故対策統合本部(本部長=菅直人首相)は25日、これまで東京電力や経済産業省原子力安全・保安院、内閣府原子力安全委員会などが個別に開いてきた会見を一本化し、初の共同会見を開いた。事務局長の細野豪志首相補佐官は「原則としてすべての情報を公開する。私を信じてほしい」と強調した。だが、約250人が集まった会見では記者の質問機会が限られ、原子力安全委から専門家の委員が出席しないなど、情報量と質の低下が懸念される。原発を推進する東電と規制官庁が同席する会見形態を疑問視する質問も相次いだ。【足立旬子、江口一、西川拓、臺宏士】
【図説で見る 福島第1原発事故】
本部のある東電本店(東京都千代田区)で開かれた会見では、資料配布に25分、細野氏、文部科学省、原子力安全委、東電、保安院の各担当者からの説明に計1時間近くを要したうえ、政府の対応や共同会見への批判、モニタリング、原子炉の現状など、質疑の内容は多岐にわたり、会見は4時間近くに及んだ。
細野氏は一本化について「個別会見で情報の重複やそごがあった。東電と規制官庁が同席する会見では、事業者、監督官庁の立場を守るが、テーマごとに一元化した情報を発信し、正確性を期したい」と訴えたが、記者から「すり合わせで情報が遅れるのではないか」との質問も出た。
事故後の会見は、原則として、保安院が毎日午前と午後計2回、東電本店が同午前、午後計2回、開いてきた。原子力安全委も毎日、文科省が実施するモニタリングの評価や原子炉の状態への認識について、原子炉工学や放射線防護の専門家の委員が会見で説明してきた。26日以降、午後の会見は共同会見に一本化される。
また、安全委から共同会見に出席したのは、官僚出身の広瀬研吉・内閣府参与(原子力安全委員会担当)。班目(まだらめ)春樹委員長は25日午後の定例会後、今後は週2回の定例会後に自身が会見すると話し、「原子力安全委員は何でも相談室ではない。(共同会見とは)場を分けてお答えする」と答えた。細野氏も「安全委は独立機関で、委員も自由に意見を述べることが認められている」と述べた。
今ごろ?…放射性物質の飛散予測を公表
. 福島原発
内閣府原子力安全委員会は25日、東京電力福島第一原子力発電所から大気中に放出された放射性物質のコンピューターによる拡散予測を公表した。
予測は本来、事故発生直後の避難に活用する計画だったが、これまで3月23日と4月11日の2回公開されただけだった。細野豪志首相補佐官は25日の事故対策統合本部の共同記者会見で「3月半ばの最も放射性物質が飛んでいた時期に予測を利用できず、大変申し訳ない」と謝罪した。
公表されたのは、3月11日から4月25日までの1時間ごとの放射性物質の拡散予測と、これまでの積算放射線量。今後は、1時間ごとの予測を毎日正午に更新、積算線量も随時更新する。
(2011年4月26日01時31分 読売新聞)
東電、社長ら報酬50%削減…新規採用も見送り
. 東京電力は25日、会長と社長、副社長、常務の年間報酬を50%削減すると発表した。
執行役員は40%、管理職は25%、一般従業員は20%それぞれ削減する。2012年4月入社を予定していた約1100人の新規採用も見送る。一連の人件費削減により、年540億円を捻出し、福島第一原子力発電所の事故による賠償金の支払いの原資としたい考えだ。
報酬や給与の減額は、執行役員以上は4月支払い分から、管理職以下は7月から行う。社外取締役の報酬も減額する。
東電の清水正孝社長は、「被災した皆様への補償や、設備復旧等にかかる諸費用の増加による経営状況の大幅な悪化を踏まえ、(人件費削減を)実施した」とのコメントを発表した。
東電労組は「社会的にも極めて大きな影響を及ぼしている現状を組合員一人一人が重く受け止めた」としている。
(2011年4月25日21時36分 読売新聞)
共産「警鐘に耳貸さなかった」東電・政権を批判
. 「国会でのわが党の指摘に耳を貸さなかった東電、歴代自民党政権の責任は大きい——」
共産党の井上哲士参院議員は25日の参院決算委員会で、東京電力福島第一原子力発電所事故に関連し、同党が炉心溶融も想定した対策の必要性を訴えるなど、国会で長年、原発の危険性について警鐘を鳴らしてきたことを強調。そのうえで、「(原発)安全神話のもと、重大事故への構えも備えもなかったことが深刻な事態を作り出した」と歴代政権や東電の対応を批判した。
民主党政権にも矛先を向け、「安全神話を受け継いだ責任も当然問われるのに、真剣な反省があるのか」と訴えた。
これに対し、参考人として出席した内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は「事故を防げなかったことを深く反省する」と終始、平身低頭だった。
(2011年4月25日21時20分 読売新聞)
福島・郡山市、校庭28か所の表土除去へ
. 福島県郡山市は25日、福島第一原発事故による放射線量の数値が高かった市内の小中学校と保育所の計28か所で校庭の表土を除去すると発表した。
県教育庁によると、県内の教育機関で放射線対策の土壌改良を行うのは初めて。
国の暫定基準では校庭の放射線量が毎時3・8マイクロ・シーベルト以上の場合、屋外活動を制限するとしており、県内13の小中学校、幼稚園などが該当していた。
郡山市で基準以上だったのは小学校1校だけだったが、市は地表から1センチの高さの放射線量について、小中学校は毎時3・8マイクロ・シーベルト以上、保育所や幼稚園では同3・0マイクロ・シーベルト以上の場合は表土を除去するという独自の基準を設定。県の調査結果を基に、除去作業を進める学校、保育所を決めた。取り除く表土は厚さ1〜2センチを予定し、早ければ今週末から行う。除去した土は、市内の最終処分場に廃棄する。
同市は「放射線が土壌に深く浸透する前に実施し、いち早く学習環境を整えたい」としている。
(2011年4月26日01時28分 読売新聞)
1号機水素爆発“想定せず”
4月26日 4時20分
東京電力福島第一原子力発電所の事故で細野総理大臣補佐官は、25日の記者会見で、先月12日に1号機の原子炉建屋で起きた水素爆発について「少なくとも、圧力を逃がすための“ベント”をしたあとに水素爆発が起きることを予測した専門家は見ていない」と述べ、政府内で当時、水素爆発が起きる可能性は想定されていなかったことを明らかにしました。
福島第一原発の1号機では、事故発生の翌日の先月12日に原子炉建屋の中で突然、水素爆発が起き、建屋の屋根や壁を吹き飛ばし外部に大量の放射性物質が放出されました。この水素爆発について、発生直後から政府の原子力災害対策本部に詰めて事故対応に当たっていた細野総理大臣補佐官は、25日の記者会見で「少なくとも、圧力を逃がすための“ベント”をしたあとに水素爆発が起きることを予測をした専門家は見ていない。格納容器の中には窒素があり、想定していなかった」と述べ、政府内で当時、水素爆発が起きる可能性は想定されていなかったことを明らかにしました。これについて東京電力も「原子炉で発生した水素は格納容器内で処理する設計になっていて、原子炉建屋内で爆発が起きることは設計上、考慮していない」としています。こうした一連の事故の初動対応について、細野補佐官は、政府と東京電力とのコミュニケーションが十分でなかったとして、検証の場を設ける考えを示しています。
格納容器に水漏れ見られず=1号機、ロボット調査で確認—「水棺」作業実施へ・東電
時事通信 4月26日(火)16時54分配信
福島第1原発事故で、東京電力は26日午後、1号機の原子炉格納容器を水で満たす「水棺」作業に向け、原子炉建屋内をロボットで調査した。ロボットからの映像で格納容器からは水漏れがないことが分かり、同社は27日以降、注水量を現在の倍に増やし、水棺作業を進める方針。
東電によると、ロボットが1号機建屋に入ったのは17日以来2度目。建屋内を2台で約2時間調査し、映像で格納容器からの水漏れの有無を確認。映像で確認する限り、水が漏れている兆候は見つからなかった。放射線量は最大毎時49ミリシーベルトで、前回調査時と同レベルだった。
一方、同社は26日午後から、放射性物質飛散防止用の合成樹脂散布を本格的に開始。3号機原子炉建屋の海側敷地付近に、リモコン重機を使って散布した。
ダウンローダ、ダウンローダーとは、
サイトのファイルやコンテンツのダウンロードを支援するソフトです。
ブラウザの右クリックから「対象をファイルに保存」する。
これでもいいのですが、ダウンロードしたいファイルがたくさんあったら、面倒なんです。
クリック動作ひとつでページ内部にリンクがあるすべてのファイルをダウンロードする・ダウンロードしたファイルのURLの一覧を自動的に作成することもできます。またファイルをダウンロードするときの速度を調節できる・指定したファイルをすべてダウンロードし終わったらPCの電源を切るなどの機能をそなえたソフトがあります。
このほかにも、利用するメリットとしては、ファイルのダウンロードに特化した設計になっているため、途中でダウンロードが止まったファイルをそ の途中の時点からダウンロードを再開できる。あるいは、ファイル名が連番になっているファイルを一気にダウンロードする、特定のページからリンクされてい るファイルを全てダウンロードするといった機能により、ダウンロードにかかる手間を軽減できる場合もあります。
WEB上に公開されているファイルですので、原則としてこういうツールを使うことは問題ないと思います。
しかし、サイト運営者としてはこういったツール・ソフトを嫌うことがあります。
それは、クリックひとつで全コンテンツをダウンロードされてしまうということ、つまり広告収入モデルのメディアとしてはトラフィックが減るということです。
また、大量の機械的なトラフィックだけが発生するため、サーバーへの負荷も大きいからです。
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しかし、ユーザー視点で言えば非常に便利なツールですので、簡単に紹介しておきます。
Irvine
定番中の定番ですね。 2001年の秋にベータ版が出て以来、高いシェアを保っています。
分割ダウンロード機能やダウンロードした画像ファイルのプレビュー機能などが実装されています。
Orbit downloader
レジューム機能や分割、サイトのログイン(パスワード)なども対応しています。
レジューム機能とは、途中でダウンロードを停止しても、次回実行時に「続きからダウンロードを再開できる」機能です。
この機能は非常に便利です。大量のコンテンツを取得するときには、時間がかかりますからね!
NetTransport
普通はダウンロードできないストリーミングファイルをダウンロードすることができちゃいます。
その他ホームページを全てダウンロードしたりホームページに埋め込まれている拡張子を指定してのダウンロードなの機能を実装。
NetTransportは動画をリンクしている場所でブラウザから右クリックを選ぶとメニューに「NetTransportでダウンロード」と項目が追加され、ストリーミングファイルをダウンロードすることが可能となります。
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これ以外にも、
?Free Download Manager
?NetAnts
?Gigaget
?wget
?cURL
?Download Accelerator Plus8
あたりが、有名なダウンローダです。上記の3つのうちひとつでもインストールしておけば、それ程機能の差はないので、使えると思います。
内閣不信任案提出を…自民領袖、「反菅」接触も
. 自民党の各派閥領袖は28日、各派の会合で、衆院への内閣不信任決議案提出を党執行部に相次いで求めた。
古賀派会長の古賀誠元幹事長は「統一地方選で『菅政権には任せられない』という答えが明らかになった以上、衆院で決着をつけるべきだ」と述べた。町村派会長の町村信孝元官房長官、伊吹派会長の伊吹文明元幹事長も同様の考えを表明。古賀氏らは、参院への首相問責決議案提出は見送り、内閣不信任決議案一本に絞って菅政権を追い込むべきだとの考えを示した。
派閥領袖が声をそろえているのは、小沢一郎元代表に近い議員を中心に、民主党内で「菅降ろし」の動きが活発化しているためだ。伊吹氏は「不信任決議案に民主党の全員が反対ということはない。成立しないまでも民主党は分裂し、政局運営は自民党に有利になる」と指摘した。
実際、領袖らは民主党内の「反菅」勢力と接触を深めており、伊吹氏は14日に鳩山前首相や平野博文元官房長官と会談した。
(2011年4月29日10時06分 読売新聞)
民主・若手の執行部批判広がる…中間派にも
. 民主党
28日の民主党代議士会で、衆院当選1回の中後淳氏が執行部の党運営に不満を表明した。
ガソリン価格が高騰した場合の減税措置(トリガー条項)の一時凍結について、党内に反対意見があったにもかかわらず政府が決めたことに、「(玄葉)政調会長は、政調発足の時に『党の意見をしっかり政府に反映させる』としていた。約束をほごにする結論だ。党運営、今回の経過、統一地方選の総括を含め、両院議員総会で議論してほしい」と訴えた。
中後氏は執行部と対立する小沢一郎元代表グループに所属するため、執行部側は「『菅降ろし』を狙う小沢グループの策略だ」として取り合わなかったが、若手の不満は同グループ内にとどまらなくなっている。
最近は中間派の1回生からも「岡田幹事長はカネの面倒を見てくれない」「執行部は若手の苦しさを分かっていない。別の党の人間だと思って諦めている」といった声が出ており、民主党内の不協和音は一段と強まっている。
(2011年4月29日10時06分 読売新聞)
こんな人間とは…武村元官房長官が首相を酷評
. 「新党さきがけ」出身の民主党の鳩山前首相、前原誠司前外相と、たちあがれ日本の園田幹事長が26日夜、東京都内で会談したことが明らかになった。
武村正義元官房長官と井出正一元厚相も同席し、さきがけ出身の菅首相の政権運営に対する批判が相次いだという。
出席者によると、武村氏は「首相には期待していたが、こんなにポストに固執する人間だとは思わなかった」と酷評。園田氏も「菅政権を代えることが国のためだ」と切り捨てた。鳩山氏や前原氏も、首相の震災対応に苦言を呈したという。
(2011年4月28日11時07分 読売新聞)
東日本大震災:自粛・制限対象ホウレンソウ出荷 「あの市場なら可能」 /千葉
毎日新聞 4月28日(木)11時16分配信
◇農家でうわさに 産地などの管理甘く
国の暫定規制値を超える放射性物質が検出され出荷制限中だった香取市産ホウレンソウが、匝瑳市の民間の「八日市場青果地方卸売市場」に出荷され流通していた問題で、この青果市場について、香取市内の一部の農家の間で「制限中でも出荷できる」とうわさになっていたことが、出荷した農家などへの取材で分かった。青果市場の泊元明社長は27日、「どこの誰が作ったものか分からないまま受け入れていた」と説明した。【黒川晋史、森有正】
県の調査によると、香取市産ホウレンソウが出荷の自粛や制限の対象だった4月1〜22日、同市の少なくとも農家10戸が問題の青果市場に計7885束を出荷。大半は家庭などで消費されたとみられる。詳しい流通経路は現段階で不明だが、青果市場のある匝瑳市周辺が中心で、県外はごくわずかとみられるという。
県内の農業関係者などによると、同青果市場は出荷規制のかかった農産物を受け入れるとのうわさが以前から流れていたという。
香取市南部のホウレンソウ農家の夫婦は27日、毎日新聞の取材に対し、制限対象のホウレンソウを青果市場に出荷したことを認め、「うわさが広がっていたのでは」との問いに対し、「うん、うん」とうなずいた。出荷理由などについては「他の農家を当たってほしい」と説明を拒んだ。
青果市場の泊社長は、宇井成一・香取市長らとともに27日県庁で会見し、「どこの誰が作ったものか分からないまま受け入れていた」「出荷の自粛や制限は知っていた。(制限に)最初は関心があったが、チェックが甘くなっていった」などと述べ、産地や生産者の実態を事実上管理していなかった実態を明かし、うわさを裏付けた。
泊社長によると、ホウレンソウを受け入れる際、出荷した農家の住所や電話番号などを伝票に記入せず、代わりに農家へ個別に割り当てた「屋号」(記号)を記入するだけだったという。泊社長は「香取市産とは気づかなかった」と釈明する一方で、「あまり詳しく(生産農家を)チェックすると荷物が来なくなる」とも説明。産地や生産者の管理が以前から甘かったことを認めた。
県によると、出荷農家は10戸だけでなく、さらに数戸増える可能性があるとして詳しく調査している。
◇ ◇
同行した宇井市長は会見で、「18日に液状化被害を受けた上水道が通ったばかり。これからまさに復旧、復興のときだったのに……。基幹産業の農業が元気にならなければならないのに、まったく残念な思いだ」と無念の表情を見せた。
会見に先立ち、泊社長や宇井市長は森田知事に「ご迷惑をおかけしました」と陳謝。知事は「日々の暮らしのためにやってしまったとも聞く。しかし、法で決められたことは、守らなければならない」と苦言を呈した。
◇「背信行為許し難い」 関係者、怒りと無念の声
農産物の出荷制限を巡り、なぜ県内の生産者や流通業者でモラルハザード(倫理崩壊)が相次ぐのか−−。今回の青果市場に関するうわさについて、27日に会見した香取市幹部は、「青果市場が1戸の農家のホウレンソウを受け入れ、それが周囲の農家に知られ、出荷する農家が増えていった」と説明した。市の聞き取りに、出荷農家の一人は「生活に困るから」などと話したという。
県産農産物のブランド全体を傷つけかねない一連の事態に、関係者から怒りや無念の声が上がっている。
JAかとり小見川野菜出荷組合で葉菜部会長を務める生産者の蓑輪耕作さん(64)は、「香取の農家は連帯が強いから、まさかこんなことはないと思っていた。なぜ守れなかったのか。考えられないことで残念だ」とうなだれている。
蓑輪さんはハウスと路地で育てるホウレンソウが収入の9割以上を占めるが、出荷の自粛や制限で250ケース(1250キロ)を廃棄した。4月は計10ケース(50キロ)しか出荷できず、売り上げは2万円ほど。5月末まで収入は見込めない。新たにホウレンソウの種をまいたのちに、一部農家の出荷制限破りを耳にした。風評被害を広げかねない行為に「いいものを作る以外に道はない。値が下がるのは怖い」と困惑する。
JA千葉中央会(千葉市中央区)の中村正博専務理事(60)は、「消費者の信頼を確保するために必死でやってきた。安心安全の義務を怠る背信行為で、許し難い」と怒りをあらわにする。出荷制限が22日にようやく解除された直後の事実発覚に、「がっかりした。放射能の被害は降ってわいた災害で、農家に全く非はない。歯を食いしばって消費者の信頼に沿うべきだ」。
JAかとりの岩瀬幸雄常務(64)も「出荷は一部の農家なのに、消費者は『千葉』『香取』というだけで十把ひとからげにするだろう。大半の生産者はルールに従っており、迷惑だ」と腹立ちが収まらない様子。各生産部会に出荷制限を周知徹底してきたといい、出荷農家について「JAの部会に加入していなかった可能性がある。個人名が分かり次第そういう行為は遠慮するよう言うつもりだ」と話した。【黒川晋史、斎藤有香】
4月28日朝刊
原子力施設の安全性 県が独自に検証へ 青森
産経新聞 4月29日(金)7時56分配信
三村申吾知事は28日の定例会見で、原子力関連施設の安全性などについて県独自に検証する「原子力安全対策検証委員会」(仮称)を設置する考えを明らかにした。東京電力福島第1原発の事故を受け、安全確保に向けた県独自の取り組みを強化する狙いがある。
三村知事は「福島第1原発の事故で県民の間には国の対応に不安の声があることを重く受け止めている」として、原発事故の収束が見えない中で、国の安全対策の指針が出る前に独自に安全対策に取り組む必要性を強調した。
検証委はさまざまな分野の外部の専門家で構成し、早急に設置する考え。三村知事は「専門的な議論を踏まえてしっかり検証していく」と語った。
屋内退避」住宅で窃盗容疑、兄弟逮捕
TBS系(JNN) 4月29日(金)5時48分配信
窃盗などの疑いで逮捕されたのは、福島県いわき市の23歳と18歳の無職の兄弟で、先月26日から今月4日までの間に、当時、「屋内退避指示」が出されていた原発から30キロ圏内の男性会社員(48)の住宅に侵入し、高級腕時計など58万円相当を盗んだ疑いが持たれています。
時計が都内の質屋で換金されたことから、兄弟が浮上したということで、警視庁は余罪を調べています。(29日02:21).最終更新:4月29日(金)9時45分
農漁業自粛も賠償 1次指針 風評は2次で救済
産経新聞 4月29日(金)7時56分配信
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第1次指針で示された主な賠償範囲(写真:産経新聞)
東京電力福島第1原発事故の損害賠償交渉指針を定める文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は28日、1次指針を決定した。指針では政府による出荷制限だけでなく農漁業の自粛や、避難費用などを賠償対象として認定。精神的苦痛や風評被害についても原発被害にあたるとの認識を示したが、判定基準や線引きが難しく2次指針以降で救済していく方針を確認した。
今回の指針では、具体的な賠償額の提示はなかったが、東電側に対し賠償額が最終的に確定する前でも一定期間ごとに支払いをしたり前払いをするなど柔軟な対応を要求した。海江田万里経済産業相は同日の記者会見で「1次指針の内容を精査して仮払いができるように東電側に働きかけたい」と述べた。
指針では、政府指示による避難者の宿泊代や交通費、就労不能による給与の減収分などに加え、放射線被曝(ひばく)の検査費用や健康状態の悪化による治療費など詳細に損害を認定。航行危険区域設定や出荷制限で損害が出ている農漁業従事者には、減収分を損害と認めたうえ、自主的に出荷を停止したものについても損害にあたると判断した。
避難費用については被害者が数万人に及ぶため、実費精算では早期の救済が図られないとして、平均的な損害額を算定する見通し。このうち宿泊費に関しては、ホテルなどに泊まった人と実費負担はないが苦痛を伴い避難所生活した人とに賠償の差異を設けるかは検討課題となった。避難者の精神的苦痛は、「日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたとして損害と認める余地がある」としながらも具体的な算定は困難で、避難の経緯や避難施設の環境などを類型化する必要性も示された。さらに風評被害についても、食品が返品されるなどの被害については明確な因果関係があると認められるが、価格下落などが原発か地震や津波による影響かが判然としない部分もあり、賠償の線引きは2次指針以降に委ねられた。
1号機、注水量減らす=圧力低下、爆発防止で—福島第1
時事通信 4月29日(金)12時32分配信
福島第1原発事故で、東京電力は29日午前、1号機の原子炉圧力容器に注入していた水量を、毎時10トンから6トンに戻した。注水で温度や圧力が低下しているが、圧力が下がりすぎると水素爆発の可能性が生じるため減らした。
1号機では、核燃料を冷却するため圧力容器を覆う格納容器を水で満たす「水棺」に向け、27日から注水量を毎時6トンから10トンに増やし、容器内の状態を調べていた。
格納容器内の圧力は29日午前5時時点で約113キロパスカルと低下傾向にあり、大気圧に近づいている。大気圧より低くなると酸素を含む空気が流入し、水素爆発の可能性が生じるという。東電は爆発防止のため、窒素の注入も続けている。
小佐古内閣官房参与が辞意 政権を批判
産経新聞 4月29日(金)19時26分配信
小佐古敏荘(こさこ・としそう)内閣官房参与(東京大大学院教授)が29日、官邸を訪ね菅直人首相宛に辞表を提出した。小佐古氏は29日夕記者会見し、菅政権の福島第1原発事故への取り組みについて「その場限りの対応で、事態の収束を遅らせた」と批判した。
小佐古氏は「(自らの)提言の一部は実現したが対策が講じられていないのもある。正しい対策の実施がなされるよう望む。国際常識のある原子力安全行政の復活を強く求める」との見解を報道陣に配布した。
小佐古氏は放射線安全学の専門家で、3月16日、参与に起用された。
福島第1原発 4号機燃料、損傷なし プール映像公開
毎日新聞 4月29日(金)21時2分配信
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東電福島第1原発4号機の使用済み核燃料プール(水温88度)。燃料を収めたラックの上に、コンクリートとみられるがれきが入り込んでいる=2011年4月28日撮影(東京電力提供)
東京電力は29日、福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールの水中映像を公開した。3月15日の爆発で破損した建屋の一部とみられるがれきが確認されたが、東電は映像とプール水の放射性物質の濃度から「使用済み燃料に大きな損傷はみられない」と分析している。
【建設中の貴重な写真も】福島第1原子力発電所の歴史
映像は28日、冷却のため注水を続けているコンクリート圧送車を遠隔操作し、燃料の上部約6メートルの水面付近から水中カメラで数秒間撮影した。がれきは燃料を収めたラックの上などで確認された。
また、同日に採取したプールの水に含まれる放射性物質の分析結果も公表。半減期が8日と短いヨウ素は1立方センチ当たり27ベクレルで、前回13日から9割近く減少した。また、セシウム134(半減期2年)とセシウム137(同30年)も、5〜6割程度に下がった。前回調査時からプールの水量が1.6倍に増えて希釈されたとみられ、東電は「(プール内で)新たな放射性物質の放出がされた状態ではないと考えている」とした。
4号機は海水で冷やす通常の循環冷却システムが失われ、外部からの注水を続けているが、29日午前で水温88度と高い状態が続いている。
また東電は29日、格納容器を水で満たす「水棺」作業を進めている福島第1原発1号機について、注水量を毎時10トンから6トンに戻した。【八田浩輔、中西拓司】
福島第1原発:内閣官房参与、抗議の辞任
辞任会見で、涙ぐみ絶句する小佐古敏荘氏=衆院第1議員会館で2011年4月29日午後6時15分、塩入正夫撮影 内閣官房参与の小佐古敏荘(こさこ・としそう)・東京大教授(61)=放射線安全学=は29日、菅直人首相あての辞表を首相官邸に出した。小佐古氏は国会内で記者会見し、東京電力福島第1原発事故の政府対応を「場当たり的」と批判。特に小中学校の屋外活動を制限する限界放射線量を年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と異論を唱えた。同氏は東日本大震災発生後の3月16日に任命された。
小佐古氏は、学校の放射線基準を年間1ミリシーベルトとするよう主張したのに採用されなかったことを明かし、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と主張した。
小佐古氏はまた、政府の原子力防災指針で「緊急事態の発生直後から速やかに開始されるべきもの」とされた「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」による影響予測がすぐに運用・公表されなかったことなどを指摘。「法律を軽視してその場限りの対応を行い、事態収束を遅らせている」と述べた。
記者会見には民主党の空本誠喜衆院議員が同席、「同僚議員に20ミリシーベルトは間違いと伝えて輪を広げ、正しい方向に持っていきたい」と語った。空本氏は小沢一郎元代表のグループに所属する一方、大震災発生後は小佐古氏と協力して原発対応の提言を首相官邸に行ってきた。菅首相は大震災発生後、原子力の専門家を中心に内閣官房参与を6人増やしている。【吉永康朗】
◇「子ども20ミリシーベルト」専門家も賛否
政府は国際放射線防護委員会(ICRP)が原子力事故の収束段階で適用すべきだとして勧告した年間許容量1〜20ミリシーベルトの上限を根拠に採用。1日8時間を屋外で過ごすとして子どもの行動を仮定した上で、放射線量が年20ミリシーベルトを超えないよう、毎時3.8マイクロシーベルト以上の学校などで屋外活動を1日1時間に制限する通知を文部科学省が19日に出した。
文科省は「余裕を持って決めた基準で、実際に年間20ミリシーベルトを被ばくすることはない」と説明するが「子どもを大人と同様に扱うべきでない」として他の放射線の専門家からも異論が出ているほか、日本弁護士連合会も反対声明を出している。
ICRP主委員会委員の経験がある佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は「政府は厳しい側の対応をとっており、影響が出ることはない」と理解を示す一方、「被ばくを減らす努力は必要だ」と指摘する。【西川拓、永山悦子】
福島第1原発:東電の免責求める 自民・吉野氏
29日の衆院予算委員会で、福島第1原発事故を巡る東京電力の賠償責任免除を求める質問を自民党の吉野正芳氏が行った。原子力損害賠償法には「異常に巨大な天災地変」時は免責する規定があり、吉野氏は「莫大(ばくだい)な災害が起きた場合に東電の責任を無視して全部国がみる規定になっている。東日本大震災を過小な災害と認定するのか」として国が一義的に責任を負うよう主張した。
◇首相「税金で全賠責、違う」
菅直人首相は「財源は国民の税金。国がすべての賠償責任を負うのは違うのではないか」と答弁。枝野幸男官房長官も記者会見で「国会などでも大津波によって事故に至る危険性が指摘されていた。免責条項に当たる状態ではないと明確に言える」と否定した。
吉野氏の主張について自民党の石破茂政調会長は「東電の社会的責任を認識したうえでの発言と理解している」と説明、免責の是非については明言を避けた。東電側は清水正孝社長が28日に「そういう理解があり得る」と述べるなど、免責条項の適用を求める姿勢もちらつかせている。【平田崇浩】
福島第1原発:20ミリシーベルト基準変えず 細野補佐官
原発事故担当の細野豪志首相補佐官は29日、TBSの報道番組で「原子力安全委員会から助言を受けているものなので、政府の最終判断だ」と述べ、20ミリシーベルトの基準は変えない考えを示した。
義援金、被災者に届かない…給付は1割未満
. 東日本大震災で寄せられた義援金の給付が進まない。岩手、宮城、福島の3県へ日本赤十字社などから送られた約580億円(第1次分)のうち、被災者の手元に届いたのは1割にも満たないことが、読売新聞の調べでわかった。
事務を担当する市町村側で職員が足りなかったり、住民への通知や本人確認が出来なかったりし、足踏み状態が続いている。
日赤や中央共同募金会など4団体と被災した15都道県による「義援金配分割合決定委員会」は今月8日、死亡・行方不明者1人当たり35万円、住宅の全壊・全焼は1戸当たり35万円、半壊・半焼は同18万円を各世帯に配ることを決めた。
宮城県には計約238億円が配分されたが、実際に受け取った被災者は、ほとんどいない。全職員の7人に1人が死亡・行方不明となった同県南三陸町では、戸籍が流失するなどして受取人の確認が難しいことに加え、町外への避難も十分把握できないという。「事務量が多く義援金にまで手が回らない」と、町職員から悲鳴が上がっている。
岩手県には約101億円が配分されたが、29日現在、申請を受け付けているのは、対象23市町村のうち宮古市など5市町村のみ。野田村が、県と村の独自分を上乗せして259人に計1億4002万円を渡しただけで、他の自治体では支給はこれからだという。
(2011年4月30日03時04分 読売新聞)
仙台市で「震度7」記録していた…専門家分析
. 東日本大震災によって仙台市で「震度7」を記録していたことが、神山真・元東北工業大教授(地震工学)の分析で分かった。
気象庁は仙台市の震度を「6強」と発表していたが、栗原市に並ぶ最大震度の揺れに見舞われた地域もあった。
同大は独自に、仙台、多賀城、名取の3市の学校に地震計20台を設置している。大震災の3月11日、このうち17台で揺れの観測に成功。神山元教授が観測値を基に震度を計算したところ、仙台市若林区の七郷中で「震度7」、太白区の東長町小、宮城野区の岩切中、泉区の七北田中で「震度6強」となった。
揺れの強さを表す指標である「加速度」も、七北田中で1853ガルを観測、阪神大震災での最大値818ガルの2倍以上となった。神山元教授は「地震計を多く設置すれば地域ごとの揺れが詳しく分かり、適切な初動対応につながる」と話している。
(2011年4月29日22時02分 読売新聞)
宮城県沖の海底地盤、50mずれて7m隆起
. 東日本大震災で、宮城県沖約200キロの日本海溝付近の海底地盤が南東に約50メートル移動、約7メートル隆起していたことが、海洋研究開発機構の深海調査でわかった。
移動量としては、これまでの観測で最大という。
同機構は3月下旬、深海調査研究船「かいれい」を使い、同海溝付近で地震に伴う海底地盤の変化を調べ、1999年の調査時のデータと比較した。移動した部分は、幅40キロにわたっていた。こうした海溝付近の大きな動きが、破格の巨大津波を生んだとみられている。
海溝の最深部(深さ約7600メートル)では、陸側の地盤が幅約1500メートルにわたって崩れた跡も見つかった。今回の地震で海底地滑りが起きた証拠とみられ、同機構の冨士原敏也技術研究主任は「局所的な地滑りとみられるが、日本海溝にある過去の海底地滑りと比べても大きい」としている。
(2011年4月29日18時56分 読売新聞)
2011年 4月 28日
独立行政法人海洋研究開発機構
深海調査研究船「かいれい」による海底地形調査結果について(速報)
〜東北地方太平洋沖地震に伴う震源域近傍における海底変動〜
1.概要
独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏、以下JAMSTECという。)では、平成23年3月15日から31日にかけて文部科学省の科学研究費補助金(特別研究促進費)による「2011年東北地方太平洋沖地震に関する総合調査」の一環として、東北地方太平洋沖地震の震源域で反射法地震探査、測深器を用いた海底地形の調査等を行いました。
調査は、東北地方太平洋沖地震の震源域・津波波源域において、JAMSTECが所有する深海調査研究船「かいれい」(以下「かいれい」という。)により、平成11年に実施した調査(KR99-08)と同一測線上で観測したデータ(KR11-05)の比較を行い(図1)、地震に伴う海底地形・地下構造の変化を調べました。
海底地形調査の結果、震源近傍から海溝軸に至る領域が南東〜東南東方向に約50 m移動し、上方に約7 m移動した可能性があることが判明しました。
2.成果
今回、海底地形調査結果として、海溝軸の西側で特に大きな変位があることが判明しました(図2)。この変位は今回の地震によって生じた海底地形の変化を示しており、本震震源近傍から海溝軸に至る領域(海溝軸の西側の領域、図2で示している40kmの領域)が南東〜東南東方向に約50 m移動し、上方に約7 m移動した可能性を示しています(数値は0.5%程度の深さ方向の誤差をもつ(※1))。
これまでに、海上保安庁、東北大学の海底地殻変動観測から、本震の震源域付近の地殻変動観測点においてそれぞれ24mから31mの水平変動が報告されていました。それらに今回の結果を加えることによって、宮城県沖においては、それぞれ海底面の変動は日本海溝の海溝軸まで及んでいることが新たに判明しました。このことは、地震に伴う破壊が海溝軸まで及んだことを示唆しています。
また、海溝軸付近の海底(水深約7600 m)に幅約1500 m、高さ約50 mの地形変化(高まり)が見られ、海溝軸底の直ぐ陸側部に地形が低く変位した斜面があることから、海底地すべりに伴う地形変動であると思われます(図3)。
3.今後の予定
JAMSTECでは、今回調査の地下構造に関するデータ(図4)の解析については現在鋭意進めており、今回の地震による地下構造の変化についての解明に努めています。また今後はより広範囲に地下構造及び海底地形の調査を実施し、今回の地震に伴う大規模津波発生のメカニズムを明らかにしていく予定です。
※1 海底地形調査は本来広域の地形を把握するためのもので、一般的に水深の0.5%程度の深さ誤差をもつ。そのため、今回の結果も水平偏差でプラスマイナス20mの不確定さ、上下偏差で10mの不確定さを持つ。今回は、地震に伴う海底変動が大きかったため、海底地形調査でも地震前後の海底変動が観測された。
参考
図1:黒太線が「かいれい」調査測線(KR99-08, KR11-05航海)の位置を、黄色の星印が平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の本震の震央をそれぞれ示す。
図2:地震後(KR11-05)と地震前(KR99-08)の海底地形の差。矢印つきの実線で示される海溝軸の西側(144度より西側)で地震前後の海底地形の差が大きく、10〜20 m高くなっている。実線で示した部分は、今回の調査で陸側斜面が南東〜東南東方向に約50 m移動し、平均7 m上方に移動したと見積もられた領域。
図3:海底地形断面図。赤線が地震後(KR11-05)、黒線が地震前(KR99-08)のデータ。白色に塗られた部分が、海底地すべりに伴う地形変動を示す。
図4:KR11-05反射法地震探査記録データ(縦軸は、海面から発した音波が海面に戻ってくるまでの時間)黒枠は、図3に示す海溝軸付近の領域を示す。
お問い合わせ先
独立行政法人海洋研究開発機構
(本研究について)
地球内部ダイナミクス領域 海洋プレート活動研究プログラム 海洋底ダイナミクス
観測研究チーム 技術研究主任 冨士原 敏也 046-867-9324
地震津波・防災研究プロジェクト データ解析グループ
技術研究副主任 野 徹雄 045-778-5392
(報道担当)
経営企画室 報道室 奥津 光 電話:046-867-9198
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20110428/
首相「おわび申し上げたい」最高顧問の苦言に
. 「電話で『入閣してくれ』と言うのは、やっぱり政治の経験が浅い」。
民主党の渡部恒三最高顧問は29日の衆院予算委員会で、菅首相が東日本大震災後の先月19日、自民党の谷垣総裁に電話で入閣要請したことに苦言を呈した。
渡部氏は、「谷垣氏に連立を求めたのは間違いなかったが、やり方が違う」とし、「私なら自民党本部に行き、手をついて谷垣氏に『国のために、あなたが首相になってください。私は副総理でお仕えします』と言っただろう。そうしたら谷垣氏も断れなかった」と語った。
神妙な表情で聞き入っていた首相は、答弁で「色々な面で私の態度が不十分だったことをおわび申し上げたい」と陳謝。その後、同様に入閣要請を質問で取り上げた自民党の石破政調会長に対しても、首相は「必ずしも適切ではなかった。思慮に欠けていたと反省している」と答えた。
(2011年4月29日21時42分 読売新聞)
小佐古参与が抗議の辞意 子供の被曝基準「容認できぬ」2011年4月29日22時48分
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. 内閣官房参与の小佐古敏荘(こさこ・としそう)・東大大学院教授(61)が29日、東京・永田町で記者会見を開き、参与を辞任する意向を表明した。小佐古氏は菅政権の福島第一原発事故対応について「法律や指針を軽視し、その場限りだ」と批判した。
小佐古氏は会見に先立って首相官邸を訪ね、今月30日付の辞表を提出した。
会見では特に、小学校などの校庭利用で文部科学省が採用した放射線の年間被曝(ひばく)量20ミリシーベルトという屋外活動制限基準を強く批判。「とんでもなく高い数値であり、容認したら私の学者生命は終わり。自分の子どもをそんな目に遭わせるのは絶対に嫌だ」と訴えた。「通常の放射線防護基準に近い年間1ミリシーベルトで運用すべきだ」とも述べた。
また、緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測が4月下旬までに2回しか公表されなかったことも批判。「今のやり方は、東京で数字をぼっと決めてやっている」と指摘し、政権の対応について「私がやってきたことからは外れているので、これ以上とどまっている理由はあまりない」と語った。
小佐古氏は放射線安全学などが専門で、東日本大震災発生後の3月16日、原発事故の助言を政権に求められて参与に就任した。菅直人首相は小佐古氏ら計6人の原子力専門家らを次々に内閣官房参与に任命した。
.
asahi
1号機への注水量、元に戻す 圧力、予想以上に下がる(1/2ページ)2011年4月29日21時58分
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福島第一原発の状況と対策
東京電力は29日、福島第一原発1号機の格納容器に水を充填(じゅうてん)する「水棺」の試験のため毎時10トンに増やしていた注水量を元の6トンに戻した。温度や圧力が下がったためで、引き続き様子をみる。2号機では、坑道にたまった高濃度汚染水を集中廃棄物処理施設に移送する作業を、点検のため中断。30日にはポンプを1台追加して再開し、移送量を増やすという。
水棺は、原子炉圧力容器を囲む格納容器に水をため、圧力容器の燃料上端部の位置までを丸ごと冷やすのが目的だ。圧力容器内に一定量以上の水を注げば、弁や壊れた配管などから水や蒸気が出て、格納容器が水で満たされる。
東電は水棺を確実に実現するため、注水量を現状から増やそうと計画。ただ、原子炉や格納容器の温度、圧力がどう変化するか確かめる必要があることから、東電は27日午前10時すぎから、試験的に1号機への注水量を増やした。
当初は、注水量を毎時14トンまで増やす予定だった。ところが、温度や圧力が予想以上に低下。注水を増やす前の132度、1.5気圧が、29日午前5時現在では113度、1.1気圧になった。注水によって格納容器内を満たしていた水蒸気が冷やされて水になり、圧力が下がったとみられる。
圧力が1気圧を下回ると、酸素を含む外気が吸い込まれ、格納容器内にたまった水素が爆発を起こしかねない。爆発を防ぐための窒素の注入も進めているため「水素の濃度は1%未満とみられ、爆発のリスクはさほど高くない」とはいうものの、48時間が過ぎた29日午前10時すぎの段階で、注水量を元に戻すことにした。
水棺を実現するためにどの程度の注水量が必要かは正確にはわかっていない。ただ、東電によると、燃料の発熱量が下がっているとみられ、現状の毎時6トンのままでも、燃料を冷やす上では十分の可能性もあるという。格納容器内には現状でも、ある程度の水がたまっているとみられ、データを分析し、どのような注水方法がいいかを検討する。
原子炉建屋には同日、ロボットが入って撮影。注水量の増加に伴う格納容器からの水漏れがないことを確認した。ただ、格納容器内のどこまで水位が上がっているかは不明だ。
2号機は毎時6.9トン、3号機では毎時6.5トンで注水が続いている。水棺も検討されているが、まずは窒素の注入法を探っている。
一方、2号機の汚染水の移送作業は、約1万トンの移送を目標に19日から進められ、約2390トンが移送された29日午前に中断。
点検では、ホースや収容先の施設の壁に漏水がないことを確認した。移送中にホースの周辺の放射線量が高くなったことを踏まえ、作業員が行き来しやすいよう鉛のマットで覆う作業をした。
点検に合わせて3号機の坑道から汚染水をくみ上げるためのホースの設置も準備。3号機でも坑道のたて坑の水位が地上から94センチで上昇傾向にあるという。
4号機の燃料プールでは28日、撮影とともに150ccの水を採取。セシウム137が1ccあたり55ベクレル、ヨウ素131が1ccあたり27ベクレルと、いずれも13日に比べ下がっていた。東電は「追加の放射性物質の放出はない」とみており、プールに放水した海水に含まれていた放射性物質を検出している可能性も示唆した。
政府と東京電力で作る「事故対策統合本部」は29日、25日から毎日続けるとしていた共同会見を開かなかった。大型連休中は隔日実施するという。(佐々木英輔)
東日本大震災の前兆すべり観測できず 問われる予知体制(1/2ページ)2011年4月26日22時20分
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前兆すべりの仕組み
巨大地震の前触れと考えられている「前兆すべり」が東日本大震災の前に観測されなかったことが、26日に開かれた地震予知連絡会で報告された。前兆すべりの検知を前提とした東海地震の予知体制のあり方が問われることになりそうだ。
予知連では、山岡耕春名古屋大教授が、国土地理院や防災科学技術研究所などの観測結果をまとめて報告。全地球測位システム(GPS)による地殻変動や、岩盤のわずかな伸び縮みや傾きを観測データを示し、「本震前に前兆すべりのような顕著な変動はみられない」と説明した。
前兆すべりは、地震を起こすプレート(岩板)とプレートの境界が、地震の前にゆっくりと滑り始める現象。東海地震の予知を目指して、気象庁は東海地方に展開する観測網でとらえようとしている。
この理論では、東日本大震災の前に前兆すべりが観測されたはずだった。観測網は東海地方の方が充実しているが、マグニチュード(M)9.0という巨大地震でも観測できなかったことは、M8級と想定される東海地震の予知が本当に可能かの検証が必要になる。
東海地震は、政府が唯一予知の可能性があるとして、大規模地震対策特別措置法で予知した場合に備えた防災体制を構築している。
地震予知連会長の島崎邦彦東大名誉教授は「東海地震のような前兆すべりは観測できなかった」と認めた上で、「(観測条件や地下の特性は)東海とは同じではない」と話した。
東海地震の予知は、地震学者にも「今の地震学では予知できない可能性の方が高い」とする意見や、ロバート・ゲラー東大教授のように「政府は不毛な短期的地震予知を即刻やめるべきだ」との指摘もある。しかし、予知の可能性は残されており、政府は失敗した場合に備えながらも、予知体制を維持している。
気象庁地震予知情報課の土井恵治課長は「前兆すべりがとらえられなかったことは事実だが、『なかった』と証明されたわけではない。東海地震の予知体制が否定されたわけではなく、今後も見逃さないように観測を続けていく」と話している。(松尾一郎)
-東日本大震災-「前兆すべり」観測されず…地震予知連絡会
毎日新聞 4月26日(火)20時46分配信
大地震の直前に観測される現象が、東日本大震災では検出されていなかったことが26日、震災後初めて開かれた地震予知連絡会で報告された。この現象は東海地震の予知で重要な手段となっている。島崎邦彦会長(東京大名誉教授)は「東海沖と東北沖はプレート(岩板)の状況が異なる。今回の結果をもって、東海地震の予知ができないということにはならない」と述べた。
この現象は「前兆すべり(プレスリップ)」と呼ばれ、大地震の前に地震の原因となる断層がすべり始めるもの。最終的に断層面が強く密着している「固着域」がはがれて強い揺れを起こす。予知連は、大学や研究機関のデータを集約したが、プレスリップは検出できなかったという。
一方、大震災の2日前の3月9日、震源から北東に約40キロで発生したマグニチュード(M)7.3の地震について、産業技術総合研究所のチームが前震と報告した。その後の地震は徐々に11日の大震災の震源に近づいていったという。
巨大地震を予知できなかったことについて、島崎会長は「地震学の常識では、海溝付近のプレートがこれほど強く固着していると考えられていなかった。同じことは他の海溝型地震でも起こりうる。海底の地殻変動の監視を強化する必要がある」と話した。【西川拓】
日本の対応の遅れ批判=福島原発事故でロシア首相
時事通信 4月30日(土)21時37分配信
【モスクワ時事】ロシアのプーチン首相は30日、福島第1原発事故について、大津波で原子炉冷却装置の発電機が壊れた後、代替電源の確保が遅れたことが事故につながったと述べ、日本側の対応の遅れを批判した。
首相は「代替電源を外から持ち込むべきだったが、彼らは迅速に対応せず、問題が発生した」と述べた。また「日本は地震危険地帯に原発を建設した。理由は分からないが、それが彼らの選択だった」と指摘し、原発建設先の選択を批判した。
台湾4都市で反原発デモ=「福島の悲劇繰り返すな」
時事通信 4月30日(土)17時55分配信
【台北時事】福島第1原発事故を受け、台北や台南など台湾の4都市で30日、反原発デモが行われた。台北では主催者発表で約1万人が参加し、「原発は要らない」などと声を上げながらデモ行進した。日本からも反原発団体の活動家2人が参加した。
台湾では3カ所の原発で計6基の原子炉が稼働しているほか、1カ所で建設が進められている。これらのうち3カ所は台北から40キロ圏内に集中しており、事故が発生した場合には大きな混乱が懸念されている。主催者団体は「福島の悲劇を繰り返さないため、建設中の原発は中止、稼働中の原発は廃炉にすべきだ」と主張している。
「場当たり的」批判、官房長官は「誤解」強調
. 福島原発
小佐古敏荘(こさことしそう)東大教授(放射線安全学)が、東京電力福島第一原子力発電所事故を巡る政府の対応を「場当たり的だ」などと批判して内閣官房参与を辞任したことは、首相が東日本大震災後に次々と任命した参与を使いこなせていない実態をあらわにした。
首相は30日の衆院予算委員会で、「見解の相違だ。政府は参与の意見も含め、議論の結果に基づく原子力安全委員会の助言で対応している。場当たり的とは考えていない」と強調した。
高木文部科学相は小学校などの校庭利用の安全基準に関し、「この方針で心配ない」と明言。枝野官房長官も記者会見で「20ミリ・シーベルトまでの被曝(ひばく)を許容したものではない。明らかに誤解している」と反論した。
ただ、震災後、小佐古氏を含めて6人も参与に起用したのは首相自身だ。今回の事態が新たな痛手となるのは避けられそうにない。
(2011年5月1日01時05分 読売新聞)
校庭利用基準、安全委開かず「差し支えない」
. 福島原発
福島第一原発事故について政府が設定した校庭利用基準を検討する際、原子力安全委員会(班目(まだらめ)春樹委員長)が正式な委員会を開かず、2時間弱で「差し支えない」とする助言をまとめ、国の原子力災害対策本部に回答していたことが分かった。
安全委事務局の加藤重治・内閣府審議官が30日の記者会見で明らかにした。
加藤審議官によると、4月19日午後2時に同本部から助言要請があり、事務局が、班目委員長を含む5人の委員から、対面と電話で意見を聞き、助言をまとめた。委員会が開かれなかったため、議事録もないという。加藤審議官は「19日以前から、文部科学省とは協議しており、委員の間でも話し合い、かなりの合意ができていた。この日の意見聴取だけでまとめたわけではない」と説明している。
(2011年4月30日23時54分 読売新聞)
福島県内7か所、牧草が放射性物質の規制値超す
. 福島原発
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、福島県は30日、県内7か所の牧草の放射性物質濃度を測定した結果、7か所全てで放射性ヨウ素、同セシウムのいずれか、または両方が農林水産省が定めた規制値を上回ったと発表した。
測定は福島、二本松、田村、相馬の4市と平田、西郷、鮫川の3村で実施。最も濃度が高かったのは相馬市で、ヨウ素が1キロ・グラムあたり170ベクレル、セシウムが同9200ベクレルだった。
同県が牧草の測定をしたのは初めて。県は3月19日に、事故後に収穫した牧草の使用自粛を求めており、同日以降、県内の牧草は使用されていないとしている。
(2011年5月1日00時53分 読売新聞)
福島原発に仮設防潮堤…M8級余震・津波へ備え
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東京電力福島第一原子力発電所の事故対策統合本部は30日、仮設の防潮堤の新設など、東日本大震災の余震に伴う津波への対策を発表した。
同本部は余震と津波について「工程を妨げる最大の脅威」として対策を急いでおり、7月までに完了させる方針だ。
東電は専門家の指摘を基に、東日本大震災(マグニチュード=M9・0)の震源域より東側の海域でM8級の余震が起き、高さ7〜8メートルの津波が同原発に襲来すると想定。津波は原発敷地の南東側から標高4メートルエリアに浸入し、さらに遡上(そじょう)して標高10メートルのエリアにある3、4号機の原子炉建屋周辺までが1〜2メートル浸水すると予測した。
東電は仮設防潮堤を標高10メートルの敷地の南東側に、全長500メートルにわたって1〜2メートルの高さで設置。石を詰めた籠状の金網を積み重ね間に水の遮蔽シートをはさんで津波を防ぐ。6月中旬までに終了させる予定だ。
(2011年5月1日00時46分 読売新聞)
校庭20ミリ・シーベルト規制「妥当」…安全委
. 年間20ミリ・シーベルトの放射線量を上限に福島県の保育園や幼稚園、小中学校の校庭利用を認める政府の方針に抗議して、小佐古敏荘(こさことしそう)内閣官房参与が辞任をした問題で、原子力安全委員会事務局の加藤重治内閣府審議官は30日、福島第一原発の事故対策統合本部の共同記者会見で、「線量をできるだけ低くする努力は必要」としながら、基準自体は「国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方に基づいている」と述べ、妥当とする考えを示した。
文部科学省も当面は現行の基準を続ける考えを示したが、福島県生活環境部の佐藤節夫部長は30日、「地元は不安が高まり、何を信用していいのか、ということになりかねない」と、政府の混乱ぶりを批判した。
(2011年4月30日20時49分 読売新聞)
浜岡3号機再稼働へ中部電力が布石 原子力本部を新設2011年4月29日0時27分
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中部電力は28日、東海地震の震源域である静岡県御前崎市の浜岡原子力発電所3号機を7月に再稼働することを前提とする、2012年3月期の業績見通しを正式発表した。7月に原子力本部を新設して副社長を本部長に充てる人事や、大規模災害対策を最優先課題とする経営計画も同時に発表。津波対策と合わせ、3号機の再稼働に理解を得る狙いだ。
原発の再稼働には、地震や津波が起きた時の安全性の観点から地元自治体の反発が強いが、水野明久社長は「安全性については十分確認している。さらに安全性を確かめるために緊急の津波対策もする」と説明。夏場は電力需要が増えることから「浜岡原発がない場合、電力の安定供給がかなり難しくなる」とも指摘し再稼働への理解を求めた。
今年度の経営計画には「原発の安全性確保を始めとする大規模災害対策を最優先する」と明記。現在の発電本部から原子力を独立させる組織改革も打ち出し「浜岡原発の津波や災害対策を一段と強化する」姿勢を強調した。
中電は今後2カ月間かけて津波対策などを地域住民に説明。合意を得たうえで再稼働したい考えだ。しかし、静岡県や御前崎市など地元自治体の首長らは再稼働について慎重な姿勢を崩しておらず、交渉の難航は避けられそうもない。
定期検査中の3号機が7月から再稼働する前提でたてた12年3月期の業績見通しは、売上高は前年同期比8.5%増の2兆5300億円となるが、純利益は550億円と35%減る。液化天然ガス(LNG)や石油など燃料価格の高騰で2期連続の大幅減益を見込む。(大月規義)
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4号機、燃料溶融寸前だった…偶然水流入し回避
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東京電力福島第一原子力発電所4号機で3月15日に発生した火災に伴う爆発の際、使用済み核燃料一時貯蔵プールに、爆発の衝撃で隣接する場所から水が偶然流れ込み、プール内にあった核燃料の過熱を食い止めた可能性があることが、東電の調査でわかった。
過熱が続いていれば核燃料が溶融し、現状を大幅に上回る放射性物質が放出される最悪の事態もあり得たとしている。
同原発は、3月11日の東日本大震災で津波に襲われ、外部電源が途絶。4号機の燃料プールへの冷却水注入も止まった。東電は現在、プールから1日約70トンの水が蒸発しているとみて、生コン圧送機で注水しているが、水位は計算通り上がっていない。東電はプールから水が漏れている疑いもあるとして調べたものの、原子炉建屋下部への漏水は確認されていない。
爆発は原子炉建屋の側壁が崩落するほど激しく、水素爆発が起きたとみられる。水の漏出先として東電が有力視しているのは、可動式のゲートを挟んでプールに隣接する「原子炉ウェル」。ゲートは爆発で破損し、水は原子炉ウェル側に漏れている可能性が高いという。
(2011年4月28日14時31分 読売新聞)
福島第1原発:被ばく 作業員2人200ミリシーベルト超
東京電力は30日、福島第1原発事故の復旧作業に当たっていた作業員2人が国の規制の限度に迫る200ミリシーベルトを超える被ばくをしたと公表した。3月末時点の外部被ばくと内部被ばくを合計した。東電は「福島第1原発の計測機器(ホールボディーカウンター)が使えなかった」として内部被ばくの測定が遅れたという。200ミリシーベルトを超える作業員の確認は初めて。
3月末までに100ミリシーベルトを超える外部被ばくをした21人について、優先的に内部被ばくを測定した。200ミリシーベルトを超えた作業員は、3月24日に3号機のタービン建屋で電源復旧作業中に被ばくし、病院に搬送された3人の協力会社社員のうちの2人。最も被ばく線量が高かった作業員は、外部被ばく201.8ミリシーベルト、内部被ばく39ミリシーベルトで、計240.8ミリシーベルトだった。現在、残る1人の作業員と共に同原発での作業はしていない。
21人のうち、合計200〜150ミリシーベルトが8人、150〜100ミリシーベルトは11人だった。
作業員(放射線業務従事者)の被ばく線量は、原子炉等規制法に基づく告示などで、5年間で100ミリシーベルト、1年間では50ミリシーベルトと規定。緊急時には別途100ミリシーベルトを上限に被ばくが許容されるが、国は特例で福島第1原発の復旧に限り、250ミリシーベルトに引き上げている。【奥山智己、八田浩輔】
福島第1原発:小学校で汚染土壌飛散対策 茨城大など実施
東京電力福島第1原発の事故で、放射性物質に汚染された土の除去に向けた化学処理を、茨城大と日本原子力研究開発機構のチームが、来月5日に福島県飯舘村の小学校で実施する。旧ソ連・チェルノブイリ原発事故で採用された、ひも状に長い分子(高分子)で表土を固める技術を改良した。実験では秒速20メートルを超す強風でも汚染土は巻き上げられず、雨による地中への浸透も抑制する効果が確認された。チームは「土ぼこりの飛散による内部被ばくを防ぎ、処理する土壌の量を最低限に抑えることができる」としている。
化学処理では、プラスとマイナスの電荷を持たせた2種類のセルロースを水に溶かして散布。高分子のセルロース同士が絡み合い、「接着剤」となって土の粒子を結合させて固める。チェルノブイリ事故時にロシアの化学者が提案した技術を応用した。当時はヘリコプターなどで約2万ヘクタール以上に散布された。
熊沢紀之・茨城大准教授(生物物理化学)が茨城県内の土や砂で実験したところ、1平方メートル当たり5リットルの水溶液をまくと、表面から1センチ超が固化。秒速20メートルの風でも粉じんがほとんど生じないことを確認した。環境負荷が小さく、農地や砂地にも転用可能だという。
ただし、放射線自体を軽減させるものではない。固めた表土は削り取る必要があるが、処理用地が整備される前に削ると汚染が拡大しかねない。熊沢准教授は処分方法について「福島原発の敷地に処理施設を造ってはどうか。時間が経過しても効果は落ちないので、早めに散布し、まず表土を固めておくことが大事だ」と訴える。【八田浩輔】
福島第1原発:被ばく測定装置使えず 線量高く判別不能に
東京電力福島第1原発では、事故の後、被ばくした作業員の体内に沈着した放射性物質を検出するために全身を一度で計測する装置「ホールボディーカウンター」4台が、原発内の空気の放射線量が高すぎて測定できなくなっていた。
被ばく線量が100ミリシーベルトを超えた東電社員らは、福島県いわき市の同社施設まで移動し、日本原子力研究開発機構の協力で設置された装置で測定を受けた。
東電によると、第1原発には計4台のホールボディーカウンターがあったが、震災後、津波や外部電源の喪失で使えなくなった。
外部電源は3月下旬までにつながり、電力供給は再開されたが、この間に、事故の影響で原発敷地内の空気の放射線量が上昇。全身測定装置を使って放射線を検出しても、それが検査を受けた人の内部被ばくによるものか、空気からの放射線の影響によるものかが区別できず、測定に使えなくなったという。
東電の放射線管理をめぐっては、3号機タービン建屋で作業員3人が被ばくした当日、現場の放射線量が測定されていなかったことや、作業員の人数に対し線量計が不足していたことが判明。対策拠点の「免震重要棟」に滞在していた作業員が浴びた放射線量についても、個人の線量を毎日は記録していなかったことが分かっている。
累積100ミリシーベルト超で原発作業5年不可
. 福島原発
厚生労働省は28日、東京電力福島第一原子力発電所の緊急作業で累積被曝(ひばく)線量が100ミリ・シーベルトを超えた作業員は、同原発での作業期間を含む5年間、他の原発などでの放射線業務に従事させないよう、全国の労働局に通達した。
作業員の被曝線量の積算方法については、東電側と厚労省に解釈の違いがあり、同省が改めて見解を示した形だ。
労働安全衛生法に基づく規則では、原発作業員の通常時の累積被曝限度は5年間で100ミリ・シーベルト、かつ1年間で50ミリ・シーベルトを超えてはならない、と定めている。一方、緊急時の限度を定めた別の条文では「通常時の限度にかかわらず、放射線を受けさせることができる」とも書かれているが、緊急時の被曝線量を通常時の基準に従って累積させるかどうかは、明記していない。東電ではこれまで、福島第一原発での作業で浴びた被曝線量は「5年間で累積100ミリ・シーベルトという上限とは、別枠だと考えている」(松本純一・原子力立地本部長代理)と説明してきた。
(2011年4月29日03時03分 読売新聞)
下水汚泥から高濃度放射能=再利用停止、降雨で流入か—福島
時事通信 5月1日(日)17時43分配信
福島県は1日、県中浄化センター(郡山市)で発生した下水汚泥から1キログラム当たり2万6400ベクレルの高濃度の放射性セシウムが検出されたと発表した。県は、福島第1原発事故で外部に放出された大量の放射性物質が降雨により下水に流れ込んだと推測している。
汚泥を減量化処理してできる「溶融スラグ」からは1キログラム当たり33万4000ベクレルが検出されたという。原発事故前に処理したスラグから検出されたのは246ベクレルだった。
同センターでは毎日80トンの汚泥が発生し、うち10トンを再利用のため県外のセメント会社に搬送しているが、県は1日付で再利用を停止。事故発生以降にセメント会社に運ばれた汚泥は計500トンとみられ、実際に再利用されたかなどについては今後調べるという。
福島県内7か所、牧草が放射性物質の規制値超す
読売新聞 5月1日(日)0時53分配信
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、福島県は30日、県内7か所の牧草の放射性物質濃度を測定した結果、7か所全てで放射性ヨウ素、同セシウムのいずれか、または両方が農林水産省が定めた規制値を上回ったと発表した。
測定は福島、二本松、田村、相馬の4市と平田、西郷、鮫川の3村で実施。最も濃度が高かったのは相馬市で、ヨウ素が1キロ・グラムあたり170ベクレル、セシウムが同9200ベクレルだった。
同県が牧草の測定をしたのは初めて。県は3月19日に、事故後に収穫した牧草の使用自粛を求めており、同日以降、県内の牧草は使用されていないとしている。 .最終更新:5月1日(日)0時53分
原発事故の政府対応、小沢系議員が厳しく追及
民主党の小沢一郎元代表のグループに属する森裕子、川上義博両参院議員は1日の参院予算委員会の質問に立ち、東京電力福島第1原子力発電所の事故に関して政府に野党議員のような厳しい追及をした。閣僚が色をなして反論する場面もあった。
「私の不明であったということくらい言ったらどうか」。川上氏は、玄葉光一郎国家戦略相が東日本大震災発生直後に、党会合で原発事故の深刻さの認識が甘かったととれる発言をしたと迫り、玄葉氏に反省を求めた。
玄葉氏は「原子力安全委員会から受けた報告を内部の会議で申し上げるのが、なぜいけないのか」と言い返したが、野党議員からは川上氏に同調するやじが相次いだ。
これに先立ち、森氏は、小学校の校庭利用を制限する放射線量を年間20ミリシーベルトとしていることを問題視。「絶対に認められない」と高木義明文部科学相に撤回を迫った。
津波の遡上高、30メートル超えが沿岸12キロで 東大地震研が調査
東日本大震災で、津波が陸地の斜面をさかのぼって到達した高さ(遡上高)が30メートルを超えた地点が沿岸12キロメートルにわたっていたことが1日、東京大学地震研究所の都司嘉宣准教授らの現地調査で分かった。巨大津波をもたらした1896年の明治三陸地震を上回り、世界的にも2004年のスマトラ沖地震に並ぶ史上最大規模の津波だったとみられる。
調査は岩手県宮古市から久慈市にかけた沿岸で実施。その結果、南北12キロメートルにわたり調査した5カ所すべてで、遡上高が30メートルを超えていた。明治三陸地震では約200キロメートルにわたる調査地域のうち、遡上高が30メートルを超えたのは2点のみだった。明治三陸地震はマグニチュード(M)8.2〜8.5で、都司准教授は「東日本大震災は地震の規模が大きかったため」と分析している。
調査地域内で最も高い遡上高は宮古市田老地区の37.9メートルと、スマトラ沖地震の津波に匹敵するとしている。
原発、海水利用の冷却断念…外付け空冷装置に
読売新聞 5月2日(月)3時8分配信
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東京電力は、福島第一原子力発電所1〜4号機の危機を収束させる手段について、本来の冷却システムである海水を使った熱交換器の復旧を、事実上断念した。
熱交換器が動けば原子炉などの温度を劇的に下げることができたが、ポンプ類が集中するタービン建屋に大量の汚染水がたまり、既存のポンプを使う熱交換器の復旧には相当の時間がかかると判断した。
今後は、補助的な位置づけだった空冷式の「外付け冷却」によって、100度未満の安定した状態(冷温停止)へ徐々に持ち込むことを目指す。
熱交換器は、海水が流れる装置の中に、原子炉などの冷却水が流れる配管を浸し、低温の海水で高温の冷却水を冷やす仕組み。冷却効率が高く、5、6号機では3月19日に熱交換器が復旧すると、原子炉内の温度が1日で約200度から約30度まで下がった。
東電は1〜4号機でも熱交換器の復旧を急いだが、タービン建屋の地下などには、原子炉から漏れ出したとみられる汚染水がたまり続けて排水が追いつかず、ポンプ類を復旧させるめどが立たない。また、余震による津波対策として作業用トンネル(トレンチ)をコンクリートで塞ぐことになり、トレンチ内の配管を通して海水を熱交換器へ引き込むのが難しくなった。 .最終更新:5月2日(月)3時8
官房長官:「小佐古教授、水規制値は引き上げ提言」と暴露
枝野幸男官房長官は1日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故の政府対応を批判して内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘(こさこ・としそう)東京大教授が3月、1キログラム当たり放射性ヨウ素300ベクレルとされていた飲料水や牛乳の暫定規制値を、10倍の3000ベクレルに引き上げることを提言していたことを明らかにした。
枝野氏によると、小佐古氏は3月28日、3000ベクレルへの引き上げを求める提言書を、菅直人首相と内閣府の食品安全委員長あてに提出した。しかし、厚生労働省は食品安全委員会と原子力安全委員会の見解に従い、300ベクレルの暫定規制値を維持した。枝野氏は「専門家の意見もいろいろあるなかで、安全性を優先しながらそれぞれ判断している」と強調した。
小佐古氏は辞任の際、小中学校の屋外活動を制限する放射線量の基準を年間1ミリシーベルトに下げるよう主張、20ミリシーベルトとした政府の判断を批判している。枝野氏の「暴露」には、小佐古氏の主張が一貫していないと印象づける狙いもあるようだ。【影山哲也】
福島第1原発:「校庭汚染土は放射性廃棄物」枝野官房長官
枝野幸男官房長官は1日の記者会見で、福島県郡山市が放射性物質を含むとして除去した小学校や保育所の土について「原発以外のところで発生する放射性廃棄物ということになる」と述べ、東京電力福島第1原発事故により放射性物質に汚染された廃棄物とみなした上で、今後処分のあり方を検討する考えを示した。
枝野氏は会見で、これらの土の除去について「受け入れていただけるところがなければ処理ができない。(警戒区域に設定された)20キロ圏内などのがれきの処理を含め、今後さまざまな問題になってくる」と指摘。「若干時間がかかるかもしれないが、国として(対策の)検討を進めていかなければいけない」と述べた。
枝野氏は一方で「文部科学省から示した指針に基づいて対応をいただければ(校庭の土を)除去する必要はない」との見解も示した。【影山哲也】
菅首相:G8サミットで新エネルギー政策表明へ
参院予算委員会で答弁する菅直人首相=国会内で2011年5月1日午後4時4分、津村豊和撮影 参院予算委員会は1日、東日本大震災の復旧対策を盛り込んだ11年度第1次補正予算案の総括質疑を行った。菅直人首相は、今月末にフランスで開かれる主要国首脳会議(G8サミット)について「クリーンなエネルギーをより重視する姿勢を打ち出したい」と述べた。東京電力福島第1原発事故を踏まえ、風力や太陽光などを積極的に取り入れる新エネルギー政策を表明する考えを示したものだ。「(事故の)事実関係をしっかりと国際社会に伝える」とも述べ、日本の情報発信に対する国際社会の批判の払拭(ふっしょく)を目指す考えも示した。
首相は第1次補正予算案の提出時期について「もっと早い方が望ましかった。おわびしたい」と陳謝した。
野田佳彦財務相は、震災の本格的な復旧・復興策を盛り込む11年度第2次補正予算案について「税と社会保障の一体改革の成案を踏まえないと作れない」と述べた。6月末にまとめる税と社会保障の一体改革で、1次補正予算案の財源に転用した基礎年金の国庫負担分2・5兆円を穴埋めする財源確保のめどをつけて予算編成に臨む考えを示したものだ。
また首相は、福島第1原発事故の賠償対象を検討している原子力損害賠償紛争審査会の第1次指針で対象外となった農作物などの風評被害について「できるだけ次の段階で入れるべきだ」と述べ、補償対象に含めるべきだとの考えを示した。被災地の事業主が二重ローンになることを防ぐ救済措置を検討する必要性にも言及した。
第1次補正予算案は2日午前の参院予算委員会で採決され、同日午後の参院本会議で成立する見通しだ。【野口武則】
共産党:志位委員長「原発撤退」プログラムの策定を要求
共産党の志位和夫委員長は1日、東京・代々木公園で開かれた第82回中央メーデーであいさつし、東京電力福島第1原発事故を踏まえ「政府に対し、原発からの撤退を決断すること、原発をゼロにする期限を決めたプログラムを策定することを強く求める」と表明した。
原発からの「段階的撤退」と自然エネルギーへの転換という従来の主張から一歩踏み込んだ発言。4月の統一地方選で議席を減らすなど党勢の退潮傾向が続くなか、存在感をアピールする狙いもあるとみられる。
会合後、志位氏は記者団に「今度の事故が甚大な被害を及ぼしており、国民の原発への見方は劇的に変わりつつある。期限を決めた撤退が国民の願いにかなうものだ」と説明した。【中田卓二】
「老婆心ながら守秘義務」と官邸、小佐古教授に
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所の事故対策を巡り、4月30日に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘(こさことしそう)・東京大学教授が2日夕に予定していた報道関係者向け説明会が中止された。
民主党の空本誠喜・衆院議員によると、小佐古教授が官邸から守秘義務の指摘を受けたことが、中止の理由だという。
小佐古教授は、政府の事故対応に納得できないとして、29日に辞任の意向を表明した。空本氏によると、小佐古教授は2日夕、小学校の校庭利用などについて文部科学省が説明した放射線被曝(ひばく)限度の問題点について詳細な説明を行う予定だった。
ところが1日、小佐古教授から空本氏に、「(官邸関係者から)老婆心ながら、守秘義務があると言われた」として、説明会には出席できないと電話で伝えてきたという。
文科省は校庭利用の放射線被曝限度を年間20ミリ・シーベルトとしている。空本氏は「小佐古教授は、子供の被曝量はせいぜい年間5ミリ・シーベルトにとどめるべきだという考え。きちんと説明する場がなくなったのは残念だ」と話している。
(2011年5月2日23時14分 読売新聞)
菅首相、政府内で事前調整せず「お盆まで」表明
. 巨大地震
菅首相は2日の参院予算委員会で東日本大震災の被災者向けの仮設住宅に関し、お盆までに希望者全員が入居できるようにするとした目標について、「私が強く指示すれば実現できると、私なりの見通しで言った」と述べ、政府内で事前調整せずに発言したことを明らかにした。
自民党の林芳正氏の質問に答えた。
首相は4月26日の衆院予算委で「遅くともお盆の頃までには希望者全員に入っていただけるよう全力を挙げる」と表明。1日の参院予算委では「お盆までにはすべての希望者が入れるように内閣の責任として実行する」と明言していた。
(2011年5月3日00時10分 読売新聞)
50年間で68人が電力会社に天下り 経産省調査
産経新聞 5月2日(月)20時29分配信
経済産業省は2日、経産省から電力会社への天下りが過去50年間で68人あったとの調査結果を発表した。このうち13人は現在も顧問や役員などの肩書で勤務している。電力会社と監督官庁である経産省との緊密な関係は原子力発電所の安全基準のチェックを甘くさせるなどの弊害があるとも指摘されている。
経産省の調査によると、天下りの人数は北海道電力5人、東北電力7人、東京電力5人、北陸電力6人、中部電力5人、関西電力8人、中国電力3人、四国電力4人、九州電力7人、沖縄電力4人、日本原子力発電8人、電源開発6人。このうち中国電力をのぞく11社で現在も1〜2人の経産省OBが残っている。
調査では経産省(前身の通商産業省、商工省を含む)の元職員で、再就職先で常勤の役員か顧問だった人物を対象とした。電源開発については、平成15年10月に民営化されてからの在籍者を集計している。
経産省から電力会社への天下りをめぐっては、石田徹・前資源エネルギー庁長官が今年1月に東電の顧問に就任したが、東電福島第1原子力発電所の事故後の4月に退任した。石田前長官の天下り人事については、枝野幸男官房長官が「個人の責任と判断で適切な対応をすると期待している」と述べるなどしていた。
原発廃止を株主提案=232人が東北電力に要求
時事通信 5月2日(月)21時0分配信
原子力発電に反対する東北電力の株主グループは2日、仙台市の東北電力本社を訪れ、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、原発廃止を要求する株主提案を提出した。6月下旬に開かれる株主総会の議案となる見通し。
株主提案を行ったのは「脱原発東北電力株主の会」(篠原弘典代表)のメンバーとそれに賛同する個人株主計232人。
株主提案は、東北電力女川原発が福島第1原発の二の舞いにならなかったのは「偶然にしかすぎない」とし、原発事業は一企業の規模をはるかに超えるリスクがあると強調。原発の廃止と代替電源の構築を会社の定款に盛り込むよう求めた。併せて、青森県六ケ所村にある使用済み核燃料再処理工場への投資中止を要求している。
東北電力側は「株主提案をよく検討した上で、取締役会の意見を記載して株主総会に議案として提出し、総会で社として回答する」としている。
未公表の拡散予測データ5000件公開
TBS系(JNN) 5月4日(水)0時32分配信
公開されたのは、原発で事故が起きた際に放射性物質がどのように拡散するかについて風向きや地形のデータをもとに「SPEEDI」というシステムを使って予測したものです。
福島第一原発で事故が起きた3月11日から、文部科学省などはこのシステムを使って原発から放出された放射性物質の量や風向きなど様々な条件をもとにシミュレーションを行い、およそ5000件の試算が得られました。
これらの中には、原子炉内にあるすべての放射性物質が外部に放出されたとの想定で計算されたデータなども含まれていたことから、政府はこれまで、「無用の混乱を招きかねない」などとして、一部を除いて大半のデータを公開していませんでした。
しかし、2日になって細野豪志・総理補佐官が記者会見で「厳しい情報でも、しっかりと説明をすればパニックが起きることはなく、公開すべきだった」と述べ、すべて公開することを明らかにしました。
原子力安全委員会のホームページなどで3日から公開されていて、今後は試算結果をすぐに公開していきたいとしています。(03日20:41).最終更新:5月4日(水)7時8分
日本の災害対応「縦割り」…08年に米大使公電
. 巨大地震
【ワシントン=小川聡】4日付米紙ニューヨーク・タイムズは、内部告発サイト「ウィキリークス」から入手した日米両政府間のやり取りなどを記録した在日米大使館発の公電の一部内容を報じた。
2008年3月に当時のシーファー駐日米大使が国務省などにあてた公電では、地震や原発事故対応を含む日本の危機管理体制について、「官僚の縦割りやリスクを避けようとする態度が、脅威へのもろさを増すかもしれない」と指摘し、3月の東日本大震災で露呈した政府一体で臨む体制の不十分さを警告していた。
公電は「日本の官僚制度と計画策定は、融通が利かない時がある」と分析。サイバー攻撃や感染症といった経験不足の脅威に対し、「決定的に重要なシステムやサービスが長期間失われるかもしれない」とした。
(2011年5月4日22時03分 読売新聞)
原発4基の運転再開、認められない…福井知事
. 福島原発
東京電力福島第一原発事故を受け、国内最多の14基の原発を抱える福井県の西川一誠知事は4日、定期検査中の関西電力美浜原発1号機など4基について、国が原発の暫定的な安全基準を示せないなら、「運転再開は認められない」との考えを明らかにした。
この日、同原発を視察した海江田経産相と会談した後、報道陣に述べた。
今回の事故対策として国は3月下旬から4月中旬にかけ、非常時の代替電源確保など3回にわけて電力各社に指示。海江田経産相はこの日、現在停止中の各原発の運転再開の時期については、こうした対策の実施状況を見ながら「総合的に判断する」と述べた。
西川知事は先月、海江田経産相に対し、各社への指示内容を暫定的な安全基準として国が明確化することなどを要求していた。経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は「安全基準を全部見直すのは膨大な作業で、急ぐ必要のあるものから検討している。そうした作業の中で、知事の要求に応えていけると思う」と話す。
(2011年5月4日21時40分 読売新聞)
「20分訪問」反発招き…首相、5時間要望聞く
. 福島原発
避難所を訪問し、井戸川双葉町長(右端)、上田埼玉県知事(右手前から2人目)らとの懇談で、あいさつを終え一礼する菅首相=代表撮影 菅首相は4日、東京電力福島第一原子力発電所のある福島県双葉町の住民ら約1200人が集団避難している埼玉県加須市の旧埼玉県立騎西高校で井戸川克隆町長と会談し、町民の帰宅の可否や時期などを年明けに判断する考えを伝えた。
首相は「東電の工程表が予定通りに進めば年明けには一定の安定状況になる。その時点でモニタリングの結果を含め、それぞれの地域がどういう形で戻れるか判断する」と述べた。
その後、首相は町民と懇談し、要望を聞いた。町長との会談を含め1時間だった滞在予定は約5時間に及んだ。首相は4月に別の避難所を訪問した際、避難住民とのやりとりを20分ほどで切り上げようとして反発を招いた経緯がある。
(2011年5月4日21時27分 読売新聞)
放射性物質の拡散予測「水素爆発の場合」も公開
. 文部科学省と原子力安全・保安院は3日、東電福島第一原発で発生した水素爆発や格納容器の損傷によって、大気中に放出された放射性物質のコンピューターによる拡散予測の計算図約5000枚の公開を開始した。
これまでは単に放射性物質の広がりを1時間ごとに予測しただけだったが、今回は、各号機でさまざまなケースを想定し、成人、1歳児の被曝(ひばく)量、地表蓄積量も計算した。
計算図は、原子炉の電源が喪失した3月11日以降の拡散を予測。「1号炉が水素爆発した場合」「3号機の格納容器の圧力を外気に逃すベント作業時」など福島原発で実際に起きた事故の前後で考えられる放射性物質が放出されるケースを具体的に計算している。
(2011年5月4日15時53分 読売新聞)
米NRC委員長、余震による事態悪化を懸念
. 【ワシントン=山田哲朗】米原子力規制委員会(NRC)のグレゴリー・ヤツコ委員長は2日、米紙ワシントン・ポスト本社で同紙や読売新聞と会見し、東京電力福島第一原子力発電所について「大きな余震などで冷却能力の一部を失うことはありうる」と述べ、余震や津波で事態が悪化することへの懸念を示した。
そのうえで、「専門知識の提供を続けていく」と日本政府への支援継続を表明した。
以下、会見の要旨
——現在の態勢は
11人のチームが日本にいて専門知識の提供を続ける。米国内では福島の教訓を受け、規制の見直しを進める。
——福島で余震の心配は
大きな余震などで施設の冷却能力の一部が失われることはありうる。現状は静止しているが安定しているとは言えない。時間とともに改善しているが誰もが望む状態にはなっていない。
——在日米国人に対する原発50マイル(約80キロ・メートル)内からの避難勧告の根拠は
限られた情報しかなく、その中で最善の判断をした。起こりうることについて、かなり手堅い評価をしたため、50マイルになった。日本は違うアプローチと違う見方を取ったのだろう。条件が整えば50マイルを緩和するが、今すぐ判断を変更する決定的な情報はない。
——日本政府の情報提供が不十分だったのでは
日本政府の第一の責任はNRCに情報を提供することではない。最終的に時間と資源をどう最も能率的に使うかは日本の判断だ。
——蒸気放出や海水注入は遅かったか
なされなかったことにコメントしても得るところは少ない。地震と津波という非常に特異な状況で、米政府なら違う対処ができたのか、推測はしたくない。
——チェルノブイリ事故と同じレベル7は妥当か
レベル8や9があったならチェルノブイリと比べられないかもしれないが、既存の尺度では重大な事象だ。
——日本政府に米国の原発のテロ対策を伝え、注意喚起したことはあるか
詳細は話せないが、米同時テロ後に原発への影響を研究した。日本を含め多くの国とテロ対策の情報は共有している。
(2011年5月4日13時54分 読売新聞)
2011年04月29日 (金)
官房参与が辞任・記者会見資料を全文掲載します
東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応に当たるために、先月、内閣官房参与に任命された、原子力の専門家で東京大学大学院教授の小佐古敏荘氏が、記者会見し、「政府の対策は法にのっとっておらず、場当たり的だ」として、内閣官房参与を辞任することを明らかにしました。
記者会見で辞任の理由について説明した資料を全文掲載します。
*文中の下線は、原文のままです。
*もとの資料に誤字と思われる箇所が2か所あったので、小佐古氏に確認の上、訂正しました。(4月30日午前10時20分)
「福井県」 → 「福島県」
「勅命」 → 「直命」
の、2か所です。
---------------------------------------------------------------------
平成23年4月29日
内閣官房参与の辞任にあたって
(辞意表明)
内閣官房参与
小佐古敏荘
平成23年3月16日、私、小佐古敏荘は内閣官房参与に任ぜられ、原子力災害の収束に向けての活動を当日から開始いたしました。そして災害後、一ヶ月半以上が経過し、事態収束に向けての各種対策が講じられておりますので、4月30日付けで参与としての活動も一段落させて頂きたいと考え、本日、総理へ退任の報告を行ってきたところです。
なお、この間の内閣官房参与としての活動は、報告書「福島第一発電所事故に対する対策について」にまとめました。これらは総理他、関係の皆様方にお届け致しました。
私の任務は「総理に情報提供や助言」を行うことでありました。政府の行っている活動と重複することを避けるため、原子力災害対策本部、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、文部科学省他の活動を逐次レビューし、それらの活動の足りざる部分、不適当と考えられる部分があれば、それに対して情報を提供し、さらに提言という形で助言を行って参りました。
特に、原子力災害対策は「原子力プラントに係わる部分」、「環境、放射線、住民に係わる部分」に分かれますので、私、小佐古は、主として「環境、放射線、住民に係わる部分」といった『放射線防護』を中心とした部分を中心にカバーして参りました。
ただ、プラントの状況と環境・住民への影響は相互に関連しあっておりますので、原子炉システム工学および原子力安全工学の専門家とも連携しながら活動を続けて参りました。
さらに、全体は官邸の判断、政治家の判断とも関連するので、福山哲郎内閣官房副長官、細野豪志総理補佐官、総理から直命を受けている空本誠喜衆議院議員とも連携して参りました。
この間、特に対応が急を要する問題が多くあり、またプラント収束および環境影響・住民広報についての必要な対策が十分には講じられていなかったことから、3月16日、原子力災害対策本部および対策統合本部の支援のための「助言チーム(座長:空本誠喜衆議院議員)」を立ち上げていただきました。まとめた「提言」は、逐次迅速に、官邸および対策本部に提出しました。それらの一部は現実の対策として実現されました。
ただ、まだ対策が講じられていない提言もあります。とりわけ、次に述べる、「法と正義に則り行われるべきこと」、「国際常識とヒューマニズムに則りやっていただくべきこと」の点では考えていることがいくつもあります。今後、政府の対策の内のいくつかのものについては、迅速な見直しおよび正しい対策の実施がなされるよう望むところです。
1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい
この1ヶ月半、様々な「提言」をしてまいりましたが、その中でも、とりわけ思いますのは、「原子力災害対策も他の災害対策と同様に、原子力災害対策に関連する法律や原子力防災指針、原子力防災マニュアルにその手順、対策が定められており、それに則って進めるのが基本だ」ということです。
しかしながら、今回の原子力災害に対して、官邸および行政機関は、そのことを軽視して、その場かぎりで「臨機応変な対応」を行い、事態収束を遅らせているように見えます。
とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な指導・助言の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放射線防護の基本に基づく判断に随分欠けた所があるように見受けました。例えば、住民の放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものでありますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されていない。法令、指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを前提にした定めがあるが、この手順はとられず、その計算結果は使用できる環境下にありながらきちんと活用されなかった。また、公衆の被ばくの状況もSPEEDIにより迅速に評価できるようになっているが、その結果も迅速に公表されていない。
初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福島県、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。
また、文部科学省においても、放射線規制室および放射線審議会における判断と指示には法手順を軽視しているのではと思わせるものがあります。例えば、放射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」ですが、この件は既に放射線審議会で国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告の国内法令取り入れの議論が、数年間にわたり行われ、審議終了事項として本年1月末に「放射線審議会基本部会中間報告書」として取りまとめられ、500mSvあるいは1Svとすることが勧告されています。法の手順としては、この件につき見解を求められれば、そう答えるべきであるが、立地指針等にしか現れない40−50年前の考え方に基づく、250mSvの数値使用が妥当かとの経済産業大臣、文部科学大臣等の諮問に対する放射線審議会の答申として、「それで妥当」としている。ところが、福島現地での厳しい状況を反映して、今になり500mSvを限度へとの、再引き上げの議論も始まっている状況である。まさに「モグラたたき」的、場当たり的な政策決定のプロセスで官邸と行政機関がとっているように見える。放射線審議会での決定事項をふまえないこの行政上の手続き無視は、根本からただす必要があります。500mSvより低いからいい等の理由から極めて短時間にメールで審議、強引にものを決めるやり方には大きな疑問を感じます。重ねて、この種の何年も議論になった重要事項をその決定事項とは違う趣旨で、「妥当」と判断するのもおかしいと思います。放射線審議会での決定事項をまったく無視したこの決定方法は、誰がそのような方法をとりそのように決定したのかを含めて、明らかにされるべきでありましょう。この点、強く進言いたします。
2.「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい
緊急時には様々な特例を設けざるを得ないし、そうすることができるわけですが、それにも国際的な常識があります。それを行政側の都合だけで国際的にも非常識な数値で強引に決めていくのはよろしくないし、そのような決定は国際的にも非難されることになります。
今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。
小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。
また、今回の福島の原子力災害に関して国際原子力機関(IAEA)の調査団が訪日し、4回の調査報告会等が行われているが、そのまとめの報告会開催の情報は、外務省から官邸に連絡が入っていなかった。まさにこれは、国際関係軽視、IAEA軽視ではなかったかと思います。また核物質計量管理、核査察や核物質防護の観点からもIAEAと今回の事故に際して早期から、連携強化を図る必要があるが、これについて、その時点では官邸および行政機関は気付いておらず、原子力外交の機能不全ともいえる。国際常識ある原子力安全行政の復活を強く求めるものである。
汚染拡大予測、政府生かせず 2号機破損時、対応後手2011年5月4日20時9分
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. 福島第一原発事故で、放射能汚染が原発から北西方向を中心に広がると、原発2号機が破損した当日の3月15日時点で政府は予測していた。この方向にある福島県飯舘村など5市町村の住民に避難を求めると、政府が発表したのは4月11日で、結果として対応は後手に回った。
文部科学省と原子力安全・保安院が5月3日夜から公開を始めた「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」の試算結果からわかった。
3月15日午前6時すぎに原発2号機の圧力抑制室が破損。約3時間後に正門付近で、放射線量が1時間あたり10ミリシーベルト超まで急上昇した。保安院は破損の影響を調べるため、同日午前7時前に試算した。
それによると、同日午前9時から24時間後までの間に、原発を中心にした単純な同心円状ではなく、とくに北西方向に汚染が流れていくことが予測された。こうした汚染の傾向は、福島大などによる実測値でも裏付けられている。
政府が当初、避難を求めていたのは、原発から半径20キロ圏内の住民。だが4月11日になって、北西方向で20キロ圏外にある飯舘村や葛尾村など5市町村に対しても、5月末までに住民避難を求めることにした。対象は約3千世帯、計約1万人とされる。
SPEEDIによる試算約5千件はこれまで未公表だった。その理由について、細野豪志首相補佐官は2日の会見で「国民がパニックになることを懸念した」と説明した。(小宮山亮磨)
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東電、役員報酬5割減でも平均2000万円超 「無給が筋」続々
産経新聞 5月4日(水)7時56分配信
拡大写真
不祥事や事故による報酬削減の事例(写真:産経新聞)
福島第1原子力発電所の事故に伴う対応の一環として東京電力が発表した「役員報酬50%削減」に「まだ高い」との批判がくすぶっている。半減しても平均で2千万円超で、「会長、社長は無給が筋」といった声や、政府の連帯責任を訴える指摘がやまない。
【フォト】福島原発、新たな脅威は台風
東電は平成19年11月、新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の事故で、常務以上の年間報酬を20%削減した。今回は削減幅を大幅に拡大。影響の大きさを踏まえると同時に、約540億円を捻出し、被災者への補償に充てる狙いがある。
だが、海江田万里経産相は、勝俣恒久会長や清水正孝社長を念頭に「まだカットが足りない」と述べた。東京商工リサーチの友田信男・情報本部副本部長も「けた外れの被害規模や日本の信用を失墜させた影響を考えれば、役員全員が報酬ゼロでいい」と厳しい。
米系コンサルタント会社タワーズワトソンによると、多くの企業は不祥事の際の報酬について、内規で1〜5割削減を1カ月から半年間、または無期限と定めているという。
同社の阿部直彦・経営者報酬部門統括は「東電の『年収50%削減、期限なし』はめったにない規模」としながら、東電が不祥事のたびに報酬削減を繰り返した経緯から、「経営改善の点で効果がなかった」と指摘。業績連動型の導入が解決策の一つとみる。
一方、政府にも責任があるとする声もある。独協大学の森永卓郎教授は「経済産業省幹部や内閣の政務三役以上も報酬を半減した後で、東電は原子力担当の副社長以上を無給にする措置が適当」と話している。
原子力安全委員 最短週10分の会議出席で年収1650万円
配信元:
2011/04/09 23:44更新
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記事本文 原発事故で刻々と状況が悪化する中でお目付役である原子力安全委員会は何をしていたのか。震災発生翌日(3月12日)の朝、菅首相の原発視察に同行した班目春樹・原子力安全委員会委員長。
同委員会は原子力の安全確保のために内閣府に設けられた「原発の監視役」で、事故が起きれば専門家としての知見を国民に示す立場にある。
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記事本文の続き が、班目氏が初めて会見したのは23日の夜。28日の会見では、建屋に溜まった高放射線量の汚染水処理について、「知識を持ち合わせていないので、東電と原子力安全・保安院にしっかりと指導をしていただきたい」と答えて周囲を唖然とさせた。
同委員会は委員長以下、委員5人はいずれも常勤の特別職公務員。ただし、常勤といっても定例会議は週1回だけ。議事録を確認する限り、会合は最短で10分弱、長いもので1時間半だった。これで約1650万円の年収(月給93万6000円とボーナス)を貪っている。
なお、内閣府には原子力関係予算の配分を審議する「原子力委員会」もあるが、こちらの委員(常勤3人)も同額だ。だが、事故発生後の会議はすべて休会となっている。今、働かなくていつ働くのか。
※週刊ポスト2011年4月15日号
ヘリで福島原発行った菅首相の「カイワレ作戦」今回通用せず 安全対策3原則のうちひとつしかできなかった福島第一原発 原子炉の稼働率が低いのはマスコミが原発に神経質過ぎるため ハーバード出身の西山英彦審議官ら震災・原発会見の7人衆 原発事故の原因の一つ 東電社内人事で原発専門家追放の過去
原子炉建屋内に作業員=1号機、水素爆発後初—換気ダクト設置へ・福島第1
時事通信 5月5日(木)12時7分配信
福島第1原発事故で、東京電力は5日、1号機原子炉建屋内の放射線量を測定するため、同日午前11時半すぎに作業員2人が中に入ったと発表した。高い放射性物質濃度を下げるため、換気用ダクト(大型ホース)を引き込む前の準備。作業員が入ったのは、東日本大震災翌日の3月12日に水素爆発が起き、同建屋上部が吹き飛んだ後、初めて。
ダクトを放射性物質を吸着するフィルター付き空気浄化装置に接続し、3日程度運転すれば、原子炉の代替冷却装置の設置作業などを行えるようになる見込み。
計画では、ダクト設置作業は2人ずつ4チーム計8人で実施。吸・排気用に計8本あるダクトを1人1本ずつ、建屋内の約25メートル先まで引き込む。内部の放射線量は平均で毎時約10ミリシーベルトと高いことがロボット測定で判明しており、作業員らは被ばく量を抑えるため、ボンベを背負って1人10分間で作業を終える。
代替冷却装置は原子炉建屋内部の1次系ポンプや配管と、外部の2次系ポンプや熱交換器、空冷式冷却塔で構成される。順調なら8日から2次系、16日から1次系の設置工事を始める予定。
福島県いわき市で震度5弱、浜通りが震源
. 6日午前2時4分頃、福島県浜通りを震源とする地震があり、同県いわき市で震度5弱を観測した。
気象庁によると、震源の深さは約10キロ、マグニチュードは5・3と推定される。
この地震による津波の心配はないという。
(2011年5月6日02時14分 読売新聞)
福島第1原発事故 IAEA・フローリー事務次長、依然深刻な状況にあるとの認識示す
フジテレビ系(FNN) 5月6日(金)6時38分配信
IAEA(国際原子力機関)は5日、福島第1原子力発電所について、「依然、深刻な状況にある」との認識を示した。
IAEAのフローリー事務次長は5日、ウィーンで開かれた記者会見で、福島第1原発の状況について、「依然、深刻な状態にある」と述べ、これまでの厳しい見方から変わっていないことを明らかにした。
また、東京電力による事故収束のための工程表については、「原子炉を安定化させるための必要な方策が示されている」として、一定の評価をしながらも、そのスケジュールについては慎重な見方を示した。
フローリー事務次長は「工程表通りに進むかどうかは、東京電力が今後直面する状況に左右される」と述べた。.最終更新:5月6日(金)11時19分
福島原発事故、チェルノブイリとは非常に異なる=IAEA
ロイター 4月13日(水)11時41分配信
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4月12日、IAEAのフローリー事務次長は、福島原発とチェルノブイリ原発の事故は非常に異なっているとの見解を示した。写真は10日、福島第1原発の映像。東電提供(2011年 ロイター)
[ジュネーブ/ウィーン 12日 ロイター] 世界保健機関(WHO)と国際原子力機関(IAEA)は12日、日本の原発事故の評価が最も深刻なレベルに引き上げられたことについて、人体への影響リスクが高まったわけではなく、同事故が1986年のチェルノブイリ原発事故と同等であることを意味するものではないとの見解を示した。
【写真】「レベル7」の現場
WHOのグレゴリー・ハートル報道官はロイターに対し、「人体への影響に関するわれわれの評価は、きょうときのうで変わっていない」と述べ、レベルが引き上げられた背景には、3基の原子炉から漏えいした放射線量を合わせて1つの事象と見なしたことがあると説明した。
また「現時点で、人体への影響リスクは30キロの(避難区域)圏外ではほとんどない」との見方を示した。
さらに、日本当局は、福島第1原子力発電所に深刻な被害をもたらした3月11日の東日本大震災と津波発生直後と比べて、かなり多くの情報を持っていると指摘。
「彼らは放射線の累積線量を調べている。ただ、これは原子炉自体についてだ。原子炉の周辺には誰1人残っておらず、避難していることを忘れてはならない」と語った。
またIAEAは、福島原発事故の評価がこれまでの「レベル5」から最も深刻な「レベル7」に引き上げられたことは、この事故が同レベルに評価されているチェルノブイリ原発事故に匹敵することを意味するわけではないと指摘した。
IAEAのデニス・フローリー事務次長は記者会見で「福島原発とチェルノブイリ原発の事故は非常に異なっている。チェルノブイリ原発では運転中の原子炉が爆発した。大きな爆発で、数日にわたって大規模な黒鉛の火災が続いた」と説明。
「(チェルノブイリ原発の事故は)上層大気に放射性物質を放出し、世界中に広げるほどの威力があった」と語った。
一方、福島原発では地震時に原子炉が稼働停止し、圧力容器は爆発していないと指摘した。
また、人と環境を守るための当局の行動を阻害していないため、事故の1カ月後に評価レベルが引き上げられたことは問題ではないとし、日本の危機対応を支持する姿勢を示した。
浜岡原発停止「現行法では運転停止命令できない」と首相
産経新聞 5月6日(金)19時40分配信
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浜岡原発の運転停止を要請、会見にのぞむ菅首相=6日午後、官邸(大西正純撮影)(写真:産経新聞)
菅直人首相は6日夜の緊急記者会見で、浜岡原発の運転停止を、中部電力への「要請」という形式で求めた理由について「指示や命令は、現在の法制度では決まっていない」と述べ、現行法では運転停止命令はできないと説明した。
中部電力社長「返答は保留させていただきたい」
読売新聞 5月6日(金)19時39分配信
6日夜、首相官邸で記者会見した菅首相は、稼働中の中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)のすべての原子炉について運転停止を中電に要請したことについて、要請について法的根拠に基づくものではないことを認めたうえで、「(中電には)十分にご理解いただけるよう、説得して参りたい」と述べた。
浜岡原発は、高い確率で発生が予想される東海地震の震源域に近いことから、防潮堤の設置など、地震や津波への中長期的な安全対策に万全を期す必要があると、判断した。
続けて記者会見した海江田経済産業相は、中電の水野明久社長に電話で要請し、その際、水野社長からは「最終的返答は保留させていただきたい」との発言があったことを明らかにした。
海江田経産相は、防潮堤の設置など、現在、中電が計画している安全対策の早期実施を、再開の条件としてあげた。
また、同原発停止に伴って予想されるがよう中電管内の電力不足について、海江田経産相は「計画停電などの事態には至らないと思う」との見通しを示した。
同原発は、1、2号機が運転終了しているほか、3号機が点検のため、運転を停止している。 .最終更新:5月6日(金)19時39分
「浜岡原発は全機運転停止」 首相が緊急会見
産経新聞 5月6日(金)19時23分配信
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浜岡原発の運転停止を要請、会見に臨む菅直人首相=6日午後、官邸(大西正純撮影)(写真:産経新聞)
菅直人首相は6日夜、首相官邸で緊急記者会見を行い、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)について、すべての原子炉を停止するよう中部電力に要請したと発表した。
浜岡原発、全面停止へ 運転差し止め訴訟にも影響
産経新聞 5月7日(土)7時56分配信
中部電力浜岡原発をめぐっては、地元住民らが1〜4号機の運転差し止めを求めた訴訟の審理が、東京高裁で続いている。菅直人首相の運転停止要請は、訴訟の行方に影響を与えそうだ。
住民らは平成15年、「老朽化した浜岡原発は、東海地震で事故を起こす可能性がある」として、当時、建設が進んでいた5号機を除く4機について、静岡地裁に提訴した。
1審では、(1)想定される東海地震の規模とそれに基づく耐震設計の妥当性(2)老朽化が耐震性にもたらす影響−が主な争点となった。静岡地裁は19年10月、中部電の安全対策を大筋で認め、住民側の請求を棄却した。
一方、中部電は20年に1、2号機を廃炉とする方針を表明。控訴審は昨年中に結審する予定だったが、21年8月に発生した駿河湾を震源とする地震の影響について、中部電側が追加調査をしていたことなどから、審理が滞っていた。
また、福島第1原発事故を受け、中部電は浜岡原発に高さ15メートルの防波壁を作る方針を発表。原告側は「防波壁が完成するまでは運転を止めるべきだ」として6月にも運転差し止めの仮処分を申し立てる予定だったが、政府が6日に明らかにした停止要請を受け、取りやめる方針という。
停止要請について、原告側弁護団長の河合弘之弁護士(67)は「東海地震が高い確率で予想されている中、浜岡原発は『世界で一番危険な原発』といわれてきた。中部電は、いずれ廃炉を選択することになるだろう」と話した。
福島第1原発:東電値上げ、経費節減が先 枝野官房長官
枝野幸男官房長官は6日の記者会見で、福島第1原発事故に伴う東京電力の賠償負担について「東電自らの努力が最優先になされねばならない。それがしっかりなされた上でなければ、それ以外の方法によることは利用者の納得を得られない」と指摘し、経費節減を徹底した上でなければ、電気料金値上げなどの利用者負担増大は認められないとの認識を示した。その上で、東電が発表した役員報酬半減や一般職員の年収20%カットなどの方針について「報道されているレベルでは利用者が納得できるようなものではない」と指摘した。【小山由宇】
原発停止要請の根拠…東海地震「発生確率87%」って?2011年5月7日7時30分
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. 政府の地震調査委員会は、浜岡原発直下で発生すると想定される東海地震が、今後30年以内に発生する確率を87%としている。菅首相も原子炉停止の要請の根拠としてあげた。
東海地震は、駿河湾から九州にかけての海底の溝、南海トラフ沿いで起こる地震のひとつで、西隣に東南海地震、さらに西に南海地震の震源域がある。各地震は100〜150年おきに発生している。だが、東海地震は前回の1854年以降、150年以上経過した。
過去の周期と、最後の地震からの経過期間を元に地震調査委は04年、30年以内の発生確率を「84%」と公表。その後の時間経過から今年1月現在で「87%」と計算した。ただ、この確率は「参考値」で「いつ起こってもおかしくない」状態と言われ、中央防災会議はエネルギーが「臨界状態まで蓄積している可能性が高い」と指摘した。
さらに、東南海、南海の2地震も前回から65年前後が経過し、発生が現実味を増してきた。このため、中央防災会議は「三つの地震が連動する巨大地震の懸念が高まった」として今年度、3連動地震の被害想定を見直す方針だった。
しかし、日本で最大と考えられた3連動地震を上回る東日本大震災が発生。地震学者からは「4連動も考える必要がある」との声も上がり始めている。
地震予知連絡会前会長の大竹政和東北大名誉教授は「南海トラフでは2千〜3千年に一度、3連動よりも大きな地震があったとの見方が強まっている。次の地震を想定外にしないため、過去の明確な地震だけにとらわれない想定が必要だ」と話す。(長野剛)
浜岡原発の全原子炉停止へ 首相の要請受け入れ2011年5月7日3時10分
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浜岡原発について述べる菅直人首相=6日午後7時18分、首相官邸、金子淳撮影
菅直人首相は6日、東海地震の想定震源域である静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原子力発電所について、定期検査中の3号機や稼働中の4、5号機も含めてすべての原子炉を停止するよう中部電に要請した。中部電は受け入れる方向。停止期間は、中部電が2〜3年後の完成を目指す防潮堤新設までとなる見通しだ。
中部電は近く役員会を開き、要請に対する対応を決める方針。首相には法律上、原発の運転停止を指示する権限がない。原発を停止すれば、不利益を被ったとして株主から訴えられる可能性もある。ただ、中部電幹部は6日夜、「(政府の)要請とはいえ、命令に近い重みを持っている」と述べ、すべての原子炉を停止させる方向で調整していることを明かした。
首相の政治判断で稼働中の原発が止まれば、初めてのことだ。
要請は海江田万里経済産業相を通じ中部電に伝えた。首相は6日夜、首相官邸での記者会見で停止要請を明らかにし、「国民の安全と安心を考えてのこと。浜岡原発で重大な事故が発生した場合、日本社会全体におよぶ甚大な影響を併せて考慮した」と強調した。
首相は停止要請の理由に東海地震を挙げ、「30年以内にマグニチュード(M)8程度の地震が発生する可能性が87%という数字も示されている」と説明。特有の事情があるとの認識を示し、浜岡以外の原発への対応には言及しなかった。
停止期間については「防潮堤の設置など中長期の対策が完成するまでの間」とした。中部電は海岸沿いの高さ10メートル以上の砂丘と原発の間に、津波対策として高さ15メートル以上の防潮堤を新設する予定だ。
首相は、停止要請までの経緯について「先の震災とそれに伴う原子力事故に直面し、私自身、浜岡原発の安全性について様々な意見を聞いてきた」と説明。今後の中部電管内の電力不足対策について「需給バランスに大きな支障が生じないよう政府として最大限の対策を講じていく」と語った。
中部電は、すべての原子炉を停止させた場合、電力不足に陥る可能性があるため、東京電力への電力融通は「やめることになる」(中部電幹部)という。
政権が原発停止要請に踏み切った背景には、東京電力福島第一原発の事故を契機に国民世論に浜岡原発への危惧が高まっていることなどがある。川勝平太静岡県知事ら地元自治体の首長も、新たな安全基準を満たさない段階での浜岡原発の稼働に難色を示している。
◇
〈浜岡原発〉 中部電力では唯一の原発で、静岡県御前崎市にある。1〜4号機は福島第一原発と同じ沸騰水型炉(BWR)、5号機は改良型沸騰水型炉(ABWR)。1号機(1976年運転開始)と2号機(78年開始)は2009年1月から廃炉の手続き中。現在、代替として6号機の新規建設の計画がある。中電が発電したり他社から受けたりした電力量実績は、10年度速報値で1423億キロワット時、そのうち浜岡原発の発電電力量は153億キロワット時と、1割強だった。
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ドイツ、原発運転延長3カ月凍結 長期稼動の原発停止も2011年3月15日1時16分
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. 【ベルリン=松井健】ドイツのメルケル政権は14日、国内の原子力発電所の運転を延長する政策を3カ月間凍結することを決めた。ドイツは昨秋、世界的な「原子力ルネサンス」の流れの中、シュレーダー前政権の原発全廃方針を転換し、原発延命に転じていたが、福島第一原発の事故で、原発の安全性への不安が噴出していた。今後、すべての原発の点検を進め、福島の事故も参考にしながら安全性を新たに判断していくとしている。稼働年数の長い原発が運転停止になる可能性もある。
メルケル首相とベスターベレ副首相兼外相が14日、会見で明らかにした。メルケル首相は、ドイツでは日本のような巨大地震や津波の可能性は低いとしながら、「安全性の点検にタブーはない」と述べた。ドイツではメルケル政権の「脱・脱原発」政策への反発も強く、政権の支持率低迷の一因にもなっていたところ、今回の福島第一原発の事故で新政策の凍結を余儀なくされた形だ。
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ドイツ、原発7基を一時停止へ-仏は原発の安全性点検を実施
2011年 3月 16日 4:51 JST
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文字サイズ: . 【ベルリン】ドイツのメルケル首相は15日、国内の旧型7基の原子力発電所の稼働を3カ月間の「安全点検」期間中、一時停止すると発表した。ドイツ政府は数カ月前にはこれら原発の安全性を保証していたことから、意外な展開ともいえる。
Zuma Press
ベルリンで記者会見するメルケル独首相(14日)
メルケル独政権は前日には、原発の稼働期間を延長する考えを見直すと表明したばかり。ただ、日本の福島原発の事故を受けて原発をめぐる国民の不安が募っていることから、国内の旧型原発の一時閉鎖に踏み切った格好。原発をめぐる政府姿勢のこの突然のシフトは、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟内の懸念を反映している。同党はこれまでに国民感情の高まる政治問題で判断ミスを犯しており、アナリストらは、これが複数の地方選挙での情勢の変化につながりかねないとみている。
メルケル首相は、1980年までに建設されたこれら原発7基での生産量は6月15日前に徐々に縮小されると明らかにした。一方で政府は昨秋に導入した国内の原子炉17基の一部の稼働期間を最大14年間延長する計画を見直す。また政府は、原発7基を一時停止後に再開するかどうかについてはまだ決定していない。ただ、古い原発に関する国民の深い懐疑視を考慮すると、これら7基を再開することについては極めて意見が分かれる見込み。
メルケル首相は原発の位置する5つの州の知事との会談後、「原発の稼働期間延長については今日、決定的なことを言うことはできない。安全性点検の結果がどうなるかは分からない」と語った。
一方、フランス政府はこの日、国内の各原発について安全点検を実施すると表明した。フランス最大の電力源の安全性をめぐり高まっている懸念の緩和に努めている。
記者: Patrick McGroarty
県、爆発翌日公表せず 国の拡散予測図
福島県は非常時の初期段階で放射性物質の広がりや濃度を予測する国のシステム(SPEEDI)のデータを東京電力福島第1原発1号機が水素爆発を起こした翌日の3月13日に確認したが、公表していなかった。6日の自民党県議会議員会政調会で県が明らかにした。
議員からは「迅速に公表していれば、市町村の避難時の参考になった」と指摘する意見が出た。県は「放射性物質の放出量や時間が特定できない段階で、予測データは活用できなかった」と説明している。
予測データは県が国に提供を求め、ファクスで受けた。3月12日の時間ごとの風向きをベースに、放出されたヨウ素が拡散する予測が地図に掲載されていた。ただ、ヨウ素の放出量を「不明」とした上での予測であり、県は公表できる内容ではないと判断したという。地図は県に30枚示された。
県は「市町村の避難の参考になったかどうかは分からない。もし、市町村が必要とする情報だったとすれば、反省すべき点だった」としている。
(2011/05/07 10:02)
「想定外」、16年前に警告 福島第1で故高木さん論文
福島第1原発事故を受け、2000年に死去した「原子力資料情報室」元代表の高木仁三郎さんが阪神大震災後に発表した論文がネット上で話題となっている。政府や電力会社の決まり文句となっている「想定外」という姿勢に当時から警鐘を鳴らし、福島第1原発の危険性を指摘する“予言”のような内容。関係者は「今こそ読まれるべきだ」と話している。
論文は日本物理学会誌の1995年10月号に掲載された「核施設と非常事態—地震対策の検証を中心に—」でA4判4ページ。阪神大震災のデータなどを元に、原発の耐震設計や老朽化、活断層などの問題を論じた上で、国や電力会社を「『原発は地震で壊れない』ことを前提にしてしまっているため、そこから先に一歩も進まず、地震時の緊急対策を考えようとしない」と批判する。
阪神大震災は核施設の「緊急事態」への備えのなさにも警告を発しているとし、その事態の一つとして「地震とともに津波に襲われたとき」にも言及。「そのような事態を想定して原発の安全や防災対策を論じることは、『想定不適当』とか『ためにする議論』として避けられてきた。しかし(中略)考えうるあらゆる想定をして対策を考えていくことが、むしろ冷静で現実的な態度と思われる」と指摘している。
一方、大地震が直撃した際に「想像を絶する」事態となる核施設集中立地点として「福島県浜通り」を、廃炉への具体的議論が必要な「一番気になる老朽化原発」に福島第1原発を挙げている。
論文はネット上のデータベースで一般公開され、ツイッターでも「こういう警鐘は無視されてきたんだろうな」などと話題に。原子力資料情報室の西尾漠(にしお・ばく)共同代表は「短い文章の中に今起きていることの問題がすべて詰まっており、あらためて読んで驚いた。過去のこととしてではなく、今こそその言葉に耳を傾けるべきだ」としている。
【写真】 「原子力資料情報室」元代表の高木仁三郎さん
(2011/05/07 09:38)
震災で大学の被害900億円超 最大級の加速器も破損
東日本大震災で岩手、宮城、福島、茨城にある主要国公立大学が受けた研究設備などの被害額が900億円を超えたことが7日、分かった。世界トップ水準の競争を繰り広げている先端研究を支える装置も多く、復旧が遅れれば、日本の国際競争力の低下を招く恐れがある。学生の教育にも影響が出そうだ。
文部科学省は「本格復旧に向け改修改築を急ぎたいが、災害範囲が広く、情報収集に時間がかかっている」としている。
金属工学など先端技術の国内有数の研究拠点である東北大の被害額が突出した。研究設備の被害額が約352億円、建物の被害額が約440億円に上った。
研究設備では、「電子光理学研究センター」にある国内の大学で最大規模の加速器が壊れた。電子ビームを使って陽子や中間子の構造を解析し、米国やドイツの研究チームと世界最先端を争っていたが、復旧の見通しは立っていない。
同センター所属の須田利美教授(原子核物理学)は「全国の大学との共同研究の拠点になっており、各チームの研究に深刻な影響が出ている」と話す。
東北大では、応急危険度判定で危険とされる建物が計28棟に上った。中でも被害が大きかったのは、工学系や理学系の拠点が集まる仙台市青葉区の青葉山キャンパス。情報通信の基盤技術を研究する電子情報系など工学研究科の3棟や、理学研究科の化学棟が損壊するなど、大きな被害を受けた。このほか宮城県女川町にある水産系の研究実験施設も津波でほぼ全壊した。
東北大に次ぐ被害規模の筑波大(茨城県)は建物と研究設備の被害額が計約70億円。筑波大でも加速器装置が壊れたほか、図書館や体育館をはじめ多くの建物で内壁が崩落するなど被害が出た。大学側は「慎重に調査を進めているが、被害額は今後さらに拡大する可能性が高い」としている。このほか茨城大や宮城教育大も被害を受けた。
【写真】 東日本大震災で被害を受けた東北大工学部棟の屋上の設備=仙台市青葉区(東北大提供)
(2011/05/07 08:53)
日米が測定、放射線量マップ発表 百ミリシーベルト超も
福島第1原発事故で、政府と東京電力の事故対策統合本部は6日、文部科学省と米エネルギー省が航空機で合同測定した地表付近の放射線量マップを発表した。原発から北西30キロ以上にわたって、年間の積算被ばく放射線量が100ミリシーベルトを超える恐れがある地域が広がっている。
マップは4月29日現在の放射線量を表示。原発から半径30キロ圏外で、計画的避難区域になった福島県浪江町や飯舘村の一部でも毎時19マイクロシーベルト、年間換算では100ミリシーベルトを超える線量となった。文科省は「風雨などで放射性物質が徐々に減少するので、実際に100ミリシーベルトを超える可能性は低い」としている。
30キロ圏外の南相馬市、川俣町、伊達市の一部でも毎時3・8マイクロシーベルト、年間換算で20ミリシーベルトを超える地域がある。統合本部は4月26日に実測値に基づく放射線量分布マップを公表しており、今回もほぼ同様の値を示している。
また、土壌表層の放射性物質の量を示したマップも発表。1平方メートル当たり、放射性セシウムが300万〜3000万ベクレルの地域が北西に広がった。国内には土壌全般に関する濃度基準はない。
放射線量の測定は、4月6日から29日にかけて実施。小型機とヘリコプター計3機が、原発から約80キロ圏内の上空約150〜700メートルを飛行、高感度の放射線検出器を使って測定した。
一方、文科省と水産庁は、海での放射性物質の調査を従来の2倍強の計105カ所に増やすと発表した。国と東電が実施し、最も遠い調査海域は福島第1原発から約300キロ離れている。宮城県沖から茨城県沖にかけての表層、中層、下層の海水や、陸に近い海底の土を検査。海上の大気中の放射線量なども調べる。
水産庁はまた、水産物の検査指針をまとめ、関係県などに通知した。表層から底層まで生息域を広くカバーして対象魚種を選び検査するよう求めた。カツオやサンマ、イワシなどの回遊魚も、移動に合わせて採取地点を変えて検査する。
(2011/05/06 20:18)
経産省、原発重視の方針堅持へ 安全宣言で電力確保目指す
原発の緊急安全対策を進めて「安全宣言」を早期に行うことで既設の原発からの電力供給を確保し、2030〜50年には「世界最高レベルの安全性に支えられた原子力」を3本柱の一つとするとした、経済産業省の今後のエネルギー政策に関する内部文書が6日、明らかになった。
14基の原発の新増設を盛り込んだエネルギー基本計画を含め、菅直人首相が政策の白紙からの見直しを表明、中部電力浜岡原発の停止を要請するなど、これまでにない政策を進める中、従来の原発重視を堅持する方針を早々に打ち出したことには今後、各方面から批判が出るのは確実だ。
文書は、東日本大震災を受けた現行のエネルギー政策の課題に関するもの。事故で「原子力の安全確保に大きな疑問符」がついたとの判断から、「原因の徹底究明と安全規制の抜本見直しを進め、将来のエネルギーとしての適格性を判断する」としながらも「今後のエネルギーのベストミックス」の一つとして「安全性を最大限追求した原子力」を掲げた。
その上で、30〜50年に向けた長期的なエネルギー政策の3本柱の一つとして、太陽光発電などの再生可能エネルギーの拡大、ライフスタイルや産業構造の改革による省エネルギーの実現とともに「世界最高レベルの安全性に支えられた原子力」を据える考え方を示している。
また、定期検査で停止した原発が再稼働できない状態が続くと、今後1年間で全国すべての原発が停止して地震直前に比べて3千万キロワット以上の供給力が失われると電力危機を強調。「緊急安全対策の徹底(安全宣言)により、既設炉からの電力供給を担保」するとの方針を示した。
再生可能エネルギーについては今後拡大する方針を示したものの「太陽光発電のコストは原子力の約7倍」「電力の安定化対策として蓄電池の大量導入など年間数千億円が必要」など、これまでの評価の記述をほぼ踏襲している。
(2011/05/06 22:06)
福島原発、ベント難航で最悪想定 政府、大震災の翌日
東日本大震災翌日の3月12日に、福島第1原発1号機の蒸気を排出し格納容器の圧力上昇を止める「ベント」が難航していた際、同日深夜に格納容器が破損して敷地境界での「被ばく線量」が重大な健康被害を及ぼす「数シーベルト以上(1シーベルトは千ミリシーベルト)」になるとの予測が、政府内で示されていたことが3日分かった。
政府、東京電力関係者への取材や政府文書で明らかになった。原発周辺での「著しい公衆被ばく」の発生も想定していた。
ベントは菅直人首相の現地視察が終了した直後の同日午前9時すぎに着手したが、機器の不調でうまくいかず、蒸気排出が確認されるまで約5時間半かかった。政府がこの間に「最悪のシナリオ」を想定していたことが初めて判明した。
事故の初動対応ではベントの遅れで事態が深刻化したとの批判がある。この最悪シナリオは回避されたとはいえ、ベントの遅れの問題は、首相が近く設置する考えを示した事故調査委員会の検証の焦点となる。
短時間に1シーベルトの放射線を浴びると1割の人が吐き気やだるさを訴え、4シーベルトなら半数が30日以内に死亡する。「数シーベルト以上」の被ばくとの表現は、致死量相当の危険性があることを示している。
共同通信が入手した政府文書や関係者によると、経済産業省原子力安全・保安院は3月12日午後1時に、1号機で「ベントができない場合に想定される事象」を検討した。
この時点で、格納容器の圧力が設計圧力の2倍近い0・75メガパスカル(約7・4気圧)に上昇。ベントができなければ、午後11時には設計圧力の3倍の1・2メガパスカル(約11・8気圧)に達し、格納容器が破損すると想定した。
その場合、放射性ヨウ素、セシウムなどが大量に放出されて「被ばく線量は(原発の)敷地境界において数シーベルト以上」となり「気象条件次第によっては、発電所から3〜5キロメートルの範囲において著しい公衆被ばくの恐れがある」と推定した。
1号機のベントは二つある弁の一つが開かず、緊急調達した空気圧縮機を使って実施。着手から5時間半後の午後2時半に蒸気排出を確認、格納容器圧力が低下した。
【写真】 自衛隊ヘリから撮影した福島第1原発。(手前から)1号機、2号機、3号機、4号機=4月26日(防衛省提供)
(2011/05/04 00:17)
放射能拡散予測、実態とほぼ合致 2号機爆発で周辺汚染か
福島第1原発事故で、政府が新たに公表を始めた放射性物質の拡散予測図は、1〜4号機で水素爆発や火災が起きた後では、周辺の汚染実態とほぼ合致する傾向だったことが3日、分かった。
事故では、原発の北西方向で汚染度が高いことが分かっているが、予測図は2号機の影響が大きいことを示している。
1〜4号機で爆発などが起きたのは3月12日から15日。予測図は、ほぼ同時期に「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」で作成された。
原子力安全委員会は4月中旬までに2枚しか公表しなかったが、傾向だけでも早期に示せば、無用な被ばくを減らせた可能性がある。政府は5月2日、これまでに作成した約5千枚を順次公表すると発表した。
各号機の事故直後から24時間の予測図によると、2号機の圧力抑制プール付近で爆発音がした後の3月15日午前7時から午後1時まで、放射性物質は南南西から南西の方向に拡散。その後、16日午前3時までの14時間は西から北北西に拡散が継続し、南の沿岸から海の方向に変わった。
4号機の火災は2号機事故の約3時間後に発生、放射性物質拡散の傾向も2号機と同様だった。
一方、1号機で水素爆発が起きた12日午後からは、大半の時間帯で海の方向に拡散すると予測。14日の3号機の爆発直後も、海の方向に広がる時間帯が長く、2号機に比べて陸地への影響は少ないことがうかがえる。
原子力安全委員会は「2号機内部で爆発が起き、北西を中心に放射性物質が拡散した」とみている。1〜3号機で、原子炉格納容器から蒸気を放出する「ベント」の作業を初実施した後の24時間も、大半の時間帯は海に拡散していた。
SPEEDIは、放射性ヨウ素1ベクレルが1時間かけて放出されたと仮定し、地形や気象条件を基に、どのように拡散するか毎時間予測していた。
予測図は原子力安全委員会のホームページで公表されている。
(2011/05/03 19:50)
原子力安全委、文科省を批判 「基準値のみの判断」は安易
原子力安全委員会の班目春樹委員長は2日、福島第1原発事故を受けた福島県内の学校などの屋外活動制限について、文部科学省が放射線量の基準値のみを判断材料にしているとして「満足していない」と批判、表土の除去など学校の放射性物質を取り除く具体策を示すよう求めた。
班目委員長は記者会見で、文科省からは「(基準値の)毎時3・8マイクロシーベルトを下回ったから校庭を使わせるという、非常に安易な報告があった」と説明した。会見に先立って開かれた安全委定例会でも、放射線量だけで一部学校の屋外活動制限を解除したことへの疑問や、呼吸器や飲食を通じた被ばくの調査を求める意見が委員から相次いだ。
班目委員長は、放射性物質低減の具体策について、文科省から助言要請があれば応じる意向を示した。一方、毎時3・8マイクロシーベルト、年間換算20ミリシーベルトの基準値自体については、なるべく低く抑えることを条件に、妥当との見解を繰り返した。
基準値を妥当とした安全委の助言で、結論に至る議事録が残されていなかったことについて、今後は議事録を残す方針を表明。原発事故への政府対応を批判し、小佐古敏荘・東大大学院教授が内閣官房参与を辞任した問題では「言っていることのいくつかは、明らかに間違っている」と不快感を示した。
(2011/05/02 22:22)
東電、水素爆発は設計条件とせず 社員滞在の免震重要棟
福島第1原発で女性社員が法令の放射線量限度を超えて被ばくしたのは、滞在していた免震重要棟の扉が1、3号機の水素爆発でゆがんで隙間があいたことが原因だったことについて、東京電力は3日、「今回のような水素爆発が起こり、爆風に耐えることは設計条件に入れていなかった」と明らかにした。
東電によると、免震重要棟は、1号機から北西に約200メートル離れている。2007年の新潟県中越沖地震の際に、柏崎刈羽原発で通信設備が確保できなかったことなどへの反省から建設。震度7の地震でも機能を維持できる設計になっていた。
だが、今回の事故では水素爆発で扉がゆがんで隙間があき、放射性物質が流入したとしている。東電は「こういう可能性について、他の電力会社とも情報を共有して必要な対策を取っていきたい」とした。
(2011/05/03 16:24)
放射線量、埼玉で再び平常値超え 各地で上昇目立つ
東北、関東各都県で4月30日午後5時から5月1日午前9時に観測された最大放射線量は、4月29〜30日に比べ、上昇したところが目立った。文部科学省によると、埼玉が毎時0・057マイクロシーベルトから0・069マイクロシーベルトに上がり、一時は下回っていた震災前の最大平常値を再び上回った。栃木は0・067マイクロシーベルトに、群馬は0・039マイクロシーベルトにそれぞれやや上昇した。
福島第1原発の北西約30キロの福島県浪江町では5月1日午前10時20分に17・8マイクロシーベルトを観測した。
(2011/05/01 17:43)
福島原発「ベント」周知せず着手 作業員、被ばくの危険に
東京電力福島第1原発事故の際、1号機の原子炉格納容器の弁を開けて放射性物質を含む蒸気を排出した緊急措置「ベント」が、敷地内で働く一部の作業員に知らされないまま始まり進められていたことが1日分かった。現場にいた東電社員が共同通信に証言した。
ベントは格納容器の内圧を低下させて破損を防ぐことなどが目的だが、周辺の放射線量を一時的に急上昇させることが確実で、作業員らは最も重要な情報を与えられないまま、大量被ばくの危険にさらされていた。
現場の線量管理をめぐっては、東電の女性社員2人が国の線量限度を超え被ばくしていたことも相次いで判明、ずさんさが明らかになっている。
最初のベント着手は3月12日午前9時ごろ。当時、放射性物質の漏えいにより敷地内の線量は既に上昇を始めていたが、証言によると、ベントに着手する方針や着手の時期、作業の進行状況などについて、これ以前も以後も、この社員や同僚には一切の情報が伝えられていなかった。
情報は免震重要棟2階の対策本部や、中央制御室でベントに当たった要員に限定されていたとみられ、実施の事実さえ「うわさ」として事後に別の社員から知らされただけだったという。
政府や東電が明らかにした経過によると、格納容器内の圧力の異常上昇は12日未明に判明。政府は午前3時ごろベント実施を発表して東電との協議に入り、事態が深刻な1号機で午前9時すぎ、二つの弁のうち、最初の弁の開放作業が始まった。
二つ目の弁の開放着手は午前10時すぎだったが、実際に蒸気の排出が確認されたのは午後2時すぎ。データによると、午後2時20分の線量は通常の約180倍で、午後2時の線量から2倍以上に跳ね上がっていた。
一方、正門での東電のモニタリングによると、線量は午前4時40分の計測で初めて上昇し、約2時間後には通常の70倍以上に。線量の急上昇に気付いた作業員が建物に避難する騒ぎも起こっていた。
ベントをめぐっては、決定から実施まで時間がかかり、事態が深刻化したとして国と東電が批判を浴びた。東電は「当時の詳細な状況は確認中で、今後整理された段階で説明させていただきたい」としている。
審議2時間で「妥当」判断 原子力安全委、学校基準で
福島第1原発事故で、文部科学省から小中学校などの屋外活動を制限する基準値への助言を求められた国の原子力安全委員会(班目春樹委員長)が、正式な委員会を招集せず、助言要請から約2時間後には「妥当だ」との助言をまとめ、回答していたことが30日、関係者の話で分かった。
安全委事務局は「臨機応変の対応だった」と反論するが、正式な委員会が開かれなかったため議事録も作られておらず、助言までに至る議論の内容が確認できないことも判明。審議の検証ができなくなった異例の事態に「国の政策を追認しただけだ」と批判の声が上がっている。
国は、目安を一般人の年間許容限度の20倍という高さの年間20ミリシーベルトとした根拠について国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に準拠したとしているが、子どもに高い放射線量の被ばくを認めることになるため、内外の専門家から批判が続出。29日、内閣官房参与の小佐古敏荘・東大大学院教授が辞任する一因ともなった。
関係者によると、文科省などが「年間の積算放射線量が20ミリシーベルトに達するかどうかを目安とし、毎時3・8マイクロシーベルトを学校での屋外活動の基準とする」との原案への助言を安全委に求めたのは19日午後2時ごろ。安全委側は正式な委員会を開かず「委員会内部で検討し」(関係者)、午後4時ごろに「妥当だ」と回答した。だが、議事録が残っていないため、安全委内部でどのような議論が行われたかは明らかではないという。
安全委事務局は「9日ごろに文科省から相談したいとの依頼があり、委員らが複数回議論、その都度結果を文科省に口頭で連絡していた。正式な会議は開かなかったが、意思統一ができれば助言はできる」とコメント。「(検討時間の)妥当性については発言する立場にない」としている。
基準の撤回を求めている環境保護団体、FoE(地球の友)ジャパンの満田夏花さんは「独立した規制機関であるはずの安全委が、ほとんど議論もせずに国の政策を追認したことは明らかだ」と指摘。「子どもの健康を守るという重要な責務も、社会への説明責任もまったく果たしていない」と批判している。
(2011/04/30 21:57)
海底50mずれ地滑りも 宮城県沖、7m隆起
海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)は29日までに、東日本大震災の地震断層のずれによって宮城県・牡鹿半島東方沖のプレート境界の陸側で、海底が水平方向に約50メートルずれ、平均で約7メートル隆起したとの調査結果を発表した。
付近では、陸側プレートの斜面が幅約1500メートルにわたって崩れ、プレートの境目にたまった痕跡も見つかり、海洋機構は「海底地滑りが起きたと考えられる」としている。
深海調査研究船「かいれい」から音波を使って探査し、同じ海域の1999年のデータと比較した。陸側のプレートにある海底が南東〜東南東方向に約50メートル、上方に最大20メートル、平均で7メートル変動したことが分かった。
東日本大震災ではこれまでに、海上保安庁が水平方向に約24メートル、上方に3メートルの海底変動を確認。国土地理院は牡鹿半島が約5・3メートル東南東に動いたという観測結果を発表している。
(2011/04/29 20:47)
原発周辺の断層再評価へ 震災受け、原安委方針
原子力安全委員会は28日、3月の東日本大震災で誘発されたとみられる地震が相次いでいることを受け、全国の原発周辺にある断層の活動性を電力会社などに再評価させるよう、経済産業省原子力安全・保安院に指示する方針を決めた。
安全委によると、震災以降、東北地方から関東地方などのうち、これまで地震がほとんど観測されていなかった地域で地震活動が活発化。4月11日に福島県東部で発生したマグニチュード(M)7・0の地震など、地域的にはあまりみられなかった、地殻が引っ張られて断層がずれる正断層型の地震も発生している。
震災で大きな地殻変動が生じ、広域的な力のバランスが変化したとみられることから、電力会社などが原発周辺で実施してきた活断層や、過去の地震による地形の変動などを再評価する必要があると判断した。
原発の耐震設計上で考慮している活断層や変動地形のほか、活断層ではないと評価していた断層の再評価などを全国各地で実施し、安全委に報告するよう求める。
(2011/04/28 12:19)
宮古、潮位下がった後に大津波 時速115キロの猛スピード
東日本大震災で岩手県宮古市の重茂(おもえ)半島を襲った津波は、上昇した潮位がいったん下がった後、高い波が時速約115キロの猛スピードで押し寄せていたことが21日までに、岩手県立博物館(盛岡市)の大石雅之首席専門学芸員が入手した連続写真の分析で分かった。
大石さんは「大震災では、津波が一度引いた際に自宅に貴重品を取りに帰ったり、漁港の船に戻ったりした人が犠牲になった。一連の写真は、この実態を裏付ける資料」としている。
写真は大震災当日の3月11日、重茂半島の川代地区の漁港を撮った67枚。地元の植物研究家大上幹彦さんがデジタルカメラで撮影した。
地震発生から約23分後の午後3時9分ごろから潮位が上がり始め、同12分に漁港の防波堤が水没したが、同16分には水位が下がって再び防波堤が姿を見せている。
しかし、地震発生32分後の同18分、約800メートル沖の岬の部分に白波が現れ潮位が再び上昇。津波が猛スピードで岸に到達した。津波が岬から海岸に達するまで約25秒なので、速度は時速約115キロになる。
津波は繰り返し押し寄せ、水深が浅くなると速度が遅くなるため、前の波に後ろからの波が追いついて折り重なり急激に高くなるという。
重茂半島の姉吉地区では、陸地の斜面をさかのぼった津波の高さ(遡上高)が過去最大規模の38・9メートルに達している。
(2011/04/21 18:29)
浜岡原発の即時停止要請 中部電に静岡・湖西市長
静岡県湖西市の三上元市長は21日、静岡市で開かれた県内23市長による「静岡県市長会」の席上、中部電力に対し浜岡原発(同県御前崎市)の即時停止を求めた。
中部電は福島第1原発事故を受け、浜岡原発の災害対策について説明するため、静岡支店幹部らが市長会を訪問。「既に津波による電源喪失を防ぐ対策はあるが、今後さらに念を入れて防波壁などを設置する」と理解を求めた。
これに対し、三上市長は「対策を強化するのは現状の安全策が不十分だからではないか。まず原子炉を停止してから対策をすべきだ」と訴えた。
湖西市は浜岡原発から50キロ以上離れているが、三上市長は「福島の現状を見れば、50キロでも安心できない」として脱原発を主張。会合の後、報道陣に「今日の説明では納得できない。(同じ意見の)三重県伊勢市の鈴木健一市長など各地の首長と連携し、浜岡原発の即時停止を求めていきたい」と述べた。
(2011/04/21 18:57)
米が被ばく線量予測図公表 20ミリシーベルト超の恐れ
米エネルギー省は20日までに、福島第1原発の周辺地域に1年間とどまった場合、原発から北西方向に40〜50キロにわたり、積算線量が20ミリシーベルトを超える恐れがあるとする予測図を発表した。
予測は航空機を使った観測データに基づくもので、予測は「控えめなもの」とする一方、人が屋内にいても被ばく量は減少しないと仮定して計算したとしている。
一方、文部科学省が20日発表したデータによると、同原発から北西約30キロに位置する福島県浪江町赤宇木手七郎で、3月23日〜4月19日(14日、17日は除く)の積算ですでに18・94ミリシーベルトの積算線量を測定している。
日本政府は、積算線量が20ミリシーベルトに達する恐れがある地域を「計画的避難区域」に指定することを決めている。
一般人の年間被ばく線量限度は1ミリシーベルト。
前川和彦東京大名誉教授(救急医学)は米エネルギー省の予測について「浪江町ではすでに高い線量が測定されている。原発から40〜50キロの距離でも1年間の積算が20ミリシーベルトを超えるのは当然。範囲も広がっていくだろう」と話している。
(2011/04/20 19:37)
光合成起こす構造を解明 太陽光の効率的変換に期待
光合成の最初に起こる反応で、太陽光で水が分解されて電子や水素イオンが作られる際の触媒となる「膜タンパク質複合体」の詳細な構造を、岡山大の沈建仁教授と大阪市立大の神谷信夫教授のグループが解明した。成果は17日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
水から燃料電池で使う水素を作り出すことにつながり、太陽光の電気エネルギーへの効率的な変換が期待できるという。
膜タンパク質複合体は、光合成をする藻類や植物の葉の中に含まれる。これまで19種類のタンパク質が水分子と複雑に結合している全体構造は明らかになっていたが、原子レベルでの詳細な構造は不明だった。
(2011/04/18 08:13)
福島原発収束までに9のリスク 東電が余震や雷など挙げる
原子炉冷却のための電源が余震や雷で喪失、放射性物質の放出を抑える建屋のカバーが巨大台風で破損…。東京電力は、17日公表した福島第1原発の収束工程表で、今後の作業の障害となり得る九つのリスクを示した。
現在、既に存在するリスクとして、水素爆発が再度発生することと、原子炉格納容器で起きている可能性がある損傷箇所の密閉作業が長期化することを列挙。原子炉の冷却に必要な電源が、続発している余震や夏場の雷で一部喪失することも挙げた。
3カ月をめどに実施される第1段階の工程では、放射線レベルが高い場所での作業の長期化、使用済み燃料プールの建屋が損傷して通常の冷却ラインが復旧できない恐れがあるとした。放射線レベルが高い水を保管する施設の設置が遅れたり、うまく稼働しなかったりする可能性もある。
その後に続く第2段階では、放射性物質の放出を抑えるために設置を予定する原子炉建屋全体を覆うカバーが巨大台風で破損する恐れがあるなどと想定している。
(2011/04/17 21:11)
安全委が専門家の現地派遣行わず 防災計画、不履行
東京電力福島第1原発事故で、原子力安全委員会(班目春樹委員長)が、原発事故に対処する国の防災基本計画で定められた「緊急技術助言組織(委員計45人)」の専門家の現地派遣をしていないことが16日明らかになった。また緊急助言組織は事故があれば「直ちに招集」されることになっているが、一部しか集められていなかった。
緊急助言組織の委員の間では「助言できるのに、呼ばれない」「招集の連絡がない」と戸惑う声があり、政府・与党内からも批判が出ている。
緊急助言組織は、原子力安全委員5人と、全国の大学教授や研究機関幹部など「緊急事態応急対策調査委員」40人で構成。防災基本計画は、事故報告を受けた場合「直ちに緊急技術助言組織を招集する」と規定。「あらかじめ指定された原子力安全委員及び緊急事態応急対策調査委員を現地へ派遣する」と定めている。
安全委は「事務局スタッフを現地に派遣して情報収集している」と説明している。
しかし防災基本計画では、専門的知識を持つ調査委員が現地で「情報の収集・分析」をするとともに国、自治体、電力会社などの「応急対策に対し必要な技術的助言等を行う」となっている。
政府当局者の一人は「専門家が現地入りしていないのは問題だ。今後の事故調査でも検証すべきだ」と語った。
助言組織の招集について安全委は「招集とは全員集めるということではない。必要な委員は招集している」としている。
調査委員の話によると、事故後、多数の委員が一堂に会する機会はなく、一部の委員が安全委に出向いたり、電話で助言をするにとどまっている。複数の委員が「招集の連絡を受けていない」と話している。
ある調査委員は「即時に対応できるよう準備していた。事故直後に安全委に問い合わせたが、招集予定はないと言われた」と明言。別の調査委員は「早い時期に招集の議論があったが、集まっていない」と語った。
福島民報
原子力安全委がレベル7相当認識 保安委に見直し求めず
原子力安全委員会の代谷誠治委員は12日、経済産業省原子力安全・保安院が福島第1原発事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で「レベル7」としたことについて、3月23日の時点でレベル7に相当する危険性があると認識していたが、これまでに暫定評価の見直しを保安院に求めなかったことを明らかにした。
代谷委員は記者会見で「尺度評価は保安院の役割だ。(安全委が評価見直しを)勧告しなければならないとは考えない」とし、原子力安全委は関与しないとの姿勢を強調。事故から1カ月経過してレベル7としたことも「遅くなったとは思わない。われわれの事故への対応は変わらない」と述べ「レベル7への格上げが遅れたのではないか」との批判に反論した。
3月23日には、放射性物質の放出量がレベル7の基準である数万テラベクレルを超える10万テラベクレルに達する可能性を認識していたという。早期にレベル7として市民に注意を促す必要性について代谷委員は「いろいろな考え方がある」と述べるにとどめた。
原子力安全委は、ヨウ素換算で63万テラベクレル(テラは1兆)の放射性物質が放出されたと推定。4月5日ごろには同程度の値を推定していたが「より精度を上げたかった」として公表を見送っていたという。
(2011/04/12 22:08)
原発「安全神話崩れた」 周辺12市町村長アンケート
チェルノブイリ事故に並ぶ最悪の「レベル7」となった福島第1原発事故を受け、半径30キロ圏の12市町村長のほとんどが、国の原子力エネルギー政策に対し「安全神話が崩れた」などと抜本的な見直しを求めていることが12日、共同通信のアンケートで分かった。
復興ビジョンについては「放射線という見えざる敵が消滅しない限り、夢すら描けない」(冨塚宥けい田村市長)、「早期に原発が安定しなければ、考えられない」(遠藤雄幸川内村長)などの意見が半数を占めた。
アンケートは今月上旬に実施、12市町村長全員から回答を得た。原発事故は多くの住民の県内外避難を生み、全域や一部が計画的避難区域などに指定される事態を招いており、地方自治の喪失、国や東京電力への不信感が浮き彫りとなった。
アンケートによると、原子力政策について「安全神話が崩れた。再検討すべきだ」(渡辺利綱大熊町長)、「当然見直しが必要」(山田基星広野町長)、「代替エネルギー開発を」(遠藤勝也富岡町長)など抜本的な見直しや再考を求める意見が11市町村に上った。
第2原発が立つ楢葉町の草野孝町長は「国が安全基準の見直しも含めて指導力を発揮すべきだ」とした。
第1原発1〜4号機の廃炉については、明言を避けた井戸川克隆双葉町長や大熊、楢葉両町長以外は「当然」と答えた。
5、6号機の廃炉も「当然」「検討すべきだ」(渡辺敬夫いわき市長、松本允秀葛尾村長ら)との意見が半数を占めたが「安全性が担保できなければ」(桜井勝延南相馬市長)との条件付きや「現段階では分からない」(楢葉町長)との回答もあった。
震災後に運転を停止している第2原発の再開には「電力需給の事情で判断されるべきではない」などと大熊町長らから慎重な意見が相次いだ。
事故の教訓としては「安全に絶対はないと分かった」(菅野典雄飯館村長)、「安全、安心の線引きが非常に困難になった」(馬場有浪江町長)などの声が上がった。
(2011/04/12 11:34)
15m津波でほぼ全域浸水 福島第1原発の主要建屋
東京電力は9日、福島第1、第2原発に到達した東日本大震災の津波の調査結果を発表し、携帯電話で撮影した津波の動画と、壊れた第1原発事務本館内部の写真も公表した。
それによると、第1原発の原子炉建屋やタービン建屋など主要な建物が並ぶ一角では、高さ14〜15メートルの津波が襲い、敷地内の地表から4〜5メートルの高さまで水が浸入。海水系のポンプなどが置かれた建屋海側の区画など、1〜6号機周辺のほぼ全域が浸水した。
第2原発では、1〜4号機のうち1号機の南側をやはり14〜15メートルの津波が襲ったが、ほかの区画では6・5〜7メートルで、浸水も1、2号機周辺と3号機の南側にとどまったという。
公開された事務本館の写真は3月29日の撮影。1階の玄関付近はガラスの大半が破損。1階事務室の床にも割れたガラスや資料が散らばっている。2階の壊れ方はさらに激しく、天井板の多くがはがれ落ちて床に散乱し、足の踏み場もない状態になっている。
原発の五つの壁が破れた、と反省 経産省の西山審議官
「五つの壁があるなんて言ってきた。私も多重防護で絶対大丈夫と信じてやってきたが、こういう事態になった」。経済産業省の西山英彦官房審議官(原子力安全・保安院担当)は9日午前の記者会見で反省の弁を述べ、これまでの原発の安全規制に甘さがあったことを認めた。
東京電力福島第1原発では多重防護が破れて放射性物質が周辺に拡散、事故が一向に収束できない状態が続いている。西山審議官は「国民の不安が高まっている。すべてのことについて、安全の方向に、早急に手を打つ必要がある」と自らに言い聞かせるように話した。
発言のきっかけとなったのは、7日深夜の余震で、東北電力東通原発の非常用ディーゼル発電機がすべて使えなくなったこと。西山審議官は「東通で起こったことを考えると、これまでの対応は十分でなかった」とした。保安院は9日、原発が停止中でも2台以上の非常用ディーゼル発電機を確保するよう、電力各社などに求めた。
(2011/04/09 12:54)
米紙、水素爆発の危険を指摘 当局の内部文書に基づき
【ワシントン共同】福島第1原発事故で、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は5日、原子炉が余震によって壊れたり、水素爆発が起きる危険性が高まるなど、新たな多くの問題が起きていると指摘する記事を掲載した。
日本に派遣された米原子力規制委員会(NRC)の専門家らがまとめた3月26日付の内部文書に基づく情報として報じた。
同紙によると、原子炉冷却のために注入している水によって、原子炉格納容器のストレスが高まり、余震によって容器が破壊される危険性が高まっている。同原発1号機は内部にたまった塩により循環が著しく妨げられており、原子炉の中には水がなくなっている可能性もあるという。
また、原子炉内の水が分解されてできる水素によって水素爆発が再び起きる危険性も指摘した。
こうした問題に対処するため、NRCは日本政府に水素爆発を防ぐための窒素注入などをアドバイスしたという。
(2011/04/06 13:45)
浜岡停止要請「法律超える判断」=安全機能は確保—保安院
時事通信 5月7日(土)19時41分配信
政府による中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止要請について、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は7日の記者会見で、「浜岡の持つ特異な環境にかんがみて、法律を超える判断があった」との認識を示した。保安院は今後、地元自治体へ説明に行くという。
浜岡原発の状況について、西山審議官は「今後30年以内に震度6強クラスの地震が起きる確率が80%以上と突出している。他の原発は数パーセント以下だ」と指摘した。
一方、東京電力福島第1原発事故を受けた保安院の指示で、浜岡原発も電源車の配備など短期的な緊急安全対策を実施。西山審議官は「仮に津波が来ても原子炉は冷却でき、最後の安全機能は確保できている。法律上は(運転条件を)満たしている」と述べた。
福島第1原発:放射性物質データ 全て公開へ
東京電力福島第1原発事故で、政府と東電の事故対策統合本部(本部長・菅直人首相)は6日、汚染水などに含まれる放射性物質のデータを全て公開する方針を明らかにした。
事務局長の細野豪志・首相補佐官や東電によると、これまで汚染水などに含まれる核種の濃度について、ヨウ素131やセシウム137など中心的なもの以外のデータを公開しておらず、独立行政法人「日本原子力研究開発機構」などによる分析の結果のみを発表していた。
今後準備が整い次第、東電のホームページ上に掲載する予定。細野氏は「透明性を保つうえで最大限努力したいと考えた」としている。【日野行介】
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毎日新聞 2011年5月6日 20時40分
福島第1原発:1号機建屋内の放射線量 10分の1に低下
東京電力は7日、福島第1原発1号機の原子炉建屋内でフィルター付き換気装置を設置した結果、内部の放射線量がピーク時の10分の1程度に低下したと発表した。換気装置は5日から稼働しており、東電は「放射性物質が順調に除去されている」とみている。排気を継続したうえで、8日にも仮設冷却装置の設置作業に着手する方針。
東電によると、7日午前3時現在の1立方センチ当たりの放射線量は、ヨウ素131が0.005ベクレル▽セシウム134とセシウム137は0.001ベクレル。換気装置設置後の6日午前時点で、セシウム137が1立方センチ当たり0.043ベクレルになるなど、3核種とも設置前より一時上昇したが、その後、10分の1程度に減った。線量が一時上がったことについて、東電は「換気によって内部のほこりがかくはんされた可能性がある」とみている。
セシウムについては、人がマスクなしで作業する場合の空気中の限界濃度とほぼ同レベルに下がったが、東電は「できるだけ線量を下げて作業を始める」として排気を継続する。そのうえで、8日にも作業員が建屋入り口の二重扉を開けて、内部に入る予定。【中西拓司、酒造唯】
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福島第1原発:3号機の温度上昇 炉心下部147度に
福島第1原発:放射性物質データ 全て公開へ
毎日新聞 2011年5月7日 20時26分
浜岡原発:停止要請「正しかったのではないか」スズキ会長
浜松市南区の自動車大手スズキの鈴木修会長兼社長は7日、浜岡原発の運転停止要請について「国の最高決定権者として正しかったのではないか。自分がもしそういう立場だったら、同じようなことをしたと思う」と述べ、菅直人首相の決定を支持した。一方で「国民に生活の様式をもっと質素なものに変えてくださいと強く要望すべきだったと思う」と注文を付けた。
また、運転停止による操業への影響は「仮定の問題には答えられない。大きな問題にならないよう、みんなが協力し合う生活をやっていくことだ」と語った。【沢田均】
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浜岡原発:停止要請 各電力会社は「余波」を警戒
浜岡原発:中部電力、首相の原子炉運転停止要請に結論出ず
毎日新聞 2011年5月7日 20時57分
浜岡原発:停止の判断持ち越し 電力不足や地元雇用などで
中部電力は7日午後、名古屋市内の本店で臨時取締役会を開き、菅直人首相が要請した浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の原子炉3基の全面停止について協議した。中部電は「首相の要請は重い」(幹部)としており、定期検査中の3号機に加え、稼働中の4、5号機も津波対策が完了するまで停止する方針を固めている。ただ、原発を全面停止した場合、夏場に電力不足に陥る懸念があるほか、燃料調達コストの大幅な上昇も必至。このため、この日の取締役会では「顧客や原発が立地する地元、株主などへの影響も大きい」(幹部)として全面停止の最終判断を8日以降に持ち越した。
7日の臨時取締役会は水野明久社長らが出席し、午後1時から約1時間半行われた。会議では運転中の4、5号機と定期検査中の3号機をすべて停止した場合の夏場の電力供給や、原発の代替として増強する火力発電の燃料確保の見通し、経営に与える影響などを議論した。
中でも、夏場の電力供給問題は深刻で、合計出力が約360万キロワットの浜岡原発の3基を全面停止すると、想定される夏のピーク時の最大消費電力(2560万キロワット)に対する供給余力は3%程度まで落ち込む。このため、会議では電力不足を起こさないか慎重に判断する必要があるとの意見で一致した模様だ。
一方、原発停止に伴う地元自治体や下請け業者への影響も話し合われた。菅首相の突然の浜岡原発停止要請は、地元自治体などにも戸惑いの声を広げている。停止中の雇用問題などもあり、中部電はこの点からも議論を徹底する必要があると判断した。【工藤昭久、高橋昌紀】
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毎日新聞 2011年5月7日 20時06分(最終更新 5月7日 21時01分)
荒れ模様の東電会見 混乱、糾弾、オープン化の限界も
産経新聞 5月8日(日)23時5分配信
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東京電力で開かれた統合本部の会見では質問の挙手が続いた=8日午後、東京・内幸町(飯田英男撮影)(写真:産経新聞)
福島第1原子力発電所について東京電力で開かれる記者会見には連日、新聞、テレビから雑誌やフリー、インターネット媒体など多くの顔ぶれが集う。民主党が進める「記者会見の開放」の影響で原則誰でも参加できるからだ。会見のネット中継など存在価値を示す媒体もある一方、会見が混乱したり、糾弾の場と化したりする場面も少なくない。
東電や原子力安全・保安院など関係機関が一堂に会した統合本部の会見では“出入り禁止”も出てくるなど、「オープン会見」の限界や弊害も見え始めた。
▼脈絡なき難詰
「はっきり答えてください! 私が東電からお金もらったことありましたか!」
東電で開催される会見は原発の対応や技術的質問に限らず、東電や政府の姿勢や、記者会見のあり方を問う場面も多い。しかし、この男性はインターネット媒体で自分を「総会屋の卵」などと書かれたとして激怒。会見本来の流れとは脈絡なく質問を始めた。東電は当惑したが、この男性はヒートアップしていった。
「今、私について聞いているんですよ! 私を『東電の犬』などと勝手に書いている。私と何か取引ありましたか! あるのか、ないのか。ないですよね! ないならないってはっきり言ってください!」
▼タレントの姿も
会見の模様はネット動画配信業者「ニコニコ動画」などが生中継。フリージャーナリストの江川紹子氏らの姿もみられる。
「東電会見!! とうとう行っちゃいましたよ」
こうブログで書いたのは若手漫才タレント。ブログには針金を折り曲げて作った東電幹部らの似顔絵を掲載、「指名に偏りがあるように思う。どうお考えでしょうか?」と会見で追及したことが記されている。
このほか、「平等党報道部」「市民記者」…。あらゆる肩書が飛び交う会見は連日長時間に及んだ。
▼居丈高さ際立つ
事故の重大性もあり、声を荒らげての質問もしばしば。「死ねってのかよ、おい!」と迫った全国紙記者もいた。質問か挑発か、あるいは糾弾か難癖か判然としない質問も目立つ。
−−「国の支援を受け、補償する話があるが、それはわれわれの税金から出る話だ。杜撰(ずさん)な安全管理の東電の尻拭いをなぜ国民がしないといけないのか」
「支援というか、国と協議したい」
−−「裏で(すでに国と)取引ができているのではないか。おわびのTVコマーシャルの金があったら補償に回すべきではないか」
「補償には誠実に対応したい」
−−「TVコマーシャル打ってる場合かと聞いている」
「全体の合理化が不可欠。その中で考えたい」
−−「ほとぼりが冷めたら民放を使って原発はエコな、クリーンなエネルギーだというのか」
聞き手の居丈高さが際だつ場面も少なくない。
▼事前登録制に
先月25日以降の統合会見は事前登録制となり、内実ある活動実績などの要件を参加者に求めている。質問は簡潔にまとめるように促したり、脈絡なく会見をかき回したりした場合、マイクを取り上げたり、退場を求める措置も始めた。
“不規則発言”を繰り返し、統合本部の会見に“出入り禁止”となった男性は「事故以降、既存のメディアが落ち着いて質問しているのが不思議で仕方なかった。私の質問に『自分が主役になったつもりか』などと批判も受けたが、自分は自分のやり方で斬り込んできたつもり。出入り禁止は納得できない」と話した。
◇
■ジャーナリストの門田隆将氏の話「原発の問題は、津波の想定を誤った東電に非がある明らかな人災。被災者の今の暮らしや思いを考えれば会見は国民の怒りを反映するものだ。反核団体が運動の論理を持ち込む恐れがあったり、エキセントリックな光景が混じっているからといって、まともな質問が制約される状況とまではいえず、基本的に容認すべきだ。既存メディアが会見の正しいあり方を説くことには大マスコミのおごりを感じる」
■八木秀次高崎経済大学教授の話「記者クラブに問題なしとはしない。東電の責任もある。ただ質問に『聞けばいいというものではない』と不愉快になることがしばしばだ。相手をつるし上げ、黙らせ、謝らせるのが会見の使命ではないのに、会見を見ていると、まるで市民の名のもと、相手に反論を許さない裁き『人民裁判』同然の光景に出くわす。参加機会が広がって一定のメリットはあったのだろうが、無原則な開放がよかったとは思わないし、検証が必要だ」
1号機・原子炉建屋の扉開放
TBS系(JNN) 5月8日(日)21時25分配信
「大変重要なプロセスなので、慎重にも慎重を期して準備を進めてきた」(細野豪志首相補佐官)
政府と東京電力の統合本部は、1号機・原子炉建屋の扉を開けることを決め、午後8時すぎに開放されました。
微量の放射性物質が外に放出されることになりますが、「排風機」により濃度が下がっていることから、原子力安全・保安院は周辺の環境への影響について「支障はない」としています。
このまま9日午前4時まで換気を続け、放射線量を測定した後、問題がなければ、冷却に向けた作業に取りかかる予定です。(08日20:20).最終更新:5月8日(日)21時25分
福島第一原発3号機、圧力容器の温度上昇
日本テレビ系(NNN) 5月7日(土)19時48分配信
原子炉圧力容器の冷却に向けた作業が進む福島第一原子力発電所の1号機で原子炉建屋の空気の浄化が始まり、放射性物質の濃度が下がり始めたと「東京電力」が発表した。一方、3号機では圧力容器の温度が上昇していて、対策が必要になっている。
福島第一原発の1号機では、5日から放射性物質で汚染された空気を吸い出し、フィルターに吸着させて浄化する装置の運転が始まっている。東京電力によると、放射性物質の濃度は運転開始直後に高くなったが、その後、低下が続いているという。東京電力は建屋内の空気を吸い出す際に放射性物質が舞い上がったものの、装置が順調に稼働し、濃度が下がったと分析している。8日に作業員が原子炉建屋に入り、浄化作業の進み具合などを詳しく調べる予定。
一方、3号機では圧力容器の温度が上昇している。圧力容器下部の温度は先月30日には113.1℃だったが、7日は149.6℃で1週間で36.5℃上昇した。圧力容器に注入する水が途中で漏れている可能性があるという。東京電力は水を注入する配管を別の系統に変えて、3号機の冷却を進める方針。
橋下氏「停止要請は大英断、関西の電気を融通」
. 電力
中部電力・浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止要請を巡り、大阪府の橋下徹知事は8日、民放の報道番組で、「停止要請は大英断だ。大阪府民全体で(節電に)協力する。関西の電気を少しでも余らせて中部に送りたい」と述べた。
関西広域連合の各府県にも呼びかけ、具体的な節電計画を策定するという。
橋下知事は番組で、「無駄な電力を抑制すれば、原発停止で失われる電力を賄える」との見通しを示した。共演した海江田経済産業相は「ぜひお願いしたい」と語った。
東日本大震災後、橋下知事は関西に電力を供給する原発の新設を止める構想を打ち出していた。番組終了後、橋下知事は報道陣に対し、「今までは(施設名を特定しない)抽象的な目標だったが、今後は浜岡原発の停止が目標になる。関西全体でどのように難局を乗り切るか、計画をしっかり立てたい」と話した。
(2011年5月8日22時28分 読売新聞)
震度6強が30年以内に84%…浜岡、政治判断
. 細野豪志首相補佐官は7日午前のTBSの番組で、菅首相が中部電力に浜岡原子力発電所の運転停止を要請した理由について、「地震のリスクが全く違う。浜岡は30年以内に震度6強が起こる可能性が84%だが、他の原発(のある地域)はほとんどが1%未満、一番高い東北電力女川原発でも8・3%で、浜岡は、(ケタが)ひとつ、もしくは二つ違う確率だ。浜岡は最も地震の可能性が高く、津波の心配が拭いきれない。政治的に判断した」と説明した。
浜岡以外の原発に関しては、「原子力政策全体をやめようということではない」と強調した。
(2011年5月7日13時12分 読売新聞)
放出量は5億ベクレルと推定 保安院「周辺に影響なし」
経済産業省原子力安全・保安院は8日、福島第1原発1号機の原子炉建屋とタービン建屋をつなぐ二重扉の開放により、総量5億ベクレルの放射性物質が外部に放出されるとの推計を明らかにした。
大気への放出とは形が異なるが、4月に海に意図的に放出した比較的低濃度の汚染水約1万トンに含まれる量の300分の1で「環境への影響はない」としている。
東京電力は、今回の放出により第1原発敷地内で浴びる放射線量は、最大0・44マイクロシーベルトと推計。一方で保安院は、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を使い、海から内陸に向け秒速1メートルの東風が吹く場合、0・77マイクロシーベルトになるとした。いずれも一般人の年間被ばく線量限度である1ミリシーベルト(千マイクロシーベルト)の千分の1を下回る値。
保安院によると、5億ベクレルという総放出量は、放射性のヨウ素131とセシウム134、137の合計値。東電が7日に測定した原子炉建屋内の放射性物質の濃度に、建屋の容積約2万5千立方メートルを掛けて総量を算出した。屋根が壊れている原子炉建屋上部の高さ約29メートルの位置から、8時間かけて放出されると想定した。
宮崎慶次(みやざき・けいじ)大阪大名誉教授(原子力工学)は、一般的に放射性物質の放出は好ましくないとしながらも「敷地内で浴びる放射線量がこの程度であれば、人の健康や環境に影響はないだろう。今のプラントの状況を考えれば、やむを得ない。早く作業を進め、冷却システムをつくることが重要だ」と指摘。事前に建屋内の放射性物質濃度を下げ、地元自治体にも通報したことは妥当だったとした。
(2011/05/09 00:34)
福島第1原発 原子炉建屋に作業員 放射線量測定
毎日新聞 5月9日(月)11時48分配信
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東京電力社員が撮影した福島第1原発1号機原子炉建屋内部の様子=1号機2階北側で2011年5月9日午前4時半ごろ撮影、東京電力提供
東京電力は9日、福島第1原発1号機の原子炉の継続的な冷却設備を設置する準備のため、作業員が1号機の原子炉建屋内に入り、放射線量を測定したと発表した。放射線量について東電は「遮蔽(しゃへい)や、時間を区切れば作業は可能」とし、同日午後から原子炉の冷却設備設置に向けた作業を開始する。建屋の二重扉の開放で外部へ放射性物質が放出されたが、環境への影響はなかったとしている。【酒造唯、久野華代】
【福島原発の現状は】図説でみる累積線量結果
東電によると9日午前4時18分から約30分間、同社社員7人と経済産業省原子力安全・保安院の職員2人が、建屋内に入った。また作業員21人が換気装置や放射性物質の飛散を抑える建屋入り口の仮設ハウスを撤去した。社員らの被ばく線量は最大10.56ミリシーベルト、最小で2.7ミリシーベルトだった。
社員らは原子炉建屋1階をほぼ半周した後、冷却設備を設置する建屋2階に初めて入った。内部の線量は、原子炉格納容器入り口上部の作業台周辺で毎時600〜700ミリシーベルト、1階南側にある制御棒駆動機構近くで毎時280ミリシーベルトと高い値が出た。冷却設備を設置する2階北側の炉心スプレー系配管周辺では同40〜100ミリシーベルト、1階北西の計器周辺では同10〜70ミリシーベルトだった。東電は「線量が高い原因は分からないが、どのような遮蔽や線量対策を行うのか検討したい」としている。
東電は9日午後から、建屋内に電源を供給するためのケーブル敷設を行うほか、10、11日にかけて原子炉の水位計、圧力計を調節する。冷却設備の本格的な設置は、原子炉建屋の大物搬入口付近にたまっているがれきを撤去した後、今週末から始める予定。
-経団連会長-「唐突感否めない」浜岡原発で政府対応を批判
毎日新聞 5月9日(月)20時42分配信
日本経団連の米倉弘昌会長は9日の記者会見で、菅直人首相が中部電力に浜岡原発の全面停止を要請したことについて、「電力不足の中、今後30年間で87%の確率で東海地震が起きるとの確率論だけで停止要請したのは唐突感が否めない」と述べ、政府の対応を痛烈に批判した。
米倉会長は「結論だけがぽろっと出てきて、思考の過程が全くブラックボックスになっている。民主党政権は透明性を強調するが、どういうことなのか政治の態度を疑う」と指摘。その上で、「首相による原発停止要請は非常に重みがあり、超法規的な意味がある。誰がどのようにして議論したのか、根拠を出した上で説明する必要がある」と述べ、要請に至る経緯の説明が不十分だとの認識を強調した。【宮崎泰宏】
【インタビュー】東電は甘くはなかった=経団連の米倉会長
2011年 4月 6日 21:27 JST
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文字サイズ: . 日本経団連の米倉弘昌会長に、東日本大震災が経済に与える影響、今後のエネルギー政策、福島第1原子力発電所の事業会社である東京電力に対する思いなどを聞いた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の単独インタビューに応じた。
Bloomberg
経団連の米倉会長(今年1月の日本外国特派員協会での講演で)
WSJ:東日本大震災は、経済にどのような影響を与えるか?
米倉氏:宮城、福島、岩手3県の域内総生産(GDP)は全体の約4.1%だ。北海道と東北6県、新潟県の合計は約11%になる。東北地方は漁業やコメなど農業が盛んだ。(経済全体に占める)比重はそれほど大きくないが、モノによっては大きな割合になる。
今回の地震は、政府の試算では16兆〜25兆円の被害だ。これは過大に見積もったとの見方もある。14兆、15兆円ではないかとの見方が強い。今回の地震により日本のGDPは、約1%押し下げられるとみられる。
自動車やエレクトロニクスの部品メーカーは、東北地方がそうした部品や自動車全体の組み立て等々で日本の中で競争力があるとみなし、生産拠点をシフトさせていたのでダメージが非常に大きい。中には世界的なマーケット・シェアを持つメーカーがある。こうしたところが被害を受けているために、世界の自動車、あるいはエレクトロニクスの製造に影響を与える可能性がある。
生産設備の復旧工事が急がれる。すくなくとも2カ月間はかかるとわれわれはみている。
WSJ:原発が農産物に与える影響は?
米倉氏:福島のホウレンソウを継続的に食べても大丈夫、健康に影響はないとは言いながらも、基準としてはかなり高目になるので出荷を抑制する、というようなことを放送するものだから、そういった意味では、農業従事者には打撃は大きい。
原発は収束に向けて東京電力が一生懸命に努力している。一進一退だが、かなりコントロール下に置けるようになってきているのではないか、とわれわれはみている。
WSJ: 今後、農産品の輸入を増やす必要は?
米倉氏:そもそも、われわれは農産品については自給率が40%だった。カロリー・ベースで60%の食肉等を含む農産品を輸入している。そういう意味では、その(震災の)ために輸入しなければいけないということではない。むしろほかの地域、例えば北海道とか、東北でも福島以外の場所は大丈夫だと私は思っている。
風評でこれは大変だと言って野菜を食べなくなったりしているし、私自身、おかしいと思うのは、どういう状態で測られているのか、それが分からない。水で洗って出荷するのだが、その出荷時点で測っているのか、それとも畑でそのまま測っているのか、その辺で随分違うはずだ。そういうことも、はっきりすべきだろうと思う。
今回の場合、風評で右往左往している。海外でそういうことが非常に多いので、われわれは政府に対してもしっかり対応するように要求している。われわれ自身も沈静化に努めている。
WSJ:経団連の停電への対応は?
米倉氏:先日の東電の勝俣会長の記者会見によると、夏の電力需要は6000万キロワットで、供給は4650万キロワットになる。今も、それよりも供給を増やそうと努力していると話していた。2週間前の情報では4200万キロワットというように聞いていた。2週間で4650万(キロワット)まで電力の供給をアップするめどが付いたということだろうと思う。
供給が足りない夏場については、いろいろと節電するような努力をしていくべきだと考えている。経団連ではあらゆる企業、業界に自主的な節電行動計画を出すよう協力を求めている。これを早急にまとめ上げてやっていくというような形にしていきたい。
今の政府はピーク時の電力量を25%カットしようということで案をまとめようとしているが、そんなに大きな数字は必要ではないとみている。25%カットということになれば、産業に対してしわ寄せが大きい。そういうことではなく、今こそこういった地震・津波の影響を最小限に抑え込んで、経済活動をもっと活性化していく努力がわれわれにとって必要だろう。
WSJ:節電は産業界だけではなく、普通の一般家庭も行うのか?
米倉氏:今のところ、うわさで聞いているのは、たとえば家庭はピーク時の15%、中小企業は20%、そのほかの産業界は25%というように言っていたが、いったん出たところで、これはおかしい、ということで政府の内部でこの案は潰れ、(その後は)まだ出ていない。
それよりも、産業界としてどういうことができるのか。現に、私の会社は千葉に工場があるが、自家発電で全部やっている。非常に高いコストになるが、そういう形でサポートしていくことが必要だ。
WSJ:産業界としては自主的な動きの方がいいのか?
米倉氏:そうだ。その方がわれわれにとって影響が少なく、ちゃんとした経済活動ができると思う。
WSJ:中長期的な日本のエネルギー政策は見直しが必要か?
米倉氏:見直すことになるのだろう。原発の今の問題がどういうことで生じたのか、徹底的に解明して、再発防止の手を打っていくべきだろう。
日本は化石燃料のエネルギー源がもはや国内にない。このため、原油を輸入し、LNG(液化天然ガス)を輸入して発電をする。それよりもCO2を考えると、原子力が一番いいのではないかというように考えていた。
やはり、国民の信頼を回復するにはかなり時間が必要だ。むしろ、原因を徹底的に解明して、安全性を確保して、原子力というものが必要だということを国民に訴え、経済性とCO2、あるいは安全ということをバランスのとれた形でやっていくべきだと思う。
WSJ:必ずしも今までの計画を全体的に見直すということではないのか?
米倉氏:現在、9つほどの原発計画があると思うが、これについても(今の問題の)原因を解明し、安全性を計画に反映すれば、もっと安全な原発になるのではないか。
WSJ:延期か廃止ということではないのか?
米倉氏:廃止するという必要はないと思う。
WSJ:タイミング的には少し伸ばす必要があるか?
米倉氏:Intentional(故意による)に伸ばすということではない。結果的に国民の信頼を回復するには時間がかかるということだろう。
WSJ:環境対策はどうなるのか?京都議定書については?
米倉氏:やっていかなければならない。京都議定書は予定どおりに。経済活動が東北地方でダウンしているから、その間はCO2の発生も恐らく減少すると思う。
WSJ: 国のクライシス・コントロール(危機管理)はうまくできているのか?菅政権への評価は?
米倉氏:原発の問題で、菅総理、それから枝野官房長官は、これだけに時間を取られているというようなことで、そのほかの救援物資の輸送やガソリンの輸送についてはちょっと手を打つのが遅れたと思う。
これは経団連が政府に代わって解決した。最初の1週間は大変だったがそこからはガソリンも全部うまく運べるようになった。リファイナリー(製油所)も稼働を上げて、ガソリン等々の増産に努めている。
一番怖いのは風評だ。東北地方は美味しいコメの生産地だが、ここがやられたとして、コメが買い占められている。ちょうど秋に収穫され新米がようやく出てきている段階であり、まだまだコメはたくさん残っている。古米も政府の倉庫に眠っており、心配の必要はない。
そういったところまで国民は心配している。インターネットでいろいろな情報を流すものだから、余計そういったことが広まるわけだ。対策としては、政府がきめ細かく放送するとか、あるいはネットで発信するとか、いろいろなことがある。フルに広報活動をしていく必要がある。
WSJ:当局への不信が国民にみられる。東電の責任問題、情報公開問題はどうか?
米倉氏:一生懸命やっている。考えられていないが、東電自体が被災者だ。従業員が津波に流され、機器も津波に流されているところがある。そういったなかで一生懸命努力をしている。政府としては、東電が最大限努力しやすいような環境を作るべきだと思っている。いろいろ見ていると、政府の内部で考え方が食い違ったりしており、非常に憂慮している。
WSJ:東電は甘かった?
米倉氏:甘かったということは絶対にない。要するにあれは国の安全基準というのがあって、それに基づき設計されているはずだ。恐らく、それよりも何十倍の安全ファクターを入れてやっている。東電は全然、甘くはない。
WSJ:円安傾向にある。為替をどうみている?
米倉氏:震災が起こった後、急激な円高になった。これは聞くところ、われわれには理解できないのだが、要するに日本の保険会社、あるは被災した企業が、資金が必要なために海外資産を売却するだろうと。だから円高、円を買っておけ、というようなことで。非常に不謹慎極まるインベスター、ファンドがいる。
資本主義の発展は、高い倫理観がベースにある。これがなければ資本主義はうまく回転しない。これにもかかわらず、金儲けのためだけにこういった為替のディールをやるということは、私は経済人として許しがたい。こういったことだから、協調介入が合意されたのだろうと思う。
今、ようやくにして元に戻ってきたように思う。リーマンショックの前は(対ドルで)90円とか100円近くにあったのがどんどん上がってきて、それで82〜83円でずっと定着していた。これはその当時でさえ、日本企業にとっては非常に大きな打撃だった。85円は歓迎すべき動きだろうと思う。
WSJ:復興に向けた日本企業の海外資産の売却はあったのか?
米倉氏:そういう動きはない。日銀は震災の以前から、かなりの金融緩和を実施していた。円高のために倒産する中小企業があってはいけないということで、ゼロ金利のような運用をしていた。そういう意味では、金づまりということはまったくない。
(聞き手はチェスター・ドーソン記者)
「パフォーマンスだ」経団連会長、首相要請批判
. 日本経団連の米倉弘昌会長は9日の記者会見で、菅首相が中部電力の浜岡原子力発電所の運転停止を要請したことについて、「思考の過程がブラックボックスだ。政治の態度を疑う」と述べ、政府での検討過程を明らかにしないまま停止を要請したことを「政治的なパフォーマンスだ」と批判した。
米倉会長は「総理の(運転停止の要請)発表は停止命令に近い発言として受け止められる」と指摘。30年以内にマグニチュード8程度の東海地震が起きる可能性を87%とみて要請した点についても「唐突感は否めない」などと述べた。
(2011年5月9日21時23分 読売新聞)
風知草:暴走しているのは誰か=山田孝男
なるほど、浜岡原発の全面停止は中部圏の生産や雇用にマイナスの影響を与えるだろう。脱原発の世論に弾みをつけ、他の原発に波及するに違いない。だが、それはとんでもない暴走だろうか。「何がなんでも電力消費」の本末転倒こそ暴走というべきではないか。
いま、福島では、原発周辺の10万人近くが住み慣れた土地を追われ、職を失い、途方に暮れている。残った人々も放射性物質による空気と水と土壌の汚染におびえ、農作物も魚も肉も売れない。風評被害は近県どころか全国に及び、しかもなお、原発は制御不能だ。
なるほど、福島とチェルノブイリは違う。チェルノブイリは核分裂進行中の事故だが、福島は核分裂の停止後だ。核燃料の余熱の冷却ができないケースである。だが、この余熱がクセものだった。たかが余熱のはずがこの騒ぎだ。
電気が通い、冷却さえできれば大丈夫と東京電力は言う。福島原発震災の最大の教訓は冷却電源の喪失だというのが、原子力安全・保安院と東電の一貫した考え方である。
一方、多くの国民は、無言のうちに別の教訓を学んだ。原発から生まれる放射性廃棄物の害毒と制御の難しさである。それは、かねて反原発派の常識ではあったが、いまや国民世論に広く深く浸透した。
いま、各地で、フィンランドの放射性廃棄物・最終埋蔵処分施設「オンカロ」に迫るドキュメンタリー映画「100,000年後の安全」(09年、原題「into eternity」)をやっている。宣伝なしの緊急公開だが、配給元の予想を上回る反響で、連日満員の盛況という。
オンカロは世界で唯一、現実に建設が進む使用済み核燃料の最終処分施設である。エネルギーをロシアに頼るフィンランドにとって原発は安全保障上の選択であり、廃棄物永久埋蔵の国民合意に達した。
だが、高レベルの放射性廃棄物が無害になるまでには10万年の歳月を要するという。かつて、それほどの時間に耐えた建造物はなかった。戦争、内乱はもとより地殻変動や洪水が起きないと誰が言えるか。
第一、数百年先の文明、言語さえ想像を超えている。埋蔵物の危険を子孫にどう伝えるか。やはり、無理な計画ではないのか。カメラは執拗(しつよう)にこの主題を掘り下げてゆく。
日本は使用済み燃料の再利用循環(核燃料サイクル)と、その過程で出る廃棄物の最終処理をめざしているが、道筋はついていない。不確定という点でフィンランドよりはるかに無責任な状況なのに、大量の使用済み燃料を吐き出している。それでいいのだろうか。
なるほど、首相の発表は唐突だった。「ウケ狙いのパフォーマンス」「奇策で政敵の機先を制した」などの解説は政局の機微に触れてはいるが、問題の核心とは言えない。
問題の核心は、何がなんでも電気をつくり、使い続けようという人々と、流れを変えようとする人々の綱引きだ。全原発の即時停止が非現実的だということは誰も知っている。「危険な原発は他にもあるから浜岡を止めるな」は通らない。危険なら他の原発も中期的に抑制するのが当たり前だろう。
これは、福島の、あれだけの惨状を直視して原発依存を見直そうという常識と、福島を見くびり、過去の惰性に開き直る時代錯誤との戦いである。首相の次の一手に注目する。(毎週月曜日掲載)
風知草:再び「浜岡原発」を問う=山田孝男
4月28日朝、首相と関係閣僚が顔をそろえる「経済情勢に関する検討会合」で、出席者の一人が「浜岡原発(中部電力)は止めるべきだ」と発言した。電気事業を所管する経済産業相は反論を避けた。その他の出席者も、不意の問題提起に応答をためらい、沈黙をまもった。議論は回避されたが、政府要人による浜岡原発停止要求は、この問題に敏感な霞が関と電力業界に強い衝撃を与えた。
いま、政府は、福島以外の原発の制御は考えていないように見えるが、実情は違う。楽屋裏では、散発的に次のような会話が交わされている。
「浜岡はあぶない」「そうは言っても、他の原発と区別して止める(法令上の)根拠がないでしょう」「予見しうる危険を防ぐのが政治では」「不用意に踏み込めば自治体を刺激し、全原発に波及して収拾がつかなくなりますぞ」−−。
政府内でも、ついに浜岡原発停止論が広がるか、そうは問屋が卸さぬか、まさしく微妙な段階にさしかかった。
浜岡原発は静岡県御前崎市にある。何が問題か。まず、東海地震の予想震源域の真上に建っている。地震学者の石橋克彦神戸大名誉教授(66)に聞けば、揺れを生む断層面が真下の浅い所にあり、地盤が軟弱。巨大地震がくれば激しい地盤隆起が避けられず、立地条件の悪さという点で突出している。
一方、政府の地震調査研究推進本部は「今後30年間にマグニチュード(M)8クラスの東海地震が起きる確率は87%」と予測(08年)、東海を最重点に地震防災を進めてきた。
それでも浜岡原発は動き、増設され、運転差し止め請求訴訟でも原発行政が勝った。「M8に見合う耐震安全性は十分」という司法判断だが、3・11並みのM9ならどうか。
浜岡は、制御設備の「外部電源の信頼性が福島より格段に高い」から、福島と同じにはならないと元科学技術庁原子力局長が主張している(東京新聞4月29日朝刊)。この人は「潜在的リスクがあるから停止」は短絡という意見である。
筆者は先週、霞が関の技術系官僚2人(いずれも専門は原子力以外)に取材したが、うち1人は、こちらが驚くほど強い調子で原子力官僚の経済優先・安全軽視を批判した。
「彼らは外部電源としか言わないですね。福島も『電源さえつながれば』と言って50日たつけど、何も変わらない。結局プラント(機械設備)の中しか見ていない。自然によってガードを崩されるという想像力、安全思想が欠けている」
2人とも要職を占めるベテラン。政権の司令塔不在を嘆いたあたりは予想通りだが、「浜岡は止めるべきです」と異口同音に語った点が意外だった。
環太平洋地域では過去50年にM9クラスの巨大地震が5回起き、うち3回は最近7年間に集中している。浜岡の海岸には高さ10メートルの砂丘があるとか、12メートルの防波壁を新設するとかいうけれども、福島原発は十数メートルの津波に洗われている。
折も折、中部電力は、点検休止中の浜岡原発3号機を7月に再開したいと言い出した。真夏の電力不足による混乱回避へ布石を打ったのだろうが、民間企業に大局判断は無理というなら、政府が出るしかない。安全を守る国家意思を明確にして政治をリセットするためにも、日本の技術に対する国際的不信をぬぐうためにも、まず浜岡原発を止めてもらいたい。(毎週月曜日掲載)
風知草:「原発への警鐘」再び=山田孝男
先週、浜岡原発を止めてもらいたいと書いたが、止まる気配はない。あらためて警鐘を鳴らさなければならない。そう考えていた折、30年来、原発への警鐘を打ち鳴らし続けてきた経済評論家、内橋克人(かつと)(78)の話を聞く機会を得た。
神戸新聞の経済記者からフリーに転じて44年。モノづくりの現場を歩いた豊富な取材経験に基づき、経済技術大国・日本の過信と、現代資本主義の人間疎外を鋭く問う評論活動に定評がある。NHKテレビ「クローズアップ現代」で登場回数最多の常連解説者と言ったほうが通りがいいだろうか。
この人は米スリーマイル島原発事故(79年)後の84年、週刊現代の連載ルポをベースに講談社から「日本エネルギー戦争の現場」を出版した。どのくらい読まれたか記録がないが、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)直後に「原発への警鐘」と改題して文庫化。これは5万3000部売れた。
やがて地球温暖化防止と原発ルネサンスの20年が訪れ、労作は忘れられる。が、3・11を経て先週、一部復刻版「日本の原発、どこで間違えたのか」(朝日新聞出版)が出た。福島第1原発ルポに始まり、このままでは亡国に至ると結ぶ原著には予言書の趣がある。
内橋はこう言っている。原発安全神話には根拠がない。原発推進の是非が国会やメディアを通じ、文字通り国民的議論に付されたためしがない。あくなき利益追求という経済構造に支配されているのが実態だ。その危うさを問うべき学者も、メディアも、利益構造の中に埋没している。その現実が、地震と津波であらわになったというのが内橋の確信である。
原発は維持拡大か、縮小廃止か。世論は割れている。毎日新聞の調査(18日朝刊)では「原発依存は、やむを得ない」が40%。「原発は減らすべきだ」が41%で「全廃すべきだ」は13%だった。「原発は今後どうしたらよいか」と聞いた朝日新聞の調査(同)では、「増やす」5%、「現状程度」51%、「減らす」30%、「やめる」11%という分布になった。
日本は二つの領域に分断された。引き続き原発依存型の経済成長と繁栄を求める人々の日本と、今度という今度はそこから脱却しなければならないと考える人々の日本に。
この亀裂を埋め、まとめるのは政府の役割のはずだが、国策の根幹に斬り込む議論を寡聞にして知らない。福島の制御と三陸の復興に忙殺されているのは分かるが、首都圏や東海地方に第2撃の巨大地震が来ないと言えるか。来てもマグニチュード7程度という中央防災会議の想定内と言えるか。
内橋は、「原発への警鐘」の終盤で、第二次大戦の敗因を分析した戦争史家の文章から以下を引用している。
「有利な情報に耳を傾け、不利な情報は無視する(日本政府固有の)悪癖に由来するが、日本的な意思決定方式の欠陥を暴露したものであろう。会して議せず、議して決せず……。意思決定が遅く、一度決定すると容易に変更できない。変化の激しい戦争には最悪の方式で、常に手遅れを繰り返し、ついに命取りになった……」
日本には現在、54基の原発があり、総電力供給量の3割を賄っている。2030年までに14基増やし、原発依存率を5割にあげるという政府のエネルギー基本計画は妥当か。大胆な議論に期待する。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
風知草:浜岡原発を止めよ=山田孝男
中部電力の浜岡原子力発電所を止めてもらいたい。安全基準の前提が崩れた以上、予見される危機を着実に制御する日本であるために。急ぎ足ながら三陸と福島を回り、帰京後、政府関係者に取材を試みて、筆者はそう考えるに至った。
福島に入った私の目を浜岡へ向かわせたのは佐藤栄佐久・前福島県知事(71)だった。郡山に佐藤を訪ねて「首都圏の繁栄の犠牲になったと思うか」と聞いたとき、前知事はそれには答えず、こう反問した。
「それよりネ、私どもが心配しているのは浜岡ですから。東海地方も、東京も、まだ地震が来てないでしょ?」
5期18年(5期目半ばで辞任後、収賄で逮捕・起訴。1、2審とも有罪で上告中)。国・東京電力との蜜月を経て原発批判に転じた佐藤が、恨み節を語る代わりに首都圏の油断を指摘してみせたのである。
浜岡原発は静岡県御前崎市にある。その危うさは反原発派の間では常識に属する。運転中の3基のうち二つは福島と同じ沸騰水型で海岸低地に立つ。それより何より、東海地震の予想震源域の真上にある。
「原発震災」なる言葉を生み出し、かねて警鐘を鳴らしてきた地震学者の石橋克彦神戸大名誉教授(66)は、月刊誌の最新号で、浜岡震災の帰結についてこう予測している。
「最悪の場合、(中略)放射能雲が首都圏に流れ、一千万人以上が避難しなければならない。日本は首都を喪失する」「在日米軍の横田・横須賀・厚木・座間などの基地も機能を失い、国際的に大きな軍事的不均衡が生じる……」(「世界」と「中央公論」の各5月号)
これが反原発派知識人の懸念にとどまらないことを筆者は先週、思い知った。旧知の政府関係者から「浜岡は止めなくちゃダメだ。新聞で書いてくれませんか」と声をかけられたのである。原発輸出を含む新成長戦略を打ち出した内閣のブレーンのひとりが、浜岡に限っては反原発派と不安を共有し、「原発を維持するためにこそ止めるべきなのに、聞く耳をもつ人間が少ない」と慨嘆した。
福島のあおりで中部電力は浜岡原発の新炉増設の着工延期を発表したが、稼働中の原子炉は止まらない。代替供給源確保のコストを案じる中電の視野に休止はない。ならば国が、企業の損得や経済の一時的混乱を度外視し、現実の脅威となった浜岡原発を止めてコントロールしなければならないはずだが、政府主導の原発安全点検は表層的でおざなりである。
なるほど民主党政権は無残だが、自民党ならみごと制御できたとも思わない。空前の大災害であり、しかもなお収束のめどが立っていない。
向こう1000年、3・11ほどの大地震や津波がこないとは言えないだろう。列島周辺の地殻変動はますます活発化しているように見える。そういうなかでGDP(国内総生産)至上主義のエネルギー多消費型経済社会を維持できるかと言えば、まず不可能だろう。
いま、首相官邸にはあまたの知識人が参集し、「文明が問われている」というようなことが議論されている。ずいぶんのんきな話だと思う。
危機は去っていない。福島の制御は当然として、もはやだれが見ても危険な浜岡原発を止めなければならない。原発社会全体をコントロールするという国家意思を明確にすることが先ではないか。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
孫社長:「適切な判断」…菅首相の浜岡原発停止要請を評価
ソフトバンクの孫正義社長 ソフトバンクの孫正義社長は9日の記者会見で、菅直人首相が浜岡原発の停止を要請したことについて「大変危険な状況から国民を守るというのは、非常に適切な判断だ」と評価した。孫社長は震災後、個人で10億円を拠出して「自然エネルギー財団」の設立を表明し原発依存からの脱却を訴えており、「財団を通じて日本のエネルギー状況が改善するよう努力していきたい」と述べた。【乾達】
浜岡原発:首相と、原発推進維持図る経産省の同床異夢
中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止が9日、菅直人首相からの異例の要請を受け入れる形で決まった。背景にあるのは、これを将来的なエネルギー政策の転換につなげる一歩としたい菅首相と、「最も危険な浜岡」だけを止めることで原発推進の国策維持を図る経済産業省の同床異夢。夏の電力需給の逼迫(ひっぱく)を警戒する中部電は、停止の受け入れを2日間遅らせたものの、微妙なバランスの上に成り立った「政権の決断」にあらがう選択肢はなかった。
「中部電力が要請を受け入れ、大変良かった。政府としても電力全体が足らなくならないよう対応には力を入れたい」。菅首相は9日夜、東日本大震災の発生後、ほとんど応じていなかった記者団の質問に答え、「海江田万里経産相がしっかりと説明してくれたことによって良い形ができた」と付け加えた。
実際、浜岡停止の根回しに走ったのは海江田氏だった。日本の原子力行政を進めるためにも「福島第1原発の二の舞いは許されない」と考え、3月末から浜岡原発の耐震性や停止した場合の影響などの検討に着手。4月下旬には停止方針を固めた。
資源エネルギー庁の一部幹部は「ほかの原発にも波及しかねない」「東京電力や関西電力の需給にも影響が生じる」と抵抗したが、海江田氏は「浜岡は大地震の起こる可能性が突出している。ほかの原発には波及させない」と説得。首相が8日、浜岡以外の原発を止める可能性を否定し、「特別なケース」と明言したのも経産省への配慮だった。
しかし、首相が周辺に語る本音は「原子力と石油火力がダメとなったら、再生可能エネルギーと省エネに力を入れるしかない」。法的根拠のない「要請」という手法に加え、大型連休の谷間の6日に発表した経緯を首相周辺は「我々が一番気にしたのは、どう(経産省や電力会社の)巻き返しを防ぐかだった」と振り返る。発表前に情報が漏れて原発推進派に抵抗の余地を与えることを警戒。政府内の根回しも官邸、経産省などごく一部に抑え、内閣府の原子力安全委員会にも助言要請しない段階で、間髪をいれず発表した。
日本全体の電力需給を考えれば、ほかの原発の停止は非現実的。エネルギー政策の方向性をどう示すかが今後の焦点となる。首相は26、27日にフランスで開かれる主要国首脳会議(G8サミット)で原発の安全対策強化を訴える方針で、風力など再生可能エネルギーの推進に踏み込む意欲も示している。ただ、サミット参加国の大半は原発推進国。政府関係者は「浜岡以外は止めないと言っているのはフランスなどへの配慮」と解説する。
首相官邸内にも温度差がある。原発プラントの輸出に積極的だった仙谷由人官房副長官は8日のNHK番組で「原発を堅持する」と強調。枝野幸男官房長官は9日の記者会見で「原子力政策一般については(福島原発)事故の検証を踏まえたうえでゼロベースで検討する」と見直す可能性をにじませた。
当面の浜岡停止でまとまった政権の意向を受け、中部電力は代替火力発電の燃料調達に追われた。中部電の三田敏雄会長は7日の臨時取締役会終了後、0泊3日の強行軍でカタールに飛び、液化天然ガス(LNG)の追加調達のめどがついたことで、浜岡停止を最終決断した。【平田崇浩、野原大輔、丸山進、関東晋慈】
自民政権の北方領土交渉「指導力欠く」 米当局が酷評(1/2ページ)2011年5月10日4時2分
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. 米外交当局が、自民党政権末期の北方領土問題への取り組みを、「指導力に欠けている」などと、非常に厳しく評価していたことがわかった。朝日新聞が内部告発サイトのウィキリークスから提供を受けた外交公電を分析した。
在日米大使館はロシアのプーチン首相の訪日を翌月に控えた2009年4月、日ロ関係全般についての分析を国務省に報告。「日本には、北方領土返還交渉のための計画も、計画を策定して最後までやり遂げる指導者も欠けている」と、当時の麻生政権を酷評していた。
同年2月、麻生太郎首相とメドベージェフ大統領は「独創的なアプローチ」で解決を目指すことで合意。日本側では進展への期待が高まっていた。だが、公電は、麻生首相について複数の情報源の見方として「北方領土問題について信頼できる助言者がほとんどいない。彼の指導スタイルが他人に耳を傾けることを妨げている」と指摘した。
野党・民主党についても見方は厳しく、北方領土問題では「政策の真空状態」に置かれていると指摘。新しい発想が出てこない理由として、「(02年にロシアに柔軟姿勢を示したと批判された)鈴木宗男前衆院議員を巡るスキャンダルの後遺症」を挙げた。
問題解決への日本の「本気度」を疑う記述もある。「日本は、エネルギー供給を、領土問題の速やかな解決よりもはるかに切実に必要としている」と分析。経済関係が深まる日ロ双方にとって「現状維持は受け入れ可能。それどころか好都合」と指摘している。
米側が日本の楽観的な見通しを一貫して冷ややかに見ていた様子は、他の複数の公電からもうかがえる。
たとえば、06年末に石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」をめぐってロシア側が三井物産、三菱商事などから権益の過半数の譲渡を受ける妥協案がまとまったが、07年1月の公電は「日本外務省は、この結果が北方領土交渉を促進すると信じている」と指摘し、「驚くべきことだ」とした。同年2月には、在モスクワ米大使館発の公電が、前月に始まった外務次官級の「日ロ戦略対話」について、「ロシア側は領土問題解決のためのチャンネルとは見ていない」のに「日本側は領土問題が『隠れたテーマ』になると主張している」と報告していた。
09年4月の公電は、日本の外務官僚が、「メドベージェフ大統領にはやる気がある。交渉が進まないのは、部下が大統領に適切な情報を上げていないからだ」と信じていると指摘した上で、「おそらく、ナイーブ(世間知らず)な評価だ」との見方を示している。
こうした分析の背景には、米側がロシア側から得ていた情報があったようだ。「ロシア指導部は北方領土について、第2次大戦でヒトラーを支持した結果日本が払った代償で、対独戦でロシアが失った数百万の命の補償の一部だと考えている」とし、譲歩は望めないとの見通しを繰り返し伝えている。(文中の肩書は当時)
放射能の土壌汚染地図、1500地域で作製へ 研究者ら(1/2ページ)2011年4月28日3時2分
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土壌汚染地図の調査範囲
福島第一原発事故を受けて、大阪大や広島大、東京大などの研究者ら約300人が5月中に詳細な土壌の汚染地図作りに乗り出す。福島を中心に1500のエリアで、最大1万地点の土を採取し、汚染の実態を明らかにする計画だ。地図は避難区域の設定などに役立ててもらう。文部科学省も、詳しい汚染の実態把握には専門家の助けが必要として活用していく考えだ。
地図作りは、大阪大核物理研究センターの藤原守准教授や広島大原爆放射線医科学研究所の星正治教授、東京大原子核科学研究センターの大塚孝治教授らが呼びかけ、全国の核物理学や環境放射能、気象の専門家らが協力する。チェルノブイリ原発事故の環境調査で実績のあるロシア放射線医学研究所の協力も得る。
チームは5月中旬ごろに、福島第一原発から西へ60キロ、南北100キロの範囲を2キロ四方、1500エリアに分けて調査。1エリアあたり5〜7地点の土を採取して、ヨウ素131やセシウム137、ストロンチウム90などを測定し、2キロ四方の濃度を地図に落とす。原発から20キロ圏内の警戒区域でも調査する計画で、政府と詰める。
土壌の汚染は地形や気象の影響を受けるため、同じ地域でも少し離れただけで値が大きく異なる。避難区域の設定など、きめ細かな対策には、詳細なデータが不可欠だ。
当面、数カ月ごとに調査を続け、地図を更新していく計画だ。福島はチェルノブイリに比べ、地形の起伏があるほか、雨が多く土壌が流されやすく、時間を追って、汚染度が変化しやすいと考えられるからだ。
また、住民への健康調査データをもとに、土壌汚染との関連も調べていく。
チェルノブイリ原発事故では、セシウム137の土壌汚染の詳細地図が出来たのは事故から3年後だった。半減期が短いヨウ素131の測定は不十分だったため、甲状腺がんの発症と、甲状腺に集まりやすいヨウ素131の汚染度との関連など、健康影響の評価には限界があった。
文科省も土壌汚染の地図作りを進めているが、現在の調査地点は53カ所。同省は「研究者と連携し、効率的に地図を活用したい」と調査手法などの協議を進めている。
大阪大の藤原さんは「将来のがん発症と放射性物質のリスクを検証するには、早期の調査が必要だ。土壌マップの基礎データがあれば、住民が納得できる避難区域の設定にもつながる」と話す。(岡崎明子)
航空機計測もとに「地表汚染マップ」 日米共同で製作2011年5月6日21時8分
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地表汚染マップ
文部科学省は6日、福島第一原発から80キロ圏内の地表の汚染マップを初めて公表した。米エネルギー省と協力し、航空機を使って、地表1〜2キロ四方で放射性物質の蓄積量を測って作った。原発から北西方向を中心に避難区域外の一部でも、高レベルの汚染地域が見つかった。
今回のマップは、上空からの測定値をもとにしているため、文科省は今後、地上での実測データを増やし、きめ細かな避難区域の設定の判断などに役立てる方針だ。
調査は4月6日〜29日行った。米エネルギー省は飛行機とヘリの計2機で60キロ圏内を、文科省は民間ヘリ1機で60〜80キロ圏内を観測した。放射線計測器を搭載し、約150〜700メートル上空から地上を観測。放射性物質ごとのエネルギーの違いから、半減期が約30年のセシウム137や、約2年のセシウム134の蓄積量を調べた。
この結果、原発から北西方向にセシウム137が1平方メートルあたり300万〜1470万ベクレルの汚染地域が帯状に広がっていた。チェルノブイリ原発事故では、セシウム137が55.5万ベクレル以上の地域が強制移住の対象となった。今回のマップでは、計画的避難区域の飯舘村や浪江町などの外でも一部、この水準を超える地域もあった。
京都大原子炉実験所の今中哲二助教は「汚染地域が広域で驚く。避難計画や、道路や公共施設などの除染対策の参考になる」と話している。(佐藤久恵)
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3月
28
福島原発から40kmの飯館村はチェルノブイリ強制退避基準の2倍以上の汚染度
カテゴリ:放射線東電福島原発事故
京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子炉工学)が、土壌のセシウムで汚染の程度を評価したところ。
原発の状況が分からず被災地各自の事情もあるとした上で「避難を考えた方がいいレベルの汚染。ヨウ素やセシウム以外の放射性物質も調べる必要がある」として、飯館村で土壌汚染を調査する方針だ。
文部科学省の調査で20日に採取した土壌から放射性のヨウ素1キログラム当たり117万ベクレル、セシウム16万3千ベクレル、雑草からヨウ素254万ベクレル、セシウム265万ベクレルが確認された。土壌中のセシウムは通常の1600倍以上だった。
今中助教は、土壌のセシウムで汚染の程度を評価した。汚染土を表面2センチの土と仮定すると1平方メートル当たり326万ベクレルで、1986年の旧ソ連 チェルノブイリ原発事故で強制移住対象とした148万ベクレルの2倍超、90年にベラルーシが決めた移住対象レベルの55万5千ベクレルの約6倍だった。
京都新聞
土壌汚染「チェルノブイリ強制移住」以上 京大助教試算印刷用画面を開く
東京電力福島第1原発の事故で、高濃度の放射性物質が土壌などから確認された福島県飯館村の汚染レベルが、チェルノブイリ原発事故による強制移住レベルを超えているとの試算を、京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子炉工学)がまとめた。
飯館村は原発から北西約40キロ。今中助教は、原発の状況が分からず被災地各自の事情もあるとした上で「避難を考えた方がいいレベルの汚染。ヨウ素やセシウム以外の放射性物質も調べる必要がある」として、飯館村で土壌汚染を調査する方針だ。
文部科学省の調査で20日に採取した土壌から放射性のヨウ素1キログラム当たり117万ベクレル、セシウム16万3千ベクレル、雑草からヨウ素254万ベクレル、セシウム265万ベクレルが確認された。土壌中のセシウムは通常の1600倍以上だった。
今中助教は、土壌のセシウムで汚染の程度を評価した。汚染土を表面2センチの土と仮定すると1平方メートル当たり326万ベクレルで、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故で強制移住対象とした148万ベクレルの2倍超、90年にベラルーシが決めた移住対象レベルの55万5千ベクレルの約6倍だった。
今中助教は「国は原発周辺の放射性物質を詳細に調べて分析し、ただちにデータを公開すべきだ」と話している。セシウムは半減期がヨウ素(8日)と比べ30年と長く、汚染の長期化が懸念されている。
冠水作業の1号機、格納容器水位は想定以下
読売新聞 5月12日(木)3時5分配信
原子炉を冷やすために格納容器を水で満たす冠水(水棺)作業が進められている東京電力福島第一原子力発電所1号機は、これまで考えられていたほど水がたまっておらず、格納容器の半分にも達していないことが11日、政府・東電統合対策室の調べでわかった。
原子炉建屋内に人が入って水位を測る計器類を再調整した結果、判明した。同室で原因を調べているが、格納容器からの水漏れや、予定された量の水が格納容器に注入できていない可能性が考えられる。
1号機は、2、3号機に比べて、格納容器の健全性が保たれていると考えられ、原子炉を安定的に冷やすための作業が先行して行われている。格納容器に水漏れがあった場合、今後の冠水作業が大幅に遅れる可能性もある。 .最終更新:5月12日(木)3時5分
浜岡4号機の発電が停止、5号機は14日に
読売新聞 5月13日(金)10時11分配信
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浜岡4号機の発電量が0キロワットになったことを示す計器(13日午前、中部電力本店で)=高橋はるか撮影
中部電力は13日、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)4号機(113・7万キロ・ワット)の発電が停止したと発表した。
同社本店(名古屋市)に設置された4号機のデジタルの出力表示は午前10時1分、「ゼロ」を示した。
同日午前3時半に始まった停止作業では、原子炉内を循環する水の量を減らして出力を引き下げながら、核分裂反応を抑える「制御棒」を挿入。全185本の制御棒挿入が終わるのは、13日午後3時頃になる見通しだ。
5号機(138万キロ・ワット)の発電は14日午前10時頃に停止する予定。 .最終更新:5月13日(金)10時11分
-東京電力-8月の電力供給 100万キロワット超上積み
毎日新聞 5月13日(金)2時30分配信
東京電力本店=東京都千代田区内幸町で、内田剛樹撮影
東京電力が、8月末の電力供給力について、従来見通しよりも100万キロワット超上積みして5620万キロワットを確保したことが12日、分かった。そのうち、最大140万キロワットを、同様に夏場の電力供給に不安がある東北電力に融通する。だが、猛暑時に想定されるピーク需要6000万キロワットには及ばない。このため、政府は13日午前にも電力需給緊急対策本部を開き、東電管内の企業や家庭に対して一律15%の節電を求める対策を正式決定する。
【検証・大震災】混乱「計画停電」(1)死者出れば政権吹っ飛ぶ
東電はこれまで、今夏に5500万キロワット程度の供給力を確保できると見ていた。被災で稼働が遅れている広野火力発電所(福島県広野町、5基計380万キロワット)の運転再開を急ぐほか、自家発電設備を保有する事業者などから電力を購入することで上積みできる見通しが立った。中部電力の浜岡原発停止に伴い、中部電からの電力融通はストップするが、中国電力などの支援を得たい考えだ。【野原大輔】
リニア 最短直線ルート妥当 国交省審議会が最終答申
毎日新聞 5月12日(木)20時20分配信
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実験線を走るリニアモーターカー=山梨県都留市で2010年9月10日、福沢光一撮影
国土交通省の交通政策審議会・中央新幹線小委員会は12日、東京−名古屋間で最短の南アルプス(直線)ルートを取るJR東海のリニア中央新幹線計画を妥当とする最終答申を行った。大畠章宏国交相は今月中にも整備計画の決定を行い、同社に建設指示を出す。東日本大震災を受けて耐震補強策の拡充が必要かどうかも4月に議論したが、結果的に追加対策を求める記述は盛り込まなかった。
【写真で見る】JR東海:新しいリニア試験車両は角形
◇「耐震」追加対策なし
震災発生でリニア中央新幹線の耐震・防災対策が妥当かどうか改めて注目されたが、JR東海は4月14日の会合で、東北新幹線が震災で大きな被害を受けず、早期復旧を果たせたのは阪神大震災後に見直された耐震基準による補強が行われたためと説明。その上で、東北新幹線と同等の基準で建設を想定しているリニア中央新幹線には、「追加的な投資は必要ない」と主張していた。
最終答申は、想定される東海地震で交通の大動脈が寸断されることを避けるためには、東海道新幹線のバイパス機能を持つリニア中央新幹線の重要性が「更に高まった」と指摘。その一方で、耐震・防災対策の拡充を求める記述は盛り込まれず、JR東海の主張を容認する形になった。
また答申では、JR東海が45年と設定している東京−大阪の開業時期について「想定を上回る収益が上げられれば早めることも期待できる」と言及。付帯意見で、経済効果の観点から「大阪開業をできる限り早く実現させることがきわめて重要」と指摘した。
JR東海は、工事実施計画の申請・認可などを経て、14年度の着工を目指す。総工費は9兆300億円で、東京−名古屋間は27年、東京−大阪間は45年の開業を計画している。時速500キロ走行での所要時間は東京−名古屋間が40分、東京−大阪間は1時間7分を予定している。【三島健二】
◇JR東海、負担膨張も 中間駅建設費で自治体と対立
リニア中央新幹線計画の妥当性を審議してきた交通政策審議会がゴーサインを出したことで、JR東海は着工に向けて大きく一歩踏み出すことになった。ただし東京、名古屋、大阪の主要駅以外に沿線各県に一つずつ設ける予定の「中間駅」については、建設費負担を巡って沿線自治体と折り合いがついておらず、今後調整が必要になる。同社の財政負担が膨らむ可能性もあり、巨額の建設費を同社が単独で捻出できるかどうか懸念も浮上している。
東京、名古屋、大阪の主要3駅はJR東海自身が整備するが、それ以外の通過県(神奈川、山梨、長野、岐阜、三重、奈良の6県)に一つずつ設ける予定の中間駅については、同社は自治体の全額負担を求めている。しかし、自治体側は負担軽減を求めており、昨年12月にまとまった同審議会の中間報告では、JR東海と沿線自治体に調整を求めていた。
しかし主張は平行線のまま推移している。このため最終答申では、付帯意見で中間駅建設費の負担について、JR東海と沿線自治体の間で合意が得られない場合、国が調整に関与することを求める一文を盛り込んだ。自治体の主張に配慮した形で、国や政治の介入を嫌い、自力建設に強いこだわりを見せていたJR東海にとって、この点は不本意な結果となった。
中間駅の建設費は地上なら1駅350億円、地下なら1駅2200億円かかると見込まれている。中間駅を除く建設費8・4兆円を自己負担する予定のJR東海だが、国が調整に関与して、中間駅についても費用負担を求められれば、同社にとって重荷となる可能性がある。
東日本大震災発生後に乗客減で収益が大幅に悪化したことも、同社にとっては誤算だ。「影響はあくまで一時的・限定的なもの」とJR東海は説明するが、中部電力浜岡原発の運転停止という悪材料もさらに重なった。生産活動停滞などで需要低迷が長引けば、リニア中央新幹線建設を支えうるはずだった財務基盤が弱体化し、開業時期が後ずれする可能性も出てくる。【三島健二】
中央新幹線小委員会
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概要設置年月日:2010/03/03
根拠法令:交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会決定
所掌事務:中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名並びに整備計画の決定についての調査審議
庶務担当部署(内線):鉄道局幹線鉄道課(40333)、鉄道局技術企画課技術開発室(40754)
委員(2010/03/03 時点)委員長
家田 仁 東京大学大学院工学系研究科教授
委員
江頭 憲治郎 早稲田大学大学院法務研究科教授
木場 弘子 キャスター、千葉大学特命教授
竹内 健蔵 東京女子大学現代教養学部教授
廻 洋子 淑徳大学国際コミュニケーション学部教授
渡辺 幸一 全日本交通運輸産業労働組合協議会議長
臨時委員
青木 真美 同志社大学商学部商学科教授
樫谷 隆夫 公認会計士
古関 隆章 東京大学大学院情報理工学系研究科准教授
小林 潔司 京都大学経営管理大学院院長
小山 幸則 京都大学大学院工学研究科教授
辻本 誠 東京理科大学工学部教授
中村 太士 北海道大学大学院農学研究科教授
林山 泰久 東北大学大学院経済学研究科教授
村上 清明 株式会社三菱総合研究所科学技術部門参与
福島第1原発 「賠償機構」設置し東電を支援 政府決定
毎日新聞 5月13日(金)11時41分配信
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閣議終了後、記者の質問に答える海江田万里経産相=国会内で2011年5月13日午前9時4分、藤井太郎撮影
東京電力福島第1原発事故の損害賠償問題で、政府は13日午前、関係閣僚会合を開き、東電を公的管理下に置く一方で、官民で資金を拠出する「原発賠償機構(仮称)」が東電の賠償支払いを支援する枠組みを正式に決めた。損害賠償額の上限は設けない一方で、「電力の安定供給に支障が生じるなど例外的な場合は政府が補助を行う」とし、国が補償を肩代わりする余地を残した。東電の経営破綻を回避し、被害者の救済を確実にする方針。
【捻出できる資金と必要な費用の格差を図解】
東電は上場を維持するが、財務実態やリストラ状況を政府設置の第三者委員会に監視され、事業計画は国の認可制となる。政府はこれらの措置を盛り込んだ法案の早期成立を目指す。海江田万里経済産業相は国会内で記者団に対し「東電を救済するためではなく、早急に被害の賠償がしっかりと行われることだ」と強調した。
枠組みでは、東電を含む原子力事業者が負担金を拠出して機構を新設し、政府も必要に応じて換金できる「交付国債」を交付する。投入額は5兆円規模で調整している。
機構は東電に賠償財源を融資するほか、東電が債務超過にならないよう、優先株引き受けによる資本注入なども検討する。機構の負担金については、東電を含む原子力事業者が毎年計3000億円程度を電力量に応じて負担する見通し。さらに東電は、毎年の収益から特別負担金として返済する。東電の年間負担は2000億円規模に上りそうだ。
また、賠償に伴う電気料金値上げや財政負担などの国民負担を極力抑えるため、政府は第三者委員会を新設。東電を公的管理下に置いて徹底的なリストラを進め、賠償財源を捻出する。
一方、東電は損害賠償の財源として不動産や保有する有価証券の売却整理などで5000億〜8000億円を捻出。機構に一括売却して市場への影響を考慮しながら処分するほか、資産の証券化なども検討中だ。株式配当は10年程度見送る。
枠組みは12日の関係閣僚会議で決める予定だったが民主党内の意見集約が遅れ、1日だけ持ち越した。【野原大輔】
福島原発1号機、格納容器に漏出「打つ手なし」 核燃料100%損傷か
産経新聞 5月13日(金)7時56分配信
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原発の工程表(写真:産経新聞)
■工程表大幅見直し
12日、東京電力福島第1原発1号機で、原子炉圧力容器内の核燃料棒が完全に露出したことが判明し、圧力容器損傷の可能性も浮上した。原子炉を安定冷却するための作業が進められているが、見直しは避けられない。専門家からは「圧力容器に穴が開いているなら、もう打つ手がない」と危惧する声も上がり、事故の収束に向けた工程表の達成に「黄信号」がともった。(原子力取材班)
[フォト]日本を救え!放射能阻止へ英知結集
▼形状とどめず
「メルトダウン(炉心溶融)が、炉心の形状を維持せず、圧力容器の下に崩れ落ちているというのであればそれ(メルトダウン)で結構」。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は12日の会見で、初めて「メルトダウン」状態にあることを認めた。
東電はこれまで、1号機の核燃料について、約55%が損傷していると推定。一貫して「燃料が溶けて下に落ちていることはない」とし、本来の形状を維持していると説明してきた。
ところが、今回調整した水位計で圧力容器内の水位を測定した結果、燃料の大半が露出していたことが判明。これまで燃料露出は一部とされてきただけに、京都大原子炉実験所の小出裕章助教(原子核工学)は「東電が発表したデータは信頼性がない」と手厳しい。
米スリーマイルアイランド原発事故(1979年)では燃料の約45%が溶け、その約3分の1が底に落ちたが、小出助教は「今回の発表をみると、100%の損傷以外考えられない」と厳しい見方を示している。
▼再爆発はなし
核燃料の大半は溶融して圧力容器の下部に落ちたが、下部にたまった水に漬かることで、冷却できているとされる。実際、圧力容器下部の表面温度は100〜120度と比較的低い。
大阪大の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は「圧力容器の底の水に、溶けた燃料が落ちて微粒子化しているのではないか」とみる。
核燃料が冷却できていない場合、水素が発生して爆発の懸念も生じるが、宮崎名誉教授は「温度が低いのでそういう状況ではない」と、再爆発の可能性を否定している。
▼部位特定急務
「格納容器からも水が漏れている可能性が高い」
原子力安全・保安院の西山英彦審議官が指摘するように、大量の水が放射能を含んだまま環境に漏出した恐れも懸念されている。
圧力容器には、注水は毎時8トンペースで続けられているが、水位は上がっておらず、九州大の工藤和彦特任教授(原子炉工学)は「冷却水の行き先が分からない。漏洩(ろうえい)があるとしか考えられない」と推測。
燃料は圧力容器底にある制御棒駆動装置や溶接部を貫通し、水が漏出している可能性が高いとみられ、工藤特任教授は「できるだけ早く損傷部を突き止める必要がある」と強調する。
東電が工程表実現への「一番の近道」とする冠水(水棺)作業が最初に始まり、「トップランナー」(西山審議官)とされる1号機だが、専門家は「工程表通りに、冷温停止に持って行くのは難しい」と口をそろえる。工程表は第一関門からつまずき、先行きに不透明感が漂い始めた。
【用語解説】メルトダウン(炉心溶融)
燃料棒が溶けて破損する事故。原子炉の冷却水が失われて水位が下がり、燃料棒が露出すると中の放射性物質の熱が除去できずに起きる。全体や大半が溶け落ちると「全炉心溶融」となり、想定される原子力事故の中で最悪の事態。
【用語解説】工程表
東京電力が発表した福島第1原発事故の収束に向けたシナリオ。1〜3号機の原子炉を安定的な「冷温停止状態」にするまでに6〜9カ月程度、放射線量の着実な減少傾向に3カ月、放射性物質の放出管理と大幅抑制にはさらに3〜6カ月が必要とした。
国家公務員給与10%カットへ=労組側と交渉入り—政府
時事通信 5月13日(金)9時18分配信
政府は13日午前の閣議で、国家公務員の給与を今年度から3年間、10%削減する方針を確認した。政府は、人事院が毎年夏に行う給与改定勧告制度を廃止し、労使交渉によって給与を決める新制度の導入を目指しており、これを先取りする形で同日から公務員労組との交渉に入る。これにより3000億円程度を捻出し、東日本大震災の復興財源に充てる方針だ。
政府は労組側との交渉がまとまり次第、給与法改正案を今国会に提出する。菅直人首相は閣議で「しっかり取り組んでもらいたい」と関係閣僚に指示した。
勧告を経ずに給与削減が決まれば、1948年の人事院発足以来初めてとなる。ただ、大震災や福島第1原発事故の対応で、自衛隊員や各府省職員の負担も増しており、労組側との交渉は難航も予想される。
1号機は「メルトダウン」…底部の穴から漏水
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所1号機で、原子炉内の核燃料の大半が溶融し、高熱で圧力容器底部が損傷した問題で、東電は12日、直径数センチ程度の穴に相当する損傷部から水が漏れていると発表した。
溶融した燃料は圧力容器の底部にたまっていると見られ、東電は、この状態が、核燃料の「メルトダウン(炉心溶融)」であることを認めた。
東電はこれまで、燃料の一部損傷などと説明していた。
東電は、圧力容器の温度は100〜120度と安定しているため、事態がさらに悪化する可能性は低いと見ているが、圧力容器を覆う格納容器からも水が漏れだしている可能性が高く、格納容器を水で満たす「冠水(水棺)」など事故収束に向けた作業は難航も予想される。
東電の松本純一原子力立地本部長代理は同日夕の記者会見で「燃料が形状を維持せず、圧力容器下部に崩れ落ちた状態」と現状を説明し、メルトダウンを認めた。
東電によると、1号機では現在、燃料を冷却するため圧力容器内への注水(毎時約8トン)が続き、累積注水量はすでに1万立方メートルを超えている。ところが、10日に圧力容器の水位計を調整した結果、冷却水の水位が容器の底部から最大4メートル程度しかないことが判明。この漏水量から圧力容器の損傷を計算したところ、直径数センチの穴に相当することが分かった。
(2011年5月13日01時33分 読売新聞)
児童・生徒への放射線量、文部科学省が試算
. 福島県内の学校校庭などで通常より高い放射線量が検出されている問題で、文部科学省は12日、4月に国が決めた、屋外活動を制限する基準値以上の学校に通い続けたと仮定した場合、福島第一原発事故後の1年間で子供が浴びる積算放射線量は約10ミリ・シーベルトになるとの試算を公表した。
同県内では、小中学校や幼稚園など13施設で一時基準値以上だったが、このうち何施設が試算値以上に該当するかは明らかにしなかった。
計画的避難区域の対象となるのは年間の放射線量が積算で20ミリ・シーベルト以上とされている。文科省は、試算値はこの半分で基準値も妥当だが、学校外での線量をできるだけ下げる努力が必要だとの見解を示した。
(2011年5月12日20時40分 読売新聞)
福島6市町村のタケノコからセシウム、出荷制限
. 福島県の南相馬市など6市町村のタケノコから新たに暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたことから、政府は13日、新たに出荷制限を指示した。
対象は南相馬市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、西郷村。これで、同県内でタケノコの出荷が制限されているのは、県北部を中心に計12市町村となった。
(2011年5月13日10時27分 読売新聞)
選挙区に「放射線量高い」と文書…小泉政務官
. 国土交通政務官の小泉俊明・衆院議員(民主)が、選挙区の茨城3区内で独自に測定した放射線量が高かったとして、選挙区内の9市町村の小中学校などにマスク着用や子どもの長時間の屋外遊びの自粛を呼びかける文書をファクスで送っていたことが分かった。
政務官名で呼びかけており、各首長は12日、小泉氏に国の公式見解かどうかをただす質問状を提出。小泉氏は「混乱を招いた」とする謝罪文を各首長にファクスで送った。
文書によると、小泉氏は6日、9市町村の庁舎前など10か所で放射線量を測定。数値は毎時0・273〜0・503マイクロ・シーベルトだった。それを基に、小泉氏は「東京や水戸の3倍から5倍という高い数値」として対策を呼びかけた。
各市町村には学校や住民からの問い合わせも多く寄せられたため、マスク着用は国の方針なのか——などの質問事項をまとめ、12日、上京した藤井信吾・取手市長が国土交通省に届けた。
小泉氏は「政府の公式見解ではない。混乱を招き、ご迷惑をおかけした皆様に心よりおわびする」とのコメントを出した。
(2011年5月13日08時26分 読売新聞)
茨城3区龍ケ崎市
取手市
牛久市
守谷市
稲敷市
稲敷郡
阿見町
河内町
美浦村
北相馬郡
利根町
福島原発事故「多くが人災」=原子力専門委員が指摘
時事通信 5月13日(金)20時14分配信
原子力委員会の青山繁晴専門委員は13日の参院予算委員会に参考人として出席し、東京電力福島第1原発事故について「津波の直撃を受けた段階では、原子炉建屋はまだしっかりとしていたが、その後の判断ミス、対応の遅れによって水素爆発が起き、放射性物質が漏えいした。全てではないが多くのものが人災だ」との見解を示した。自民党の衛藤晟一氏への答弁。
青山氏は4月下旬に福島第1原発を視察し、吉田昌郎所長らから聞き取り調査を行った。菅直人首相が東日本大震災発生翌日の3月12日に原発を視察したことに関し、青山氏は格納容器から気体を放出するベントの指示の9分前に首相視察に関する指示が東電本社から現場にあったと説明。「(ベント)作業に加えて首相を迎える準備が必要だったことは間違いない」と述べた。
浜岡原発、停止でも去らぬ危険=電源喪失なら制御不能も
時事通信 5月13日(金)22時19分配信
中部電力は、政府の要請を受け入れて浜岡原発(静岡県御前崎市)を全面的に停止する。東海地震の想定震源域のほぼ中央にあって極めて危険との指摘を踏まえての決断だ。しかし、定期検査中で核燃料棒を原子炉から保管プールに移していた東京電力福島第1原発4号機ですら、地震・津波によって冷却用電源を失い、高温の危険な状態に陥った。原因は不明だが爆発に至っている。
浜岡原発の場合も、運転を停止しても津波の直撃を受ければ制御不能に陥る懸念は排除できず、危険が去ったわけではない。
これまで中部電は、浜岡原発付近を襲う津波は最大8メートル程度と想定。高さ10〜15メートルの砂丘が堤防の役目を有するとしてきた。しかし、福島での「想定外」の事態を受けて原子炉建屋屋上に非常用発電機を設置するなどの緊急対策の実施に加え、15メートル規模の防波壁の建設を決めた。
防波壁が完成する2、3年後まで、浜岡原発4、5号機を停止する。燃料棒は原子炉内に当面保管し、その後、定期検査中の3号機、廃炉に向けて停止済みの1、2号機とともに、原子炉内に置き続けるか、燃料プールで保管するか判断する。
福島第1原発は、稼働していた1〜3号機が地震発生を受けて停止したが、定期検査中で停止中だった4号機を含めて津波により冷却用の電源が失われて事故を起こした。
浜岡原発も、防波壁が完成するまでは、津波で危険にさらされる状況が続く。小出裕章京大原子炉実験所助教は「原発は動いていようと止めていようと危険はある。動いているよりは止まった方が危険が少なくなるが、他の原発も(含めて)即刻止めるべきだ」として、原発廃止を訴えている。
福島の学校放射線量調査、全施設で基準下回る
. 文部科学省は13日、福島県内の学校、幼稚園、保育所や児童館56施設の放射線量測定結果を公表した。
調査開始以来初めて、政府が定めた子供の屋外活動を制限する基準値(毎時3・8マイクロ・シーベルト)を全施設で下回った。
唯一、屋外活動制限対象となっていた福島市立渡利中学校も、12〜13日の測定で放射線量が毎時3・2〜3・4マイクロ・シーベルトに低下した。
また同省は12日、同県内の学校や幼稚園など54施設で、教職員が積算線量計を携帯して測った、体が受けた放射線量の調査結果を発表。4月27日〜5月8日の放射線量は毎時0・03〜0・93マイクロ・シーベルトと極めて低かった。ただ、同期間中、全施設が屋外活動を自粛したり、時間制限を設けたりしていた。
(2011年5月13日19時06分 読売新聞)
平成23年4月22日(金)午前 .計画的避難区域及び緊急時避難準備区域の設定等について
私(官房長官)から何点か発表、ご報告をいたします。
まず計画的避難区域及び緊急時避難準備区域の設定等について、原子力災害対策本部長である総理から、福島県知事及び関係市町村長に対し、指示が出されましたので公表をいたします。
ご承知のとおり、東京電力福島第一原子力発電所から20km以遠、20km遠い周辺地域においては、気象や地理的条件などにより、発電所からの放射線物質が累積し積算線量が高くなっている地域が局所的に出ております。国際原子力機関(IAEA)などの国際機関の緊急時被ばく状況における放射線防護の基準値、年間20から100ミリシーベルトとされていますが、こうしたことを考慮をいたしますと、これらの地域に居住し続けた場合、積算線量が更に高水準となり、事故発生から1年の間に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれがあるため、このような地域を本日「計画的避難区域」といたしました。
地域住民の方々には、この間も大変なご苦労をお掛けをしておるところでございますが、更に大きなご苦労をお掛けをすることになり大変申し訳なく存じますが、健康への影響を考え、別の場所に計画的に避難をしていただくことをお願い申し上げます。
これら計画的避難区域に該当する地域は、東京電力福島原子力発電所から20km以上離れた地域のうち、葛尾村の全域、浪江町の全域、飯舘村の全域、そして川俣町の一部地域、南相馬市の一部地域が該当をいたします。
この計画的避難については、避難に係る具体的な実施手順を当該市町村、県及び国が密接に連携しながら調整し、約1か月後を目途として実施をしてまいります。
また、発電所から半径20kmから30kmの区域について、これまでの屋内退避の指示は解除をいたします。一方で、未だに安定しない発電所の状況に鑑み、緊急に対応することが求められる可能性があることから、計画的避難区域に設定される区域を除く、概ね20kmから30kmの区域について、新たに、緊急時に屋内退避や自力での避難ができるよう、準備をするようお願いをする「緊急時避難準備区域」といたしました。
この区域においては、引き続き自主的避難をすることが求められ、特に、子供、妊婦の方々、介護を要する皆さん、入院患者の皆さんなどは、この区域に入らないことが引き続き求められます。
他方、勤務等のやむを得ない用務などを果たすために、緊急時避難準備区域に入ることは妨げられません。特に、物資の輸送等に関わる皆さんにおきましては、通常時において当該地域に入って物資等の運び込み等を頂くことについての問題はありませんので、是非しっかりと生活関連物資等の当該地域への運送、運搬についてご対応をよろしくお願いを申し上げます。
この緊急時避難準備区域に該当する地域は、東京電力福島第一原子力発電所から20kmより遠く30kmより近い区域のうち、広野町、楢葉町、川内村、そして、田村市の一部、南相馬市の一部が該当を致します。この区域における対応は、当該市町村、県及び国の密接な連携の下に行なってまいります。
区域の設定の在り方については、発電所からの放射性物質の放出が基本的に管理される状況になると判断される時点、先般の収束に向けた道筋に依れば、6か月から9か月先になります。その段階で環境モニタリングのデータを集積・分析する等により見直しを行なうことと致しております。
今回、新しい区域を設定したことで、住民の皆様方には、今までとは違った形でありますが、引き続き様々なご苦労をお掛けをすることになりますが、ご理解をいただきますよう、お願いをいたします。
また、発電所から30kmより遠い地域で新たに計画的避難区域に指定され、その区域にほとんどの住民が現時点でお住まいになっている飯舘村及び川俣町の2カ所について、この度、「現地政府対策室」を立ち上げ、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省の職員からなる管理職級を含む、両町村で8名を常駐させることといたしました。これらの職員は今朝、現地に向けて出発をしております。この現地政府対策室において、地元町村と連携を取りながら、きめ細かな避難への対応、相談、生活支援等を行なってまいります。
本件についてはこの後、原子力安全・保安院において詳細なレクチャーを予定しております。
詳細についてのお訊ねはそちらの方にお願いをいたします。
環境モニタリング調査について
次に環境モニタリング強化について発表をいたします。
4月11日に「計画的避難区域」等の設定についての大きな方針を発表した際、将来、区域の見直しを行なうまでの間、環境モニタリングを強化して、データを集約・分析していく方針を示したところでございます。
これに沿って本日、原子力災害対策本部として、「環境モニタリング強化計画」を定めました。事故状況の全体像を把握するとともに、計画的避難区域等の設定の評価に資することなどのために行なうものであります。
具体的には、各区域における線量評価等の準備などを目的とし、環境モニタリングの実施により放射線量分布マップと線量の測定マップ、積算線量の推定マップ、土壌濃度マップを作成すること。陸地のエリアに加えて、海岸エリアについても測定や拡散予測を行なうこと。原子力安全委員会が蓄積されたモニタリング結果を総合的に評価し、それを基に原子力災害対策本部が所要の措置をとると。具体的モニタリングの実施は文部科学省、ここには日本原子力研究開発機構や大学、米国エネルギー省との連携を含みます。
更には、防衛省、県警、福島県、電気事業者など、連携して取り組むこと、こういったことを内容と致しております。
政府としてはこのような環境モニタリングの強化と、その結果を踏まえて、更に今後の適切な対応を取っていくこととしております。詳細については原子力安全委員会、文部科学省、及び経済産業省が合同の記者会見を行なう予定ですので、そちらでお訊ね下さい。
次に稲の作付制限について発表いたします。
「避難区域」、「計画的避難区域」、及び「緊急時避難準備区域」については、当該地域の農家の皆さんにとっては大変申し訳ないことでございますが、平成23年産のコメの作付を制限することとし、原子力災害対策本部長から福島県知事に対し作付制限の指示をすることといたしました。
当然のことながら適切な補償が行なわれるよう、政府として万全を期してまいります。 詳細については農林水産省にお訊ねを下さい。
校庭利用基準、安全委開かず「差し支えない」
. 福島原発
福島第一原発事故について政府が設定した校庭利用基準を検討する際、原子力安全委員会(班目(まだらめ)春樹委員長)が正式な委員会を開かず、2時間弱で「差し支えない」とする助言をまとめ、国の原子力災害対策本部に回答していたことが分かった。
安全委事務局の加藤重治・内閣府審議官が30日の記者会見で明らかにした。
加藤審議官によると、4月19日午後2時に同本部から助言要請があり、事務局が、班目委員長を含む5人の委員から、対面と電話で意見を聞き、助言をまとめた。委員会が開かれなかったため、議事録もないという。加藤審議官は「19日以前から、文部科学省とは協議しており、委員の間でも話し合い、かなりの合意ができていた。この日の意見聴取だけでまとめたわけではない」と説明している。
(2011年4月30日23時54分 読売新聞)
「校庭利用基準20ミリシーベルト」を考える
2011年 5月 5日時代をみる 宇井 宙
-宇井 宙(ういひろし):ちきゅう座会員-
文科省が先月19日、福島県内の学校の校庭における年間被曝線量限度を20ミリシーベルトと決定したことが大問題となっている。改めてこの問題の経緯を振り返ってみよう。
福島県内の児童に許容される年間被曝線量について、文科省は4月9日、原子力安全委員会に「相談したい」と依頼を行い、その後数回議論が行われた。そして同月19日午後2時すぎ、政府の原子力災害対策本部が安全委に「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方(案)」に関する助言要請を行ったのに対し、安全委の5人の委員のうち、福島第一原発に派遣中の小山田委員を除く4人が午後3時頃から約1時間審議を行い、2つの留保事項を付した上、上記「考え方(案)」は「差支えありません」との回答を行った。小山田委員に対しては電話で了解を得たとのことであるが、これは正式な委員会でもなく、議事録も残していないという。なお、2つの留保事項とは、「学校における継続的モニタリングの結果について2週間に1回以上、安全委に報告すること」と「学校にそれぞれ1台程度ポケット線量計を配布し、被曝状況を確認すること」である。
http://www.nsc.go.jp/info/20110502.pdf
そして、上記「考え方(案)」こそ、同日の文科省通達となったもので、福島県の児童生徒が通う学校においては、国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばく状況における人々に対する防護のための委員会勧告の適用)に基づき、「非常事態収束後の参考レベルの1−20mSv/時を学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし、今後できる限り、児童生徒等の受ける線量を減らしていくことが適切であると考えられる」としており、さらに児童生徒は1日のうち16時間を屋内(木造)、8時間を屋外で過ごすと想定したうえで、年間20mSvにならない許容線量として、屋外を3.8μSv/時、屋内を1.52μSv/時と算定した。そして、校庭の空間線量が3.8μSv/時未満の学校では平常通り校庭等を利用してよく、これを超える場合には校庭の利用時間を1日当たり1時間程度にすることを求めている。
この文科省の通達も理由のひとつとして4月29日、菅首相自身が内閣官房参与に起用していた小佐古敏荘東大教授が辞任した。小佐古氏は辞任会見の中で、放射性物質の拡散予測データ公表の遅れなどとともに、文科省の決定について、次のように批判した。
-今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv、特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2〜3日あるいはせいぜい1〜2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。・・・年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。-
さらに、文科省のこの通達に反対する「福島老朽原発を考える会」など5つの市民団体は5月2日、「放射能から子どもを守りたい」と、国会で「20ミリシーベルト撤回要求のための対政府交渉」を行った。交渉参加団体のひとつである「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)」によると、その交渉は、まず厚生労働省、次いで、文部科学省、原子力安全委員会と行われたが、政府側の回答は驚くべきものだった。そのプレスリリースから政府側回答の要点を抜き出せば、以下のようなものである。(--内は以下のサイトからの引用)
http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima/pressrel_20110502.htm
-・ 厚労省は、放射性管理区域(0.6マイクロシーベルト/時以上)で子どもを遊ばせてはならないと発言したものの、放射性管理区域と同じレベルの環境で子どもを遊ばせることの是非については回答しなかった。
・ 原子力安全委員会は、「20ミリシーベルト」は基準として認めていないと発言。また、安全委員会の委員全員および決定過程にかかわった専門家の中で、この20ミリシーベルトを安全とした専門家はいなかったと述べた。
・ 原子力安全委員会は、19日14時頃に助言要請を受け、16時に「20ミリシーベルト」を了解すると回答しているが、この間、正式な委員会は開催されなかったものの、4名の委員が参加する会議が開かれた。これをなぜ正式な委員会としなかったかについては、明確な回答はなかった。
・ 原子力安全委員会は、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーが、「100ミリシーベルト以下であれば、安全」と繰り返していることに関して、「調査し、それが事実ならば対応する」と発言した。
・ 文科省は、屋外活動を許容する「毎時3.8マイクロシーベルト」という基準に関して内部被ばくを考慮していないことを認めた。理由として、ほこりなどの吸引は、全体の被ばく量の2%程度であり、軽微と判断したと説明。しかし、内部被ばくの評価の前提としたデータを示さなかった。-
しかし、安全委の担当者が20ミリシーベルト容認を否定したという事実は、安全委自身が、この基準は危険だと認識していることの表れだと言えよう。
結局のところ、政府側の唯一の根拠は「ICRPの基準」ということ以外何もないことが明らかになった。それではこのICRPの基準は妥当なのか?
まず最初に指摘しなければならないのは、ICRPのリスク評価は、内部被曝を考慮していないため、大変甘いものであるということだ。矢ケ崎克馬琉球大学名誉教授によると、欧州放射線リスク委員会(ECRR)は1945年から89年までに核実験や原発からの放射線で6500万人が癌などで死亡したと推計しているのに対し、内部被曝を考慮しないICRPは117万人と推計している(「週刊現代」4月23日号)。ECRRの推計値の56分の1である。また、福島原発により癌になる人の数に関する予測でも、内部被曝を考慮しないICRPは約3000人と予測しているのに対し、ECRRは(すでに「原発事故による癌患者の増大は40万人以上——ECRR予測http://chikyuza.net/n/archives/8340でも触れたように)、今後10年間で20万人、今後50年間では40万人と予測している。ICRPがどのようなタイムスパンを想定しているのかわからないが、10年間とすればECRRの67分の1、50年間とすれば実に133分の1にすぎない。
このように、政府が最後の頼みの綱とするICRPの基準自体が怪しいものであるが、それ以上に、今回の文科省の決定における最大の誤りは、(ICRPの基準を援用するにしても)「緊急時被ばく状況における人々に対する防護のための委員会勧告の適用(ICRP Publication 109)」を援用したことではないだろうか。むしろ(同じICRPの基準を援用するのであれば)、「長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用(ICRP Publication 111)」を援用すべきであったと思われる。
(*ICRP Publication 109とICRP Publication 111の日本語訳は「日本アイソトープ協会」のサイト http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,0,76,html から入手できる。)
ICRPはPublication 103において、3種類の被曝状況、すなわち「計画被ばく状況」、「緊急時被ばく状況」、「現存被ばく状況」における防護体系の実施に関する一般原則を定めている。「計画被ばく状況」とは通常の原発運転時などにおける被曝状況であり、「緊急時被ばく状況」とは「計画状況の運用中に、又は悪意ある行為もしくは他の予想外の状況によって発生する可能性があり、望ましくない影響を回避もしくは低減するために緊急活動を必要とする状況」のことである。緊急時被ばく状況はやがて現存被ばく状況へと移行すると考えられているが、この移行の特徴は、「主として緊急性に迫られて取られた方策から、居住状態を改善するとともに、状況を考慮して合理的に達成可能な限り被ばくを低減することを目的とした、より分散的な方策へと変更」することであり、「汚染地域内において居住し、もしくは労働することは、現存被ばく状況に当たると見なさる」。ICRPはPublication 109において、年間被曝限度量を事故発生などの緊急時は20〜100ミリシーベルト、収束段階で1〜20ミリシーベルトと設定しており、政府は今回、事故が未だ収束していないことを理由に、緊急時と収束時の境界の数値にした、としているようであるが、これは大きな間違いであろう。今回、文科省の基準が適用されるのは、事故現場から半径20キロ圏外で、計画的避難区域にも入らない地域の学校である。そこではまさに、人々が長期にわたって生活していかなければならない汚染地域である。そして、そのような地域に人々が居住することを希望した場合に、政府当局が「放射線の潜在的な健康影響に対する防護と、しっかりした生活様式や政経手段を含む持続可能な生活条件を人々に提供する」ことを目的として定められた基準こそ、「原理力事故又は放射線緊急事態後における長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用」、すなわち「ICRP Publication 111」であり、政府が援用すべきはこの基準であっただろう。そして、そこでは、「汚染地域内に居住する人々の防護の最適化のための参考レベルは、(……)Publication 103(ICRP, 2007)で勧告された1〜20mSvの範囲の下方部分から選定すべきである。過去の経験により、長期の事故後状況における最適化プロセスを制約するために用いられる代表的な値は1mSv/年であることが示されている」と明記されている。再度引用すれば、「1〜20mSvの範囲の下方部分から選定すべき」であり、「代表的な値は1mSv/年」なのである。子どもの放射線感受性は大人の3〜4倍と言われており、Publication 111でも「小児や妊婦などの特別なグループにも特に留意すべきである」と明示されているので、「1〜20mSvの範囲」の中の最大値を選定するなど到底許されることではない。
同報告はまた、利害関係者が政策決定の第一線に関与することは、「現存被ばく状況に関する放射線防護方策を策定し実施する上で、きわめて重要なものである」とも述べているので、文科省は早急に、福島県の子どもを持つ親と教育関係者などとともに、許容被ばく限度の見直しを行うべきである。同報告はさらに、「重要な情報はすべて関係者に提供されること、及び情報に基づく決定を目的として意志決定プロセスを追跡できるように記録を適切に文書に残すこと」が強く求められているとしたうえで、「住民による自助努力による防護措置を考慮に入れるべきである」とも述べている。したがって、郡山市などが独自の判断で校庭の汚染された土壌を取り除いたことに対して文科相が「余計なことはするな」などと非難するなど、とんでもない倒錯としか言いようがない。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1382:110505〕
1号機、津波前に重要設備損傷か 原子炉建屋で高線量蒸気
東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋内で東日本大震災発生当日の3月11日夜、毎時300ミリシーベルト相当の高い放射線量が検出されていたことが14日、東電関係者への取材で分かった。高い線量は原子炉の燃料の放射性物質が大量に漏れていたためとみられる。
1号機では、津波による電源喪失によって冷却ができなくなり、原子炉圧力容器から高濃度の放射性物質を含む蒸気が漏れたとされていたが、原子炉内の圧力が高まって配管などが破損したと仮定するには、あまりに短時間で建屋内に充満したことになる。東電関係者は「地震の揺れで圧力容器や配管に損傷があったかもしれない」と、津波より前に重要設備が被害を受けていた可能性を認めた。
第1原発の事故で東電と経済産業省原子力安全・保安院はこれまで、原子炉は揺れに耐えたが、想定外の大きさの津波に襲われたことで電源が失われ、爆発事故に至ったとの見方を示していた。
地震による重要設備への被害がなかったことを前提に、第1原発の事故後、各地の原発では予備電源確保や防波堤設置など津波対策を強化する動きが広がっているが、原発の耐震指針についても再検討を迫られそうだ。
関係者によると、3月11日夜、1号機の状態を確認するため作業員が原子炉建屋に入ったところ、線量計のアラームが数秒で鳴った。建屋内には高線量の蒸気が充満していたとみられ、作業員は退避。線量計の数値から放射線量は毎時300ミリシーベルト程度だったと推定される。
この時点ではまだ、格納容器の弁を開けて内部圧力を下げる「ベント」措置は取られていなかった。1号機の炉内では11日夜から水位が低下、東電は大量注水を続けたが水位は回復せず、燃料が露出してメルトダウン(全炉心溶融)につながったとみられる。
さらに炉心溶融により、燃料を覆う被覆管のジルコニウムという金属が水蒸気と化学反応して水素が発生、3月12日午後3時36分の原子炉建屋爆発の原因となった。
浜岡原発が政府要請受け全面停止 供給力1割超の3〜5号機
中部電力は14日午前、浜岡原発(静岡県御前崎市)5号機の運転を停止、定期検査中の3号機と13日の4号機に続き、運転可能な3基(合計出力約360万キロワット)全てについて、政府の要請を受けた異例の停止作業が完了した。1、2号機は廃炉手続き中。
中部電は供給力全体の1割超を失うが、火力発電の増強や節電要請などで乗り切る構え。地元では雇用などへの影響を懸念する声が出ている。
中部電は防波壁設置などの津波対策を実施後、国の承認を得て直ちに再開したい意向だが、川勝平太知事は県独自に安全性を検証するとして再開には慎重な姿勢を示している。政府は停止期間を2〜3年としている。
5号機は14日未明に制御棒挿入の作業に着手、午前10時15分、発電のための運転を停止した。午後には制御棒205本全ての挿入を終え、核分裂反応を完全に止める。15日午前に原子炉の状態が安定する温度100度以下の「冷温停止」となる見通し。4号機は13日午後11時45分、冷温停止となった。
菅直人首相が6日、中部電に浜岡原発の全面停止を要請。中部電は9日の取締役会で受諾した。
浜岡原発は2009年8月に震度6弱の地震が起きた際にも全面停止した。
沖合で波高1m以上、20分続く 津波で大規模浸水の原因
東日本大震災の津波は、沖合で1メートル以上の高さが約20分間にわたり継続する「波長の長い津波」で、これが広大な浸水被害を引き起こしたとみられることが分かった。地震予知連絡会の島崎邦彦会長(東大地震研究所名誉教授)が12日、都内で開かれた講演で明らかにした。
島崎会長は「破壊力と、大規模な浸水被害を引き起こす性格を併せ持つ津波だった。波高だけを重視しがちだが、こうしたタイプへの対策も必要」としている。
国土交通省は、岩手県・釜石沖約20キロに、ブイの上下変動を衛星で計測、沖合で津波をキャッチする「衛星利用測位システム(GPS)波浪計」を設置している。
波浪計は3月11日午後3時12分に最大6・7メートルの津波を観測しているが、その前後約20分間にわたり津波は高さ1メートル以上を維持。陸に接近した時点ではさらに高さを増していたとみられる。
島崎会長は「水位の高い状態が長く続き、津波が内陸にどんどん進んだ」と指摘。1メートルの津波の速度は秒速約3メートルなので、20分間で約3・6キロ進むことになるという。
こうした津波になったことについて島崎会長は(1)プレート(岩板)境界の浅い部分が震源で、破壊力が強い津波を引き起こす「津波地震」(2)プレート境界のより深い部分が広範囲に破壊、広大な津波浸水被害を引き起こす「貞観地震(869年)型」—が同時に発生したとみている。
(2011/05/12 19:10)
1号機の核燃料、完全露出し溶融 圧力容器の底で冷却
東京電力は12日、福島第1原発1号機で、原子炉圧力容器内の冷却水の水位が想定よりも低く、長さ約4メートルの燃料が完全に露出して、溶け落ちたとみられると発表した。どれくらいの燃料が溶けているかは不明。溶けた燃料は圧力容器の底を傷付け、そこから水や溶けた燃料が外側の格納容器に漏れた可能性もあるとしている。
これまで圧力容器内の水位は通常時の燃料上端から約1・5〜1・7メートル下とみられていたが、水位計を調整して測った結果、5メートル以下と分かった。ただ圧力容器の表面温度は、上部から下部まで100〜120度と比較的低く、東電は「燃料は(水に漬かって)冷却できている」と強調している。
東電はこれまで、炉心の損傷割合は55%と推定していた。関係者は燃料がすべて溶けた可能性も否定せず、損傷度合いが深刻であることは確実だ。
経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦(にしやま・ひでひこ)審議官は「圧力容器内のさまざまな測定計が正常状態でないと思っている」とし、慎重な検証が必要との見解を示した。
2号機では3月14日に燃料全体が一時露出したことがある。
東電は燃料を冷やすために11日までに1号機圧力容器内に計1万トン余りの注水を続け、同時に格納容器に水を満たす「冠水」作業に取り組んでいたが、水漏れなどを受け、方針を見直すことを明らかにした。新たな冷却システムの設置も準備しているが、いまだに圧力容器内の状態を把握しきれておらず、今後の計画にも影響しそうだ。
東電は原子炉建屋内に作業員を入れ、大まかな水位変化が分かる程度だった水位計を調整した上で測定し直した。その結果、通常時の燃料上端から5メートル下まで水があることが確認できなかった。水位計に異常は見つかっていないという。
【写真】 福島第1原発の状況について説明する、東京電力の松本純一・原子力立地本部長代理=12日午前、東京・内幸町の本店
(2011/05/12 14:03)
原発事故調査委の全容判明 東電、閣僚から聴取権限
政府が東京電力福島第1原発事故の原因を検証するため内閣に設置する第三者機関の全容が11日、判明した。名称を「事故調査特別委員会」とし、透明性や行政からの中立性を確保するため法曹界、学界、地元関係者ら10人程度で構成。東電役職員、関係閣僚、官僚らから聴取する権限を与え、原子炉安定化に向けた収束策や住民避難などの被害拡大防止策も検証対象とする。
下部組織として(1)初動対応を含む事故原因調査(2)被害拡大防止策検証(3)法規制の在り方検討—の各チームを設置し、年内に中間報告、来年夏をめどに最終報告を取りまとめる。調査委設置は13日にも閣議決定される。
閣議決定案や運用案によると、設置は「事故による被害防止を図るとともに、同種事故の再発防止に関する政策提言」を行うのが目的。東日本大震災に伴う津波で一時、冷却機能を喪失した福島第2原発の事故も検証する。
調査委は必要に応じて、関係閣僚、行政職員、事業者をはじめ、原子力に関する国際機関職員らの出席を求めることができる。また閣僚や行政職員は調査委に最大限協力するとともに「正当な理由がない限り、資料提出、説明聴取の要請を拒むことができない」とした。
事務局は内閣官房に置き、事務局長には審議官クラスを起用。庶務を担う官僚を含めて、検証の対象となる関係府省以外から選任される。
(2011/05/12 02:02)
校庭の表土除去、地元判断で 文科省、国の費用負担検討も
福島県内の学校などで放射線が測定された問題で、文部科学省は11日、校庭の表土を削って放射線量を低減する方法を福島県など地元関係機関に通知した。文科省は「こうした方法を採用するかどうかは地元の判断」としており、国主導の対策を求める県などの意向とは隔たりを見せている。
低減方法は同日開かれた原子力安全委員会で報告された。報告後の記者会見で笹木竜三文科副大臣は「予算措置の必要性の有無を政務三役で議論していくことになるだろう」と述べ、今後、放射線量などに基準を設け、これに該当する学校について国の費用負担を検討する可能性を示唆した。
文科省が示したのは(1)表土を削って下層の土と上下を入れ替える(2)表土を削って袋詰めにし、深く掘った穴にまとめて埋め、土で覆う—の二つの方法。
上下を入れ替える方法については、文科省の指示を受けた日本原子力研究開発機構が今月8日、効果を確かめる実験を福島市内の中学校の校庭、幼稚園の園庭各1カ所で実施。表土10センチ分を50センチの深さに埋めると地表の放射線量が約10分の1になるなど、効果が確かめられたという。
原子力機構はまた、袋詰めにして埋める方法の効果を過去のデータなどから分析。袋を穴に入れた後に1立方センチ当たり1・5グラムの密度に固めた土で上を覆うと、放射線量は厚さ40センチで100分の1、60センチで千分の1にまで減ると期待できることが分かった。
削る表土の深さと線量の減少率の関係も調べ、表土を5センチほど削れば十分な効果があることを確かめた。
今回の二つの方法はいずれも土を敷地外に運び出さない前提だが、高木義明文科相は土の移送先を検討していることを明らかにしており、埋めた後に掘り返す必要性が生じる可能性もある。原子力機構の戸谷一夫理事は、遮水シートを敷くなどの対策をしっかりと取れば、まとめて埋める方が掘り出しやすいとの見解を示した。
(2011/05/11 20:43)
住民15万人を30年以上検査へ 原発事故で研究機関
東京電力福島第1原発の事故を受け、放射線影響研究所(放影研、広島・長崎市)などでつくる「放射線影響研究機関協議会」が検討している周辺住民の健康検査について、協議会の関係者は11日、検査する住民を約15万人、検査期間は30年以上とする方針を明らかにした。
協議会は福島県立医大(福島市)を新たなメンバーに加えており、13日に福島県立医大で詳細を話し合う会合を開く。
検査は原発から30キロ圏内や、計画的避難区域に指定された福島県の飯舘村、川俣町など大気中の放射線量が高い地域の全住民が対象。大規模調査で精度を高め、健康に対する住民の不安を解消するとともに疫学的調査にも利用する。
検査期間は、広島・長崎の原爆で放射線が人体に与えた影響を調査してきた放影研が目安として30年以上と提案。必要があれば随時延長する。
4月下旬に福島県立医大の関係者が放影研の施設を視察し、協議会が福島県立医大の加盟を承認した。今後は福島県立医大と福島県が中心になって住民の健康管理を行い、協議会に加盟する放影研と環境科学技術研究所(青森県六ケ所村)、放射線医学総合研究所(千葉市)、京都大、広島大、長崎大の6機関がサポートする。
放影研の大久保利晃理事長は「住民の不安を取り除くことが最優先。早期に態勢を整え、知識や経験を役立てたい」と話している。
(2011/05/11 20:42)
独「21年までに脱原発可能」 政府の委員会報告案
【ベルリン共同】11日付のドイツ有力紙フランクフルター・アルゲマイネによると、ドイツ政府が福島第1原発事故を受けて設置した「倫理委員会」は「2021年までの脱原発が可能だ」と提言する報告書案をまとめた。
同委員会は5月末に政府に報告書を提出。「できるだけ早期の脱原発」を表明しているメルケル首相は、この報告書を基に新たなエネルギー政策を決定する方針。
報告書案によると、ドイツ国内には17基の原発がある。このうち、福島事故を受けて安全検査のため一時停止している旧式の7基と、ここ数年の事故多発で停止している北部のクリュンメル原発の計8基は稼働再開をしない。残りの原発も段階的に完全停止することを提言している。
ドイツ政府は6月6日、新政策の閣議決定を予定。6月中旬までに見込んでいた議会での関連法改正の採決は、与野党双方から審議時間を多く確保したいとの要求が出たため、7月8日に変更した。
同政府は、原発の代替として、天然ガスによる火力発電を拡充。さらに、風力など再生可能エネルギーへの転換を促進する。
(2011/05/11 19:29)
原発定検後の運転再開「白紙」 茨城県の東海第2
日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の剣田裕史所長は11日の記者会見で、21日から約半年間の定期検査を迎える同原発の運転再開時期について「現時点では白紙だ」と述べた。
「地震と津波対策に最優先で取り組んだ上で、地元住民にきちんと説明するため」としている。
東海第2原発は、東日本大震災で自動停止後、安定的に冷却を継続している。
(2011/05/11 17:32)
安全対策不十分なら運転停止を 原子力委員会が見解
国の原子力委員会(近藤駿介委員長)は10日、福島第1原発事故を受けて「安全規制機関は(原発などで)過酷な事故への準備が行われていることを確認し、不十分なら運転停止を含め厳格な対応を取ることが必要だ」とする見解をまとめた。
安全性の確認の結果などについて、国民に丁寧に説明するべきだとしている。原子力政策を推進する同委が安全規制の在り方に言及するのは極めて異例。
見解では、今後の原子力政策を決める上で重要な課題の整理を始めるため、事故調査の結果を待たず、定例会議で有識者からの意見を聴くとした。20〜30年後までを考えた原子力発電の役割について、リスクやコストを含めて再検討するとしている。
原子力委は国の原子力利用の基本となる原子力政策大綱の改定を進めていたが、福島第1原発事故で作業は中断している。
(2011/05/10 11:38)
事故懸念、村民ら質問次々 東海第二原発、原電が説明会
2011年5月14日
東日本大震災で大きな被害を受けた東海第二原発に関する地元住民向けの説明会が13日、茨城県東海村で始まった。福島第一原発を念頭に、事故を懸念する村民らからは、事業者の日本原子力発電が安全対策をどこまで考え実行するのかをただす質問が相次いだ。日本原電は今後1カ月半をかけ、同様の説明会を村内各地域と隣接する4市で計11回開く。
日本原電の鹿島文行常務は冒頭、集まった村民ら約110人を前に、安全対策のうち原子炉建屋の浸水防止策について「15メートルの津波が来たとしても耐えられるよう今も補強をしており、5月中には一応完了する」と述べた。
その後、スライドを使いながら、震災後の原発の状況と各種の安全対策について説明。がれきなどを除去するブルドーザーを1台手配したことや、海水で冷やす必要がない空冷式非常用発電機の配備構想など、これまで公表していなかった安全対策の検討内容にも触れた。そのうえで「福島のような事故が二度と起こらないよう、防止策を一生懸命とっていきたい」と述べた。
これに対し、村民らからは、福島第一のような事態が東海第二でも起きたらどうするのか、という視点での質問が相次いだ。
「原子炉格納容器の内部圧力を下げるベント(排気)操作は、だれが判断するのか」との問いには「発電所の所長です」と回答。「使用済み核燃料が地震によってプールの中で動き、臨界を起こすようなことはないのか」との質問には「プールの形状が維持できるよう耐震強度を保つ設計をしている」などと答えた。
津波で非常用ディーゼル発電機の一部が停止し、炉内の水温や圧力を下げて安定的停止状態にするまで3日半かかったことについても質問が及んだ。日本原電は「自然災害で停止すると、通常なら2日弱で冷温停止できるが、今回は若干長かった。未曽有の災害でプラントが止まり、津波でポンプが水をかぶるといった状況を踏まえて、非常に慎重に操作した結果だ」と説明した。
日本原電は6月末までの間に、東海村内の各地区コミュニティセンターで計7回、村と隣接する那珂市、ひたちなか市、日立市、常陸太田市で1回ずつ、同様の住民説明会を開く計画だ。
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恩讐超え彦根も支援
2011年05月12日
俳優・田中要次さん作のスローガン「ARUYO FOR JAPAN」が躍る水府ちょうちん、缶バッジを手にする谷田部さん(左)と小林弘之・支援の会事務局員
映画「桜田門外ノ変」の制作をきっかけに、約150年にわたる恩讐(おん・しゅう)を超えて交流を深めている水戸市と滋賀県彦根市の市民が、14〜16日の3日間、ロケに使われ、東日本大震災で大きな被害に遭った偕楽園、弘道館の復興を願うチャリティーイベントをそれぞれの地で開く。話が持ち上がってから1カ月足らずでの開催。両市民の思いが力になった。
同作品は昨年上映された。安政7(1860)年に起きた水戸浪士らによる彦根藩主・大老井伊直弼暗殺を描いたもので、映画化には多くの水戸市民が関わった。その中心的役割を果たしたのが「映画化支援の会」。
現在、同市千波町にある「オープンロケセット・記念展示館」の運営に携わるメンバーたちは、被災した偕楽園、弘道館の姿に目を覆った。同会の谷田部智章事務局次長(38)は「特に弘道館は水戸市民の精神的支柱。何とかしたい」とほかのメンバーとともに思案していた。
そうした中、谷田部さんに相次いで連絡が入った。一つは彦根市での上映誘致に尽力した同市内の「花しょうぶ通り商店街」から。ロケセットが被災したのではないか、と心配しての支援の申し出だった。
もう一つは、支援の会ボランティアスタッフで県水戸生涯学習センター(水戸市愛宕町)の社会教育主事・寺門義典さん(37)から。「映画に絡めてセンターで何か復興イベントができないか」との打診だった。
両市の交流促進、文化財の復興——。目的が定まれば、動きは速い。映画に出演した俳優田中要次さんがブログで紹介した「ARUYO FOR JAPAN 日本の為に
あるよ」という復興を願うスローガンを使ったグッズを製作・販売することに。「あるよ」は人気ドラマでの田中さんの代名詞的決めぜりふ。「陰も陽も抱えてやろうじゃないか!」との意味だという。田中さんは使用を快諾してくれた。
Tシャツ、水戸の伝統工芸品「水府ちょうちん」(いずれも2500円)、缶バッジ(100円)を作った。14日午前10時から生涯学習センター駐車場で開かれる同センター主催の県農産物支援イベント「あたご青空市」で、15、16日には彦根市のイベント会場で販売する。支援の会と花しょうぶ通り商店街が各イベントの主催、共催となる。
彦根市には支援の会メンバーも出向き、トークショーや「映画のあるまちづくり」をテーマにしたパネルディスカッションに参加する。ロケ誘致を起爆剤とした地域振興のノウハウを伝えるなどして、さらに絆を深めたい考えだ。
募金と収益金の一部は、水戸市民の有志が設立した「偕楽園・弘道館復興支援の会」に寄付される。(猪瀬明博)
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注水増やし状態確認へ=1号機原子炉、新冷却方式検討—メガフロート横浜出港・福島
時事通信 5月15日(日)13時23分配信
福島第1原発事故で、東京電力は15日、炉心溶融が判明した1号機原子炉の状態を改めて確認するため、圧力容器への注水量を毎時8トンから10トンに増やすと発表した。圧力容器の水位と温度、圧力容器を覆う格納容器の圧力の変動を2日ほど監視。従来の格納容器を水で満たす冠水(水棺)計画に替わる新たな循環型冷却方式を検討し、17日に発表する更新版工程表に盛り込む。
一方、静岡市から提供を受けたメガフロート(大型浮体式海洋構造物)が横浜港のドックで改修を終え、15日午前5時20分ごろ、福島・小名浜港に向け出港した。順調なら5月下旬までに同原発に到着し、低濃度汚染水約1万トンの一時貯蔵に使う。改修では150トンの物資を運べるクレーンや水の配管を設置し、腐食防止塗装などを行った。
1号機原子炉は、格納容器内の水位が配管の位置より低く、水を取り出せない場合、同容器下部の圧力抑制室から水を取り出したり、原子炉建屋地下にたまっている大量の放射能汚染水を浄化したりして圧力容器に注入する。汚染水は地下の床から約4.2メートルの高さまでたまっており、表面放射線量の測定後、水を採取し濃度を分析する。
原子炉専門家 注水の重みで格納容器破損の可能性を指摘
NEWS ポストセブン 4月19日(火)7時7分配信
原子炉内の劇的反応の可能性は、炉内の温度が下がるに従って減っていると考えてよい。従って、燃料棒が溶けて容器を破り、外部に漏れ出るような重大なメルトダウン(炉心溶融)も可能性は低くなった。炉内の発熱量は加速度的に減っていくので、全体状況としては安全度が少しずつ増しているといえる。
しかし、それ以外にも圧力容器や格納容器を破損させ、放射性物質を外部に漏れさせる危険因子はある。これまでの注水作業により、現在、格納容器には大量の水がある。窒素注入の際、「400立方メートルの窒素を入れたら、1.5気圧が1.7気圧に上がった」と発表された。
ここから計算すると、容器内には2000立方メートル程度の「気体部分」があると推測できる。格納容器の容積(1号機。圧力抑制室を除く)は約4000立方メートルなので、気体は約半分。つまり、水は2000立方メートル=2000メートルも入っていることになる。東芝で30年にわたって原子炉の設計や安全解析に従事した吉岡律夫氏はこう語る。
「このような状態は格納容器の設計では想定されていません。大きな余震があった際などに、水の重さで容器が破損する危険がないとはいえない。しかも1日150トンほどの注水を続けていますから、まだ容器内の水は増えていく。
この水は高い放射能を持つので、容器が割れて流れ出れば周辺を大規模に汚染します。早く水を抜くことが必要ですが、今はその水を移す場所がない」
また、2号機では圧力抑制室が破損していると見られており、他の原子炉でも、タービン建屋に大量の放射能を持つ水が溜まっていることから、配管などが破損している可能性が高い。このままでは、放射性物質が漏れ続けることになる。修復すればいいのだが、高濃度の放射線の中での作業が必要だ。原子炉工学が専門の九州大学特任教授・工藤和彦氏に聞いた。
「原子炉内の出力(温度)や圧力の推移を詳細に見ると、2号機、3号機の圧力容器から放射性物質が漏れる“抜け道”がある可能性が高い。ただしデータからは、ポッカリと穴が開いているわけではないことも読み取れます。
この抜け道が原子炉のメルトダウンなど重大な危機を招く危険は低いのですが、少しずつ放射性物質が漏れ、それが周辺を汚染する恐れはある。
修復するにも、現在の高い放射線量では、破損個所の調査に行くこともできません。破損の状態を確認できるまでに、まだ数か月を要するかもしれない。修復作業はその先になります」
残念ながら、その間は放射性物質が漏れる。周辺で観測される放射線量は減少が続いており、東京や仙台など福島県外の放射線量は、もともと自然界にある線量と差がない程度にまで下がっている。しかし、避難区域など原発近くの状況が改善するまでには、まだ時間がかかりそうだ。
※週刊ポスト2011年4月29日号
首相、孫正義氏と3時間会食2011年5月15日1時7分
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. 嵐のど真ん中で船長を代えると言われても困る——。菅直人首相は14日夜、ソフトバンクの孫正義社長と東京・赤坂の日本料理店で3時間近く会食し、エールを送られた。孫氏は先月、原発に代わる自然エネルギーについて政策提言する新たな財団設立を表明しており、エネルギー政策の抜本見直しを掲げる首相と意気投合したようだ。
会食は、孫氏の自然エネルギーに関する論文を読んだ首相の誘いで実現。同席した福山哲郎官房副長官によると、孫氏は首相が踏み切った中部電力浜岡原発への停止要請を「ご英断」と評価し、「今後もぶれずにやっていってほしい」と励ました。首相は「元気を頂いた」と応じていたという。(岡村夏樹)
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3号機にホウ酸注入、再臨界防止に1・2号機も
読売新聞 5月15日(日)22時2分配信
東京電力は15日、福島第一原子力発電所3号機の原子炉で再臨界が起きないよう、原子炉の冷却水に、中性子線を吸収するホウ酸を溶かした上で、同日から原子炉への注水を始めたと発表した。
1、2号機も今後、同じ措置を取る。
再臨界は連続的な核分裂が再び起こる現象。1〜3号機の原子炉圧力容器には当初、冷却のために海水を注入した経緯があり、東電はその塩分が中性子線を吸収すると見ていた。ホウ酸を冷却水に溶かすのは、冷却水を海水から淡水に替えて以降、塩分濃度が下がっていると見られるためだ。
一方、3号機の圧力容器は、上端部の温度が急上昇している。東電は「注水用配管から水が漏れている可能性がある」として、12日からは別の配管を追加し、二つの配管で毎時計12トンを注水した。14日からは注水量を毎時計15トンに増やしたが、上端部の温度は15日午前5時までの24時間で46・5度上昇し、297度になった。東電は、「注水がまだうまくいっていない」と見ている。 .最終更新:5月15日(日)22時2分
震災翌朝、全燃料落下=1号機メルトダウン、東電解析−ベント「遅いか言えず」
時事通信 5月15日(日)19時4分配信
福島第1原発事故で、東京電力は15日、1号機原子炉で3月11日の東日本大震災発生直後に起きたメルトダウン(全炉心溶融)の暫定解析結果を発表した。同日午後3時半ごろに津波で冷却機能を全部喪失したとみた場合、同7時半ごろ「空だき」状態となって燃料の損傷が始まり、急速に溶融し圧力容器底部に落下。翌12日午前6時50分ごろには、ほぼ全燃料が落下したとみられる。
消防ポンプで真水を注入し始めた12日午前5時50分ごろには、圧力容器下部が損傷。格納容器への水漏れが起きたが、小規模にとどまった。真水の注入は午後2時50分ごろ止まり、直前の同2時半ごろに格納容器の圧力逃がし弁を開く「ベント」ができたが、同3時36分に水素爆発に至った。
松本純一原子力・立地本部長代理は記者会見で、当時の水位や温度などのデータ収集と作業員への聞き取り調査が進み、解析できたと説明。ベントや海水注入のタイミングが遅かったか現時点で言うことは難しく、今後検証されると述べた。
炉心最高温度は「空だき」で急上昇し、11日午後9時ごろ、燃料ペレットが溶融する約2800度に達した。
約9時間の真水注入後、東電は12日午後8時に廃炉につながる海水注入に踏み切った。注水がもっと遅かった場合、圧力容器の底が壊れ、高温の溶融燃料が格納容器まで落ちた可能性があるという。その場合、水蒸気爆発などで大量の放射性物質が外部に放出される深刻な事態もあり得た。
政治評論家の花岡信昭氏が死去 拓殖大院教授、元産経新聞政治部長
産経新聞 5月15日(日)18時2分配信
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花岡信昭氏(植村光貴撮影)(写真:産経新聞)
花岡信昭氏(はなおか・のぶあき=拓殖大院教授、政治評論家、元産経新聞論説副委員長)14日、急性心筋梗塞のため死去、65歳。通夜、葬儀・告別式は未定。
長野県出身。早稲田大政経学部卒業後、昭和44年に産経新聞社に入社。論説委員、政治部長、編集局次長、論説副委員長を歴任した。
平成14年に退社後は政治評論家として活躍した。
毎日世論調査 浜岡原発停止「評価する」66%
毎日新聞 5月15日(日)21時15分配信
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浜岡原子力館展望台から浜岡原発を眺める人たち=静岡県御前崎市で、舟津進撮影
毎日新聞は14、15両日、全国世論調査を実施した。菅直人首相の要請を受けて、中部電力が受け入れた浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の運転停止について「評価する」が66%に上り、「評価しない」(25%)を大きく上回った。一方で、浜岡原発以外の原発については「停止する必要はない」が54%に上り、「停止すべきだ」は34%にとどまった。内閣支持率は4月の前回調査比5ポイント増の27%にとどまり、不支持率は前回調査と同じ54%と高止まりしている。
【毎日世論調査】原発政策巡り、揺れる民意
日本の電力の3割を原発でまかなってきた日本のエネルギー政策について引き続き聞いたところ、「原発は減らすべきだ」(47%)が前回より6ポイント増えた。「やむを得ない」は、9ポイント減って31%。東京電力福島第1原発事故の深刻な状況が続く中で、原発縮小を求める回答が拡大している。「原発は全て廃止すべきだ」は12%(前回13%)にとどまった。
浜岡原発の運転停止については、内閣支持層の78%、不支持層でも61%が評価した。支持政党別にみると、民主党支持層の79%が評価したほか、自民党支持層でも58%、公明党支持層でも55%がそれぞれ評価し、与野党の支持層を問わず、一定の評価を得ている。
一方、首相の交代時期については「復興対策が一段落するまで」が前回比3ポイント減の50%で、最も多かった。「できるだけ早くやめてほしい」もほぼ横ばいの25%に上り、首相に対する厳しい評価は変わっていない。内閣不支持の理由では、「指導力に期待できないから」が昨年6月の菅内閣発足以来、最多の54%に上った。
福島第1原発の放射性物質に関する政府の発表については「信用している」が26%と、前回比6ポイント減った。「信用していない」は同6ポイント増えて64%と大きく上回った。復興財源を確保するための増税に「賛成」の回答は前回比10ポイント減の48%、「反対」は41%で同8ポイント増え、拮抗(きっこう)している。
被災地に対する政府の支援や復興の取り組みについては「大いに評価する」(4%)、「ある程度評価する」(46%)と合わせて50%が評価。一方、「あまり評価しない」(33%)、「全く評価しない」(11%)と合わせ、評価しないも44%に上り、判断が割れている。
次期衆院選の時期については、「早く行う必要はない」が47%に上り、震災前の2月調査に比べ11ポイント増。「できるだけ早く行うべきだ」は、2月調査時の60%から今回41%にまで下がり、衆院選先送り論が上回った。【野口武則】
参院予算委:浜岡停止要請は「行政指導」 保安院関与せず
参院予算委員会は13日、東日本大震災と福島第1原発事故をめぐる集中審議を行った。菅直人首相は、6日の中部電力への浜岡原発の運転停止要請について「結果として行政指導であり、私の政治判断だった」との認識を示した。また、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長と、経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は「事前の相談は一切受けていない」と述べ、浜岡停止の判断に関与していなかったことを明らかにした。
首相は「(現地を視察した)海江田万里経済産業相の話も受けて熟慮し、国民の安全・安心のために要請が必要だという結論に達した」と強調。「評価は歴史に判断をいただきたい」と強気の姿勢を見せた。山本順三氏(自民)への答弁。
一方、政府のエネルギー基本計画を白紙化する方針について、首相は「これまでの原子力と化石燃料という柱に加え、自然エネルギーと省エネというもう二つの柱をしっかり立てる必要がある」と、原発、火力発電依存体質からの脱却に改めて意欲を示した。今野東氏(民主)への答弁。【松尾良、岡崎大輔】
浜岡原発停止:根拠の地震発生確率予測 「手法に限界」
政府の地震調査研究推進本部(推本)地震調査委員会は11日、菅直人首相が浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止を要請する根拠となった推本の地震発生確率の予測データについて、「予測する手法に限界があり、見直し中のものだ」との見解を示した。菅首相は、浜岡原発が30年以内に87%の発生確率がある東海地震(マグニチュード8程度)の想定震源域に立地していることを停止要請の根拠としていた。阿部勝征委員長は会見で「評価をどう使うかは使う側の判断だ」と述べた。
推本は、過去の地震発生の間隔や時期などから将来発生する地震規模や確率を「長期評価」として予測している。今年元日を基準日とした最新予測に基づくと、浜岡原発で30年以内に震度6強以上の地震が起きる確率は84%で他の原発より10倍以上高かった。一方で東日本大震災が起きた福島第1原発での発生確率を0%としていた。
同調査委は震災を受け、三陸沖から房総沖にかけ、長期評価を見直す方針を示している。【比嘉洋】
浜岡原発停止の首相判断 71.2%が支持
日本テレビ系(NNN) 5月15日(日)20時28分配信
NNNが13〜15日に行った世論調査によると、「中部電力」浜岡原子力発電所(静岡・御前崎市)を停止する菅首相の判断について「支持する」と答えた人が71.2%に達した。
浜岡原発を停止する菅首相の判断について、「支持する」は71.2%、「支持しない」は17.3%となった。
また、今後の原子力発電について「徐々に減らしていくべきだ」が64.3%に上り、「今の水準を維持するべきだ」は24.0%にとどまった。「すぐに全て運転を止めるべきだ」は4.6%、「さらに増やしていくべきだ」は1.8%となっている。
これに関連して、電力不足を防ぐため火力発電を増やすことに伴う電気料金の引き上げについては、「納得する」が50.9%、「納得しない」は43.6%となっている。
一方で、内閣支持率は上昇した。「菅内閣を支持する」と答えた人は、先月の調査より6.1ポイント上昇して30.1%。「支持しない」と答えた人は先月より5.9ポイント減ったものの、55.7%と、依然、5割を超えている。
菅首相が首相を続けるべきかどうかについては「よくやっていて、続けるべき」が8.3%、「不満はあるが、続けるべき」が65.6%、「すぐに辞めるべき」は21.9%となっている。
NNN電話世論調査
【13〜15日に調査】
【全国有権者】2081人
【回答率】51.6%
1号機の炉心溶融、津波から4時間後に始まった
. 福島原発
東京電力は15日、福島第一原子力発電所1号機で起きた「メルトダウン(炉心溶融)」は最近起きたものではなく、同原発が津波に襲われた約4時間後の3月11日夜に始まったとする分析結果を公表した。
また、4号機で起きた爆発は、隣接する3号機で放射性物質を含む蒸気を放出するベントをした際に流れ込んだ水素が原因である可能性があるとする分析結果も示した。
東電は、中央制御室で地震直後から記録されたデータなどを基に、津波到達の3月11日午後3時30分頃から原子炉の冷却機能が働かなかったと仮定し、原子炉の水位や炉心温度を推定した。その結果、津波襲来から約15時間20分後の3月12日午前6時50分には、核燃料の大半が原子炉圧力容器底部に崩落した状態になった。
燃料最上部から約5メートル上にあった原子炉の水位は、津波から約4時間後の11日午後7時30分頃には約10メートル低下し、全燃料が水面から露出。同7時50分頃には燃料体の中心上部の約6割が崩落した。炉心温度の急上昇は11日午後6時過ぎから始まり、約300度だったのが、11日午後9時には2800度に達した。
東電によると、これまで謎だった4号機の爆発は、1、3号機と同様、水素爆発のために起きた可能性がある。3号機で事故直後に実施した、圧力容器内の水素を含む蒸気を抜く「ベント」の際、水素が4号機に流入したことが考えられるという。
(2011年5月15日21時36分 読売新聞)
原発事故、緊急対応は「妥当」 政府の報告書骨子案
原発の安全対策を協議するため、6月下旬にウィーンで開かれる国際原子力機関(IAEA)の閣僚級会合に向け、日本政府が作成した福島第1、第2原発事故に関する報告書の骨子案が15日、明らかになった。
事故の長期化を想定できず「対応に不備が指摘されている」とする一方で、対策本部設置、避難指示など事故直後の緊急対応は妥当だったと評価。「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の試算結果についても、公表が遅れて批判を浴びたことには触れず「順次公表が行われている」とするなど、政府や東京電力の取り組みを前向きに紹介する記述が目立つ。
政府は経済産業省原子力安全・保安院や原子力委員会、東電などを中心にチームを組織して検討。今月末に来日するIAEAの担当者と協議して報告書をまとめるが、国内チームの存在すら未公表で「政府や東電の限られた見解が反映された内容になる」と批判が出ている。
IAEA報告書は、事故の現状や教訓を国際社会に伝える重要なもの。骨子案は東日本大震災の地震と津波の状況、原発事故の状況と評価、緊急時の対応と評価、放射性物質の環境への放出などを時系列で詳述。東電の工程表を中心に「事故収束への取り組み」を記載するほか「得られた教訓」も盛り込んだ。
事故の初期対応に関しては「避難指示などの基本的な対応が、おおむね所期の通り行われた」「緊急避難の観点からは、おおむね必要な対応が図られた」と評価。原子力安全委が公表を渋っていたSPEEDIのデータについては、被ばくの積算線量は「3月23日以降、随時公表」、放射性物質の拡散予測結果も「5月3日以降、順次公表」と記載した。
また、事故は安全評価で想定している設計基準を大幅に超える「シビアアクシデント(過酷事故)」と位置付け、長期間に及ぶとの想定が不十分だったことに言及。「事前の説明不足、混乱、不備が指摘されている」と問題点にも触れた。
(2011/05/15 20:55)
橋下知事「国歌斉唱で起立しない教員は免職」
読売新聞 5月17日(火)12時4分配信
大阪府の橋下徹知事は17日、入学式や卒業式の国歌斉唱時に起立しない府立学校や公立小中学校の教員を免職する処分基準を定めた条例を9月の定例府議会に提案する考えを示した。
府によると、同様の条例は全国でも例がないという。
知事は報道陣に、「府教育委員会が国歌は立って歌うと決めている以上、公務員に個人の自由はない。従わない教員は大阪府にはいらない」と指摘し、「繰り返し違反すれば、免職になるというルールを作り、9月議会をめどに成立を目指したい」と述べた。
学校での国歌斉唱では、府議会会派「大阪維新の会」が府立学校や公立小中学校の教員に起立を義務付ける条例案を19日開会の5月議会に提出する予定。
大阪府教委によると、政令市の大阪、堺両市を除く府内の公立小中学校教員の処分権は府教委にある。ただ、府教委はこれまで、起立しなかった教員に対しては、懲戒処分で最も軽い戒告にとどめていた。府立高校関係者は「大阪だけ厳しい処分基準を設けるのはおかしい。処分権の乱用だ」と反発している。 .最終更新:5月17日(火)12時4分
冷却装置、津波前に一時停止…東電詳細データ
読売新聞 5月16日(月)21時58分配信
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読売新聞
東京電力福島第一原子力発電所1号機で、東日本大震災による津波襲来の前に非常用冷却装置が一時停止していたことが16日、東電が公表した大震災直後のデータでわかった。
東電は、この冷却装置が津波後に停止したとの前提で、地震発生から16時間後に炉心溶融(メルトダウン)に至ったとする分析結果を15日発表していた。冷却装置が正常に作動すれば、メルトダウンを遅らせることができた可能性もある。
公表データは、事故原因解明のため、経済産業省原子力安全・保安院が東電に求めたもの。大震災が発生した3月11日午後2時46分から14日頃までの原子炉内の水位、放射線量などの膨大なデータのほか、運転員の当直日誌、操作実績をまとめた。
データによると、運転中の1号機は地震発生後、原子炉に制御棒が挿入されて緊急停止。1号機では、地震直後の11日午後2時52分、直流電源で動く緊急時冷却装置の「非常用復水器」が自動起動し、原子炉の冷却・減圧が始まった。
しかし、約10分後の午後3時頃には、復水器は一時停止。作業記録によると、その後、弁の開け閉めが行われ、稼働、停止を繰り返した。原因は不明だが、東電によると、地震直後に原子炉内の圧力が乱高下し、この現象を抑えるため、作業員が手動で停止した可能性もある。 .最終更新:5月16日(月)21時58分
冷却系停止「報道で知った」=東電に報告要求—枝野官房長官
時事通信 5月17日(火)11時7分配信
枝野幸男官房長官は17日午前の記者会見で、東京電力福島第1原発事故で1号機の非常用冷却装置が津波到達前に一時停止した問題について「報道で初めて知った。経済産業省原子力安全・保安院を通じて詳細な分析と報告をするように(東電に)求めた」と述べた。また、保安院は東電に対し、23日までに報告するよう伝えた。
メルトダウン(全炉心溶融)が早まった要因とみられる重要な事実が政権中枢に伝わっていなかったことを明らかにしたもので、政府と東電の情報共有の在り方が問題となりそうだ。
会見で枝野長官は、「事実関係と経緯について詳細に東電に報告を求め、それを踏まえて評価、判断する必要がある」とも語った。
-福島第1原発-復水器手動停止「報道で知った」 官房長官
毎日新聞 5月17日(火)11時32分配信
枝野幸男官房長官は17日午前の記者会見で、東京電力福島第1原発1号機で地震直後に冷却用の非常用復水器が手動で停止されたとみられることについて「今日の(各紙の)報道で初めて知った」と語った。そのうえで「事実関係と経緯について東電に対して詳細に報告を求め、それを踏まえて評価、判断する必要がある。報告がなされたら、その内容は全面的に公開するよう求める」と述べた。【影山哲也】
福島第1原発:注水6〜14時間途絶 細野首相補佐官
福島第1原発で電源喪失などが原因となって原子炉圧力容器への冷却水の注入が途絶えた時間は、1号機で14時間9分、2号機で6時間29分、3号機で6時間43分だったと細野豪志首相補佐官が16日、発表した。
1号機だけでなく2、3号機でも長時間、燃料が冷やせなかったことを示している。細野氏は「2、3号機も最悪、炉心溶融していると見ていかないといけない。ただ(圧力容器の)温度から、冷却はうまくいっている」と述べた。
細野氏はまた、専門家の指摘に基づき、1号機では溶け落ちた燃料の一部が圧力容器から外側の格納容器に出た可能性があるとの見方を示した。ただ1号機も冷却が進んでいるとし、新たな工程表に対策の遅れは盛り込まれないという。
福島第1原発:班目氏、保安院を批判 炉心溶融見解示さず
衆院予算委で阿部知子社民党政審会長の質問に答える班目春樹原子力安全委員会委員長。後方は海江田万里経産相=国会内で2011年5月16日午後4時19分、藤井太郎撮影 内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は16日の委員会定例会議後の会見で、東京電力福島第1原発1号機で起きた炉心溶融について、経済産業省原子力安全・保安院が見解を示さないことに対して批判した。
班目委員長は「(安全委が指摘してきたにもかかわらず、これまで)制御棒だけ溶けずに残るなど物理学的常識からあり得ない図を持って来ている」と指摘。「もっと適切なイメージを持ってきなさいと言っているが、持って来ないのは遺憾。また(東電が炉心溶融を認めたにもかかわらず)保安院の考えが出されないのが残念だ」と話した。
一方、1号機で起きた原子炉圧力容器内の蒸気を冷やす「非常用復水器」の機能喪失については、「東電、保安院から事実関係を聞いていない」とし、津波だけでなく、地震や作業員の操作などが原因で起きた可能性も否定できないとの見方を示した。【野田武】
毎日新聞 2011年5月16日 20時15分(最終更新 5月16日 20時54分)
福島第1原発:「格納容器破裂も」 首相視察前に進言
衆院予算委で自民・西村康稔氏の質問に答える班目春樹原子力安全委員会委員長(左)=国会内で2011年5月16日午前11時54分、藤井太郎撮影 原子力安全委員会の班目春樹委員長は16日の衆院予算委員会で、震災直後の3月12日に菅直人首相が福島第1原発を視察する前に「圧力を下げる(ため蒸気を排出する)ベントを行わなければ、原発の格納容器が破裂する可能性がある」と首相らに進言していたことを明らかにした。また「ベントがここまで遅くならなければ事態の悪化は防げた」との見方も示した。
質問した西村康稔氏(自民)が「破裂の可能性があるのになぜ視察したのか」と批判したのに対し首相は「陣頭指揮を執るには現地関係者ときちんと会うことが重要と考えた」と反論。枝野幸男官房長官も16日の会見で、「(視察中に破損するという)話はなかった」と述べた。
また首相は、同原発4号機で使用済み核燃料の入っているプールの水温が急上昇したことについて「心配の種になった」と指摘。「原子炉と同時に使用済み燃料が(安全に処理される)サイクルに乗っていないことも検証しなければならない」と述べ、使用済み燃料からプルトニウムを取り出して再利用する「核燃料サイクル」のあり方も含め、見直す考えを示した。【松尾良、念佛明奈】
経済政策指針:「新エネルギーに軸足」見直しを閣議決定
政府は17日、東日本大震災を踏まえ、経済政策の優先順位を見直す「政策推進指針」を閣議決定した。原子力を柱としたエネルギー政策の見直しを明記したほか、6月までに参加の可否を判断するとしていた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については判断を先送りした。昨年6月に決定した新成長戦略をめぐっては、新成長戦略実現会議を月内に再開し、指針に沿って見直し作業に着手する。年末までに新たな戦略を具体化する方針だ。
エネルギー政策の見直しについて、玄葉光一郎国家戦略担当相は17日、「新エネルギー、省エネ技術への集中投入を図る」と述べた。東京電力福島第1原発事故を踏まえ、原発の安全対策を強化するとともに、安定供給と経済性、環境性能を満たす戦略立案を進める。
また、TPPの参加の可否について、与謝野馨経済財政担当相は17日の会見で、「(アジア太平洋経済協力会議が開かれる)11月には日本の態度を決めないといけない」と語ったが、指針では、震災で被災した農林漁業者の心情や産業空洞化懸念に配慮し、「(参加の判断時期は)総合的に検討」と記すにとどめた。
従来は6月に示すとしていた農林漁業の再生戦略の基本方針も「復旧・復興の進行状況を踏まえ検討する」と先送りした。
新成長戦略の目玉だった原発や鉄道などを海外に売り込む「パッケージ型インフラ海外展開」も「再検証」し、日本の原発に対する信頼性向上を図りながら輸出の可能性を探る考えだ。震災で物流網が寸断され、産業空洞化懸念が高まっていることも踏まえ、産業立地の競争力を高める政策を展開する方針。税と社会保障の一体改革は従来方針通り、6月までに成案を策定する。【宮島寛】
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毎日新聞 2011年5月17日 11時49分(最終更新 5月17日 12時45分)
本震直後に非常用復水器3時間停止 福島1号機
2011年5月17日 02時00分
福島第1原発事故で東京電力は16日、非常時に原子炉を冷やす1号機の非常用復水器が、本震直後から3時間にわたり止まっていたとの調査結果を公表した。東電はマニュアルに従って止めた可能性を強調するが、津波ではなく、地震の衝撃による不具合だった可能性がある。1号機は後に炉内の温度が上がり、炉心溶融を起こしている。
通常、炉内の水蒸気は主蒸気管を通じてタービン発電機に導かれる。原子炉が非常停止した際は、非常用復水器に蒸気が導かれ、内部にためてある水で冷却して水に戻し、その水を炉心に注入して冷却する。稼働後、8時間は冷却できる設計になっている。
東電が発表した震災直後のデータによると、本震発生から6分後の3月11日午後2時52分に1度は復水器が起動し、炉の圧力は急低下。しかし、同午後3時には炉内の圧力が上昇に転じた記録が残っており、東電はこの時点で復水器が止まったと判断した。
津波が襲ったのは、装置が止まった30分後。さらにその後、午後6時10分に復水器が再び動いたが、12日未明までには完全に止まった。
東電によると、炉内の温度が1時間に55度以上下がる場合は、冷却装置を止めるようマニュアルに示されている。
松本純一原子力・立地本部長代理は「午後3時にかけて炉内の圧力が急低下した。この時に温度も下がり、止めた可能性がある」とマニュアルに沿った行動だったと強調。ただし、根拠は示さなかった。また、「地震による損傷を示すデータはないが、可能性も否定できない」とも述べた。
東電が15日に公表した解析結果によると、1号機では震災から約5時間で炉内の燃料が壊れ始め、16時間後の3月12日午前7時前にはほぼすべての燃料が溶け落ちた。
(中日新聞)
東日本大震災:福島第1原発事故 1号機、冷却装置を手動停止 津波前、炉圧急低下し
東京電力福島第1原発1号機で地震直後、非常用冷却装置が津波の到達前に停止していたことが、東電が16日公表した初期データから分かった。従来、同装置は津波到達までは動いていたと考えられ、東電も15日公表の解析結果の前提を「津波で機能喪失」としていた。東電は「冷却装置によって炉内の圧力が急激に低下したため、手動でいったん停止したとみられる」と説明。津波が到達する中、こうした操作を繰り返すうちに冷却機能喪失に至った。近く始まる政府の事故原因究明につながる重要な内容だ。
東電が公開したのは▽福島第1原発の各種データの記録紙▽警報発生などの記録▽中央制御室の運転員による引き継ぎ日誌▽電源復旧作業など操作実績−−など。A4判で約2900ページに及ぶ。
データによると、3月11日午後2時46分の地震発生直後、原子炉圧力容器に制御棒がすべて挿入され、原子炉が緊急停止。非常用ディーゼル発電機も正常に稼働した。1号機の原子炉を冷却する非常用復水器も自動で起動したが、約10分後、炉内の圧力が急激に低下したため、地震から約15分後の午後3時ごろ手動で停止されたとみられる。圧力容器のデータの変化をみると、その後、津波到達(同3時半ごろ)までの間に、何度か起動、停止を繰り返していた可能性があるという。東電は「運転手順書に基づき、炉内が冷えすぎないよう調整したのではないか」と説明している。津波の後、手動による起動の記録がある同6時10分までの間に復水器が機能していたかどうかは不明だ。
一方、格納容器を破損から守るため、弁を開いて炉内の放射性物質を含む気体を排気するベントについては、1号機では12日午前9時15分から、手動で弁を開ける作業に入っていた。2号機は13〜15日にかけて2回のベントを試みたが、格納容器の圧力低下は確認できなかった。3号機は13日以降、ベントを複数回繰り返していた。【河内敏康、平野光芳、久野華代、関東晋慈】
◇炉心溶融早めた可能性
非常用復水器は、全電源喪失の際に唯一、原子炉を冷却できる装置だ。東電は「地震の16時間後に炉心の大部分が溶融した」とする解析結果を15日に公表したが、これほど速く炉心溶融が進むという結果は「非常用復水器が停止した」という想定に基づいていたからだ。非常用復水器が働いていれば、それだけ炉心溶融を遅らせられ、ベントや外部からの注水などの対策がより効果を発揮できたはずだ。
地震発生後には大津波警報が発令され、原発内の作業員も認識していた。だが運転員は非常用復水器を動かす弁を開閉し続ける作業に追われた。東電は「非常用電源やポンプがすべてだめになることまでは想定しておらず、通常の手順に基づいた操作」と説明する。
非常用復水器は古いタイプの原発特有で、同原発では1号機にしかない。2〜6号機と違い、駆動用のポンプを必要とせずに冷却できるが、弁の開閉でしか制御できない難点もある。非常用復水器を作動すると原子炉の温度や圧力が急激に下がり、炉を傷める危険性がある。炉を健全に冷やすには難しい操作が避けられず、こうした特有の作業が深刻な事態を招いた可能性も否めない。【酒造唯】
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◆1号機の非常用復水器の作動状況◆(東電発表に基づく)
◇11日
午後2時52分 非常用復水器が自動起動
午後3時ごろ 復水器が停止。原子炉圧力の低下に伴い、手動で弁を閉鎖?
※その後、弁の開閉を繰り返した可能性
午後3時35分 津波到達、全電源喪失
午後6時10分 作業員が手動で弁を開き、復水器起動
午後6時25分 手動で弁閉じ、復水器停止
午後9時半 手動で弁開け、復水器起動
◇12日
午前1時48分 復水器に給水するポンプの故障を確認。復水器停止
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毎日新聞 2011年5月17日 東京朝刊
-福島第1原発-地震直後データ公表 現場、極度の混乱
毎日新聞 5月16日(月)22時5分配信
東京電力が16日公開した福島第1原発事故に関する膨大なデータによって、地震と津波で同原発が冷却機能を失う過程と、対応に追われる現場の混乱した状況が明らかになった。事故から2カ月以上たち、ようやく表に出てきたデータ。政府は近く発足させる事故調査特別委員会で、原因究明や初期対応の妥当性などの検証を始める。
◇電源車、渋滞で進めず 高線量でベント遅れ
「(外部電源確保のための)電源車が渋滞で進めない」「(弁を開いて炉内の圧力を下げる)ベント操作を試みるも高線量で断念」−−。東京電力が16日に発表した資料で、地震直後の福島第1原発での緊迫した状況が浮かび上がった。
3月11日午後2時46分46秒。運転中だった1〜3号機では地震発生で緊急停止が始まった。警報を印字した記録紙からは、各機で制御棒の挿入や水位の変動を知らせる警報が延々と鳴り響いていたことがうかがえる。
「各種操作実績取りまとめ」と題する資料によると、地震から約45分後の3月11日午後3時半ごろ、同原発に津波が到達し全電源を喪失。これを受け、東電本店は同5時ごろ、周辺の各店に電源車を同原発に派遣するよう要請した。しかし、「電源車は道路被害や渋滞で進めない」との報告があり、同6時20分ごろ、東北電力に電源車の派遣を要請した。
同11時ごろ東北電力の電源車が到着したものの、現場は「暗所、津波の水たまり、障害物散乱、道路のマンホールのふたが欠落」(12日未明の記載)した状況で、ケーブルの敷設作業が難航した。やっと電源車から電気を引き込めたのは12日午後3時ごろだったが、同36分に1号機で水素爆発が起き、電源車のケーブルが破壊された。これにより、「命綱」の電源車がわずか30分で使いものにならなくなった。
一方、1号機のベント作業については同12日午前9時15分ごろに手動で開く作業が始まったものの、9時半ごろには「現場操作を試みたが、(放射線が)高線量で断念」との記述がある。結局、操作ができたのは同10時17分。資料では、その間の作業員の行動に関する記録はなく、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「現場がどのようなリスク判断をして(ベントに)トライしたのかは分からない」と述べた。
◇1号機、3月11日夜に「入域禁止」
一方、東電は地震直後の「当直員引き継ぎ日誌」も公開。1号機の原子炉建屋については3月11日午後9時51分、「入域禁止」と日誌に記載された。周囲で高い線量が測定されたためで、燃料のメルトダウン(炉心溶融)が早い段階で始まっていたことがこの資料からも裏付けられた。
ただし、この資料では首相官邸サイドとの交信記録は公開されていない。ベントや海水注入の判断について、東電と政府との間でどのようなやりとりがあったかについては不明のままだ。【中西拓司、八田浩輔】
◇専門家による分析急務
東電が公表したのは、1〜6号機の原子炉圧力容器内や格納容器内の水位や圧力データのほか、放射性物質を含む水蒸気を大気中に放出した「ベント」作業の実績、異常を知らせる警報の内容、冷却装置の操作実績、電源確保や復旧、運転日誌など事故の初期段階の膨大なデータだ。
福島第1原発は、津波ですべての電源を失い、原子炉の冷却機能が失われた。通電中の記録は中央制御室内にあり、放射線量が高く、長時間滞在できないため、回収できないままだったが、経済産業省原子力安全・保安院が4月25日、東電に対し、記録の速やかな回収と報告を求めていた。
公表された複数の記録を照らし合わせることで、津波の前に地震の揺れで機器類がどの程度損傷していたかや、東電や政府の対応に問題がなかったかが分かる。政府は、近く発足させる事故調査特別委員会で、このデータを基に事故原因の検証を進める方針だ。
東京都市大の吉田正教授(原子炉工学)は「メーカーや独立行政法人など専門知識が豊富な機関が解析すれば、津波が来るまで東電がどう対応したのかなど地震直後の原発の全体像が見えてくるだろう」と話す。【足立旬子、奥山智己】
福島第1原発:注水6〜14時間途絶 細野首相補佐官
福島第1原発で電源喪失などが原因となって原子炉圧力容器への冷却水の注入が途絶えた時間は、1号機で14時間9分、2号機で6時間29分、3号機で6時間43分だったと細野豪志首相補佐官が16日、発表した。
1号機だけでなく2、3号機でも長時間、燃料が冷やせなかったことを示している。細野氏は「2、3号機も最悪、炉心溶融していると見ていかないといけない。ただ(圧力容器の)温度から、冷却はうまくいっている」と述べた。
細野氏はまた、専門家の指摘に基づき、1号機では溶け落ちた燃料の一部が圧力容器から外側の格納容器に出た可能性があるとの見方を示した。ただ1号機も冷却が進んでいるとし、新たな工程表に対策の遅れは盛り込まれないという。
-福島第1原発-事故調、3チームで検証 海外専門家も助言
毎日新聞 5月12日(木)2時35分配信
東京電力福島第1原発事故の原因を究明する「事故調査特別委員会」(仮称)の概要が11日判明した。菅直人首相が指名する法律や地震の専門家ら約10人で構成。海外の専門家による外部組織の助言も受ける。設置について近く閣議決定する。
事故をめぐっては、東電や政府の初期対応の遅れ、海外諸国への説明不足、原子力安全を担う原子力安全委員会の機能不全などに批判が集まった。このため委員会は事故の検証に加え、原子力安全規制の改革にも踏み込む方針だ。本委員会の下に(1)事故原因(2)被害拡大防止対策の検証(3)法規制のあり方−−の三つの検討チームを設置。原因調査究明について「国民に開かれた中立的な立場で多角的に行う」としている。
委員会は、原子炉工学、地震学、放射線安全学などの専門家や法曹界、財界、地元自治体代表らで構成。真相解明のため必要に応じて、関係閣僚や官僚、電力会社、国際原子力機関(IAEA)関係者に出席を要請する。一方で海外の専門家による助言組織を設置。米、仏、露など原発を抱える国の専門家に参加を依頼する。
委員会は内閣直轄とし、調査・検証の対象となる省庁以外の職員で事務局を構成する。年内に中間報告、来年夏をめどに最終報告をまとめる。
枝野幸男官房長官は11日の会見で「(検証)結果だけではなく、プロセスも含めて全面公開したい」と述べ、情報公開を進める考えを示した。【足立旬子】
表土除去、郡山市が対象拡大 基準さらに厳しく2011年5月17日22時30分
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. 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、全国で初めて、4月下旬から小中学校と保育所、幼稚園で校庭や園庭の表土除去を始めた福島県郡山市は17日、対象をさらに拡大して市内の小中学校と保育所の表土を除去すると発表した。
市が設けた除去の新基準は、地表から高さ1センチで保育所・小学校が毎時1.5マイクロシーベルト以上、中学校が毎時2.0マイクロシーベルト以上。これまでの小中学校で毎時3.8マイクロシーベルト以上、幼稚園、保育所で毎時3.0マイクロシーベルト以上から、さらに厳しくした。市は「子どもたちの健康を守るために、より厳しい基準を設定し、除去する」と説明している。
文部科学省の基準では、地上50センチ〜1メートルで毎時3.8マイクロシーベルト以上となっている。
市によると、新基準に該当するのは保育所8カ所、小学校19カ所、中学校1カ所。準備が整い次第、除去工事を実施するという。
文部科学省は校庭土の処理法として今月11日、表土の上下入れ替え方式と穴埋め方式の2方式を示しているが、市はこれに従うことなく、従来通り校庭や園庭の隅に山積みにし、飛散防止のために樹脂で固めた上で、東京電力と国に迅速な処理を求めるという。
市がこれまでに表土除去をした幼稚園、保育所、小中学校67カ所では、市がこれまでに設定していた基準をすべて下回った。(斎藤健一郎) asahi
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2、3号機も溶融の可能性 福島第1原発で保安院
経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は17日、福島第1原発の2号機と3号機について「(原子炉に)注水できていない期間が相当あり、燃料自体も非常に厳しい状況にあった」と指摘した。「燃料ペレットが溶けて圧力容器の底にたまっていることは十分考えられる」と述べ、1号機同様にメルトダウン(全炉心溶融)が起こっている可能性を認めた。
一方、「1号機のように調整した計測機器の(原子炉の水位や圧力の)データもなく、ほかのデータもよく見て結論を出す必要がある」と述べた。
(2011/05/17 13:36)
fukushima
放射線量、栃木が再び平常値超え
各地で上昇印刷用画面を開く
東北、関東各都県で16日午後5時から17日午後5時に観測された最大放射線量は15〜16日に比べ、ほぼ上昇した。文部科学省によると、栃木が毎時0・062マイクロシーベルトから0・070マイクロシーベルトに上がり、震災前の最大平常値を再び上回った。埼玉は0・060マイクロシーベルトに、茨城は0・103マイクロシーベルトにそれぞれ上昇した。
福島第1原発の北西約30キロの福島県浪江町で17日午前11時23分に17・8マイクロシーベルトを観測した。(共同通信)kyoto
茨城の生茶葉が基準値超え
2町に出荷自粛要請印刷用画面を開く
茨城県は16日、県内の2町で採取した生茶葉から、1キログラム当たり500ベクレルの暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。県は2町に今年産の茶の出荷自粛と自主回収を求めた。
県によると、14日に大子町、15日に境町で採取した生茶葉から、それぞれ570ベクレルと894ベクレルのセシウムを検出した。放射性ヨウ素は検出されていないとしている。
冷却装置、津波前に一時停止…東電詳細データ
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所1号機で、東日本大震災による津波襲来の前に非常用冷却装置が一時停止していたことが16日、東電が公表した大震災直後のデータでわかった。
東電は、この冷却装置が津波後に停止したとの前提で、地震発生から16時間後に炉心溶融(メルトダウン)に至ったとする分析結果を15日発表していた。冷却装置が正常に作動すれば、メルトダウンを遅らせることができた可能性もある。
公表データは、事故原因解明のため、経済産業省原子力安全・保安院が東電に求めたもの。大震災が発生した3月11日午後2時46分から14日頃までの原子炉内の水位、放射線量などの膨大なデータのほか、運転員の当直日誌、操作実績をまとめた。
データによると、運転中の1号機は地震発生後、原子炉に制御棒が挿入されて緊急停止。1号機では、地震直後の11日午後2時52分、直流電源で動く緊急時冷却装置の「非常用復水器」が自動起動し、原子炉の冷却・減圧が始まった。
しかし、約10分後の午後3時頃には、復水器は一時停止。作業記録によると、その後、弁の開け閉めが行われ、稼働、停止を繰り返した。原因は不明だが、東電によると、地震直後に原子炉内の圧力が乱高下し、この現象を抑えるため、作業員が手動で停止した可能性もある。
(2011年5月16日21時58分 読売新聞)
福島のがれき、一部地域で処分へ…放射線量公表
. 東京電力福島第一原子力発電所事故を巡り、環境省は17日、福島県内のがれきの仮置き場114か所(1205地点)で実施した放射線量の調査結果を公表した。
放射線量は毎時4・04〜0・09マイクロ・シーベルトで、同省は一部の地域で今週中にもがれきの処分を認める。
調査したのは、警戒区域と計画的避難区域を除く同県内の浜通りと中通り地方の全仮置き場。ほぼすべての仮置き場で、がれき周辺とそれ以外の場所との放射線量に差がなく、同2マイクロ・シーベルトを超えたのは福島市、伊達市、新地町の4地点。いわき市など県南部では、平均値が同1マイクロ・シーベルトを下回った。
同省は「がれきを集積したことで放射線量が上がることはなく、今回調査した地点では周辺住民への健康被害はない」としている。
(2011年5月17日20時17分 読売新聞)
p.6-9 "福島第一原子力発電所1・2号機 平成23年3月11日金曜日(1直) 当直長引継日誌"以下p.6抜粋
1号機
1.運転状況
(1) 原子炉停止中 14:46
(2) 警報「SEISMIC TRIP」発生 14:46
(3) 原子炉自動スクラム・主タービン自動停止(宮城県沖地震発生) 14:47
(4) 原子炉の状態「運転」→「高温停止」 14:47
(5) 全制御棒全挿入 14:47
(6) MSIV 全開 14:47
(7) D/G1A/1B 自動起動/1Bトリップ 14:47/15:37
(8) 原子炉モードスイッチ「運転」→「停止」 14:52
(9) 原子炉未臨界 15:02
(10)トーラスクーリング(A系)イン/(B系)イン 15:07/15:10
(11)全交流電源喪失 15:37
2.保安規定の遵守状況
(1) 保安規定第17条(地震・火災等発生時の処置)
・震度5弱以上の地震発生に伴い運転管理部長報告 14:50
(2) 保安規定第76条(異常発生時の基本的な対応)
・原子炉自動スクラム発生に伴い運転管理部長報告 14:50
(3) 保安規定第77条(異常時の処置)
・「原子炉がスクラムした場合の運転操作基準」に則り実施 14:46
(4) 保安規定第113条(通報)
・原子力災害特別措置法第10条第1項特定事象(全交流電源喪失)発生に伴い運転管理部長報告
15:41
・原子力災害特別措置法第15条第1項特定事象(全給水喪失)発生に伴い運転管理部長報告
16:36/解除報告 16:45
・原子力災害特別措置法第15条第1項特定事象(全給水喪失)発生に伴い運転管理部長報告
17:07
菅首相視察前、官邸に予測図=放射性物質の流れ確認?
時事通信 5月19日(木)22時16分配信
東京電力福島第1原発事故の発生直後の3月12日未明、放射性物質が原発の海側に向かうことを示す「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)の予測図が首相官邸に届けられていたことが19日、分かった。民主党の川内博史衆院科学技術特別委員長や政府関係者が明らかにした。
川内氏らによると、予測図は3月12日午前1時12分、経済産業省原子力安全・保安院からファクスで送信された。第1原発1号機で格納容器の蒸気を外部に放出する「ベント」を行った場合、同3時から同6時までの間、放射性物質が全て海に向かうことを示す内容だった。
3月12日朝に首相は第1原発を視察。SPEEDIの予測図は住民には長く公表されなかったものの、首相の視察前に放射性物質の流れを知るため利用されたのではないかとの疑念の声もある。川内氏は「首相はSPEEDIを自分のために使い、住民のためには使わなかったのではないか」と話している。
社説:自然エネルギー 電力改革の試金石だ
東日本大震災と東京電力の福島第1原子力発電所の事故を経て、エネルギーをめぐる状況は一変した。菅直人首相も18日の会見で、原子力行政とエネルギー基本計画の見直しについて改めて言及した。
高レベル核廃棄物の最終処分を含む核燃料サイクルから、発電と送電の分離といった電力会社の経営形態に関する問題まで、エネルギーをめぐる課題は多岐にわたる。もちろん、いずれも容易に解決できる問題ではない。
ただ、太陽光、風力、バイオ、地熱といった自然エネルギーをもっと活用し、将来的には原子力への依存度を下げていくべきで、この点については多くの人が支持している。
もちろん、原子力は重要な電源であり、それに代わる電力を自然エネルギーでまかなえるのかという問題はある。量とコストの両面から活用には限界があるという指摘もある。しかし、障害となっている要因はこれだけではない。
太陽光や風力は周波数や電圧が一定しない。電力網を安定的に運用するには、導入量に限界があるとされてきた。だが、日本の電力網は電力会社ごとに運営され、これが障害となってきた面も否定できない。
その運用を電力会社の壁を越えてより広域にすることにより、太陽光や風力による電力をより多く活用できるようになるという指摘はかねてなされてきた。
地域独占の電力会社は、安定供給という点では大きな役割を果たしてきた。しかし、電力需要は大きく伸びず、いずれピークを迎える。周波数や電圧といった電力の品質の安定をないがしろにしていいわけではないものの、電力網の運用のあり方は、もっと柔軟であっていい。
発電コストの上昇分を誰が負担するのかという問題も、阻害要因となってきた。利用者の負担増も必要だろうが、研究開発などの名目で原子力に傾斜していた資金配分を改め、自然エネルギーの普及に充てることも考えてもらいたい。
地熱発電については、国立公園内の開発規制や、温泉のお湯に影響しかねないことがネックとなっている。しかし、世界有数の火山国であり、この資源を活用しない手はない。規制や、温泉に支障が生じた際の補償措置などについての検討も必要だろう。
自然エネルギーの活用の障害となってきた要因はこれ以外にもある。そして、こうした問題は、自然エネルギーに限ったことではなく、他の日本のエネルギーをめぐる課題と共通したものが多い。
自然エネルギーの活用を第一歩として、電力改革に取り組んでもらいたい。
英訳
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毎日新聞 2011年5月19日 2時31分
発信箱:出番が違うのでは?=倉重篤郎(論説室)
菅直人政権は、浜岡原発を止めたが、日本学術会議の北沢宏一・大震災対策委員長によると、福島原発事故の政策的影響は、むしろ海外で多く出ている。
米、仏、露など原発推進国では、推進を改めて確認した上で徹底した安全点検を指示、脱原発の独では、運転延長を決めたばかりの7基の運転中止が決定された。原発大増設による高度成長路線をまい進してきた中国では、現在審査中の新設を含む中長期計画の見直しを発表、一方で風力発電を急拡大させ、再生可能エネルギー投資では米、英を抜き世界1位となっている。
それぞれのお国事情に合わせて、エネルギー政策の変更が行われているわけだが、北沢氏によると、日本も次の四つの選択肢を突きつけられている、という。
(1)ただちにすべての原子炉を停止、それによって生じる電力不足を企業と国民が受け入れる(2)総発電量のうち原発に依存する30%部分については、5年程度で再生可能エネルギーと省エネで代替する(3)この30%部分を20年程度で再生可能エネルギーのみで代替する(4)原子炉を国民から受容される安心、安全なものとし、将来最有力な低炭素エネルギーとして位置付け直す。
どれを選ぶのか。それぞれに利点、欠点があり、足して2で割る折衷型の選び方もあるだろう。ただ、世界の国家と同様、できるだけ早い段階で日本としてどうするのか、を方向付けなければならない。今後の成長戦略や生活のあり方そのものにかかわる、優先順位の高い国民的争点である。
国会議員の出番である。情報とシミュレーションで選択肢を絞り込み持論も明示、議論を盛り上げることだ。国民はそういう政治の姿に期待している。「反菅直人」や「脱小沢一郎」だけでは困る。基本政策をしっかり論戦する時だ。
毎日新聞 2011年5月19日 0時01分(最終更新 5月19日 0時14分)
木語:原発安全神話の文法=金子秀敏
-moku−go-
津波から4時間半で原子炉の炉心溶融が始まったと東京電力が発表した−−これで原発事故は起きないという安全神話は崩れたろうか。
グーグルのニュース検索に「原子炉 津波で壊される」と入力したが、反応がなかった。「原子炉 津波で壊れる」と入れると多くのニュースがヒットした。日本人の思考回路では、原子炉が「壊れた」と自動詞を使う。
英語ニュースを検索すると、「ダメージ」(壊す)という他動詞を受け身にして「壊された」と表現している。
自動詞と他動詞では微妙に違う。「壊す」「壊される」だと、壊すという行為の主体が明確である。「壊れる」だと、自然にそうなるようで破壊の原因があいまいになる。運命には逆らえないというあきらめのような気分まで忍び込む。
原発神話も「事故は起きない」と自動詞だ。原発事故に使えるロボットを開発したメーカーの社員が電力会社に売り込みに行ったら「原発で事故が起きるんですか。どんな事故がいつ?」と追い返されたそうだ(5月14日付朝日新聞夕刊)。
米国人は事故を「起こす」という他動詞で考える。かつて米政府がハッカーを集めて実験をした。ある町の火力発電所と消防局のコンピューターに外部から侵入してプログラムを壊せるかどうか。結果は、インターネットを使って発電所に火事を起こし、火災報知システムを故障させることは可能だった。
9・11同時多発テロが起きたのは、雑誌にこの論文が出た直後だった。米国のブッシュ政権は「テロとの戦い」を始めた。そのなかで原発の非常用電源設備を見直し、安全性を高める措置をとった。テロリストが事故を起こすと考えたのである。
オバマ政権も昨年4月、核安全保障サミットを開いた。テロから核関連施設を防衛する対策が世界の首脳の共通議題となった。
この会議で当時の鳩山由紀夫首相がどういう発言をしたか記憶がない。この時に、日本も非常用電源の安全強化をしていたら、結果的にテロならぬ津波の襲撃に効果的な対応ができただろう。
9・11は、日本人が原発安全神話を見直すいい機会だった。テロ対策なら電力会社の体面も傷つかない。当時の小泉政権はイラクに大量破壊兵器があるかどうかを熱心に論じたが、日本国内の原発対策にはほとんど関心がなかった。
原発事故を自動詞で語る限り、原発安全神話はいずれよみがえるような気がする。(専門編集委員)
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毎日新聞 2011年5月19日 東京朝刊
放射性物質:会津の牧草からセシウム 国の許容値超す
福島県は19日、新たに会津地方を含む4町村の牧草から、国の暫定許容値(1キロ当たり300ベクレル)を超える放射性セシウムを検出したと発表した。会津地方で牧草が許容値を上回ったのは福島第1原発の事故後、初めて。
県によると、16日に牧草を採取して調べた。その結果、会津地方の猪苗代町で770ベクレル、会津美里町で310ベクレルを検出した。福島第1原発に近い川内村は4400ベクレル、広野町は1460ベクレルだった。【関雄輔】
毎日新聞 2011年5月19日 23時27分
福島第1原発:「明らかに間違い」現行の指針で安全委委長
原子力安全委員会の班目春樹委員長は19日、福島第1原発事故を受け、原発の安全設計審査指針など各種指針を見直す方針を示した。安全設計審査指針は「長期間にわたる全電源喪失を考慮する必要はない」と規定しており、班目委員長は「明らかに間違い」と述べた。
電力会社は、原子力安全委が決める各種の指針に基づいて原発を設計、建設しており、安全設計審査指針、耐震設計審査指針などの基準を満たす必要がある。この基準に落ち度があったと安全委が明確に認めたことで、原子力行政の在り方があらためて問われそうだ。
今回の事故は電源喪失で事態が深刻化した。班目委員長は記者会見で、津波による電源喪失に対して防護が十分でなかったと説明。「(安全対策に)穴があいていたことが分かってしまった」と語り、多重防護を原則として指針を改定するとした。
3月11日の地震では福島第1原発の2、3、5号機で、想定した最大の揺れの強さ(基準地震動)を最大3割超えた。班目委員長は「予想を上回る地震だった」とし、耐震設計審査指針も見直し対象になるとの考えを示した。
改定作業の時期については、なるべく早く始めたいとしながらも「何が起こったか、はっきり分かっていない段階では議論が拡散するだけだ」と明言を避け、事故原因究明を待つ考えを示した。
毎日新聞 2011年5月19日 23時42分
福島第1原発:重油タンク、1分で水没…連続写真公開
福島第1原発に来襲し始めた津波。集中廃棄物処理施設4階から、北側の4号機の原子炉建屋方向を向いて撮影されている=2011年3月11日午後3時42分ごろ、東京電力関連企業社員が撮影(東電提供)
福島第1原発に来襲し始めた津波=2011年3月11日午後3時43分ごろ、東京電力関連企業社員が撮影(東電提供)
右手の建屋の壁に津波で流された車がぶつかり、壁がめくれている=2011年3月11日午後3時43分ごろ、東京電力関連企業社員が撮影(東電提供)
波が引き始め、建屋の壁に流された車が引っかかっている=2011年3月11日午後3時44分ごろ、東京電力関連企業社員が撮影(東電提供) 東京電力は19日、福島第1原発に津波が到達した直後の連続写真を初めて公開した。海面から高さ10メートルの敷地にある重油タンク(高さ5.5メートル)が、到達後わずか1分間で水没するなど、津波が猛烈な勢いで押し寄せる様子をとらえている。
公開されたのは、3月11日午後3時40分ごろから撮影された計17枚。敷地の南にある集中廃棄物処理施設の4階から北方向(4号機タービン建屋方面)を東電の関連会社社員が撮影した写真は、同42分に海抜10メートルの敷地で浸水が始まり、約1分後には高さ5.5メートルの重油タンクが濁流で水没し始めた。タンクは一気にのみ込まれ、駐車中の乗用車も流されて補助建屋(高さ9.5メートル)の壁がめくれ上がる。同44分、水が引き始めると、流された車は建屋の壁にひっかかるように逆立ちしていた。
東電は写真の公表が被災から約2カ月後となったことについて「情報を収集して整理する中でこうした写真があることが分かったため」と説明した。【八田浩輔、野田武】mainichi
福島第1原発:「20ミリシーベルトの誤解生んだ」安全委
東京電力福島第1原発事故で、小中学校などの屋外活動を制限する放射線量を年間20ミリシーベルトを基に算出した文部科学省の基準について、内閣府原子力安全委員会は19日、「20ミリシーベルトまで浴びても大丈夫という誤解を生んだ」として、これまで実施した助言の背景を説明する「基本的考え方」を公表した。
住民の生活などの制限を判断する際には、「最新の知見や国際放射線防護委員会の基準を踏まえ、住民の心理的、社会的影響などに配慮する」と説明。事故収束まで長期に及んでいる今回の事故の特殊性を指摘したうえで、除染や改善措置による線量の低減策の役割の大きさを示した。
班目(まだらめ)春樹委員長は、考え方を公表した理由について「線量はできるだけ少ない方が望ましいと考えていたのに、年間20ミリシーベルトまで浴びても大丈夫ととらえられたり誤解を生んだ。これによって説明責任を果たしたい」と述べた。【岡田英】
毎日新聞 2011年5月19日 21時35分(最終更新 5月19日 21時46分)
福島第1原発:上空放射線量、通常の数倍も 福島大調査
東京電力福島第1原発事故で、福島大は11日、上空の放射線量調査結果を公表した。大学上空0.9〜2.6キロで高い放射線量が観測され、現在も原発から放射性物質の漏えいが続いていることが確認された。高度6〜8キロでは、これまでの漏えい分が滞留している可能性が高いという。
4月15〜29日、気球型の気象観測装置を上空約25キロまで飛ばして測定した。約5メートルごとにガンマ・ベータ線を測り、15日間の平均値をまとめた。その結果、ガンマ・ベータ線が高度0.9キロ、1.8キロ、2.6キロで、100cpm(cpmは1分当たりの放射線量を示す単位)前後と通常の数倍の値だった。原発の放射性物質が、風に乗って約60キロ離れた大学上空に来ているとみられるという。また、高度8.2キロでもベータ線が506.6cpmに達し、放射性物質が地上に降りず漂っているとみられる。
調査を担当した渡辺明副学長(気象学)は「値は低く、雨で落ちてきても健康に影響はない。放射性物質は気流で運ばれるため、地表付近では放出量が分からない。国の責任で、原発周辺の上空の観測をする必要がある」と話している。【関雄輔】
毎日新聞 2011年5月11日 20時35分
福島第1原発:飯舘村の肉牛畜産農家 103人が廃業
福島第1原発事故で計画的避難区域に指定された飯舘村の肉牛畜産農家103人が廃業を決めたことが、JAが実施した意向調査で分かった。続けるには牛を一時避難させるほかなく、11日に畜産農家を対象に開かれた説明会では「村に戻れる見通しが立たず、飼育をやめた方がよいのか判断できない」と困惑する声も出た。
調査には、村内の肉牛農家228人のうち132人が回答。103人が「廃業」と答えた一方、うち50人が「また牛を飼いたい」と回答。飼い続けることを希望したのは29人だった。未回答者も多く、飼育を続けるか悩む畜産農家の姿も浮き彫りになった。
村とJAが開いた説明会には約250人が集まり、賠償などについて質問した。廃業を決めた阿部定宣さん(70)は「廃業すれば、一からやり直す気力も体力も残らないと思う」と話した。
同村では、酪農家全11戸も、乳牛の避難を断念し休業を決めている。【池田知広、角田直哉】
毎日新聞 2011年5月11日 20時07分(最終更新 5月11日 20時38分)
放射性物質:栃木茶からもセシウム検出
栃木県は19日、鹿沼市と大田原市で17日に採取した一番茶(生葉)から、国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムを検出したと発表した。検出値は、鹿沼市の「板荷(いたが)茶」で890ベクレル、大田原市の「黒羽茶」で520ベクレルとしている。県は両市に、出荷自粛や回収を要請した。【泉谷由梨子】
東電、2号機でベント2回失敗 圧力下がらずプール破損か
福島第1原発事故で、2号機の原子炉格納容器の圧力が上昇した際、東京電力が内部の蒸気を外部へ放出して圧力を下げる「ベント」という作業を3月13日と15日に試みたが、2回とも圧力が下がらず失敗していたことが18日、東電関係者への取材で分かった。
圧力上昇を防げず、格納容器につながる圧力抑制プールが破損した可能性が高い。2号機からは大量の放射性物質が放出され汚染水も発生。原子炉の安定停止作業は難航しており、東電の危機管理態勢が問われそうだ。
ベントで放出される蒸気には放射性物質が含まれるが、格納容器が破損すると極めて大量の放射性物質が外部に出る恐れがあり、それを防ぐ重要な措置。国からベント実施命令も出た。
ベントは、格納容器から外に出る配管に設置された二つの弁を開け、外側にある薄いステンレス製の「ラプチャーディスク」が内部の圧力で破れるようにし、蒸気を放出する仕組み。
東電によると、地震発生2日後の3月13日午前11時に二つの弁を開けたが、格納容器内の圧力が低下せず、周辺の放射線量も上昇しなかった。15日午前0時2分には別系統の二つの弁を開けたが圧力は下がらなかった。
東電が公表した原発の運転データに関する資料にも圧力が低下しなかったことが記録されている。資料で東電はベントされたかはどうかは不明と断定を避けているが、東電関係者は2回とも失敗と判断していると明かした。
2号機のラプチャーディスクは設計上、約5・3気圧で破れる。格納容器内は1回目は約3・8気圧、2回目は約7・4気圧で、ディスクが破れたかは不明。また2回目は弁が数分後に閉まった。弁を開け続けるにはバッテリーが必要だが、電池切れになっていた可能性もある。
15日午前6時10分に圧力抑制プール付近で爆発音がし、第1原発正門の放射線量は、午前6時の毎時73・2マイクロシーベルトから3時間後には1万1930マイクロシーベルトに上昇。原子力安全委員会は「圧力抑制プールの破損が原因」との見方を示している。
1、3号機ではベントを実施、ベント後の正門の線量は281・7〜385・5マイクロシーベルトだった。
東電は「ベント失敗の原因や、圧力抑制プール破損との関連は検証中」としている。
【写真】 3月27日、陸上自衛隊が撮影した白煙を上げる福島第1原発2号機
fukushima
(2011/05/18 18:48)
東電社長に築舘氏…赤字1・5兆、清水氏引責
読売新聞 5月20日(金)3時4分配信
東京電力の2011年3月期連結決算で、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故などで税引き後利益が東電として過去最大となる1・5兆円規模の赤字となることが19日、明らかになった。
原発事故の当面の対策費や福島第一原発1〜4号機の廃炉費用などで1兆円超の特別損失を計上することが確実となったためだ。原発事故の責任を取って清水正孝社長(66)が辞任し、後任に築舘勝利常任監査役(69)を充てる人事も固めた。勝俣恒久会長(71)は原発事故が収束するまで当面、会長職を続ける。
東電は、巨額の赤字となる決算と資産売却などのリストラ策を20日午後に発表する。
東電は震災前の今年1月に業績予想を上方修正し、11年3月期の税引き後利益が300億円増の1100億円になるとしていた。1〜4号機の廃炉費用は1基あたり1500億円程度かかるとみられるほか、震災の被害にあった火力発電所の復旧費用なども計上する。 .
西岡議長、本紙に寄稿「首相は即刻退陣を」
読売新聞 5月19日(木)3時4分配信
西岡参院議長は18日、東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所事故への菅首相の対応を厳しく批判し、一刻も早く退陣するよう求める論文を読売新聞社に寄稿した。
三権の長である参院議長が、行政府の長である首相の退陣を求めるのは極めて異例だ。
西岡氏は、震災発生以来の首相の対応について、「首相としての責務を放棄し続けてきた」と批判し、「必死さも、決意も、術もなく、今、お辞めにならなければ、原発事故がもたらす重大な課題も解決できない」と強調した。
具体的な疑問点として、原発事故について正確な情報を国民に知らせていないと指摘したほか、仮設住宅建設やがれき処理の遅れ、すべて先送りの首相の政治手法などを挙げ、いずれも「政権の座に居続けようとする手法」と切り捨てた。(寄稿全文は19日の読売新聞朝刊に掲載) .最終更新:5月19日(木)3時4分
福島原発事故は「神の仕業」=東電の責任否定—与謝野経財相
時事通信 5月20日(金)11時12分配信
与謝野馨経済財政担当相は20日の閣議後会見で、東京電力福島第1原発事故は「神様の仕業としか説明できない」と述べた。同原発の津波対策に関しても「人間としては最高の知恵を働かせたと思っている」と語り、東電に事故の賠償責任を負わせるのは不当だとの考えを重ねて強調した。
今回の原発事故をめぐっては、安全対策の不備や人災だとの指摘が国内外から出ている。「最高の人知」や「神による異常な自然現象」という論理で東電を徹底擁護する主張には、「原発は安全」と説明されてきた地元住民らからも批判が出そうだ。
維新の会、「数の力」で強硬突破も…大阪府議会
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維新の会の大阪府議ら(手前)が座る中、本会議に臨む橋下知事=伊東広路撮影 大阪府の橋下徹知事が代表の地域政党「大阪維新の会」が過半数を獲得した府議選後、初の定例議会が19日、開会した。
維新は昨年10月に一度否決された議員定数削減の条例改正案を含め4件を早速、議員提案する構え。他会派は反発を強めるが、維新は「話し合いはするが、単独可決も辞さない」と強硬姿勢もちらつかせており、「過半数の力」をどこまで使うのかに注目が集まっている。
定数削減案は「府民10万人に議員1人」を目安に、現行109の定数を次の府議選から88に減らす内容。しかし、区割りは見直しておらず、現在、最大2・2倍の1票の格差が、1人区の増加などで2・88倍に拡大するため、昨年10月の提案時には、公明、自民、民主、共産が反対して否決された。
今回は、維新単独での可決が可能となった。維新の松井一郎幹事長は「マニフェスト(選挙公約)で府民に実行を約束した。他会派の理解を得る努力はするが、多数決という民主主義のルールに従う」と話す。
(2011年5月19日16時01分 読売新聞)
拡散予測、翌日未明には官邸に…首相らに届かず
. 福島原発
枝野官房長官は20日午前の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐって放射性物質の拡散を予測した「SPEEDI(スピーディ)」の試算結果が、事故発生翌日の3月12日未明に首相官邸にファクスで届いていたことを明らかにした。
その上で、「(官邸の)幹部で全く共有されず、担当部局で止まっていた」と述べ、菅首相らには届いていなかったとし、首相官邸内の情報伝達に落ち度があったことを認めた。
枝野氏は、3月12日に届いた試算は仮定に基づくものだとしたうえで、「情報の存在自体が伝えられなかったのは大変遺憾だ。避難指示の時にそういった情報があれば意義があった」と述べ、経緯を検証する考えを示した。仮定に基づく試算結果の存在を枝野氏らが知ったのは、12日から数日後だったと説明した。
(2011年5月20日12時21分 読売新聞)
福島第1原発事故 東電、震災直後の原子炉の状態を記録した計測器データなどを公開
東京電力は16日夜、震災直後の福島第1原子力発電所の原子炉の状態を刻々と記録した計測器データなどを公開した。
中央操作室のホワイトボードからは、職員の緊迫した状況がうかがえた。
一方、原子力安全委員会の班目春樹委員長は会見で、1号機だけでなく、2号機と3号機も炉心溶融の状態にあるとの認識を明らかにした。
「15時50分、水位不明」、「16時36分、ECCS(非常用炉心冷却装置)注入不可」、「21時51分、入域禁止」、「4時30分、現場作業禁止、津波、部長指示」など、緊迫した状況が分刻みで書き込まれていたのは、福島第1原発のホワイトボードだった。
東京電力は16日夜、震災後の日誌や、作業員が状況を書き込んだホワイトボードの写真などのデータを公開した。
3月11日から、原発では過酷な作業が続いている。
作業員は「体力的には、ちょっと厳しい面がありますね。一刻も早く、これが片づいてほしいということですよね」と話した。
福島第1原発の作業員およそ1,000人が滞在するいわき湯本温泉で、作業員たちは過酷な現場の様子を語った。
作業員は「防護服、あれを二重に着ているんですよ。1回着ちゃうと、次に脱ぐことが、すぐ現地で脱いだり、面を外したりするということができませんのでね。水を補給するということもだめですので」と話した。
先週末には、現場で作業していた60歳代の作業員が死亡した。
死因は、心筋梗塞(こうそく)とみられている。
別の原発作業員は、「呼吸が苦しくなって、マスクを外そうかなと思うとき、あるんですよ。こういうこと(死亡事故)もこれから、もっと気温が上がると、ますます増えるんじゃないかななんて、自分でも心配はしています」と話した。
東京電力の工程表の改定を17日に控え、原発の深刻な状況が相次いで明らかになった。
16日、細野首相補佐官は、炉心溶融があった1号機について、溶けた燃料の一部が圧力容器から格納容器に出た可能性もあるとの見方を示した。
統合対策室事務局長の細野首相補佐官は、「格納容器に落っこちていた場合には、どういう対応があり得るのかというようなことはですね、これは程度の問題はありますけれども、多少は落ちているということは想定されますけれども」と述べた。
また、原子力安全委員会の班目委員長は会見で、「確か3月の下旬、28日か29日、2号炉のタービン建屋の地下で、高濃度の汚染水が発見された時点において、われわれは少なくとも2号炉は、はっきりいってメルトダウンしていたという認識があります」、「2号炉でそうですから、1号炉、3号炉についても同じようなことが事故の経緯を考えると、起こっているだろうというふうには想像していたところで」と語った。
炉心溶融を起こしていたのは1号機だけではなく、2号機、3号機でも起こっているとの認識を明らかにした。
当初の見立てよりも深刻な事態が明らかになる中、衆院予算委員会で、班目委員長は「当然、格納容器の圧がかなり高くなっていますので、格納容器が爆発という言い方をしたかもしれませんが、要するに破裂する可能性はあるということは認識していましたし、そのようなことは助言していたと思います」と語った。
震災直後の段階で、格納容器が破損する可能性を認識していたという班目委員長の発言に、激しいやじが飛んだ。
また菅首相は、17日に改訂される工程表について、「内容的には、若干の変化があるかもしれないけれども、時間的な展望は変えないで進めることができるのではないか」と述べ、6カ月から9カ月で1号機から3号機の原子炉を冷温停止にするという目標は変えずに、事故の収束を目指す考えを示した。
工程表改定前日に、次々と出てくる情報。
こうした状況を前に、計画的避難区域に指定された福島・飯舘村では、住民の避難が始まった。
避難する住民は、「行きたくないけど、子どものためには出た方がいいですよね」と話した。
一夜明け、受け入れ先の川俣町では、学校にバスで初登校する子どもたちの姿があった。
子どもたちは「(バスで学校に通うのは?)楽しそう」、「1時間早く起きて」と話した。
5月末までに完了を目指す計画的避難だが、移転先確保の問題などで難しくなっている。
こうした中、政府は原発工程表とあわせ、被災者への対応についても、17日に発表することになっている。
FNNが入手した案によると、計画的避難区域の住民の要望に応じ、線量計を配布することなどが記されている。
いまだ収束の見えない福島原発事故は、今後の対応について、17日に重要な局面を迎える。
(05/16 23:55)
非常冷却 津波前に停止 1号機
2011年5月17日 朝刊
福島第一原発事故で東京電力は十六日、非常時に原子炉を冷やす1号機の非常用復水器が、本震直後から約三時間にわたり止まっていたとの調査結果を公表した。東電はマニュアルに従って止めた可能性を強調しているが、津波ではなく、地震の衝撃による不具合だった可能性がある。1号機は後に炉内の温度が上がり、炉心溶融を起こしている。
通常、炉内の水蒸気は主蒸気管を通じてタービン発電機に導かれる。原子炉が非常停止した際は、非常用復水器に蒸気が導かれ、内部にためてある水で冷却して水に戻し、その水を炉心に注入して冷却する。稼働後、約八時間は冷却できる設計になっている。
東電が発表した震災直後のデータによると、本震発生から六分後の三月十一日午後二時五十二分に一度は復水器が起動し、炉の圧力は急低下。しかし、同午後三時には炉内の圧力が上昇に転じた記録が残っており、東電はこの時点で復水器が止まったと判断した。
津波が襲ったのは、装置が止まった約三十分後。さらにその後、午後六時十分に復水器が再び動いたが、十二日未明までには完全に止まった。
東電によると、炉内の温度が一時間に五五度以上下がる場合は、冷却装置を止めるようマニュアルに示されている。
松本純一原子力・立地本部長代理は「午後三時にかけて炉内の圧力が急低下した。この時に温度も下がり、止めた可能性がある」とマニュアルに沿った行動だったと強調。ただし、根拠は示さなかった。また、「地震による損傷を示すデータはないが、その可能性も否定できない」とも述べた。
tokyo
1号機の海水注入を55分間中断 再臨界恐れ首相指示
2011年5月20日 21時28分
地震翌朝に燃料が溶け落ちるメルトダウンが起きたとみられる福島第1原発1号機で、政府が公表した3月12日の海水注入開始時刻の前に東京電力は注入を開始、政府の指示で55分間注入を停止していたことが20日、分かった。
海水注入の遅れで被害が拡大したとの批判があり、専門家は「海水注入を続けるべきだった」と指摘している。
政府の対策本部の資料では、海水注入の開始時刻は3月12日午後8時20分としていた。だが、東電が5月16日に公表した資料では、午後7時4分に海水注水を開始し、同25分に停止、午後8時20分に海水とホウ酸による注水開始、と記載されている。
政府筋によると、午後7時すぎの海水の注入は現場の判断のみで開始。原子力安全委員会への問い合わせで海水注入で再臨界が起こる恐れがあることが判明したとして、菅直人首相がいったん注水を止めさせたという。その後、問題ないことが分かり、ホウ酸を入れた上での注水が再開された。
1号機は地震、津波による全電源喪失のため、3月12日朝には燃料の大半が溶け落ちていたとの暫定評価を、東電が公表している。
(共同)
冷却用の海水通す細管が破損=中部電力浜岡5号機トラブル
時事通信 5月20日(金)19時0分配信
浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)で、原子炉を冷やすための主復水器に海水が流入したトラブルを調査していた中部電力は20日、主復水器内の細管が破損していたことを明らかにした。細管には、タービンを回した蒸気を冷やして水にするための海水が通っており、破損箇所からの流入が主な原因である可能性が高まった。
トラブルは、浜岡原発の全炉停止後、原子炉を100度未満に保つ「冷温停止」状態に向けた操作を行っていた14日午後4時半ごろに5号機で発生。3台ある主復水器の水と、原子炉の水の純度を監視している計器などがそれぞれ異常値を示した。
浜岡5号機、炉内流入の海水は約5トンに
読売新聞 5月19日(木)3時4分配信
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読売新聞
静岡県御前崎市の中部電力浜岡原子力発電所5号機で、運転停止作業中に原子炉に流入した海水量が約5トンに上ることが18日、分かった。
タービンを回す水蒸気を水に戻す「復水器」の配管が何らかの理由で破損し、配管内の海水が流入した疑いが強く、経済産業省原子力安全・保安院は配管の傷が予想以上に大きいとみて、中部電に詳しい原因調査を求める方針だ。
復水器内に漏れ出た海水量は400トンに上ることが判明しているが、中部電が原子炉内の冷却水に混入した不純物の量を分析した結果、炉内に流入した海水は5トンに達する可能性が高いことが分かった。同社は異常に気づいた14日夕、復水器から原子炉へ給水するポンプを停止したが、それ以前に原子炉内に海水が浸入してしまったらしい。
復水器内の古くなった配管に傷が生じた例は、過去にも他の原発であるが、浜岡原発5号機は2005年に運転を始めた比較的新しい原発だ。中部電は配管計約2万1000本を対象に破損部を特定する調査を始めたが、破損の詳しい原因はわかっていない。 .最終更新:5月19日(木)3時4分
1〜4号機廃炉、7〜8号機増設計画中止…東電
読売新聞 5月20日(金)16時4分配信
東京電力の清水正孝社長は20日午後の記者会見で、福島第一原発1〜4号機の廃炉、及び7、8号機の増設計画の中止を決めたと発表した。
同原発5、6号機と、福島第二原発は冷温停止状態を当面維持することとした。
経営合理化方針については、保有不動産など電気事業遂行に不可欠なものを除いて売却するほか、厚生施設を全廃するなどして計6000億円以上の資金を確保。さらに、投資、修繕費用など2011年度で5000億円以上の削減を行うことを明らかにした。
人件費については、代表取締役については、給与を全額返還し、常務取締役は60%削減することにした。
また、社長を退任することについては「大変なご迷惑をおかけし、経営責任を明らかにするべきと考えた」と理由を述べた。 .最終更新:5月20日(金)16時4分
東日本大震災(福島原発)(ニュース特集)
緊急時の冷却、10分で停止 東電が事故時のデータ公表
震災直後に、福島第1原発1号機の状況を詳しく記載した中央制御室内のホワイトボード(東京電力提供)
東京電力は16日、福島第1原発1号機に残っていた東日本大震災発生直後のデータを公表し、緊急時の冷却が約10分で止まっていたことが分かったと発表した。
東電によると、1号機では本震発生直後の3月11日午後2時52分ごろ、緊急時の炉心冷却に用いる非常用復水器が起動したが、午後3時ごろに停止した。急速な温度変化による原子炉圧力容器の損傷を避けるため、運転員が手順書に従って手動で停止させた可能性もあり、事実関係を調査中としている。その後、同3時半ごろ津波の第1波が到達した。
東電は「運転員が止めたとしてもその判断は責められない」としたが、非常用復水器を動かし続ければ燃料の損傷が遅れ、爆発の原因となった水素の発生を抑えられた可能性があるという。非常用復水器による冷却システムはその後、断続的に動いた形跡があった。
また東電は、1〜3号機のデータからは、津波による電源喪失の前に地震の揺れで配管が破断し、炉心から大量の冷却水が失われたような兆候はみられなかったとの見解を示した。1号機では地震発生から間もない3月11日夜には既に原子炉建屋内が高い放射線量だったことが分かり、津波襲来以前に原子炉の重要な設備が地震の揺れで損傷していた疑いが浮上している。東電は「(破断のような)大きな被害はないと推定しているが、今後詳細に評価したい」としている。
公開資料は、計器類で自動的に記録された原子炉の水位や圧力、温度、地震観測記録などのデータ。作業員の日誌や証言を基に整理した原子炉への注水や、放射性物質を含む蒸気を意図的に外部に放出する「ベント」、安全弁の操作などの経緯も公表された。多くは中央制御室のハードディスクや紙に記録されていた。室内の放射線量が高く、資料も放射性物質に汚染されていたことから、回収が遅れていた。
(2011年5月17日)
政府の被ばく基準に批判相次ぐ 衆院特別委で専門家
福島第1原発事故を受け、政府が計画的避難区域や校庭の活動制限の基準に採用している「年間20ミリシーベルト」という被ばく線量について、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会で20日、放射線医学の専門家らから「高すぎる」と批判が相次いだ。
矢ケ崎克馬・琉球大名誉教授は、政府が根拠としている国際放射線防護委員会(ICRP)の基準について「内部被ばくを考慮していない」と批判。欧州は内部被ばくを考慮した別の基準を採用しており、外部被ばくだけで年間20ミリシーベルトというのは「とんでもない数字」と強調した。
武田邦彦・中部大教授は「20ミリシーベルトで発がんリスクが高まるのは明らかなのだから、保護者が納得しないのは当然だ」とし、校庭だけでなく通学路などを除染する必要性を強調した。
国の原子力安全委員会の久住静代委員は、日本人の数十%はがんが原因で死亡し「20ミリシーベルトが発がんに与える影響は小さすぎ、疫学調査で検出できないほどだ」と20ミリシーベルトという基準の妥当性を主張したが、崎山比早子・元放射線医学総合研究所主任研究官は「子どもの方が放射線感受性が強く寿命も長い。年齢による影響の差を考慮しない議論は論外だ」と反論した。
拡散予測データ報告されず 官邸危機管理センター
福島第1原発事故による放射性物質の拡散状況を予測した緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータが、東日本大震災発生翌日の3月12日未明に首相官邸へ届けられたが、情報を集約する官邸危機管理センターに報告されていなかったことが20日、分かった。枝野幸男官房長官が記者会見で明らかにした。
データは担当職員の手元にとどまり、菅直人首相が3月12日朝に第1原発を視察した時点では、首相にも枝野氏にもデータの内容は伝わっていなかったという。
枝野氏は会見で、周辺住民への避難指示が3月11日から12日にかけて出されたことを念頭に「避難区域を指示する際に拡散予測のデータがあれば意義があった」と指摘。危機管理センターに報告しなかった担当職員の判断に問題があったとの認識を示した。
同時に「(報告がなかった)経緯はしっかり検証する。原発事故の調査特別委員会でも検証してほしい」と述べた。
(2011年5月20日)kyodou
【世論調査】浜岡原発停止、66%が評価(5月15日)
共同通信社が14、15両日に実施した全国電話世論調査で、菅直人首相が中部電力に浜岡原発の全面停止を要請したことについて「評価している」が66・2%に達し、「評価していない」の29・7%を大きく上回った。今後原発を「減らすべきだ」47・0%、「直ちに廃止すべきだ」6・0%に対し「現状の数を維持すべきだ」は38・5%だった。
3月に実施した調査では削減や廃止を求めていたのは46・7%で今回は合計53・0%。深刻な状況が続く東京電力福島第1原発事故を受け、原発依存からの脱却や縮小を求める声の広がりをうかがわせる。ただ電力不足への不安からか浜岡以外の原発は停止しないことについては「賛成」が57・9%に上った。
原発事故の損害賠償のため、電気料金を値上げする案について66・5%が「反対」と答え、「賛成」は29・8%だった。
菅首相の交代時期に関して「直ちに退陣すべきだ」とする回答は17・5%で、4月の前回調査より6・1ポイント低下。内閣支持率は28・1%で前回26・8%より微増した。不支持率は57・4%。
浜岡原発の停止要請は「大いに評価している」との回答が23・6%、「ある程度評価している」が42・6%、「あまり評価していない」22・8%、「全く評価していない」6・9%だった。
東日本大震災復旧・復興財源のための増税では「賛成」50・3%、「反対」46・6%と賛否が拮抗(きっこう)。政府の被災者救援や復旧対策について「評価していない」が50・4%、「評価している」47・5%。3月の同様調査では「評価している」が57・9%だった。
増税に「賛成」と回答した人に具体的な方法を質問したところ「消費税率引き上げと所得税増税などの組み合わせ」との回答が40・3%で最も多かった。
民主党の支持率は前回の17・4%から20・3%、自民党は25・4%から26・5%に上昇。みんなの党6・3%、公明党3・0%、共産党3・5%、社民党1・8%、国民新党、たちあがれ日本、新党改革は各0・4%、新党日本0・1%。支持政党なしは34・9%だった。
(2011年5月15日)kyodou
太陽光発電所建設を検討 孫社長、全国10カ所程度
ソフトバンクの孫正義社長
東日本大震災と福島第1原発事故の発生以降、脱原発に向けた動きを活発化させているソフトバンクの孫正義社長が、埼玉県など全国に10カ所程度の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を検討していることが21日分かった。
ソフトバンクなどによると、孫社長は兵庫県など7府県でつくる関西広域連合や、神奈川県など10都県が参加する関東地方知事会と連携。計800億円規模に及ぶ可能性のある事業費については、各自治体にも一部を負担してもらうよう要請する方向だ。
関東、関西のほか、孫社長は自身の出身地である佐賀県にも建設したいとの意向を示しているが、広大な敷地を要するメガソーラーの建設は、適した場所の確保が課題となりそうだ。
埼玉県の上田清司知事は21日、県内で記者団の取材に応じ、ソフトバンク側が79億円、県側が1億円を出して県内に計80億円の事業費でメガソーラーを建設する方針で調整を進めていることを明らかにした。
孫社長は震災の被災者に100億円の義援・支援金の寄付を決めたほか、14日には菅直人首相と都内で会食して原発依存からの脱却を強く訴えるなど、自然エネルギーの利活用に向けた取り組みを進めている。
(2011年5月21日)kyodou
3号機南に高線量のがれき 毎時千ミリシーベルト
福島第1原発3号機原子炉建屋南側で確認された、毎時1000ミリシーベルトという極めて高い放射線量のがれき(矢印付近)=21日午前(東京電力提供)
東京電力は21日、福島第1原発3号機の原子炉建屋南側で、毎時千ミリシーベルトという極めて高い放射線量のがれきが見つかったと発表した。敷地内のがれきでは、これまでで最も高い線量。東電はできるだけ早く撤去する予定。
毎時千ミリシーベルトは、事故後に特例で引き上げられた作業員の被ばく線量限度である250ミリシーベルトに15分で達する線量。
高い線量が測定されたのは、散乱したコンクリート片などが集められた場所の一部。この場所を今月3日に測定したところ、がれきの表面で毎時300ミリシーベルトを計測、作業員が近づかないよう措置を取った。20日に再度測定し、表面で毎時千ミリシーベルトだと分かった。
第1原発の敷地内では4月20日にも、3号機原子炉建屋の西側にある消火系配管付近で、毎時900ミリシーベルトのコンクリート片が見つかっている。
(2011年5月21日)kyodou
【Q&A】太陽光発電の普及効果も 発送電分離
菅直人首相が電力会社の発電、送電部門の分離を議論する考えを表明しました。
Q 発電、送電部門の分離とは何ですか。
A 電力会社の発電と送電部門を切り離すことです。日本の電力10社は現在、管内の発電と送電、配電(小売り)を一貫して運営しています。規制緩和により工場などへの小売りや、発電事業には新規参入が認められていますが、送電、配電網は電力10社が独占しています。
Q 発送電分離の議論が浮上した背景は何ですか。
A 電力会社には安定供給が義務づけられているにもかかわらず、東京電力福島第1原発事故をきっかけに電力不足に陥るなど電力会社に対して厳しい目が向けられています。政府は原発事故賠償支援策の決定にあたり示した基本的な考え方に「電力事業形態の在り方などを含むエネルギー政策の見直しの検討を進める」と明記しました。
Q 分離すればどんなメリットがありますか。
A 電力会社が独占してきた送電部門があらゆる新規事業者に開放されることで競争原理が働き、電気料金が安くなることが期待されています。さらに、太陽光をはじめ風力、地熱などを電源とする事業者の新規参入を促し、環境にやさしいエネルギー普及の促進につながる可能性もあります。
Q これまで発送電分離が議論されたことはありましたか。
A 日本の電気料金が他の主要国に比べて高いことから、日本でも1990年代後半から発送電分離を含め電力自由化をめぐる論議が起きました。経済産業相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」で検討されましたが、 抜本的な自由化は見送られました。
Q なぜですか。
A 電力会社が「事業を分割すれば電力の安定供給ができなくなる」と強く主張したためです。温室効果ガスの排出量が増加するとの指摘や、新しい送電網が必要となり、かえってコストがかさみ、電気料金の引き下げの効果がないとの見方もあったためです。海江田万里経済産業相も「今すぐに(分離)できるかというと、いろんな問題がある」と述べています。ただ、ITや余剰電力を蓄える蓄電池の開発が進み、現在は次世代の送電システム構築が可能となり、発送電分離の検討が本格化することも考えられます。
Q 発送電分離議論は電力会社の地域独占体制に影響しますか。
A 送電網を保有していることが電力会社が地域独占を維持できる背景となっていました。首相も発送電分離とともに地域独占についても議論する考えを示しており、一体となって議論されていく可能性があります。
(2011年5月19日)
米国設計通り非常用電源海沿いに 福島第1元技術者が証言
東京電力福島第1原発(福島県)の設計では、米国の設計を踏襲し、津波を考慮しないまま非常用ディーゼル発電機を海沿いにあるタービン建屋地下に置いていた疑いがあることが20日、分かった。同原発の設計に携わった元技術者が証言した。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)社製の同1号機と同様に、タービン建屋地下に置く設計は5号機まで受け継がれた。この元技術者は「米国では多くの原発が冷却水を河川から引く。津波を想定しない米国の設計思想をそのまま輸入してしまった」と話している。同原発1〜5号機の運転開始は1971〜78年。
東電によると、同原発の非常用発電機13台のうち8台が、原子炉建屋の海側に立つタービン建屋地下にあった。東日本大震災では高さ14〜15mの津波が直撃して発電機本体が水に漬かり、海沿いにむき出しで設置されていた発電機の水冷用ポンプも損傷した。
第1原発では地震の揺れで外部電源が失われ、いったん非常用発電機が起動したが、津波でそれも停止。原子炉の冷却機能を失い、核燃料の損傷や水素爆発を招いた。
証言によると、同原発1号機など初期の設計では「東電やメーカーは米国から教わっている段階で、GEの設計図通りにインチをミリに換算していた」と話す。図面をGEの技術陣に見せ「コメントなし」のサインをもらわなければ先に進めなかったという。「自分たちの意見を言える状況ではなかったし、津波も数mを考慮しただけだった」
非常用発電機は国の原発耐震指針で安全上最重要のランクと位置付けられる。耐震性の高い原子炉建屋に設置することが多く、第1原発でも設計が新しい6号機ではそうなっている。重要度の劣るタービン建屋に設置する場合、建屋の耐震性を最重要ランクに高める必要がある。
(2011/05/20 18:37) fukushima
大地震災の震源域南側は要注意 監視必要と米研究チーム
マグニチュード(M)9・0を記録した東日本大震災の震源域の南側に当たる福島、茨城両県沖で今後、大規模な地震が発生する可能性があると米国の研究チームが19日付の米科学誌サイエンスに発表した。
研究チームは「今後起こり得る地滑りの範囲を見定めるため、周辺を監視することが必要だ」としている。
チームは、過去1100年間の地震活動の記録を踏まえて分析。福島、茨城両県沖では1938年の地震(M8・1)以降、1年間に約8センチの地殻変動があり、73年間でプレートが約6メートル沈み込んでプレート境界でひずみが蓄積したとみている。さらに今回、この地域で起きたM7・9の余震を考慮すると、今後起きる地震は、過去の地震よりも大きくなる可能性があるとした。
日本政府の地震調査委員会は、東日本大震災で震源域として岩手県沖から茨城県沖までの領域が関係したとしている。
(2011/05/20 03:02) fukshima
大地震の震源域で4回の破壊 「過剰滑り」で大津波か
東日本大震災は海側と陸側のプレート(岩板)境界の震源域で、浅い部分と深い部分を往復するように4回に分かれて破壊が進んだとする解析結果を、東大大学院理学系研究科の井出哲准教授(地震学)がまとめた。19日付の米科学誌サイエンスの電子版に発表した。
大津波と、大きな揺れを引き起こす性質の破壊に分かれ、震源域の浅い部分では蓄積されたひずみを解放する以上の破壊が進む「ダイナミックオーバーシュート」(動的過剰滑り)と呼ばれる現象も発生、巨大津波を起こしたとみられることも分かった。
井出准教授は「浅い部分と深い部分で性質の違う破壊が起きる奇妙なメカニズムだ。プレート境界の地震の発生パターンを予測する上で貴重なデータ」としている。
米スタンフォード大と共同で、世界各地の地震計でとらえた地震波を基に解析。それによると、破壊のプロセスは(1)地震発生から3秒は緩やかな初期破壊(2)その後40秒かけ、深部に向かい破壊(3)さらに60秒後にかけ、浅い海溝部分が大きく壊れダイナミックオーバーシュートが発生。巨大津波を引き起こす(4)その後90秒後にかけ再び深部に向け破壊進行—としている。
このうち、陸地に大きな揺れをもたらした高周波の地震波を伴ったのは、深部で進んだ2回だけという。初期破壊が始まった深さは約25キロ、破壊の最も深い部分は約40キロとみられる。
プレート境界の地震は通常、陸側のプレートが海側に乗り上げる逆断層型だが、大震災直後には陸側がずれ落ちるような正断層型のマグニチュード(M)6以上の余震が2回発生。井出准教授は「滑りすぎたプレート境界が元に戻ろうとしたためではないか。滑りがいかに大きかったかを示す」としている。
(2011/05/20 03:02)
東電、2号機でベント2回失敗 圧力下がらずプール破損か
福島第1原発事故で、2号機の原子炉格納容器の圧力が上昇した際、東京電力が内部の蒸気を外部へ放出して圧力を下げる「ベント」という作業を3月13日と15日に試みたが、2回とも圧力が下がらず失敗していたことが18日、東電関係者への取材で分かった。
圧力上昇を防げず、格納容器につながる圧力抑制プールが破損した可能性が高い。2号機からは大量の放射性物質が放出され汚染水も発生。原子炉の安定停止作業は難航しており、東電の危機管理態勢が問われそうだ。
ベントで放出される蒸気には放射性物質が含まれるが、格納容器が破損すると極めて大量の放射性物質が外部に出る恐れがあり、それを防ぐ重要な措置。国からベント実施命令も出た。
ベントは、格納容器から外に出る配管に設置された二つの弁を開け、外側にある薄いステンレス製の「ラプチャーディスク」が内部の圧力で破れるようにし、蒸気を放出する仕組み。
東電によると、地震発生2日後の3月13日午前11時に二つの弁を開けたが、格納容器内の圧力が低下せず、周辺の放射線量も上昇しなかった。15日午前0時2分には別系統の二つの弁を開けたが圧力は下がらなかった。
東電が公表した原発の運転データに関する資料にも圧力が低下しなかったことが記録されている。資料で東電はベントされたかはどうかは不明と断定を避けているが、東電関係者は2回とも失敗と判断していると明かした。
2号機のラプチャーディスクは設計上、約5・3気圧で破れる。格納容器内は1回目は約3・8気圧、2回目は約7・4気圧で、ディスクが破れたかは不明。また2回目は弁が数分後に閉まった。弁を開け続けるにはバッテリーが必要だが、電池切れになっていた可能性もある。
15日午前6時10分に圧力抑制プール付近で爆発音がし、第1原発正門の放射線量は、午前6時の毎時73・2マイクロシーベルトから3時間後には1万1930マイクロシーベルトに上昇。原子力安全委員会は「圧力抑制プールの破損が原因」との見方を示している。
1、3号機ではベントを実施、ベント後の正門の線量は281・7〜385・5マイクロシーベルトだった。
東電は「ベント失敗の原因や、圧力抑制プール破損との関連は検証中」としている。
【写真】 3月27日、陸上自衛隊が撮影した白煙を上げる福島第1原発2号機
(2011/05/18 18:48) fukushima
大津波450〜800年周期か 東北太平洋岸、貞観地震挟み
東日本大震災で津波被害を受けた宮城県から福島県にかけての太平洋岸では、「貞観地震」(869年)を挟み、約450〜800年間隔で大津波が起きていたとみられることが18日までに、産業技術総合研究所の分析で分かった。
貞観地震では、津波で運ばれた砂などの堆積物から仙台、石巻平野は海岸線から3〜4キロ、福島県南相馬市では1キロ以上、内陸に津波が到達したとみられていたが、大震災の津波との比較検討から、さらに1〜2キロ内陸に及んでいた可能性が高いとした。堆積物から割り出したほかの巨大地震の津波想定も、過小な恐れがある。
22日から千葉市で開催される日本地球惑星科学連合大会で発表する。
産総研は、仙台市若林区と宮城県山元町、南相馬市で、過去に津波が運んだ砂の堆積物分布を調査。堆積物内の植物の化石に含まれる放射性炭素から年代を測定した。
その結果(1)紀元前390年ごろ(2)西暦430年ごろ(3)869年の貞観地震(4)1500年ごろ—の津波によるとみられる堆積物を確認。産総研は、450〜800年程度の周期で、東日本大震災の津波もこのサイクルに含まれ、貞観と430年ごろの津波の規模は大震災と同程度とみている。
1500年ごろの津波の記録は見つかっていないが、産総研は「記録は作られたが、失われた可能性もある」としている。
また仙台、石巻平野では東日本大震災の津波で、海岸から2・2〜3・2キロまで砂などが運ばれていたが、浸水はさらに1・2〜1・9キロ内陸に達していたことを確認。貞観津波も砂などの到達距離より1〜2キロ内陸に達していた可能性が高いとした。
(2011/05/18 18:16)
-福島第1原発-海水注入と中断は東電の判断 官邸は知らず
毎日新聞 5月21日(土)21時43分配信
水素爆発で建屋上部が骨組みだけになった東京電力福島第1原子力発電所の1号機(左端)=福島県で2011年3月12日午後3時55分、本社機から貝塚太一撮影
炉心溶融を起こした東京電力福島第1原発1号機で3月12日夜、炉心を冷やすために始めた海水注入が55分間中断した問題で、政府・東京電力統合対策室は21日の会見で経緯を説明した。12日午後7時過ぎに注入を始めたのも中断したのも東電の判断によるもので、その事実を官邸は最近まで知らなかったとした。中断が冷却作業に与えた影響について経済産業省原子力安全・保安院は「現時点では分からない」としている。
【あの日 福島で起きたこと】写真特集・津波に襲われる福島第1原発
説明によると、海水注入は12日午後7時4分、発電所長らの判断で始まった。前後して、官邸に詰めていた東電の武黒一郎フェローが現地と連絡を取り、官邸で核燃料の再臨界の可能性について検討中であることを伝えた。現地は「政府の判断を待つ」として同7時25分に注水を中断。その30分後、菅直人首相の注水指示が出たのを受け、同8時20分に注水が再開された。
官邸では午後6時ごろから海水注入の検討を始め、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長の指摘に基づき、再臨界を防ぐホウ酸を投入するなど防止策を協議していた。その間に東電が海水注入を始めたことは官邸には伝わっていなかったという。ホウ酸投入は同8時45分に始まった。
細野豪志首相補佐官は会見で「当時は現地と連絡を取るのにも時間がかかった。政府内では、午後7時半ごろまでは注水は困難という前提で議論しており、7時4分に海水注入が行われていたことも後日知った」と強調した。
政府の原子力災害対策本部の資料で、午後6時に首相が「真水での処理をあきらめ海水を使え」と指示したとの記述があることについても「正確ではない」と否定。「午後6時の時点では『(海江田万里)経済産業相が東電に海水注入の準備を進めるよう指示した』というのが事実だ」と釈明した。
1号機では12日早朝には核燃料の大半が溶融、同日午後3時36分には水素爆発が発生した。原子炉を海水で冷やすという決断がどのような経緯でなされ、事態の悪化にどう影響したかは、今後の検証の焦点になるとみられる。【平野光芳、酒造唯、比嘉洋】
検証・大震災:原発事故2日間(4)「冷やせない」…東電、準備不足が呼んだ誤算(1/4ページ)
◇11日19:03−−厳戒
◇「国の指示待てぬ」福島県が避難要請
原発の異常事態は時間とともに深刻さを増していった。「安全神話」を揺るがし、「原発震災」に直面した。「現行法ギリギリであらゆる措置を取るという考えだ」。周辺は菅直人首相の決意をこう表現した。
午後7時3分、首相は冷却系が機能不全に陥る危険性を指摘し、初めて原子力緊急事態宣言を発令。午後9時23分、半径3キロ圏内の住民に避難指示を出した。12日早朝には10キロ、同夕には20キロと範囲が拡大していく。
発令に当たっては秘書官らが六法全書と首っ引きで首相権限を調べた。原災法に基づき15条事態になれば自動的に同宣言が出され、政治判断をはさむ余地はないが、ある閣僚は「かなり強力な権限が首相に与えられる」と語った。
福島県も原発事故の恐怖に振り回された。原発崩壊の真偽が定かでない情報が飛び交った。
国の指示に先立つ午後8時45分の県災害対策本部会議で原子力災害担当の荒竹宏之生活環境部次長が「2号機で炉心溶融の可能性」と報告。5分後に県は、半径2キロの住民に権限も前例もない避難要請を出した。佐藤雄平知事は「未曽有の被害。人命を最優先に、速やかに避難をお願いしたい」と災対本部前でテレビカメラに呼びかけた。
3キロ以内の住民は約5800人だが、10キロでは約5万人、20キロでは約8万人に膨れ上がる。国に先立つ避難要請を荒竹次長は「細かい点を確認している余裕などなく、国の指示を待てる状況ではなかった」と振り返る。
原子炉の暴走を事前に食い止める「冷却作戦」が官邸、経済産業省原子力安全・保安院、東電のもとで進められた。
対処方針は冷却システムを再起動させるための電源車をバッテリーが切れる7〜8時間以内に福島第1原発に集めることだった。電源喪失が午後3時42分。タイムリミットは午後11時前後から12日午前0時前後。時間との闘いだった。ひとまず東電が集めた6台が福島に向かったが、陸路の輸送は困難を極めた。
「福島まで緊急車両は通れるのか」。首相は大畠章宏国土交通相に電話で交通状況を確認。執務室にはホワイトボードが運び込まれ、電源車の現在地が刻々と書き込まれていった。しかし、思わぬ誤算が生じた。
電源を失った1〜3号機のうち、最初に危機に陥ったのは2号機だった。当初、原子炉の余熱でタービンを回し、冷却に必要な水を炉内に引き込む「隔離時冷却系」が作動し、炉内の水位を保っていた。
だが、隔離時冷却系が午後8時半に突然止まり、炉心の冷却ができなくなった。このままだと核燃料が出す熱で炉内の水が蒸発し、燃料棒が水面から露出する恐れがあった。水面から出た燃料棒はさらに高温になり、いずれは破損し、核燃料が溶け出してしまう危険があった。
◇電源車着いたが「低圧ケーブルがない」
待望の電源車が福島第1原発から約5キロ離れた、国の対応拠点「福島オフサイトセンター」(福島県大熊町)に到着したのは午後9時過ぎ。東北電力から提供された電源車2台だったが、ここでトラブルが発生する。
電源車が高電圧だったため接続に必要な低圧ケーブルが用意されていなかったのだ。つなぎ口も津波で浸水していた。午後9時20分には福島オフサイトセンターの非常用電源が切れた。東電社員を含む職員ら15人は隣接する福島県原子力センターに移動したが、ファクス1台。パソコンはなかった。
電源車の到着から2時間以上たった午後11時20分からの保安院の記者会見で山田知穂原子力発電安全審査課長は「電源車は接続されず、電源は回復していない」と作業難航を認めざるを得なかった。
1、3号機はともにタイムリミットの12日午前0時を過ぎてもバッテリーは働いていた。問題の低圧ケーブルはようやく調達できたが、「関東から空輸準備中」(原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官)で作業員も足りないというありさまだった。
2号機の水位は安定し、このころはほかにも低電圧を含む2台の電源車が到着していたが、山田課長は午前0時50分過ぎの記者会見で心もとなげに語った。「今来ている電源車では、多分足りないと思う」
政府高官は「東電のオペレーションは準備不足で、行き当たりばったりのようだった」と振り返る。
原子力緊急事態宣言を受けて午後7時半、北沢俊美防衛相が自衛隊始まって以来初の原子力災害派遣命令を発令。核・生物・化学(NBC)兵器に対処する「中央特殊武器防護隊」(中特防)が出動した。
だが、もともとの防護隊の任務はNBCで攻撃された時に放射性物質を検知し、安全な場所に部隊を誘導すること。原子炉の知識はなく、防護服や化学防護車などの装備も「防護服は外部被ばくには十分対応できない。化学防護車に中性子を遮る防護板がついたのもJCO事故以降」(陸自幹部)というのが実情だった。
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「22時50分 炉心露出」「23時50分 燃料被覆管破損」「24時50分 燃料溶融」−−
11日午後10時、原子力安全・保安院は、原子炉内の水位が下がった2号機で何が起こるのかを予測、官邸に報告した。12日午前3時20分には格納容器内の圧力上昇が予測されていたため、弁を操作して高温の水蒸気を外部に逃がす「ベント」作業が必要と分析した。格納容器の破損を防ぐためとはいえ、意図的に放射性物質を外界に放出する「最後の手段」とも言える荒業だ。
事態は、冷却機能が働いていたはずの1号機でも深刻化していた。徐々に水位が下がり、燃料棒が最大90センチ露出し、原子炉格納容器の圧力が上昇。損傷の危険性が高まった。
断続的に保安院で開かれた会見で「この事態を想定していなかったのか」と質問が記者から相次ぐ。保安院は「あらかじめ準備されているということではない」と苦しい弁明に終始した。
◇「何なら、総理指示を出すぞ」
一方、首相官邸では11日午後11時過ぎ、地下の危機管理センターで首相や海江田万里経産相、班目(まだらめ)春樹・原子力安全委員長、原子力安全・保安院幹部を交えて対応を協議。「早くベントをやるべきだ」との意見で一致し、東電側と連絡を取った。
12日午前1時半には海江田経産相を通じて東電にベントで圧力を下げるよう指示。しかし、東電側からは、できるかどうか明確な返答はなく、いらだつ官邸が「何なら、総理指示を出すぞ」と威圧する場面もあった。
それでも保安院の中村審議官は午前2時20分過ぎの会見で「最終的に開ける(ベントする)と判断したわけではない。過去にベントの経験はない。一義的には事業者判断だ」と説明した。
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午前3時、東電は官邸に「2号機は冷却装置が働いている」と報告した。それでも、官邸にいた班目委員長は「これからベントですね」と語った。
◇政府と東電 微妙な食い違い
ほどなく、海江田経産相と小森明生・東電常務が会見した。海江田経産相は「ベントを開いて圧力を下げる措置を取る旨、東電から報告を受けた」と説明し、すぐに小森常務にバトンを渡した。これに対し、小森常務は「国、保安院の判断を仰ぎ、(ベント実施の)判断で進めるべしというような国の意見もありまして」と述べる。「東電の判断」という海江田経産相の説明と微妙な違いを見せた。
方法は、水蒸気を直接大気に出す「ドライベント」ではなく、いったん水にさらして放射性物質を100分の1程度に減らす「ウエットベント」だった。いずれにしても前例がない。
会見で、小森常務は当初、2号機でベントを実施すると表明したが、代わった東電の担当者は「今入った情報では、2号機は冷却機能が働いていると確認できた。1号機になるかもしれない」と説明した。記者を混乱させた。
原発敷地内では放射線量が上昇し、保安院は午前6時、1号機の中央制御室で通常の約1000倍の放射線量が計測されたと発表した。原発正門付近でも通常の約8倍を記録した。今回の東日本大震災で初めて放射性物質の漏えいが確認された。
政府は原子炉等規制法に基づき、東電にベントをするよう命令した。午前6時50分だった。
午前6時過ぎ、首相は班目委員長らと官邸ヘリポートから陸上自衛隊の要人輸送ヘリ・スーパーピューマで福島第1原発へ飛び立った。首相は線量計を携帯していた。午前7時過ぎ、同原発に着いた首相は大地震に耐えられる免震重要棟に移った。
「そんな悠長な話か。早くベントをやれ」
首相の怒声が響く。未明に指示したベントはまだ実施されていなかったからだ。現場を熟知する吉田昌郎福島第1原発所長は実施を約束。この後、官邸は東電本店よりも吉田所長に信頼を置くようになる。
官邸からの再三の要請を受けて、東電では福島第1原発で現地の作業員らが冷却機能を失った原子炉の圧力を下げるため、炉内から水蒸気を外部に出すベントの準備に取りかかっていた。当初は2号機のベントが想定されたが、途中から1号機の原子炉格納容器の圧力が上昇していることが分かり、こちらを優先することになった。
東電の原発事故時のマニュアルには手順も書かれているが、放射性物質を含んだ水蒸気を原発の外部に出すという初の事態に「福島の現場も東京の東電本店も緊張した」(保安院幹部)。しかも、停電で原子炉から水蒸気を放出するための圧力弁は自動では作動せず、放射線量が高い格納容器周辺に作業員が行き、手で弁を開く必要があった。停電で真っ暗な中での準備作業は難航。首相の視察後もなお現場は「ベントを開始できるまで、どれだけ時間がかかるか分からない」という状況だった。
1号機の格納容器内の圧力は午前4時半には、通常の2倍超の8・4気圧に達し、核燃料が溶ける「炉心溶融」がいつ起きてもおかしくなかったが、ようやくベントが開始できたのは午前10時17分だった。
「ドーン」。震災対応をめぐる与野党党首会談が行われていた午後3時36分、福島第1原発1号機の原子炉建屋がごう音を立て、白い煙を噴き上げた。圧力が上昇した格納容器から漏れた水素が建屋の上部にたまり、空気と反応して水素爆発を起こしたのだ。テレビ画面では福島中央テレビが撮影した煙を上げる1号機の様子が生中継され、アナウンサーが興奮した声で爆発のニュースを伝えていた。
与野党党首会談を終えた菅首相は執務室に戻ったが、東電からも保安院からも情報は入っておらず、問い合わせにも東電は「建屋から煙が出ている」というだけだった。首相は「なぜ官邸にすぐに報告できない。こんなことをしていたら東電はつぶれる」と、東電から派遣された幹部を怒鳴りつけた。幹部は「タービン建屋に保管しているガスボンベが爆発した可能性もあります」と説明したが、テレビ映像を見た首相には、小さなトラブルには思えなかった。約1時間後、東電からの連絡で水素爆発らしいと分かり、厚いコンクリートで覆われた建屋の上部が吹き飛ばされたことが判明する。
「重要な情報がすぐに上がるように、東電の原発担当者を官邸に常駐させろ」。しびれを切らした首相は執務室横の特別応接室に「私設本部」を設け、東電幹部と保安院を所管する海江田経産相をそこに詰めさせた。ある政府高官は「首相は海江田さんや東電幹部を質問攻めにする一方、実務にたけている官僚とは話すらしなかった。『政治主導』にとらわれ過ぎているのではないか」と危惧した。
一方、東電本店では、詰め掛けた取材陣に広報担当者が「建物の被害はテレビでしか確認できていない。作業員を今、現場に向かわせているところ」と繰り返すばかりだった。午後6時ごろから会見した保安院も爆発の状況や被害など正確な情報を把握していなかった。
首相周辺は「東電も保安院も原子力安全委も(深刻な事態から目を背けようと)ぐるになっていたとしか思えない」と批判。一方、保安院を傘下に持つ経産省幹部は「事態が最悪の方向に動いたため、官邸は東電や保安院をスケープゴートに仕立てようとしている」と漏らした。
「これから一体、何が起こるんだ」。防衛省では、1号機の爆発をテレビで知った北沢防衛相が経産省や保安院から情報が入らないことにいら立った。「事実が分からないと、どういう対応ができるか戦略が立てられない。自衛隊として何ができるんだ」−−。語気を強める防衛相に、同省の緊張感は一気に高まった。
自衛隊は、陸自の隊員4人が1号機の爆発直前まで消防ポンプ車2台で原子炉を冷やすため、水を注入していた。爆発当時は、原発から約5キロ離れた地点に下がっており、危うく負傷や被ばくを免れた。ある防衛省幹部は「非常用電源まで落ちているとは知らなかった。ベントももっと早くから行われていたと思っていた」と、東電や保安院への不信感をにじませた。
東電は原発の「安全神話」が崩れていく現実を直視できず、初動の対応を誤った。官邸は政治主導にこだわりながら東電や保安院との緊密な連携を図れず、結束して危機に立ち向かえなかった。それは「想定外」という言葉でけっして片づけられるものではない。
オバマ米大統領が大震災発生の一報をデーリー大統領首席補佐官から受けたのはホワイトハウスで就寝中の11日午前4時(日本時間同日午後6時)。午前9時半から電話で参加したナポリターノ国土安全保障長官らと緊急協議し、午前10時15分(同12日午前0時15分)にいったん中断して菅首相と電話協議に臨んだ。
オバマ氏の関心は原発の現況にあった。首相は「今のところ放射能漏れの証拠をつかんでいない」と答えたが、オバマ氏は原発の安全システムが破損した最悪の事態を想定、チュー・エネルギー長官に対応を指示した。
米政府が不満を募らせたのは情報不足だった。クリントン国務長官が11日、在日米軍機が「原発の一つに冷却材を運んだ」と述べ、その後事実誤認と判明したが、米国では情報不足が招いた「誤情報」と受け止められた。12日未明に日本に向かった米国際開発局(USAID)派遣の捜索・救助チーム75人に放射能対策の装備はなかった。
◇一斉に「日本側の情報隠し」報道
原発政策を担う米原子力規制委員会(NRC)の対応は素早かった。11日中に担当技術者2人を東京に派遣。首相官邸に常駐を希望し、派遣人数を16日までに11人に増員したが、少ない情報は「日本不信」をあおった。
NRCのヤツコ委員長は16日の下院公聴会で「使用済み燃料プールには水がないと信じている」と証言、「水はある」とする日本側と対立。ルース駐日米大使は「福島第1原発から50マイル(約80キロ)範囲の米国人退避」を勧告した。米国防総省も在日米軍に対し、50マイル以内に許可なしに立ち入ることを禁じた。米メディアがいっせいに「日本側の情報隠し」報道にかじを切ったのはこの前後だった。日本の避難指示に疑問が出され、米政府高官は「状況評価は『深刻』から『非常に深刻』になった」と振り返る。
米国の原発建設は79年のスリーマイル島原発事故で中止となったが、オバマ政権が昨秋、原発推進を再開したばかりだった。しかも米国には福島第1原発1〜5号機と同型炉が23基稼働しており、人ごとではなかった。
◇日本の特異性を強調
原発推進派のロビイストたちは、米国の原発政策への影響を食い止めようと議員らに「日本の特異性」を説明。ワシントンのロビー団体「核エネルギー研究所」のフリント上級副所長は、ホームページにリンクされたビデオで「米国の原発は物理的にも、どう運営されているかについても、日本の原発とは全く違う」と強調した。
原子力安全・保安院が原子力政策を進める経産省の傘下にあることにも「産業界と親密な関係にある原発行政」(ウォールストリート・ジャーナル)など「米国と異なる監視体制」を指摘、日本特有の事故との印象を与えようとしている。
東電が福島第一原子力発電所1号機の事故は、津波到達後5時間半で、原子炉内の核燃料が冷却水からすべて露出し、燃料溶融に至ったとの暫定的な解析結果を発表。
12日朝に炉心が完全に溶融(メルトダウン)し、現場は火急対応に忙殺されている時に、菅首相が現場視察したことになり、軽率のそしりは免れないですね。
朝日新聞の13日のトップ記事『高放射線情報 公表せず 3号機、水素爆発前に把握』で、
”「朝日新聞が入手した内部資料は、地震が発生した3月11日から4月30日までの期間に、福島第一原発の事故をめぐる動きが時系列で並べられている計約100ページの一覧表。
原発や東電本社など様々な情報を集約したとみられ、原発内の放射線量や原子炉内の圧力、水位についてのデータや、保安や復旧を担当する各班の動き、敷地内の放射線量などが、分単位で記載されている。」”
と、東電の内部資料を入手したと報道。
同記事では、3号機の原子炉建屋について、その前日から高い放射線量のデータを把握していたにもかかわらず、公表していなかったことを強調していますが、当方が関心を持ったのは、11日の地震後の津波に襲われた後、復旧作業のために試行錯誤を繰り返す様子を時々刻々の動きを記述した東電の内部資料の記事『「注水が最優先」「ベントせよ」 東電資料記述』に関心がありました。
国会で批判された菅首相の現地視察とベントについては、記事『「注水が最優先」「ベントせよ」 東電資料記述』によれば、
”「国会では野党がベントの実施の遅れが事故悪化を招いたと批判したが、内部資料には高い放射線量下でその作業がはかどらなかった様子が見て取れる。」”
と書かれております。
同記事の時系列データを転載すると
12日 0:12 1F−1【号機】 D/W(ドライウエル)600KPa
(設計圧400KPa)ベントが必要となる可能性ある
1:30 1F−1【号機】 D/Wベントのタイミング(R/B
(原子炉建屋)【放射】線量が高い、電源が無い状態)
3:00に経済大臣が発表予定(小森常務にも同席し
てもらう)
10:00総理大臣が1Fへ向かう予定
2:35 1F−2【号機】 D/Wベント3時頃予定。
1F−1は別途時間がかかるので後回しとする。
1F−1【号機】の二重扉内側のサーベイを行う
PCV(原子炉建屋)は1F−1【号機】のみ実施の方向
(1F−2は水位確保出来そうなため)
4:00 1F敷地境界500μSv
1F−1中操盤(出た階段の手前)で0.15mSv
と上昇している。
グランド滞在者への避難指示あり
5:00 1F−1【号機】 二重扉内側0.83mSv
6:14 本店。菅首相1Fに向う意向→
装備を用意すること
6:16 PCVベント時にヘリに連絡し、上空を
飛ばないようにすること
6:40 1F ベント電源復旧状況。【放射】線量により、引き
継ぎながらの作業になり5時間はかかる見込み
6:41 1号機に近い場所で【放射】線量上昇 6:25 5
→6:30 10
6:59 海江田大臣からの指示6:50 「手動でベントせよ」
(電源復旧よりベントを優先すること)
7:23 電源が不安定のため、1〜4号機の一斉ベントを
検討する→本店了解
8:52 電源車操作者(非従事者)の被爆線量1mSv超→
交代
10:17 1号機でベント開始(保安院などが発表)
10:37 1F吉田所長「AO弁(空気操作弁)を操作
(10:17〜3回)した後、正門およびMP(放射
線量計測地点)の【放射】線量が10:40に
上昇していることから放出している可能性が高い
10:57 1F−1【号機】のベント操作で作業員100ミリ
超え
11:15 1F吉田所長「1Fの【放射】線量は
10:40に162μSv/hだったものが、
10:50に7μSv/hとなっていることから
ベントが効いていない可能性あり)
11:31 1F−1【号機】の水位ー1mくらいに下降中
11:55 【放射】線量が高くて近づけない。
AO弁(空気操作弁)を開けに行く。
別ラインを分担して開ける。
D/W(ドライウエル:格納容器上部)スプレーで
下げられないか。を検討
12:39 武藤本部長「海風が吹いている
こと、水位が低下していることから注水を優先して
からベントすることを国に相談する」
13:03 武藤本部長「水源の話、ベントの話、国の山本課長
には理解を頂いた(本省にも伝える:小森副本部長)
13:45 1F−1【号機】、
水素が気になる。
CAMS(格納容器内の線量計)をみたい。
電源を復旧中。
14:49 午前中と午後でAO弁(空気操作弁)のリミット
スイッチの位置は変わらず(ベントできていない
可能性もある)
15:03 国が「ベントが成功した」とのプレスをする
(成功と判断した時間は14:30)
15:20 原子力安全保安院の会見で「ベントが成功して格納
容器内の圧力が放出された合理的な理由があると
判断した」
15:22 首相官邸で菅総理が「PCV(原子炉格納容器)の
減圧に成功した、若干の放射性物質の放出は
あるが、危機的状況を脱出しつつある」
15:36 1号機で爆発音(保安院などが発表)
朝日新聞が入手したという東電の内部資料は、本店の対策本部で作成してた資料と思われ、切迫感がないが、現場が火急な事柄に忙殺されている様子はわかります。
朝日新聞の記事を一読すると原発事故に関する今までの報道との相違がありますね。
細野豪志首相補佐官が4月25日の統合本部の会見で、水素爆発が起きることはだれも想定していなかったと報道されたが、東電の内部資料では、12日の13:45に、”「1号機:水素が気になる」”という語句があり、東電の関係者に、水素爆発を懸念した人間がいたということです。
本ブログ「原発事故:細野首相補佐官がベント開口作業の遅れは東電の抵抗と?」で、細野首相補佐官がベント開口を東電が抵抗したと批判したことに異論を書きましたが、現場は、「海風が吹いている」ことで、内陸に放射性物質の汚染の危険性を懸念しており、電源復旧(多分で電源車よる)させ注水に傾注しており、電源復旧&注水も一理ありますね。
内部資料からは、ベント開口操作以前に、放射性物質の漏洩している現象が記述され、ベントが最優先作業だったか疑問ですね。
また、菅首相が事故現場の視察の時刻は、溶融(メルトダウン)中であり、最悪のタイミングであったということです。
事故現場は、現場上空に、”「PCV(原子炉格納容器)ベント時にヘリに連絡し、上空を飛ばないようにすること」”と配慮する記載があり、現場作業に余計な障害になったこと事実です。
当方は、事故の初期活動について、本ブログ「原発事故:ブログ「ささやき」様の推察が真相でしょう・・・政治ショー」で、ブログ「ささやき」様のエントリー『3月12日菅直人武勇伝のうそ』、『空白の6時間と悪魔のシナリオ』に接して、「ささやき」様の推察が真相にちかいと思っていると書きましたが、東電の内部資料と一見すれば、「ささやき」様の推察は遠からずという印象ですね。
朝日新聞の東電の内部資料による記事でも、外部電源の確保の語句が一切ないことは、やはり、問題と思いますね。
現場は、事故沈静化に火急的な作業に忙殺されており、外部電源の確保は対策本部の守備範囲と思え、対策本部が外部電源の確保、安全管理、モニターの整備,作業員の増強を事故当初から手掛けていないことは、当方に言わせれば、対策本部は低脳としか思えないです。
マアー、真相は陣容がどうなるかわからない検証委員会の検証待ちですが、朝日新聞の報じる東電の内部資料では、菅首相の現場視察は現場作業の障害になったことは事実であり、対策本部の専門性は大いなる疑問ですね。
高い放射線量、東電公表せず 3号機、水素爆発前に把握2011年5月13日5時31分
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3号機原子炉建屋1階西側。爆発でがれきが散乱。大物搬入口(右側)が開き、光が差している=10日、福島第一原発で、東京電力提供
福島第一原発の事故をめぐり、東京電力が、3月14日に水素爆発を起こした3号機の原子炉建屋について、その前日から高い放射線量のデータを把握していたにもかかわらず、公表していなかったことが分かった。東電の内部資料で判明した。原子力の専門家らは「作業員や国民の情報共有のため、具体的な数値をいち早く明らかにすべきだった」と指摘している。
この爆発で東電社員7人が負傷。今後の事故検証で、データ共有しなかったことが避難の遅れにつながらなかったかなど、東電の対応ミスの有無が焦点の一つになる見通しだ。この内部資料もそれを判断する材料になるとみられる。
朝日新聞が入手した内部資料は、地震が発生した3月11日から4月30日までの期間に、福島第一原発の事故をめぐる動きが時系列で並べられている計約100ページの一覧表。原発や東電本社など様々な情報を集約したとみられ、原発内の放射線量や原子炉内の圧力、水位についてのデータや、保安や復旧を担当する各班の動き、敷地内の放射線量などが、分単位で記載されている。
福島第一原発では運転中だった1〜3号機が3月11日の地震で自動停止。その後に津波に襲われた影響で全電源が喪失し、原子炉が冷却できなくなった。12日に1号機が水素爆発した後、3号機では13日午後から炉内に海水を注入して冷却が試みられたが、14日午前11時ごろに水素爆発を起こし、原子炉建屋の上部が吹き飛んだ。燃料棒が一時露出するなど炉心が損傷し、爆発しやすい水素が発生していたとみられる。
東電の内部資料によると、3号機については、13日から、原子炉建屋内の高い放射線量のデータや水素が増えている可能性について記述があった。「二重扉内側300mSv/h(ミリシーベルト毎時)」(13日午後1時17分)、「水素がたまっている可能性が高い(1号機と同様)」(13日午後2時7分)、「二重扉北側300mSv/h以上(中は白いもやもや状態)、南側100mSv/h」(13日午後2時31分)などだ。毎時300ミリシーベルトは、福島第一原発の作業員に限って認められる年間の上限線量250ミリシーベルトと比べても非常に高い数値だが、東電はこれらのデータについて未公表だ。
枝野幸男官房長官は3月13日午後の記者会見で、3号機で水素爆発が起こる可能性について言及したが、結局、その爆発で7人が負傷し、うち6人に放射性物質の付着が確認された。
宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子炉工学)は、「非常事態だからこそ現場は対応に追われていたはずで、東電本社が判断して、具体的なデータを作業員や国民に公表すべきだろう。公表しなかった本社の判断は、今後検証されなければいけない」と指摘。技術評論家の桜井淳さんも「日本の原発事故への対応は、世界的に注目を集めている。このデータにとどまらず、携わった人の証言、東電本社、国などの指揮命令、判断とその根拠、情報が正確に現場へ伝わっていたのかなど、今後も解明する必要がある」と話している。
東電広報部は「放射線量が高いことについては、これまでも事実として公表させてもらっているが、その具体的なデータなどは公表していない。整理し、しっかりとまとめた上で公表したい」としている。(藤森かもめ、小堀龍之、野口陽)
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May 17, 201111:09 非常用復水器とは?手動で停止が燃料溶融早めた可能性カテゴリ福島第一原子力発電所0拍手 地震後稼働していた「非常用復水器」が手動で止められた可能性があるとのニュース。
記事には「非常用復水器が働いていれば、それだけ炉心溶融を遅らせられ、ベントや外部からの注水などの対策がより効果を発揮できたはずだ。-毎日新聞-」とある。
1号機、冷却装置を手動停止 炉圧急低下し-毎日新聞-
これは、作業員の判断から非常用炉心冷却装置を手動で停止し大事故になった「スリーマイル島原子力発電所事故」を想起させる。
そもそも「非常用復水器」とは。
復水器とは炉心で発生した発電用水蒸気を水(海水)の中の配管に通すことで冷却しポンプを使って再び圧力容器に戻す機器。
「非常用復水器」は、別名アイソレーション・コンデンサ(アイソレーションisolation=分離、隔離:コンデンサcondenser=復水器、冷却器)といい、通常の復水器のようにポンプを使うことはなく、電源は必要ない。
機構は単純で、冷却用に使う水を炉心より上の部分に設置。炉心の水蒸気を水の中を通した配管を使うことで冷却し、炉心に重力でもどす。
弁さえ開けば水蒸気は勝手に水になって炉心に戻ってくる。
聞くと今回のような電源喪失の非常時に有効なシステムのようだが、福島では1号機にしか設置されていない。
1号機はGEの設計に基づきこのシステムを採用したが、日本ではこの非常用復水器は不要と考えられていたようで2号機以降は採用されなかった。
1号機に比べて2号機以降は原子炉も大きくなり、非常用復水器はあまり役にたたないと判断したらしい。
しかし、近年原子炉開発で提携しているGEと日立は、最新の原子炉設計で非常用復水器を採用している。
ただ、日本では既存の原子炉に新たにこのシステムを追加することには消極的だったようで、地震数ヶ月前に採用を協議したがほとんどの人がそこまでする必要はないと考えていたようだとウォールストリートジャーナルにすっぱ抜かれていた。
日本の規制当局、原子炉のぜい弱性を軽視
ただ、1号機のようにせっかくのシステムも作業員の判断で停止していては役に立たない。
緊急時に決められていた手順や判断が妥当だったのか、しっかり検証し開示してほしい。
福島1号機と同じ設計のアメリカオイスタークリーク原子力発電所
原子炉上部横にある2本のタンクが非常用復水器
日本の規制当局、原子炉のぜい弱性を軽視
2011年 3月 23日 21:35 JST
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文字サイズ: . 【東京】日本の規制当局は数カ月前から、「非常用復水器」と呼ばれる原子炉冷却設備の採用について協議していた。それは福島第1原子力発電所を襲った事故を軽減または阻止し得た技術であったが、規制当局は既存の原子炉のぜい弱性を無視することを選択し、将来的な問題の是正を重視した。政府と関係企業の文書で明らかになった。
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Associated Press
電気が点灯したあとに撮影された福島第1原発第3号機の中央制御室の様子(22日)
日本の危機の中心となっている福島第1原発では、原子炉の非常用冷却設備の稼働を主に電力システムに頼っている。だが、3月11日に発生した地震と津波ではそれがきちんと作動しなかった。
主電源が停止し、さらに予備の発電機も故障したため、燃料棒への冷却水の供給がストップした。地震直後の数日に相次いで発生した水素爆発や火事、放射性物質の大量放出は燃料棒の過熱が原因だ。
これに対して、非常用復水器は電力を必要としない。
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Reuters
第4号機での放水活動の様子(22日)
元東芝の原子炉設計者で、東京大学公共政策大学院特任教授の諸葛宗男氏は、既存の原子炉を改修し、追加的な安全設備を設置する必要性については、ほとんど協議されていなかったとし、ほとんどの人がそこまでする必要はないと考えていたと述べた。
日本の当局は、古い原発の改修を検討しなかった理由についてコメントを控えたが、東京電力はその件については調査するとした。専門家は、全面的な停電のリスクはごくわずかであるとみており、それに対して改修の費用や手間がかかり過ぎると判断したためではないかとしている。たとえ改修が数カ月前に指示されていたとしても、地震発生までには間に合わなかったはずだ。
東電は22日、福島第1原発の復旧に向けて一歩前進した。原子炉6基すべてで外部電源ケーブルを接続するとともに、一連の爆発事故による被害が見た目に最も大きかった3号機で中央制御室の照明を点灯した。だが、冷却装置への通電作業がまだ残されている。使用済み燃料棒の過熱防止に向けた保管プールへの放水作業も再開された。
原子力安全委員会(NSC)は昨年10月、長期的課題の設定について協議するため会合を開いた。会議の議事録に添付された文書によると、原発用機器の安全性技術を開発する財団法人原子力発電技術機構が作成した、「地震と津波にかかわる残存危険性」を軽減する代替技術について説明したパワーポイントの資料が提示された。
資料は将来的な原子炉運用に向けた非常用装置の改良に重点を置いたもので、規制当局に対して、より安全性の高い次世代発電所の建設を提言することを狙いとしていた。
同機構によると、将来的に原子炉により多様な冷却システムを設置する必要性について、NSCは基本的な協議を開始したばかりだったという。
この件に関し、NSCの広報担当者はコメントを控えるとした。
日立製作所も1月に電力に依存しない非常用冷却装置の利点について触れている。同社技術論文誌の1月号には、国や電気事業者の協力を得ながら「長期的電源喪失対策を可能にする」次世代原子炉の開発を推進していると記述されている。
日立の広報担当者は22日、現在使用中の原子炉の安全性に問題があるとは考えていないとしたが、さらに優れた原子炉の開発に取り組んでいると述べた。
日立は論文で具体的に「非常用復水器」について言及している。非常用復水器は、ローテクだが堅実な既存技術で、その有用性が近年新たに見直されている。
非常用復水器では、炉心が過熱した場合、たまった蒸気は復水器に送られ、冷却水で冷やされたあと再び戻される仕組みになっており、電力を必要としない。炉心の圧力を開放する機能を有しているが、復水プールが過熱してしまうため、2、3日しか使用できない。
諸葛氏は、復水器は、地震など何らかの理由で外部電源の供給が止まった場合に、1つの緊急手段となるものだと述べた。
福島第1原発の6基の原子炉のうち、非常用復水器が設置されていたのは1971年に最初に建設された1号機のみだ。東電によると、同復水器は地震後は機能したものの、やがて停止した。東電の広報担当者は、停止した理由については情報がないと述べた。
一部の専門家は、1号機は近代的な原子炉よりもやや小さめで、復水器では対処しきれないほどの蒸気が発生したためではないかとしている。この問題は、復水器を設置した新型原子炉に設計変更を加えることで対処できる可能性がある。
エンジニアによると、この分野の技術に対する考え方は長年を経て大きく変化している。1号機などの初期に建設された原子炉には非常用復水器が使用されている。復水器は「静的」システムと呼ばれ、外部電源を必要としない、自己完結型の装置だ。
一方、後期に建設された原子炉には電力ポンプなどに依存した「動的」システムが採用されている。それらシステムには往々にして過熱や故障対策が何重にも施されており、エンジニアの間ではより安全性が高いとされていた。
だが近年、静的システムが再び注目を集めている。原子炉開発で提携しているゼネラル・エレクトリック(GE)と日立は、最新の原子炉設計で非常用復水器を採用している。GEが米原子力規制委員会(NRC)からの認証取得を目指している、高経済性・単純化沸騰水型原子炉(ESBWR)にも使用されている。
数カ月前から日本で協議されている新型原子炉の設計プランでは、動的と静的の両システムを兼ね備えたものではなく、むしろ静的システムだけを使用した非常用冷却装置が検討されている。日立の論文では、復水器は動的な非常用装置の代替となり得るとし、動的システムをなくすことで、経済性と保守性も向上するとしている。
地震発生翌日の12日、危機は一段と悪化をみせる。1号機の格納容器内の圧力が上昇したため、弁の開放によって放射性物質を含む蒸気を外部に放出せざるを得なくなった。その日の午後、1号機で爆発事故が発生する。
他の5基の原子炉は、1970年代に1号機よりもあとに建設されたもので、電気発電機を使用した非常用冷却システムが採用されている。だが、それらはすべて津波で機能停止に陥った。
6基はすべてGEが設計し、GE、日立、東芝が建設した。
GEの広報担当者は、2号機〜6号機をはじめ、その他の原子炉に動的な非常用冷却システムを採用したのは、初期の復水器よりも安全で、より大型の原子炉には適していると考えたためだと述べた。また、現在の復水器を使用した新型原子炉の一部は、設計が改良された復水器が使用されているとした。
この件に関し、東芝はコメント控えた。
福島第1原発の事故対応を支援している内閣府原子力委員会の尾本彰氏は18日、地震によって緊急冷却機構の多様性の欠如があらわになったと述べた。尾本氏によると、各原子炉には発電機が2〜3台設置されているが、津波によってどれも使用不能になった。
尾本氏は、福島第1原発の原子炉の問題点は、燃料容器を冷却する緊急手段が、電気発電機か復水器(1号機の場合)のいずれか1つしかなかったことだ、と述べた。
記者: Norihiko Shirouzu and Peter Landers
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政府、班目氏発言を訂正=「再臨界、可能性ゼロではない」—海水注入中断
時事通信 5月22日(日)20時56分配信
政府・東京電力統合対策室は22日夜、福島第1原発1号機への海水注入が約1時間中断した問題について、班目春樹原子力安全委員長が「再臨界の危険性がある」と発言したことが端緒になったとする21日の発表を訂正した。班目氏の申し入れを受けたもので、同氏の発言を「可能性はゼロではない」と変更した。
原発事故の対応をめぐっては、政府と東電の連携のまずさが指摘されている。さらに、初動対応に密接に関連する海水注入をめぐり、政府内の混乱が新たに露呈した形だ。
班目氏は22日午後、首相官邸で福山哲郎官房副長官、細野豪志首相補佐官と会い、「再臨界」発言を否定した上で訂正を要求。福山氏らは基本的に了承した。この後、細野氏は首相公邸で菅直人首相と今後の対応などを協議した。
統合対策室の21日の記者会見では、班目氏が震災翌日の3月12日夜、海水注入により「再臨界の可能性がある」と発言したと説明。これについて対策室は22日夜、「菅直人首相から再臨界の可能性について問われた班目氏が可能性はゼロではないとの趣旨の回答をした」と文書で訂正した。
太陽光コスト6分の1に=仏サミットで表明へ—菅首相
時事通信 5月22日(日)21時6分配信
菅直人首相は22日、仏ドービル・サミット(主要国首脳会議)で、太陽光発電の普及など再生可能なエネルギーの拡大に向けて技術開発を進める「サンライズ計画」を表明する意向を固めた。東京電力福島第1原発事故を受け、今後の日本のエネルギー政策の道筋を示すのが狙い。具体的には太陽光発電のコストを2020年に現在の3分の1に、30年に6分の1に低減させることを打ち出す方向だ。
首相は先の記者会見で、全電源に占める原子力発電の比率を30年までに50%程度としたエネルギー基本計画を白紙で見直す考えを示している。サミットでは、原子力の安全性を高めた上で、引き続き基幹エネルギーとしていく方針を表明する一方、(1)太陽光、風力、バイオマスなど再生可能な自然エネルギー(2)省エネルギー社会の実現—を新たな柱に加える意向を示す。
原発事故IAEA報告でかん口令 「ノーコメント」統一
東京電力福島第1原発の事故に関して政府が作成を進めている国際原子力機関(IAEA)への報告書の内容について、経済産業省など関係省庁が、秘密の確保を徹底し報道機関からの質問に対して「ノーコメントと答える」との“かん口令”を申し合わせていたことが22日、分かった。
報告書は「省庁が分担箇所を作り、まとめ上げる形」(政府筋)で、外部の専門家の検証を経ないという。詳細が判明して「国際的な報告書に東電や政府の一方的な見解が反映される」との批判が高まるのをかわす狙いがあるとみられる。
政府関係者によると、枝野幸男官房長官が17日に報告書作成チームの設置を公表する前に、共同通信がチーム設置や骨子案を報じたことなどを受け、秘密保持を徹底し、内容は「ノーコメント」と答えることを申し合わせた。
また、チームの責任者である細野豪志首相補佐官が連日行っている会見で一手に質問を引き受けた方が「省庁の作業がしやすくなる」との方針も確認されたという。
その後、関係者は「内容は検討中で、今言えるものではない。(外部の検証は)対策本部のことなので承知していない」(高木義明文部科学相)、「(今後の動きが)どうなっていくのか、はっきりしない」(班目春樹原子力安全委員長)などとし、報告書についての明確なコメントを避けている。
報告書は6月20日からウィーンで開くIAEA閣僚級会合に向け、今月23日に来日するIAEAの専門家の協力を得て事故の評価や現状、教訓をまとめる。骨子案には、放射性物質拡散のシミュレーションが公表されずに厳しい批判を受けたことが記載されないなど、政府や東電の取り組みを前向きに紹介する内容が目立つことが明らかになっている。
(2011年5月22日)kyoudou
「海水注入問題めぐる議事録はない」福山官房副長官
産経新聞 5月23日(月)12時37分配信
福山哲郎官房副長官は23日の記者会見で、3月12日の東京電力福島第1原発1号機への海水注入をめぐる政府内の発言内容の混乱について「水素爆発があるなど瞬間、瞬間の判断をしていた状況であったので、議事録をとるような場面ではなかった」と述べ、当時の発言内容を残した資料がないことを明らかにした。
福山氏はその理由について「当時は(原発の)プラントは停電し、津波や地震の被害も出ており、原発の水素爆発もあった。本当に不確実な状態がたくさんあった」と釈明した。
-福島第1原発-「地震損傷なし」 手動停止、結論持ち越し
毎日新聞 5月23日(月)20時36分配信
福島第1原発2号機の原子炉建屋内=2011年5月18日撮影(東京電力提供)
東京電力は23日、東日本大震災をもたらした地震発生直後の福島第1原発の初期データを調べた結果、「地震による主要機器の損傷はなかった」とする分析結果をまとめた。同日中に経済産業省原子力安全・保安院に報告する予定。一方、1号機原子炉の非常用冷却装置が津波到達前に手動で停止され、炉心溶融を早めた可能性が指摘されている問題などについて、東電は「引き続き検証する」とし、結論を持ち越した。
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東電は、16日に公表した初期データを、保安院の指示に基づいて分析した。東電によると、地震発生から津波で浸水し全電源が喪失するまでに記録された原子炉の水位や圧力などを調べたところ、主要機器の損傷はなく、「地震で冷却水喪失という問題は発生していない」と判断した。だが「データに表れない程度の水漏れは全くないとは言い切れない」とし、主要機器以外の細管などが破断した可能性については否定しなかった。
データについては保安院も独自に分析を進めている。西山英彦審議官は「保安院の分析結果も含め、分かったところから示したい」と話した。
東電は第1原発で原子炉などの冷却機能を失い大量の放射性物質が漏れた事故について、「想定外の津波が原因」と説明している。【酒造唯、中西拓司、江口一】
福島第1原発:地震直後データ公表 現場、極度の混乱
東京電力が16日公開した福島第1原発事故に関する膨大なデータによって、地震と津波で同原発が冷却機能を失う過程と、対応に追われる現場の混乱した状況が明らかになった。事故から2カ月以上たち、ようやく表に出てきたデータ。政府は近く発足させる事故調査特別委員会で、原因究明や初期対応の妥当性などの検証を始める。
◇電源車、渋滞で進めず 高線量でベント遅れ
「(外部電源確保のための)電源車が渋滞で進めない」「(弁を開いて炉内の圧力を下げる)ベント操作を試みるも高線量で断念」−−。東京電力が16日に発表した資料で、地震直後の福島第1原発での緊迫した状況が浮かび上がった。
3月11日午後2時46分46秒。運転中だった1〜3号機では地震発生で緊急停止が始まった。警報を印字した記録紙からは、各機で制御棒の挿入や水位の変動を知らせる警報が延々と鳴り響いていたことがうかがえる。
「各種操作実績取りまとめ」と題する資料によると、地震から約45分後の3月11日午後3時半ごろ、同原発に津波が到達し全電源を喪失。これを受け、東電本店は同5時ごろ、周辺の各店に電源車を同原発に派遣するよう要請した。しかし、「電源車は道路被害や渋滞で進めない」との報告があり、同6時20分ごろ、東北電力に電源車の派遣を要請した。
同11時ごろ東北電力の電源車が到着したものの、現場は「暗所、津波の水たまり、障害物散乱、道路のマンホールのふたが欠落」(12日未明の記載)した状況で、ケーブルの敷設作業が難航した。やっと電源車から電気を引き込めたのは12日午後3時ごろだったが、同36分に1号機で水素爆発が起き、電源車のケーブルが破壊された。これにより、「命綱」の電源車がわずか30分で使いものにならなくなった。
一方、1号機のベント作業については同12日午前9時15分ごろに手動で開く作業が始まったものの、9時半ごろには「現場操作を試みたが、(放射線が)高線量で断念」との記述がある。結局、操作ができたのは同10時17分。資料では、その間の作業員の行動に関する記録はなく、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「現場がどのようなリスク判断をして(ベントに)トライしたのかは分からない」と述べた。
◇1号機、3月11日夜に「入域禁止」
一方、東電は地震直後の「当直員引き継ぎ日誌」も公開。1号機の原子炉建屋については3月11日午後9時51分、「入域禁止」と日誌に記載された。周囲で高い線量が測定されたためで、燃料のメルトダウン(炉心溶融)が早い段階で始まっていたことがこの資料からも裏付けられた。
ただし、この資料では首相官邸サイドとの交信記録は公開されていない。ベントや海水注入の判断について、東電と政府との間でどのようなやりとりがあったかについては不明のままだ。【中西拓司、八田浩輔】
◇専門家による分析急務
東電が公表したのは、1〜6号機の原子炉圧力容器内や格納容器内の水位や圧力データのほか、放射性物質を含む水蒸気を大気中に放出した「ベント」作業の実績、異常を知らせる警報の内容、冷却装置の操作実績、電源確保や復旧、運転日誌など事故の初期段階の膨大なデータだ。
福島第1原発は、津波ですべての電源を失い、原子炉の冷却機能が失われた。通電中の記録は中央制御室内にあり、放射線量が高く、長時間滞在できないため、回収できないままだったが、経済産業省原子力安全・保安院が4月25日、東電に対し、記録の速やかな回収と報告を求めていた。
公表された複数の記録を照らし合わせることで、津波の前に地震の揺れで機器類がどの程度損傷していたかや、東電や政府の対応に問題がなかったかが分かる。政府は、近く発足させる事故調査特別委員会で、このデータを基に事故原因の検証を進める方針だ。
東京都市大の吉田正教授(原子炉工学)は「メーカーや独立行政法人など専門知識が豊富な機関が解析すれば、津波が来るまで東電がどう対応したのかなど地震直後の原発の全体像が見えてくるだろう」と話す。【足立旬子、奥山智己】
英訳
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毎日新聞 2011年5月16日 22時05分(最終更新 5月17日 0時28分)
「班目発言は誤り」指摘したのに…そのまま発表
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所の1号機への海水注入を巡る問題で、注入中断の判断材料となった班目春樹・内閣府原子力安全委員会委員長の発言内容を政府・東京電力統合対策室が公表する前に、安全委側が内容の誤りを指摘したにもかかわらず、同対策室はそのまま発表していたことが分かった。
班目委員長が23日午後の記者会見で明らかにした。事故対応を巡る関係機関の情報共有の悪さが浮き彫りになった形だ。
安全委によると、21日の同対策室による記者会見直前の打ち合わせで、「再臨界の危険性がある」とする班目委員長の発言を記した文書が公表されることが初めてわかり、同対策室の細野豪志首相補佐官らに、その場で誤った内容であることを伝えたという。しかし、記者会見では配布文書の修正は行われなかった。
(2011年5月23日23時39分 読売新聞)
注水停止、原子炉の状況一気に悪化…3号機
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉の状態が明らかに悪化し始めたのは、東日本大震災発生から36時間後の3月13日未明のことだった。
それまでは、津波により電源を失ったものの、隔離時冷却系、高圧注水系という2種類の緊急冷却装置が相次いで起動し、1時間程度の中断をはさみながらも、何とか綱渡りの注水を続けていた。
しかし、13日午前2時42分、頼みの綱の高圧注水系が、原子炉圧力が低下したために自動停止。バッテリーが枯渇し、動作不能に陥ると、原子炉内の状況は一気に悪化した。まず、0・58メガ・パスカルだった原子炉圧力が、わずか2時間で7メガ・パスカル以上に急上昇した。再度、隔離時冷却系を起動しようと試みたものの動かず、午前5時10分に「給水全喪失」を国に報告する事態となった。
その間も原子炉水位は下がり続け、東電の試算では午前7時ごろに燃料が水面から露出し始めた。午前9時過ぎ、原子炉の圧力を下げるために圧力容器内の蒸気を格納容器へ逃すと、燃料は完全に露出し、燃料が損傷し始めたと、東電はみている。
(2011年5月24日12時32分 読売新聞)
地震15時間後、核燃料の全量落下か…1号機
. 原子炉圧力容器の水位が計測値より低い場合、2号機は原子炉が東日本大震災(3月11日)で自動停止した101時間後、3号機は同60時間後には、大部分の核燃料が圧力容器の底部に落下した——。
東京電力が福島第一原子力発電所の原子炉の動作状況を分析し、経済産業省原子力安全・保安院に23日提出した結果から、同原発が地震直後から深刻な状況に陥っていたことが改めて浮き彫りになった。2、3号機とも、落下した核燃料で圧力容器が損傷した可能性が高く、その後に水素爆発を起こしたとみられるという。
1〜3号機のうち、1号機で一番早く水素爆発が起こった。地震発生後、緊急停止の動作が直ちに始まった。制御棒が挿入されて出力は低下し、外部からの電源が切断されたため非常用ディーゼル発電機も2台が起動した。また、発電タービンに蒸気を送る弁が閉じ、地震発生6分後には蒸気を水に戻すための非常用復水器も起動した。
しかし、津波が襲来してすべての交流電源が失われると、1号機の損傷は急速に進んだ。解析では、電源喪失後2時間ほどで圧力容器内の水位が下がり、炉心の燃料棒が現れ始めた。
その1時間後には原子炉の温度が急激に上がり、損傷が始まった。温度は最高で2800度まで上がったとみられ、燃料棒は熱で被覆管が溶け、さらに中の燃料ペレットも中央部から溶けたり、崩れたりする「炉心溶融(メルトダウン)」が進行した。地震の15時間後には、全量が圧力容器の下に落ちたとみられる。
(2011年5月24日13時20分 読売新聞)
非常用復水器停止は手動操作…手順書通りと東電
. 福島第一原子力発電所1号機で、東日本大震災による津波襲来の前に緊急時の炉心を冷やす「非常用復水器」が一時停止したのは、作業員が手動で操作したためだったことが東京電力が23日、経済産業省原子力安全・保安院に提出した報告書で明らかになった。
装置が正常に作動すれば、炉心溶融(メルトダウン)を遅らせることができた可能性も指摘されるが、東電は、手順書通りの妥当な操作としている。
報告書によると、地震で外部電源は喪失したが、大きな配管破断などはなく、津波が押し寄せるまで、1〜3号機とも、非常用電源が起動していた。
運転中の1号機は、3月11日午後2時46分の大震災直後、原子炉に制御棒が挿入されて緊急停止。6分後、「非常用復水器」が自動起動し、冷却が始まった。その11分後の午後3時3分に停止した。
手順書では、原子炉の温度低下が1時間に55度を超えないよう冷却を調整することになっている。東電は、非常用復水器によって冷却が進み、100度以上温度が低下したため、作業員が停止操作を行ったとしている。
この後、作業員が非常用復水器を再作動させたが、同日午後3時半過ぎ、津波によって「非常用復水器の配管破断」を検出する直流電源が失われた。電源喪失すると、自動的に配管破断を知らせる信号が出て、そのため非常用復水器の隔離弁が閉じ、再び停止した。
作業員は、電源喪失の信号で、隔離弁が閉じた可能性があるとみて調べたところ、弁が閉じていたため、手動で弁を開けたとしている。
(2011年5月24日11時46分 読売新聞)
炉心損傷で発生した水素800kgに
. 東京電力は23日夜、福島第一原子力発電所1〜3号機は、3月11日の東日本大震災後わずか半日から4日余りの短期間で、炉心溶融(メルトダウン)が進み、原子炉圧力容器の損傷に至ったとする解析結果をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。
東電は、暫定結果を発表していた1号機に続き、2、3号機でもメルトダウンを初めて認めた。核燃料の過熱に伴って発生した水素は、原子炉建屋を吹き飛ばすのに十分な最大800キロ・グラムに及ぶことも判明した。政府は、同原発を訪れる国際原子力機関(IAEA)の調査団に対し、報告を説明するとともに、今後の原発事故調査委員会で詳しく分析する。
報告書は、公表済みの原子炉水位や圧力、操作記録などのデータを基に、炉心溶融の進行状況を模擬計算したもの。1号機は、再計算の結果、暫定結果より早い、地震後約4時間で炉心損傷が始まり、約15時間でほぼ全燃料が溶融して落下。圧力容器底部にある制御棒などの貫通部の溶接部位などが損傷した。損傷開始直後から水素が急激に増加し、半日で水素爆発が起きるのに十分な800キロ・グラム近くに達した。
(2011年5月24日11時27分 読売新聞)
原発事故調設置、委員長に「失敗学」の畑村氏
. 政府は24日の閣議で、東京電力福島第一原子力発電所の事故原因などを検証する事故調査・検証委員会の設置を決定した。
仙谷由人官房副長官は同日午前の記者会見で、委員長に「失敗学」の研究で知られる畑村洋太郎東大名誉教授(70)を起用すると発表した。
畑村氏は「失敗学のすすめ」などの著書があり、事故や失敗の背景などを研究している。仙谷氏は起用理由について、「原発事故の当事者との利害関係がないことを重視した」と説明した。政府は他の委員については検察官や裁判官経験者などから人選を進めており、畑村氏の意見も踏まえて近く決定し、委員会を発足させる。年内には中間報告をまとめる方針だ。
委員会は事故原因にとどまらず、政府と東電の事故対応の問題点、過去の原発政策や原子力行政をめぐる政府機関のあり方などを幅広く検証する。このため、菅首相や海江田経済産業相ら関係閣僚らからも聞き取り調査を行う。東電関係者のほか、国際原子力機関(IAEA)の専門家からも意見を聞く方針だ。
(2011年5月24日10時12分 読売新聞)
2・3号機も炉心溶融…地震直後のデータ解析
. 東京電力は23日、福島第一原子力発電所2、3号機について、地震発生直後の原子炉の各種データをもとに解析を進めた結果、1号機と同様に核燃料がメルトダウン(炉心溶融)していたとする報告書をまとめた。
経済産業省原子力安全・保安院に提出する。
報告書では、2、3号機について〈1〉炉内の水位が水位計の表示通りだった〈2〉水位計のデータは信頼できず、1号機と同じ様に核燃料が全露出している——の二つのケースに分けて、模擬計算を行い、結果を示した。それによると、いずれの場合にも核燃料が溶融して、原子炉圧力容器底部に崩落した状態になっていると評価。特に、水位計が故障しているケースでは、核燃料全体が溶融して、崩壊しているとした。
(2011年5月24日03時03分 読売新聞)
「班目発言は誤り」指摘したのに…そのまま発表
. 東京電力福島第一原子力発電所の1号機への海水注入を巡る問題で、注入中断の判断材料となった班目春樹・内閣府原子力安全委員会委員長の発言内容を政府・東京電力統合対策室が公表する前に、安全委側が内容の誤りを指摘したにもかかわらず、同対策室はそのまま発表していたことが分かった。
班目委員長が23日午後の記者会見で明らかにした。事故対応を巡る関係機関の情報共有の悪さが浮き彫りになった形だ。
安全委によると、21日の同対策室による記者会見直前の打ち合わせで、「再臨界の危険性がある」とする班目委員長の発言を記した文書が公表されることが初めてわかり、同対策室の細野豪志首相補佐官らに、その場で誤った内容であることを伝えたという。しかし、記者会見では配布文書の修正は行われなかった。
(2011年5月23日23時39分 読売新聞)
炉心溶融、首相「東電の発表まで知らず」
. 衆院東日本大震災復興特別委員会は23日、菅首相と関係閣僚が出席し、復興基本法案などの実質審議を行った。
首相は、東京電力福島第一原子力発電所1号機で起きたメルトダウン(炉心溶融)を東電が約2か月後に発表したことに関し、自らが事実を隠していたとの見方を否定した。
審議では、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行が、1号機でのメルトダウンについて、「首相は内々知っていたのではないか」とただした。
首相は、「政府が発表している事故に対するいろいろなことについて、国民がかなり不信を持っていることは、責任者として本当に申し訳なく思っている」と陳謝した。同時に、「(原子炉内の)水位が(想定より)ずっと低かったことは、東電の発表までは事実としては聞いていなかった。知っていてうそをついたとか、黙っていたということではない」と強調した。
(2011年5月23日21時52分 読売新聞)
班目氏は「でたらめ委員長」…亀井氏が更迭要求
. 国民新党の亀井代表は23日夜、菅首相に電話し、内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長の更迭を求めた。
亀井氏はこれに先立ち、同日、大阪市内で講演し、東京電力福島第一原子力発電所1号機への海水注入を巡り、班目氏が首相に「再臨界の可能性はゼロではない」との見解を示したことについて、「でたらめ委員長が修羅場であんなことを言っている。日本の危機を迎えたその場において、原子力安全委員会の責任者が、そういうことしか首相にアドバイスできない」と厳しく批判した。
また、亀井氏は、菅政権の見通しについて、「今のところは、よたよたしながら続いていくが、そんなことでは震災対策でろくな政治ができない。小沢(一郎民主党)元代表を座敷牢(ろう)から出すべきだ。党内が結束しないで野党に協力を求めても乗るわけがない」と述べた。
(2011年5月23日20時19分 読売新聞)
社説:海水注入問題 原発に政局持ち込むな
炉心溶融を起こした福島第1原発1号機で3月12日夜、炉心冷却のため始めた海水注入が55分間中断した問題が、23日の衆院東日本大震災復興特別委員会で取り上げられた。
中断は菅直人首相の指示によるもので、このことが事態の悪化を招いた、と報道されたことに対し、菅首相は、注水を始めたという報告を聞いておらず、指示することはありえない、と答えた。これに対し自民党の谷垣禎一総裁は、政府側の答弁の矛盾をつき首相の責任を追及した。
東電の記録では、海水注入を開始したのは12日午後7時4分だったが、その後同25分に注水を中断、55分後の午後8時20分に再開したことははっきりしている。問題は、注入がなぜ中断されたかだが、この日の質疑で議論は深まらなかった。
確かに、自民党にとってみれば、問題を追及することにより政府部内の足並みの乱れを誘発できるし、仮に「首相指示」を立証できればその指示責任と虚偽答弁を同時に問える、という格好の材料であろう。早速、この問題に関連し、内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長の「再臨界」発言をめぐり政府自ら前言を訂正する、というゴタゴタが起きた後だけにである。
ただ、論戦を聞いて、二つの疑問を持った。まずは、海水注入中断問題の位置付けである。すでに1号機については地震発生翌日の3月12日朝の段階で燃料の大半が溶融したとの推測が一般的になっている。その日夜に海水注入が55分間中断したことが、事態の深刻化にとってどの程度本質的なものだったのか。
もう一つは、菅首相が日本を代表する形で、サミットの場で世界に対し今回の原発事故の原因、今後の対策をまさに発表しようとする矢先に、その信頼性をいたずらに失わせるような議論をすることが、日本の国益上いかがなものかという点だ。
もちろん、福島原発がここまでの状態に至った原因究明は極めて重要である。真の原因と正確な経過の究明については、日本のみならず世界のためにも、政府から独立した第三者的事故検証委員会を早急に発足させるべきである。海水注入問題については、ぜひ東電側の証言を求めてほしい。言いっぱなしではない事実確定をすべきだろう。
自民党が内閣不信任決議案を出すタイミングをはかりながら、菅政権の原発対応のまずさを突いていくのは、野党としてはやむをえない戦略であろう。しかし、かつて半世紀近く政権を担った大与党として、かつ倒閣後の与党に名乗りを上げる野党第1党としては、自分たちであればどうしたのか、今後どうするのか、という議論の方を深めてほしい。
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毎日新聞 2011年5月24日 2時31分
発信箱:原発異聞三話=伊藤智永(ジュネーブ支局)
どれもニュースにならなかった話。
一つ。国連防災会議で地震・津波の報告をした東祥三副内閣相。「原子力災害は、私が所属する緊急災害対策本部ではなく原子力災害対策本部で対応している」と素通り。別の会合では、外務官僚が「詳しくは6月に国際原子力機関(IAEA)の会議で」と、これまた肩透かし。
記者会見で東氏に聞いた。「地震と原発を一緒に論じたい気持ちは分かるけど、法律も別だし、分けることは大事。実際、原子力の専門家の話、よく分からないでしょ」
二つ。世界保健機関(WHO)総会で、放射性物質の放出を各国に謝罪した大塚耕平副厚生労働相。「複数の国から、日本の責任ではないと言われた」。ん? 意味が分からない。記者会見での解説。
「日本では、地震に伴う原発の安全停止はきちんと行われ、その後の津波で冷却設備がやられた。事故は自然災害によるもので、米スリーマイル島や旧ソ連チェルノブイリのような人為ミスが原因ではない、と正確に認識してもらえた」
三つ。「欧州に脱原発のうねり」という見方を、外務省高官がバッサリ。「ドイツは元々原発恐怖症。メルケル首相が原発推進に踏み出そうとして、元に戻っただけ。フランスは原発依存を変えない、変えられない。米中印は拡充政策を維持。他の国? 国際的影響力はほとんどない」
内より外で本音は出る。言い草は可愛げないが、政治・外交の世界で、これくらいの厚かましさはおとなしい方だろう。
純真な反原発派の方々に、心を鬼にして申し上げたい。思いや心情は皆ある。それを生で出しても、政治にならない。政治を逃げたら、政策決定はない。核抑止論は、核廃絶と同じ核への恐怖心をよりどころに組み立てられている。
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海水注入、首相指示2時間前に「指示出た」メモ
読売新聞 5月24日(火)20時51分配信
枝野官房長官は24日の記者会見で、震災翌日の3月12日に東京電力福島第一原子力発電所1号機への海水注入が一時中断したことに関連し、菅首相が海水注入を指示する2時間近く前の午後6時頃に、首相が注入の指示を出したと受け取られるようなメモが首相官邸内で作成されていたことを明らかにした。
実際には、首相は海水注入の可否を検討中だった。メモは首相官邸の危機管理センターで関係省庁の担当者らに配布、回覧されたが、誰がメモを作成したのかは不明という。 .最終更新:5月24日(火)23時8
福島第1原発2・3号機も炉心溶融…大部分は容器内
産経新聞 5月24日(火)15時18分配信
東京電力は24日、福島第1原発2、3号機の地震発生後の炉心状況などを模擬解析した結果、原子炉圧力容器内の冷却水が失われていた場合、2号機は地震から約101時間後の3月15日午後8時ごろ、3号機では約60時間後の同14日午前3時ごろに核燃料の大部分が溶融し、1号機と同様、圧力容器底部に落下し「炉心溶融」していたと発表した。23日に報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。
また、1号機については、地震発生から約15時間後に圧力容器が破損したとの解析結果も示した。
東電によると、2、3号機について、原子炉内の水位は低下しながらも一定量を維持、水位計の計測値が信用できる場合と、水位計データは信頼できず実際には冷却水がほとんど失われていた場合の2ケースについて、データ解析を行った。
その結果、両機とも、いずれの場合も水位低下の後に燃料が溶けた状態になった。冷却水が失われていたケースでは、ほぼすべての燃料が圧力容器の底に溶け落ちていたとしている。
東電は「炉心の温度から考えると、圧力容器の損傷は限定的で大きな穴が開いている状況ではない。実際は2つのケースの間にあるのではないか。燃料の大部分は圧力容器内にあると考えられ、継続的な注水で現在は十分冷却できている」としている。
地震発生後から津波によって、すべての交流電源が失われるまでの状況については、「主要機器の破断、冷却水の喪失はなかった」と判断、津波到達まで外部への放射性物質の放出もなかったとした。
また、1号機の原子炉の非常用復水器が、地震発生直後に起動したが約10分後に停止した問題については、炉心温度が急激に低下したため作業員が手動停止したことを認め、東電は「作業手順書に沿った操作で、妥当」と判断した。
東電は今月16日に地震発生当初からの同原発のデータや活動記録を保安院に提出。保安院は、記録に基づき、緊急時の炉心冷却機能の動作状況や、設備の異常が地震と津波のどちらによるものかの評価、電気設備が被害を受けた原因などを報告するよう東電に求めていた。東電は15日、1号機についても地震翌朝の3月12日午前6時50分ごろに炉心溶融していたとする暫定解析結果を公表している。
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福島第1原発 「土壌汚染600平方キロ」推計値を報告
毎日新聞 5月24日(火)21時49分配信
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セシウム137が1平方メートル当たり148万ベクレル以上と算定された地域
東京電力福島第1原発事故で、原子力発電環境整備機構(NUMO)の河田東海夫(とみお)フェローは24日、内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)の定例会で、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)で居住禁止となった区域と同レベルの土壌汚染が、福島県内で約600平方キロにわたって広がっているとの推計値を報告した。河田氏は「大規模な土壌改良が不可欠だ」との見解を示した。
【地図で見る】福島第1周辺 2012年3月11日までの累積放射線量の予想
チェルノブイリ原発事故では、1平方メートル当たり148万ベクレル以上の土壌汚染地域約3100平方キロを居住禁止、同55万〜148万ベクレルの汚染地域約7200平方キロを農業禁止区域とした。
河田氏は、文部科学省が作成した大気中の放射線量地図を基に、福島県内で土壌中の放射性物質「セシウム137(半減期30年)」の蓄積量を算定した。その結果、1平方メートル当たり148万ベクレル以上の地域は、東京23区の面積に相当する約600平方キロ、同55万〜148万ベクレルの地域は約700平方キロあり、それぞれ複数の自治体にまたがっている。
チェルノブイリ事故では年間5ミリシーベルトの被ばくを居住禁止の基準とした。自然に被ばくする線量は世界平均で年間2.4ミリシーベルト、ブラジルやイランの一部地域では同10ミリシーベルトに達していることを考慮すると厳しかった。今回の事故で政府は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を基に空間線量年間20ミリシーベルトを避難地域の基準にしている。河田氏は「福島では土の上下を入れ替えるなど、対応をしっかりすれば避難者は戻ることが可能」と冷静な対応を呼びかけている。【比嘉洋】
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.最終更新:5月24日(火)23時31分
格納容器も損傷か…地震後24時間以内
. 福島原発
東京電力が福島第一原子力発電所の炉心溶融(メルトダウン)について詳しいデータ解析を行った結果、1〜3号機では、圧力容器だけではなく、その外側を覆う鋼鉄製の格納容器も、地震後24時間以内に損傷していた可能性があることが分かった。
解析結果の報告書は23日に経済産業省原子力安全・保安院に提出された。
原子炉の運転データなどに基づいて地震後の状況を詳しく計算したところ、1号機は緊急冷却装置の「非常用復水器」が十分に働かず、炉心溶融の進行によって、地震後15時間で圧力容器の底部が破損したことがわかった。底部には制御棒や中性子計測装置の貫通部が多数あり、強度の弱い溶接部分などが壊れて、溶けた燃料を含む高濃度汚染水が漏れ出したとみられる。
(2011年5月24日21時53分 読売新聞)
「ゼロではない」は「事実上ゼロ」班目氏が釈明
. 内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は24日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、震災翌日の3月12日に東京電力福島第一原子力発電所1号機への海水注入が一時中断された問題について「(私が菅首相らに)『再臨界の可能性はゼロではない』と言ったのは、事実上(可能性は)ゼロだという意味だ。『注水はやめた方がいい』とは絶対に言っていない」と釈明した。
首相官邸側は、3月12日の班目氏の発言は再臨界の可能性を全否定したものではなかったと受け止めており、政府内での認識のズレがまたしても浮き彫りになった形だ。
また、班目氏は「職務を全うすることこそが私の使命だ。ここで逃げ出したら末代の名折れだ」と述べ、辞任しない意向を強調した。
(2011年5月24日19時53分 読売新聞)
再臨界の恐れ、ほとんどなかった…識者の見方
. 福島原発
再臨界とは、反応を停止した核燃料が再び連続的な核分裂反応を起こすことだ。
水には、燃料を冷やすだけでなく、核分裂反応で発生する中性子の速度を落として、再び核分裂反応を引き起こしやすくする働きがある。自動停止した原子炉では、中性子を吸収する制御棒が核燃料の間に挿入されており、再臨界が起きることはないが、福島第一原子力発電所1号機は冷却水が失われ、最悪の場合、核燃料が溶けて、圧力容器の下部にたまっている可能性があった。この核燃料の塊に、海水で減速された中性子が衝突して、核分裂反応が連続して起きる危険性がないとは言い切れない。
しかし、藤家洋一・東京工業大名誉教授(原子力工学)は「原子炉は、核分裂反応が起きやすいように、燃料棒の位置などを緻密に設計している。設計が崩れた状況では、反応が格段に起こりにくい。海水の注入で、再臨界が起きる可能性はほとんどありえない」と指摘する。
塩分などの違いで、海水が真水に比べて、再臨界を起こしやすくするようなことはなく、藤家さんは「何よりも、原子炉を冷やすことが最優先だった。海水の注入を中断すべきではなかった」と話している。
(2011年5月22日00時00分 読売新聞)
作業許容限度の1〜18% 原子炉上部の放射性物質
東京電力は24日、福島第1原発1号機と4号機で、原子炉建屋の最上階付近の空気中の放射性物質濃度を測定したところ、放射線業務従事者が作業してもよいとされる限度の1〜18%だったと発表した。
建屋上部の測定は初めて。使用済み燃料プールに注水するコンクリートポンプ車のアームの先端に機器を付け、放射性ヨウ素やセシウムを測った。
東電は、高温になった燃料プールからの蒸気や、原子炉へ注入した水が蒸発して漏れ出た蒸気が、放射性物質の原因とみている。
東電は今後、2、3号機でも測定。6月中旬から原子炉建屋をテントのようなシートで覆い、放射性物質を封じ込める計画。
fukushima
東電、津波を過小評価か 貞観津波「4〜5m超ない」
東日本大震災との関連が注目されている869年の「貞観津波」について、東京電力が耐震安全性を確認するための調査で「津波の高さは標高4〜5メートルを超えなかった」との結果を震災前にまとめていたことが24日、分かった。
東電は従来、福島第1原発について「津波は最大5・7メートル」と想定していたが、この調査でもこれは見直されていなかった。同原発は今回の震災で14メートル以上の津波に襲われており、過小評価していた可能性がある。
貞観津波を研究する専門家からは「宮城県から茨城県まで広がっていた可能性があり、原発の防災上は10メートル程度の津波を考慮すべきだった」との指摘が出ている。
調査は2006年改定の原発耐震指針に沿った耐震安全性確認の一環で、業者に委託するなどして実施。福島第1、第2原発周辺の5カ所で地下の地層を採取し、津波の残した砂などを調べた。
その結果、貞観津波の痕跡は北部の2カ所でしか確認できず、最も高いところで3メートルまでしか達していなかったとして、「4〜5メートルを超える津波はなかった可能性が高い」と結論づけた。
(2011/05/24 18:12)
事故調トップに「失敗学」畑村氏 政府、調査委設置を決定
政府は24日午前、東京電力福島第1原発事故をめぐる第三者機関「事故調査・検証委員会」の設置を閣議決定した。トップの委員長に「失敗学」で知られる畑村洋太郎東大名誉教授(70)の起用を内定した。調査委は東電役職員、関係閣僚、官僚らから聴取する権限を持つ。再発防止策や住民避難などの被害拡大防止措置も検討する。
設置は「事故による被害の拡大防止および同種事故の再発防止に関する政策提言」が目的。東日本大震災に伴う津波で一時、冷却機能を喪失した福島第2原発の事故も検証する。12月に中間報告、来年夏までに最終報告を策定する予定だ。
仙谷由人官房副長官は記者会見で、畑村氏について「失敗に学び同じ愚を繰り返さないよう考える『失敗学』の第一人者だ。さまざまな事故調査に携わった経験があり、原発と利害関係がない」と説明。原子力行政見直しに関し「当然、歴史的な経緯に踏み込まざるを得ない」と述べ、自民党政権下での推進体制を検証する考えを示した。
調査委は、行政からの中立性と透明性を確保するため学界などから畑村氏の意向も踏まえて選定。近く初会合を開く。下部組織として(1)初動対応を含む事故原因調査(2)被害拡大防止策検証(3)平時や緊急事態発生時の法規制の在り方検討—の各チームを置く方向だ。
【写真】 畑村洋太郎東大名誉教授
(2011/05/24 14:00)
東電、地震で冷却水失わずと分析 損傷可能性は否定せず
東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は23日の記者会見で、「地震発生から津波が襲うまでに原子炉の冷却水を喪失する事故は起きていないと判断している」と述べ、地震の揺れが原因で原子炉が損傷してメルトダウン(炉心溶融)につながったとの見方を否定した。
東電は以前から、津波で非常用発電機が働かなくなって炉心の冷却機能が失われたのが直接の事故原因との見方を示している。東電は運転データに基づくこうした福島第1原発事故の推移の分析結果を経済産業省原子力安全・保安院に報告し、24日に公表する。
ただ地震当日の3月11日に高い放射線量が1号機の原子炉建屋で検出され、地震の揺れで重要設備が深刻な被害を受けた恐れがあることも分かっている。松本本部長代理は「計測データに表れないような漏えいや損傷があった可能性も否定できない。さらに慎重に分析を進めたい」と話した。
(2011/05/23 21:33)
2、3号機もメルトダウン 圧力容器損傷の恐れも
東京電力は24日、福島第1原発事故の発生当初のデータから、1号機と同様、2、3号機でもメルトダウン(炉心溶融)が起きているとみられるとの解析結果を公表した。
原子炉を冷やすために注水をしているが、炉内の水位が維持できず高さ約4メートルの燃料集合体がすべて露出している場合、2号機は3月11日の地震発生で原子炉が自動停止してから101時間、3号機は60時間で燃料の大部分が原子炉圧力容器の底に落下し、容器が損傷したと推定した。
東電は、圧力容器周辺の温度から、燃料の大部分は圧力容器内にあると判断。安定した冷却を進めており、今後、放射性物質が大量に外部に放出されるような事態の悪化はないとした。
今回は限られた情報で状況を整理しただけで、どのように判断し、操作をしたかなど事故の全容は依然未解明だ。
原子炉の水位計の正確さには疑問があり、示している値どおりに水位が維持できている場合とできていない場合の2通りのケースを想定。東電は「実際は、水位が維持できていないケースに近い」との見方を示した。圧力容器の損傷で、燃料の一部など放射性物質を含んだ水が原子炉格納容器に漏れ出し、原子炉建屋やタービン建屋に広がったとみられるという。
地震と津波の影響については、地震で外部電源が喪失し非常用発電機が正常に起動したが、津波によりすべての電源が失われたとの従来の見解を踏襲。津波の到達までは主蒸気配管の破断など大きな異常はなかったとした。
ただ「中央制御室のホワイトボードに放射線を検知したという記録があり、微小な漏えいがあった可能性も否定できない」として、さらに調査を進める意向だ。
事故当初の状況について、残っていたデータなどを基に分析。経済産業省原子力安全・保安院に報告書を提出した。
水位が維持されているかどうかにかかわらず、2号機では3月14日午後8時ごろ、3号機では13日午前9時ごろには炉心の温度が2800度程度まで急上昇し、炉心損傷が始まった。
水位が維持されているケースでは、燃料ペレットが一部で溶融しているが完全には崩落していない。維持されていないケースは、2号機で15日午後8時ごろ、3号機で14日午前3時ごろには大部分の燃料が圧力容器の底に落ちたとした。
写真:東京電力福島第1原発=3月(エア・フォート・サービス提供)
メルトダウン(炉心溶融) 冷却水の喪失などで原子炉の燃料集合体が過熱して溶融し、形状が維持できなくなって原子炉圧力容器の下部に落ちる現象。大量に溶融した場合、圧力容器を貫通して原子炉格納容器に落下する場合もあるとされる。原子力安全・保安院はメルトダウンの前段として、燃料本体であるペレットの入った被覆管が溶ける「炉心損傷」、ペレットも溶ける「燃料ペレット溶融」があると定義している。
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福島第1原発 1号機と2号機の格納容器に穴の可能性
毎日新聞 5月25日(水)2時31分配信
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福島第1原発の現状と東京電力による解析結果※カッコ内は地震発生後の時間
東京電力が24日公表した福島第1原発2、3号機で炉心溶融があったとする報告書の中で、1号機は原子炉圧力容器の外側にある格納容器に直径7センチ相当の穴、2号機では格納容器に直径10センチ相当の複数の穴が開いている可能性が初めて示された。東電は炉心溶融による2、3号機の圧力容器の損傷について「限定的」としているが、高濃度の汚染水がタービン建屋に漏れ出すなど、圧力容器やその外側の格納容器の健全性は元々疑問視されていた。東日本大震災から2カ月半。対応に問題はなかったのか。事故収束に向けた工程表の履行も危ぶまれる。【平野光芳、八田浩輔、久野華代】
【東京電力が公開】圧力容器の模型写真
細野豪志・首相補佐官は24日夕の会見で、「見込みの甘さがあった」と陳謝。「引き続き冷却し冷温停止を目指す。解析に時間がかかるのはやむを得なかった」と釈明した。
報告書は、2、3号機の冷却システムが停止し、燃料の出す熱で水が減り、圧力容器内の燃料棒(長さ約4メートル)下部まで水位が低下したと指摘。(1)燃料棒の一部が水につかった場合(2)水位が回復せず、燃料が露出し続けた場合の2通りでシミュレーションした。
2号機は地震から77時間後の14日午後8時ごろ、3号機は42時間後の13日午前9時ごろから炉心の損傷が開始。両機とも、(1)の場合は燃料の半分程度が圧力容器の底に落下し、残り半分は本来の位置にとどまった、(2)の場合は大部分の燃料が落下した−−と結論付けた。
東電は「(2)の方が現実に近い」とみており、2号機では101時間後の15日午後8時ごろ、3号機では60時間後の14日午前3時ごろに燃料の大部分が圧力容器の底に落下する炉心溶融(メルトダウン)が起き、それぞれ6〜8時間後に圧力容器が破損した。2号機では計測された圧力データから、格納容器に10センチ相当の複数の穴が開き、1号機で7センチ相当の穴が開いている可能性が浮かんだ。
1〜3号機では水素爆発が発生したが、燃料棒損傷で生じた水素の量を、1号機800キロ、2号機400キロ、3号機600キロと推計した。また、冷却システムが停止し、注水を開始するまでの数時間で、燃料棒を溶融させる3000度近くに達した。吉田正・東京都市大教授(原子炉工学)は「最初の対応が将来の何カ月にも影響している」と述べ、東電や政府が日ごろから深刻な事態を視野に入れていたかどうかという姿勢を問題視する。
気になるのは事故収束への影響だ。
圧力容器底部の実測温度は2、3号機で100〜170度、1号機で100〜120度となっている。燃料が溶けて圧力容器の底にたまり少量の水でも冷却されているという皮肉な事態だが、大規模な放射性物質の放出はないと説明する。
経済産業省原子力安全・保安院は24日、「形状がどうあれ、燃料が圧力容器内にとどまって冷却されている。収束の工程表に大きく影響しない」としている。
しかし、小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子核工学)は「工程表は圧力容器の破損を前提としていない。政府も東電も早期収束に躍起で、作業員にプレッシャーがかかる。被ばくして命を削るのと引き換えに早期収束させるのはもってのほかだ」と指摘する。
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【検証・大震災】原発の事故2日間(3)冷却系ダウン「悪夢じゃないのか」
【検証・大震災】自衛隊員10万人、史上最大の作戦(3)防護隊の前で3号機爆発
.最終更新:5月25日(水)3時14分
検証・大震災:原発事故2日間(3)冷却系ダウン「悪夢じゃないのか」(1/4ページ)
◇11日16:36−−異変
大津波で状況は一変した。13台ある非常用ディーゼル発電機のうち、12台が使用不能に陥った。さらに官邸を震撼(しんかん)させる緊急事態が起きたのは地震発生から約2時間後の午後4時36分。「炉心溶融」を防ぐための冷却システムがダウンした。このままでは、核燃料の損傷や放射性物質の外部漏えいにつながる。
東京・霞が関の経産省で原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官が記者会見していた最中だった。「蒸気タービンで駆動する冷却系が働いている。バッテリー(蓄電池)は7、8時間は保持される」
◇血相変え「15条事態」
会見を終えて中村審議官が席を立とうとした午後5時前。血相を変えた保安院職員が「東京電力から15条事態と判断したと連絡がありました」と会見室に飛び込んだ。「15条とは何だ」と騒然とする報道陣に「詳細は後ほど」と繰り返すばかりだった。
原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく15条通報は、原子炉内に注水できず冷却機能を失うことに代表される重大な緊急事態の発生に適用される。1、2号機は注水が確認できなくなっていた。
これに先立つ午後3時42分には、全交流電源が失われ、冷却機能の喪失につながりかねない事態になった。東電は15条の一つ手前のトラブルとして10条通報した。「10条でさえ通報が来るなんて考えもしなかったのに、より深刻な15条なんて。悪夢じゃないのか」。保安院幹部がうめいた。
◇「簡単に事が進むだろうか」
東電の武藤栄副社長が「発電所を見てきます」と言い残してヘリコプターで福島原発へと飛んだのは午後3時半。まだ冷却系統は作動していたが、東電内でも危機感が広がり始めた。原子力部門の幹部は「15条も適用した方がいい」と考えていた。
東電本店2階の対策本部はすべての電源を失ったことに困惑の度を深めた。こうした事態を想定した「シビアアクシデントマニュアル」に沿って管内の事務所などから電源車をかき集める作業を始めた。
「6台は確保できそうだ」。だが、東電から報告を受けた保安院幹部に疑念がよぎる。「仮に電源が復旧しても地震や津波で計器類だって損傷しているはず。簡単に事が進むだろうか」
◇「大丈夫」一転、首相に一報
原発事故を巡る行政機関の情報伝達ルートは「東電→経産省原子力安全・保安院→首相官邸」という流れで、通常は官邸が直接、民間企業の東電に指示・命令することはない。「原発有事」に発展するまで首相はもっぱら保安院から「原発は大丈夫です」との報告を受けていた、と複数の政府高官は指摘する。
首相が「冷却機能不全」という事態急変を知ったのは、東日本大震災発生後、首相官邸で初めての記者会見に臨む直前だった。だが、午後4時54分からの会見では「日本の総力を挙げる」と表明し、原発事故には「一部の原子力発電所が自動停止したが、外部への放射性物質の影響は確認されていない」と触れただけだった。
首相はこのころから原発事故対応へとのめりこんでいく。公邸の伸子夫人に電話した際、「東工大の名簿」を求めた。母校の専門家からアドバイスを受けようとしたためだった。
「私は原子力に詳しい」との自負を後に漏らす首相。そこからは「原子力村」と呼ばれる電力業界、経産省、東大研究者が原子力政策を支配するシステムへの対抗意識がうかがえる。伸子夫人は東工大時代の首相の友人を通じて名簿を官邸に届けた。首相はその後東工大出身の日比野靖・北陸先端科学技術大学院大副学長ら3人を内閣官房参与に迎えることになる。
「え、本当に大丈夫なのか」。午後5時前、各駐屯地などからの電話で「パンク状態」だった防衛省・中央指揮所内が一瞬、ざわめいた。それまでの「安全」とは異なり、首相官邸に詰めている統幕の連絡要員から「放射能が漏れている模様。ただし、大きな被害にはならないだろう」と異常事態の情報が伝わったためだ。
原災法に基づき、首相が「原子力緊急事態宣言」を発令するのは時間の問題だとの情報も駆け巡った。
官邸から原子力災害対策本部設置と「午後6時半から会議」との連絡があり、防衛省は午後6時過ぎ、「首相が原子力緊急事態宣言を発令する」との情報を漏らしたが、会議がずれ込みいったんは先送りされた。
しかし、これを織り込み「原子力災害派遣実施部隊の長はただちに派遣準備を実施する」と定める防災業務計画に基づき、午後6時35分に陸自朝霞駐屯地(埼玉県など)の中央即応集団110人、化学防護車4台を待機させ、準備態勢を整えた。
■ことば
◇10条通報、15条通報
原子力災害対策特別措置法に基づく。10条は、原子力事業所の原子力防災管理者(福島第1原発では発電所長)は、敷地境界付近で基準以上の放射線量を検知するなどした場合に主務大臣(東電の場合は経済産業相)などへの通報が義務付けられている。15条は、さらに厳しい事態の場合、主務大臣は首相に報告し、首相は原子力緊急事態を宣言する。
◇11日19:03−−厳戒
◇「国の指示待てぬ」福島県が避難要請
原発の異常事態は時間とともに深刻さを増していった。「安全神話」を揺るがし、「原発震災」に直面した。「現行法ギリギリであらゆる措置を取るという考えだ」。周辺は菅直人首相の決意をこう表現した。
午後7時3分、首相は冷却系が機能不全に陥る危険性を指摘し、初めて原子力緊急事態宣言を発令。午後9時23分、半径3キロ圏内の住民に避難指示を出した。12日早朝には10キロ、同夕には20キロと範囲が拡大していく。
発令に当たっては秘書官らが六法全書と首っ引きで首相権限を調べた。原災法に基づき15条事態になれば自動的に同宣言が出され、政治判断をはさむ余地はないが、ある閣僚は「かなり強力な権限が首相に与えられる」と語った。
福島県も原発事故の恐怖に振り回された。原発崩壊の真偽が定かでない情報が飛び交った。
国の指示に先立つ午後8時45分の県災害対策本部会議で原子力災害担当の荒竹宏之生活環境部次長が「2号機で炉心溶融の可能性」と報告。5分後に県は、半径2キロの住民に権限も前例もない避難要請を出した。佐藤雄平知事は「未曽有の被害。人命を最優先に、速やかに避難をお願いしたい」と災対本部前でテレビカメラに呼びかけた。
3キロ以内の住民は約5800人だが、10キロでは約5万人、20キロでは約8万人に膨れ上がる。国に先立つ避難要請を荒竹次長は「細かい点を確認している余裕などなく、国の指示を待てる状況ではなかった」と振り返る。
原子炉の暴走を事前に食い止める「冷却作戦」が官邸、経済産業省原子力安全・保安院、東電のもとで進められた。
対処方針は冷却システムを再起動させるための電源車をバッテリーが切れる7〜8時間以内に福島第1原発に集めることだった。電源喪失が午後3時42分。タイムリミットは午後11時前後から12日午前0時前後。時間との闘いだった。ひとまず東電が集めた6台が福島に向かったが、陸路の輸送は困難を極めた。
「福島まで緊急車両は通れるのか」。首相は大畠章宏国土交通相に電話で交通状況を確認。執務室にはホワイトボードが運び込まれ、電源車の現在地が刻々と書き込まれていった。しかし、思わぬ誤算が生じた。
電源を失った1〜3号機のうち、最初に危機に陥ったのは2号機だった。当初、原子炉の余熱でタービンを回し、冷却に必要な水を炉内に引き込む「隔離時冷却系」が作動し、炉内の水位を保っていた。
だが、隔離時冷却系が午後8時半に突然止まり、炉心の冷却ができなくなった。このままだと核燃料が出す熱で炉内の水が蒸発し、燃料棒が水面から露出する恐れがあった。水面から出た燃料棒はさらに高温になり、いずれは破損し、核燃料が溶け出してしまう危険があった。
◇電源車着いたが「低圧ケーブルがない」
待望の電源車が福島第1原発から約5キロ離れた、国の対応拠点「福島オフサイトセンター」(福島県大熊町)に到着したのは午後9時過ぎ。東北電力から提供された電源車2台だったが、ここでトラブルが発生する。
電源車が高電圧だったため接続に必要な低圧ケーブルが用意されていなかったのだ。つなぎ口も津波で浸水していた。午後9時20分には福島オフサイトセンターの非常用電源が切れた。東電社員を含む職員ら15人は隣接する福島県原子力センターに移動したが、ファクス1台。パソコンはなかった。
電源車の到着から2時間以上たった午後11時20分からの保安院の記者会見で山田知穂原子力発電安全審査課長は「電源車は接続されず、電源は回復していない」と作業難航を認めざるを得なかった。
1、3号機はともにタイムリミットの12日午前0時を過ぎてもバッテリーは働いていた。問題の低圧ケーブルはようやく調達できたが、「関東から空輸準備中」(原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官)で作業員も足りないというありさまだった。
2号機の水位は安定し、このころはほかにも低電圧を含む2台の電源車が到着していたが、山田課長は午前0時50分過ぎの記者会見で心もとなげに語った。「今来ている電源車では、多分足りないと思う」
政府高官は「東電のオペレーションは準備不足で、行き当たりばったりのようだった」と振り返る。
原子力緊急事態宣言を受けて午後7時半、北沢俊美防衛相が自衛隊始まって以来初の原子力災害派遣命令を発令。核・生物・化学(NBC)兵器に対処する「中央特殊武器防護隊」(中特防)が出動した。
だが、もともとの防護隊の任務はNBCで攻撃された時に放射性物質を検知し、安全な場所に部隊を誘導すること。原子炉の知識はなく、防護服や化学防護車などの装備も「防護服は外部被ばくには十分対応できない。化学防護車に中性子を遮る防護板がついたのもJCO事故以降」(陸自幹部)というのが実情だった。
◇12日未明−−混乱
◇放射性物質放出 ためらう東電
「22時50分 炉心露出」「23時50分 燃料被覆管破損」「24時50分 燃料溶融」−−
11日午後10時、原子力安全・保安院は、原子炉内の水位が下がった2号機で何が起こるのかを予測、官邸に報告した。12日午前3時20分には格納容器内の圧力上昇が予測されていたため、弁を操作して高温の水蒸気を外部に逃がす「ベント」作業が必要と分析した。格納容器の破損を防ぐためとはいえ、意図的に放射性物質を外界に放出する「最後の手段」とも言える荒業だ。
事態は、冷却機能が働いていたはずの1号機でも深刻化していた。徐々に水位が下がり、燃料棒が最大90センチ露出し、原子炉格納容器の圧力が上昇。損傷の危険性が高まった。
断続的に保安院で開かれた会見で「この事態を想定していなかったのか」と質問が記者から相次ぐ。保安院は「あらかじめ準備されているということではない」と苦しい弁明に終始した。
◇「何なら、総理指示を出すぞ」
一方、首相官邸では11日午後11時過ぎ、地下の危機管理センターで首相や海江田万里経産相、班目(まだらめ)春樹・原子力安全委員長、原子力安全・保安院幹部を交えて対応を協議。「早くベントをやるべきだ」との意見で一致し、東電側と連絡を取った。
12日午前1時半には海江田経産相を通じて東電にベントで圧力を下げるよう指示。しかし、東電側からは、できるかどうか明確な返答はなく、いらだつ官邸が「何なら、総理指示を出すぞ」と威圧する場面もあった。
それでも保安院の中村審議官は午前2時20分過ぎの会見で「最終的に開ける(ベントする)と判断したわけではない。過去にベントの経験はない。一義的には事業者判断だ」と説明した。
午前3時、東電は官邸に「2号機は冷却装置が働いている」と報告した。それでも、官邸にいた班目委員長は「これからベントですね」と語った。
◇政府と東電 微妙な食い違い
ほどなく、海江田経産相と小森明生・東電常務が会見した。海江田経産相は「ベントを開いて圧力を下げる措置を取る旨、東電から報告を受けた」と説明し、すぐに小森常務にバトンを渡した。これに対し、小森常務は「国、保安院の判断を仰ぎ、(ベント実施の)判断で進めるべしというような国の意見もありまして」と述べる。「東電の判断」という海江田経産相の説明と微妙な違いを見せた。
方法は、水蒸気を直接大気に出す「ドライベント」ではなく、いったん水にさらして放射性物質を100分の1程度に減らす「ウエットベント」だった。いずれにしても前例がない。
会見で、小森常務は当初、2号機でベントを実施すると表明したが、代わった東電の担当者は「今入った情報では、2号機は冷却機能が働いていると確認できた。1号機になるかもしれない」と説明した。記者を混乱させた。
原発敷地内では放射線量が上昇し、保安院は午前6時、1号機の中央制御室で通常の約1000倍の放射線量が計測されたと発表した。原発正門付近でも通常の約8倍を記録した。今回の東日本大震災で初めて放射性物質の漏えいが確認された。
政府は原子炉等規制法に基づき、東電にベントをするよう命令した。午前6時50分だった。
◇未明に指示 朝になっても……
午前6時過ぎ、首相は班目委員長らと官邸ヘリポートから陸上自衛隊の要人輸送ヘリ・スーパーピューマで福島第1原発へ飛び立った。首相は線量計を携帯していた。午前7時過ぎ、同原発に着いた首相は大地震に耐えられる免震重要棟に移った。
「そんな悠長な話か。早くベントをやれ」
首相の怒声が響く。未明に指示したベントはまだ実施されていなかったからだ。現場を熟知する吉田昌郎福島第1原発所長は実施を約束。この後、官邸は東電本店よりも吉田所長に信頼を置くようになる。
◇12日15:36−−崩壊
◇指示から9時間、ようやく開始
官邸からの再三の要請を受けて、東電では福島第1原発で現地の作業員らが冷却機能を失った原子炉の圧力を下げるため、炉内から水蒸気を外部に出すベントの準備に取りかかっていた。当初は2号機のベントが想定されたが、途中から1号機の原子炉格納容器の圧力が上昇していることが分かり、こちらを優先することになった。
東電の原発事故時のマニュアルには手順も書かれているが、放射性物質を含んだ水蒸気を原発の外部に出すという初の事態に「福島の現場も東京の東電本店も緊張した」(保安院幹部)。しかも、停電で原子炉から水蒸気を放出するための圧力弁は自動では作動せず、放射線量が高い格納容器周辺に作業員が行き、手で弁を開く必要があった。停電で真っ暗な中での準備作業は難航。首相の視察後もなお現場は「ベントを開始できるまで、どれだけ時間がかかるか分からない」という状況だった。
1号機の格納容器内の圧力は午前4時半には、通常の2倍超の8・4気圧に達し、核燃料が溶ける「炉心溶融」がいつ起きてもおかしくなかったが、ようやくベントが開始できたのは午前10時17分だった。
◇東電「ガスボンベ爆発では」 首相「東電つぶれる」
「ドーン」。震災対応をめぐる与野党党首会談が行われていた午後3時36分、福島第1原発1号機の原子炉建屋がごう音を立て、白い煙を噴き上げた。圧力が上昇した格納容器から漏れた水素が建屋の上部にたまり、空気と反応して水素爆発を起こしたのだ。テレビ画面では福島中央テレビが撮影した煙を上げる1号機の様子が生中継され、アナウンサーが興奮した声で爆発のニュースを伝えていた。
与野党党首会談を終えた菅首相は執務室に戻ったが、東電からも保安院からも情報は入っておらず、問い合わせにも東電は「建屋から煙が出ている」というだけだった。首相は「なぜ官邸にすぐに報告できない。こんなことをしていたら東電はつぶれる」と、東電から派遣された幹部を怒鳴りつけた。幹部は「タービン建屋に保管しているガスボンベが爆発した可能性もあります」と説明したが、テレビ映像を見た首相には、小さなトラブルには思えなかった。約1時間後、東電からの連絡で水素爆発らしいと分かり、厚いコンクリートで覆われた建屋の上部が吹き飛ばされたことが判明する。
「重要な情報がすぐに上がるように、東電の原発担当者を官邸に常駐させろ」。しびれを切らした首相は執務室横の特別応接室に「私設本部」を設け、東電幹部と保安院を所管する海江田経産相をそこに詰めさせた。ある政府高官は「首相は海江田さんや東電幹部を質問攻めにする一方、実務にたけている官僚とは話すらしなかった。『政治主導』にとらわれ過ぎているのではないか」と危惧した。
一方、東電本店では、詰め掛けた取材陣に広報担当者が「建物の被害はテレビでしか確認できていない。作業員を今、現場に向かわせているところ」と繰り返すばかりだった。午後6時ごろから会見した保安院も爆発の状況や被害など正確な情報を把握していなかった。
「これから一体、何が起こるんだ」。防衛省では、1号機の爆発をテレビで知った北沢防衛相が経産省や保安院から情報が入らないことにいら立った。「事実が分からないと、どういう対応ができるか戦略が立てられない。自衛隊として何ができるんだ」−−。語気を強める防衛相に、同省の緊張感は一気に高まった。
自衛隊は、陸自の隊員4人が1号機の爆発直前まで消防ポンプ車2台で原子炉を冷やすため、水を注入していた。爆発当時は、原発から約5キロ離れた地点に下がっており、危うく負傷や被ばくを免れた。ある防衛省幹部は「非常用電源まで落ちているとは知らなかった。ベントももっと早くから行われていたと思っていた」と、東電や保安院への不信感をにじませた。
検証・大震災:原発事故2日間(7止)情報不足、米国も不信感
東電は原発の「安全神話」が崩れていく現実を直視できず、初動の対応を誤った。官邸は政治主導にこだわりながら東電や保安院との緊密な連携を図れず、結束して危機に立ち向かえなかった。それは「想定外」という言葉でけっして片づけられるものではない。
オバマ米大統領が大震災発生の一報をデーリー大統領首席補佐官から受けたのはホワイトハウスで就寝中の11日午前4時(日本時間同日午後6時)。午前9時半から電話で参加したナポリターノ国土安全保障長官らと緊急協議し、午前10時15分(同12日午前0時15分)にいったん中断して菅首相と電話協議に臨んだ。
オバマ氏の関心は原発の現況にあった。首相は「今のところ放射能漏れの証拠をつかんでいない」と答えたが、オバマ氏は原発の安全システムが破損した最悪の事態を想定、チュー・エネルギー長官に対応を指示した。
米政府が不満を募らせたのは情報不足だった。クリントン国務長官が11日、在日米軍機が「原発の一つに冷却材を運んだ」と述べ、その後事実誤認と判明したが、米国では情報不足が招いた「誤情報」と受け止められた。12日未明に日本に向かった米国際開発局(USAID)派遣の捜索・救助チーム75人に放射能対策の装備はなかった。
◇一斉に「日本側の情報隠し」報道
原発政策を担う米原子力規制委員会(NRC)の対応は素早かった。11日中に担当技術者2人を東京に派遣。首相官邸に常駐を希望し、派遣人数を16日までに11人に増員したが、少ない情報は「日本不信」をあおった。
NRCのヤツコ委員長は16日の下院公聴会で「使用済み燃料プールには水がないと信じている」と証言、「水はある」とする日本側と対立。ルース駐日米大使は「福島第1原発から50マイル(約80キロ)範囲の米国人退避」を勧告した。米国防総省も在日米軍に対し、50マイル以内に許可なしに立ち入ることを禁じた。米メディアがいっせいに「日本側の情報隠し」報道にかじを切ったのはこの前後だった。日本の避難指示に疑問が出され、米政府高官は「状況評価は『深刻』から『非常に深刻』になった」と振り返る。
米国の原発建設は79年のスリーマイル島原発事故で中止となったが、オバマ政権が昨秋、原発推進を再開したばかりだった。しかも米国には福島第1原発1〜5号機と同型炉が23基稼働しており、人ごとではなかった。
◇日本の特異性を強調
原発推進派のロビイストたちは、米国の原発政策への影響を食い止めようと議員らに「日本の特異性」を説明。ワシントンのロビー団体「核エネルギー研究所」のフリント上級副所長は、ホームページにリンクされたビデオで「米国の原発は物理的にも、どう運営されているかについても、日本の原発とは全く違う」と強調した。
原子力安全・保安院が原子力政策を進める経産省の傘下にあることにも「産業界と親密な関係にある原発行政」(ウォールストリート・ジャーナル)など「米国と異なる監視体制」を指摘、日本特有の事故との印象を与えようとしている。
海水注入、実は原発・吉田所長が独断で継続
. 東京電力福島第一原子力発電所1号機の炉心を冷やす海水の注入が、東日本大震災の発生翌日に一時中断していたとされる問題で、東電は26日、「実際には海水注入は継続していた」と発表した。
同原発の吉田昌郎(まさお)所長が、事態の悪化を防ぐために必要と判断し、東電本店の意向に反して独断で継続していたという。この問題をめぐっては、政府・東電統合対策室が中断の根拠として示した班目春樹・内閣府原子力安全委員長の発言内容が訂正されたばかり。政府・東電の情報発信のあり方が改めて問われそうだ。
統合対策室は21日、海水注入中断の経緯を公表。その中で、東電は3月12日午後7時4分に海水の試験注入を始めた後、原子炉の再臨界を懸念した官邸の意向に配慮し、7時25分に独断で注入を中断。その後、首相の指示を受け、8時20分に再開し、55分間の中断が起きていたとしていた。
しかし、実際には、官邸詰の東電社員から「首相の了解が得られていない」との連絡を受け、東電は東電本店と第一原発を結んだテレビ会議で中断を決定。吉田所長は、この場で反論はしなかったが、独断で注水を継続した。
午後8時20分に注水を再開したとの連絡が、吉田所長名で入ったため、東電は中断が起きたと判断した。東電は今月24、25の両日、吉田所長らに聞き取り調査を実施。吉田所長は事実を明かした理由について「国際原子力機関(IAEA)の調査もあり、正しい事実に基づき評価が行われるべきだと考えた」と説明したという。吉田所長は1979年入社。福島第一での勤務歴も長く、昨年6月から所長を務めている。
東電の松本純一・原子力立地本部長代理は「最初に公表した調査結果は、本店の関係者と、本店に残っているメモだけを基にした」と調査が不十分なまま公表したことを認めた。
(2011年5月26日21時09分 読売新聞)
連合、原発推進の方針凍結…今後は白紙で議論
. 連合は26日の中央執行委員会で、東日本大震災の東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、原発の新増設について「着実に進める」としていた従来の方針を凍結することを決めた。
同日決定した「災害復興・再生に向けた政策」では、福島第一原発事故の現状について「安全確保と地域住民の理解という前提条件が確保されがたい状況だ」と指摘。その上で、連合のエネルギー政策の見直しは「事故収束に向けて東電が示した工程表の進展状況を踏まえて進める」とした。
連合内には、原子力政策について電力系労組などに推進論がある一方、慎重論も根強かったが、政権交代を機に昨年8月にまとめた「エネルギー政策に対する連合の考え方」で、推進の立場を初めて明確にしていた。
しかし、福島第一原発事故を踏まえ、「事故の検証を待たなければ、原発をどう位置づけるかという選択肢が広がらない」(古賀伸明会長)として、政府や東電の検証を見極めたうえで白紙で議論することにした。
(2011年5月26日20時35分 読売新聞)
注水問題「迷走、開いた口ふさがらない」谷垣氏
. 東京電力が26日、福島第一原子力発電所事故で「海水注入の中断はなかった」と発表したことに、野党からは「信じられない」「菅首相の責任だ」などと厳しい批判があがった。
民主党内からも「政権の信頼はがた落ちだ」との声が漏れている。
自民党の谷垣総裁は26日の記者会見で、「事実説明の迷走に、開いた口がふさがらない。日本政府が原発をどう安定させるか、世界が注目する中、事実関係がくるくる(変わる)ということで、信頼を回復出来るのか」と語った。安倍元首相も記者団に「我々が追及したから、ウソが明らかになったということだ。すべての責任は首相にある。即刻辞めるべきだ」と強調した。
自民党は、6月1日の党首討論で首相から注水中断の指示があったかどうかを谷垣氏が追及する方針だった。同氏周辺は「注水が続いていたということは、原子炉が冷却され続けていたという点では『問題はなかった』ということになる」として、菅政権の情報発信を巡る混乱に焦点を当てる構えだ。
(2011年5月26日20時23分 読売新聞)
枝野氏不快感「我々も対応に苦慮」注水継続問題
. 枝野官房長官は26日の記者会見で、東京電力福島第一原発1号機で海水注入が継続していたとの東電の発表について、「事実関係を正確に報告してもらわないと、我々も対応に苦慮するし、国民が疑問、不審に思う」と述べ、東電の対応に不快感を示した。
枝野氏によると、東電側から枝野氏に報告があったのは、東電が記者会見して注水継続を発表する直前の「午後3時前くらい」だった。枝野氏は「情報の共有や意思の疎通が図られないままに発表されていたことが原因だ」と述べ、経済産業省原子力安全・保安院などを通じて、誤った情報が公表された経緯について東電に説明を求める考えを示した。
(2011年5月26日19時19分 読売新聞)
孫社長:埼玉などと連携、全国10カ所に太陽光発電所計画
孫正義・ソフトバンク社長=小座野容斉撮影 東日本大震災と福島第1原発事故の発生以降、原発依存からの脱却を訴えているソフトバンクの孫正義社長が、全国10カ所に大規模太陽光発電所「メガソーラー」を建設する検討に入ったことが21日分かった。
関係者によると、「脱原発」構想を掲げる橋下徹大阪府知事が孫氏に共鳴。これをテコに孫氏は7府県でつくる関西広域連合などと連携。総額約800億円を投じて、1施設当たり1万〜5万キロワットのメガソーラーを建設したい考え。事業費については、各自治体にも一部負担してもらうよう要請する方向だ。
埼玉県の上田清司知事は21日、県内で記者団の取材に応じ、孫氏側が79億円、県など地元自治体が1億円をそれぞれ負担して、80億円の事業費でメガソーラーを建設する計画を進めていることを明らかにした。発電能力は約2万キロワット以上という。【堀文彦、高山祐、西田真季子】
毎日新聞 2011年5月21日 21時48分(最終更新 5月22日 3時25分)
保安院と同時に首相官邸にも送信 1号機の海水注入計画
福島第1原発1号機への海水注入が一時中断した問題で、経済産業省原子力安全・保安院は26日、東京電力が海水注入の計画を保安院に伝えたファクス文書が、同時に首相官邸にも送信されていたことを明らかにした。
保安院によると、文書は海水注入開始の約4時間前の3月12日午後3時20分ごろ、内閣情報集約センターに送信された。官邸と東電も送受信を認めているという。
この文書記載の海水注入計画をめぐって、保安院をはじめ政府側が見落としたのではないか、との見方が浮上している。
(2011/05/26 13:37)
福島原発、半年後も燃料発熱続く 東電、計算結果を公表
東京電力は26日、地震から半年が経過しても、福島第1原発1〜3号機の原子炉の燃料から、熱出力で計約3千キロワットに相当する発熱が続くとの計算結果を公表した。5月20日時点では各号機でそれぞれ千〜2千キロワットとの推計。冷温停止に向けて安定的な冷却システムの設置を急ぐ必要性があらためて示された形だ。
各号機の出力や炉内の燃料の量などから試算。熱出力は1号機で138万キロワット、2、3号機で238万キロワットだが、3月11日の運転停止後、4月10日までに各2千〜3千キロワットと急激に減少。9月になっても各千キロワット前後が出続ける。
原発の運転が止まっても、燃料からはその後も「崩壊熱」が出続け、熱の減少は時間とともに緩やかになる。1号機は2、3号機より燃料が少なく崩壊熱も小さい。原発の発電能力を示す出力は、燃料の熱出力の3分の1程度。
(2011/05/26 13:19)
自然エネ割合20%へ 首相、OECDで公約
【パリ共同】菅直人首相は25日午後(日本時間26日未明)、パリで開かれた経済協力開発機構(OECD)設立50周年記念行事で講演し、福島第1原発事故を受けたエネルギー政策見直しについて、太陽光や風力など自然エネルギーの総電力に占める割合を「大胆な技術革新」により2020年代の早期に20%へ拡大する方針を表明した。実現のため太陽電池の発電コストを20年に現在の3分の1に、30年には6分の1まで低減することも打ち出した。
首相が白紙化に言及したエネルギー基本計画は自然エネルギーを30年までに20%にすることを掲げており、これを前倒しした形となる。事実上の国際公約だが、自然エネルギー割合は現在1%程度で、水力発電を含めても約10%。活用推進には技術、コスト面で問題点が指摘され、目標達成には多くのハードルがありそうだ。
首相は、原発の安全性向上や、石油など化石燃料の環境負荷低減、自然エネルギーの実用化、省エネの「四つの挑戦」に国家の総力を挙げると強調。特に自然エネルギーを「社会の基幹エネルギーへ高める」とした。3割を賄う原発については、増減に言及しなかったが、事故を教訓に「最高度の原子力安全を実現していく」と述べた。
原発事故をめぐっては、汚染水の海洋放出の連絡遅れも念頭に「各国に多大な心配をかけた」と陳謝。「事態は着実に安定してきているが、一日も早く収束させるべく国の総力を挙げて取り組んでいる」と理解を求めた。事故原因や経緯の検証を通じ「多くの教訓を世界や未来の世代に伝えることは、わが国の歴史的責務だ」と強調した。
東日本大震災に対する各国や国際機関の支援に謝意を表明。「国際社会に開かれた復興を目指す」とした上で「日本経済の再生は既に力強く始まっている」と述べた。原発事故の風評被害を踏まえ「日本のほとんどの観光地は安心して訪問できる」とも訴えた。
【写真】 パリで開かれたOECD設立50周年記念行事で講演する菅首相=25日(共同)
(2011/05/26 01:49)
地震直後、圧力容器破損か 福島第1原発1号機
東京電力福島第1原発事故で、東日本大震災の地震発生直後に1号機の原子炉圧力容器か付随する配管の一部が破損し、圧力容器を取り囲む原子炉格納容器に蒸気が漏れ出ていた可能性を示すデータが東電公表資料に含まれていることが25日、分かった。
1号機への揺れは耐震設計の基準値を下回っていたとみられ、原子炉の閉じ込め機能の中枢である圧力容器が地震で破損したとすれば、全国の原発で耐震設計の見直しが迫られそうだ。
格納容器の温度データを記録したグラフでは、3月11日の地震直後に1号機の格納容器で温度と圧力が瞬間的に急上昇していたことが見て取れる。1号機では温度上昇の直後に、格納容器を冷却するシステム2系統が起動し、格納容器内に大量の水が注がれた。
データを分析した元原発設計技師の田中三彦氏は「圧力容器か容器につながる配管の一部が破損し、格納容器に高温の蒸気が漏れたようだ」と語った。
東電は「空調の停止に伴う温度上昇。破断による急上昇は認められない」としているが、田中氏は「空調の停止なら、もっと緩やかな上がり方をするはずだ」と指摘している。
(2011/05/26 01:16)
短時間に大量の水素が発生 福島第1原発の爆発原因
福島第1原発事故で、1〜3号機の炉心で水位が低下して燃料が露出した後、短時間で大量の水素が発生していたとみられることが東京電力が公表した資料で25日、分かった。
いったん燃料が水面から露出すると、1時間以内に300〜400キログラムの水素が一気に発生していた。これが原子炉建屋内に漏れ出して1、3号機が水素爆発、事故拡大を招いたとみられる。
東電がデータを解析した結果、1号機で約750キログラム、2号機は少なくとも350キログラム、最大で800キログラム、3号機は同じく600〜700キログラムの水素が発生していた。燃料がすべて水に漬かっている間は発生していなかったが、燃料が露出すると急増。その後1日程度、増え続けていた。
1号機では3月12日午前6時ごろには約750キログラムに達し、午後3時半ごろに建屋が水素爆発。3号機では水位によって二つの解析パターンがあるが、14日午前までに最大で700キログラムが発生し、午前11時ごろに建屋が爆発した。
原子炉への注水が最も長く続けられた2号機ではその分、水素の発生開始も遅れた。2号機ではその間に、原子炉建屋の上部にある水素を逃がすための換気口を開けており、それによって爆発を免れた可能性がある。
原子燃料の被覆管に使われているジルコニウムという金属が高温になると水から酸素を奪って、水素が発生する。原子力安全委員会の資料では「冷却水喪失事故では、水素は分単位で発生する」として対策が求められていた。
(2011/05/25 21:43)
原発規制、責任の明確化を IAEAが07年調査で勧告
国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)が2007年の専門家による訪日調査で、日本の原子力安全規制の関係機関は責任分担が不明瞭だと指摘し、原子力安全委員会と経済産業省原子力安全・保安院の「役割を明確化すべきだ」と日本政府に勧告していたことが25日分かった。
IAEAは、原子力利用を推進する立場の経産省から、保安院の独立性を確立する法的措置を取るよう助言もした。しかし、勧告や助言を受けた抜本的な対策は取られなかった。福島第1原発事故で来日したIAEA調査団は25日から本格調査に入ったが、今後、日本政府が外部の指摘を生かせるかが問われそうだ。
IAEAは07年6月、日本の関係機関から聞き取り調査を実施。独自の安全基準に照らして報告書をまとめた。報告書は「原子力安全のための組織の責任分担は、もつれ合っているように見受けられる」と指摘。また、規制が技術的な観点に偏って、人や組織の要因を軽視しているとして、原子力安全委と保安院の役割の明確化など28項目の勧告・助言をした。
報告書は、日本では原発は安全との前提から、設計基準を超える「シビアアクシデント(過酷事故)」対策の法的規制が存在しないと指摘。過酷事故に十分に備えるよう求めたほか、保安院の原発立ち入り検査の実効性に疑問を投げかけた。
(2011/05/25 16:54)
東電、事故直後の放射線データ一部未公表
読売新聞 5月27日(金)18時5分配信
細野首相補佐官は27日夕の統合対策室の合同記者会見で、東京電力が福島第一原子力発電所の事故直後の放射線測定データを、一部公開していなかったことを明らかにした。
東電から同日、報告を受けたという。
細野補佐官は「事故後2か月半になる今になって出てくるのはタイミングが遅い。なぜそうなったのか。ほかにも未公表のデータがないのか再確認を求めた」と述べ、東電に対して、28日に説明するよう要請したという。
東電によると、事故直後の3月11日—15日の5日間に測定した一部データなどが未公表だったという。 .最終更新:5月27日(金)18時5分
なぜ東電の株価はゼロ円に近づかないのか?
ダイヤモンド・ザイ 5月27日(金)15時45分配信
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東京電力の理論的企業価値と市場価値を比較したもの(株価が400円の場合)
金融機関が債権放棄をする、しないで議論が盛り上がっている東京電力であるが、これから賠償金の負担額がどこまで膨れ上がるかわからない状況において、東電の適正な株価を見極めるのは極めて難しい。
■株価は急落後は400円前後で安定推移をしている
しかし、株価は震災以降400円前後を「安定推移」している。さすがにこの1週間ほどはメルトダウンの報道があったので、損害賠償金額のさらなる拡大を懸念して株価は下落基調にあるが、それでも、まだ300円台である。
一般的に経営破たん企業をイメージさせる株価は100円割れ、あるいは、限りなくゼロ円に近づくケースであろうが、東電の表面上の株価はそういう経営破たん企業のイメージにはまだ遠い印象である。
株価を予想する代表的な手法はPER(純利益株価倍率)であるが、当面の間は利益はほぼすべて賠償金や特別費用の支払いなどに充てられることが予測される状況においては、純利益がゼロとなるため、PERによる株価評価はできない。
PBR(純資産株価倍率)にしても、下手すると債務超過に陥りかねない状況ゆえにまともには使えない。もっとも、本当に債務超過となると上場廃止が近づいてくるため、なんとしても債務超過は避けるのだとは思うが、実質的に債務超過に近いことは誰の目にも明らかである。
そこで、キャッシュフローをベースにして、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー:将来生み出すであろうキャッシュフローをもとに企業価値を算出する方法)を用いて株価評価を試してみる。東電の現在の状況は不確実性が高く、以下の算出は非常にあらい前提を置いて行うため、信ぴょう性の面では保障できないが、東電株価がなぜゼロ円にならないか、あるいは、どうなると株価がゼロ円になるのかのメカニズムはご理解いただけると思う。
■市場は1兆円程度の賠償金額を想定している?
-震災前-
・時価総額3.2兆円(株価2000円の前提)
・有利子負債6.8兆円(2010年12月末時点)
・市場で評価されていた企業価値:10.0兆円(時価総額と有利子負債の合計)
一方、株式資本コスト(株主が求めるリターン)を4%、有利子負債コストを1.5%と想定すると、加重平均資本コスト(WACC)は2.3%となる。今年の1月時点では、2011年3月期の予想営業利益は3200億円だったが、これの税引き後利益をフリーキャッシュフローとし、毎年0.5%の成長と仮定して企業価値を算出すると10.7兆円となる。上の10.0兆円とおおむね整合的である。ちなみに、株価が2200円程度で市場での企業価値とDCFによる理論的な企業価値はほぼ同額となる。
-震災後(最近の状況)-
・時価総額0.64兆円(株価400円の前提)
・有利子負債6.8兆円(2011年3月末時点)
・市場で評価されている企業価値:7.4兆円(時価総額と有利子負債の合計)
震災後、東電の格付けは大幅に引き下げられ電力債の利回りも上昇しており、有利子負債コストに3.5%を適用し、それにともなって株主資本コストも7%を仮定すると、加重平均資本コスト(WACC)は3.8%となる。2011年3月期の営業利益実績値は約4000億円であったが、これは費用削減の努力により当初予想より800億円ほどかさ上げされたものである。
そこで、今期以降の営業利益が、当初の前期予想営業利益であった3200億円で推移すると仮定し、税金ゼロ、成長率0%とすれば、企業価値は8.4兆円と算出される。市場でついている企業価値よりも、DCFによる理論的な企業価値のほうが約1兆円ほど多く、市場は1兆円程度の賠償金額の負担を予測していると言えよう。
ただ、報道ベースでは数兆円規模の損害賠償を予測する声もあり、もし損害賠償金額がより大きくなれば、その分株主や債権者が泣く必要が出てくる。
■東電の収益力次第で今後の株価、金融機関の債権カットの有無が決まる
以上はあくまでも営業利益が前期の当初予想程度で推移し、税金をゼロとした場合である。営業利益が下がれば、企業価値は下がる。
例えば、今後の営業利益を2500億円に仮定すると、その他の仮定を上と同じとすれば、理論的な企業価値は6.6兆円となり、東電が抱える有利子負債の金額すら下回る。この場合は、株式責任により株価をゼロとしてもまだ足りず、金融機関による債権カットが必要となるが、賠償金額の負担が発生するため、債権カットの金額はその分さらに増加せざるを得ないことになる。
また、現在の東電の株式資本コストを7%と仮定したが、もし実際に債権カットの実現性が高まれば、株主責任を免れることは難しくなるだろう。したがって、今の東電株のリスクと期待リターンからは、株式資本コストは感覚的にはもう少し大きいかもしれない。この数値が上がれば、その分、理論的な企業価値も下がる。
目に見えない資本コストで議論するよりは営業利益で議論するほうが分かりやすいが、営業利益が3200億円なのか2500億円なのかで企業価値は1.8兆円も異なる。
要するに、株主価値の増減、債権カットの有無はすべて東電の収益力次第となってくるのである。そうなれば、当然のことながら、株主も債権者も、そして国も、東電に対して売上の維持と費用の聖域なきカットを要求し続けることになる。電力の供給量は当面増やせないため、費用の削減に頼らざるを得ない。
■人件費のカット、資産売却をすればなおよし
メディアがよくやり玉に挙げる人件費は、東電は前期に単独ベースで4300億円計上しているが、これを1割カットして、そのまま営業利益が増加したとすれば、上の仮定を当てはめてDCFで計算すると、1.1兆円分の企業価値を生み出すことになる。端的には、その分だけ株主や債権者の負担額が減る。
なお、上の前提は、資産の売却などを考慮に入れていないため、資産売却が進めばその分だけ楽になる。90年代後半に銀行が次々と社宅などの保有施設を売却していったが、同じようなことが東電でも行われる可能性が高いであろう。
東電に対する費用カット、資産売却の要求は、国民の様々な思いの入り交ざった感情的なものという側面も強いが、費用削減度合いがそのまま株主と債権者に跳ね返るため、75万もの株主と我が国最大規模の有利子負債を抱える東電にとっては、単なる感情的な批判と受け流すことはできない状況である。
東電株は、普段は株式投資をやらないリスク許容度の低い個人投資家も、安定配当を目的とした預金代わりに購入していたという経緯がある。これまではコンスタントに毎年60円前後の配当を支払い、株価は2000円から3000円のボックス圏で推移してきた。配当利回りで2%〜3%である。
そのような安定優良株から一転し、株価が再び上昇することも、そして配当を復活させることも当面はほとんど期待できない。75万の株主の憂鬱が解消される日はまだまだ程遠い。
(文/保田隆明)
*ザイ・オンラインに掲載
福島第一原子力発電所1号機への海水注入に関する時系列について
平成23年5月26日
東京電力株式会社
当社は、本年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力
発電所の事故に関し、事態の収束に全力を挙げて取り組むとともに、事実関係の
調査を進めております。
こうした中、3月12日に実施した1号機への海水注入に関する主要な時系列につ
いて、これまでに以下の内容が判明しましたので、お知らせいたします。
-3月12日の主要な時系列-
12:00頃 社長が海水注入の準備について確認・了解
14:50頃 社長が海水注入の実施について確認・了解
14:53頃 淡水の注入停止(これまでに8万リットル注入)
15:18頃 準備が整い次第、海水注入する予定である旨を原子力安全・保安院等
へ通報
15:36頃 水素爆発
18:05頃 国から海水注入に関する指示を受ける
19:04頃 海水注入を開始
19:06頃 海水注入を開始した旨を原子力安全・保安院へ連絡
19:25頃 当社の官邸派遣者からの状況判断として「官邸では海水注入について
首相の了解が得られていない」との連絡が本店本部、発電所にあり、
本店本部、発電所で協議の結果、いったん注入を停止することとした。
しかし、発電所長の判断で海水注入を継続。(注)
(注) 関係者ヒアリングの結果、19:25頃の海水注入の停止について、発電所長
の判断(事故の進展を防止するためには、原子炉への注水の継続が何より
も重要)により、実際には停止は行われず、注水が継続していたことが
判明しました。
以 上
山本太郎「事務所、辞めました!これ以上迷惑かけられない」福島の子どもたちのため覚悟の決意表明
シネマトゥデイ 5月27日(金)23時10分配信
拡大写真
福島の親たちと文科省職員との緊迫したやり取りを見つめる山本(画面左)
俳優の山本太郎が、27日、自身のツイッターで所属事務所のシスカンパニーを辞めたことを報告した。
山本は、27日21時半ごろのツイッターで、「事務所辞めました!今日。これ以上迷惑かける訳いかないから。辞めるな、と社長、スタッフの皆さん何度も引き止めて下さった。最後には僕のわがままを聞いて貰いました。13年もいたSISは正義感強く情に厚い事務所。もう関係ないから事務所への電話しないでね。他の役者に迷惑かかる(原文ママ)」と報告した。
福島第一原発で起こった原発事故のあと、「 反対。って言うと、芸能界で仕事干されるんです、 御存知でした?でも言ってやります、反対!」と山本は、脱原発を自身のツイッターで声高に訴え、デモに参加するなど原発反対運動を続けてきた。
福島の子どもたちを疎開させるべく立ち上げられたプロジェクト「OPERATION KODOMOTACHI」では、7分以上にわたるメッセージを送り、23日には文科省の前で、福島県の親たちとともに、福島県の学校に通う子どもが受ける放射線量を年間1ミリシーベルト以下にするように訴えた。
文科省前で、「何も行動しなければ、僕は自分を許せない」とわれわれの取材に応える一方で、長年所属してきた事務所に対しては、「たくさんの役者さんが所属している事務所なんで、あまり迷惑はかけたくないんですが……」今は見て見ぬふりをしてもらっている状態なんです。本当に感謝しています。と複雑な気持ちを伝えていた山本。今回、ツイッターで、原発発言が問題となりドラマがなくなったと告白したことが波紋を呼び、事務所まで取材攻勢の電話が及んだことで、「これ以上迷惑をかけられない」という気持ちになったのだろう。
27日、文科省の高木大臣は会見を開き「福島県の学校に通う子どもが受ける放射線量を年間1ミリシーベルト以下にすることを目指し、毎時1マイクロシーベルト以上の線量のある学校に対しては費用の支援もおこなう」と、発表した。23日、山本太郎とともに文科省前で20ミリシーベルト問題を訴えた「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」代表の中手聖一さんは、「本当に小さな小さな一歩ですが、皆さんの力が、国を動かしたと思っています」と声を震わせ、孤立無援の状態でも、声を上げ続けた山本に、「福島出身でもない山本さんが、わたしたちと一緒に声をあげてくれたことは本当に心強かった。わたしは彼に、勇気を出してくれてありがとう、と言いたいです」と語った。(編集部:森田 真帆)
首相の太陽光パネル表明「聞いてない」と経産相
. 海江田経済産業相は27日の記者会見で、菅首相が主要8か国(G8)首脳会議(サミット)で表明した太陽光パネルを住宅1000万戸に設置する目標について、「報道を通じて知った。(首相からは)聞いていない」と述べ、エネルギー政策を担当する経産相へ事前相談がなかったことを明らかにした。
海江田経産相は、「総理ですから、自分の思いを発言するのは構わないことだと思う」と説明した。その上で、太陽光パネルの設備費用など、1000万戸設置に必要な財源の確保については「(首相が)日本に帰ってから話をしたい」と述べるにとどめた。
(2011年5月27日20時36分 読売新聞)
小沢氏、米紙に「汚染はどんどん広がる」
. 民主党の小沢一郎元代表は27日に掲載された米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)のインタビューで、「菅首相はいつまでも(首相に)とどまりたい。だからみんな困っている。一日でも早く代わった方がいい」と述べ、首相の即時退陣を求めた。
野党が提出する方針の内閣不信任決議案への対応については、「どうするかよく考えている」と述べるにとどめた。
元代表は東京電力福島第一原子力発電所事故への菅政権の対応について、「対応が遅く、放射能汚染に対する認識が甘いというより全くない」と切り捨てた。
その上で、「汚染はどんどん広がるだろう。もう(周辺には)住めない。黙っていたら、東京もアウトになる」と訴えた。
(2011年5月28日02時14分 読売新聞)
君が代起立条例案:大阪府教育長は「義務付け必要なし」
首長政党「大阪維新の会」府議団が提案した公立学校の教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける条例案について、大阪府の中西正人教育長は27日の府議会本会議で「条例による義務付けは必要ない」と述べ、あくまで職務命令などで対応すべきだとの考えを示した。
中西教育長は見解を問われ、「校長と力を合わせて(不起立教員に)対応していくので、条例による義務付けは必要ない」と答弁。今春の府立高校入学式で不起立教員が38人いたことについては「府教委の取り組みが不十分だとの指摘もあり、真摯(しんし)に受け止めなければならない」と述べた。
これに対し、橋下徹知事は本会議後、記者団に「不起立教員がいなければ(条例は)必要なかった。(起立を徹底)できないならしょうがない」と必要性を強調した。【堀文彦】
毎日新聞 2011年5月27日 23時38分
当社福島第一原子力発電所のモニタリングデータの追加公表について
平成23年5月28日
東京電力株式会社
当社福島第一原子力発電所では、このたびの東北地方太平洋沖地震により、全て
のモニタリングポスト(8箇所)および伝送装置が電源断によって使用不能となっ
たため、それらが復旧するまでの間、モニタリングカー(移動式測定車両)を使っ
て測定するとともに、取得したデータは放射線管理員が自ら確認・記録し、手作業
で集約を行っておりました。しかも、通信回線や構内LANがしばしば使用できず、
一部手渡しで情報伝達をするなど厳しい状態でありました。
このため、通常時のように当社ホームページ上にモニタリングデータをリアルタ
イムで自動的に公表することはできませんでしたが、できるだけ早く公表するため
に、発電所で取得したデータを本店へファックス送付、その後、本店がデータを手
入力することで、3月11日17時30分から、可能な範囲でランダムな形ではあります
が、当社ホームページ上で掲載・公表いたしました。
地震直後の混乱の中で、各部署ともできるだけ早く放射線情報をお知らせするこ
とを目指して行動しておりましたが、発電所と本店との間では、放射線管理部門間
のやりとりとは別に、早期のホームページ掲載のためのやりとりも行われておりま
した。その結果、ホームページ上に掲載されていないデータもみられました。
また、少しでも多くのデータを取得するため、3月12日15時頃から14日12時頃に
かけて柏崎刈羽原子力発電所のモニタリングカーを配備(MP4付近)しました。こ
のモニタリングカーでは、データを2分間間隔で取得できますが、当社はモニタリ
ングデータの公表に関して、従来から、10分間隔の値を用いることとしており、原
則、それに沿った公表をさせていただいておりました。
このため、関係各所が保有するデータと公開されたデータの照合作業を進めてま
いりましたが、本日、改めて全体をとりまとめて公表することといたしました。
以 上
参考:福島第一原子力発電所モニタリング追加・修正データ(3月11日〜21日)
(PDF 230KB)
(CSVダウンロード 23.1KB)
2011年5月28日(土)
つくば市、学校の線量測定開始 研究機関協力、ネット公開へ
【写真説明】
放射線量を測定する産総研の職員=つくば市松代の手代木南小
福島第1原発事故を受け、つくば市は27日から市内の幼稚園や小中学校、高校などの教育施設で放射線量の測定を始めた。今後は県から貸与された線量計1台のほかに市独自に13台の線量計を購入し、定期的に測定。市のホームページで公表していく。
市内の研究機関と協力して実施する。原発事故の発生後、児童生徒の保護者から市に不安を訴える声が寄せられていた。
対象は市内にある市立、県立、私立の保育所、幼稚園、児童館、小中学校、高校、養護学校計132施設。
同日の測定作業には筑波大や高エネルギー加速器研究機構、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構、国立環境研究所の5機関から専門の研究者ら13人が参加。市職員と2人一組の13班体制で回り、地表から高さ1メートルと50センチの2段階で測定した。
同市松代の手代木南小(児童数617人)では産総研の研究員が測定し、市職員が数値を記録。高さ50センチで毎時0・17〜0・19マイクロシーベルト、高さ1メートルで毎時0・16〜0・17マイクロシーベルトだった。国の暫定基準値を下回っており、研究員は「まったく気にする必要のない値」と話した。
同小の飯島賢一校長は「子どもが実際に遊ぶ場所で測定してもらうことで、保護者も安心できると思う」と話した。
教育機関の放射線量は つくば市内の全132カ所測定
2011年5月28日
つくば市は二十七日、市内の幼稚園、保育所、児童館、小中学校、高校など全百三十二の教育機関で放射線量を測定した=写真。結果は近日中に市のホームページで公表する。
筑波大や高エネルギー加速器研究機構など市内の研究機関が線量計を無償で提供、研究員が同行するなど、測定に全面協力した。
手代木南小学校では、産業技術総合研究所の研究員が校庭中央部の地表付近と地上五十センチ、同一メートルで測った。結果は毎時〇・一六〜〇・二一マイクロシーベルト。研究員は「つくばは全体的に数値が低めで、この学校でも心配する必要はない」と話した。
市は既に線量計十三台を発注しており、専門家の意見を踏まえて測定場所や方法、頻度を決め、六月から定期的に測定し、結果を公表する。 (小沢伸介)
許容限度の100倍、作業困難=2号機建屋、空気中の放射能濃度—福島第1
時事通信 5月29日(日)22時32分配信
福島第1原発事故で、東京電力は29日、2号機の原子炉建屋1階で26日に空気中の放射性物質を採取し、分析した結果、放射線業務に従事する作業員が吸い込むことが許容される濃度限度の約100倍だったと発表した。
建屋上部にある使用済み燃料プールの水温が高いため、湿度も99.9%と高く、長時間の作業ができない環境。室温は最高36.7度だった。
東電はプールに設置作業中の循環冷却装置で水温を下げた後、1号機と同様に空気中の放射性物質の浄化を経て、原子炉用の循環冷却装置の設置に進む方針。
-福島第1原発-5号機で冷却復旧…予備ポンプに切り替え
毎日新聞 5月29日(日)13時33分配信
拡大写真
海側から望む福島第1原発。右奥から原子炉建屋6号機、5号機、1号機、2号機、3号機、4号機。左端は集中環境施設=2011年4月10日、本社ヘリから高度1350メートル、30キロメートル離れて撮影
東京電力は29日、冷温停止中の福島第1原発5号機で、原子炉と使用済み核燃料プールを冷却するための仮設の海水ポンプが28日に故障したと発表した。モーター部分の絶縁不良が原因とみられる。原子炉とプールの冷却機能が15時間程度失われた結果、原子炉冷却水の温度は29日午後0時49分に94.8度、プールは正午現在で46.0度まで上昇した。東電は同日午前8時過ぎから予備ポンプに切り替える作業に着手。同日午後0時31分、予備ポンプが起動し、午後0時49分、冷却を開始した。その結果、午後4時現在で原子炉冷却水は64.9度となった。
【図説で見る】福島第1原発事故
東電によると、故障したのは「残留熱除去系」と呼ばれるポンプで、海水を引き込み12時間ごとに原子炉とプールを交互に冷やしている。28日午後9時14分、冷却先をプールから原子炉に切り替えるため作業員がパトロールしている最中にポンプが停止しているのを見つけた。午後9時時点の原子炉冷却水の温度は68度、使用済み核燃料プールの温度は41度だった。
東電は「温度の上昇が予測できており予備のポンプもあるため、直接の危険はない」として翌29日朝までポンプの復旧に着手せず、公表もしていなかった。東電の松本純一・原子力・立地本部長代理は「国や県には28日夜の時点で報告したが、万一の事態を想定すれば、早めに公表しても良かった」と釈明し、今後は夜間でも公表する方針を示した。
一方、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は「急に会見して公表することで、危険性があると誤ったとらえ方をしてしまう住民もいるかもしれない。作業開始のタイミングも含めて、こういう扱いで良かったと思っている」と説明した。【酒造唯、藤野基文】
3・11にダム決壊、濁流で7人死亡していた
読売新聞 5月30日(月)7時50分配信
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ダム(手前)が決壊し、水が抜けた藤沼湖(18日、植村直人撮影)
東日本大震災の大きな揺れが襲った3月11日、内陸部の福島県須賀川市長沼地区では、農業用ダム「藤沼湖」(貯水量150万トン)が決壊し、濁流が集落をのみ込んだ。
7人が死亡し、1歳の男児が行方不明。15世帯56人が今も避難生活を送る。近くに「土砂災害警戒区域」もある。梅雨を迎えると地滑りなどの危険がさらに高まり、住民は不安を募らせている。
地震直後、ダム(高さ18メートル、幅133メートル)の堤が崩れるのを目撃した宍戸勝利さん(72)は「ごう音で、何が起きているのか分からなかった」と振り返る。ダムの水は濁流となり、約1キロ下流の滝集落を襲った。自宅1階にいた中村光子さん(65)が窓から見た濁流は、高さ5〜10メートル。4歳と2歳の孫2人を抱いて2階に駆け上がった。寒さに震えながら水が引くのを待った。「ダムの水で家が壊れるとは……」と驚きを隠さない。
ダムの決壊で、14〜89歳の男女計7人が死亡し、男児は今も行方が分からない。同市立長沼中2年林萌子さん(14)は、ダム決壊から44日後の4月24日、集落から約40キロ離れた二本松市内の阿武隈川で、遺体で見つかった。母親と祖父の家にいた萌子さんは流された時、母親と手をつないでいた。川岸に流れ着いた母親は救助されたが、濁流の勢いは、2人の手をほどいてしまった。
祖父の斎藤喜八さん(69)は「今でも夕方になると家に帰ってくるのではと思う時がある。局地的な雨での川の増水が心配で、再び災害が起きないか不安はある」と話す。
ダムの水は下流域86・7ヘクタールにあふれ、内陸部に大きな“水害”をもたらした。流されたり、全壊したりした家屋は19棟、床上・床下浸水した家屋は55棟にのぼる。15世帯56人は近くの雇用促進住宅などで避難生活を余儀なくされている。 .最終更新:5月30日(月)8時12分
-節電-「県立校は冷房止めよ」 知事指示に愛知県教委困惑
毎日新聞 5月30日(月)2時30分配信
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大村秀章・愛知県知事
夏場の節電を陣頭指揮する大村秀章・愛知県知事が県立学校での冷房の停止を指示したことに対し、県教委が困惑している。県立高校に設置されたエアコンのほとんどは、公費ではなくPTAの寄付金などで設置され、電気代もPTAなどが負担しているのが実態。「知事の気持ちは分かるが、強権発動は難しい」(幹部)というわけだ。
【就業時間を早め節電】企業に広がる「サマータイム」 効果は限定的
大村知事は、中部電力が浜岡原発の全面停止によって電力需要がピークになる時間帯の節電を呼び掛けたのを受けて対策を指示。24日の部長会議で「こんなに細かいことまで、という部分も含めて(対策を)積み上げたい」と述べた。その際、「照明がなくてもノートは取れる、と思わんわけでもない」と自らの学生時代をふり返り、「学校は(冷房などを)全部切ったれ」とはっぱをかけた。
だが、実際はそう簡単ではない。県教委によると、県立高149校のうち、県の支出で教室に冷房が設置されているのは2校のみ。90校では県の財源不足にしびれを切らし、各校のPTAが寄付金を集めて07年から順次冷房を設置している。
県が冷房を設置した2校は、騒音や排ガスで窓が事実上開けられない。特別支援学校にも冷房があるが、体温調節ができない生徒もおり、いずれも冷房の停止は難しいという。
県教委の幹部の一人は「こちらはあくまで各校ごとに協力をお願いする立場。知事は現場の実態がまだお分かりになっていないのかもしれない」と話す。【三木幸治】
ドイツ与党、2022年までの原発廃棄で合意
. 福島原発
【ベルリン=三好範英】ドイツ・メルケル政権与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、自由民主党(FDP)の幹部協議で30日、遅くとも2022年末までにドイツ国内の全原発を廃棄するとの方針が合意された。
DPF通信が伝えた。協議はベルリンの首相府で行われた。
原則として21年までに稼働を停止するが、代替エネルギーへの転換が遅れて供給不足が生じる場合は、3基に限って22年まで稼働を継続する。
福島第一原発事故後、暫定的に停止した7基と、それ以前から事故で停止していた1基の計8基についてはこのまま停止する。
メルケル政権は6月6日にこの合意内容を盛りこんだ原子力法の改正案を閣議決定し、17日までに連邦議会、連邦参議院ともに通過させたい意向だ。
(2011年5月30日11時31分 読売新聞)
東北電、90年に大津波の論文 福島原発に生かされず
東日本大震災との関連が指摘される平安時代の869年に起きた貞観地震による津波について、女川原発(宮城県)の2号機増設の調査をしていた東北電力が1990年、津波が残した砂などの分析から、原発近くの仙台平野では海岸線から3キロ程度が浸水する大規模な津波だったとの調査結果をまとめていたことが30日、分かった。
当時、論文をまとめた阿部壽・東北電元常務は「原発でこうした調査をした例は、当時は聞かなかった」としている。女川2号機の津波想定はこうした調査などから高さ9・1メートルとされた。
東北電は、今回の地震で高さ14〜15メートルの津波が直撃した東京電力福島第1原発の近くの福島県内に浪江・小高原発を建設する計画を68年に発表。ここで津波の調査をすれば、福島第1原発などの危険性も判明した可能性があったが、地元の反対が強いことなどから実施していなかった。
貞観津波は古文書に「(多賀)城が壊れた」「千人が溺死」「数千百里が海になった」などの記述がある。相当な誇張と考えられていたといい、専門家は「貞観津波に目を向けるきっかけとなる貴重な研究成果だった」としている。
阿部元常務によると、直径3センチ程度のボーリングでは津波の痕跡を見つけることが難しいことから、面的な広がりのある「坪掘り坑」という手法を採用。地層の砂やその上下にある年代測定試料などの分析で、古文書の貞観津波の年代と矛盾しないかを調べた。
その結果、仙台平野の浸水域は海岸から約3キロで、津波の高さは河川から離れた平野部で2・5〜3メートル、海岸部ではさらに数メートル高くなったと推定。標高の低い平野は壊滅状態で、夜間という悪条件では千人が死亡しても矛盾はないとしている。
【写真】 東北電力女川原発
(2011/05/30 11:43)
東日本大震災 3月25日
8カ月前から電波異常 北大研究グループ観測 「地震前兆の可能性」
(2011/03/25 15:55)
クリックすると、検索結果一覧に戻ることができます -- 未曽有の被害をもたらした東日本大震災の約8カ月前から、東北地方のFM放送の電波が強くなる電波異常が続いていたことが、北大の研究グループの観測で分かった。道内の過去の大地震発生前にも同様の異常があり、同グループは「前兆現象の可能性がある」とみている。
観測したのは、地震の予知に取り組んでいる北大地震火山研究観測センター研修支援推進員の森谷武男博士(元北大助教授)のグループ。2002年から、ふだんは200キロ以上離れた場所や山などの障害物がある地域では受信できないFM放送向けのVHF帯(超短波)が地震発生前になると、到達しない地域にまで届くようになることに注目。「地震発生前の岩盤破壊で電磁波が発生し、その影響で電波が散乱する」との仮説を立て、道内11カ所に観測用アンテナを設けて電波の変化を観測してきた。
マグニチュード(M)7・1を記録した08年の十勝沖地震では、地震発生10日前までの約40日間にわたり通常の2倍の強さの電波を観測。04年の留萌南部地震(M6・1)でも同様の現象が見られた。
今回は昨年7月ごろから異常を観測、日高管内えりも町と札幌市南区の観測地点ではほぼ毎日、岩手県のFM局の電波の強さが通常の2〜3倍になった。
地震発生前の電磁波の異常に着目した予知の取り組みは日本と同様、地震の多いギリシャでも行われている。
地中に埋めた電極間の電圧の変化を測る方式で、1993年にM6・7の地震が起きた際は、このデータを元に付近の住民を事前に避難させたという。
ただ、地震発生と電磁波、電波との関係は科学的に証明されておらず、懐疑的な研究者も多い。大学教授らでつくる地震・火山噴火予知研究協議会(東京)の森田裕一企画部長は「大事なのは地震発生前に電磁波が出るメカニズムや、電波に影響を与えるプロセスを解明すること」と指摘する。森谷さんは「実績を積み重ねることで予知の道が開けると信じている」と話している。
吉田所長の海水注入継続「正しい判断」と首相 復興特別委
産経新聞 5月31日(火)10時13分配信
拡大写真
衆院東日本大震災復興特別委員会で民主党の階猛氏の質問に答える菅直人首相=31日午前、国会・衆院第1委員室(酒巻俊介撮影)(写真:産経新聞)
菅直人首相は31日午前の衆院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力福島第1原発事故の海水注入問題をめぐって東電本社の指示を無視し、海水注入を継続した第1原発の吉田昌郎所長の対応について「正しい判断だった」と述べた。民主党の階猛氏への答弁。
原発注水、海江田経産相が東電に指示していた
読売新聞 5月31日(火)11時44分配信
枝野官房長官は31日午前の衆院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力福島第一原子力発電所事故に関し、海江田経済産業相が3月12日午後6時ごろ、東電に対し「準備が出来次第、海水注入をするように」と指示していた事を明らかにした。
自民党の中川秀直氏の質問に答えた。
政府はこれまで、同日午後6時の段階では「海水注入の検討」を指示したに過ぎず、注水指示は午後7時55分だったと説明していた。枝野氏は「6時前くらいにまずは経産相が口頭で法令に基づく指示をした。首相の下、あるいは経産相の所で、東電に対し(海水注入の)意思は明確に出された」と述べた。
ただ、実際には注水は午後7時4分から始められ、その後も同原発の吉田昌郎所長の判断で継続していた。 .最終更新:5月31日(火)11時44分
福島原発「津波の想定、過小評価」 IAEA報告書原案2011年6月1日3時0分
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. 東京電力福島第一原子力発電所の事故調査のために来日した国際原子力機関(IAEA)の調査団の報告書の原案が31日、明らかになった。津波と地震による複合災害への対応が不十分だったことを指摘、東電をはじめ事故対応の当事者間で、責任の所在などの共通認識が欠けていると分析した。概要版が1日に公表される見通し。
調査団は5月24日から6月2日までの予定で来日。各国の原発への教訓を得るため、東日本大震災で被災した福島第一原発や第二原発、東海第二原発を視察したほか、東京電力、経済産業省、文部科学省などの関係者から聞き取り調査をした。
報告書案は、事故を時系列で整理したうえで、得られた教訓を挙げた。
福島第一原発事故の直接的な原因は地震と津波とし、電源や、炉心冷却に必要な多くの機能を失ったと指摘。東電は2002年以降、同原発の津波の想定高さを見直したが、過小評価だったと認定。過酷事故対策も、準備されていたが、複数基の事故に対処するには不十分だったとした。
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島根原発3号機の稼動延期 中国電「津波対策が未整備」2011年6月1日3時0分
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島根原発の所在地
中国電力は31日、来年3月の営業運転開始を予定していた島根原発3号機(松江市、改良沸騰水型、出力137万キロワット)の運転開始を延期すると発表した。製造元である日立製作所の茨城県内の工場が東日本大震災で被災し、震災前に見つかった不具合の点検が終わらないためという。
今後、新たな津波対策も実施して県や市の了承を得る必要があるため、運転開始時期は未定としている。中国電力島根原子力本部の綿貫孝彦広報部長は「津波の安全対策を講じないと、地元自治体の理解を得るのは難しい」と話した。
トラブルの発生や安全対策への地元の不信感から運転が見込めない事態は既設の原発で相次いでおり、こうした動きが建設中の原発にも及んだ形だ。
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2011年05月31日
菅内閣不信任に向かう政治策動を許すな——反原発で総選挙をたたかう共同戦線構築を=桂 敬一
◆恥知らずな自公の菅内閣不信任案の策動
5月28日土曜の夜、7時のNHK総合テレビのニュースをみていたら、「菅首相に不信任案の動き」がトップに出てきた。谷垣自民党総裁、民主党の小沢元幹事長、山口公明党代表がつぎつぎに映し出され、谷垣・山口氏は、菅首相を政権の座から追い落とすことこそ、日本を今の政治危機から救うことになると、口々に語っていた。呆れ果てるとはこのことだ、とつくづく思った。
菅首相がいい、よくやっているなどとはいわない。むしろ、なにやってるんだ、もっとしっかりしろと、いろいろいいたいことばかりが浮かんでくる。しかし、こと原子力発電政策推進に関する限り、ほとんどの民主党員はイノセントだ。菅首相も、野党にいた当時の立場でいえば、ほぼ無罪だ。
これに対して自民党は、55年体制以来の与党独裁の下、日本における原子力発電政策を、財界・電力業界やアメリカ政府、GEなど米大企業のいいなりになって推進してきた張本人だ。今日の福島原発の、大量の放射性汚染物質を地球環境の全域に撒き散らす、未曾有の人災を招いた最大の責任は、歴代の自民党内閣にあるといわねばならない。
公明党も責任から逃れられない。1993年総選挙の敗北(細川非自民内閣成立)以降、総選挙での単独過半数獲得が不可能となった自民党が連立を模索、99年に新進党から分かれた自由党(小沢一郎党首)と連立を組んだとき、公明党もこれに加わり、その後、自公体制が確立された。小泉構造改革・民活の推進においても公明党は自民党を支え、原子力に重点を置いたエネルギー政策推進についても、公明党の責任を無視することができない。また、今は民主党にあって主流から外された小沢氏も、かつて自民党田中派・同経世会の実力者だった経歴から、原発に関する限りイノセントであるとは、到底いえない。
彼らがまともなら、今、菅内閣に対して起こすべき行動は、ただちに政治休戦を申し入れ、東北全域の災害復旧計画の立案、ならびに必要な政策の具体化と実施に携わる政策本部を、国会に議席を持つ全政治勢力の代表と被災現地の首長との参加を得て閣外に設けることであろう。そして国会を、政策本部の活動を担保する審議機関としていくのだ。これなら、ほかの野党も賛成する。もしこれを菅内閣が拒むなら、それ以外の勢力が一致して決起し、政権を奪取、所期の復興体制を整えるべきだろう。その場合、自公には当然、過去の原発政策の反省が迫られる。破綻し、重大な人災を生んだ原発政策に責任を負うべきものが、その反省もないまま、再び政治の表舞台に出、同じ政策の続行あるいは拡大をつづけようとするのであれば、それは現在の状況をさらにこじらせ、問題をいっそう深刻化させてしまう。そんな事態こそ、われわれ国民にとって最悪の政治的危機というべきものだ。菅内閣が瓦解し、谷垣・山口・小沢氏らとそれに同調する輩が代わって政権を取るなどの事態が生じるだけだとしたら、なんとおぞましいできごとか、と思わざるを得な
い。
◆原発人災の話をわかりにくくするメディアの罪
原発をつくり、増やしてきた自公より、つくらなかった菅内閣のほうがまだましではないか。また、原発事故では、菅のいうことも東電のいうことも、くるくる変わり、どっちも信用がおけない点では似ているが、東電に騙される菅より、菅を騙す東電のほうが悪いというのも、決まり切った話だ。
また、東電を、このようなずぼらで身勝手な企業にのさばらせてきた責任も、自民党にはある。長年潤沢な政治資金をくれ、与党政府の高級官僚の天下り先をたくさん提供してくれる東電に、自民党政府がまともな監督のできるわけもなかったのが実情だ。これに比べれば、最近、これまでのエネルギー政策の白紙見直しを口にし、浜岡原発の停止を実現、発送電事業分離の考え方を示唆、G8サミットでは再生エネルギー利用発電量を20%に引き上げる将来目標、太陽光発電設置1000万戸実現のビジョンなども提示した菅首相のほうが、まだましだ。場当たり的で整合性を欠くのは事実だが、こういうことをまったく口にせず、露骨に敵視する政財界の連中よりはましだ。
こんなわかりやすい話をわかりにくくさせ、無能な菅首相が政権の座から去ったら、日本の政治はうまくいき、東北の復興もなんとかなるんだと、根拠もなく国民に思いこませようとする点で、一番悪い影響を及ぼしているのがマスコミだ。テレビは、前述の政治家たちの不信任案への動きが表面化すると、出たものは出すという程度の、屁のような客観報道主義で、屁のようなこれら政治家の軽挙妄動を頻繁に画面に映し出す。政治座談会や情報番組の話題もこれで持ちきりだ。新聞はもっと罪が深い。読売に至っては、5月19日朝刊第6面に半ページ近くの記事紙面を使い、西岡武夫参院議長(議長のため党籍離脱しているものの、民主党所属)の菅首相に辞職を迫る、長大な寄稿「首相の責務 自覚ない」の全文を載せ、これを第1面で「参院議長『首相退陣を』 異例の要求 震災・原発対応巡り 本紙に寄稿」とアピール、でかでかと紹介した。
つづく20日朝刊でも、第3面のほぼ全部を用い、社説「西岡参院議長 首相『退陣勧告』の意味は重い」ならびに、全段抜きの特集記事「西岡論文 発火点 強まる『菅降ろし』 『16人組』不信任同調も」とを、セットで掲載した。「16人組」とは民主党内の反菅派のことだ。不信任されたら菅首相が「解散権」を使い、衆院を解散、総選挙実施に踏み切る可能性にも触れている。しかし、憲法上の問題はないが、被災地の苦難を思えば選挙どころではあるまい、一票の格差の不平等が解消されないままの選挙も問題だと、もっぱら菅首相を牽制するものだ。そして社説は、西岡論文を全面的に支持、「与野党には、菅首相の退陣を前提に、新首相のもとでの大連立を行う構想も浮上している」と、渡辺主筆のかねてからの持論、「大連立」をクローズアップしている。語るに落ちるとはこのことではないか。西岡論文「寄稿」も、自作自演という気がしてならない。
菅引きずり落としのあとに控える危険な企み
ほかの新聞は、 さすがにこれほど露骨ではない。 だが、 菅首相が自発的に辞めてくれるんだったら、 それはそれで一番いいかも、 とするような言葉の端々が、 朝日にせよ毎日にせよ、 政治部系の記事のなかにしばしば出てくるのが実情だ。 これでは読売に舐められてもしょうがあるまい。 しかし、 しょうがないですますわけにもいかない。 5月3日の産経の 「憲法施行64年」社説 (産経では 「主張」) = 「非常時対処の不備を正せ『自衛隊は国民の軍隊』明記を」 は、 大震災に臨んだ菅首相の不作為の数々は、 しょうがないですますわけにもいかない。 と述べ、 今回の災害経験に学び、 憲法を急いで改正、 非常事態に対処する法体系を整備せよ、 とするもので、 急いで現行憲法96条
冗談ではない。 菅首相引きずり落としを策す政界仕掛け人やメディアの一部は、 菅首相のことをアキ菅 (空き缶) などと嘲笑を浴びせるが、 自分たちはその空き缶を散々叩いて空騒ぎしたあげくに、 被災地復旧 ・ 住民支援 ・ 原発放射能漏出封じ込めはそっちのけで、 菅退陣ドラマを自分たちの意図する方向での政界「大連立」の政局づくりに利用し、 果ては改憲にまで持っていこうとしているのだ。そればかりではない。 消費税引き上げも、 TPP参加も、 普天間問題のアメリカより解決も、 みなこの 「大連立」 の流れのなかで解決しようとしている。 原発放射能漏出封じ込めはそっちのけで、 それらに応じるならそれもよし、 しかし、 所詮菅は使い捨てだ、 というのが連中のハラだ。 こんな策動に引きずられて、 いいはずがない。
菅首相が不信任案の前に破れても、 黙って退任するな、 衆院解散 ・ 総選挙に打って出ろ、 と応援しようではないか。 もうこの時機、 総選挙の唯一の争点といえるのは、 原発政策の続行是か非か、 であろう。 とりあえずは、 福島第1原発の廃止を前提にした、 放射能漏れ完全停止が眼目だ。チェルノブイリの 「石棺」 方式も躊躇せず、 早く汚染物質の漏れを止め、 避難地区の土地を除洗し、 住民ができるだけ早く故郷に帰還できるようにすることが急務だ。 農水産物の放射能汚染に苦しめられているもの、 とりあえずは、 それを待っている。 われわれはこのような要求を選挙方針として高く掲げるが、 それは菅首相とその支持組織だけに求めるのではない。 全政党 ・ 全候補に求めていくものだ。
新しいタイプの若者こそ、 これからの運動の担い手だ
なんのかんのいっても、 高度成長真っ盛りの1960年代後半からバブル期=90年代初頭までの若者は、 あまりいじけずに青春時代を送ることができた。 就職でも、 そこそこ安定した仕事先がみつかった。 だが、 バブル崩壊後の90年代後半にハイティーン時代を過ごし、 現在30歳台半ばに差しかかろうとしているものを先頭に、 尻尾は現在ハイティーン時代に入りつつあるものに至る若者たちは、 安心して若さがエンジョイできるなどの体験は、 およそ知らないで生きてきたし、 現に生きているのではないだろうか。 そして今、そうした若者たちが、 自分たちを絶え間ない不安な境遇に陥れている根本原因は、 今回の深刻な人災を招いた身勝手な政治であり、 その責任を曖昧にしたまま、 従来どおりの政局ごっこに明け暮れている恥知らずな政治だということを、 強烈に感じだしている。 これまで銀座、 およそ知らないで生きてきたし、 渋谷で繰り広げられてきた反原発集会 ・ デモの尻上がりの発展を支えたのは、 そうした若者たちだった。 彼ら (彼女ら)
デモの若者たちが掲げるプラカードには、 「福島に原発は要らない 沖縄に米軍基地は要らない」 という、 福島 ・ 沖縄を対句で示したスローガンも目につくようになっている。 国の発展のためにという建前で原発が福島の小市町村に、 国の防衛のためにという理由で在日米軍基地の圧倒的な部分が小さな沖縄に、 それぞれ国の交付金付きで押しつけられ、 それによってさまざまな深刻な被害や問題が現地住民にしわ寄せされる状況が生まれている。 そうした犠牲のありようの構造的な特徴に共通性があることに気づき、 若者たちは福島についても沖縄についても、しだいに怒りを大きく抱くようになっているのだ、 自分たち自身がこの社会のなかでオキナワとされ、 フクシマとされているような思いで。 それは実にまともな怒りだ。 こういう怒りこそ、 行き詰まった状況を打破する力となり、 新しい運動を推し進める動因となる。 それによってさまざまな深刻な被害や問題が現地住民にしわ寄せされる状況が生まれている。 それによって切り拓かれていく。
そのような運動のうねりのなかで、 総選挙も辞さないとする覚悟を固める必要がある。 それはけっして菅内閣支持の選挙ではない。 菅首相追放 ・ 大連立政権擁立 ・ 原発政策維持を足がかりに、 21世紀に向かう政治でなく、 再び20世紀に逆戻りする政治をやろうとするものたちの企みを阻むための選挙だ。 その選挙の意義は、 東北でも、 かならず被災した住民からの理解を得ることになる。選挙の勝利は、 読売的 「大連立」 でなく、 反原発で一致する政治勢力が結集する、 新しい連合政権の誕生につながる端緒となるはずだ。 そういう創造的な動きをつくろうとせず、 その選挙の意義は、 しかも内閣総辞職で菅首相に詰め腹を切らせるだけで足を止め、 総選挙を回避するのであれば、 読売的 「大連立」 の実現を許し、 取り返しのつかない過ちを犯すことになるおそれがある。
IAEA、規制当局の独立確保を 調査報告素案を提出
福島第1原発事故の原因解明のため来日している国際原子力機関(IAEA)の調査団が1日、首相官邸で日本政府との総括会合を開き、原子力安全の規制当局が独立性を保ち、役割を明確にすることが必要だと指摘した報告書の素案を政府側に提出した。調査団は20〜24日にウィーンで開かれる閣僚級会合で調査結果を詳細に報告する。
素案では、日本は津波の危険性を過小評価していたと強調。また福島第1原発で今後、水素爆発の危険性を警戒し、低減する取り組みが必要だと指摘した。一方で、日本政府の対応や原発作業員の働きぶりを高く評価した。
【写真】 国際原子力機関調査団との総括会合で、マイク・ウェイトマン団長(中央左)から報告書の素案を受け取る細野豪志首相補佐官(同右)=1日午後、首相官邸
(2011/06/01 13:31)
津波の危険、過小評価と指摘 IAEA報告書素案判明
福島第1原発事故の原因解明に向け来日中の国際原子力機関(IAEA)の調査団がまとめた報告書の素案が31日、明らかになった。津波の危険性を過小評価していたと指摘したほか、規制当局の経済産業省原子力安全・保安院の独立性などを求めている。
調査団は6月1日に官邸を訪れ、日本政府に手渡す。
IAEA関係者によると、素案は「津波の危険性は明らかに過小評価されていた」として「原発の設計者や運営者は、天災のリスクの評価手法を最新の基準に更新し、きちんと評価すべきだ」と注文をつけた。
保安院について「定期的な審査も含めて、深刻な事故に適切に対処し、取り締まりの独立性が保たれるべきだ」と言及。IAEAが過去にも指摘したのに引き続き、保安院の独立性を確立するよう求めた。
緊急時の対応について、初期段階の重要性を強調。「重大事故に対応できるように、初期対策をしっかりと策定しておくべきだ」とした。
1、3号機の爆発の原因となった水素について、発生と爆発の危険性を詳細に評価し、危険を低減する取り組みが必要だとした。
一方で「特殊な環境下でも、献身的に覚悟を持って働く熟練作業員たちの対応は模範とすべきだ」と称賛。原発周辺での住民の避難を含めた日本政府の対応を「素晴らしく、よく組織化されている」としている。
東電が作成した事故収束への工程表について「新たな状況が発生した場合は修正が必要。国際協力による援助も考えられる」とした。
素案は、福島原発の事故を、原子力安全の教訓とするよう国際社会に呼び掛けた。
【写真】 福島第1原発6号機を調査するIAEAの調査団=5月27日(IAEA提供)
(2011/06/01 02:08)
M9でも津波は九電原発より下 東海〜日向灘地震
九州電力は31日、東海から日向灘に及ぶ巨大地震の発生帯とされる海洋プレート境界の南海トラフ沿いで、マグニチュード(M)9・0の地震を想定した場合、予測される津波の高さは玄海原発(佐賀県玄海町)と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の敷地より低く、原発施設に影響はないとする試算結果を公表した。
玄海原発の敷地は海抜11メートル、川内は13メートル。九電は津波だけでなく、最大加速度540ガルの地震動でも両原発の耐震安全性は確保されているとしている。
試算によると、東海、東南海、南海地震が連動して起きたと仮定するケース1と、南海、日向灘の地震が連動して起きたとするケース2について津波の影響を予測。
玄海原発は、ケース1で津波の高さが海抜1・5メートル程度、ケース2では1・6メートル程度で、最大加速度を90ガルと試算。川内はケース1で2・2メートル程度、ケース2で2・5メートル、最大加速度は240ガルと予測し、いずれの場合も大規模な被害は想定されないと結論付けた。
九電はまた、日本海側に当たる玄海原発から北西約80キロの対馬南西沖、宇久島北西沖断層でM8・1の地震を仮定した試算も発表。津波の高さは4・9メートル程度で、最大加速度は120ガルとした。
日本海側の試算でM9ではなくM8・1にとどめた理由について、九電は「プレート境界でないところで、M9の地震を発生させるためには長さ数千キロの断層を想定する必要があり、非科学的だったため」と説明した。
(2011/05/31 22:26)
活断層、女川原発周辺に30カ所 耐震設計評価外
東北電力は31日、東通原発(青森県)の周辺や敷地に11カ所、女川原発(宮城県)に30カ所、耐震設計上活断層と評価していない断層などがあるとする調査結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。
東日本大震災で大きな地殻変動が観測されたため、原子力安全委員会の指示を受けた保安院が4月、設計上評価されていない断層も再評価するため、電力各社などに原子力施設周辺の断層情報の報告を求めていた。
日本原燃も同日、使用済み核燃料再処理工場(青森県)などの周辺や敷地で、耐震設計上で考慮していない断層など34カ所を報告した。
(2011/05/31 19:59)
東海震源域、誘発地震の兆候なし 定例判定会で見解
東海地震の想定震源域に異常がないか検討する月例の地震防災対策強化地域判定会が31日、気象庁で開かれ、東日本大震災が東海地震を誘発するかなどについて分析、「東海地震に直ちに結び付くような変化はない」との見解をあらためて示した。
沈降傾向が続く静岡県・御前崎の傾斜計データに隆起を示すわずかな変化が見られたが、衛星利用測位システム(GPS)のデータに異常はなく、判定会は「誤差の可能性があり、次回の結果を見て判断したい」とした。大震災に伴う地殻変動が東海地方にも引き続き及んでいることも確認。
想定震源域では、5月5日に静岡県中部でマグニチュード(M)3・6(最大震度3)、17日に山梨県中・西部でM2・6(同震度2)の地震があったが、発生メカニズムなどから東海地震との関連性はないとした。
(2011/05/31 19:38)
原発事故処理に最大20兆円 日経センター試算
福島第1原発事故で、廃炉や避難者の所得補償などにかかる費用は今後10年間で5兆7千億〜20兆円にのぼるとする試算を、日本経済研究センター(東京)の岩田一政理事長が31日、国の原子力委員会で示した。
東京電力の利益剰余金や電力業界の再処理事業の積み立てを取り崩すことなどにより「事故が早く収束した場合、増税や電気料金引き上げの必要はない」としている。
所得補償は原発から半径20キロ圏内の避難者に限定し、圏外や県外の農林水産業などへの被害は入れずに試算した。
岩田理事長によると、廃炉費用が最も不確定要素が多く、旧ソ連のチェルノブイリ原発や米スリーマイルアイランド原発の事故を参考に、事故収束までに7400億〜15兆円かかると推計した。
所得補償は、福島県の平均給与から推計し、10年間続けるとして約6300億円。20キロ圏内の土地は最終的に政府が買い上げなければならなくなる可能性が高いとして、該当市町村の公示地価から4兆3千億円と見込んだ。
これらに充てる財源として岩田氏は、東電の利益剰余金と使用済み核燃料の再処理引当金、計約3兆7千億円や、年間4300億円ある国の原子力予算のうち高速増殖炉開発などを凍結させて捻出する計約2兆円、電力業界が将来の再処理事業のために積み立てる12兆円の半額の6兆円を挙げた。これらを合わせると10年間で計11兆7千億円になるとしている。再処理事業は凍結する。
(2011/05/31 18:29)
女川の発電機故障は地震が原因 揺れで電源盤から出火
東北電力は30日、東日本大震災で女川原発1号機(宮城県)の非常用ディーゼル発電機1基が壊れたのは、地震で電源盤が火災を起こして内部がショートし、予期せぬ過電圧が発電機にかかったことが原因だったと経済産業省原子力安全・保安院に報告した。
同原発は地震で原子炉が自動停止。外部電源が生きていたため非常用発電機は不要だったが、地震によって重要機器が止まったことになる。東北電は「安全性に問題はなく、今後の対策を確実に実施したい」としている。
東北電によると、電源盤内部につり下げられた機器が地震で大きく揺れ、絶縁体がはがれて火花が散って発煙。電源盤のケーブルの膜が溶けてショートし、過電圧で発電機の回路が損傷した。
火災原因となったつり下げ型の機器は旧式で、本年度中に2、3号機と同じ据え付け型に交換予定だった。いずれも耐震指針上では重要度が低いランクとされている。保安院は、同型の機器がないか調べるよう原発を持つほかの電力会社に指示する。
東北電は30日、1〜3号機の震災による被害は、軽微な損壊などを含め約630件で、そのうち、国や地元自治体に報告した大きな事故は1号機の火災や発電機損傷を含めて4件だったと報告した。
(2011/05/30 22:19)
SPEEDIを公開 拡散予測「反省点ある」
文部科学省の事業を受託する原子力安全技術センター(東京)は30日、原発事故の際に放射性物質の拡散を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」を報道陣に公開した。
福島第1原発事故では、SPEEDIの拡散予測が住民避難に十分活用されず、予測図公開も遅れた。同センターの恒吉邦秋・防災技術部長は「本来の性能を発揮できなかった。反省すべき点がある」と、システムを改善する意向を示した。
文科省が所管するSPEEDIは、同センターに設置されたコンピューターを中心に国と自治体、日本気象協会がネットワークで結ばれ、気象条件や地形などを基に計算した予測図を共有する。
今回の事故では、放射性物質の放出量が不明で正確な予測計算ができず、仮定の条件で試算を繰り返していた。これまでに作成した予測図は1万枚以上に上るが、一般公開が4月下旬まで遅れたことについて恒吉部長は「傾向だけでも早く示せばよかった」と述べた。
【写真】 「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の出力図形表示用端末を操作する担当者=30日午後、東京都文京区(代表撮影)
(2011/05/30 18:54)
知識共有][東京電力原発事故][放射能]院内集会「国際専門家からみた子ども20ミリシーベルト問題」の同時ツイート
本日参議院議員会館で開催された、緊急セミナー「国際専門家からみた子ども20ミリシーベルト問題」を、Ustream中継を見ながらノートを取る感じで同時ツイートしました。以下にその内容をコピーします。下から上という流れです。書き間違い・聞き違いがありえますのことをご承知置きください。内容のご確認は、以下でセミナーそのものを見ることができるので、そちらでお願いします。
http://www.ustream.tv/recorded/15092508
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ブルーノ「(山下氏のようなケースは)フランスでも同じ問題。多くは放射線医療の専門家が多い。医療被曝の問題がある。EU指令で医療被曝の規制の動き。市民の立場の専門家の協力が必要。」
ブルーノ「住民の健康調査で癌だけを対象にしていてはだめ。クリプトンやキセノンは白内障を起こす」
ブルーノ「文科も何カ所かにもっているがそれも1日20分。このような欠陥がまだまだたくさんある。ちゃんとした放射線量対策をする上でデータが不足。出させないといけない」
ブルーノ「なぜ24時間やらないときいたら要員が足りない、と。大変なこと。大量の放射能が放出された場合に測定する対策が整っていない」
ブルーノ「5/31に東電の記者会見に行った。どうやって空気中のベクレル数を測っているのかきいた。答えは、第一原発では敷地内一ヶ所で、1日20分だった。前後に放出があってもわからない」
ブルーノ「福島の人一人一人が自分の被曝量を知る必要。欠けているデータが多い。キセノンやクリプトンを東電は測ってこなかった。」
ブルーノ「食べ物からどのくらい被曝したのか。特にヨウ素131のデータが必要。データを当局から全部出すように要求する必要。計算・プロセスも市民が入って検証する必要」
ブルーノ「ヨウ素131セシウム134 137が空気1立方メートルにどのくらいあったかを知ることでどのくらい被曝したのか知ることができる」
ブルーノ「セシウム137/134の地上での地図は発表されているが正しいかどうかチェックする必要。今回の測定で確認しているところ。地図ができたら、降水量。そこからセシウム・ヨウ素推測」
ブルーノ「子どもたちがこれまでにどのような被曝を受けたのが再現するのが重要。そのためのデータを当局から、これまでに降った放射性物質の地図を要求する必要」
セシウムが心臓にたまる、というのは「チェルノブイリへのかけはし」の野呂さんも書いていた。
ブルーノさん、四点あるって言ってたと思うんだけど、二点目で終わった……
ブルーノ「癌以外にもセシウムで子どもの心臓疾患が増えたという報告がチェルノブイリである」
ブルーノ「自然のラドンで肺がんが増えるという論文が最近出た」
ブルーノ「100mSvが安全というのは、フランスでも同じ問題がある。医学アカデミーがそう言っている。しかし明らかに嘘。はるかに低い値でしょうがいが出た例が多くある。」
ブルーノ「学校はもちろん、福島市全域で高い値になっている。この状況にあって、20mSv高すぎる値。事故直後にかなりの被曝を受けている。その上20mSvはとんでもない」
ブルーノ「γ線を測る機械。福島市で車内で600〜2000カウント。5階でも600カウントの値が出た。」
ブルーノ「今回クリスチャンさんと一緒に車で福島でまわったが、数字を見て仰天した。」
ブルーノ「四ヶ所以外で過ごす場合の線量は暫定値を用いたもの。さまざまな場所で、1hあたり1μSvくらいになっている。
ブルーノ「家の各場所でどのくらいすごすのか計算して足して9mSv一年で浴びることがわかった」
ブルーノ「福島市のある家庭の家庭菜園で1m高さで2.2μSv/h、家の中で0.6μSv/h。お子さんの寝室畳0.3μSv/h」
ブルーノ「計測に来たのは測定器47台プロジェクトの招待。」 http://sokuteiki.exblog.jp/
ブルーノ「地表面では40倍。さきほどの値は1mのもの」
ブルーノ「2点目。地上に蓄積している放射能について。福島市の守谷小学校。ブランコの下。通常値の15倍」
ブルーノ「市民を放射線から守るという点では大きな欠陥があった。このようなことが起きないようにしなければならない」
ブルーノ「もし他の野菜も汚染されていれば幼児なら5gで1mSvをこえる」
野菜のベクレル数について。ブルーノ「(茨城の野菜の放射能値54000Bq/kgをみせつつ)100gで子どもの被曝が1mSvをこえる
ブルーノ「WHOとIAEAの協定でWHOの値は採用されていない。協定を廃止させなければならない」
ブルーノ「WHOは幼児妊娠中の人に対しては10mSvでヨウ素剤配布としている」
ブルーノ「IRSNが作った1歳のこどもの被曝。1mSvをこえた場所が多い。甲状腺だけの被曝。日本ではヨウ素剤の配布は100mSvときいた。フランスでは政府に要求50mSvに」
ブルーノ「ところが地元自治体ではヨウ素剤が配布されていなかった。三春町が自主判断で配布。厚労省から厳しいとがめがあったときいた」
ブルーノ「これに対してはヨウ素剤を摂取されることがどうしても必要。」
ブルーノ「屋内退避の地域があったが期間が長くなると屋内外で同じ放射能レベルになるので意味がない。直後に放出される放射性ヨウ素は子どもの甲状腺にたまって甲状腺癌をひきおこす」
ブルーノ「最初に、風下の方向で事故直後にもっと広い範囲で避難が必要だった。20kmより外の避難が遅れた。科学的な情報に基づく合理的な判断ではなかった」
ブルーノ「東京電力発表の敷地内線量だけで周辺の地域にそうとうな量の放射能が流れたと推測される。放射能は出続けている。早く厳格な施策がとられるべきだった
ブルーノ「3/12から、日本の人を放射能から守る手伝いを始めた。4つのこと。1つは事故直後人が情報や放射能保護面で対策が極めて不十分」
ブルーノ「この地域では、政府がヨウ素剤を配っていれば、被曝がさけられた地域だった。牛乳などから余計な被曝をしなくてもすんだはずだった地域」
ブルーノ「チェルノブイリで受けたフランスの影響(スライド)」
ブルーノ「クリラッドは政府・政党から独立。市民に正確な情報を提供するため。原発に反対とか賛成とか言うことではなくよりよい市民生活に貢献する。自然・医療放射線からも市民を守る」
ブルーノ「1986年クリラッドはチェルノブイリのあとに作られた。フランス政府が影響がないと言ったから。嘘を許さないため自分たちで測定所を作った。」
通訳者は真下(ましも)さん
フランスのクリラッドのブルーノ・シャレイロンさん登場
川内「国の紛争審査会から山下氏を下ろす動きが必要」
川内議員「原子力賠償法は文科の所管。原子力紛争審査会の十人の一人に山下氏が入っている。100mSv/hで問題がないと公言する山下氏を頼っている。賠償を少なくできるから。」
阪上「昨日の交渉では教育庁と原子力班の人。原子力班の人は自主的な考えで話せない状況のようだった」
昨日福島県に山下氏をやめさせるよう申し入れがあった件や「視点論点」 #nhk について質問
石原洋三郎議員(福島一区)あいさつ
阪上「山下氏を福島県のアドバイザーから退かせる運動が必要」
阪上「福島で配られた広報。妊婦も100mSvを上回る被曝をしなければ大丈夫とある」
阪上「内部・外部すべてにおいて1mSv/y以下を目指す」
阪上「続いて先日の文科の前で交渉。外で文科の渡辺氏と。こちらから文科の人用に机を持って行った(渡辺氏は立ったままだった)」
阪上「みんなで集まる会を2回開催。ネットワークを作った。5/2に政府交渉。20mSv/hが社会問題に。文科と原子力安全委員会の意見の相違が明らかに」
阪上「その後山下長崎大教授が100mSv/hまでは大丈夫と広め、不安を言いにくい状況を醸成。『不安がっているのは県も国も安全だと言っているのだから、安心しろ』などの学校の対応」
阪上「4/19文科が出した文書がいわゆる20mSv/y。県の人は0.6μSv/hを問題にしていたが文科は3.8μSv/hを基準に、と。4/20教育委員会から保護者宛にこの基準に従い
阪上「全県レベルで4月の新学期前に測定。中通りが高いと判明。放射線管理区域にレベルに達している箇所あり。校庭含む。休校措置や疎開、除染を求める文書提出。4/19に文科文書提出。」
阪上「福島の人はとても学校が始められる状態ではないと思っていた。実際高かった。3/31に県に申し立てた。文科は各県で、と通達を出していたが福島にだけは人を送り込み『始められますよね』と念
福島老朽原発を考える会(ふくろうの会)の阪上さん
ちなみに、飯舘村はいいたてむらである。にごらない。祝島と同じ(?)
福島「ホールボディカウンターについて明日委員会で質問する予定にしていたら不信任案でとんだ」
国会議員あいさつ。川内ひろし、阿部ともこ(小児科医)、姫井由美子、福島みずほ各議員
満田「文科が言う1mSv/yを目指すという言葉の意味は何かが問題になっている」
FoEの満田さんが20mSv/y問題の経緯について解説中
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福島 学校の放射線量改めて測定
6月1日 18時52分 NHK
文部科学省が、学校で子どもたちが受ける放射線量を、今年度は当面、年間1ミリシーベルト以下を目指すとしていることを受け、福島県は1日から、県内の小中学校や高校などで、改めて放射線量の測定を始めました。
測定は、東京電力福島第一原子力発電所から半径20キロ圏内の警戒区域や、計画的避難区域を除くすべての小中学校や高校、それに保育園など、1700か所余りで行われます。福島県が県内の全域を対象に学校の放射線量を調べるのは、4月に続いて2回目です。このうち川俣町の川俣小学校には2人の調査員が訪れ、前回測定した校庭の中央だけでなく、校庭の四隅も加えた合わせて5か所で放射線量を測りました。文部科学省は、福島県内の学校で子どもたちが受ける放射線量を、今年度は当面、年間1ミリシーベルト以下を目指すとしているほか、1時間当たり1マイクロシーベルトを超えた学校については、校庭の表面の土を取り除く費用のほぼ全額を国が負担するとしています。1日から始まった測定は、こうした文部科学省の考えを受けて、福島県が改めて始めたもので、今月10日まで行われ、調査結果は順次公表するとしています。
-福島第1原発-茨城などの茶、出荷停止に
毎日新聞 6月2日(木)21時5分配信
政府は2日、食品衛生法の暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたとして、茨城県全域と神奈川、千葉、栃木県の一部地域で生産する茶の出荷停止を各県に指示した。原子力災害対策特別措置法に基づく茶の出荷停止措置は初めて。
茶は、刈り取った生葉を乾燥させて荒茶にし、製茶して湯で抽出し飲料になるまでにセシウムの濃度が変わるため、どの段階で規制をかけるか政府内で調整を進めていた。
今季の一番茶は既に大半が荒茶に加工済みで、厚生労働省は同日、各自治体に改めて荒茶での検査を要請した。これまで、荒茶での検査はほとんどの自治体で実施しておらず、既に規制値を超過した茶が出荷された可能性もある。厚労省は「規制値の超過が判明すれば、食品衛生法に基づき回収などの措置を取る」と話した。
農水省などによると、お茶に含まれるセシウムは、生葉で1キロあたり500ベクレルの場合、乾燥させた荒茶は重量が約5分の1になり、相対的に1キロあたりの濃度は5倍の2500ベクレルに上がるが、湯で抽出した飲用茶では数十ベクレルにまで減る。
農水省や産地の静岡県などは「荒茶は消費者が直接口にするものではない」として生葉での検査を求めていた。しかし、一部の荒茶が抹茶アイスなどの加工食品に使用されていることなどから荒茶や製茶も規制対象にした。
農水省などによると、全国の荒茶の生産量は09年で約8万6000トンで、静岡と鹿児島の両県で全体の約7割を占める。出荷停止になった4県のシェアは合計1%未満。
二番茶の収穫に向け準備を進めていた神奈川県小田原市の生産農家、田中康介さん(59)は「県の出荷自粛で一番茶は刈り捨てた。それでも二番茶が摘めれば、来年に向けて期待が持てると思っていたのに、見通しが真っ暗になった」と話した。
【佐々木洋、佐藤浩、澤晴夫】
出荷停止指示が出た地域は次の通り。神奈川県=南足柄市、小田原市、愛川町、真鶴町、湯河原町、清川村▽千葉県=野田市、成田市、八街市、富里市、山武市、大網白里町▽栃木県=鹿沼市、大田原市
欠席や棄権等、田中真紀子・三宅雪子氏ら15人
. 民主党
2日午後に衆院本会議で行われた菅内閣不信任決議案の採決で、欠席・棄権などをした民主党議員は、小沢一郎元代表ら計15人だったことが分かった。
小沢氏以外の民主党の欠席・棄権などをした議員は以下の通り。(敬称略)
◇
石原洋三郎、内山晃、太田和美、岡島一正、笠原多見子、金子健一、川島智太郎、木内孝胤、黒田雄、古賀敬章、瑞慶覧長敏、田中真紀子、三宅雪子、三輪信昭
◇
一方、共産党は9人が棄権し、社民党は6人が棄権した。
(2011年6月2日18時04分 読売新聞)
早期退陣否定に石原氏「あきれて物が言えない」
. 自民、公明など野党各党が狙った菅政権打倒、そして民主党分裂に向けた内閣不信任決議案の可決は2日、不発に終わった。
民主党の小沢一郎元代表との連携を模索し、不信任案の早期提出を主張した自民党のベテラン議員らは肩すかしを食らい、政権奪還へのシナリオは誤算となった。
昼のあいまいな退陣示唆に続き、菅首相が2日夜、記者会見で早期退陣を否定すると、自民党の石原幹事長は「あきれて物が言えない。世界の信頼をますます失う。民主党の自浄能力が問われる」と記者団に憤りをぶちまけた。谷垣総裁も否決の直後、「茶番にすぎない」と首相を酷評していたが、懸念は早くも現実のものとなった。
民主党との連携が誤算となり、怒りが収まらないのが、自民党の派閥領袖やベテラン議員らだ。伊吹文明元幹事長は記者団に「この醜態、ゴタゴタを見れば、国民が不信任を突きつけるべきだ」とぶちまけた。
伊吹氏や森元首相らは、小沢元代表の周辺や鳩山前首相と接触を重ね、4月中旬以降、谷垣氏に「不信任可決に必要な数がそろっている」との見通しを繰り返し伝えた。
こうした長老議員の間では、不信任案が可決されれば小沢元代表らとの連携も視野に政権を奪還する、というシナリオも検討されたが、あては外れた。ある派閥領袖は、「何もかもぶちこわしだ。こっちの顔にも泥を塗られた。小沢氏も怒っているだろう」と吐き捨てた。
(2011年6月2日23時42分 読売新聞)
小沢氏激怒、菅・鳩山会談の詳細知らされず
.
六本木のカラオケ店でグループ議員らを慰労した小沢氏(2日午後8時54分、東京・港区で)=伊藤紘二撮影 2日の内閣不信任決議案の採決前に、菅首相が退陣を示唆し、夜には早期退陣を否定したことで、民主党の小沢一郎元代表が描いた不信任案可決のシナリオは大きく狂った。 党執行部は小沢元代表の追加処分を検討している。さらに元代表は「政治とカネ」をめぐる裁判も抱えており、「反小沢」側からは、今回の大差の否決によって、元代表の求心力低下は決定的になったとの指摘も出ている。
小沢グループは70人以上が造反の意向を固めていたが、結局、造反を明言してきた側近の松木謙公前農林水産政務官が賛成票を投じた以外は、小沢元代表ら計15人が欠席・棄権するにとどまった。
2日朝、東京都内のホテルの一室。造反を決意した民主党衆院議員50人以上が続々と集結し、前日夜の会合に70人を集めたことで、「もう不信任案可決は決まったも同然」との高揚感が漂った。内山晃衆院議員は記者団に「140票は取りたい。そうすれば、自民、公明両党の数より我々の方が増える」とまで公言した。
だが、首相と鳩山前首相が2日午前に会談し、首相が同日昼の民主党代議士会で退陣を示唆すると、雰囲気は一変した。
両氏の会談の詳細を知らされていなかった元代表は激怒した。造反を決意していた議員ははしごを外された格好となり、「具体的な辞任時期を示していない。これは造反組に対する分断作戦だ」「訳が分からない。“世紀の談合”だ」と怒りをあらわにした。
元代表は急きょ、国会内の自室に側近らを集め、「退陣の言及にまで追い込んだのは一つの成果だ」と述べた。グループの対応については「自分は欠席するが、後は個々に任せる」と語り、自主投票の方針を打ち出した。
(2011年6月2日23時34分 読売新聞)
起立国歌斉唱義務付け条例案、可決・成立へ
. 大阪府内の公立学校の教職員に対して国歌斉唱時の起立を義務づける条例案を審議する府議会教育常任委員会(14人)が2日開かれ、地域政党「大阪維新の会」(代表・橋下徹知事)の賛成多数で可決された。
3日の本会議で可決、成立する見通し。
維新側は「ルールを守らない教員に規範を示すべきだ」と主張。維新を除く全会派は、府教委が職務命令に従わない教員を戒告の懲戒処分にしていることなどを理由に「職務命令で十分」と反対した。
(2011年6月2日22時18分 読売新聞)
首相、年明けまで続投?めどは「冷温停止状態」
. 民主党
菅首相は2日夜、首相官邸で記者会見し、早期退陣を強く否定し、退陣時期も明示しなかった。
首相は退陣の具体的な時期について、「(東日本大震災の)復興に向かって第2次補正予算(編成)や体制作りが必要となる。(福島第一)原子力発電所事故の収束も安定的な形にもっていくには、まだ努力が必要だ。新しい社会づくりの方向性に一定のめどがついた段階だ」と述べ、続投に意欲を示した。
原発事故の「一定のめど」がつく具体的な時期としては、事故の収束に向けた、政府と東京電力の工程表で今年10月中旬から来年1月中旬終了をめどとした「ステップ2」が完了し、「放射性物質の放出がほぼなくなり、冷温停止状態になること」だと説明した。
内閣不信任案採決前に鳩山前首相と会談した際に交わした覚書に関しては、「文書に書かれた以外の何らかの約束などは一切ない」と述べ、退陣時期を確約したものではないとの認識を示した。
これについて、鳩山前首相は2日、「(首相は)人を裏切っている。両院議員総会を開いて辞めさせるしかない」と周辺に語り、強い不快感を示した。
(2011年6月2日23時24分 読売新聞)
大震災、M5以上余震500回 史上最多の更新続く
東日本大震災のマグニチュード(M)5以上の余震回数が、本震から3カ月足らずの2日午前8時までに500回に達したことが、気象庁の観測で分かった。誘発されたとみられる内陸の地震は、この中に含まれていない。
これまで国内の地震で最多だった1994年の北海道東方沖地震(M8・2)の本震から80日で126回を大幅に上回り、観測史上最多記録の更新を続けている。
同庁によると、M6以上が81回、M7以上は5回。本震発生当日の3月11日だけでM5以上が158回に達し、5月以降は1日当たり0〜4回となっている。
民主で「菅降ろし」再燃=鳩山氏は両院総会を要求—自民、首相問責検討
時事通信 6月3日(金)19時24分配信
菅直人首相が早期退陣を否定したことに与野党で反発が広がり、「菅降ろし」の動きが3日、再び活発化した。民主党の鳩山由紀夫前首相らが首相退陣に向け両院議員総会の開催を要求。閣僚や首相を支持してきたベテランも、首相の姿勢に疑念を呈した。自民党は首相問責決議案の参院提出について検討に入った。
首相は同日の参院予算委員会で「大震災への取り組みに一定のめどが付いた段階で、若い世代に責任を引き継いでほしい」と繰り返し答弁。退陣時期への言及を拒んだ。
これに対し、首相の対応に態度を硬化させている鳩山氏と支持グループの幹部は、首相の進退を協議する両院議員総会の開催を求めるための署名集めを続行、来週にも執行部に提出することを確認した。幹部の一人は「衆院だけで150は集まった」と語った。鳩山氏はこの後、小沢一郎元代表に電話をかけて「(退陣は)政治家同士の約束だから守らせる」と伝え、小沢氏は「頑張ってしっかりやってほしい」と応じた。
また、松本龍防災担当相は参院予算委で、首相発言について「退陣表明と受け止めた」と明言。松本剛明外相も記者会見で「6、7、8月というのが常識的に一つの考え方ではないか」と述べ、今後3カ月程度をめどに辞任を促した。
渡部恒三元衆院副議長はTBSの番組収録で、首相が来年1月ごろまでの続投を示唆したことに「全然とんちんかんだ」と批判。2011年度第2次補正予算案と特例公債法案を成立させたら退陣すべきだと指摘し、辞任しない場合は「俺が言って辞めてもらう」と述べた。一方、自民党の山本一太参院政審会長は参院予算委で、「政治的な詐欺だ。ひきょうで姑息(こそく)なペテンだ」と首相を厳しく非難。「野党が過半数を握る参院であなたを倒すしかない。6月末ぐらいに問責を突き付けるチャンスが必ずやってくる」と強調した。 .最終更新:6月3日(金)23時28分
-福島第1原発-ベント作業前に放射性物質検出
毎日新聞 6月3日(金)23時46分配信
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福島第1原発=福島県大熊町で2011年3月12日、本社機から貝塚太一撮影
経済産業省原子力安全・保安院などは3日夜、東京電力福島第1原発事故直後に取得しながら未公表だった緊急時モニタリングのデータを公開した。同原発で原子炉格納容器内の圧力を下げる「ベント」作業を始める前に、原発周辺で原子炉由来と考えられる放射性セシウムなどが検出されたとのデータもあり、保安院は精査する。
公開されたデータは、地震が起きた3月11日から15日までの間に観測した大気中のちりの分析結果など。このうち、3月12日午前8時39分からの10分間に福島県浪江町で、8時37分からの10分間に原発がある同県大熊町でヨウ素131、セシウム137などの放射性物質が検出された。一部は核燃料が損傷することで生成する。
東電の推計によると、1号機では12日早朝には燃料の大部分が溶け落ちていたと考えられる。しかし、放射性物質を含んだ排気を外部に出すベント成功は同日午後2時半、大量の放射性物質が放出された水素爆発は同3時36分で、今回のデータが正確なら、それ以前に原子炉格納容器の密封性が失われ、放射性物質が外部に漏れていた可能性がある。
データは当初、同原発に近い大熊町のオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)にあったが、3月15日に事故対策の拠点が福島県庁に移転した際に持ち出されていた。
二ノ方寿・東京工業大教授(原子炉工学)は「半減期が短いヨウ素131などが検出されており、原子炉から漏れ出した可能性がある。しかしベント前に漏れ出すことは考えにくい。詳細に調べる必要がある」と話す。【足立旬子、中西拓司】
千度以上示す核物質、3月12日に検出していた
. 東電福島第一原発から約6キロ離れた福島県浪江町で3月12日朝、核燃料が1000度以上の高温になったことを示す放射性物質が検出されていたことが分かった。
経済産業省原子力安全・保安院が3日、発表した。検出された物質は「テルル132」で、大気中のちりに含まれていた。原発から約38キロ離れた同県川俣町では3月15日、雑草から1キロ・グラム当たり123万ベクレルと高濃度の放射性ヨウ素131も検出されていた。
事故発生から2か月以上たっての公表で、保安院の西山英彦審議官は「隠す意図はなかったが、国民に示すという発想がなかった。反省したい」と釈明した。
テルルの検出は、1号機から放射性物質を含む蒸気を放出する「ベント」の実施前だった。
(2011年6月3日23時09分 読売新聞)
退陣メド「冷温停止」、通常と定義違うと保安院
. 菅首相が退陣時期のメドとした福島第一原子力発電所の「冷温停止」について、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は、3日の記者会見で「正常時の『100度未満』という定義を言っても仕方がない。燃料が異常な今回、どんな状態を指すのか、考えを早急にまとめたい」と語った。
同原発1〜3号機の原子炉は、水温は不明なものの、周辺の温度は既に100度近くまで下がっている。
(2011年6月3日14時58分 読売新聞)
首相退陣のメド…「冷温停止」を再定義へ
. 菅首相が退陣時期のメドとした東京電力福島第一原子力発電所の「冷温停止」について、細野豪志首相補佐官は3日、政府・東電統合対策室の記者会見で、原子炉の水温が100度を下回るという通常の条件に加え、安定的な冷却や放射能の拡散停止なども含め、改めて定義し直す考えを明らかにした。
事故時の冷温停止の定義は明確でなく、解釈を巡って混乱も予想される。細野補佐官は「専門家の検討を踏まえ、早い時期に示したい」と述べた。
炉心が溶融したとされる1〜3号機は、既に100度近くまで原子炉の温度が下がっているが、注水で何とか冷やし続けているのが現状。そのために高濃度汚染水が大量に発生しており、「安定」にはほど遠い。松浦祥次郎・元原子力安全委員長は「(新たな)注水を止めると温度がすぐに上昇する状態は、まだ冷温停止とは呼べない」と指摘する。
(2011年6月4日01時47分 読売新聞)
敦賀2号、配管33カ所に穴 87年の稼働後、点検せず
日本原子力発電は3日、微量の放射性ガスが外部に漏れた敦賀原発2号機(福井県敦賀市)のトラブルは、放射性ガスが通る配管に33カ所の微小な穴が開いていたことが原因と発表した。同社は1987年の運転開始以来、この配管の点検をしていなかったことも明らかにした。
2号機では5月2日に1次冷却水の放射性物質の濃度が大きく上昇し、原子炉を停止。同8日に排気筒から微量の放射性ガスが漏れた。
日本原電の調査で、冷却水の放射性物質濃度を低減させる系統の配管に33カ所のごく小さな穴が見つかった。また、3カ所の継ぎ手部分からもガスが漏れていたことが確認された。
(2011/06/03 21:23)
石巻の津波、8・6m以上 気象庁がデータ復元し判明
気象庁は3日、東日本大震災で宮城県石巻市鮎川の検潮所で記録された津波の高さは「8・6m以上」だったと発表した。これまで、津波計のデータ伝送装置に残っていた記録から「7・6m以上」、現地調査の痕跡から「7・7m以上」としていた。
回収した津波計センサーから新たに記録を復元できた。気象庁の観測点で記録された大震災の津波では、福島県相馬市の「9・3m以上」に次ぐ規模。
記録によると、地震発生約40分後に8・6mと潮位が最大になり、直後にデータが途切れた。実際は8・6mを上回る可能性があるという。
【写真】 津波にのみ込まれた自宅の裏で、思い出の品を捜す被災者。卒業証書やCDを見つけた=4月23日、宮城県石巻市鮎川
(2011/06/03 19:37)
-菅首相-8月までに退陣 2次補正と特例公債「やりきる」
毎日新聞 6月4日(土)21時26分配信
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参院予算委で自民・山本一太氏の質問を聞く菅直人首相=国会内で2011年6月3日、藤井太郎撮影
菅直人首相が8月末までに退陣する見通しとなった。菅首相は自らの退陣時期について、来年1月ごろをめどとする考えを示していたが、党内の強い反発を受け、政権を長期にわたって維持するのは困難となったためだ。菅首相は4日夜、民主党の石井一副代表と首相公邸で会談。懸案である11年度2次補正予算案と特例公債法案の成立に向け「最大の努力をし、やりきる。職に恋々としない」と語った。(2面に関連記事)
首相は2日、内閣不信任決議案の採決直前の党代議士会で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の対応に「一定のめど」をつけた時点で退陣する意向を表明。同日夜の記者会見で「一定のめど」について「(原発が)冷温停止の状態になること」と述べ、早期退陣を事実上否定していた。
だが、2日に菅首相と会談し、退陣の確約を得たと受け止めている鳩山由紀夫前首相は、首相を「ペテン師」と痛烈に批判。党内の首相に批判的な勢力が両院議員総会の開催を求める署名を集めるなど、党内対立が再び激化していた。
こうした情勢を受け、枝野幸男官房長官は4日、テレビ東京の番組で「長く居座る気持ちは首相にはない」と発言。民主党の岡田克也幹事長も同日、宮城県白石市で記者団に「首相は延命を図ることは全くない」と強調した。さらに、安住淳国対委員長は「首相は早晩、重大な決断をすると思う。夏を区切りにするのは(考え方の)一つだ」と、具体的な退陣時期に言及した。
一連の発言の背景には、遠くない時期の首相退陣を明確にしなければ、党内や野党の反発を抑えられない事情がある。野党の協力が得られなければ、第2次補正予算案や特例公債法案の成立が見込めず、震災復興に深刻な影響が出かねない。安住氏は退陣時期について「(11年度)第2次補正予算案を編成して、できれば成立することを考えても、そう遠くない時期だ」と指摘し、国会運営を意識した判断であることをにじませた。
首相に近い閣僚は「首相は『ペテン師』とまで言われて居座る気はない。首相の考えは枝野、岡田、安住氏の発言と基本的に同じだ」と述べ、こうした認識を首相自身も共有しているとの考えを示した。別の党幹部は「(枝野氏らは)週末に一斉に発言する打ち合わせをしていた。首相とも話はしている」と述べ、発言内容を首相も容認しているとの見方を示した。
ただ、こうした方針が野党側の理解を得られる見通しは立っていない。自民党の石原伸晃幹事長は4日、BS朝日の番組で「長くても7月、できれば6月に辞めてもらいたい」と述べ、さらに早期の辞任を求めた。民主党内の菅首相に批判的な勢力からも同様の声が出ており、退陣時期を巡る混乱はさらに続く可能性もある。【横田愛】
北沢防衛相:菅首相と鳩山氏の確認文書は「辞任前提」
北沢俊美防衛相は3日、訪問先のシンガポールで記者団と懇談し、菅直人首相と鳩山由紀夫前首相が確認した文書の作成に関与したと明らかにした上で「首相の辞任を前提に作り上げた」と述べた。同時に、首相発言をめぐる混乱も踏まえ「首相が鳩山氏と再会談し、真意を確認すべきだ」と求めた。
首相と鳩山氏は2日、確認事項として(1)民主党を壊さない(2)自民党政権に逆戻りさせない(3)東日本大震災の復興並びに被災者の救済に責任を持つ−−を文書で確認。具体的には、復興基本法案の成立と2011年度第2次補正予算の早期編成にめどをつけると明記した。(シンガポール共同)
毎日新聞 2011年6月3日 22時43分
菅首相:「退陣約束ない」…「ひょう変」批判集中
参院予算委で確認事項の文書をかざしながら自民・山本一太氏の質問に答える菅直人首相=国会内で2011年6月3日午後2時6分、藤井太郎撮影 菅直人首相が退陣の意向を示しながら早期の退陣を否定したことに関し、首相は3日の参院予算委員会集中審議で、鳩山由紀夫前首相との2日の会談では「何かの条件で(退陣するという)約束には全くなっていない」と述べ、退陣で合意したとする鳩山氏の主張を否定した。一方、野党は内閣不信任決議案が否決された後の首相の「ひょう変」を「否決するためのひきょうで姑息(こそく)な政治的詐欺だ」として反発を強めており、問責決議案の提出時期を探るなど首相への不信感は増している。
◇自公、問責決議案を検討
民主党内では、鳩山氏が首相を「ペテン師」と批判、両院議員総会の開催を求める考えだ。早期退陣を求める声は閣内からも出ており、「菅降ろし」の動きはやんでいない。
自民党の山本一太氏は同委で「キツネにつままれた気持ち。国民は全く理解できない」と非難したが、首相は「一定のめどがついた段階で、若い世代に責任を引き継ぎたい」とした発言メモを繰り返し読み上げた。
さらに首相と鳩山氏の会談をめぐって、民主党の岡田克也幹事長が「復興基本法案の成立と2次補正の編成は退陣の条件ではない」と発言したことに関し、首相は「私の認識は岡田さんと一緒」と明言した。
谷合正明氏(公明)は首相の会見に鳩山氏が強く反発したことを引き合いに、「仲間を裏切るとは本当にひきょうだ」と批判。首相は「私はどなたもだましたり裏切ったりしたという思いはない」と反論した。さらに「常識的に考えれば、ある程度の幅で『一つのめど』という言葉がある。そういう意味で使った」と述べ、退陣時期は自らの解釈で決められると主張した。
不信任案に対しては「国民の国会への期待に応えたとは思わない」と述べた。否決されたことについては「一定のめどがつくまで責任を果たせ、という結果と受け止めている」と、意欲を示した。小野次郎氏(みんな)への答弁。
一方、首相と鳩山氏の「確認文書」の作成に関与し会談にも同席した平野博文元官房長官は3日会見し、「進退について(会談前に)同意されなかったら、あんな文書ができて会談するという話にならない」と述べ、首相退陣が前提となっていたとの認識を示した。【松尾良、朝日弘行】
官房長官:菅首相の「早期」退陣示唆 反発広がりに危惧か
枝野幸男官房長官は4日午前のテレビ東京の番組で、菅直人首相の退陣時期について「そう遠くない時期に若い世代に引き継ぎたい、という思いははっきりしている。何月何日とは言えないが、そんなに長く居座る気持ちは首相にはまったくないと思っている」と述べた。首相が早期退陣を否定し、与野党から「居座り」と反発が広がる状況を収拾するため、退陣時期の目安を示す必要があると判断したとみられる。
また、首相が福島第1原発について「冷温停止の状態になることが一定のめどだ」と語ったことに関し、枝野氏は「同じ『めど』という言葉を使い、代議士会での発言と混同されている」と指摘し、退陣時期とは関連しないとの見方を示した。
枝野氏は番組後、記者団の質問に答え、9月の米国での日米首脳会談について「(首相は)出るとも出ないとも言っていない」と述べるにとどめた。
首相と鳩山由紀夫前首相との間での認識の食い違いに関しては番組内で「国民の皆さんに今の政治の状況は本当に申し訳ない。国政にいる立場として大変申し訳なく、恥ずかしい。政府で重い仕事をしている立場から責任を感じている」と語った。
一方、自民党の石原伸晃幹事長は4日午前、BS朝日の番組で、退陣の意向を表明した菅首相に対して「長くても7月、できれば6月に辞めてもらいたい。6月の頭に辞めると言って、1カ月レームダックの首相でいると物事が進まない」と早期辞任を要求した。そのうえで「(民主、自民両党の)大連立と閣外協力の二つがある。新しい信頼できる仲間でやりたい」と述べ、首相が退陣すれば与野党の協力体制は進むとの見通しを示した。【田中成之、念佛明奈】
枝野官房長官:自然エネルギー演説は首相主導と説明
枝野幸男官房長官は26日の記者会見で、菅直人首相が日本の電力に占める自然エネルギーの発電比率を20年代の早い時期に20%とすると表明した演説について「積み重ね型の議論ではなく、首相の強いリーダーシップの下に方向性を打ち出すやり方も、重要な課題で方向性を変えるに当たっては重要だ」と述べ、首相が主導したと説明した。
現行のエネルギー基本計画では、水力を含む自然エネルギーの比率を30年までに20%に引き上げる内容で、首相はこれを前倒ししたい考えだが、政府・民主党内で議論が十分された形跡はない。演説で首相は太陽光パネルの1000万戸設置にも言及したが、枝野氏は「具体的段取りはこれまでの施策の成果と問題点、不十分な点を精査した中で示した方が確実ではないか」と述べるにとどめた。【影山哲也】
毎日新聞 2011年5月26日 22時43分
大気放出量は77万テラベクレル、倍に修正 地震当日に圧力容器破損、保安院
産経新聞 6月6日(月)20時49分配信
経済産業省原子力安全・保安院は6日、福島第1原発事故の解析の結果、大気への放射性物質の総放出量は推定77万テラベクレル(テラは1兆)に上ると発表した。4月に事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で最悪の「レベル7」に引き上げた際は、推定37万テラベクレルとしており、今回の発表値はその2倍強にあたる。
総放出量について原子力安全委員会は63万テラベクレルと試算していたが、それも上回る値となった。
解析結果を反映させた政府報告書を、今月下旬にウィーンで開かれる国際原子力機関(IAEA)閣僚級会合に提出する。
保安院の解析は、1〜3号機すべてで炉心溶融が起きたと推定。溶け落ちた燃料によって原子炉圧力容器が破損した時刻は、1号機は東電の解析より10時間早い、地震発生から約5時間後の3月11日午後8時ごろ、2号機は29時間早い14日午後10時50分ごろとした。事故の進行が東電の解析よりも大幅に速かったことを示す結果となった。
保安院は大気への推定放出量が2倍強になった理由を「2号機からの漏洩(ろうえい)で過小評価があった」と説明。さらに、事故の進行が東電の解析と異なることについては、「(核燃料が発する)崩壊熱などの条件設定に違いがあり、詳細を実態に近い形に当てはめたため」とした。
3号機の圧力容器破損に関しては保安院は14日午後10時10分ごろと推定しており、東電の解析より13時間遅くなっている。
東電は5月24日、1〜3号機で炉心溶融が起きているとみられるとする解析結果を公表していた。
また、保安院は6日、東電が同原発の耐震安全性の確認で「活断層ではない」としていた「湯ノ岳断層」(福島県いわき市、長さ約13・5キロ)が、東日本大震災以降に地表に出現したと発表した。保安院によると、同断層は同原発から南西約50キロにある。4月11日の同県浜通りを震源とする地震で活動したとみられる。
-福島第1原発-1、2号機炉心溶融 東電の解析より早期
毎日新聞 6月6日(月)21時59分配信
拡大写真
福島第1原発。左から1号機、2号機、3号機、4号機=福島県田村市上空で2011年3月13日午後4時8分、本社ヘリから西本勝撮影
経済産業省原子力安全・保安院は6日、地震直後の東京電力福島第1原発の様子を解析した結果を発表した。メルトダウン(炉心溶融)によって生じる圧力容器の破損は東電の解析に比べ、1号機で10時間早く、地震発生の5時間後に始まった。2号機では東電解析より29時間早く、1日以上早く放射性物質が放出された可能性がある。両者の差は解析方法の違いだが、保安院は「より実態に近い」と語った。一方、外部放出された放射性物質は2号機で過小評価があったとして、従来の倍増の77万テラベクレル(テラは1兆)に修正した。
【福島第1原発事故】1〜3号機溶融 格納容器に穴の可能性
1〜3号機では全電源喪失で冷却機能が失われ、燃料棒の損傷が始まった。燃料棒を収めた圧力容器の破損について、東電は1号機では「3月12日午前6時ごろ(地震発生15時間後)」としていたが、保安院は10時間前の同11日午後8時ごろ(同5時間後)と推定。メルトダウンが東電の解析結果より早く始まった可能性を指摘した。
2号機の圧力容器の破損は「同14日午後10時50分ごろ(同80時間後)」で、東電の109時間後より29時間早まった。逆に3号機では同14日午後10時10分ごろ(同79時間後)に始まり、東電の解析より13時間遅い。
放射性物質の放出量では85万テラベクレルという試算があったが、その後の精査で77万テラベクレルとなった。国際原子力事象評価尺度(INES)では、数万テラベクレル相当の放出がある場合を最悪のレベル7と定めているため、評価は変わらない。同じレベル7だったチェルノブイリ原発事故では520万テラベクレルと推計されている。
解析結果は、国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に提出する日本政府の報告書に盛り込まれる。【中西拓司、平野光芳】
「社会的責任は明らかに」=免責、公開基準あいまい—原発事故調
時事通信 6月7日(火)13時45分配信
7日に初会合を開いた東京電力福島第1原発の「事故調査・検証委員会」は分野ごとに4チームに分かれ、各チームに3人程度の専門家を付けて検証に臨む。畑村洋太郎委員長(東大名誉教授)は記者会見で、「進んでいる事象に対応して、検証しないといけないので大変だと思う」と展望を語った。
畑村委員長は「原子力の安全のために何が必要だったのかという責任はある。それは明らかにする」と述べ、刑事・行政責任などとは別に、社会的責任の検証は必要との見方を示した。
一方、調査した資料や証言内容が捜査当局などに提出される可能性について、「『出すつもりはない』と言えるが、強制的であれば分からない」として、証言などが法的に免責対象になるかどうかについては、あいまいさを残した。
核燃料、圧力容器貫通の可能性…政府が報告へ
読売新聞 6月7日(火)14時30分配信
東京電力福島第一原子力発電所の事故について、政府が国際原子力機関(IAEA)に提出する報告書の全容が7日明らかになった。
報告書は、破損した1〜3号機の原子炉圧力容器の底部から溶融した核燃料が漏れ出し、格納容器内に堆積している可能性を指摘した。
格納容器まで溶けた核燃料が落下する現象は「メルトスルー」(原子炉貫通)と呼ばれ、「メルトダウン」(炉心溶融)を上回る最悪の事象。これまで圧力容器底部で、制御棒の貫通部などが破損し、高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏出したことは明らかになっていたが、政府が公式にメルトスルーの可能性を認めたのは初めて。
また報告書は、原子力安全規制の行政組織が縦割りで、国民の安全を確保する責任が不明確だったと認め、原子力安全・保安院を経済産業省から独立させ、原子力安全委員会なども含めて、体制を抜本的に見直す方針なども打ち出した。 .最終更新:6月7日(火)14時30分
福島第一原発、1—3号機でメルトダウン 保安院解析
CNN.co.jp 6月7日(火)9時21分配信
東京(CNN) 原子力安全・保安院は6日、東日本大震災後に東京電力・福島第一原子力発電所の1号機と2号機、3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起きたとする解析結果を発表した。
東電は先月24日、1号機が震災後16時間以内にメルトダウン状態となり、燃料が圧力容器の底にたまって漏れ出しているとの推定結果を発表した。また2号機では101時間後、3号機では60時間後に大部分の燃料が溶け落ちた可能性が高いとしていた。
東電の発表を受け、米ミシガン大学のゲイリー・ワス教授(原子力工学)は「完全なメルトダウン以外の何物でもない」との見解を示していた。
保安院は、今回発表の解析結果でメルトダウンがさらに急速に進んでいたとの認識を示す一方、事故の収束へ向けた工程表のスケジュールに変更はないとしている。
1号機、地震5時間後に圧力容器破損…保安院
読売新聞 6月6日(月)15時42分配信
経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第一原子力発電所1〜3号機について、原子炉の核燃料(炉心)が溶け落ちた様子の詳しい解析結果を公表した。
東電による簡易解析に比べ、1号機は10時間、2号機は29時間も早く圧力容器が破損していたと推定した。これに伴い、放射性物質の総放出量は放射性ヨウ素換算で77万テラ・ベクレルに上り、4月12日に公表した推計値の2倍になった。20日にウィーンで始まる国際原子力機関(IAEA)の閣僚級会合で報告する。
保安院の解析によると、1号機では地震の3時間後に炉心の損傷が始まった。圧力容器の破損は、1号機が同5時間後の3月11日午後8時、2号機が14日午後10時50分、3号機が同10時10分。東電の解析に比べ、1、2号機は破損が早く、3号機は逆に13時間遅い結果になった。2、3号機は炉心にほとんど水が残っていない場合を想定した。 .最終更新:6月7日(火)1時28分
原発の水没防止徹底、非常電源多重化…政府報告
. 福島原発
政府は7日、東京電力福島第一原子力発電所事故に関する調査報告書を、国際原子力機関(IAEA)に提出した。
報告書で政府は、津波による浸水防止や非常用電源の多重化、原子炉の注水・冷却の充実など28項目の安全強化策を今後実施する方針を表明した。既設原発の安全対策や原子力規制に大きな見直しを迫る内容で、全国約50基の原発の運転にも影響を与えそうだ。1〜3号機の原子炉では、溶融した核燃料が圧力容器の底部から漏れ出し、格納容器の床に落下、堆積する「コアメルト」(原子炉貫通)が起きた可能性を公式に認めた。
報告書は「原子力事業者(東電)も国も、常に新しい情報に敏感に反応して、安全性向上に真剣に取り組んできたかを省みなければならない」と述べ、従来の安全対策に安住していたことを厳しく指摘。今後、電力会社、国、自治体が取り組むべき五つの教訓を挙げ、28項目の安全強化策を打ち出した。
津波対策では、波高の想定を大幅に見直した上で、非常用発電機や冷却用海水ポンプなどの水没防止策を徹底する。非常用電源確保では蓄電池の容量拡大と合わせ、水冷と空冷の発電機を組み合わせるなど多重化する。
原子炉冷却では、空冷式冷却装置の開発も検討する。予想外だった原子炉建屋の水素爆発を踏まえ、水素除去手段も大幅に拡充。原子炉の圧力を下げて注水を容易にするベントシステムや、使用済み燃料プールの冷却水確保も強化する。
(2011年6月7日21時16分 読売新聞)
原発事故調が初会合、年内めどに中間報告
. 東京電力福島第一原子力発電所事故に関する政府の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)は7日午前、都内で初会合を開いた。
年内をめどに中間報告をまとめ、最終報告は原発事故の収束後とした。委員会の活動を補佐する4チームを設置し、過去の原子力行政のあり方を含め、包括的に検証を行うことも決めた。
会合では、過去の原子力安全に関する基本的な考え方などを点検する「背景に関する事実確認」と、原子力行政や東電の体質を含めた事故につながる要因を包括的に調べる「東電福島原発事故に関する事実確認」を当面の調査項目とすることを決めた。6月中に現地視察を行うことや議事を原則公開で行うことも決めた。
(2011年6月7日13時50分 読売新聞)
原発事故調査・検証委員会のメンバー
. ◆原発事故調査・検証委員会のメンバー(敬称略)
畑村洋太郎(東大名誉教授)=委員長▽尾池和夫(前京大総長)▽柿沼志津子(放射線医学総合研究所放射線防護研究センターチームリーダー)▽高須幸雄(前国連大使)▽高野利雄(元名古屋高検検事長)▽田中康郎(元札幌高裁長官)▽林陽子(弁護士)▽古川道郎(福島県川俣町長)▽柳田邦男(作家)▽吉岡斉(九州大副学長)
(2011年6月7日12時14分 読売新聞)
1号機、地震5時間後に圧力容器破損…保安院
. 経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第一原子力発電所1〜3号機について、原子炉の核燃料(炉心)が溶け落ちた様子の詳しい解析結果を公表した。
東電による簡易解析に比べ、1号機は10時間、2号機は29時間も早く圧力容器が破損していたと推定した。これに伴い、放射性物質の総放出量は放射性ヨウ素換算で77万テラ・ベクレルに上り、4月12日に公表した推計値の2倍になった。20日にウィーンで始まる国際原子力機関(IAEA)の閣僚級会合で報告する。
保安院の解析によると、1号機では地震の3時間後に炉心の損傷が始まった。圧力容器の破損は、1号機が同5時間後の3月11日午後8時、2号機が14日午後10時50分、3号機が同10時10分。東電の解析に比べ、1、2号機は破損が早く、3号機は逆に13時間遅い結果になった。2、3号機は炉心にほとんど水が残っていない場合を想定した。
(2011年6月7日01時28分 読売新聞)
積算線量次第で避難指示も検討…枝野氏
. 枝野官房長官は6日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う警戒区域と計画的避難区域以外の地域について、「地形などの事情で部分的に放射線量が高い所がある。モニタリングの状況を踏まえ適切に対応する」と述べ、局地的に年間の積算放射線量が20ミリ・シーベルトを超えるおそれがある場合は避難指示を検討する考えを示した。
(2011年6月6日21時46分 読売新聞)
2022年脱原発、独メルケル政権が閣議決定
. 【ベルリン=三好範英】ドイツのメルケル政権は6日、2022年末までにドイツ国内の全原発を廃止することを定めた原子力法改正案を含む10の法案を閣議決定した。
法案によると、福島第一原発事故を受けて暫定的に停止している7基と、それ以前から事故のため稼働を停止していた1基の計8基は、このまま稼働を停止する。さらに15、17、19年に各1基を、21年と22年に各3基を、それぞれ廃止する。
ただ、冬場の電力不足に備え、現在稼働停止中の原発のうち1基を、稼働再開可能な「待機状態」に当面置くかどうかについては、検討を加えることにした。
また、閣議では再生可能エネルギー法改正案などの関連法案も決定。太陽光など再生可能エネルギーの普及、送電線網の建設促進などを図る方針を決めた。
(2011年6月6日21時30分 読売新聞)
茨城以南「ダブル空白域」 警戒必要と専門家
東北に大津波をもたらした1896年の明治三陸地震=マグニチュード(M)8・2=や1933年の昭和三陸地震(M8・1)と同タイプの巨大地震が今後発生するとすれば「北緯37度以南の茨城—房総半島沖」の可能性があるとの解析結果を、建築研究所の古川信雄研究専門役(地震学)が7日までにまとめた。
茨城—房総沖の日本海溝を挟んだ両側が、両タイプの地震の空白域とみられるため。海溝の西側で起きるのが「明治三陸型」、東側が「昭和三陸型」とみており「発生時期は分からないが、警戒が必要」としている。
【写真】 昭和三陸地震で倒壊した家屋と住民=1933(昭和8)年3月4日、現岩手県釜石市只越町(電通アルバム)
(2011/06/07 10:19)
炉心損傷後数時間、水素が急激発生していた
. 経済産業省原子力安全・保安院は、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生した際、1〜3号機の炉心損傷が始まった直後の数時間で、最大約1トンもの水素が急激に発生したとする解析結果をまとめた。
大部分が数時間のうちに発生しており、原子炉建屋の水素爆発につながったとみられる。
解析結果によると、1号機では地震発生から約2時間後の3月11日午後5時頃、原子炉の水位が低下して燃料棒が露出。その1時間後、核燃料を包む被覆管の成分であるジルコニウムと水が反応して水素が出始め、数時間のうちに総量約1トンの大半が発生したとみている。
2号機では14日午後8時頃、3号機では13日午前10時頃から水素が発生した。いずも燃料棒が露出し始めてから2時間程度しかたっていない。発生量はそれぞれ最大で0・8トン、1トン。
(2011年6月8日21時43分 読売新聞)
東電の放射線データ公表漏れ、合計1382件
. 東京電力は8日、福島第一原子力発電所内の放射線観測データで公表漏れがあった問題の経緯について、調査結果を発表した。
東電によると、3月11〜21日にデータを記録しながら未公表だったものは、1382件。そのうち、混乱のためファクス送受信の確認が取れず、本店にデータが届かなかったものが351件、当初は10分間隔で公表していたため、対象外となった2分間隔のデータが526件だった。
また、本店広報の判断で公表されなかったものは401件で、その大半は柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)から3月12日に派遣された測定車のデータだった。東電は「これまでなかったデータが説明なく突然送られてきたため、扱いが分からなかった」と説明している。公表されていないことに社員が気付き、同13日午前9時のデータからホームページに掲載した。
(2011年6月8日13時35分 読売新聞)
6月3日テルルの表題(別添)福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所周辺の緊急時モニタリング調査結果について(3月11日〜15日実施分)(PDF形式:7,017KB)
炉心損傷示す放射性物質「今日情報を得た」 IAEA事務局長
【ウィーン=藤田剛】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は6日の記者会見で、東日本大震災の発生翌日の3月12日に福島第1原子力発電所の炉心損傷を示す放射性物質が検出されていた問題について「今日情報を得た」と述べた。原子力安全・保安院は検出の事実を2カ月半以上も発表しなかったが、IAEAにも報告していなかったことになる。
IAEAの調査団は5月24日から6月1日まで日本に滞在し、福島第1原発などを視察した。天野事務局長は会見で「調査団も情報を受け取っていない」と説明した。
炉心損傷を示す放射性物質は核燃料が1000度にまで過熱しないと放出されないとされる「テルル」で、天野事務局長は「テルルの放出は重要な情報」と指摘した。テルルは1号機で最初に排気用の弁の開放(ベント)をする前に原発の敷地外で検出されていた。
日経
6月6日 テルル132の検出が意味すること 小出裕章 (MBS)
2011年6月6日(月)、MBS(毎日放送)ラジオ「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。
番組案内
2011年6月 6日【月】
大連立への動きが活発に…
菅総理大臣が退陣の意向を固めたことを受けて、与野党内では大連立に向けた動きが活発になっています。今夜の番組では、MBS東京報道の松井記者に、いまの永田町の動きなどを伝えてもらいます。
また、京大原子炉実験所の小出裕章さんに、福島原発事故の問題について解説してもらいます。
録音
【福島原発】6/6/月★総放出量37万テラベクレル⇒77万テラベクレルに修正
要約
・(福島原発の事故で出た放射性物質の量について、保安院が解析し、従来とは違う数字が出てきた。従来の37万テラベクレルに対し、77万テラベクレルとなった。どういう意味か?)もともと安全委員会は66万テラベクレルとしていたし、評価のやり方でいくらでも変わる。私はもっと多かったと思っているし、海へ流れた分は分からないまま。今回の保安院の数字は海への分を加算したものだが、それも過小評価だ。
・(37万テラベクレルを元にして事故評価をレベル7としたが、それが今回2倍。さらにもっと多くなる?)チェルノブイリに近付いている。チェルノブイリの事故は収束しているが福島は進行中であり、チェルノブイリに近づいて超えるかもしれないと最初から私は伝えてきた。
・(海洋汚染の放射線量は不明。いま政府は海洋調査ポイントを公開しているか?)私は見ていないが、散発的には出てきている。測定ポイントを強化し海岸線沿いの海藻の汚染を調べればもっと分かると思うが、見たことはない。
・(テルル132が検出されていたことについて。テルル132はどういうものか?)ヨウ素132の親核種。ヨウ素132は寿命が短い。テルル132が出てくるとヨウ素132が生み出される。テルルを見ていればヨウ素のことが分かる。燃料棒の被覆管が破れない限りテルルは出ない。事故の初期に被覆管が損傷していた証拠。被覆管のジルコニウムが水と反応する温度が850?900度。事故の初期の段階でその温度に達して被覆管が壊れていた。
・(保安院の西山審議官が「情報を整理して公表する発想がなかった」と言っているが?)保安院にとっては、それこそがやらないといけない一番の仕事だ。
・(テルル132の検出を事故直後に公表していれば、避難すべき人たちに対するコメントが変わった?)もちろん。テルルが出るということはヨウ素が出るということ。ヨウ素剤などの防護措置が早急になされなければいけなかった。
・(これを当時発表しなかった影響は大きいと考えるが?)呆れるしかない。
・(3月12日に枝野さんは会見で放射能については測定し万全を期しており、ヨウ素も用紙していると言った。ヨウ素剤を摂取しておかなければならなかった?)本当ならばそうだった。ヨウ素剤は飲むべきときに飲まないと意味がない。
・(3月12日午前8時半にテルルを検出し、同日午後6時に避難地域を半径20キロに拡大した。その間に措置ができたはず。明らかに分かっていたがそれを隠しながら政府は避難地域を拡大したと考えられるか?)私はそうだと思う。日本の今の政府は事故の規模を小さく見せようとしてきた。
・(プルトニウムが原発から1.7キロの地点で検出された。以前は文科省の調査で検出されたが、過去の核実験によるものとされた。今回の検出物は福島事故が原因だと言われているがどうか?)詳細は不明だが、プルトニウムが今回検出されたといっているのは私も知っている山本氏。彼が言うなら確かだ。
・(プルトニウム検出の意味は?)プルトニウムは燃料から外には出づらい放射性物質。それが環境に出てくるほど悪化しているということ。核燃料が相当損傷しているということだ。
・(プルトニウムの人体への影響は?)プルトニウムは人間が遭遇したなかで最も毒性の高い物質。100万分の1グラムを吸ったら癌で死ぬほど。
・(国は過去の核実験が原因と言っているが、それに対しては?)過去の大気圏内核実験は犯罪的であり大量のプルトニウムを60年代にばらまいた。それ自体とてつもないことで、地球のほとんどが汚染されている。その上に今回の福島の事故で周辺がプルトニウムで更に汚染された。残念なことだ。
東海第2、原発タービン羽根に傷 揺れで接触か
日本原子力発電は8日、東日本大震災により自動停止した茨城県東海村の東海第2原発で、4基あるタービンのうち2基の低圧タービンの羽根に傷が多数見つかったと発表した。周辺環境への影響はないとしている。
日本原電は揺れで羽根同士が接触した可能性が高いとみている。国と茨城県、東海村に報告し、ほかのタービン、発電機なども追加で検査する。
日本原電によると、蒸気を受けてタービン軸を回し発電機を動かす「動翼」と、蒸気を動翼に導くための「静翼」で、それぞれ複数箇所に傷が見つかった。地震発生時、タービンは揺れを感じて自動的に停止したという。
東海第2原発は沸騰水型軽水炉で、出力110万キロワット。5月21日から11月中旬まで定期検査中で、日本原電は運転再開の時期は未定としている。
(2011年6月 8日)共同
国内外で脱原発イベント 事故3カ月で、市民団体
「6・11脱原発100万人アクション」開催で記者会見する主催者ら=8日午後、東京都中央区
東日本大震災と福島第1原発事故から3カ月となる11日をはさみ、国内外の市民団体が100カ所以上でデモや講演会などを開いて脱原発を訴える「6・11脱原発100万人アクション」を開催すると、主催者が8日、発表した。
このイベントは、都内で脱原発を求め活動する「脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会」や「福島原発事故緊急会議」などが中心となり、インターネットのホームページはhttp://nonukes.jp/wordpress/で国内外に参加を呼び掛けた。
主催者側によると、国内では福島や静岡、海外ではドイツやオーストラリアなど100カ所以上で、10〜12日にデモやチェルノブイリ原発事故関連の写真展、専門家の講演会などを開催する。都内では11日に新宿や芝公園で集会やデモがある。
各地でのイベントをネットで中継する計画も進めている。
(2011年6月 8日)共同
基準が不明確で連携とれず データ未公表で東電
東京電力は8日、福島第1原発の敷地内で3月11日から17日までの放射線量測定データの一部が5月下旬まで未公表だった原因について「公表の判断基準が不明確で、内部の連携も取れていなかった」などとする調査結果を発表した。
東電によると、通常は測定されたデータは自動的にホームページに掲載されるが、震災後の停電でデータが電送できなくなった。東電は「自動的に表示されない場合の対応手順が決められていなかった」と説明した。
また、データの追加公表まで時間がかかったことについて、データに抜けがあるのに気付くのが遅かったことや、震災後の混乱で記録の保管が本店や発電所で不十分で資料の収集に時間がかかったことなどを挙げた。
東電は5月28日、毎時3千マイクロシーベルト以上の高線量の測定結果を含む約1500項目の新たなデータを公表した。
(2011年6月 8日)共同
首相補佐官に馬淵氏、原発問題を担当 寺田氏は辞任 (Web刊)
http://www.asyura2.com/11/senkyo110/msg/610.html
投稿者 七転八起 日時 2011 年 3 月 26 日 15:49:50: FjY83HydhgNT2
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819481E0E4E2E29F8DE0E4E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
菅直人首相は26日午後、馬淵澄夫民主党広報委員長を原子力発電所問題担当の首相補佐官に起用することを決めた。代わりに寺田学首相補佐官が辞任する。現行の内閣法では補佐官の数を「5人以内」と規定。菅内閣では既に補佐官が5人いるため、新たに加える場合には誰か1人を外す必要がある。
馬淵氏は昨年9月の菅改造内閣で国土交通相に就任。尖閣諸島沖の漁船衝突事件の映像流出事件を巡り、当時の仙谷由人官房長官とともに参院で問責決議を受け、今年1月に国交相を退任していた。仙谷氏は東日本大震災の発生後、官房副長官として再び官邸入りしている。問責決議を受けた閣僚が相次いで政府入りする形となる。
生活と原子力04 法律とその基準
(詳しく知りたい人に)
少し落ち着いたら放射線の被曝の基準について、法律という面から整理をしようと思っていましたけれども、なかなか福島原発が落ち着かないので、放射線の被曝についての法律の話をしておきたいと思います。
放射線の被曝に関する基本的な日本の法律は、「原子力基本法」です。昭和30年にでき、最後の改正が行われたのは平成16年です。
第1条の目的には、「この法律は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする」とあります。
きちんと書いてある目的の条文ですが、どちらかというと原子力を利用する側に重点が置かれているような気もします。
また、放射線による障害の防止として、第20条に「放射線による障害を防止し、公共の安全を確保するため、放射性物質及び放射線発生装置に係る製造、販売、使用、測定等に対する規制その他保安及び保健上の措置に関しては、別に法律で定める」とあります。
この法律を受けて、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」という やや長い名前のついた法律があり、昭和32年に制定され、最終の改正は平成22年5月です。つまり昨年の5月に最終的な改訂が行われています。
この法律は基本的なことが書かれていますが、あまり数量的なことは示されていません。この法律のもとにさらに「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令」、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則」、「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」があります。
名前を見るだけで嫌になってしまうような長い名前の法律や規則です。数量を決めるのは最後のもので、ここには後に整理をする厚生労働省と同じ数値が乗っていますが、ただ、排水、排気の基準のところに、規則第19条があり、線量限度として「1年間に1ミリシーベルト」とあります。これが「公衆が安全な線量」とされています.
条文に明記されていないのは、「公衆の限度を越える事態」そのものの概念がないからです.つまり人工的に放射線や放射性物質を出す場合は、「意図を持って出す」のであって、福島原発のように「制御できずに出す」という事はないと錯覚しているからです.
さいす
でも、公衆の被曝限度が1ミリシーベルト(年)なので、最終的にはこの数字がチラチラと出てきます.
・・・・・・・・・
次に、厚生労働省の管轄である「労働者の保護」を目的とした放射線障害防止規則を説明しておきたいと思います。
文部科学省の法律と厚生労働省の法律は同じ日本国のものですから、わずかなところは違いますが基本的には同じ構造と数値でできています。
厚生労働省の法律では、「労働安全衛生法」がまずあり、その下に「労働安全衛生法施行令」があり、さらにその下に「電力放射線障害防止規則」があります。この規則は、昭和47年に制定され、最後の改正は、平成23年1月ですから、今年の1月に最終的な改正が行われています。
この規則は、労働者を被爆から守るわけですから第1条の目的には、「事業者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。」とあります。
しかし、他の法律で決められている数値も同じです.それは労働者と一般人は同じ人間だからです。
規則の構造を説明しながら数値を示していきます。
まず重要なのは「管理区域」の概念です。つまり放射線の被曝を減らすためには、日本中どこでもかしこでも注意するわけにいかないので、ある放射線を超えるところだけ「管理区域」として決めるという考え方です。つまり、第三条では、
一 外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が三月間につき一・三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域
二 放射性物質の表面密度が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えるおそれのある区域
となっています。
まず、最初の数値は3ヶ月で1.3ミリシーベルトですから、福島原発でマスメディアが使った1時間あたりの放射線量で言えば、0.6マイクロシーベルトになります。
福島原発から放射線が漏れ福島市の1時間あたりの放射線量が20マイクロシーベルトになったときに、わたくしはびっくりしました。
私が放射線と健康についてどう考えているかどうかは別にして、法律で管理区域が0.6マイクロシーベルと以上となっているときに、その30倍もの放射線量が、普通のところ=福島市全体、におよんだのです。
私は、福島市長が直ちに福島市を管理区域にして市民を守ると思っていましたが、事態はは全く逆になり、またびっくりしました。
また、表面汚染ですが、ここで言っている別表第3には、「アルファ線を出すもの:1平方センチメートルあたり4ベクレル.アルファ線を出さないもの40ベクレル」とされています。
3月31日、IAEAが飯舘村の土壌表面で1平方メートルあたり200万ベクレルを観測しましたが、1平方メートルは1万平方センチメートルですから、別表第3の単位では200ベクレルになり、これも管理区域の指定が必要です.
・・・・・・・・・
管理区域の設定が終わると、
1) 仕事の男性 年間20ミリ(1時間2.3マイクロ)
2) 仕事の女性 3ヶ月5ミリ(1時間2.3マイクロ)
3) 妊婦(内部) 妊娠中1ミリ(1時間0.2マイクロ)
です。労働者を対象としているので、一般公衆を明記していないが、一般公衆には妊婦もいるので、おおよそ1年1ミリシーベルトに合わせてあります.
・・・・・・・・・
最後にICRP(国際放射線防護委員会)との関係について整理をしておきます.
ICRPは1990年に一般公衆の線量限度を1ミリシーベルト(年)と勧告をしました。これについて、日本の国内法にどのように盛り込むかについて、審議委員会は次のように要望を出しています.
「現行の施設基準を変えない事とし、管理区域の外側の一般人の被ばく線量が1年当たり1mSvを越えないよう管理を行う。、
・現状の各施設における管理区域境界での線量の実測値と管理区域外側の一般人の滞在時間を考慮すると大部分の施設は年間1mSvを超えない。
・したがって「施設基準は現行もままとし、管理区域外側の一般人の滞在時間等を考慮し年1mSvを超える場合には『特別に管理する区域』を設けることによって、基本部会案と同等の安全対策を取ることが出来る。」と考えられる。
・管理区域境界において線量を連続モニタリングし、実測値を短時間例えば1ヶ月毎に点検することにより、状況に応じて管理区域の外側にさらに特別に管理する区域を設定すること等によって一般人の被ばく線量が年当たり1mSvを越えないようにすることは容易であると考えられる。」
つまり、直ちに明文化するのではなく、実質的に1ミリシーベルトを越える怖れのあるところを注意していきたいということです。
1990年勧告を受けて、放射線の専門家はみんな1ミリシーベルトで動いていたのに、福島原発で真逆のことを言われたので、私はビックリしました。
なお、政府の原子力データの管理機関「高度情報科学技術研究機構」では、そのホームページに、
「線量目標値は、日本の原子力発電の主流を占めている発電用軽水炉について、ICRP(国際放射線防護委員会)のALARA(合理的に達成可能な低減)の精神にしたがって、放出放射性物質による周辺公衆の被ばく線量を合理的に達成できる限り低く保つための設計及び運転管理の目標として、定められた(原子力安全審査指針)ものである。
その値は、実効線量当量で、年間50μSvで、一般公衆に対する線量限度の1/20で、地域による自然放射線からの線量当量の変動の巾より小さい。実効線量当量は、気体廃棄物中の希ガスによる外部被ばく、ヨウ素の摂取による内部被ばく、液体廃棄物に起因する海産物摂取による内部被ばくの合計で評価する。」
とあり、一般公衆の線量限度が1年で1ミリシーベルトであること、普段は1年間でその20分の1の50マイクロシーベルトを目標にすることが明記されています.
ICRPは「線量限度」(我慢できる限度)を1ミリシーベルトにして、原子力関係者に「努力目標」を求め、それが日本では50マイクロシーベルト(年)でした。
福島原発の最初のころ、1ミリシーベルトを「単なる目標値」と発言した専門家は深く反省してください。
(平成23年4月5日 午前9時 執筆)http://takedanet.com/2011/04/post_f1fe.html
http://konakira.wordpress.com/2011/04/11/exposure/
政府が年間放射線被曝限度量を年間1mSvから20mSvに引上げたい理由(改訂1)
投稿日: 4月 11, 2011 作成者: kon
(※ 自然放射線量を考慮していないというご指摘をいただきましたので、手直しします。手直し部分は赤で示します)
4/5に「引上げを検討」という記事(年間の被曝限度量、引き上げを検討 原子力安全委)を見たと思ったら、今日(4/11)の避難区域拡大の記事(20キロ圏外に「計画的避難区域」 葛尾や浪江・飯舘)ではすでに年間20mSvが基準として決まったかのように使われてました。素早いですね。
避難区域拡大の記事を見ると、政府が年間放射線被曝限度量を20mSvに引上げたい理由は明確ですね。つまり、現行の1mSvが限度量だとすると避難区域が福島県の東半分全体になってしまうからです。
1mSv/年は毎時に直すと、1000μSv/年÷365.25日÷24時間=0.114μSv/時となります。ただし、この数字は自然放射線量とは別にカウントします。下の放射線量マップでは自然放射線を含んだ値となりますので、0.114μSv/時に日本平均の放射線量0.99mSv/年=0.113μSv/時を加えた0.227μSv/時を使って3月10日午後の放射線量マップ(下記)を見ると、福島県の東半分は全滅で、実は会津若松もダメです。福島県以外も宮城県の白石や栃木県の那須、日光、茨城県の北茨城、高萩、日立、東海、ひたちなか、鉾田、つくば、も基準を超えてしまうのです。
ちなみに日本では1mSvの基準は法律で決まっているようですが(中部大学の教授で原子力委員会専門委員などをされてた武田先生が根拠を示されてます)、では、それだけの被曝をさせないようにしようとするとどうなるかと言うと、福島、宮城、栃木、茨城に渡る地域の人たちを移住させなければならなくなり、気が遠くなりそうなお金がかかりそうです。
この地域の人たちを避難させるための費用は想像しにくいのですが、仮に代替の土地の提供などで1人当たり1千万円かかると仮定し、先に述べた地域の人たちの人口が合計200万人とすると20兆円になります。1人1千万円は低めの見積もりな気がしますし、収入の補償も必要でしょうし、企業のビルや工場設備など資産への補償を考えるとこの何倍にもなるでしょう。
このあたりが年間放射線被曝限度量の基準値を引上げたい本当の理由と思います。
記事中では、「国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告では、緊急事故後の復旧時は1〜20mSvを目標としている」とありますが、当の勧告はフリーダウンロードとして誰でも参照できるようになってます。基準値はこの文書のExecutive Summaryの(n)(o)などに記述があり「最適な被曝防護の計画と実施との組み合わせで考慮されるべきで、年間放射線被曝限度量1〜20mSv/年の範囲の低いあたりで選択されるべきだが、過去の事例からかんがみて典型的には1mSv/年が選択される」などと記されてます。朝日の記事では、この記述の枝葉をすべてカットして数字だけを便利に利用しているわけです。
さて、20mSv/年は本当に健康に影響がないのでしょうか?この辺は福島原発事故後の発言よりも事故前の資料の方が信憑性がありそうです。そのひとつは自分も学生の頃愛読していたニュートンかなと思います。「放射線 どんな種類がある?人体への影響は?」という2008年10月号の記事によると、100mSvの被曝で100人中1人の割合でがんになる人が増える計算とのことです。ただし低い線量の場合に確率が下がっていくのか、あるいはあるしきい値より下だと影響がないのかは分かっていないのだそうです。
確率的影響があると仮定して計算すると、20mSv浴びると1000人に2人の割合でがんになる人が増えることになります。福島市と郡山市の放射線量は3/10時点で1.8μSv/時ぐらいありますので、このままの放射線量が続くと仮定すると、2μSv/時×24時間×365.25日=15.8mSv/年になり、1000人に1.6人の割合でがんになります。福島市の人口は29万人、郡山市は34万人ですので、福島市で460人、郡山市で540人の人が放射線被曝の影響でがんになる計算になります。
要約すると、年間放射線被曝限度量を年間1mSvから20mSvに引上げるのは、避難地域があまりにも広大になり莫大な費用がかかるのを避けるためであり、そのために福島市と郡山市だけで試算しても合計1000人のがん患者を増やしてもやむを得ない、と国が判断していることになります。
政府は本当のことを説明して国民全体の議論を高めてはどうかと思います。
http://takedanet.com/2011/04/52_a7e0.html
原発 緊急情報(52) 子供の目線で
新学期を前にして福島県の小学校を中心として学校や幼稚園の空間線量率(普通に発表されている放射線の強さ)が測定されて公表されました。
それを見ると、高いところでは1時間当たり20マイクロ(シーベルト、省略)を超えるところもあり、10マイクロ程度の学校が相当多いようです。
そこでここでは「大人の目線」ではなく、現実に学校に通って被爆する「児童生徒の目線」で、子供達がどれぐらいの被曝すると予想されるかを計算してみたいと思います。
・・・・・・・・・
お子さんが通う小学校の測定値(地上1.5メートル)が20マイクロとします。もし、ご自分のお子さんの小学校が2マイクロでしたら、以下の値を10分の1にしてください。
まず、大人は1.5メートル付近の空気を吸いますが、お子さんは50センチから1メートル程度です.それに走り回ったり砂場で遊んだりしますので、地面にかなり近いところ、しかもホコリが舞っているような環境です(これは子供目線の一つ)。
労働衛生関係でよく知られているように、地面から30センチまでがホコリが舞う高さです。「放射性物質」は「黄砂」のような物ですから、ホコリと同じように舞い上がります.
読者の方からのご連絡などから、1.5メートルの地点と比較すると50センチぐらいのところは線量が1.5倍程度になっているようです。
そこで、地上1.5メートルの測定値が20マイクロの学校は、子供目線では30マイクロとなります。
また、事故が起こる前まで文科省は「被曝は外部と内部を合計すること」と指導していましたが、事故が起こってからは「外部だけ」
を発表しています.
「子供目線」では、「原発事故を小さく見せる」とか「パニックを避ける」などは関係なく、「自分がどのぐらい被曝するか」だけです。
外部被曝と内部被曝の比率は自然放射線では、外部被曝の2倍が内部被曝です(公的発表値).またチェルノブイリの時にはほぼ同じでした(私の調査)。
そこで、ここでは少し甘いのですが、ラドンの影響があるので、内部被曝を外部被曝と同じとします。
なぜ、子供が内部被曝をするかというと、「放射性物質のホコリ」を吸い込むからです.これは牛乳に放射性物質が含まれていたことと同じです.
空間からの被曝=外部30マイクロ+内部30マイクロ=60マイクロ
・・・
次に食事や水、洋服、持ち物から児童生徒が被曝する量ですが、この計算では「自治体が「地産地消だから地元のものを食べよう」とか「給食には地元の食材」とか、さらには「魚が汚染されているといっても、限度の1年1ミリより低い0.6ミリだから」ということを信じている(政府や自治体の言っていることを信じている)校長先生や給食の方のもとで食事をする子供を想定します.
地元の野菜などは基本的に「地元の汚染レベルになる」ということです。野菜などはベクレルで表示されますから、これをシーベルトに直すのには、子供がなにをどのぐらい食べるかを決めなければなりません.
報道は錯覚するように情報が伝えられています.
たとえば、ホウレンソウですが、「一年にホウレンソウを食べ続ければ・・」と言い、「1日100グラムのホウレンソウを1年間、食べ続けると」と報道されますので、親御さんは「そんなに食べない」と錯覚します。
でも、汚染される時にはホウレンソウも、小松菜も・・・野菜やその他の食材も同じく汚染されることになります.その場合は、「ホウレンソウの汚染=食材の汚染」となりますので、お子さんがおかずを一日300グラム食べるとすると、逆にホウレンソウの値を3倍しなければなりません。
東電が発表した魚の汚染も同じでした。実に不誠実な発表で「大丈夫です」というのは、その魚しか食べず、息もせず.水も飲まず、空高く浮いている人の場合という前提を抜かしていました。
また、水についても同じで、水に含まれる放射性物質は空気中のものが川に落下するのですから、これも同じような量になります。でも現在では少し減っていますので、「環境から」ということで、水+衣服+道具などを合計します。
つまり、子供は、食材と水などから約30マイクロの被曝を(もし大人が放射線を気にせずに給食などをしたら)受ける事になります.
この計算は、現在では栄養士の方が「カロリー」より、「被曝量」を計算する方が重要な事を意味しています.保護者の方は学校の栄養士の方に「給食を出すなら被曝量を「ベクレル」ではなく、「シーベルト」で示すこと」を求めてください。
たとえば独身の女性なら自分で食材を選べますが、子供は出されるものを食べるしかないので、保護者の方の責任です.
ここでは、今までのやり方に合わせて、
外部(30)+内部(30)+食材(30)+水など(30)=120、
で計算を進めます.今後、地域地域でお子さんの被曝についての計算が進むでしょうから、この数値が小さくなることを望んでいます.
また、もともとの空間線量率が2と低いところは、食材や水はかなり緩和されるでしょう.
食材などは現在、ヨウ素、セシウムを計測していますが、ストロンチウムなどがまだ未測定なので、原理的には食材からの被曝は30の1.5倍、つまり45になります.ストロンチウムは骨に入りますので、本当は重要ですが、まだ発表はありません。
・・・
この小学校に通う子供は1時間に120マイクロの被曝を受けます。
すでに事故から1ヶ月になりますから、
最初の1ヶ月: 120×30日*24時間=86.4ミリ
ビックリするほど多いのですが、胸のレントゲンが1回あたり50マイクロなので、もともと1時間あたり120マイクロというと、幼稚園や小学校の子供が1時間に胸のレントゲンを2回以上撮り続けるというのですから、このような値になるのは当然です.
国際勧告や法律の線量限度は1年に1ミリですから、すでにその80倍を被曝した可能性があります。また政府が引き上げた被曝限度の20ミリからみても4倍です。
何も知らない子供が、「政府を信じている」と繰り返す教育委員会の犠牲になるのは可哀想です.
また、普通なら最初の1ヶ月でかなり放射線は減るのですが、福島原発の場合、まだ漏れているので、これから3ヶ月は2分の1、それから10分の1になるとすると、
3ヶ月 86.4×3÷2=129.6ミリ
8ヶ月 86.4×8÷10=69.1ミリ
で最初からの合計の被曝量は、285ミリになります。これは非常時の作業員の被曝限度(福島原発の前は100ミリ、その後250ミリに変更)の上限ですから、大人でも急性白血球減少が見られる急性領域になります。
つまり、福島県で線量率が20マイクロぐらいの値のでた小学校では児童を福島原発の作業をさせているということです。
・・・・・・・・・
私たちはまず「もっとも被害を受けると考えられる子供達」に焦点をあてなければなりませんから、この計算は決して「誇張されたもの」ではないと思います。
もし、2マイクロの場所(福島県東部、茨城県北部の多く)ではこの10分の1ですから、28ミリぐらいになり、これも1ミリの限度の28倍、政府の新基準を越えます.
まず学校は、すぐ「正しく、ごまかさず」に計算することがどうしても必要です.政府が安全と言っているからといって子供の健康が害されて良いということはありません。それが教育委員会の独立性なのです.
・・・・・・・・・
まず、教育委員会、校長先生など管理関係の方は被曝量を計算して公表してください。学校にいるときだけではなく、家庭も含めて児童生徒が守られているかという見地で実施してください。
校長先生、学校の先生は、「児童の目線」にたって、測定をしてください(地上20センチが適当です)。
先生は、下校の時に児童の衣服にどのぐらい放射性物質がついているか測ってください。また、放射線としては、教室の中は「室内」にはなりません。
給食の方は、食材の線量を測ってください。一つ一つの食材が「規制値内」であっても、合計するとかなりになります。また農業の人も「汚染された食材を子供に食べさせる」ことは反対と思いますから、生産者や自治体に遠慮なく子供本位でリストアップしてください。
(普通の時には規制値内で良いのですが、あちこちから放射線をあびるときには、規制値は関係がなく、足し合わせなければなりません。外国産、北海道産、3月11日以前の食材を使えばグッと減ります.)
また、最近測定値の「すそきり・・・少ない数値の場合ゼロにする」をし始めていますが、これも子供のために止めてください。小さい数字も足し合わせるとかなりになります。
各家庭に計測器を置くことはできませんから、学校で測定してあげてください。また「計測器がないから」など「子供の被曝」とは関係の無い大人の事情は先生方の間でも会話を控えましょう.
(平成23年4月8日 午前9時 執筆)
-米原子力規制委-耐震不安「無視」…福島と同型のマーク1
毎日新聞 6月9日(木)2時31分配信
拡大写真
日米のマーク1
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の1〜5号機と同型の原子炉格納容器「マーク1」の安全性について、米原子力規制委員会(NRC)が80年に再評価した際、原子炉格納容器の圧力上昇を抑える圧力抑制プールの耐震強度が十分でない可能性を予測しながら、米国内の電力会社の意見を参考に「無視できる」と結論づけていたことが、毎日新聞が入手したNRCの「安全性評価報告書」で分かった。日本の原子力安全委員会もこの報告書と同様の国内指針を作成していた。しかし、米国のマーク1は地震の少ない東側に集中しており、日本の安全基準のあり方を根本的に検証する必要がありそうだ。【吉富裕倫】
【1960年代、更地だった時代も】写真で見る 福島第1原発の歴史
◇米原子力規制委、80年に結論
米国の原発の安全性を監督するNRCの内部文書から、マーク1の問題点が明らかになったのは初めて。開発した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社などによると、マーク1は世界5カ国・地域に38基あり、米国24▽日本10(廃炉決定の中部電力浜岡原発1、2号機を含む)▽台湾2▽スイス1▽スペイン1。
マーク1の世界的販売開始後の70年代、圧力抑制プールの設計が十分な強度を想定していなかったことがGE社の技術者の内部告発などから発覚した。
報告書によると、同プールは、格納容器内に高温高圧の水蒸気が充満した時に冷却、圧力を下げて爆発や炉心溶融などを防ぐ役割であることから、危険情報を知ったNRCは安全性の異例の再評価を決定。再評価チームは、地震で圧力抑制プールの内壁への振動圧力や水面の揺れによる水蒸気管の露出などから、水蒸気が冷やされることなく過度の圧力がかかる可能性を指摘した。
しかし、プール内壁に対する最大圧力を「最高95%の確率で0.8PSI(1平方センチあたり56グラム)以下」とする推計値をもとに電力会社側は「地震による冷却水の揺動を無視するよう」提案。NRC側も最終的に「無視できる」とした。
この報告書に基づく形で、日本の原子力安全委員会も、87年決定の「BWR(沸騰水型軽水炉)・MARK1(マーク1)型格納容器圧力抑制系に加わる動荷重の評価指針」で圧力抑制プール内の地震揺動を検討項目に含めなかった。
◇日本に10基 技術者「調査必要」
報告書について、福島第1の建設を請け負った東芝でマーク1の設計を担当した渡辺敦雄・沼津工業高等専門学校特任教授(環境工学)は、「原発の技術は確率論。冷却材喪失と地震、余震の同時発生は無視できると考えられていた」と語り、「(日本の指針は)米国の考え方を輸入したもの。私もNRCと同じ意見だった」と明かした。
一連の事故原因と報告書指摘の問題点との直接の関係は明らかになっていないが、渡辺氏は「地震で圧力抑制プールの水蒸気管が水面から露出して格納容器全体の圧力を高めた可能性がある」と指摘、事故との因果関係を含めた強度調査の必要性を訴えた。しかし、東電広報部はマーク1の安全性について「(原子力安全委員会の)評価指針に従った」と対応に問題なかったとの見解を示した。NRCのスコット・バーネル広報担当官は、「報告書は米国の原発に対するもので、日本の原発に対するものではなく、米側が見直す必要はない」と述べた。
【ことば】マーク1
米ゼネラル・エレクトリック社が40年以上前に開発した初期型。電球のバルブのような形状で、沸騰水型軽水炉を収める上部と下部にあるドーナツ形状の圧力抑制プールが特徴。80年代以降、上部と下部を一体にして容積を増やすなどしたマーク1改良型、マーク2へと移行した
静岡・本山茶の一部で基準超の放射性セシウム
読売新聞 6月9日(木)17時35分配信
静岡県は9日、静岡市葵区藁科地区で一番茶として収穫、加工された「本山茶(ほんやまちゃ)」の製茶の一部から国の暫定規制値(1キロ・グラム当たり500ベクレル)を上回る679ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。
同県内で規制値を超えるセシウムが検出されたのは初めて。県は同日、この製茶を製造した工場に出荷自粛を、工場から製茶を仕入れた食品通販会社(東京都)に自主回収を、それぞれ要請。同地区の茶工場すべてについて放射能検査を行う。
県は、県内の計19産地について製茶のサンプル調査を実施。その結果、「川根茶」、「静岡牧之原茶」、「掛川茶」、「本山茶」などの著名産地分を含めて、いずれも規制値を下回っていた。一方で、自主調査を行った食品通販会社から「規制値を超えた」との申告のあった2工場の製茶について、改めて県が調査したところ、本山茶を製造する1工場分で規制値を上回った。 .最終更新:6月10日(金)1時45分
原発事故「まさに人災」安全対策に不備…班目氏
. 福島原発
内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は9日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力福島第一原子力発電所事故について、「まさに人災だ」と述べ、国や東電の安全対策に不備があったとの認識を示した。
理由として、「津波が想定を超えたからといって、第二、第三の防護手段がないといけない。そういう手段を講じていなかった」と指摘した。一方で、事故後の対応については、「現場は最大限のことをしている。人災うんぬんと口にするつもりはない」と語った。
(2011年6月9日22時24分 読売新聞)
福島第1原発:官邸「屋内退避、数日で終了」…甘い見通し
爆発で大破した東京電力福島第1原発。左は3号機、中央奥は4号機=2011年3月15日撮影、東京電力提供 東日本大震災から3日後の3月14日午前、東京電力福島第1原発3号機原子炉建屋で水素爆発が起きた。菅直人首相ら政府首脳の協議は大激論となった。「避難指示を(半径20キロから)30キロ圏内まで広げるべきです」。内閣府原子力安全委員会側からの提案に、枝野幸男官房長官らは「30キロに拡大するのはいいが、屋内退避にとどめた方がいい」と反論した。
「30キロ避難」は大規模な避難計画の立案が必要になり、混乱する懸念があった。大勢の住民が避難中に再び爆発するリスクも考慮した。首相は枝野長官の主張を受け入れ、15日午前、「20〜30キロ屋内退避」を発表した。
「屋内退避はせいぜい数日で終わる」。だが、政府高官の希望的観測は後に覆される。
「SPEEDIを走らせてはどうか」。16日、福山哲郎官房副長官は内閣官房参与の小佐古敏荘(こさこ・としそう)東大大学院教授から助言を受けた。原発事故などの際、放射性物質の放出量と風向きから拡散地域と累積線量を予測。住民避難の切り札となるシステムだが、停電で初期データが入力されず、役立っていなかった。
原発の状態は悪化の一途をたどる一方、官邸は放射能汚染地域の全容を把握できずにいた。「現在の放射線量から逆算して予測図を出してほしい」。枝野長官はすぐに班目(まだらめ)春樹・内閣府原子力安全委員長に要請したが、報告は震災から約2週間後。官邸に届いた「汚染図」は30キロ圏内の同心円から変形してアメーバ状に広がり、北西には大部分が30キロ圏外の福島県飯舘村のほぼ全域をのみ込んでいた。
飯舘村の放射線量の高さは官邸にも早くから届いていたが、「点から面」に広がった衝撃は大きかった。原発の爆発リスクを否定できないまま、次の一手を打てず、屋内退避はずるずると続いた。
◇自治体に不信感
長期化する屋内退避は予想外の混乱を招いた。避難指示地域も抱える南相馬市では「30キロ圏内も危ない」との風評が広がり、物流が滞り、市民が続々と避難。いったん受け入れた市外の避難者を2次避難させざるを得ない事態に発展した。
そんな中、国際原子力機関(IAEA)が30日、飯舘村の土壌からIAEAの避難基準の2倍の放射性物質を検出したと国際社会に向けて発表。日本政府は対応を迫られた。
飯舘村をどうやって「実質的な避難指示」に持ち込むか。着眼したのが、原発事故で緊急時に許容される被ばく量を「年間20〜100ミリシーベルト」と定める国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告だった。原子力安全委の指針は「50ミリシーベルト以上で避難指示」だが、広い地域が20〜40ミリシーベルトで覆われていた。官邸は国際基準へ切り替え避難指示の対象を最低ラインの「20ミリシーベルト」に引き下げた。
だが、飯舘村には唐突に映った。4月16日、住民説明会で「なぜ20ミリに下げたのか」と問い詰める菅野典雄村長に福山副長官は「原発が安定していない。専門家からの助言で設定した」と答えるのが精いっぱいだった。
政府内からは「経産省などから派遣された中央官僚が地方への対処に失敗した」と、避難をめぐる自治体とのあつれきを責任転嫁する声さえ聞かれた。
が、自治体の批判の矛先は政府に向いていた。飯舘村全域を避難対象とする「計画的避難区域」を正式決定し、屋内退避が解除されたのは22日。ある政府高官は悔やむ。「1カ月以上も屋内退避としたのは非常識だった」
毎日新聞 2011年6月10日 2時38分(最終更新 6月10日 3時20分)
原発近くの断層でも地震の確率 大震災で全国の活断層を再評価
政府の地震調査委員会は9日、東日本大震災を受けて全国の活断層を再評価した結果、(1)福島第1原発に近い宮城・福島両県にまたがる双葉断層(2)「糸魚川—静岡構造線断層帯」の一部で長野県にある牛伏寺(ごふくじ)断層(3)東京都と埼玉県にまたがる立川断層帯—の3カ所で、地震発生確率が高まった可能性があるとの見解を発表した。
ただ具体的な発生確率は今回の手法では判断できないとしている。双葉断層は宮城県亘理町から福島県南相馬市にかけてほぼ南北に延び、福島第1原発からの距離は数十キロ。従来は100年以内にマグニチュード(M)6・8〜7・5程度の地震が発生する確率は、ほぼ0%と推定されていた。
(2011/06/09 22:30)
牛伏寺断層出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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牛伏寺断層(ごふくじだんそう)は、長野県松本市と塩尻市を通る活断層である。松本盆地北部の神代断層、松本盆地東縁断層と共に糸魚川静岡構造線活断層系中部を構成する断層の1つとされる。
目次 [非表示]
1 概要
1.1 活動様式
2 過去の活動
3 活動予測
4 脚注
5 参考文献
6 外部リンク
概要 [編集]松本市の中心市街地の南に位置する中山丘陵から、東側の山地と盆地の境界付近を北北西−南南東方向(NNW-SSE)に走っている。全体的に牛伏川(うしぶせがわ)に沿っており、松本市並柳から中山を経由し崖の湯へと伸びている。断層線の長さは7kmである。西側には牛伏寺前縁断層が併走し、地下1000m付近ではひとつの断層を形成していると考えられる[1]。高瀬川と犀川の合流点より南部の松本盆地東縁断層と牛伏寺断層を同一な断層セグメントとするのが妥当との説も出されている[2]。
松本市街地部分では人間の活動に伴い断層の痕跡は不明瞭であるが、郊外では直線状の断層崖が非常に明瞭であり、崖に沿って両側の河川や丘陵が食い違っている部分を見ることが出来る。活断層の活動度を示す平均変位速度(1000年間の平均変位量)は5 - 14m/1000年と考えられており[3]、日本の内陸における活断層としては飛びぬけて高い。しかし、十分な研究は行われておらずデータは乏しい。
活動様式 [編集]東側に約80度で傾斜した左横ずれの変位様式をもつ。断層線の東側にある犀川丘陵は後期更新世以降隆起しているため、牛伏寺断層北部付近では逆断層の様式を示唆している[2]。
過去の活動 [編集]過去の活動を示す明瞭な記録は少ない[2]がトレンチ調査およびボーリング調査などから、過去7000年間に2回程度の活動をしている[4]。最新の活動期は約1200年前の762年あるいは841年と考えられ[5]、平均活動間隔は500年〜1100年とされている。1988年と1990年に行われた調査によれば前回の活動時点での変異量は、松本市島内付近で水平方向に約6.5m、垂直方向に約30〜40cm程度であった。また、松本市並柳では水平方向に7m程度の変異であった。
活動予測 [編集]今後数百年間にM(マグニチュード)8クラスの大地震を引き起こすとの説もある[5][4]。もし地震が発生したら長野県全体で2,820人の死者が出るとされる[6]。
脚注 [編集][ヘルプ]
1.^ 松本盆地東縁における糸魚川-静岡構造線活断層系を横切る反射法地震探査 (PDF) 日本地球惑星科学連合
2.^ a b c 糸魚川静岡構造線活断層系・松本盆地東縁断層南部に沿う左横ずれ変位地形 東京地学協会 (PDF)
3.^ 東京大学大学院情報学環・学際情報学府『04.糸魚川−静岡構造線活断層系の調査結果と評価の要点(平成8年9月11日)』
4.^ a b 糸魚川一静岡構造線活断層系牛伏寺断層 (松本市並柳地区) 第二次トレンチ発掘調査 (PDF) 地質調査所
5.^ a b 牛伏寺断層と地震 塩尻市
6.^ 小諸市『第5節 地震被害想定』
参考文献 [編集]信濃毎日新聞社編集局編『信州の活断層を歩く』信濃毎日新聞社、1998年、ISBN 9784784098019
降旗和夫編『長野県 地学のガイド—長野県の地質とそのおいたち』コロナ社、ISBN 9784339075427
地震発生確率高まる可能性 双葉・立川・牛伏寺の3断層2011年6月10日2時4分
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3断層の場所
政府の地震調査委員会は9日、双葉断層(宮城県、福島県)と立川断層帯(埼玉県、東京都)、糸魚川—静岡構造線活断層帯の牛伏寺(ごふくじ)断層(長野県)について、将来の地震発生確率が高まる可能性がある、と発表した。
東日本大震災による地殻変動の影響で、国内の主要な断層帯で地震を起こしやすくなったかを推定した。ただ、具体的に何%上昇するかは算出できていない。
双葉断層は、宮城県亘理町から福島県南相馬市にある断層。予測では地震規模はマグニチュード(M)6.8〜7.5程度。M6.9の地震で、福島県沿岸部で震度6強以上の揺れが想定される。現段階で30年以内の地震発生確率は、ほぼ0%と予測されている。
立川断層帯は、埼玉県飯能市から東京都府中市にある断層。予想される地震の規模はM7.4。現段階の30年以内の発生確率は0.5〜2%で、全国の主要な活断層の中で発生確率がやや高いと位置づけられている。東京都立川市や国立市、羽村市、武蔵村山市などで震度6強の揺れが想定される。
牛伏寺断層は長野県松本市と塩尻市付近の断層。糸魚川—静岡構造線活断層帯の中部の一部で、牛伏寺断層を含む部分が活動すると規模は内陸で最大級のM8程度。現段階での30年以内の発生確率は14%で主な活断層の中では確率が高いグループになる。
発生確率が高まったとみられる双葉断層は、福島第一、第二原発近くを通る。今回の地震を受け東電も揺れの想定を見直す必要があるか検討することにしている。復旧作業中の原発がふたたび強い揺れに見舞われる恐れもある。(松尾一郎)
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橋下知事「15%節電協力しない」 関電発表は「根拠ない」
産経新聞 6月10日(金)13時40分配信
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橋下徹大阪府知事(写真:産経新聞)
「根拠のない15%節電には協力しない」。大阪府の橋下徹知事は10日、関西電力の発表に激しく反発。企業の電力消費量などデータを関電が府に開示し、原発から再生可能エネルギーの開発に軸足を移すよう求めた。
【フォト】関電の一律15%節電要請に戸惑いや驚き
府は関西広域連合での取り決めに基づき、14日に経済団体を通じ、府内の各事業所にオフィス系の職場で年間5%、夏季10%の消費電力カットを目標に取り組みを求める予定だった。
橋下知事は、「目標設定のため関電に何度もデータ開示を求めたが協力を得られなかった」と説明。「今ごろになって根拠もなく一方的に15%と言われても協力できない」と述べた
橋下Vs関電…自然エネルギ−めぐり論争白熱
配信元:
2011/05/30 16:01更新
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想定問答集橋下VS関電大河と一滴【橋下VS関電】拙速な橋下氏と企業的な関…今更始まったことではない!「太陽光パネル1000万戸!」ソーラー…池上彰さんも地熱発電に注目してるぞぉ!…橋下が正論。議論の余地は皆無である!お互いに論点がずれている。
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記事本文 東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故をきっかけに、将来の電力の在り方が世界的な課題となる中、大阪府の橋下徹知事と関西電力の論争が激しさを増している。
原子力などへの依存を太陽光発電などの自然エネルギーに置き換えるのは「事実上困難」との見解を示した関電の八木誠社長に対し、橋下知事は「考えが役所的。一歩踏み出すかどうかが重要だ」と批判。一方、自然エネルギーの実用化には難題が山積しているのも事実で、今後、転換の是非をめぐる議論が過熱しそうだ。
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「風力や太陽光を含めて積極的に取り組んでいるが、原子力の代わりは無理ではないか」。八木社長は26日の記者会見で、自然エネルギーへの転換について否定的な見解を述べた。
これに対し、橋下知事は27日、報道陣に「原発を一気に全部止めて、すぐに自然エネルギーに代えられるなんて誰も思っていない。そういう方向に一歩踏み出すかどうかが重要で、電力会社は結局踏み出せない」と厳しく批判した。
さらに橋下知事は、節電対策を呼びかけた関西広域連合に対し、関電側が消費電力や需給見通しなどのデータを開示していないと指摘。「エネルギー政策は自治体がやることではないという態度。地域独占のおごりがふんだんに出るような体質を見た」と述べた。
自然エネルギーへの転換をめぐっては、ソフトバンクの孫正義社長が、橋下知事ら都道府県知事と連携し、大規模な太陽光発電基地「メガソーラー」の建設を年内にも始める構想を打ち出した。孫氏は「原発の新築は民意の賛同を得られにくい。古い原発も安全運転の観点から見直さなくてはならない。そうなると、代わりのエネルギーを用意するしかない」と話す。
ただ、メガソーラーの稼働率は、天候などの理由で十数%にとどまるケースが大半で、送電設備への負担軽減や安定供給の観点から、電力会社にとって「招かれざる客」であるのが実情だ。
関電は堺市の臨海部で国内最大規模のメガソーラーの整備を進めており、一部営業運転しているが、全て完成したとしても発電出力は1万キロワット。1基で100万キロワット級の原発には遠く及ばない。電力業界関係者は「規模や技術的な問題を考えると、メガソーラーは現時点で電力供給の足しにはならない」と言い切る。
村上春樹さん:カタルーニャ国際賞スピーチ原稿全文(上)
カタルーニャ国際賞の授賞式で、スピーチする作家の村上春樹さん=スペインのバルセロナで2011年6月9日、ロイター
カタルーニャ国際賞の授賞式で、スピーチする作家の村上春樹さん=スペインのバルセロナで2011年6月9日、ロイター
9日のスペインのカタルーニャ国際賞授賞式で配布された作家村上春樹さんの受賞スピーチの原稿全文は次の通り。(原文のまま)
「非現実的な夢想家として」
僕がこの前バルセロナを訪れたのは二年前の春のことです。サイン会を開いたとき、驚くほどたくさんの読者が集まってくれました。長い列ができて、一時間半かけてもサインしきれないくらいでした。どうしてそんなに時間がかかったかというと、たくさんの女性の読者たちが僕にキスを求めたからです。それで手間取ってしまった。
僕はこれまで世界のいろんな都市でサイン会を開きましたが、女性読者にキスを求められたのは、世界でこのバルセロナだけです。それひとつをとっても、バルセロナがどれほど素晴らしい都市であるかがわかります。この長い歴史と高い文化を持つ美しい街に、もう一度戻ってくることができて、とても幸福に思います。
でも残念なことではありますが、今日はキスの話ではなく、もう少し深刻な話をしなくてはなりません。
ご存じのように、去る3月11日午後2時46分に日本の東北地方を巨大な地震が襲いました。地球の自転が僅かに速まり、一日が百万分の1.8秒短くなるほどの規模の地震でした。
地震そのものの被害も甚大でしたが、その後襲ってきた津波はすさまじい爪痕を残しました。場所によっては津波は39メートルの高さにまで達しました。39メートルといえば、普通のビルの10階まで駆け上っても助からないことになります。海岸近くにいた人々は逃げ切れず、二万四千人近くが犠牲になり、そのうちの九千人近くが行方不明のままです。堤防を乗り越えて襲ってきた大波にさらわれ、未だに遺体も見つかっていません。おそらく多くの方々は冷たい海の底に沈んでいるのでしょう。そのことを思うと、もし自分がその立場になっていたらと想像すると、胸が締めつけられます。生き残った人々も、その多くが家族や友人を失い、家や財産を失い、コミュニティーを失い、生活の基盤を失いました。根こそぎ消え失せた集落もあります。生きる希望そのものをむしり取られた人々も数多くおられたはずです。
日本人であるということは、どうやら多くの自然災害とともに生きていくことを意味しているようです。日本の国土の大部分は、夏から秋にかけて、台風の通り道になっています。毎年必ず大きな被害が出て、多くの人命が失われます。各地で活発な火山活動があります。そしてもちろん地震があります。日本列島はアジア大陸の東の隅に、四つの巨大なプレートの上に乗っかるような、危なっかしいかっこうで位置しています。我々は言うなれば、地震の巣の上で生活を営んでいるようなものです。
台風がやってくる日にちや道筋はある程度わかりますが、地震については予測がつきません。ただひとつわかっているのは、これで終りではなく、別の大地震が近い将来、間違いなくやってくるということです。おそらくこの20年か30年のあいだに、東京周辺の地域を、マグニチュード8クラスの大型地震が襲うだろうと、多くの学者が予測しています。それは十年後かもしれないし、あるいは明日の午後かもしれません。もし東京のような密集した巨大都市を、直下型の地震が襲ったら、それがどれほどの被害をもたらすことになるのか、正確なところは誰にもわかりません。
にもかかわらず、東京都内だけで千三百万人の人々が今も「普通の」日々の生活を送っています。人々は相変わらず満員電車に乗って通勤し、高層ビルで働いています。今回の地震のあと、東京の人口が減ったという話は耳にしていません。
なぜか?あなたはそう尋ねるかもしれません。どうしてそんな恐ろしい場所で、それほど多くの人が当たり前に生活していられるのか?恐怖で頭がおかしくなってしまわないのか、と。
日本語には無常(mujo)という言葉があります。いつまでも続く状態=常なる状態はひとつとしてない、ということです。この世に生まれたあらゆるものはやがて消滅し、すべてはとどまることなく変移し続ける。永遠の安定とか、依って頼るべき不変不滅のものなどどこにもない。これは仏教から来ている世界観ですが、この「無常」という考え方は、宗教とは少し違った脈絡で、日本人の精神性に強く焼き付けられ、民族的メンタリティーとして、古代からほとんど変わることなく引き継がれてきました。
「すべてはただ過ぎ去っていく」という視点は、いわばあきらめの世界観です。人が自然の流れに逆らっても所詮は無駄だ、という考え方です。しかし日本人はそのようなあきらめの中に、むしろ積極的に美のあり方を見出してきました。
自然についていえば、我々は春になれば桜を、夏には蛍を、秋になれば紅葉を愛でます。それも集団的に、習慣的に、そうするのがほとんど自明のことであるかのように、熱心にそれらを観賞します。桜の名所、蛍の名所、紅葉の名所は、その季節になれば混み合い、ホテルの予約をとることもむずかしくなります。
どうしてか?
桜も蛍も紅葉も、ほんの僅かな時間のうちにその美しさを失ってしまうからです。我々はそのいっときの栄光を目撃するために、遠くまで足を運びます。そしてそれらがただ美しいばかりでなく、目の前で儚く散り、小さな灯りを失い、鮮やかな色を奪われていくことを確認し、むしろほっとするのです。美しさの盛りが通り過ぎ、消え失せていくことに、かえって安心を見出すのです。
そのような精神性に、果たして自然災害が影響を及ぼしているかどうか、僕にはわかりません。しかし我々が次々に押し寄せる自然災害を乗り越え、ある意味では「仕方ないもの」として受け入れ、被害を集団的に克服するかたちで生き続けてきたのは確かなところです。あるいはその体験は、我々の美意識にも影響を及ぼしたかもしれません。
今回の大地震で、ほぼすべての日本人は激しいショックを受けましたし、普段から地震に馴れている我々でさえ、その被害の規模の大きさに、今なおたじろいでいます。無力感を抱き、国家の将来に不安さえ感じています。
でも結局のところ、我々は精神を再編成し、復興に向けて立ち上がっていくでしょう。それについて、僕はあまり心配してはいません。我々はそうやって長い歴史を生き抜いてきた民族なのです。いつまでもショックにへたりこんでいるわけにはいかない。壊れた家屋は建て直せますし、崩れた道路は修復できます。
結局のところ、我々はこの地球という惑星に勝手に間借りしているわけです。どうかここに住んで下さいと地球に頼まれたわけじゃない。少し揺れたからといって、文句を言うこともできません。ときどき揺れるということが地球の属性のひとつなのだから。好むと好まざるとにかかわらず、そのような自然と共存していくしかありません。
ここで僕が語りたいのは、建物や道路とは違って、簡単には修復できないものごとについてです。それはたとえば倫理であり、たとえば規範です。それらはかたちを持つ物体ではありません。いったん損なわれてしまえば、簡単に元通りにはできません。機械が用意され、人手が集まり、資材さえ揃えばすぐに拵えられる、というものではないからです。
僕が語っているのは、具体的に言えば、福島の原子力発電所のことです。
みなさんもおそらくご存じのように、福島で地震と津波の被害にあった六基の原子炉のうち、少なくとも三基は、修復されないまま、いまだに周辺に放射能を撒き散らしています。メルトダウンがあり、まわりの土壌は汚染され、おそらくはかなりの濃度の放射能を含んだ排水が、近海に流されています。風がそれを広範囲に運びます。
十万に及ぶ数の人々が、原子力発電所の周辺地域から立ち退きを余儀なくされました。畑や牧場や工場や商店街や港湾は、無人のまま放棄されています。そこに住んでいた人々はもう二度と、その地に戻れないかもしれません。その被害は日本ばかりではなく、まことに申し訳ないのですが、近隣諸国に及ぶことにもなりそうです。
なぜこのような悲惨な事態がもたらされたのか、その原因はほぼ明らかです。原子力発電所を建設した人々が、これほど大きな津波の到来を想定していなかったためです。何人かの専門家は、かつて同じ規模の大津波がこの地方を襲ったことを指摘し、安全基準の見直しを求めていたのですが、電力会社はそれを真剣には取り上げなかった。なぜなら、何百年かに一度あるかないかという大津波のために、大金を投資するのは、営利企業の歓迎するところではなかったからです。
また原子力発電所の安全対策を厳しく管理するべき政府も、原子力政策を推し進めるために、その安全基準のレベルを下げていた節が見受けられます。
我々はそのような事情を調査し、もし過ちがあったなら、明らかにしなくてはなりません。その過ちのために、少なくとも十万を超える数の人々が、土地を捨て、生活を変えることを余儀なくされたのです。我々は腹を立てなくてはならない。当然のことです。(バルセロナ共同)
村上春樹さん:カタルーニャ国際賞スピーチ原稿全文(下)
日本人はなぜか、もともとあまり腹を立てない民族です。我慢することには長けているけれど、感情を爆発させるのはそれほど得意ではない。そういうところはあるいは、バルセロナ市民とは少し違っているかもしれません。でも今回は、さすがの日本国民も真剣に腹を立てることでしょう。
しかしそれと同時に我々は、そのような歪んだ構造の存在をこれまで許してきた、あるいは黙認してきた我々自身をも、糾弾しなくてはならないでしょう。今回の事態は、我々の倫理や規範に深くかかわる問題であるからです。
ご存じのように、我々日本人は歴史上唯一、核爆弾を投下された経験を持つ国民です。1945年8月、広島と長崎という二つの都市に、米軍の爆撃機によって原子爆弾が投下され、合わせて20万を超す人命が失われました。死者のほとんどが非武装の一般市民でした。しかしここでは、その是非を問うことはしません。
僕がここで言いたいのは、爆撃直後の20万の死者だけではなく、生き残った人の多くがその後、放射能被曝の症状に苦しみながら、時間をかけて亡くなっていったということです。核爆弾がどれほど破壊的なものであり、放射能がこの世界に、人間の身に、どれほど深い傷跡を残すものかを、我々はそれらの人々の犠牲の上に学んだのです。
戦後の日本の歩みには二つの大きな根幹がありました。ひとつは経済の復興であり、もうひとつは戦争行為の放棄です。どのようなことがあっても二度と武力を行使することはしない、経済的に豊かになること、そして平和を希求すること、その二つが日本という国家の新しい指針となりました。
広島にある原爆死没者慰霊碑にはこのような言葉が刻まれています。
「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませんから」
素晴らしい言葉です。我々は被害者であると同時に、加害者でもある。そこにはそういう意味がこめられています。核という圧倒的な力の前では、我々は誰しも被害者であり、また加害者でもあるのです。その力の脅威にさらされているという点においては、我々はすべて被害者でありますし、その力を引き出したという点においては、またその力の行使を防げなかったという点においては、我々はすべて加害者でもあります。
そして原爆投下から66年が経過した今、福島第一発電所は、三カ月にわたって放射能をまき散らし、周辺の土壌や海や空気を汚染し続けています。それをいつどのようにして止められるのか、まだ誰にもわかっていません。これは我々日本人が歴史上体験する、二度目の大きな核の被害ですが、今回は誰かに爆弾を落とされたわけではありません。我々日本人自身がそのお膳立てをし、自らの手で過ちを犯し、我々自身の国土を損ない、我々自身の生活を破壊しているのです。
何故そんなことになったのか?戦後長いあいだ我々が抱き続けてきた核に対する拒否感は、いったいどこに消えてしまったのでしょう?我々が一貫して求めていた平和で豊かな社会は、何によって損なわれ、歪められてしまったのでしょう?
理由は簡単です。「効率」です。
原子炉は効率が良い発電システムであると、電力会社は主張します。つまり利益が上がるシステムであるわけです。また日本政府は、とくにオイルショック以降、原油供給の安定性に疑問を持ち、原子力発電を国策として推し進めるようになりました。電力会社は膨大な金を宣伝費としてばらまき、メディアを買収し、原子力発電はどこまでも安全だという幻想を国民に植え付けてきました。
そして気がついたときには、日本の発電量の約30パーセントが原子力発電によってまかなわれるようになっていました。国民がよく知らないうちに、地震の多い狭い島国の日本が、世界で三番目に原発の多い国になっていたのです。
そうなるともうあと戻りはできません。既成事実がつくられてしまったわけです。原子力発電に危惧を抱く人々に対しては「じゃああなたは電気が足りなくてもいいんですね」という脅しのような質問が向けられます。国民の間にも「原発に頼るのも、まあ仕方ないか」という気分が広がります。高温多湿の日本で、夏場にエアコンが使えなくなるのは、ほとんど拷問に等しいからです。原発に疑問を呈する人々には、「非現実的な夢想家」というレッテルが貼られていきます。
そのようにして我々はここにいます。効率的であったはずの原子炉は、今や地獄の蓋を開けてしまったかのような、無惨な状態に陥っています。それが現実です。
原子力発電を推進する人々の主張した「現実を見なさい」という現実とは、実は現実でもなんでもなく、ただの表面的な「便宜」に過ぎなかった。それを彼らは「現実」という言葉に置き換え、論理をすり替えていたのです。
それは日本が長年にわたって誇ってきた「技術力」神話の崩壊であると同時に、そのような「すり替え」を許してきた、我々日本人の倫理と規範の敗北でもありました。我々は電力会社を非難し、政府を非難します。それは当然のことであり、必要なことです。しかし同時に、我々は自らをも告発しなくてはなりません。我々は被害者であると同時に、加害者でもあるのです。そのことを厳しく見つめなおさなくてはなりません。そうしないことには、またどこかで同じ失敗が繰り返されるでしょう。
「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませんから」
我々はもう一度その言葉を心に刻まなくてはなりません。
ロバート・オッペンハイマー博士は第二次世界大戦中、原爆開発の中心になった人ですが、彼は原子爆弾が広島と長崎に与えた惨状を知り、大きなショックを受けました。そしてトルーマン大統領に向かってこう言ったそうです。
「大統領、私の両手は血にまみれています」
トルーマン大統領はきれいに折り畳まれた白いハンカチをポケットから取り出し、言いました。「これで拭きたまえ」
しかし言うまでもなく、それだけの血をぬぐえる清潔なハンカチなど、この世界のどこを探してもありません。
我々日本人は核に対する「ノー」を叫び続けるべきだった。それが僕の意見です。
我々は技術力を結集し、持てる叡智を結集し、社会資本を注ぎ込み、原子力発電に代わる有効なエネルギー開発を、国家レベルで追求すべきだったのです。たとえ世界中が「原子力ほど効率の良いエネルギーはない。それを使わない日本人は馬鹿だ」とあざ笑ったとしても、我々は原爆体験によって植え付けられた、核に対するアレルギーを、妥協することなく持ち続けるべきだった。核を使わないエネルギーの開発を、日本の戦後の歩みの、中心命題に据えるべきだったのです。
それは広島と長崎で亡くなった多くの犠牲者に対する、我々の集合的責任の取り方となったはずです。日本にはそのような骨太の倫理と規範が、そして社会的メッセージが必要だった。それは我々日本人が世界に真に貢献できる、大きな機会となったはずです。しかし急速な経済発展の途上で、「効率」という安易な基準に流され、その大事な道筋を我々は見失ってしまったのです。
前にも述べましたように、いかに悲惨で深刻なものであれ、我々は自然災害の被害を乗り越えていくことができます。またそれを克服することによって、人の精神がより強く、深いものになる場合もあります。我々はなんとかそれをなし遂げるでしょう。
壊れた道路や建物を再建するのは、それを専門とする人々の仕事になります。しかし損なわれた倫理や規範の再生を試みるとき、それは我々全員の仕事になります。我々は死者を悼み、災害に苦しむ人々を思いやり、彼らが受けた痛みや、負った傷を無駄にするまいという自然な気持ちから、その作業に取りかかります。それは素朴で黙々とした、忍耐を必要とする手仕事になるはずです。晴れた春の朝、ひとつの村の人々が揃って畑に出て、土地を耕し、種を蒔くように、みんなで力を合わせてその作業を進めなくてはなりません。一人ひとりがそれぞれにできるかたちで、しかし心をひとつにして。
その大がかりな集合作業には、言葉を専門とする我々=職業的作家たちが進んで関われる部分があるはずです。我々は新しい倫理や規範と、新しい言葉とを連結させなくてはなりません。そして生き生きとした新しい物語を、そこに芽生えさせ、立ち上げてなくてはなりません。それは我々が共有できる物語であるはずです。それは畑の種蒔き歌のように、人々を励ます律動を持つ物語であるはずです。我々はかつて、まさにそのようにして、戦争によって焦土と化した日本を再建してきました。その原点に、我々は再び立ち戻らなくてはならないでしょう。
最初にも述べましたように、我々は「無常(mujo)」という移ろいゆく儚い世界に生きています。生まれた生命はただ移ろい、やがて例外なく滅びていきます。大きな自然の力の前では、人は無力です。そのような儚さの認識は、日本文化の基本的イデアのひとつになっています。しかしそれと同時に、滅びたものに対する敬意と、そのような危機に満ちた脆い世界にありながら、それでもなお生き生きと生き続けることへの静かな決意、そういった前向きの精神性も我々には具わっているはずです。
僕の作品がカタルーニャの人々に評価され、このような立派な賞をいただけたことを、誇りに思います。我々は住んでいる場所も遠く離れていますし、話す言葉も違います。依って立つ文化も異なっています。しかしなおかつそれと同時に、我々は同じような問題を背負い、同じような悲しみと喜びを抱えた、世界市民同士でもあります。だからこそ、日本人の作家が書いた物語が何冊もカタルーニャ語に翻訳され、人々の手に取られることにもなるのです。僕はそのように、同じひとつの物語を皆さんと分かち合えることを嬉しく思います。夢を見ることは小説家の仕事です。しかし我々にとってより大事な仕事は、人々とその夢を分かち合うことです。その分かち合いの感覚なしに、小説家であることはできません。
カタルーニャの人々がこれまでの歴史の中で、多くの苦難を乗り越え、ある時期には苛酷な目に遭いながらも、力強く生き続け、豊かな文化を護ってきたことを僕は知っています。我々のあいだには、分かち合えることがきっと数多くあるはずです。
日本で、このカタルーニャで、あなた方や私たちが等しく「非現実的な夢想家」になることができたら、そのような国境や文化を超えて開かれた「精神のコミュニティー」を形作ることができたら、どんなに素敵だろうと思います。それこそがこの近年、様々な深刻な災害や、悲惨きわまりないテロルを通過してきた我々の、再生への出発点になるのではないかと、僕は考えます。我々は夢を見ることを恐れてはなりません。そして我々の足取りを、「効率」や「便宜」という名前を持つ災厄の犬たちに追いつかせてはなりません。我々は力強い足取りで前に進んでいく「非現実的な夢想家」でなくてはならないのです。人はいつか死んで、消えていきます。しかしhumanityは残ります。それはいつまでも受け継がれていくものです。我々はまず、その力を信じるものでなくてはなりません。
最後になりますが、今回の賞金は、地震の被害と、原子力発電所事故の被害にあった人々に、義援金として寄付させていただきたいと思います。そのような機会を与えてくださったカタルーニャの人々と、ジャナラリター・デ・カタルーニャのみなさんに深く感謝します。そして先日のロルカの地震の犠牲になられたみなさんにも、深い哀悼の意を表したいと思います。(バルセロナ共同)
福島第1原発:事故調査委の3チーム長任命
政府は10日、東京電力福島第1原発事故の原因究明を行う第三者機関「事故調査・検証委員会」(畑村洋太郎委員長)の事務局に設置した三つの専門分野の調査・検証チームのチーム長を任命した。
原発の安全規制制度などを扱う「社会システム等検証チーム」は、堀井秀之・東京大教授(社会技術論)▽事故原因の技術的問題などを扱う「事故原因等調査チーム」は、越塚誠一・同大教授(原子力工学)▽住民の避難措置などを扱う「被害拡大防止対策等検証チーム」は、片田敏孝・群馬大広域首都圏防災研究センター長(避難行動)。3チームの検証結果を踏まえ、緊急事態発生時の対応体制を検証する「法規制のあり方の検討チーム」を設置する方針。チーム長は非常勤の国家公務員扱いになる。【比嘉洋】
放射性物質の拡散予測、新たに公表漏れ615件
. 福島原発
経済産業省原子力安全・保安院は11日、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関して、放射性物質の拡散予測を行う国のシステム「SPEEDI(スピーディ)」の未公開データが、新たに615件見つかったと発表した。
保安院が4月9、10日に計算したもの。震災直後、1、3号機で原子炉格納容器内の蒸気を大気中に放出した「ベント」の条件を変えたり、ベントとは別に格納容器から蒸気が漏れ出したりした事態を想定して、蒸気に含まれる放射性物質の拡散を推定したという。国際原子力機関(IAEA)へ提出した報告書作成の参考資料になったといい、近くホームページで公開する。
(2011年6月11日21時54分 読売新聞)
関西電力:原発撤退などを株主が提案へ 29日の総会で
関西電力が29日に大阪市内で開催予定の定時株主総会に、株主124人が原子力発電からの撤退を求める議案を提出した。別の株主36人も建設から30年以上たつ高経年化炉の廃炉を念頭に自然エネルギーへの転換を求める議案を提出した。関電が株主招集通知で明らかにした。関電の取締役会は反対を表明している。
原発撤退の株主提案は、東京電力福島第1原発事故で放射性物質が放出されたことを受け、「放射能の処理ができない原発はやめる」よう、定款の変更を求めた。撤退まで役員報酬を支給しないことやプルサーマル計画の凍結など計7議案を提案している。取締役会は「今後も、原子力を中心とした最適な電源構成を構築し、持続可能な低炭素社会の実現を目指す」として、反対している。
一方、自然エネルギーへの転換を求める株主提案は、「原子力発電から自然エネルギー発電への転換を宣言する」よう定款変更を求含む10議案を提案。これについても、取締役会は反対している。【横山三加子】
毎日新聞 2011年6月12日 2時30分
原発にフィルター設置義務を ベントの放射性物質低減で
原発の緊急時に原子炉格納容器から蒸気を外部に放出する「ベント」について、経済産業省原子力安全・保安院が、蒸気から放射性物質を除去するフィルターの設置を義務付ける検討を始めたことが11日までの保安院への取材で分かった。
国内の沸騰水型原発ではベント配管にフィルターは付いておらず、東京電力福島第1原発事故では、放射性物質が広く拡散した。保安院は「深刻な事故を想定していなかったからで、問題だった」と認めた。高圧蒸気に耐えるフィルターは大掛かりでコストがかかり、技術的にも難しいが、東電は「必要性を検討する」(松本純一原子力・立地本部長代理)としている。
(2011/06/11 18:25)
初動ミスで余分な被ばくと批判 小佐古氏提出の報告書
東京電力福島第1原発事故で、政府の対応を批判して4月末に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東大教授(放射線安全学)が、辞任直前に菅直人首相に報告書を提出し、「不適切な初動」で放射性物質の拡散予測結果が十分に活用されず、住民に「余分な被ばく」を与えたと指摘していたことが10日、分かった。
小佐古氏は報告書で首相官邸の指導力不足や原子力安全委員会の機能不全を挙げ初動を批判。「小児甲状腺がんの発症が予想される」ことから福島県と近県で「疫学調査が必須」としている。今後の検討事項として、被ばく者手帳の発給やメンタルケア対策を挙げた。
【写真】 内閣官房参与を辞任する意向を記者会見で表明した小佐古敏荘東大教授=4月29日、衆院第1議員会館
(2011/06/10 22:08)
M7以上の余震発生警告 東北大、震災報告会で
東北大は10日、東日本大震災から3カ月になるのを前に、地震や津波、被害状況の研究成果をまとめた報告会を仙台市内で開いた。海野徳仁教授(地震学)は11月までの半年間にマグニチュード(M)7以上の余震が1・7回発生する可能性があると警告した。
海野教授は震災後の大規模余震について「本震で日本列島の岩板のバランスが崩れたために起きた」と説明。余震の回数が減っているが、今後も注意が必要とした。
報告会では17の研究グループが発表。源栄正人教授(地震工学)は、地震動にはさまざまな種類があるとして「震度では建物被害を論じられない。より適切な指標が必要だ」と提起。
【写真】 東日本大震災から3カ月を迎える宮城県南三陸町。手前は志津川高校の校庭に建設された仮設住宅。海を望むと壊滅した町が広がる=10日午後、共同通信社ヘリから
(2011/06/10 19:09)
復興に向け学術会議が提言 原発対応や財源確保
東日本大震災から11日で3カ月を迎えるのを前に、日本学術会議(金沢一郎会長)は10日、福島第1原発事故への重点的な取り組みや増税による財源調達など、被災地域の復興に向けた提言「復興の目標と7つの原則」をまとめ、政府の「復興構想会議」に提出した。
提言は、原発事故で深刻な事態を招いた東京電力の責任を明確にするよう国に求め、情報公開の必要性を強調。将来的なエネルギー政策の在り方についても検討を進めるべきだと指摘している。
また、甚大な被害を受けた沿岸部を「再生可能なエネルギーの開発拠点」とする構想を提案。増税で財源を確保すべきだとし、国民にも協力を呼び掛けている。
(2011/06/10 17:54)
原発近くの断層でも地震の確率 大震災で全国の活断層を再評価
政府の地震調査委員会は9日、東日本大震災を受けて全国の活断層を再評価した結果、(1)福島第1原発に近い宮城・福島両県にまたがる双葉断層(2)「糸魚川—静岡構造線断層帯」の一部で長野県にある牛伏寺(ごふくじ)断層(3)東京都と埼玉県にまたがる立川断層帯—の3カ所で、地震発生確率が高まった可能性があるとの見解を発表した。
ただ具体的な発生確率は今回の手法では判断できないとしている。双葉断層は宮城県亘理町から福島県南相馬市にかけてほぼ南北に延び、福島第1原発からの距離は数十キロ。従来は100年以内にマグニチュード(M)6・8〜7・5程度の地震が発生する確率は、ほぼ0%と推定されていた。
(2011/06/09 22:30)
原発にフィルター設置義務を ベントの放射性物質低減で
原発の緊急時に原子炉格納容器から蒸気を外部に放出する「ベント」について、経済産業省原子力安全・保安院が、蒸気から放射性物質を除去するフィルターの設置を義務付ける検討を始めたことが11日までの保安院への取材で分かった。
国内の沸騰水型原発ではベント配管にフィルターは付いておらず、東京電力福島第1原発事故では、放射性物質が広く拡散した。保安院は「深刻な事故を想定していなかったからで、問題だった」と認めた。高圧蒸気に耐えるフィルターは大掛かりでコストがかかり、技術的にも難しいが、東電は「必要性を検討する」(松本純一原子力・立地本部長代理)としている。
ベントは、冷却機能の喪失などで格納容器内の圧力が異常に上昇した際、容器が破損して大量の放射性物質が漏れるのを避けるため、中の蒸気を排出して圧力を下げる措置。東電によると、福島第1原発では蒸気を水に通す「ウエット」とそのまま放出する「ドライ」の2種類のベントを実施。ウエットベントでは蒸気がいったん圧力抑制プールの水をくぐり、放射性物質が水に溶けて低減されたとしている。
しかし、水に溶けない物質や気体には効果が無く、小出裕章京都大原子炉実験所助教は「除去できるのはごく一部で、あまりに危険な対応。フィルター設置は国際常識だ」と指摘する。
(2011年6月11日)
全国で「脱原発」訴え集会 東京でも若者らパレード
脱原発を訴えながらにぎやかにパレードする子ども連れの家族や若者ら=11日午後、東京都渋谷区
東日本大震災から3カ月を迎えた11日、「6・11 脱原発100万人アクション」を合言葉にした集会やデモが全国各地であった。東京でもさまざまなイベントが開かれ、若者たちが脱原発を訴えながらにぎやかにパレードした。
渋谷・代々木公園で開かれた集会では、震災発生時間の午後2時46分、犠牲者の冥福を祈って黙とう。加藤登紀子さんの娘の歌手Yaeさんが歌声を披露し「どれだけの人が悲しい思いをしたかと思うと胸がいっぱいになる。プラスのエネルギーで日本を変えていこう」と訴えた。
集会後「バイバイげんぱつ」「福島を守ろう」「原発はもうこりごり」と書かれたプラカードや風船、ヒマワリの花などを持った子ども連れの家族や若者らが、音楽を鳴らしながら渋谷の町をパレード。主催者側によると約1500人が集まった。
小学1年の長女(6)と歩いた千葉県市川市の会社員利根加奈子さん(38)は「友だちに誘われて初めて参加した。子どもがいるので、放射能が心配。原発はいらない」と話した。
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などが港区・芝公園で開いた集会には、主催者によると約6千人が参加。千代田区の東京電力本社や経済産業省の前を「原発を止めろ」「安心を返せ」とシュプレヒコールしながら行進した。
(2011年6月11日)
イタリア、原発で国民投票 投票率5割超え焦点
ローマの在イタリア日本大使館近くで反原発のデモを行う参加者ら(共同)=4月26日
【ローマ共同】イタリアで12、13日の2日間、原発再開の是非を問う国民投票が実施される。3月の福島第1原発事故を受けて反原発世論が高まっており、反対票が過半数となるのは確実な情勢。国民投票成立の条件である、50%を超える投票率が達成されるかどうかが焦点となっている。
福島の事故後に原発をめぐる国民投票が行われるのは世界で初めてとみられる。反対派が勝利すれば、欧州など他国の原子力政策への影響は必至。投票は13日午後3時(日本時間同午後10時)に締め切られ即日開票される。結果判明は同日深夜以降の見通し。
イタリアでは旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を受けて1987年の国民投票で原発廃止が決まり、全国4カ所にあった原発は90年までに稼働を停止。しかし、ベルルスコーニ政権はエネルギー需要の8割以上を輸入に頼ることから原発再開を表明。反対する野党の求めで憲法裁判所がことし1月、国民投票の実施を認める判断を下した。
福島の事故後の世論調査では、再開反対が約7割。政権側は原発再開に関する議論の無期限凍結を発表し、国民投票を中止に持ち込もうとしたが、最高裁は今月1日、予定通り実施すべきだと判断した。
(2011年6月11日)
首相、「自然エネルギー推進庁」発足に意欲
. 電力
菅首相は12日、全発電量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年代に20%とするとした政府の方針について、「省庁横断的な自然エネルギー推進庁のような組織を作れば、早く実現できるのではないか」と述べ、近く検討のための組織を発足させる意向を示した。
首相官邸で開かれた自然エネルギーに関する有識者との懇談会で明らかにした。また、発送電の分離についても「新規参入のあり方について(内閣)官房に組織を作って、議論を始めたい」との考えを表明した。
懇談会には、ソフトバンクの孫正義社長やサッカー日本代表の岡田武史前監督らが参加。岡田氏は再生可能エネルギーの活用について、「首相が辞めるという報道もあるが、将来のためにずっとつながるものを作る意気込みでやってほしい」と政府の取り組みに注文をつけた。
(2011年6月12日20時16分 読売新聞)
汚染水処理装置トラブル、弁を開放したら解決
. 福島原発
東京電力は12日、福島第一原子力発電所にたまった高濃度汚染水を処理する米キュリオン社製の装置の水が十分に流れなくなったトラブルは、一部の弁の開閉状況に問題があったことが原因と発表した。
弁を開放状態に戻したところ、十分な量の水が流れたという。
東電では、弁の開閉状況に異常が生じた原因を調べた上で、13日に再度水を通す試験を行い、問題がなければ、13日以降に浄化の試運転を実施する方針だ。
(2011年6月12日20時22分 読売新聞)
1・2号機周辺地下水からストロンチウム検出
. 東京電力は12日、福島第一原子力発電所の1、2号機周辺の地下水から、放射性物質のストロンチウム89、90が検出されたと発表した。
中でもストロンチウム90は半減期が長く、体内に入ると骨に蓄積しやすく、内部被曝(ひばく)の恐れがある。しかし、濃度は、健康に影響がないレベルという。施設内外の土壌からストロンチウムが検出されたことがあるが、地下水から見つかるのは初めて。
東電によると、地下水は5月18日に採取した。原発の爆発事故により放出され土壌に含まれていたストロンチウムが、雨水を通して地下に流れ込んだと見ている。
(2011年6月12日20時16分 読売新聞)
放射線量高い福島・伊達の一部で測定開始
.
玄関先の地表面から高さ50センチで空間線量率を測定する調査員ら=中島一尊撮影 東京電力福島第一原発の事故で、政府の原子力災害現地対策本部と福島県は11日、計画的避難区域外にもかかわらず比較的高い放射線量が観測されている同県伊達市の一部地区で観測を始めた。
12日までに道路約160地点と住宅など485戸で測定する。
同市霊山町石田と小国の両地区と、同市月舘町相葭地区の3地区で、4月の県の調査で放射線量が毎時3マイクロ・シーベルト以上を観測していた。
この日は、国道など3路線で100メートルおきに1メートルの高さ、住宅の庭や玄関先では50センチと1メートルの高さで測定を行った。今回の測定について、県は「線量低減対策に生かし、(避難区域指定について)国にも調査結果を踏まえ総合的に判断してもらいたい」としている。
(2011年6月11日11時40分 読売新聞)
「原発重視」発言に化石賞 環境保護団体が日本政府に
ドイツ・ボンで開催中の気候変動枠組み条約の特別作業部会の会場で、各国の環境保護団体でつくる「気候行動ネットワーク」は11日、地球温暖化対策として引き続き原発を重視する姿勢を示したとして、日本政府に対し、交渉で後ろ向きな発言をした国を対象とした「化石賞」を贈った。
京都議定書では、先進国が発展途上国で実施した事業によって削減した温室効果ガスを、自国の目標達成向けにカウントできるCDMという制度を定めている。化石賞の授賞理由は「CDMを改正し、原発も対象にすべきだとの従来の主張を繰り返した」という点。
関係者によると、日本代表団の政府関係者が非公開の会議で、そうした意見を主張したという。
【写真】 政府代表団に代わり「化石賞」を受け取る日本の環境保護団体のメンバー(中央)=11日、ドイツ・ボン(共同)
(2011/06/12 09:03)
電力事業の抜本改革を、首相 自然エネ普及で懇談会
自然エネルギーに関する有識者懇談会に臨む(左から)枝広淳子氏、岡田武史氏、小林武史氏、孫正義氏=12日午後、首相官邸
菅直人首相は12日、自然エネルギーに関する有識者懇談会を官邸で開いた。首相は全国10電力会社の地域独占状態にある現行体制について「国鉄、通信改革のような、社会制度の根幹をなす電力改革の議論を始めるチャンスだ」と述べ、抜本的見直しが必要との認識を示した。
懇談会にはソフトバンクの孫正義社長とサッカー日本代表の岡田武史前監督、音楽プロデューサーの小林武史氏など自然エネルギーに関心が高く「脱原発色」の強い人々が参加した。
首相は「(電力業界は)分厚い構造が出来上がっており、どう突破するか。今変えられなかったら、また10年は動かない」と強調。その上で「かつて原子力推進のため科学技術庁という役所までつくった。自然エネルギー推進庁とか省庁横断的に進める何らかの仕組みを検討したい」とも述べた。
孫氏は「畑を耕したりパンを焼くようにあらゆる国民が電気を起こす。志ある人が発電事業にどんどん参入すべきだ」と述べ、そのために電力の固定価格買い取り制度の早期導入を求めた。
岡田氏は「循環するエネルギーの研究を今から全力で始めるべきだ。(次期首相を)誰がやろうと、菅さんが(きっかけを)残してほしい」と訴えた。
(2011年6月12日)
ホットスポット拡大の様相 地元の不安、政府を後押し
福島第1原発事故の避難区域の外側で、年間の積算放射線量が20ミリシーベルトを超える可能性が高い「ホットスポット」が、福島県内で拡大の様相を見せている。地元自治体の全域調査などに後押しされる形で、政府の区域指定追加は現実味を帯びてきた。原発事故の収拾作業は一進一退を繰り返し、住民の不安はさらに高まりそうだ。
紅葉の名所として知られる阿武隈山系の霊山(標高825メートル)。麓にある伊達市霊山町石田では約50世帯、約160人の住民が、約48キロ先にある原発からの「見えない恐怖」に揺れている。国道一本隔てると、計画的避難区域に指定された飯舘村だ。
「人ごととは思えない。ここに住み続けて大丈夫なのかしら」。夫(78)と2人で暮らす馬場(ばば)キミ子さん(65)は心配そうに話す。近所の人が測定器で調べると、屋外の雨どい付近では毎時40マイクロシーベルトを記録した。
霊山町石田は、文部科学省が公表する年間の積算線量予想値でも20ミリシーベルト以上。6月3日には文科省の「計算ミス」で、同町上小国(かみおぐに)と南相馬市の原町区大原など計4カ所のホットスポット見落としが判明した。
各自治体には住民から「線量をきちんと測って」「子供を避難させないのか」などの意見が殺到。当初、避難区域の見直しに慎重だった政府も、市内全域で線量測定を始めた伊達市などの動きに押され、自治体との協調姿勢を示し始めた。
「地域の実情に合わせた対策を取った方がベターだ。住民に『選択の余地』を残したい」
そう話すのは伊達市の仁志田昇司市長。市営住宅を確保して子供を持つ家庭に自主避難を促しているほか、市内全ての児童生徒ら約8千人に小型線量計を配布する方針を打ち出すなど独自の対策を進めている。
市の幹部は「飯舘村のような混乱は避けたいとの本音もある」と打ち明けた。
南相馬市の桜井勝延市長は9日、首相官邸で福山哲郎官房副長官と会い、ホットスポットの避難区域指定について、住民の意向を踏まえて対応するよう求めた。市の災害対策本部メンバーは政府に対し「ホットスポットとは何か。基準を示してほしい」といら立ちを隠さない。
政府は「なるべく早く結論を出したい」(福山官房副長官)とようやく腰を上げたかに見えるが、火を付けた格好の文科省サイドは「最終的にどうするかは自治体の判断」と、区域の指定基準を示すことに消極的なままだ。
(2011年6月 9日)
日立、原発売上高計画を下方修正 事故で先行き不透明
日立製作所は9日、2021年3月期の原発事業の売上高計画を従来より200億円少ない3600億円に下方修正したことを明らかにした。福島第1原発事故の影響で国内事業の先行きが不透明だとみているため。
ただ、海外では需要が堅調に推移しており、東日本大震災の発生直後に一時的に検討した大幅な見直しは避け、小幅な修正にとどめた。
中西宏明社長は同日の経営方針説明会で「海外の政府や会社は原発計画を継続する手応えを持っており、収益予想をあまり変える必要性はない」と説明。東南アジアや東欧で今後2〜3年に受注が見込めるため、11年3月期に1800億円だった売上高を将来的に大幅に増やせる見通しだ。
12年3月期連結決算の業績予想は、売上高が前期比2%増の9兆5千億円、純利益は16%減の2千億円と発表。上半期は震災の影響で自動車関連などが苦戦するが、下半期は復興需要で回復を見込む。震災により売上高で3500億円、営業利益で1100億円分が減ると想定した。
全体の中期経営計画では、13年3月期の売上高が10兆円、純利益は2千億円台を目指す。
(2011年6月 9日)
原発、本当に必要なら消費地の大阪に…橋下知事
. 原子力発電所の新規建設を中止する「脱原発」構想を打ち出している大阪府の橋下徹知事は13日、「もし原発が本当に必要なら、電力消費地の大阪に造るという話にして、(建設の是非を)府民に問いかけるしかない」と述べ、電力消費地の都市部がリスクを引き受けるべきだとの考えを示した。
府庁で報道陣に話した。
橋下知事は、大阪から遠い福井県に原発が集中していることから、「府民は原発を自分のこととして考えていない」と指摘。生活の快適性とリスクを比較して住民が判断するべきだとし、「原発が必要だと府民が決めて大阪湾に造るなら、それなりのリスクは覚悟しないといけない。(造る地域は)神戸とか京都でもいい」と述べた。
一方、府は、福井県敦賀市の河瀬一治市長から「脱原発」構想の真意をただす公開質問状が届いたとして、橋下知事名で回答したことを13日、発表した。原発が立地地域の活性化や雇用につながっているとの河瀬市長の主張に対し、回答書は「そのために原発を維持するというのは本末転倒の議論」としている。
(2011年6月13日20時29分 読売新聞)
橋下知事の脱原発構想、敦賀市長が真意問う書簡
. 福井県敦賀市の河瀬一治市長は、「脱原発構想」を唱えた大阪府の橋下徹知事に、発言の真意をただす書簡を近く送ることを決めた。
橋下知事は記者会見などで、「原発の新規建設や運転延長を止める」と発言した。原発への依存度が高い関西圏への電力供給源を、自然エネルギーによる発電に置き換えていく考えを表明している。河瀬市長は書簡で、置き換え時期のめどなどを尋ねるほか、原子力の必要性を訴える。敦賀市など県内の原発立地市町が長年、原子力と共存してきた経緯も記すとみられる。
河瀬市長は読売新聞の取材に「原発をやめろと言われても我々も困るし、関西の皆さんも困るということを理解してほしい」と話している。脱原発構想の表明後、橋下知事は河瀬市長からの面会要請を、多忙を理由に拒否。「文書や事務レベルでもやり取りできる」としていた。
(2011年6月2日10時37分 読売新聞)
実現危ぶむ声…首相の自然エネルギー推進庁構想
. 電力
菅首相は12日に首相官邸で開かれた自然エネルギーに関する有識者との懇談会で、全発電量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年代に20%とするとした政府方針の実現に向け、近く検討組織を発足させる意向を示した。
首相は「省庁横断的な『自然エネルギー推進庁』のような組織を作れば、早く実現できるのではないか」と述べたが、すでに退陣の意向を示した首相の下で具体的な検討が進むのか、危ぶむ声が強い。
(2011年6月13日20時11分 読売新聞)
原発北西で高い線量…放射性雲と雨で地表に
. 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県飯舘村など原発から北西方向の地域で放射線量が高くなっているのは、3月15日に高濃度の放射性物質が同地域を通過した時間帯と降雨の時間帯が重なったためとする解析結果を、日本原子力研究開発機構がまとめた。
同機構原子力基礎工学研究部門の永井晴康・環境動態研究グループリーダーらは、同原発2号機格納容器下部にある圧力抑制室の破損で、放射性物質が大量に放出されたとみられる3月15日から翌16日にかけての拡散状況をコンピューターで再現した。
それによると、放射性物質が上空を煙のような形で流れる「放射性プルーム(放射性雲)」は、15日午前中には原発から南〜南西方向に動いていたが、風向きの変化で徐々に北西側に向かうようになった。同日夕方には南下してきた雨雲と重なり、放射性雲に含まれる放射性物質が降雨によって降下して地表面に沈着したとみられる。
(2011年6月14日00時45分 読売新聞)
津波対策見直し、月内に中間報告…専門調査会
. 巨大地震
東日本大震災を受けた津波対策の見直しを行っている中央防災会議の専門調査会(座長=河田恵昭・関西大教授)は13日に会合を開き、過去の発生例が確認されていない巨大地震に備えた防災計画を自治体が策定できるよう、国としての方針を盛り込んだ中間報告を月内にまとめることを決めた。
5月下旬から始まった議論では、今回のような巨大津波を想定した防潮堤を建設するのはコスト面で現実的でなく、住民の生命だけでも確実に守れるよう避難を徹底することの重要性が多くの委員から指摘された。また、「科学的な根拠をもって発生の可能性が考えうる地震は、対象地震として想定しておくべき」とする地震調査委員会の方針を参考にし、津波を過小評価しないよう留意する。
(2011年6月13日23時03分 読売新聞)
伊、原発再開を断念…国民投票「反対」9割超
. 福島原発
【ウィーン=末続哲也】原発再開の是非を問うイタリアの国民投票は13日、2日目の投票が締め切られ、伊ANSA通信が伝える投票率は約57%で、国民投票は成立した。
出口調査によると反対票は9割を超すと見られ、再開反対派の圧勝が確実な見通しとなった。ベルルスコーニ首相は13日、投票終了を待たずに「イタリアはおそらく原発計画と決別し、再生可能なエネルギー分野の開発に取り組む必要があるだろう」と原発再開断念の意向を表明し、事実上の敗北宣言を行った。
福島第一原発の事故後、原発をめぐる国民投票が行われたのは初めて。欧州ではスイスとドイツ両政府が将来原発を廃止する方針を決めており、イタリアの原発拒否の立場が固まったことで欧州各国で反原発世論が勢いづく可能性もある。
(2011年6月14日00時55分 読売新聞)
虚偽報告ではないと東電 海水注入めぐり東電
東京電力は13日の記者会見で、東日本大震災発生翌日の3月12日に行った福島第1原発1号機への海水注入をめぐり、当初中断したと政府に報告したことについて、虚偽報告ではないとの見解を明らかにした。
東電は5月16日、経済産業省原子力安全・保安院に、海水注入を中断したとの内容を含む地震発生時の経過を記載した報告書を提出。26日に、実際には吉田昌郎所長が注水を継続していたと発表した。
東電は、報告書提出の段階では本店と第1原発で協議して海水注入をいったん止めたと判断しており、「事実関係の調査は不十分だったが、虚偽の報告ではない」とした。東電はこの件を含め35件の誤記があったとして、報告書の訂正を保安院に提出した。
海水注入をめぐっては、海江田万里経産相は「どうして虚偽の報告がなされたか、調査したい」と述べていた。
東電は8日、吉田所長に対しては本店に虚偽の報告をしたとして口頭で注意した。
(2011年6月14日)
【原発と国家・神話崩壊】目前の危機防げず 電動ベントに固執
3月12日午前7時すぎ、班目春樹原子力安全委員長と一緒に自衛隊のヘリコプターで福島第1原発に乗り込んだ菅直人首相は、東京電力の武藤栄副社長を怒鳴りつけた。「早く説明しろ」。視察は、原子炉格納容器から放射性物質を含む蒸気を逃がす非常手段「ベント」を迫るためだった。
1号機の容器内の圧力は未明に設計圧力の2倍を超え、危機は目前にあった。免震重要棟2階の会議室で武藤副社長、吉田昌郎(よしだ・まさお)所長と向かい合う。関係者によると、東電側は「作業員が手動でベントするかどうかは1時間後に決めたい」「4時間後なら電気を復旧させ、電動ベントができるかも」と説明したという。
あくまで電源復旧に固執する東電。「悠長なことをやっている場合じゃない。どういう形でもいいから早くやれ」。首相は一蹴し、進んでいなかった作業は午前9時すぎから、手動での実施に向けようやく動き始める。
ベントはしたものの、午後3時36分、1号機の原子炉建屋は容器から漏れた水素で爆発する。「ガタン!」。建屋に向かう乗用車と消防ポンプ車が巨大な衝撃で跳ね上がり、若手作業員は約100メートル先の建屋上部の屋根と壁がごっそりとなくなっているのを見た。
近くの建物のガラスが粉々になり、破片が飛ぶ。免震棟の扉は枠組みが大きくゆがんだ。けがで足を引きずり逃げる人も。「被ばくして、もうじき死ぬんだな」。思いが頭をかすめた。
3基の原発でメルトダウン(炉心溶融)が同時に進む世界初の過酷事故に見舞われた福島第1原発。人間の制御を離れ放射性物質を吐き出し続ける"怪物"と、なりふり構わぬ闘いが続いた。安全神話は崩れさった。
× × ×
東日本大震災が発生した3月11日の午後3時半ごろ。4号機の原子炉建屋にいた作業員(23)は高台の事務所へ逃げる途中、異変を見た。「あれ何だっぺというくらいの引き波だった」。防波堤付近の水位が信じられないくらい下がっていた。
別の作業員(54)は強烈な揺れとともに「ごおー」という、うなるような音を聞いた。「早くしろ」。舞い上がるほこりにせき込み、数十人が殺到する出口へ。線量計を床に投げつけ外へ出た。
「ステーションブラックアウト!」。午後3時37分、東京・内幸町の東電本店に置かれた非常災害対策本部で怒気交じりの声が飛んだ。原発の安全設計審査指針が「考慮の必要はない」と切り捨てていた長時間の全電源喪失が始まった。「どうして...」。中堅の幹部社員は立ち尽くした。
▽70トンの塊
炉心の燃料は、制御棒の挿入で核分裂反応が止まっても「崩壊熱」を発し続ける。電源を失い冷却できないとメルトダウンに至る。それでも東電はまだ時間的余裕があるとみていた。8時間は緊急冷却機器のバッテリーが稼働する。その間に外部電源を復旧させられればという期待があった。
午後5時すぎ。東電は管内10の全支店に「福島に電源車をかき集めろ」と指令した。しかし地震や津波で道路は寸断、至る所で渋滞していた。「思うように進めない」。本店に悲鳴のような報告が次々に入る。
1号機炉内ではこのころ、長さ約4メートルの燃料棒の束が高温で溶け、圧力容器を満たした水が蒸発。午後7時半ごろ燃料がむき出しになった。やがて燃料を覆う被覆管が破れ、直径約1センチの燃料の塊(ペレット)が落下。12日朝までに全て溶け落ちた。底にたまった約70トンの塊は、容器を溶かして外に出れば、多数の人間を殺傷しかねない。
午後11時、初めて東北電力の電源車が到着。自衛隊車両も含む十数台が集まったのは12日朝だった。しかし、敷地にはがれきが散乱し、建屋に近づけない。用意したケーブルも短すぎた。さらに「設備が津波で浸水し、無理につなげばショートする」(東電幹部)恐れも。大きな望みをかけた電源車は無力だった。
免震棟では、居合わせた社員全員に呼び掛け、止めてあるマイカーのバッテリーを外して1号機に運ぶことまで試みていた。建屋脇に数十個のバッテリーを直列につなぎ、原子炉の水位や圧力を計る機器類の電源にしようとしたが、功を奏したかは不明だ。
▽新たな爆発
最悪のシナリオは3号機でも進行していた。13日午前2時42分、原子炉への注水がストップし、冷却機能が失われる。東電はその存在すら公表していないが、この日午前、放射性物質を含む蒸気が漏れ出した3号機の建屋に、6人の作業員が足を踏み入れていた。
防護服に防水ジャケット、ボンベを背負った作業員が、取っ手をゆっくり回して分厚い扉を開く。真っ暗な内部をヘッドライトと懐中電灯がぼんやり照らし出した。「シュー、シュー」。酸素を供給する音だけが響く。
電源を失った発電所で、高い線量にさらされながら続いた人力による復旧作業。建屋は翌14日の午前11時すぎに1号機と同様に水素爆発し、社員や、危険を知らされていなかった自衛隊員ら11人がけがを負った。
15日早朝、2号機の圧力抑制プール付近で爆発音。約730人が敷地外へ一斉退避し、約70人が第1原発にとどまった。4号機で火災が発生し、退避した作業員もすぐに呼び戻された。
東電は残留者を50人と発表、海外メディアは「フクシマ・フィフティーズ」ともてはやした。国家の危機に立ち向かう"決死隊"のイメージが膨らむ。だが、今も現場にとどまる20代の社員はひとりごちる。「残った管理職が出す指示はいいかげんなものが多かった。どんどん若手が現場に行かされた」
(2011年6月 1日)
橋下氏「原子力依存の現状考えるべきだ」敦賀市長へ回答(1/4ページ)
2011年6月14日03時00分
印刷するこの記事をスクラップ. 「電力の多くを原子力に依存する現状を考えるべきだ」。大阪府は13日、原発が立地する福井県敦賀市長から橋下徹知事宛てに届いた「公開質問状」に対する回答(10日付)を公表した。橋下氏は回答で、原発の新規建設や老朽原発の稼働延長の中止を求める持論について「反原発を唱えているわけではない」「電力の需要と供給のあり方を、住民が考えるきっかけにしたい」と理解を求めた。
商業炉2基などが立地する敦賀市長の河瀬一治氏は2日付で、「脱原発」や節電を掲げる橋下氏に対し、「電源供給地にどんな思いを持っているのか」「どんな時間軸で新エネルギーに代替するのか」といった質問状を送っていた。
橋下氏は回答書で、「原発立地地域があってこそ、関西の産業や生活が成り立っている」としたうえで、「地震国の日本はリスクが高い原子力の依存をできるだけ減らしていくべきだ」と主張。一連の発言については「リスクを抱えたまま今の生活を続けるのか」と住民に問いかけたメッセージだと説明した。
さらに、原発が地域活性化や雇用維持に役立っているとする河瀬氏の主張に対しては「立地地域の経済や雇用のために原発を維持するのは本末転倒だ」と反論した。
橋下氏はまた、13日の報道各社の取材でもこの問題に触れ、「大阪府に原発をつくるかという話をして、府民に『原発は必要ですか』と問いかけるしかない」などと述べた。
河瀬氏は13日、橋下氏からの回答に対し「具体的な部分(の答え)がない」としつつ、「総論の考えをいただき、有意義な意見交換ができた」とするコメントを出した。(富田祥広、高橋孝二)
「福島原発のリスクを軽視している」 「安全説」山下教授に解任要求署名
J-CASTニュース 6月14日(火)20時22分配信
福島第1原発から放射性物質が放出されて続けている問題で、一貫して「安全・安心説」を唱えていると受け止められている識者が、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一・長崎大学教授だ。1年間に許容される被曝量として「20ミリシーベルト」という数字が議論になるなか、山下氏は「100ミリシーベルト以下のリスクは分からない」との立場を崩していない。これが「リスクを軽視している」と批判を浴びており、NGOは、解任を呼びかける署名活動を始めている。
山下氏は、長崎市生まれの被曝二世。1991年から約20年間にわたって、チェルノブイリやセミパラチンスクでの被曝者治療に携わっている。05年から2年間は、世界保健機関(WHO)のジュネーブ本部で放射線プログラム専門科学官を務めている。福島県の放射線リスク管理アドバイザーには3月19日に就任し、県内の講演会で「放射能を『正しく恐れる』ことが大事」などと説いている。
■「年間100ミリシーベルト」の評価
山下氏に対して解任要求をしているのは、FoE Japanやグリーンピース・ジャパンなどの環境NGO。6月10日に菅首相や佐藤雄平福島県知事に宛てた要請文の中で、(1)特に放射線量が高い地域において、避難・疎開・夏休みの前倒しを促進すること(2)子どもを含む県民の内部被ばく検査の実施、など4項目を要求。そのなかの一つに、山下氏の解任が入っている。要請文では、
「低線量被ばくのリスクを軽視し、『100ミリシーベルトまでは、妊婦も含めて安全』との言動を福島県内で繰り返しています」
と山下氏を批判。署名活動を7月6日まで展開するという。
山下氏の発言で主に批判が集中しているのは、「100ミリシーベルト」の評価と、住民を避難させる範囲についてだ。
例えば、5月3日に、福島第1原発から50キロ以上離れた福島県二本松市で行われた講演会では、山下氏は
「100ミリシーベルトで、5人くらいがんのリスクが上がることが、長年の調査結果で分かっている。100ミリシーベルト以下は分からない。明らかな発がんリスクは観察されていないし、これからも、それを証明することは非常に困難」
と発言。
「二本松は危険だから逃げろ」という声があることについては、
「とんでもないこと」
と反論。
「皆さん、現実、ここに住んでいるし、住み続けなければならない。広島、長崎もそうだったし、チェルノブイリもそういう状況。そういう中で、明らかな病気は、事故直後のヨウ素による子どもの甲状腺がんのみ。このような現実をもって話している。国の指針が出た段階では、国の指針に従うのが国民の義務だと思うので、そのような内容でしか答えられない」
と発言し、「国の指針に従うのが国民の義務」という発言が、さらに地域住民の反感を読んだ模様だ。
■「30キロ圏外でも必要ならば避難させなきゃだめ」
その後も、山下氏は「100ミリシーベルト以下のリスクは確認出来ていない」との立場を崩しておらず、5月24日発売の「週刊朝日増刊 朝日ジャーナル 原発と人間」の中では、
「1回、100ミリシーベルト浴びると、例えば細胞に傷が100個できます。1ミリシーベルト受けると細胞に傷が1個できます。100個の傷にはときどきエラーが起きますが、1個の傷は体がすぐ治します。遺伝子は傷がついても治るという生物学的な生命現象が大前提としてあるので、僕は、微量の被曝には過敏になるな、と言っているんです」
と主張。「潮」11年6月号では、
「原発の放射性物質によってがんにかかりうるといっても、がんは日本人の3人に1人がかかる病気だ。確率論的に誰にでも起こりうる病気なのに、『放射線のせいでがんにかかる』と心配して生活を台無しにしても仕方がない」
とも述べている。
ただし、住民を避難させる範囲については、前出の朝日ジャーナルの中で
「僕は飯舘や浪江、川俣の一部の数値が高いのを見て、自主避難ではだめだ、きちんと命令してあげないといけないと言ってきたんです。国に対しても、30キロ圏外でも必要ならば避難させなきゃだめだとも言ってきました」
と述べており、講演会での発言との整合性を問われる可能性もある。
6月13日に行われた福島県議会の特別委員会でも、山下氏のアドバイザー解任を求める声があがっており、今後も波紋は広がりそうだ。
反原発、「集団ヒステリー」=石原自民幹事長
時事通信 6月14日(火)13時8分配信
自民党の石原伸晃幹事長は14日の記者会見で、福島第1原発事故後の反原発の動きについて「あれだけ大きな事故があったので、集団ヒステリー状態になるのは心情としては分かる」と述べた。表現が不適切との批判も出そうだ。
石原氏は、代替エネルギー確保や製造業への影響など原発を止めた場合の課題を挙げて「『原発推進なのか、反対なのか』という問いがあるが、簡単な話ではない」とも語った。
河野氏ら自民中堅・若手が「脱原発」議連
. 福島原発
自民党の中堅・若手議員が14日、「エネルギー政策議員連盟」を結成し、東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、「脱原発」を党の政策とするための活動を始める方針を確認した。
議連の中心メンバーは、河野太郎前幹事長代理、西村康稔経済産業部会長、世耕弘成参院幹事長代理ら。河野氏は以前から「脱原発」を持論としていたが、西村氏らも議論に加わったことが注目される。
初会合には約20人が参加し、河野氏は「明日、原発を止めるわけにもいかないし、原発を新設するわけにもいかない」とし、太陽光など再生可能エネルギーの促進を訴えた。
同党の中長期的なエネルギー政策の検討は、「電源立地・原子力等調査会」(会長・細田博之元官房長官)が担当している。調査会のベテラン議員は「原子力をゼロにするのは現実的ではない」と強調した。党内では「脱原発」の是非が、世代間対立の芽になるとの受け止めも出ている。
(2011年6月14日21時01分 読売新聞)
東電、「オール電化」PR子会社清算へ
. 東京電力が、調理から暖房まですべて電気を使う「オール電化」のPR施設などを運営する100%子会社「東電ピーアール」を7月末に清算することが14日分かった。
福島第一原子力発電所事故に伴う経営合理化の一環だ。
同社は東電が保有する「電力館」(東京都渋谷区)など28施設を運営していた。いずれの施設も東日本大震災の直後から休館し、5月31日に正式に閉館していた。東電は原発事故の賠償金を捻出するため、電力館などの施設売却を目指す。
東電は5月20日、不動産や株式など6000億円以上の資産売却を進める方針を示していた。
(2011年6月15日00時08分 読売新聞)
原子力政策:「集団的思考停止」原子力安全専門家認める
内閣府原子力委員会は14日の定例会議で、東京電力福島第1原発事故後の原子力政策について専門家の意見を聞いた。「脱原発継続」を決めたイタリアの国民投票結果を踏まえ、「原発推進という結論ありきの議論ではなく、市民や反対派の意見を取り上げる新しい政策決定手段を」との意見が相次いだ。
小林傳司・大阪大教授(科学哲学)は「原子力利用を継続するという結論ありきの議論では、国民の信頼を回復できない」と指摘。「原案を修正する覚悟で、脱原発シナリオも含めた政策選択の幅を国民にきちんと示すべきだ」と訴えた。
原子力安全の専門家でもある北村正晴東北大名誉教授も「巨大地震を、実際には起こりえないと決めつけた『集団的思考停止』があった」と認めた上で、「脱原子力を含めた今後の政策判断は、市民や意見の異なる専門家と真摯(しんし)な対話なしには展望は開けない」と述べた。
同委員会は、原子力政策を推進の立場から検討する審議会。【足立旬子】
毎日新聞 2011年6月14日 21時42分(最終更新 6月14日 21時45分)
エネルギー政策:同友会代表幹事「原発依存の変更困難」
経済同友会の長谷川閑史代表幹事は14日の記者会見で、原子力発電再開反対が多数を占めたイタリアの国民投票結果について、「日本はイタリアのように隣国から電力を購入できない。国の政策として取るべき選択肢は限られている」と述べ、消費電力の一定割合を原発に依存する日本のエネルギー政策を変更するのは困難との認識を示した。
また、定期検査で停止している全国の原発で運転再開のめどが立たないことについては、「電力不足で(企業が)事業計画すら立てられず、国内空洞化を促進しかねない」との懸念を表明。その上で、「東日本大震災以降もベトナムやトルコが日本の原発を購入しようとしているのに、日本国内では運転を停止し再稼働もしないというのは矛盾する。国が責任を持ち、原発を再稼働させてほしい」と政府に注文した。【宮崎泰宏】
毎日新聞 2011年6月14日 20時34分
原発賠償:「東電株主、十分に責任取った」…日証協会長
日本証券業協会の前哲夫会長は14日の定例会見で、原発事故の賠償のために東京電力の株主責任を問うべきだとの意見があることに対し、「東京電力の90万人の株主は(株価下落や無配転落で)大きな痛手を受け、既に株主責任を十分以上に取っている」と反論した。
また前会長は「支援機構法案」の閣議決定については、「電力業界全体の財務基盤の枠組みを早く作らないと、電力不安による空洞化の問題が出て、日本が沈没してしまう」と述べ、早期成立を求めた。
一方、東京証券取引所の斉藤惇社長が一部メディアに「東電は法的整理が望ましい」と発言したことについては、「債権放棄を求められる時は明確なルールのもとで行われるべきだ、との趣旨の発言だったのに、誤解を招いた」と述べた。【岩崎誠】
-福島第1原発-安全弁検査ミス…保安院所管法人が見逃す
毎日新聞 6月15日(水)2時34分配信
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主蒸気逃がし安全弁検査の概略図
経済産業省原子力安全・保安院所管の独立行政法人「原子力安全基盤機構」(東京都港区)が08年12月、東京電力福島第1原発3号機の交換用の圧力容器安全弁2台に対する法定検査を誤った手法で実施し、合格させていたことが機構関係者の話で分かった。正常運転時に相当する圧力をかけ放射性物質を閉じ込められるかどうかをチェックしなければならないのに、加圧不足だった。密閉性の低い弁が設置されれば、容器内から規定量以上の放射性物質が漏れる可能性があったという。
【よくわかる】福島原発図説集
機構は翌月、東電からの指摘を受けてミスに気づき、再検査した。実際に2台を取り付けたのは再検査合格後だったため「安全面での影響はなかった」との理由で、公表しなかった。機構は東電の原発トラブル隠し(02年8月発覚)で、保安院が検査結果の改ざんを見抜けなかった教訓から、検査強化を目的に03年10月に設立された。法定検査を実施できる唯一の機関だけに、識者から厳しい批判の声が上がっている。
この安全弁は「主蒸気逃がし安全弁」。直径数十センチ、高さ2メートル弱の円筒状の機器で、3号機には8台取り付けられている。正常運転時は放射性物質を含んだ蒸気を基準値以上に漏らさないよう炉内に閉じ込め、事故時は安全弁を開け、圧力を下げて容器破損を防ぐ。消耗により8台のうち6台を交換することになり、08年12月2、3の両日、安全弁を製造した北九州市のバルブメーカーの工場で電気事業法に定められた検査をした。
機構の検査員2人は、立ち会った東電社員らに指示して、正常運転時の蒸気に相当する圧力の窒素ガスを弁に向けて噴射し、ガスの漏えい量が基準値内かどうかを確認した。6台のうち4台への加圧は適切だったが、残る2台は規定値より各0.55気圧、0.46気圧低い70.38気圧、71.28気圧しか加圧していなかった。東電側の単純ミスだったが、2人はこれを見抜けないまま合格を意味する「良」と判定したという。
東電は機構の検査に先立つ08年11月18日、独自に同様の検査を実施した際に同じミスをしていた。社内の安全審査部門が二重チェック態勢をとっており、機構検査後の09年初めまでにミスを把握した。
安全弁は再検査後、保安院の書面チェック(09年4月)を経て、3号機に設置された。圧力容器の圧力が急上昇した3月13日、正常に動いたが、蒸気に含まれる水素が原子炉建屋まで漏れ建屋は翌日水素爆発した。【清水憲司、酒造唯、川辺康広】
原子力安全基盤機構の工藤雅春検査業務部次長の話 謙虚に反省しており、既に再発防止策も講じた。
【ことば】原子力安全基盤機構
保安院の委任で行う法定検査のほか、海外の原子力施設で起きたトラブルに関する情報の収集・分析などを業務とする。10年度予算(収入)は約222億5000万円で、国からの交付金が約93%を占める。職員426人(4月現在)の中には電力会社や原子力関連メーカーの出向者もおり、独立性を疑問視する声もある。
「顔見たくないなら法案通して」=菅首相、自然エネルギー普及に意欲
時事通信 6月15日(水)20時33分配信
太陽光や風力などの自然エネルギー普及を目指す超党派議員や民間人による緊急集会が15日夜、衆院議員会館で開かれ、菅直人首相も出席した。首相はあいさつで、電力会社に自然エネルギーによる電力の買い取りを義務付けた「固定価格買い取り制度法案」の今国会成立に強い意欲を表明。「『菅の顔を見たくない』という人も国会にはいる。それならこの法案を通した方がいい」と述べ、同法案成立までは退陣しない姿勢をにじませた。
首相は、同法案について「何としても通したい。通さないと政治家としての責任を果たしたことにならない」と強調した。
首相に対する与野党からの退陣圧力は強まる一方だが、ソフトバンクの孫正義社長は会合で「すごい土俵際の粘りだ。この粘りで法案を絶対に通してほしい」と首相にエールを送っていた。
「集団ヒステリー」発言を批判=福島社民党首
時事通信 6月15日(水)12時7分配信
社民党の福島瑞穂党首は15日の常任幹事会で、石原伸晃自民党幹事長が反原発の動きを「集団ヒステリー状態」と指摘したことについて、「自民党は命を大事にしたい人々の気持ちを全く理解できない利権政党だ。生身の生き物の感覚から本当に遠くなっているのが自民党政治だ」と批判した。
-石原幹事長-「集団ヒステリー状態」と発言 原発見直しで
毎日新聞 6月14日(火)20時22分配信
自民党の石原伸晃幹事長は14日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故を踏まえた原子力政策の見直しについて「あれだけ大きなアクシデントがあったので、集団ヒステリー状態になるのは心情としては分かる」と述べた。代替エネルギー確保の観点から「脱原発」の難しさを指摘した発言だが、表現が不適切と批判される可能性がある。石原氏は原発再開を巡るイタリアの国民投票を念頭に「国民投票で9割が反原発(だったので)、やめようという簡単な問題ではない」とも述べた。【念沸明奈】
民主・安住氏「首相の首絞める」=「君は軽い」と激怒—公明・漆原氏
時事通信 6月15日(水)19時17分配信
15日に行われた民主、自民、公明3党の幹事長・国対委員長会談で、菅直人首相が編成を指示した2011年度第2次補正予算案をめぐり、公明党の漆原良夫国対委員長が民主党の安住淳国対委員長に「君は軽い」と激怒する場面があった。
2次補正予算について、東日本大震災からの本格的な復興対策ではなく、小規模にとどまる見通しであることから、首相は「1.5次」予算と表現した。これに関し、自民党の石原伸晃幹事長が「2次補正でいいですね」と確認したところ、安住氏が「そうじゃなかったら、後ろから(首相の)首を絞める」と軽口をたたいた。
石原氏は、2次補正予算の編成が首相退陣のめどとされていることを踏まえ、あえて念を押したとみられるが、これをちゃかした安住氏の態度に漆原氏の怒りが爆発。さらに、ばつが悪そうに頭をかく安住氏に「そういうことだから信頼を失う」と憤まんやる方ない様子だった。
「もうついていけない」…鳩山G分裂の危機
. 民主党の鳩山前首相グループ(約40人)が分裂状態に陥っている。
主要メンバーがそれぞれ独自の動きを強めており、菅首相退陣後の党代表選を機に空中分解する可能性も指摘されている。
「菅さんがなかなかバトンを渡そうとしない」
15日午前、国会内で輿石東参院議員会長と会談した鳩山氏がこう愚痴をこぼすと、輿石氏は小沢鋭仁前環境相と平野博文元官房長官の名を挙げ、「バトンを渡さないのに、もらおうという人たちが騒いでいる」と苦言を呈した。
小沢、平野両氏はともに鳩山内閣で閣僚を務め、鳩山氏の側近と目されてきた。しかし、最近はそれぞれ主宰する勉強会を結成、小沢氏は次期代表選出馬に意欲を示し、平野氏も含みを持たせている。グループ幹事長の中山義活経済産業政務官も鹿野農相擁立に向け、水面下で動き始めている。
鳩山氏の首相辞任後、結束が徐々に弱まっていたとはいえ、鳩山氏の求心力がここまで低下したのは菅内閣不信任決議案への対応を巡るグループ内の混乱が発端だ。
鳩山氏が不信任案に賛成する意向を表明した際、グループ会長の大畠国土交通相や中山氏ら中心メンバーの多くは反対を主張。鳩山氏は「がっかりした」と失望感を隠さず、幹部からも「鳩山氏にはもうついていけない」との声が相次いだ。
(2011年6月15日23時20分 読売新聞)
-原発-海江田経産相「再稼働を」 立地道県知事、批判噴出
毎日新聞 6月18日(土)21時29分配信
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記者会見で質問に答える佐藤雄平知事=福島県庁で2011年6月18日午後1時半、種市房子撮影
海江田万里経済産業相が18日、原発再稼働の要請方針を示したことに対し、毎日新聞が原発立地道県の知事に姿勢を尋ねたところ、「適切」とした安全対策への疑問の声が噴出、現時点での受け入れを表明する知事はいなかった。原発の運転に関して知事に法的権限は無いが、電力会社と道県などの協定もあり、知事の同意無しの稼働は困難とみられる。経産相は近く福井県と九州を訪問する方針だが、慎重姿勢を見せる知事の説得など、各地で紛糾するのは必至の情勢だ。
【海江田経産相の発言は】定検で停止中の原発、政府が再稼働促す
取材に応じなかった福井県知事と連絡が付かなかった茨城、鹿児島両県知事を除く10道県知事が取材に応じた。現在、国内の商業用原発54基のうち37基が停止中。運転中のうち5基が8月末までに定期検査に入る予定で電力需給の逼迫(ひっぱく)が懸念されている。海江田経産相は同日の会見で、シビアアクシデント(過酷事故)対策に関し、適切との評価結果を公表した。
適切と判断した根拠の説明を求める知事は多く、溝口善兵衛島根県知事は「国が指示し、電力会社が実施する安全対策で十分かチェックする必要がある」と国の方針をうのみにできないとの姿勢を堅持。新潟県の泉田裕彦知事は「安全性について論評に値する内容が無い」とコメント。「本県の技術委員会の質問に国は回答していない」と不快感も示した。
原発事故の現場となった福島県の佐藤雄平知事は「再稼働はあり得ない」と従来通り断言。菅直人首相判断で運転停止となった静岡県の浜岡原発は、今回の経産相方針でも対象外とみられ、川勝平太知事は「再開のさの字も出る状況ではない」と現状を語った。
浜岡原発と他の原発との違いについて説明を求める知事も複数いた。福井県は、県幹部が「原発の高経年化対策や、浜岡原発のみに停止を命じた判断根拠などが示されなければ、定期検査中の原発の再稼働は了解できない」と慎重な姿勢を示した。
原発の建設や運転の許認可権は国にあるが、道県と市町村、電力会社は安全協定を結び、施設増設などは地元の了解を取る▽自治体の安全措置要求の受け入れ−−などを約束している。経産相の発言を巡っては橋下徹大阪府知事も「時期尚早。経産相や経産省のみなさんが原発周辺に住めばよい」と話している。【まとめ・石川淳一、柳澤一男、関東晋慈】
-福島第1原発-震災後の対応公表 連鎖的に事故深刻化
毎日新聞 6月18日(土)23時32分配信
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水素爆発で建屋上部が骨組みだけになった東京電力福島第1原子力発電所の1号機(左端)=福島県で2011年3月12日午後3時55分、本社機から貝塚太一撮影
東京電力は18日、福島第1原発事故の発生直後の対応状況についての調査結果を公表した。原子炉格納容器の圧力を抜く「ベント(排気)」や海水注入など、過酷事故を想定して策定した安全対策(アクシデントマネジメント)が機能せず、1号機原子炉建屋で3月12日に起きた水素爆発が、他号機の復旧作業の支障となり、連鎖的に事故が深刻化した様子が明らかになった。
【すべてはここから始まった】たくさんの写真で振り返る 津波に襲われる福島第1原発
東電は、集めた証言やデータを基に、地震発生後の対応を号機ごとに時系列でまとめた。それによると、3月11日午後3時42分の全電源喪失から約1時間半後の午後5時12分、吉田昌郎発電所長がアクシデントマネジメントに沿って作業に入ったものの、さまざまな障害によって翌日午後2時半ごろまでベントに成功しなかったことが新たに判明した。
1号機のベントに必要な図面は原子炉建屋から離れた事務本館にあった上、11日午後9時51分には建屋内の放射線量が上昇し入れなくなった。同11時50分ごろに格納容器の圧力が設計値を超えたため、翌12日午前0時6分、吉田所長がベント準備を指示。同午前1時半、菅直人首相の了承が得られたが、建屋内には煙のようなものが充満していて入れなかった。午前8時27分には、避難指示が出ていた地元・大熊町の一部住民の避難が済んでいないことが分かり、ベントを見合わせた。結局、ベント成功は午後2時半。1時間後の同3時36分には水素爆発が起きた。
爆発により、隣接する2号機で注水やベント作業に当たっていた電源車が停止して再起動できず、3号機で14日起きた水素爆発でも消防車やホースが破損した。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「電源喪失に余震もあり、非常に厳しい作業。アクシデントマネジメントの想定をはるかに超えた事故だった。まとめるまでに3カ月以上かかったが、今後の事故対応の検証や説明に生かしていきたい」としている。【関東晋慈】
福島第1原発:震災後の対応ドキュメント
東電が18日公表した調査結果のうち、1〜3号機への注水とベントに関する経過は次の通り。
◇直後
3月11日14時46分 地震発生。3、4号機の中央制御室はほこりで煙幕を張ったように真っ白になる。各号機で原子炉非常停止の作業。
15時27分 津波の第1波到達。
15時35分 津波の第2波到達。
15時42分 1〜6号機の全電源喪失。照明や表示灯が徐々に消える。2号機側の中央制御室は非常灯も消えて真っ暗に。水位計の電源も落ちる。計器類の復旧のため、構内からバッテリーやケーブルの収集を始める。長さ約200メートルのケーブルは重さ1トン以上。約40人の人力での敷設は、津波による水たまり、障害物散乱などのため難航。余震のたびに作業中断を繰り返した。
◇注水
-1号機-
11日15時37分 全電源喪失。
16時36分 緊急炉心冷却装置(ECCS)による原子炉への注水ができない状況になる。
17時12分 代替注水手段や、防火水槽を用いた消防車の使用の検討を開始。中央制御室の計器が電源喪失で使用できず、暗闇の原子炉建屋へ入る。
21時19分 炉内の水位が燃料棒の頂部の20センチ上と確認。
12日1時48分 消防車からの注水を検討開始。消火栓からは水が噴出、別の水源を探す。消防車を1号機近くに配置するにも、移動が難航。ゲートも停電で開かない場所があり、道路の通行可能な場所のゲートのカギを壊し、1号機を目指す。防火水槽へ水を注入するたび、消防車のホースを抜かねばならず、注水はたびたび中断した。
14時54分 吉田昌郎発電所長から海水注入の準備の指示。
15時36分 原子炉建屋で水素爆発が発生、現場退避、海水注入のホースが損傷。がれきを片付け、ホースを探して再敷設。
19時4分 海水注入を開始。
-2号機-
11日15時41分 全電源喪失。
17時12分 代替注水手段や消防車の使用について検討を開始。代替注水ラインを構成するため暗闇の中、原子炉建屋とタービン建屋で残留熱除去系(原子炉の冷却システム)などの弁を手動で開け、原子炉圧力の減圧後に注水可能な状態にした。
12日15時36分 1号機で水素爆発が発生。飛散物でケーブルが損傷し、高圧電源車が自動停止。作業を中断し、全員が免震重要棟(作業拠点)へ退避。
14日11時1分 3号機原子炉建屋で水素爆発。準備完了状態だった注水ラインは、消防車及びホースが破損して使用不可能に。
16時ごろ 原子炉の圧力を下げるため、車両からバッテリーを集めて中央制御室に運び電源ケーブルをつないだが、バッテリーの電圧が不足。バッテリーを追加して複数の逃がし安全弁の動作を試みる。
19時20分 海水を注入するための消防車が燃料切れで停止。
19時54分 原子炉内に消防車による海水注入開始。
-3号機-
11日15時38分 全電源喪失。
12日11時36分 冷却システム停止。所内の消防車は1号機の海水注入に使用していたため、応援を要請するも到着せず。バッテリー不足で逃がし安全弁を動かせず。社員の通勤用自動車のバッテリーを外して集め、中央制御室に運んで計器盤につなぎ込んだ。
13日9時25分 消防車による代替注水を開始。電源復旧作業を実施するが、度々の余震や劣悪な作業環境により思うように作業が進まず。
10時半 (原子炉への)海水注入を視野に入れて動くとの吉田所長指示。
13時12分 海水注入を開始。各所に消防車の応援要請を継続して行っていたが、構内の放射線量、汚染の問題や発電所までの道路状態が悪いことなどの理由により、発電所に直接向かうことができず。水源として、4号機タービン建屋の地下にたまった(津波による)海水を利用するため、タービン建屋大物搬入口のシャッターを破壊して消防車を入れて取水を試みるが、引くことができない。
14日明け方 応援の消防車が到着。淡水源として要請していた自衛隊の給水車5トン(計7台)も到着。補給作業を開始する。
11時1分 原子炉建屋で水素爆発。
16時半ごろ 消防車による海水注入を再開。
◇ベント
-1号機-
11日16時36分以降、中央制御室で、ベントに必要な弁や位置を確認。
21時51分 原子炉建屋の放射線量が上昇し、立ち入り禁止に。
23時50分ごろ 格納容器圧力の上昇を確認。
12日0時6分 吉田所長がベントの準備を指示。
1時半ごろ ベント実施を首相、経済産業相、経済産業省原子力安全・保安院に申し入れ、了承を得る。東電本店から「あらゆる方策でベントしてほしい。午前3時に経産相と当社がベント実施を発表する。発表後にベントすること」との情報。
3時45分ごろ 原子炉建屋の二重扉を開いたところ、白いもやもやが見え、閉鎖。
4時半ごろ 余震による津波の可能性から、現場操作の禁止を指示。線量がさらに上昇。
8時3分 吉田所長から「1号機のベントは9時を目標」と指示。
8時27分 大熊町の一部住民が避難できていないとの情報が届き、避難終了後にベントをすることで調整。
9時3分 避難完了を確認。
9時4分 第1班が懐中電灯を持って出発。手動で格納容器ベント弁を開く操作に着手。続いて第2班が圧力抑制プールの弁開放のため出発するが、線量が高く引き返す。作業を断念。
10時17分から3回、中央制御室で弁の開放操作をするが、開いたか不明。
12時半ごろ 弁開放に使う空気圧縮機「仮設コンプレッサー」を協力企業で発見、原子炉建屋付近に設置。
14時 コンプレッサー起動。格納容器の圧力が低下。
14時半ごろ ベント実施と判断。
-2号機-
11日16時36分 緊急炉心冷却装置による注水が不能と判断。
23時25分 計器類の復旧により、格納容器の圧力が判明。
12日1時半ごろ 1、2号機のベント実施を首相、経済産業相、原子力安全・保安院に申し入れ、了解を得る。
17時半 ベント操作の準備を開始するよう吉田所長が指示。
13日(時間不明) 格納容器ベント弁を手動で開くため、当直員が原子炉建屋に出発。
10時15分 ベントを実施するよう吉田所長指示。
14日11時1分 3号機原子炉建屋で水素爆発。圧力抑制プールのベント弁につながる回路が外れ、閉まる。当直員を除く作業員は、免震重要棟に退避。
16時20分 圧力抑制プールベント弁を開く操作をしたが、コンプレッサーからの空気が十分でなく操作できず。
21時ごろ 圧力抑制プールベント弁を開く操作。
21時20分 逃がし安全弁を二つ開き、原子炉水位の回復を確認。
15日0時2分 格納容器ベント弁を開く操作。
6時〜6時10分ごろ 圧力抑制プール付近で爆発音が発生。応急復旧作業に必要な要員を除き、一時的に福島第2原発へ避難。
-3号機-
12日17時半 格納容器ベントの準備を開始するよう吉田所長指示。
13日8時41分 ベント開始。
9時24分 格納容器の圧力が減圧されたことを確認、同20分ごろにベントが実施されたと判断。
14時31分ごろ 原子炉建屋二重扉北側で毎時300ミリシーベルト以上(中は白いもやもや状態)。
15時28分 中央制御室の線量が毎時12ミリシーベルトとなり、当直員は4号機中央制御室側に退避。
毎日新聞 2011年6月18日 21時57分(最終更新 6月19日 0時43分)
福島第1原発:ベント、注水 混乱鮮明に 東電が対応発表
福島第1原発事故で東京電力は18日、東日本大震災が発生した3月11日から数日間の各号機での対応について、関係者の証言を基に事実関係を時系列で再構成し、発表した。注水作業やベント(排気)についての現場の生々しい様子が改めて明らかになった。
震災発生直後の様子はこれまでも明らかにしているが、今回は注水作業やベントを中心に取りまとめ、政府の事故調査・検証委員会へも提出する方針。
発表によると、1号機では12日午前1時半にベント実施について菅直人首相らの了解が得られたにもかかわらず、1時間半後の経済産業相らの発表後に実施するよう本店から情報がもたらされたことや、12日午後3時36分には、注水準備が完了したと同時に建屋が水素爆発したことなどが、新たに判明した。
ベントの実施では12日午前8時半前に大熊町の一部で避難できていないことが分かり、避難が終わってから実施するよう調整するなどした。暗闇の中、12日未明に1号機で、現場の確認に通常は10分程度でできるところ、作業着の着脱などで1時間弱もかかったり、原子炉建屋の放射線量を測定するために扉を開けると、「白いもやもや」が見えてすぐに扉を閉鎖したため線量測定ができなかったことも記述している。
毎日新聞 2011年6月18日 22時40分
福島第1原発:汚染水浄化停止 吸着装置の検証実験へ
福島第1原発:震災後の対応ドキュメント
福島第1原発:住民2万8000人対象に内部被ばく調査
福島第1原発:「相馬野馬追」 規模縮小し開催へ
福島第1原発:IAEA報告書「日本は緊急時の決定遅い」
3月12日
【午前】0時15分、オバマ米大統領と電話会談。松本外相、高橋外務副大臣、外務省の梅本北米局長、福山官房副長官同席。40分、枝野官房長官、福山副長官。53分、内閣危機管理センター。1時36分、首相執務室。5時31分、内閣危機管理センター。6時8分、官邸で記者団にコメント発表。14分、陸上自衛隊ヘリコプターで官邸屋上ヘリポート発。寺田首相補佐官、班目春樹原子力安全委員長ら同行。7時11分、福島県大熊町の東京電力福島第一原発。19分、重要免震棟。23分、東京電力副社長の武藤栄原子力・立地本部長による説明。池田経産副大臣同席。8時4分、陸自ヘリで同原発発。29分、仙台市の陸自霞目駐屯地着。35分、陸自ヘリで同駐屯地発。宮城県沿岸部の被災地を上空視察。9時14分、同駐屯地着。17分、陸自ヘリで同駐屯地発。10時47分、官邸ヘリポート着。11時13分、海江田経産相。36分、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部。
【午後】0時42分、民主党の岡田幹事長、仙谷代表代行。3時、与野党党首会談。4時59分、玄葉国家戦略相。5時26分、玄葉氏出る。6時44分、海江田経産相、福山副長官、細野、寺田、芝の各首相補佐官。49分、松本防災相加わる。53分、松本氏出る。58分、寺田、芝両氏出る。8時10分、福山、細野両氏出る。29分、海江田氏出る。32分、記者会見。9時34分、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部。10時29分、玄葉国家戦略相、細野補佐官。45分、玄葉氏出る。11時1分、細野氏出る。
首相動静 11日
2011年03月12日 朝刊 政治政策
印刷する. 菅首相
【午前】6時16分、福山官房副長官、細野、寺田両首相補佐官。7時24分、全員出る。35分、国会。40分、障がい者制度改革推進本部。51分、総合海洋政策本部会合。8時11分、寺田補佐官。17分、閣議。38分、枝野官房長官、福山副長官、寺田補佐官。55分、参院決算委員会。11時58分、官邸。
【午後】0時55分、国会。1時、参院決算委員会。2時50分、同委員会休憩。56分、官邸。3時7分、内閣危機管理センター。緊急災害対策本部。4時12分、全閣僚出席の緊急災害対策本部会議。26分、福山副長官、寺田補佐官、伊藤内閣危機管理監、千代内閣広報官。30分、民主党の岡田幹事長、仙谷代表代行加わる。37分、伊藤氏出る。44分、岡田氏出る。47分、福山、千代両氏出る。52分、仙谷、寺田両氏出る。54分、記者会見。59分、細野、寺田両首相補佐官。5時42分、海江田経産相加わる。44分、福山副長官加わる。6時3分、全員出る。12分、与野党党首会談。7時9分、原子力安全対策本部。23分、緊急災害対策本部。41分、海江田経産相、藤井、福山両官房副長官、細野、寺田両補佐官。8時17分、藤井氏出る。24分、海江田氏出る。26分、全員出る。28分、内閣危機管理センター。
首相動静 13日
2011年03月14日 朝刊 特設D
印刷する. 菅首相
【午前】0時5分、内閣危機管理センター。1時3分、海江田経産相。16分、福山官房副長官加わる。48分、福山氏出る。5時50分、海江田氏出る。7時57分、海江田経産相。9時32分、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部。10時21分、海江田経産相。11時8分、東芝の佐々木則夫社長。
【午後】1時46分、東京電力の清水正孝社長。2時45分、自民党の谷垣総裁と党首会談。民主党の岡田幹事長、自民党の石原幹事長同席。3時30分、韓国の李明博大統領と電話会談。伴野外務副大臣同席。55分、オーストラリアのギラード首相と電話会談。伴野氏同席。4時30分、社民党の福島党首と党首会談。民主党の岡田幹事長、社民党の重野幹事長ら同席。5時、国民新党の亀井代表と党首会談。7時49分、記者会見。8時56分、蓮舫行政刷新相に節電啓発相の補職辞令交付、辻元清美衆院議員に首相補佐官の辞令交付。枝野官房長官、藤井、福山、滝野各官房副長官同席。9時、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部。40分、電力需給緊急対策本部。58分、経済情勢に関する検討会合。10時22分、民主党の仙谷代表代行、岡田幹事長、安住国対委員長、輿石参院議員会長。45分、全員出る。
首相動静 14日
2011年03月15日 朝刊 6総合
印刷する. 菅首相
【午前】8時46分、官邸で加藤、細野、寺田の各首相補佐官。55分、加藤氏出る。9時31分、細野、寺田両氏出る。33分、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部。10時17分、海江田経産相。56分、公明党の山口代表、斉藤幹事長代行。11時30分、海江田経産相、枝野官房長官、福山官房副長官、伊藤内閣危機管理監。38分、枝野、福山両氏出る。45分、枝野長官、福山副長官加わる。
【午後】0時38分、全員出る。54分、枝野長官。2時、中山経産政務官加わる。12分、中山氏出る。13分、片山総務相加わる。35分、片山氏出る。3時46分、枝野氏出る。4時24分、日立製作所の中西宏明社長。5時30分、ロシアのメドベージェフ大統領と電話会談。伴野外務副大臣同席。50分、ニュージーランドのキー首相と電話会談。伴野副大臣、外務省の杉山アジア大洋州局長同席。6時9分、片山総務相、逢坂総務政務官。21分、全員出る。8時45分、玄葉科学技術相。9時6分、玄葉氏出る。37分、枝野長官。55分、内閣危機管理センター。
首相動静 15日
2011年03月16日 朝刊 6総合
印刷する. 菅首相
【午前】4時17分、官邸で東京電力の清水正孝社長。5時26分、東電福島第一原発の事故に関する政府と東電の統合本部設置を発表。35分、東京・内幸町の東京電力。福島原発事故対策統合本部。8時45分、官邸。9時31分、閣議。10時24分、海江田経産相。11時1分、記者会見。31分、枝野官房長官。34分、海江田経産相加わる。39分、北沢防衛相加わる。
【午後】0時3分、全員出る。32分、緊急災害対策本部。54分、原子力災害対策本部。2時22分、地震対策に関する政府・民主党連絡会議。59分、斉藤正樹東工大原子炉工学研究所教授。3時47分、民主党の田中真紀子、沓掛哲男両衆院議員ら。58分、北沢防衛相。4時25分、連合の古賀伸明会長。52分、伊藤内閣危機管理監。5時49分、東内閣府副大臣。8時12分、民主党の斎藤勁国対委員長代理。33分、玄葉国家戦略相。59分、海江田経産相。10時5分、海江田氏出る。
津波、最大想定に対処…防災会議・中間報告骨子
. 巨大地震
東日本大震災を受けて津波対策の見直しを行っている国の中央防災会議の専門調査会(座長=河田恵昭・関西大教授)は19日、3回目の会合を開き、科学的に想定し得る最大の津波にも対処できる防災対策を取るよう、国と自治体に求める中間報告の骨子をまとめた。
中間報告は26日に公表される見通し。津波の想定に関しては、従来の考え方を抜本的に改める内容で、全国の津波対策に大きな影響を与えることになる。
記者会見した河田座長によると、これまでの津波対策は、各地域で繰り返し発生したことが確認されている津波の中で、最大規模のものを前提に策定。津波の高さなどを判断する根拠は文献などほぼ確実な証拠に限定し、学説の定まったものだけを対象にしていた。
(2011年6月20日01時22分 読売新聞)
福島第1原発:欧州委員「やはり人災」と厳しい安全性検査
毎日新聞と会見するエッティンガー欧州委員=斎藤義彦撮影 【ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU)で原発を担当するエッティンガー欧州委員(閣僚)が毎日新聞と会見し、福島原発事故は「自然だけでなく人によっても起こされた人災」と強調した。同委員は事故直後に「原発は制御不能」と発言、欧米株式市場の急落を招いて批判を浴びたが、結果的に“正当性”が証明された格好。同委員は「事故の教訓を得ないのは誤り」とし、EUでは厳しい安全性検査を新設の原発にも適用する考えを示した。
同委員は3月16日、欧州議会で「(福島原発が)大惨事で制御不能に陥っている。最悪の事態が来る可能性も排除できない」と指摘。事故に世界的な不安感が高まるなかでの発言だけに、同日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均の下げ幅が一時299ドル超に。世界同時株安の影響を受けていた欧州市場でも、この発言がさらに下げ幅を高めた。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長も発言に対し、「『制御不能』などと言うべき時ではない」と苦言を呈していた。
インタビューに応じた同委員はこの発言について、「惨事の後に危険があった」と改めて強調。「日本は首都圏の3500万人以上をどこかに避難させることはできない」ことも理由に挙げた。
また、事故後「被害を最小に抑える技術がなかっただけでなく、実施可能な技術も適用されなかった」と批判し、「人災」と断じた。その上で「教訓を学び惨事を最小化する計画を立てないのは誤りだ」と話した。
教訓の具体例として、EU加盟国の原発143基を対象に1日から始まった厳しい安全検査を挙げた。冷却機能の喪失のほか高温、飛行機の墜落、付近のタンカーの爆発も想定したもので、現存の原発だけでなく新原発にも適用すると述べた。
同委員は脱原発を決めたドイツの現政権与党出身。ドイツの決定について、EUが20年までに電力の20%を再生可能エネルギーにする戦略への「ステップ」と語った。
-放射線-子供の年間被ばく限度…川口市が独自の規制値
毎日新聞 6月20日(月)20時39分配信
埼玉県川口市は20日、子供の放射線の年間被ばく限度を1.64ミリシーベルトとする独自の暫定規制値を発表した。国際放射線防護委員会が示す人工被ばくの年間限度1ミリシーベルトに、大地からの国内平均値0.34ミリシーベルトと宇宙からの平均値0.30ミリシーベルトを加えた値。自治体では全国初とみられるという。
市によると、屋外で8時間活動するとの前提で換算した場合、規制値は1時間当たり0.31マイクロシーベルトにあたる。7月中旬以降、市内10カ所で週1度測定し規制値を超えた場合、周辺の保育所、幼稚園、小中学校で屋外活動を1日3時間以内に制限する。市はこれまでに2回、この10カ所で測定。最大値は1時間当たり0.16マイクロシーベルトだった。
保護者から「放射線量が高くなった場合、子供をどう行動させればよいのか」などの問い合わせがあったために規制値を設定。会見した岡村幸四郎市長は「他の自治体に混乱が起きないか」との質問に、「ばらばらの値ではいけない。本来は国が基準を示すべきだ」と説明した。【鴇沢哲雄】
原子力安全委、IAEA閣僚級会合に欠席2011年6月16日22時39分
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. 原子力安全委員会は16日、ウィーンで20日から開かれる国際原子力機関(IAEA)閣僚級会合に欠席する方針を明らかにした。会合は東京電力福島第一原発の事故を教訓に、世界の原発の安全を話し合うもので、関係者から安全委の出席も求められていた。
会合には緊急時対応など、原子力安全委がかかわる内容についての作業部会も予定されている。だが、経済産業省原子力安全・保安院などが代わりに報告する予定だ。
班目春樹委員長は16日の記者会見で、欠席理由について「日本がIAEAに提出した報告書の執筆に安全委はかかわっていない」と述べた。
.
日本の緊急対応、組織複雑…IAEA調査団報告
.
関連記事を検索してみますか?IAEA調査団 報告書 【ウィーン=末続哲也】東京電力福島第一原子力発電所の事故の原因や背景を検討した、国際原子力機関(IAEA)の調査団は17日、約160ページに上る正式な報告書をまとめ、加盟国に配布した。
本紙が入手した報告書は結論部分で、日本の緊急事態対応システムについて、「複雑な組織体系は緊急の意思決定の遅れを招く」と指摘し、見直しを求めた。そして「津波の危険に対する多重防護の用意が不十分だった」と明記した。ただし現場での事故対応については「可能な限り最良の方法で行われた」と評価した。
報告書はさらに、事故の教訓として16項目を列挙し、まれにしか起きない複合災害や、電源喪失などの事態にも備えるように求めた。水素爆発の危険性の再考や、原発を規制する機関の独立を保障することなども提唱した。
(2011年6月18日13時44分 読売新聞)
自動減圧系 [編集]自動減圧系(ADS:Automatic Depressurization System)は、主に主蒸気管に接続されている複数の蒸気逃がし弁によって構成される。原子炉水位低とドライウェル圧力高の同時事象によって、例えば30秒後に自動的に作動するようになっている。ADSが作動すると、蒸気逃がし弁より出た炉心冷却水の蒸気は圧力抑制プールへと導かれ、原子炉圧力容器内の圧力を下げる。加圧水型原子炉では、原子炉圧力容器と一次冷却系内部が高圧である為、ECCS系統による冷却水の注入に当ってはADSによる減圧を行なう。
主蒸気逃がし弁
0547
→PWRにおいて、主蒸気系の圧力が上昇した場合、主蒸気安全弁 の作動を極力防止するために、安全弁の吹き出し圧力よりも低い圧力で作動するように設置された制御弁。大気放出弁ともいう。蒸気発生器 1基あたり1個の主蒸気逃がし弁が主蒸気管に取り付けられ、弁1個の吹き出し容量は約180トン毎時(t/h)である。BWRでは、PWRの加圧器安全弁 、加圧器逃がし弁 、主蒸気安全弁、主蒸気逃がし弁の4種類の弁の機能を合わせ持った逃がし安全弁 が設置されている。
-福島第1原発-東電からの通報文書1万1000枚公開
毎日新聞 6月25日(土)1時4分配信
経済産業省原子力安全・保安院は24日、東京電力福島第1原発事故直後から5月末までに東電からファクスで届いた原子力災害対策特措法に基づく通報文書など、計約1万1000枚を保安院のホームページで公開した。原子炉格納容器内の圧力を下げるベント(排気)による環境への影響を検討した報告や、燃料損傷の開始時期を予測する過程などが記載されている。重大事故を予測しながら事態の急変に手をこまねく様子もうかがわれ、政府の事故調査・検証委員会でも検証対象になるとみられる。
保安院によると、政府が今月7日に公表した国際原子力機関(IAEA)への報告書の裏付けになった資料。ベントについては、2号機での実施による放射性物質の拡散予測が、3月12日午前3時33分の手書きのファクスで報告されていた。燃料が損傷する重大事故が発生したとの前提で、当時の気象条件や格納容器内の圧力低下の見通しが書かれていたほか、放射性物質の拡散予測とみられる図もあった。ベントの影響に関する文書は1号機が同日午前4時すぎ、3号機は同日午前10時前に送られていた。
燃料損傷の予測は11日午後9時すぎの文書から始まり、「(2号機では)午後10時20分ごろには損傷が始まる」などと、刻々と変わる様子が残されていた。14日に発生した3号機の水素爆発を報告する文書では「(午前)11時ごろに3号機が爆発らしき事象が発生し、白煙があがった模様(TV映像にて確認)」と記され、現場の混乱ぶりもうかがえた。【足立旬子、永山悦子】
東電からの通報文書公開 保安院HPで1万1千枚
経済産業省原子力安全・保安院は24日、福島第1原発事故直後から5月末にかけ、東京電力からファクスで受け取った通報文書など計約1万1千枚を同日夜に保安院のホームページで公表すると発表した。6月以降分も今後公表予定という。
保安院によると、政府の原子力災害対策本部が今月7日にまとめた、国際原子力機関(IAEA)への報告書の裏付け資料となった文書類。同省の西山英彦審議官(保安院担当)は「国民に広くご覧いただき、より透明性を図りたい」と話した。
東日本大震災が起きた3月11日付の吉田昌郎第1原発所長名の文書は一連の事故の端緒となった「全交流電源喪失」などを報告。翌12日の午後3時18分発信と記された文書では、「応急措置」の欄に手書きで「今後、準備が整い次第、消火系にて海水を炉内に注入する予定」と記載されている。
(2011年6月24日)
上関原発、大幅見直しも=山口知事、現時点では埋め立て拒否—「国の政策が不透明」
時事通信 6月27日(月)10時5分配信
中国電力が山口県上関町で計画中の上関原発の建設予定地埋め立て免許に関し、二井関成知事は27日の県議会で、国のエネルギー政策が不透明なことを理由に現時点では免許の延長を認めない方針を表明した。公有水面埋立法に基づく免許は来年10月に失効するため、建設計画は大幅な見直しを迫られる可能性が出てきた。
中国電の計画では、上関原発は2基を建設し、1号機は2018年3月、2号機は22年度内に営業運転を開始する予定。同社は09年10月に埋め立て工事に着工したものの、地元反対派の抵抗に加え、東京電力福島第1原発事故への配慮から、今年3月以降、作業は中断したままとなっている。
-閣僚人事-原発担当相に細野氏、蓮舫氏は退任
毎日新聞 6月27日(月)21時46分配信
拡大写真
辞令交付後、記念撮影に臨む菅直人首相(中)と松本龍復興担当相(右)、細野豪志原発事故担当相(左)=2011年6月27日午後9時42分、石井諭撮影
菅直人首相は27日、東日本大震災復興基本法で新設された復興担当相に、松本龍防災担当相(60)を兼務で充てることに伴う閣僚人事を行った。原発事故収束・再発防止担当相も新設し、細野豪志首相補佐官(39)を起用した。閣僚数は上限17人のため、蓮舫行政刷新担当相(43)は閣僚から外し、行政刷新担当首相補佐官に起用した。蓮舫氏が担当していた行政刷新は枝野幸男官房長官(47)、消費者・食品安全は細野氏が兼務。松本氏の環境相兼務も解き、江田五月法相(70)が兼務する。総務政務官に自民党の浜田和幸参院議員(58)=鳥取選挙区=を起用する人事も決定した。
◇亀井代表は入閣固辞、首相補佐官に
首相は国民新党の亀井静香代表に副総理としての入閣を打診したが、亀井氏は固辞し、「内閣の重要政策全般」を担当する首相補佐官に就任した。
細野氏は今年1月に首相補佐官に起用され、大震災後は東京電力福島第1原発事故の対応を担当してきた。民主党政権では最年少の39歳での入閣。首相は防災相として被災者支援を担当してきた松本氏の復興相起用と併せ、大震災・原発事故対応に最優先で取り組む菅内閣の姿勢をアピールしたい考えだ。
ただ、退陣表明後の首相が閣僚人事を行うのは異例。首相の8月退陣を前提に自公両党との協力を模索する民主党の岡田克也幹事長ら党執行部は、続投への意欲と受け取られかねない内閣改造には反対してきた。枝野氏は人事発表の記者会見で「内閣改造に伴って開かれる初閣議は招集していない」と述べ、内閣改造とは位置づけない見解を示した。
◇浜田起用に自民は不快感
浜田氏の政務官起用は、民主、自民両党の執行部にとって「寝耳に水」。自民党の大島理森副総裁は「内閣と自民党の信頼、それを許す民主党執行部を含めて信頼は全くなくなる」と特例公債法案や11年度第2次補正予算案の審議に影響する可能性を警告した。公明党の山口那津男代表も「退陣を余儀なくされている中で、復旧・復興を真剣に考えているのか極めて疑問だ」と不快感を示した。
民主党執行部にとっては、自公両党と合意した通常国会の「50日延長」も首相に蹴られたばかり。首相が欠席した27日の役員会では安住淳国対委員長が「国会を(首相の指示で)70日延長したのに、これでは重要法案が通らなくなる」と首相の対応を批判。子ども手当の見直しをめぐる3党の政調会長協議が再開される直前だっただけに、仙谷由人代表代行も「石破(茂・自民党政調会長)さんの地元・鳥取の議員を引っ張るとは何を考えているんだ」とあきれた。首相の孤立化が加速している。
自民党議員の引き抜きは、亀井氏が大幅な内閣改造とともに首相に進言してきた。亀井氏は27日、首相官邸での与党党首会談後、「首相が震災復興については与野党を超えて一致協力していきたいと呼びかけたのに自民党が断った」と正当性を強調した。
亀井氏の首相補佐官起用により、補佐官の定員5人をオーバーしないよう原発事故担当の馬淵澄夫首相補佐官が退任。場当たり人事に振り回された民主党内にはしらけたムードが広がり、特例公債法案や、首相が意欲を燃やす再生可能エネルギー固定価格買い取り法案の審議へ向けた与野党協力の機運がしぼみかけている。
玄葉氏ら、首相人事を批判=「交渉ハードル上げた」
時事通信 6月28日(火)12時27分配信
菅直人首相が退陣の条件として再生可能エネルギー促進法案などの成立を挙げたことや、東日本大震災の復興担当相新設に伴い行った一連の人事をめぐり、28日午前の閣議後記者会見で、各閣僚からさまざまな声が上がった。
枝野幸男官房長官は「大変厳しい状況だが、首相がきのう(の会見で)言った三つのことを一刻も早く実現できるように努力したい」と述べ、首相が退陣の「めど」としたエネルギー法案と特例公債法案、2011年度第2次補正予算案の成立に全力を挙げる考えを示した。
北沢俊美防衛相は「適切な人事配置」と支持。自民党参院議員を総務政務官に起用したことについて、「この世界、あした何が起きるか分からない。与党が少数のところを一人でも多くしようという努力は、常にどこかで誰かが一生懸命やっている」と指摘した。北沢氏は首相に近く、国民新党の亀井静香代表と連携して自民党からの引き抜きに動いていた。与謝野馨経済財政担当相は細野豪志原発事故収束・再発防止担当相の抜てきについて、「原子力政策や福島の事故処理などを(経済産業相)1人でやるのは無理で、分けた首相の判断は正しい」と評価した。
これに対し、野党との交渉の当事者である玄葉光一郎国家戦略担当相(民主党政調会長)は「(自民党から)1人を引き抜いたことで与野党交渉のハードルを高くした」と首相の人事を批判。野田佳彦財務相も「野党の態度硬化は非常に厳しい状況だ。正面玄関に立って頭を下げて、協力をお願いするのが筋ではないか」と指摘した。野田氏はエネルギー政策を争点とした衆院解散にも「あり得ない。あってはならない」と反対する考えを示した。
新任の細野氏は「私は仕事に専念するしかないし、それが果たすべき役割だ」と語った。
西山審議官を更迭 週刊誌で女性問題報道「報道業務に支障」
産経新聞 6月29日(水)12時8分配信
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更迭された西山英彦審議官(写真:産経新聞)
経済産業省原子力安全・保安院は29日、福島第1原発事故の広報担当を西山英彦審議官から森山善範・原子力災害対策監に交代した。一部週刊誌に西山審議官の女性問題が報じられたことを受けたもので、西山審議官は同日付で保安院付けを外れた。震災以降、保安院の広報担当者は5人目になる。
森山原子力災害対策監は広報担当の交代について、「(西山審議官の女性問題をめぐる)各種報道を受け、報道業務に支障を生じる懸念がある」と説明した。
「福島原発行動隊」、始動へ=収束作業で現場視察—リタイア組400人志願
時事通信 6月30日(木)18時59分配信
福島第1原発事故の収束作業を志願している「福島原発行動隊」が7月中旬に現場の状況を視察することが決まった。元技術者らリタイア組約400人が参加を表明しており、政府や東京電力との打ち合わせ、1カ月程度の訓練を経て、「9月中にも作業に就きたい」という。
同原発では、高い放射線量で被ばくする作業員が相次ぎ、人手不足が深刻化している。元技術者の山田恭暉さん(72)が「若い人よりも被ばくによる影響が小さいわれわれ引退組が作業に当たった方がいい」と呼び掛けたところ、6月末現在で、60歳以上の約400人が参加を表明したほか、約1200人が支援を申し出た。
山田さんらは5月末、細野豪志首相補佐官(現原発事故担当相)や東電幹部と接触。細野氏らから「行動隊を受け入れたい」との意向が示されたため、志願者の経歴、能力を記載したリストを手渡したという。
参院議員会館で30日に開かれた行動隊の説明会には、約150人が出席。山田さんは、元放射線管理士、元原子炉設計技術者ら計5人で7月中旬に現地に入り、同原発の吉田昌郎所長とも意見交換する予定であることを報告した。実際にどのような任務に就くかは視察を踏まえて検討するが、当面は原発周辺のがれきを重機で除去する作業などを想定しているという。
奈良県生駒市から駆け付けたというプラント工事の元技術者(66)は「循環注水冷却の配管の水漏れは、完全な素人仕事。頭数だけそろえて素人ばかり集めたためだ。早く現場に入れるようにしてほしい」と話した。
茨城・千葉の一部で管理区域並みの汚染 (TBS)筑波大学が作った放射能の土壌汚染地図
http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/767.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 6 月 15 日 03:21:09: igsppGRN/E9PQ
茨城・千葉の一部で管理区域並みの汚染
http://news.tbs.co.jp/20110614/newseye/tbs_newseye4751158.html
14日18:10 TBS
放射性物質による土壌汚染地図を筑波大学が作成しました。茨城県や千葉県の一部の土壌から、病院のCT検査室などの放射線管理区域並みの比較的高い放射性物質が検出されていたことがわかりました。
福島第一原発からおよそ200キロ離れた茨城県取手市。このあたりで採取された土壌から、通常の400倍にあたる放射性物質が検出されました。
筑波大学が作った放射能の土壌汚染地図。福島第一原発付近は、値が高いことを示す赤や黄色になっています。そして原発から離れていくと緑から青へと値が徐々に低くなるのですが、茨城県南部や千葉県北西部に差し掛かると再び緑に・・・。この数値は1平方メートルあたり、およそ4万ベクレル。通常の400倍です。
「4万ベクレルという数値は、『放射線管理区域』(原子炉建屋など)の基準になる値。それ(4万ベクレル)よりも高くなってくると、どんどん危険になるので気をつけなさいと」(筑波大学アイソトープ総合センター・末木啓介准教授)
筑波大の末木准教授らは、3月下旬からおよそ1か月間、およそ110か所で土壌を採取。放射能がある程度拡散した震災から18日後の3月29日時点の放射能の数値を出し、汚染状況を示しました。
筑波大の調査によりますと、土壌汚染が比較的高い地域は、茨城県取手市や千葉県流山市など。
「(放射性物質が)大量にばらまかれた時期があって、その時に、ちょうど雨が降って (放射性物質が)大量に落ちてしまったのではないか」(筑波大学アイソトープ総合センター・末木啓介准教授)
この放射線量、健康に影響がないレベルだといいます。しかし、取手市民は不安の声をあげます。
「孫が今日来るが心配」(茨城・取手市民)
広い範囲に及ぶ放射性物質による汚染。不安が高まる中、環境省は14日、海水浴場などの水に含まれる放射性物質についての新たな基準値などを作るため、専門家から意見聴取を行いました。
会合では、放射性セシウムを調査の対象とし、飲料水の暫定規制値である1キロあたり200ベクレルよりもやや強い基準値をつくるべきと意見が出されました。海開きに間に合わせるため、今月中に指針をまとめる考えです。
また東京都は、15日から1週間かけて都内100か所の空気中の放射線量を測定します。
-九電やらせメール-再稼働「やり直し」 社長、表情硬く
毎日新聞 7月7日(木)1時12分配信
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玄海原発の発電再開に賛成する「やらせメール」を送るよう依頼した責任の所在を認めた九州電力の眞部利應社長(左)。会見後の記者との質疑応答では、ハンカチで口を押さえる場面も=福岡市中央区で2011年7月6日午後8時42分、和田大典撮影
九州電力の緊急記者会見は6日午後7時半から始まった。出席者は眞部利應(まなべとしお)社長のみ。国会で“やらせメール”の問題が取り上げられ、経済産業相が「(事実なら)断固とした処置を取る」と語った後だけに、メモを見ながらの慎重な言い回しに終始した。
【原発の安全性に不安が広がる中で…】九電:「原発賛成」やらせメール 関連会社に依頼
冒頭、「やらせメール」の事実を認め「国の説明会の信頼を損なう結果になった」と頭を下げた。しかし、その後の質疑応答では、メール発信を依頼した社員の肩書や依頼先の4社の社名などの具体的な内容を途中まで明らかにしようとはせず、質問に「ノーコメント」を繰り返した。
メールの送信依頼に自身が関与したことは否定したが、「責任は社長にある」。責任や反省といった言葉が繰り返されたが、番組を視聴した地元住民に向けた謝罪の言葉は聞かれなかった。メールによる工作があったことは「2、3時間前に知った」として、詳細を明らかにしなかったため、会見は約1時間20分に及んだ。
会見では、今回のメール工作が再稼働に与える影響についても質問が出た。「運転再開、原子力のあらゆる面にマイナスにしかならない。理解活動以前の問題。ま、やり直しですね」。そう答えた時の表情は硬く、疲れた様子だったが、信用失墜への危機感はあまりうかがえなかった。【金秀蓮、斎藤良太】
◇九電が関連会社に送信したメール(6月22日付)の概要◇
協力会社本店 各位
標記については、報道等により今週末に開催される旨、すでにご承知のことと存じます。
●件名:国主催による佐賀県民向け説明会(原子力発電所の安全性)
●日時:6月26日(日)
●配信:
(1)やり取りは生中継され、視聴者からの質問もファクスや電子メールで同時に受付。
(2)アドレスは現時点で非公開ですが、佐賀県庁HPや経産省HPに掲載予定。
(3)小職にて、継続してサーベイし、判明次第、追って追伸予定。
本件については、我々のみならず協力会社におかれましても、極めて重大な関心事であることから、万難を排してその対応に当たることが重要と考えております。
つきましては、各位他関係者に対して、説明会開催についてご周知いただくとともに、可能な範囲で、当日ネット参加へのご協力*をご依頼いただきますよう、御願い致します。
*:説明会の進行に応じて、発電再開容認の一国民の立場から、真摯に、かつ県民の共感を得うるような意見や質問を発信。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(注)一部は原文のまま記載しています
「玄海」地元町長、再稼働撤回の方針
. 電力
佐賀県玄海町の岸本英雄町長は6日、九州電力玄海原発2、3号機の再稼働について、4日に九電に伝えた了承を撤回する方針を固めた。
政府がすべての原発で耐性検査を実施する方針を表明したことを受け、読売新聞の取材に対し「事前の説明もなく、今頃こんなことを言い出すとは。(了承を)考え直さざるを得ない」と述べた。
(2011年7月7日06時39分 読売新聞)
九州電力「やらせメール」依頼の全文
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九州電力原子力発電本部の課長級社員が関係会社の社員に送ったメールは以下の通り。
◇
【ご依頼】国主催の佐賀県民向け説明会へのネット参加について 2011年6月22日14時16分26秒
協力会社本店 各位
平素よりお世話になっております。メール投げ込みにて失礼を致します。標記については、報道等により今週末に開催される旨、既にご承知のことと存じます。
●件名:国主催による佐賀県民向け説明会(原子力発電所の安全性)
●日時:平成23年6月26日(日)午前(10時〜11時30分の予定)
●内容:説明会の方式は国が調整中。混乱を避けるため、県民、4、5人が経産省原子力安全・保安院と資源エネルギー庁の担当者から説明を受け、疑問点や不安に思う点などを質疑する予定。
●配信:(1)やり取りはケーブルテレビとインターネットで生中継され、視聴者からの質問もファクスや電子メールで同時に受付。(2)アクセス可能なwebsiteアドレスは、現時点で未公開ですが、佐賀県庁HPや経産省HPに掲載予定。あるいは、Ustreamにて“genkai”あるいは“玄海”等で検索することによりアクセス可能。(3)小職にて、継続してサーベイし、判明次第、追って追伸予定。
●その他:(アドレス略)
本件については、我々のみならず協力会社におかれましても、極めて重大な関心事であることから、万難を排してその対応に当たることが重要と考えております。
つきましては、各位他関係者に対して、説明会開催についてご周知いただくとともに、可能な範囲で、当日ネット参加へのご協力※をご依頼いただきますよう、御願い致します。
※説明会ライブ配信websiteにアクセスの上、説明会の進行に応じて、発電再開容認の一国民の立場から、真摯に、かつ県民の共感を得うるような意見や質問を発信。
なお、会社のPCでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅等のPCからのアクセスを御願い致します。
また、ネット参加に当たっては、接続後アカウントの取得等操作が必要になりますので、ご承知置きください。
以上
◇
続報【ご依頼】国主催の佐賀県民向け説明会へのネット参加について 2011年6月24日9時26分9秒
協力会社本店 各位
平素よりお世話になっております。先にご依頼申し上げました標記については、以下URLにより詳細確認可能ですので、よろしく御願い致します。なお、ご意見はメールあるいはファクシミリでの受付されるとのことであり、接続後のアカウント取得等操作は不要なようです。
以下URLにアクセスください。
佐賀県(アドレス略)
経産省(アドレス略)
以上
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九州電力原子力発電本部の課長級社員が関係会社の社員に送ったメールは以下の通り。
◇
【ご依頼】国主催の佐賀県民向け説明会へのネット参加について 2011年6月22日14時16分26秒
協力会社本店 各位
平素よりお世話になっております。メール投げ込みにて失礼を致します。標記については、報道等により今週末に開催される旨、既にご承知のことと存じます。
●件名:国主催による佐賀県民向け説明会(原子力発電所の安全性)
●日時:平成23年6月26日(日)午前(10時〜11時30分の予定)
●内容:説明会の方式は国が調整中。混乱を避けるため、県民、4、5人が経産省原子力安全・保安院と資源エネルギー庁の担当者から説明を受け、疑問点や不安に思う点などを質疑する予定。
●配信:(1)やり取りはケーブルテレビとインターネットで生中継され、視聴者からの質問もファクスや電子メールで同時に受付。(2)アクセス可能なwebsiteアドレスは、現時点で未公開ですが、佐賀県庁HPや経産省HPに掲載予定。あるいは、Ustreamにて“genkai”あるいは“玄海”等で検索することによりアクセス可能。(3)小職にて、継続してサーベイし、判明次第、追って追伸予定。
●その他:(アドレス略)
本件については、我々のみならず協力会社におかれましても、極めて重大な関心事であることから、万難を排してその対応に当たることが重要と考えております。
つきましては、各位他関係者に対して、説明会開催についてご周知いただくとともに、可能な範囲で、当日ネット参加へのご協力※をご依頼いただきますよう、御願い致します。
※説明会ライブ配信websiteにアクセスの上、説明会の進行に応じて、発電再開容認の一国民の立場から、真摯に、かつ県民の共感を得うるような意見や質問を発信。
なお、会社のPCでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅等のPCからのアクセスを御願い致します。
また、ネット参加に当たっては、接続後アカウントの取得等操作が必要になりますので、ご承知置きください。
以上
九州電力原子力発電本部の課長級社員が関係会社の社員に送ったメールは以下の通り。
◇
【ご依頼】国主催の佐賀県民向け説明会へのネット参加について 2011年6月22日14時16分26秒
協力会社本店 各位
平素よりお世話になっております。メール投げ込みにて失礼を致します。標記については、報道等により今週末に開催される旨、既にご承知のことと存じます。
●件名:国主催による佐賀県民向け説明会(原子力発電所の安全性)
●日時:平成23年6月26日(日)午前(10時〜11時30分の予定)
●内容:説明会の方式は国が調整中。混乱を避けるため、県民、4、5人が経産省原子力安全・保安院と資源エネルギー庁の担当者から説明を受け、疑問点や不安に思う点などを質疑する予定。
●配信:(1)やり取りはケーブルテレビとインターネットで生中継され、視聴者からの質問もファクスや電子メールで同時に受付。(2)アクセス可能なwebsiteアドレスは、現時点で未公開ですが、佐賀県庁HPや経産省HPに掲載予定。あるいは、Ustreamにて“genkai”あるいは“玄海”等で検索することによりアクセス可能。(3)小職にて、継続してサーベイし、判明次第、追って追伸予定。
●その他:(アドレス略)
本件については、我々のみならず協力会社におかれましても、極めて重大な関心事であることから、万難を排してその対応に当たることが重要と考えております。
つきましては、各位他関係者に対して、説明会開催についてご周知いただくとともに、可能な範囲で、当日ネット参加へのご協力※をご依頼いただきますよう、御願い致します。
※説明会ライブ配信websiteにアクセスの上、説明会の進行に応じて、発電再開容認の一国民の立場から、真摯に、かつ県民の共感を得うるような意見や質問を発信。
なお、会社のPCでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅等のPCからのアクセスを御願い致します。
また、ネット参加に当たっては、接続後アカウントの取得等操作が必要になりますので、ご承知置きください。
以上
-伊方原発-3号機再稼働を断念 四国電力が正式発表
毎日新聞 7月8日(金)11時44分配信
拡大写真
伊方原発=愛媛県伊方町で2011年6月28日、本社機から長谷川直亮撮影
四国電力は8日、定期検査中の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、10日に予定していた再稼働を断念すると正式に発表した。四電は「現段階で地域の理解をいただける状況ではないと判断し、運転再開を見送ることとした」と説明。今後については「安全対策などについて、最大限努力し、一日でも早く運転を再開できるよう最善を尽くしたい」としている。
3号機を巡っては、愛媛県の中村時広知事が、国の新たな安全基準設定などを条件として提示。毎日新聞の取材に対し、7日には「再稼働を判断する条件がそろわない」と述べるなど、再稼働に同意できないとの考えを示していた。
3号機の発電能力は89万キロワットで、四電全体(643万キロワット)の約14%を占めるが、千葉昭社長は、買電などにより、節電要請は行わないとの考えを示している。【浜名晋一】
原子力関係天下り先
(独)原子力安全基盤機構
(独)日本原子力研究開発機構
(独)原子力環境整備促進資金管理センター
(財)原子力安全研究協会
(財)原子力安全技術センター
(財)原子力国際技術センター
原子力委員会(内閣府)
原子力安全委員会(内閣府)
原子力安全 保安院(経済産業省)
原子力発電環境整備機構
(社)日本原子力産業協会
(社)日本原子力学会
(財)原子力安全技術センター
(独)原子力安全基盤機構(2010年度予算200億円※)
(社)日本原子力技術協会
(財)原子力安全研究協会
(独)日本原子力研究開発機構(2010年度予算1800億円※)(旧原研+動燃、もんじゅ推進)
(財)原子力研究バックエンド推進センター
(財)日本原子力文化振興財団
(財)原子力発電技術機構
(社)火力原子力発電技術協会
(財)原子力国際協力センター
(社)原子燃料政策研究会
(財)原子力環境整備促進・資金管理センター
放射線医学総合研究所(2010年度予算120億円※)
日本科学技術振興財団 代表理事が東電の勝俣会長
日本保険物理学会
高エネルギー加速器研究機構 原研機構(旧原研+動燃)とつるんでJ-PARC
産業技術総合研究所
物質・材料研究機構
国立環境研究所
J-PARC
NPO法人 フォーラム・エネルギーを考える
NPO法人 地球を考える会
NPO法人 ネットジャーナリスト協会
有限会社イーズ
(財)日本立地センター
日本の原子力関連の機関はいったい何をしてるのでしょうか
官僚の天下りの受皿だけでしょうか。
独立行政法人原子力安全基盤機構
独立行政法人日本原子力研究開発機構
独立行政法人原子力環境整備促進資金管理センター
財団法人原子力安全研究協会
財団法人原子力安全技術センター
財団法人原子力国際技術センター
財団法人日本原子文化振興財団
原子力委員会(JAEC)(内閣府)
原子力安全委員会(NSC)(内閣府)
原子力安全 保安院(NISA)(経済産業省)
原子力発電環境整備機構(NUMO)
(社)日本原子力産業協会(JAIF)
(社)日本原子力学会(AESJ)
(財)原子力安全技術センター(NUSTEC)
(独)原子力安全基盤機構(JNES)
(社)日本原子力技術協会(JANTI)
(財)原子力安全研究協会(NSRA)
(独)日本原子力研究開発機構(JAEA)
(財)原子力研究バックエンド推進センター(RANDEC)
(財)日本原子力文化振興財団(JAERO)
(財)原子力発電技術機構(NUPEC)
(社)火力原子力発電技術協会(TENPES)
(財)原子力国際協力センター(JICC)
(社)原子燃料政策研究会(CNFC)
(財)原子力環境整備促進・資金管理センター(RWMC)
エネルギー対策特別会計出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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エネルギー対策特別会計(えねるぎーたいさくとくべつかいけい)とは、日本国の燃料安定供給対策、エネルギー需給構造高度化対策、電源立地対策及び電源利用対策の経理を明確にするために設置する特別会計のひとつで、エネルギー需給勘定と電源開発促進勘定に分かれている。
目次 [非表示]
1 経緯
2 エネルギー需給勘定
2.1 燃料安定供給対策
2.2 エネルギー需給構造高度化対策
3 電源開発促進勘定
3.1 電源立地対策
3.2 電源利用対策
4 外部リンク
経緯 [編集]平成18年度以前は、石油石炭税を財源とする石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油特会)と、電源開発促進税を財源とする電源開発促進対策特別会計(電源特会)があった。
平成18年6月2日施行の「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(行政改革推進法)第36条で、平成19年度から石油特会と電源特会を統合することが定められた。
平成19年度以降は、エネルギー対策特別会計となった。
エネルギー需給勘定 [編集]主な財源として、石油石炭税の税収相当額を一般会計から繰り入れている。
平成22年(2010年)度当初予算における歳入歳出規模は2兆299億2,900万円である。
燃料安定供給対策 [編集]石油、天然ガス及び石炭の安定的で低廉な供給の確保を目的として以下の対策をする。
産油国・産ガス国・産炭国への協力
石油・天然ガス・石炭の開発
石油・天然ガス・石炭の生産・流通の合理化
石油精製合理化対策
石油流通構造改善対策
LPG産業対策
石油・LPガスの備蓄
エネルギー需給構造高度化対策 [編集]内外の経済的社会的環境に応じた安定的で適切なエネルギーの需給構造の構築を目的として以下の対策をする。
平成22年(2010年)度当初予算における歳入歳出規模は3,463億2,200万円である。
省エネルギー対策
省エネルギー導入事業者支援
省エネルギー戦略的技術開発
新エネルギー対策
新エネルギー導入事業者支援
燃料電池技術開発
エネルギー源の多様化
石油等の環境負荷低減利用
電源開発促進勘定 [編集]主な財源として、電源開発促進税の税収相当額を限度に、一般会計から繰り入れている。
電源立地対策 [編集]発電設備の建設と運転を円滑にすることを目的として以下の対策をする。
発電用施設周辺地域整備法の規定に基づく交付金の交付
電源立地地域の振興
インフラ整備
産業振興
電源立地地域の防災対策
長期固定電源の理解増進
周辺地域整備資金への繰入
地域との共生のための取り組みの充実・強化
原子力防災・環境安全対策の充実・強化
原子力に対する国民の理解増進のための施策
電源利用対策 [編集]発電用施設の利用促進と安全確保、発電用施設による電気供給の円滑化を目的として以下の対策をする。
発電用施設の設置等の促進
電気の供給円滑化対策
原子力安全対策
核燃料サイクルに関する研究開発の推進
先端的な原子力科学技術の推進
安全確保対策等
平成23年7月3日(日)付けの読売新聞第一面「原発撤退なら月2121円増 学術会議試算」の記事について
日本学術会議では、平成23年4月から、東日本大震災対策委員会の下に「エネルギー政策の選択肢分科会」を設置し、21世紀を見通した日本のエネルギー政策に関する事項について、審議を行っております。
同年6月23日に開催された東日本大震災対策委員会において、エネルギー政策の選択肢分科会の審議の中間報告が行われました。この審議を踏まえ、エネルギー政策の選択肢分科会で行っている審議の方向性を公表するために、中間段階ではありますが、「提言「日本の未来のエネルギー政策の選択に向けて—電力供給源に係る6つのシナリオ—」」を、6月24日に発表致しました。
読売新聞の記事は、この会議資料を元に作成されたものと理解しております。
しかし、東日本大震災対策委員会では、試算を含めた会議資料本文は、なお精査の必要があるとされました。このため、エネルギー政策の選択肢分科会では、同年9月末までに最終報告をとりまとめることを目指し、引き続き審議を行っているところです。試算結果を含め報告の内容につきましては、現時点では未定の状況にありますが、報告の内容が確定次第、発表することにしております。
20年後の電気料金、原発撤退なら月2千円増
読売新聞 7月3日(日)3時16分配信
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原発存続の行方が注目される中、
日本学術会議の分科会(委員長=北沢宏一・科学技術振興機構理事長)は、
原発の撤退から現状維持・推進まで六つの政策の選択肢ごとに、
標準家庭(1か月約6000円)の電気料金が、どれくらい増えるかの試算をまとめた。
原発を放棄し、太陽光などの再生可能エネルギーに移行した場合の負担は大きく、
逆に維持すると負担は小さくなるが、同分科会は、今後、原発の安全規制が強化され、
存続しても負担増になる可能性もあると指摘。秋にも最終報告をまとめる。
試算は、エネルギー政策の議論に役立てるのが狙い。政府や大学などが公表する発電コストのほか、
温室効果ガス削減の国際的取り組み、15%の節電、人口減少、原発の安全対策などにかかる費用をもとに検討した。
選択肢は、大きく分けて原発の「撤退」、全発電量の約30%を原子力が占める「現状の維持」、
50%まで拡大する「推進」。撤退は、全原発停止の時期によって4ケースに分けた。
現在、稼働中の原発が定期検査を迎える来夏までに全原発が停止した場合は、
火力発電に切り替えた後、温室効果ガスを減らす再生可能エネルギーの比率を高めていく。
国際的な削減目標を達成するための対策が本格化する2030年には、標準家庭1か月の電気料金の上乗せは、2121円と算出した。
最終更新:7月3日(日)3時16分
この大手マスコミ-よみうり-の罪深きプロパガンダ(日々雑感)
http://www.asyura2.com/11/senkyo116/msg/125.html
投稿者 判官びいき 日時 2011 年 7 月 03 日 17:35:13: wiJQFJOyM8OJo
「原発撤退なら月211円増。現状維持は372円増」と今朝(7/3)の読売新聞は日本学術会議の分化会が試算をまとめたと一面に大見出しで報じている。分科会が検討した内容に関して、日本学術会議のホームページから貼りつけると以下の通り。
-記- 調査検討の対象としている選択肢
A 速やかに原子力発電を停止し、当面は火力で代替しつつ、順次再生可能エネルギーによる発電に移行する。
B 5年程度かけて、電力の 30%を再生可能エネルギー及び省エネルギーで賄い、原子力発電を代替する。この間、原子力発電のより高い安全性を追求する。
C 20 年程度かけて、電力の 30%を再生可能エネルギーで賄い、原子力発電を代替する。この間、原子力発電のより高い安全性を追求する。
D 今後 30 年の間に寿命に達した原子炉より順次停止する。その間に電力の 30%を再生可能エネルギーで賄い、原子力による電力を代替する。この間、原子力発電のより高い安全性を追求する。
E より高い安全性を追求しつつ、寿命に達した原子炉は設備更新し、現状の原子力による発電の規模を維持し、同時に再生可能エネルギーの導入拡大を図る。
F より高い安全性を追求しつつ、原子力発電を将来における中心的な低炭素エネルギーに位置付ける。 以上6条件で検討を加えた、としている。
いかにも日本学術会議が学術的に様々な状況に検討を加えて達した結論であるかのようだ。しかし、その前提のさらに前提に関しては何も書かれていない。つまり原発の「放射能事故」による東電の損害賠償費用を原発原価に加算したのか、放射性廃棄物最終処分費用までも試算して加算してあるのか、そして火力発電に関して化石燃料調達費用を現在の言い値による購入ではなく入札などによる「競争原理」を働かしたものを採用したのか、さらには送・発電分離による発電自由化にして競争原理を導入した試算を行ったのか、等々だ。
そうした考察も何もなく、東電など電力事業会社の提供した資料だけを基礎にして「試算」したのならそのことも明記しなければならない。そして、その基礎資料もネットにアップしなければ日本学術会議の分化会が何を以て公正・公平な観点から試算したのか、試算する必要性とは何だったのか真意を知ることはできない。その結果を金科玉条のように新聞一面に掲載した読売新聞は「原発継続」に賛成なのか、きちんと立場を表明しなければならない。
世界各国の電気料金と比較して異常ともいえる高値の日本の電気料金をさらに値上げしなければならない、というのは客観的合理性を持たない。世界の原発を持たない、火力発電に大きく依存している国々と比較しても、日本の電気料金は高いといわざるを得ないのだ。確かに電気は輸入できないが、比較検討することはできる。日本学術会議分科会はそうした世界との比較検討もした上で結論を出したのだろうか。
単に電力会社から頂戴した資料を捏ね繰り回して結論を得たのなら、なにも日本学術会議がやるまでもない。電力会社の下部機関が電卓をはじけば良いだけだ。権威付けだけのために内閣府下部組織の「日本学術会議」なのか。
読売新聞もいい加減為にするプロパガンダ垂れ流しの記事を掲載するのは止めて頂きたい。自分の頭で物事を考える習慣に乏しい日本国民は「小沢氏の政治とカネ・プロパガンダ」と同様に頭から信じてしまいかねない。何処までこの国の世論を誤った方向へ導けば気が済むのだ。
2011年7月8日(金)「しんぶん赤旗」
原発停止なら電気代値上げ?!
天下り法人が「お手盛り試算」
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「全原発を停止したら、電気代は月1000円値上がりする」—。東電福島第1原発事故後に、こんな国民を脅すような試算を発表した財団法人が、原発推進の経済産業省ОBの天下り先で、電力会社役員も関与する団体だったことがわかりました。
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この財団法人は、「日本エネルギー経済研究所」(IEEJ)。「原子力発電の再稼働の有無に関する2012年度までの電力需給分析」と題する論文を発表しています。
このなかで、現在停止中、および定期検査入りする原発の再稼働がない場合、すなわちすべての原発が停止して火力発電で電力需要を代替する場合、燃料コスト増により、標準的な家庭の電力料金が、12年度は10年度実績に比べ、1カ月あたり1049円(18・2%)増加すると試算しています。
論文は、産業用電力料金も上昇し、「わが国の製造業をはじめとする産業の国際競争力に対しても深刻な負の影響を及ぼすことが懸念される」として、「安全性の確保を最重点課題とした上で、原子力発電の再稼働問題を真摯(しんし)に検討することが喫緊の課題となる」と結論づけています。
要するに、“原発を止めたら家計負担が増大するから、原発の再稼働を急げ”と、国民を恫喝(どうかつ)しているわけです。
問題は、IEEJが経産省所管の数ある原発推進団体の一つだということです。
1966年6月に設立され、同年9月に財団法人として通産省(当時)に認可されたIEEJは、「エネルギー諸般の問題を客観的に分析することにより、政策立案の基礎データ、情報、レポート等を提供」することなどを目的としています。
4月1日現在、24人の理事のうち、豊田正和理事長(元経済産業審議官)、4人の常務理事中3人など計7人が経産省ОB。外務省なども含めると、じつに9人が天下りとなります。(表参照)
東京電力の藤原万喜夫副社長、関西電力の濱田康男副社長、中部電力の勝野哲取締役専務執行委員、電気事業連合会の久米雄二専務理事らも理事に名前を連ねています。
IEEJの09年度決算をみると、経産省から約1億1500万円の補助金(国際エネルギー使用合理化等対策事業)が交付されています。「役員報酬規程」によると、常勤役員の報酬月額は、理事長140〜160万円、常務理事90〜120万円で、特別手当は報酬月額の5カ月分(上限)。
原発の推進官庁からカネをもらい、天下り官僚と電力会社幹部が多数を占める財団法人の政策提言が、「原発推進」となるのは当然といえば当然です。
原発再稼動しないと…電気料金36%増って本当なの?
2011年7月5日(火)17時0分配信 夕刊フジ
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資源エネルギー庁が所管する日本エネルギー経済研究所の試算によれば、原発を再稼働しなければ来年の夏も深刻な電力不足に陥るらしい。経済への悪影響は避けられず、電気料金は跳ね上がり、だから再稼働は必要−との結論だ。でもこれって本当なの?
同研究所が6月下旬に発表した2012年度までの電力需給分析は、「原子力発電の再稼働問題を真摯に検討することがわが国にとって喫緊の課題となる」と結んでいる。
根拠となるのは来年夏に予想される大幅な電力不足だ。全国にある54基の原発(4896キロワット)がすべて停止した場合、総発電能力は最大電力を7・8%下回る。安定供給には5%程度の予備率が必要とされるため、合わせて12%以上の大幅な節電が必要で、従来の不足分を石油による火力発電で補うと、地域によっては需要が発電能力を上回るとしている。
さらに、火力燃料の消費量は劇的に増加し、石炭とLNG(液化天然ガス)、石油で2010年度比3・5兆円も調達コストが上昇。合わせて、産業用電気料金も同年度比で36%上がり、リポートでは「わが国の産業競争力への極めて深刻な悪影響も懸念される」と指摘。原発再稼働は不可避との結論を導き出している。
しかし、「原発のウソ」(扶桑社新書)などの著書がある京都大原子炉実験所の小出裕章助教は、この試算について「今さら何を言っているのか。あきれて物が言えない」と一蹴した。
「これまで水力、火力でまかなえる電力の合計以上になったことはほとんどない。わずかに足りなくなった量も、企業などの自家発電で吸収できる範囲。何よりピーク時というのは真夏の数日間の数時間に過ぎない。発電コストも電力会社の有価証券報告書を調べれば1キロワットあたり水力3・98円、火力9・90円、原子力10・68円と高くつくとの試算もある」
また、ある原子力専門家は「『経済への悪影響』を錦の御旗にして財界をバックにつけ、とにかく原発を維持したい意図が見え隠れする」ともみている。
「これからもこうしたミスリードは続き、さらに強くなるだろう。今はエネルギー消費そのものの抑制に目を向けるべき」とは小出氏。
原発に頼らず石油などの化石燃料に偏りすぎるとオイルショックの二の舞いになりかねないが、再稼働しないと電気代が跳ね上がると言われても…。庶民の混乱は増すばかりだ。
犠牲者 明治三陸地震上回らず
7月11日 4時11分
東日本大震災による死者と行方不明者の数は、これまでに合わせて2万891人となっています。警察や自治体が精査を進めたところ、行方不明者が今後、大幅に増える可能性はないとみられることから、今回の震災の犠牲者が明治三陸地震のおよそ2万2000人を上回るおそれはほぼなくなりました。
警察庁によりますと、東日本大震災でこれまでに死亡が確認された人は、4月の余震による死者も含めて、宮城県が9299人、岩手県が4582人、福島県が1600人など12の都道県で1万5547人に上っています。一方、行方不明者は、宮城県で2807人、岩手県で2247人、福島県で286人など6つの県で5344人で、死者と行方不明者を合わせると2万891人に上っています。このうち行方不明者は、最も多かった3月末には1万7000人を超えていましたが、警察や自治体が精査した結果、避難先で無事が確認されたり、同じ人が二重に届け出られたりしていたケースなどが判明したため、今は3分の1以下にまで減っています。警察庁は、今後行方不明者が大幅に増える可能性はないとみていて、東日本大震災の犠牲者数が、大津波でおよそ2万2000人が犠牲となった明治29年の明治三陸地震を上回るおそれはほぼなくなりました。
-原発-2段階で安全評価…「1次」で再開判断 政府見解
毎日新聞 7月11日(月)11時35分配信
拡大写真
会見する枝野幸男官房長官=首相官邸で2011年7月11日午前11時14分、梅田麻衣子撮影
枝野幸男官房長官は11日午前、菅直人首相が運転停止中の原発を再稼働させる条件として打ち出したストレステスト(耐性試験)に関する政府・与党の統一見解を発表した。九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)など運転停止中の原発については、安全上重要な施設・機器が設計上の想定を超える地震、津波などに対し、どの程度耐えられるのかを確認する「1次評価」を実施し、再開の可否を判断。そのうえで、運転中の原発も含む総合的な「2次評価」を行う2段階方式とする。
統一見解は「欧州諸国で導入されたストレステストを参考に、新たな手続き、ルールに基づく安全評価を実施する」と明記した。これまでは経済産業省の原子力安全・保安院が再稼働の検査を行ってきた。だが、内閣府の原子力安全委員会を関与させるよう首相が指示したのを受け、「安全委員会による確認の下、評価項目・評価実施計画を作成し、これに沿って、(電力会社などの)事業者が評価」するとした。評価結果についても保安院とともに安全委員会が妥当性を確認する。
2段階評価にすることで、▽運転停止中の原発の再稼働の可否は暫定的な安全基準で判断▽本格的なストレステストをその後、すべての原発に実施する−−手順となる。民主党執行部は首相の退陣時期を8月末と想定しており、それを前提にすれば事実上、首相在任中の再稼働は難しくなる。
ストレステストの実施は菅首相の指示で海江田万里経済産業相が6日に発表したが、テストを再稼働の条件としたい首相と、電力の安定供給を確保するため再稼働とは切り離したい海江田氏や民主党の岡田克也幹事長との食い違いが表面化。首相は11日午前、首相官邸で、枝野、海江田両氏、細野豪志原発事故担当相と協議後、国民新党の亀井静香代表と与党党首会談を行い、統一見解をまとめた。党首会談には岡田氏も同席した。【影山哲也】
加藤典洋
現在脱原発に転換した国がスイス以外では、ドイツ、イタリアと、旧枢軸国だということの意味を考えたい。第2次大戦で敗れ、核兵器をもてない軍事的デメリットがいま「代替エネルギーへの転換」の身軽さとなって表れている。他の旧連合国、旧ソ連の核保有国は、産業構造と国防方針からそれができない。なぜ同じ敗戦国で、原爆、ビキニ環礁の被害経験をもつ日本でこれほど反応が鈍いのか。メディアの社会的機能が麻痺していると言うほかない。
最後の見出しは「原子力を考えるときにゴジラは過去に、アトムは未来に分かれる」
これは、著書の「さようなら、ゴジラたち」から。その著作の内容にもふれつつ、の箇所を引用してみます。
1954年に最初に作られた「ゴジラ」は、単なる娯楽用の怪獣映画ではなく、この年の3月に行われたビキニ環礁でのアメリカの水爆実験に抗議する映画とされてきた。でもそれではこの映画が50年も続いた理由は明かされない。そこで私は、第2次大戦の日本の戦死者たちへのわれわれの「後ろめたさ」がそこに投影されていると考えた。なぜいつもゴジラは日本にだけ来襲するのか。「還ってくる」のではないか。
でもゴジラには、戦争の死者からの逃避と「核」の未来への恐怖と、過去と未来の要素が2つともあると考えるべきだったと、今は思う。実は「鉄腕アトム」もほぼ同時期、50年代前半に始まっている。こちらは原子力で動く。同じニュークリアが「核」と「原子力」に訳し分けられ、分岐した。・・・・・
今後は両者の間にどういう対話が成り立つか、考えてみたい。
最後に一言、現在の政局は問題だ。菅首相が送発電分離、再生エネルギー促進を主張し、経産省、電力会社、政界守旧派と対立しているのが基本構造だろう。どんなに人間が悪くともよい(笑い)。菅首相にはぜひ、初心を貫徹してもらいたい。
学者に原発マネー提供の政府機関による言い分を聞こう
配信元:
2011/07/04 19:30更新
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記事本文 東京電力・福島第一原発事故の発生直後から、連日テレビに出演し、事故について解説していた学者らに対し、この5年で総額約8億円もの「原発マネー」が流れていたことをSAPIOは報じた。カネを出していたのは電力会社、原発メーカー、そして政府や独立行政法人。
関連記事
原発学者に総額8億円 一部民間会社「…
米紙、原発安全神話に皮肉
記事本文の続き 資金の名目は「奨学寄付金」「共同研究費」「受託研究費」の3種類がある。
資金を提供してきたうち、政府系や独立行政法人は、その理由について本誌にこう回答してきた。
【日本原子力研究開発機構】 総額約2億8005万円 文科省、経産省所管の独立行政法人。核燃料サイクル領域での基礎・応用研究が業務。
「目的は研究のため。契約額100万円以上の共同・委託研究は公開して、透明性の向上に努めている」
【原子力安全基盤機構】 約3145万円 経産省所管の独立行政法人。原子力施設および原子炉施設の検査などが業務。
「高速増殖炉の安全評価に関する検討を委託した。契約後HPに1年間掲載した」
【文部科学省研究開発局開発企画課】 約1億4975万円 文科省は高速増殖原型炉「もんじゅ」による核燃料サイクルの確立に向けた研究開発を推進。
「当時実施していた公募事業において、採択されたものの経費。本研究資金の有無が先生のコメント内容に影響したとは考えていない」
【電力中央研究所】 総額529万円 経産省所管の財団法人。軽水炉高経年化対策などを研究。
「使用済み核燃料の再処理方法に関する基礎研究を共同研究している。成果は、京都大学から発行されている『KURRI Progress Report』に掲載し、公開されている」
※SAPIO 2011年7月20日号
学者に原発マネー8億円 一部電力会社「歪んだ情報提供ない」原発学者に総額8億円 一部民間会社「答える立場にない」専門家「放射能差別」に苦言「人から人に伝染することない」昼間の打ち水 湿度上昇で電力需要を増やすので節電効果なし文科省の130億円放射能予測システム 稼働は事故10日後
玄海町長の弟の建設会社、九電から54億円受注関連トピックス原子力発電所.取材に答える岸本町長=佐賀県玄海町役場、田中良和撮影
九州電力玄海原子力発電所がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長の実弟が社長を務める建設会社「岸本組」(本社・同県唐津市)が、1994〜2009年度(決算期は5月〜翌年4月)の16年間に九電から少なくとも約54億円分の工事を受注していたことが分かった。玄海原発2、3号機の運転再開問題で、九電は玄海町長の同意を再開への条件の一つとしていた。
佐賀県に提出された岸本組の工事経歴書によると、16年間に玄海原発内の建設や修繕で約54億円分の工事を九電から受注。同じ期間に、電源立地地域対策交付金や県核燃料サイクル補助金など電源三法交付金を利用した町発注工事も約23億7千万円分受注している。
09年度の岸本組の売り上げは約41億5千万円。うち約1億6230万円(3.9%)が九電発注、約4億4990万円(10.8%)が同交付金を使った町発注の工事だった。
岸本町長は岸本組の専務から県議を経て2006年8月に町長就任。以降、岸本組の年間売上高は20億〜50億円台を推移している。
岸本町長の資産報告書によると、町長は岸本組の7520株を保有し、09年度の保有割合は12.5%で第3位の株主。町長によると、町長就任以降、計約1千万円の株の売却益を得たという。
岸本町長は取材に「九電からの受注額も、町からの受注額も町長就任以降、増えていない。やましいところは全くない。岸本組の株は今、無配当だ」と語った。
玄海町長実弟企業に原発マネー 工事受注計17億円
2011年7月10日 18:35 カテゴリー:社会
「玄海町長 受注 」の記事をお探しですか?最新関連記事が 2 件 あります。 九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長(57)の実弟が経営する建設会社「岸本組」が、町長就任の2006年8月以降の4年8カ月間で、電源立地地域対策交付金などの“原発マネー”を財源に使った町発注工事と、九電発注の玄海原発関連工事を少なくとも総額約17億円分受注し、町長自身も主要株主で株式の売却益や配当金として約1千万円を得ていたことが、西日本新聞の調べで分かった。
九電は玄海町長の「同意」を玄海原発2、3号機運転再開の条件の一つとする。岸本町長はいったん表明した再開同意を国のストレステスト(耐性評価)実施などで撤回したが、今後も町長の判断がカギ。識者からは「身内を含め、これだけ原発の恩恵を受けている町トップが公正な判断ができるか疑問だ」との指摘もある。岸本町長は「やましい気持ちはまったくない。町民が疑うなら、いつでも町長を辞める」としている。
九州の自治体では、政治腐敗防止などを目的に首長や議員の親族企業による当該自治体工事の受注を禁じる政治倫理条例制定の動きが広がっているが、玄海町に同条例はなく、実弟企業が多額の町工事を受注することも論議を呼びそうだ。
岸本組は町長の曽祖父が1911(明治44)年に創業。昨年8月に同社が県へ提出した事業報告書には、「最重要顧客」として玄海町や九電を挙げている。筆頭株主は実弟である社長で、持ち株比率2位は岸本組。町長はそれに次ぎ発行株式の約12・5%を握る。
岸本組の工事経歴書などによると、06年8月−10年4月に玄海原発関連で九電から受注・着工した工事費の総額は少なくとも約4億8千万円。町から受注・着工した工事費(共同企業体工事含む)は06年8月−11年4月に少なくとも約22億9千万円で、うち約12億2千万円分が電源立地地域対策交付金や佐賀県核燃料サイクル補助金などを財源に使った電源3法交付金事業だった。町長の資産等報告書によると、岸本町長は昨年末時点で岸本組の株式7270株、地元銀行の株式7700株を保有。町長就任後の5年間の「配当所得」は約1140万円で、岸本町長は「ほとんど岸本組の分と思う」と説明している。
九州の政治倫理条例では、首長や議員の3親等(おじやおい)内の親族企業が市発注工事を受注することを禁じた熊本県八代市の条例が厳格な内容で知られる。民主主義の向上をテーマにした研究に取り組む尾崎行雄記念財団の08年の調査では、条例内容に違いがあるものの、福岡県で約86%、熊本県で約67%の自治体が導入済みで、佐賀県は10%にとどまる。
岸本町長は6日の取材で原発運転再開の判断について「岸本組の受注の影響は全くない。町民が私を疑うようなら、いつでも町長を辞める」と話した。岸本組は「取材には応じられない」としている。
■原発マネー
原子力発電所の立地自治体にはその見返りに、多額の交付金や補助金、電力施設の固定資産税、電力会社の寄付金などがもたらされる。玄海原発がある佐賀県玄海町の場合、2011年度一般会計当初予算(約57億円)のうち、原発関連財源が約6割。玄海原発1号機が運転開始した1975年度から10年度までに、玄海町が受けた電源立地地域対策交付金や核燃料サイクル補助金、広報・安全交付金などの「電源3法交付金」は、総額約267億円に上る。
=2011/07/10付 西日本新聞朝刊=
原子力発電は本当に発電コストが安いのでしょうか
原子力発電は安い。 狭い曰本列島に54もの原発が並ぶ理由の一つが、1KW時当たり5・3円といわれる発電コスト(費用)でした。
しかし、大島堅一・立命館大国際関係学部教授(環境経済学)は「政府の補助などを加えると2倍以上の10・68円。福島原発事故の賠償額を論じるまでもなく、高コストだ」と異論を唱える。本当はいくらなのか。
(北海道新聞より)
水力11・9円、石油10・7円原子力5・3円。全国の電力会社10社でつくる電気事業連合会(電事連、東京) 2004年に公表した電力IKWを起こすのに必要な経費だ。原子力が最も安い。歴代政権と電力会社が、原発を推進してきた根拠の一つだ。ー方、大島教授は、原子力+揚水12・23円、原子力10・68円、火力9・9円一般水力3・98円が本当のコストだという。この違いは、電事連が新たに発電所を造るとして計算した仮定のコストなのに対し、大島教授は、実際の費用を計算したためだ。
電事連によると、仮のコストを使うのは、電力自由化で発電のライバル企業が増え、どの電源にいくらかかったか、実績値は企業秘密だからだ。
大島教授の方は電力各社が株式市場や経済産業省に提出した有価証券報告書からはじいた数字に政府が原発を推進するために支出した税金を加えて計算した。
特別会計や役人の再就職(天下り)で、税金投入がシステム化されているからだ。これにより、原子力は一気に10・68円に跳ね上がる。電事連が言っているコストは、この政府支出分を一部しか含んでいないという。
税金投入のシステムはこうだ。1974年、1KW時当たり8・5銭を電気料金に課す電源開発促進税が設けられた。この税金を特別会計に入れ、原発を受け入れた市町村に配った。道路を造るために、ガソリン税で、道路特定財源を作ったのと同じだ。
ところが、スリーマイル島事故(1979年3月28日)やチェルノブイリ事故(86年4月26日)もあって立地は進まない。
そこで、政府は交付対象を、スクールバス、葬儀場など電源開発と無縁の事業にまで広げた。受け入れた地元は、「全国原子力発電所所在地市町村協議会」などの全国組織を結成して、地域振興を政府に要望し、通産省(現経産省)の外郭団体「財団法人日本立地センター」がバックアップした。
07年度、この特別会計は整理・統合されたが、税が開発財源となるシステムは維持されたままだ。
大島教授によると、1974〜2007年度の特別会計は総額10兆5380億円。うち3分の2、約7兆円を原子力に使った。
一般会計からも支出がある。1970〜2007年度のエネルギー対策費の総額5兆2148億円の97%、5兆576億円は原子力関連だ。
原発には、揚水とバックエンドという固有のコストもある。
電力の需要は昼多く、夜少ない。火力や水力は、燃料や水の量を加減して発電量を調整する。核分裂はそうはいかない。常に一定の発電を保つバックエンドは、放射性廃棄物の処理や燃料を再利用する核燃料サイクルなど、発電後にかかるコスト。
政府は04年、18兆円と試算したが、青森県六ケ所村の再処理施設すらまだ一部が稼働しただけだ。
大島教授は「原発は単体でも安くない。揚水とセットなら、最も高い。消費者は税金投入分も負担している。福島原発で予想される巨額の賠償を考慮すると、さらに高くなる。今後どうするか、論議すべき時だ」と指摘する。
一方、電事連は大島教授の試算について、「計算の根拠がわからないので、何とも言えない」としつつ、「エネルギー資源の乏しい日本にとって、安定供給できる原発は優位だ」 (広報部)と話す。
しかし、福島原発事故で、今は安全性を語れない。他方、電力各社には、原発を進める国策に協力してきたという思いもある。ある電力会社関係者は「原発をどうするかは、政府と国民の判断次第。電力会社はそれに従う」と述べる。
電力会社の自家発電や他社から買う「受電」の量に占める原発の割合は、関西電力の45%から中部電力の14%までさまざまだ。
原発をめぐる論議は過去、政治性を帯びた時期もあったが、いま、自由で柔軟な論議の時を迎えたのではないか。
揚水発電とは 夜は電力が余る。そこで、山中に巨大な池を作って夜間にポンプで水を揚げ、昼の需要時に水力発電をする。これが揚水発電といわれ、コストがかさむ。
おおしま・けんいち 1967年、福井県生まれ。専門は環境経済学。岩波書店の雑誌「環境と公害」の編集幹事、特定非営利活動法人「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」の理事などを務める。環境問題で国際的なネットワ−クづくりを進めている。
「原発は経済問題である」との主張があるように原発推進の理由としてその低コスト性が挙げられてきた*1。次の図は原子力2010 [コンセンサス]*2における各種電源の発電比較である。
たしかにこの図によれば、原発は低コストに見える。しかし、ほんとうに安いのだろうか?
この疑問に対して、立命館大学の大島堅一教授が社会的費用論の観点から、トータルコストに関する試算を行い、第48回原子力委員会定例会議における「第7回原子力政策大綱の見直しの必要性に関する有識者ヒアリング」の場で報告している。
?原子力政策大綱見直しの必要性について 費用論からの問題提起(立命館大学国際関係学部教授 大島堅一氏)
?第48回原子力委員会定例会議議事録
この資料はよく参照されるが、その妥当性について批判も多い。本エントリでは建設的な議論の叩き台とすべく、なるべく反論も含めて紹介したい。なお、大島教授は福島原発の事故を受けて、国際環境NGOであるFoE JAPANにおいて追補版にあたる次の資料を公開しているので、今後はこちらを参照するほうが良いだろう。
?原発の本当のコスト ─公表データから見えてくるもの─
エネルギー政策の費用の考え方
次の表は原子力発電にかかる費用の内訳を記したものだ。上記の報告では①から③について取り扱っているが、福島原発の事故を受けて④の費用についても数兆円単位の数字が報道されているので、本エントリの最後で追加的に取り上げたい。
発電の費用
①発電に直接要する費用(燃料費、減価償却費、保守費用等) 料
金
原
価
に
算
入
②バックエンド費用 使用済燃料再処理費用 原
子
力
に
固
有
の
費
用
放射性廃棄物処理費用 低レベル放射性廃棄物処理費用
高レベル放射性廃棄物処理費用
TRU廃棄物処理費用
廃炉費用 解体費用
解体廃棄物処理費用
③国家からの資金投入(財政支出:開発費用、立地費用) 一般会計、エネルギー特会から
④事故に伴う被害と被害補償費用 原子力発電は莫大。料金原価
には不十分にしか反映されて
いない。福島第一原発の被害
費用は数兆円規模といわれる。
原子力に固有の費用としては、バックエンド費用と呼ばれる使用済み核燃料再処理費用、放射性廃棄物処理費用、廃炉費用が挙げられる。これらは料金原価に含まれており、電気料金として毎月徴収されている。
電源ごとの単価実績
次の表は電力各社の有価証券報告書総覧を基礎に算定した電源ごとの発電単価実績である(円/kWh)。冒頭の40年運転の試算コストと実績には当然のことながら乖離が存在する。ここで大島教授は揚水発電は出力調整がコスト上行いにくい原子力発電を補完する設備であるとして、原子力発電のコストは「原子力+揚水」で見るべきだと主張している(表右)。こうしてみると原子力発電のコストは決して他と比べて安くはない。
原子力 火力 水力 一般水力 揚水 原子力+揚水
1970年代 8.85 7.11 3.56 2.72 40.83 11.55
1980年代 10.98 13.67 7.80 4.42 81.57 12.90
1990年代 8.61 9.39 9.32 4.77 50.02 10.07
2000年代 7.29 8.90 7.31 3.47 41.81 8.44
1970-2007 8.64 9.80 7.08 3.88 51.87 10.13
さらに大島教授は原子力政策の財政的裏付け(上記③の費用)として、一般会計エネルギー対策費と特別会計(電源開発促進対策特別会計→2007年度よりエネルギー対策特別会計)を挙げている。エネルギー政策は国策であり、追加的な財政支出がなされたり、電気料金を通じて追加的な負担ができるような措置が取られている。これに関しては自民党政権下で複雑な制度がパッチワーク的に追加されてきたという。大島教授は電源別に計上されている財政資料は存在しないとして、「國の予算」を基礎に可能なかぎり電源別に再集計して発電量で割っている。
続けて大島教授は、立地対策費用の実に7割は原子力支出であるなど、交付金実績からすれば約7割が原子力向けであるとして、財政支出を加味した電源別費用(単価)の実績を次のように算出している。これは上記①②③の費用の合計となる。原子力が他と比べて突出した手厚い保護をうけているせいで単価が高くなっている(1kWhあたり約2円)。
原子力 火力 水力 一般水力 揚水 原子力+揚水
1970年代 13.57 7.14 3.58 2.74 41.20 16.40
1980年代 13.61 13.76 7.99 4.53 83.44 15.60
1990年代 10.48 9.51 9.61 4.93 51.47 12.01
2000年代 8.93 9.02 7.52 3.59 42.79 10.11
1970‐2007 10.68 9.90 7.26 3.98 53.14 12.23
※事故の場合の被害額、被害補償額は上記の表には含まれない。
ここで大島教授は次のように小括している。
?原子力単体でみた場合であっても、原子力は安価な電源とは言いがたい。
?「原子力+揚水」でみれば、最も高い電源である。
?電力料金を通じて支払われている電源開発促進税を主財源とする財政費用は、原子力が最も高い。
?つまり、原子力は、財政的に優遇措置を受け続けてきたと言える。
?今後も優遇策を続けるべきかどうかは議論の余地がある。少なくとも、財政からの資金投入を含めて議論すべきである。
これに対する反論としては次のようなものがある(ある環境経済学者の原発コスト分析を考える: ニュースの社会科学的な裏側など)。
?原子力と揚水を合わせることには妥当か?
?出力調整が行えないのは原子力に限った話ではなく、火力などを始め、太陽光や風力などの再生可能エネルギーも出力調整が行いにくい。ピークシフトのために揚水発電は必要であり、原子力だけにその費用を加算することが妥当かどうかは議論の余地がある。
?将来への投資の研究開発費を加算するのは妥当か?
?再処理などの将来にかかる費用はともかく、新型炉などの将来への研究開発投資(③の一部)を現在の価格に反映させるのは、指標としての特性を損なうのではないか。政府が再生可能エネルギーや原子力に多大な研究開発投資を行ってきて、多額の補助金を出しているからこそ、現在の単価(太陽光42.0円、風力10.0〜14.0円)が実現できているわけであり、再生可能エネルギーを同様に開発費用や補助金を加算して単価計算したらどうなるか? それらを同一の基準で計算した比較が必要なのではないか?
?過去の実績と将来コストを混同しているのではないか?
?たとえば水力発電所の単価が低いのは黒部ダムなどの過去に建造された大規模ダムの減価償却が済んでいるからであり、今あのようなダムを作ろうとすると短期的に単価を何倍にもするようなコストが発生するはずである。平成23年度の資源・エネルギー関連予算案の概要によれば、エネルギー対策特別会計7,356億円、一般会計(資源エネルギー庁分)128億円のうち、原子力発電推進に割り当てられているのは1,816億円に過ぎず、過去と異なり近年の原子力発電への補助は小さくなっている。このように過去の実績と将来コストは必ずしも同一視できない。トレンドとしてみれば、ほとんど維持費になっている水力発電のコストが横ばいであるのに比較して、原子力発電のコストは年々下がっている。
バックエンド費用
ここで再び原子力2010 [コンセンサス]より発電コストの内訳を見てみよう。
再処理 11兆円
返還高レベル放射性廃棄物管理 3000億円
返還低レベル放射性廃棄物管理 5700億円
高レベル放射性廃棄物輸送 1900億円
高レベル放射性廃棄物処分 2兆5500億円
TRU廃棄物地層処分 8100億円
使用済燃料輸送 9200億円
使用済燃料中間貯蔵 1兆100億円
MOX燃料加工 1兆1900億円
ウラン濃縮工場バックエンド 2400億円
合計 18兆8800億円
バックエンド費用18.8兆円のうち、再処理事業費用が約11兆円(操業費用約9.5兆円、廃止措置費用約1.6兆円)と大半を占めることが分かる。高レベル放射性廃棄物処分に係る拠出金は約2.6兆円、他の事業は1兆円前後に過ぎない。日本は核燃料サイクル政策を推進することを国の基本的考え方としているが、原子力発電全体の経済性や国民の理解の確保が重要となる。
大島教授はこの費用推計に関しても次のような疑問があるとしている。
?バックエンド事業の範囲
?劣化ウラン・減損ウランの処理は対象外
?MOX使用済燃料の再処理ないし処分費用は対象外
?六ヶ所再処理工場のみ評価(全量再処理する方針を堅持するのであればさらに必要)
?高速増殖炉サイクルに関する事業は対象外
?費用推計の不確実性
?大規模実施事例が世界的にない
?高レベル放射性廃棄物、TRU廃棄物地層処分廃棄物の具体的計画がない
?人類が生存する期間中、人類に影響が出ないようにするという要求を満たす必要がある
?費用推計にあたっての仮定
?放射性廃棄物処理費用の妥当性(高レベル放射性廃棄物ガラス固化1本あたり3530万6000円と見積もる→実績(返還高レベル放射性廃棄物の管理費用単価は1億2300万円/本)
?資源経済性
?得られるMOX燃料:4800tHM(重金属トン)=9000億円程度
?再処理費用11兆円+MOX燃料加工1兆9000億円
?「リサイクル」費用をリサイクル資源利用者に課さない構造
処理量が増えれば再処理工場の稼働率も上がり単価が下がると考えるのは妥当であるという主張など、これらの疑問に対する反論もいくつかあるが、少なくとも見積もりの精度を上げる必要があることは確かだ。見積もりを行った同小委員会は、技術的想定の置き方によっても費用見積もりの結果が大きく変動するものではなく、この費用見積もりの結果をバックエンド事業のコスト構造を理解する上での基本ケースとして考えることは適当であるとする一方、内外の動向を注視し、新たな環境変化や技術開発の成果をこの費用見積もりや事業の実施に適切に反映させていくことが重要であるとしており、見積もりは適宜見直されていくだろう。
大島教授は次のようにまとめている。
?推計にあたっての疑問をさしあたって度外視したとしても、バックエンド費用は莫大な額になのぼるとされている。
?これに基づいて電気料金に含めて費用を徴収する制度が構築されてきた。
?再処理費用をいくら支払っているかについては、電力料金に明示されていない。これは再生可能エネルギーとは著しい違いである。
?消費者が現在負担している費用は、あくまで六ヶ所再処理工場での再処理に関するもののみである。全量再処理するのであれば、さらに必要になる。
?こうした高コスト事業に、国民的合意がとれるかどうかは甚だ疑問である。
これまでにこれだけの多大なコストがかかっているのにもかかわらず、この度の東日本大震災により第4のコストが顕在化することとなった。④事故に伴う被害と被害補償費用である。
事故に伴う被害と被害補償費用
事故後発生する費用としては次が考えられる。
1.直接的事故対応
?事態収束費用
?廃炉費用
2.電力事業者の経済的損失
?資金調達、信用
3.被害対応
?被害補償費用
■財産被害など事後的に補償可能な場合…被害補償費用
■生命被害など事後的に補償不可能な場合…被害代償費用
?被害修復費用(完全修復、部分修復、大体修復)
?被害緩和費用
?取引費用
?行政費用
これだけの費用のうち、下線を施した廃炉費用と被害補償費用については一部手当がなされている。
廃炉費用
廃炉費用は②バックエンド費用の中に位置づけられており、1989年より解体費用が「原子力発電施設解体費」として電気料金の原価内に算入されている。さらに2000年からは解体放射性廃棄物処理処分費用が電気料金の中に組み込まれ、2007年に対象費用項目が拡大している。ただ残念なことながらとても足りそうにない。
2007年に電気事業連合会は、国内55基の原子力発電所の廃炉費用が、想定していた2兆6000億円から2兆90000億円に膨らむとの試算値を示している(朝日新聞)。1基あたり550億円の費用がさらに50〜100億程度増加するというものだ。2007年時点で、電力会社は1兆1000億円分をすでに計上済みということなので、現時点で想定額の半分程度が計上されていると考えられる。
ただし、この1基あたり600〜650億円という廃炉費用だが、中部電力は浜岡原発1号機、2号機の廃炉費用にそれぞれ約1000億円を見込んでおり(読売新聞)、初めての廃炉処理ということを差し置いても、見積もりよりも費用は増大しているようだ。
安全に稼動している浜岡原発の廃炉費用が1000億円として、原子炉建屋が爆発し、格納容器の健全性が損なわれ、放射性物質を周囲にまき散らし、作業員さえうかつに近づけない状況にある福島原発の1〜4号機の廃炉費用はどのぐらいになるだろうか?
福島第1原発1〜4号機の原子炉を製造した2大電機メーカーである東芝と日立がそれぞれ別の廃炉作業計画をすでに作成している(産経新聞)。BandWとShawグループの協力を得て計画を策定した東芝は10年半という工期を提示した。一方、GE、Exelon、Bechtelと協力して計画を立案した日立は、約30年という目安を示している。東芝は日立に対して共同で廃炉処理を行う提案を行い、日立も前向きな意向を示している模様だ(読売新聞)。このように未だ廃炉処理の期間さえ定まらない状況では、精度の高い廃炉費用の見積もりなど望むべくもないが、すでにいくつかの試算がなされている。
?4基の廃炉に30年、1兆円以上──日本エネルギー研究所 村上朋子研究員
?福島第1第2の全10基を廃炉にした場合の特別損失が7000億円──ゴールドマン・サックス証券
?廃炉費用は7000〜8000億円──公認会計士 磯崎哲也氏
我が国において廃炉が完了した原発がまだ1基も存在しない中において、NHKスペシャル|原発解体 〜世界の現場は警告する〜(文字おこし1,2,3)を見ると廃炉処理は極めて難航することが予想される。いずれにしても総定額を数千億円のオーダで上回る費用がかかるのは間違いない。この廃炉費用の増額分はいずれ料金原価に上乗せされることになるだろう。
被害補償費用
原発の被害補償費用は一部手当がなされている。電力会社は原発事故の損害賠償制度を定めた原子力損害賠償法(原賠法)に基づき、毎年国に補償料を納入している。発電所の賠償措置額は1ヶ所あたり1200億円となるが、1962年の制度開始以来電力会社が国に収めた補償料は累計150億円にしかならない(毎日新聞)。率直に言って全く足りない。
この低すぎる補償料率は今回のような大規模な原発災害を想定せずに設定されていたようで、賠償措置額や補償料率など、制度の抜本的見直しが必要なのは間違いない。事業者の責任が免ぜられた損害や保険限度額を超えた場合は、国が被害者の保護のために必要な措置をとることになっており、ほぼ全額を新たに手当てする必要がある。
総被害補償額は現時点で既に1兆円を上回り、最終的には数兆円に上ると考えられる。政府は東電の賠償支払いを支援する「原発賠償機構」(仮称)の新設を検討しており、電力会社に拠出金を要請している(毎日新聞)。ある程度は各社のリストラ等の経営努力によって吸収されたとしても、相当部分は電気料金の値上げという形をとって国民の負担とならざるを得ない。実際東電は、人員削減や資産売却などで賠償の原資を増やしつつも、電気料金の値上げも検討しているようだ。
ツケは国民負担に
上記の2つの項目以外の他のすべての項目は全く新規に発生する費用であり、全く何の手当もされていない。もっとも上記2つの項目にしたところで全く足りていないのだから、大差は無いとも言える。
こうしている間にも不眠不休の対応がなされている福島原発における事態収束費用には一体いくら掛かるのだろうか? 東京電力の原子力発電事業全体による収益は1970年からの累計で3兆9953億円となるが、今回の経済的損失はそれを上回るのではないか?
総額で数兆円規模に上ると見られる④事故に伴う被害と被害補償費用に関しては、結局の所、電気料金ないしは税金という形で国民が新たに負担をせねばならない。原子力発電の費用としてみれば、④事故に伴う被害と被害補償費用に数兆円追加されるにとどまらず、①発電に直接要する費用ではより高いレベルの安全性を確保するための追加安全対策投資が必要になるだろう(北海道電力は今後2〜3年かけて200〜300億円規模の津波対策を施すことを表明している(毎日新聞))。②バックエンド費用では廃炉費用の増額が避けられないはずだ。③国家からの資金投入では、(仮に受け入れてくれる自治体があったとして)立地費用の大幅な増額が不可欠だ。
このような状況下において、果たして原子力が本当に低コストなのか、今一度問い直す必要があるだろう。ただ、恐らくこれらの費用を全て追加したとしても、少なくとも現時点ではまだ太陽光などの再生可能エネルギーよりは単価は安くなると思われる(40年運転の場合)。たとえ単価が高くても再生可能エネルギーに切り替えていくのか、ある程度のリスクを許容して原子力を継続するのか、国の方針を決める時が来ている。
2011年5月3日追記
脚注
?*1:実際には原発推進の是非は経済性の観点だけではなく、中長期を展望したエネルギー安定供給の確保、資源の有効利用、国際的核不拡散政策の中での我が国の位置づけ、廃棄物処理に際しての環境適合性、原子力関連技術の継承、地球温暖化対策なども含めて総合的に判断すべき事柄である。
?*2:原子力2010 [コンセンサス]は、電気事業連合会が原子力発電の必要性や安全性などの疑問に答えることを目的として発行したパンフレット。今になってみてみると、P23の「Q.原子力発電所の安全対策はどうなっているの?」P25の「Q.原子力発電所の事故の教訓はどう生かされているの?」P27の「Q.大地震や津波が起きても原子力発電所は大丈夫?」などが大変興味深い。
なお、大島教授は福島原発の事故を受けて、国際環境NGOであるFoE JAPANにおいて追補版にあたる次の資料を公開しているので、今後はこちらを参照するほうが良いだろう。
?原発の本当のコスト ─公表データから見えてくるもの─
● 原子力発電は出力調整ができないのでいつもフルパワー運転
だから夜間に電気が余ってしょうがない⇒揚水発電所のポンプで下のダムの水を汲み上げる
いわば、電気を水の形に変えて、上のダムに蓄えるまさに「バッテリー」
で、発電するときは、水を一気に落とす。その水量はケタ違い
「よくわかる原子力 - 電力を捨てる「発電所」 揚水式発電」から引用 こちら
揚水式発電所の発電能力はきわめて大きく、全国の水力発電所の能力のランキングを作成すると、上位23位までは揚水式発電(混合揚水式含む)が占めています。あの有名な黒部第四ダムを使用する黒部第四発電所は33.5万kwで29位、無名に近い岐阜県本巣市(旧根尾村)の奥美濃発電所(2位)でも黒部第四の4倍以上150万kwの出力を持っています。ちなみに世界最大の揚水式発電所は東京電力神流川発電所で282万kWの出力があります。
関西電力大河内発電所HP http://www.kepco.co.jp/pr/okawachi/damdamoh.htm
神流川発電所HP http://www.tepco.co.jp/gunma/kanna-gawa/11_0-j.html
電力を捨てる「発電所」 揚水式発電
??「ベストミックス」というけれど??
「ベストミックス」とは
揚水式発電所は原発の付属施設
電気の捨て場・・・・揚水式発電所の出番
揚水式発電所の使命は、電気を消費すること
建設費用の具体例
電力政策の問題点 インデックス
「ベストミックス」とは
電力会社の発電方針は、いわゆる「ベストミックス」ということをうたっています。前出のグラフ1やグラフ3のように、刻々と変わる電力使用量に応じて、地熱・流入式水力・原子力・石炭火力・LNG火力・石油火力・揚水式水力などの発電方法を組み合わせるといういうものです。このうち、地熱・流入式水力や原子力はベース電力とされ、常時定格出力で運転されています。昼と夜とで大きく変わる電力消費に対応するため、その他の発電方法が利用されています。これを負荷追従運転といいますが、なかでも各地に建設されている揚水式発電所は、わずか数分で発電量を上下させられることから、負荷追従運転にもっとも適した発電というように最近は宣伝されています。
しかし、原発に偏重した現在の体制は、このベストミックスのしくみにもゆがみを生じさせています。
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揚水式発電所は原発の付属施設
そもそも、揚水式発電所はどうしてつくられるようになったのでしょうか。
全国に42か所(2000年9月現在)、1,472.4万kw分の揚水式発電所が建設されています。そもそも揚水式発電所は、必ず原子力発電所と対になって建設されているもので、揚水式発電所の建設費用は、原発建設の必要経費の一部といってもいい性格のものです。実際、揚水式発電所がなければ、余剰の夜間電力を"捨てる"場所がなく、原発の運転に支障を来すからです。
最近は、揚水式発電所が原発に必ず併設されていることを、電力会社は一般向けの説明では認めたがりません。もし、原発に必要不可欠のものとなれば、原発の建設コストに揚水式の発電所の建設費用を含めて当然ということになってしまい、原発推進の根拠である経済的優位性をおびやかす、不利な材料になるからです。しかし、昔は堂々と原発に不可欠のものであることを説明していました。
参照:大釜クラブHP中部電力奥美濃水力発電所建設についてのパンフレット1979年
http://www.geocities.jp/ogamaclub/shosai/genpatu.html HPは2006.7.閉鎖されています。
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電気の捨て場・・・・揚水式発電所の出番
どんなときに余剰電力が生まれるかは、「電気のつくり過ぎと原発」を参照してください。電力会社の言ういわゆる「ベストミックス」による発電方式でも、現在原発の比重が大きくなりすぎて、電力が余ってきてしまいます。
余剰電力を使い尽くす最後の切り札として、登場するのが揚水式発電所です。
揚水式発電所というのは、次のような仕組みです。このリンクページを見てください。関西電力が兵庫県神埼郡に建設した大河内発電所のホームページです。原理は、下図のように山の上と下に二つのダムを造り、昼は上のダムから下のダムに水を落として、その力で発電をします。夜は逆に、原発などの余剰電力を、昼間発電機として用いた水車に送り込んでポンプとして用い、下のダムの水を上のダムに汲み上げて貯水し、昼間の発電に備えます。
上部ダムの水が下のダムから汲み上げた水だけであれば「純揚水式」、上部ダムにその上流から河川が流れ込んでいれば「混合揚水式」と分類されます。
揚水式発電所の発電能力はきわめて大きく、全国の水力発電所の能力のランキングを作成すると、上位23位までは揚水式発電(混合揚水式含む)が占めています。あの有名な黒部第四ダムを使用する黒部第四発電所は33.5万kwで29位、無名に近い岐阜県本巣市(旧根尾村)の奥美濃発電所(2位)でも黒部第四の4倍以上150万kwの出力を持っています。ちなみに世界最大の揚水式発電所は東京電力神流川発電所で282万kWの出力があります。
関西電力大河内発電所HP http://www.kepco.co.jp/pr/okawachi/damdamoh.htm
神流川発電所HP http://www.tepco.co.jp/gunma/kanna-gawa/11_0-j.html
揚水式発電所がどうしてこれほど出力が大きいかというと、落とす水量が桁違いだからです。奥美濃発電所がフル稼働のときは234?/秒の水を落としますが、それを下池(上大須ダム)で受けるからよいものの、そのまま下流へ流せば大洪水になります。例えば7月から9月までの期間、月曜から金曜までの1日について運転パターンを見ますと、揚水時毎秒約190トンの水を揚げ、発電時毎秒約234トンの水を落としています。ダムの水位は一日のうちに約30メートル上下します。黒部第四ダムの総貯水量は14884.3万?ですが、川浦ダムの総貯水量はその12%弱、1720万?で有効貯水量は900万?です。発電・揚水でダム湖の水の52.3%を上げ下げするのです。ですから、揚水式発電所の発電時間は最大で8?10時間です。後は、電気を使って水を揚げなければ、発電できません。まさにマッチポンプ式発電所です。
参照:大釜倶楽部HP http://www.geocities.jp/ogamaclub/index.html より引用 HPは2006.7.閉鎖されています。
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水式発電所の使命は、電気を消費すること
発電能力が大きいということは、それだけの電力が必要だからというわけではなさそうです。夏の昼間の電力消費ピーク時にできるだけ大きな電力を瞬間的に供給する必要はたしかにありますが、そうした発電能力としてよりは、その発電機をポンプとして用いたときの能力が大きいことが揚水式発電所には必要条件なのです。つまり、原発の余剰電力を余すところ無く使い切るためにできるだけ一度に大量の電力を消費する必要があります。ですから、"発電能力"も大きくなるのです。
揚水式発電の問題を考えるときには、そこに投入された電力と、発電電力の割合も問題になります。揚水式発電所は電力を使って電力をつくる、別名「"電力 "発電所」ともいわれます。あるいは、非常に効率の悪い「蓄電池」ということもできます。おおむね、エネルギー効率は、揚水につかった電力に対して70%といわれていま
す。元々の原子力発電のエネルギー効率が約35%といいますから、これらの数字から計算すると、揚水発電のエネルギー効率は35%?70%=24.5%ということになります。しかし、電力会社にとって、原発を維持するためには、効率をあげることや、エネルギーを節約することは二の次で、ともかくも余剰電力を使い切ることが大切なのです。
また、揚水式発電所の建設コストや、電源別の発電容量コストなど、統計上は、水力発電に分類されています。揚水式発電所独自のデータは公表されていません。中部電力が2001年に水力発電と揚水式発電とをわけたデータを公表したそうですが、翌年からまた公表されなくなったそうです。
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建設費用の具体例
岐阜県藤橋村に建設予定であった国内最大級の徳山ダム・杉原ダムの建設費用で計算すると、ダム建設総体とは別に発電所建設費用のみで費用総額は約1,551.8億円。計画出力は42.4万kwですから、発電容量コストは1kwあたり約36.7万円となるはずです。
(2000年7月11日衆議院議員石井紘基君提出徳山ダムによる発電に関する質問に対する答弁書
http://www.osagashitai.com/kouzoukaikaku/kouki/situmon-touben/touben00-07-11.htm より作製)
一方、資源エネルギー庁は、揚水発電としての妥当な開発費の上限は20万円/kw程度としているようです(2000年3 月10日の国会答弁より)。徳山ダムに設置される発電所の建設費用があまりにも高いことを指摘されましたが、政府の答弁は「徳山発電所は混合揚水式であり・・・・・徳山発電所の電源開発単価と、純揚水式発電所の電源開発単価を単純に比較することは適当ではないと考えている。また、徳山発電所及び杉原発電所の両発電所は、中電による平成二十年度(??)以降の電力の供給に必要なものであり、両発電所を建設する意義は十分あるものと考えている。」(内閣総理大臣森喜朗 内閣衆質一四八第七号2000年七月十一日)というものです。
ちなみにこのダム計画は2004年4月、大幅な計画変更が承認され、下につくられるはずであった杉原ダムは建設中止になり、従って揚水式発電は消滅、発電出力も大幅に計画縮小され計画出力は15.3万kwになりました。発電コストはいくらになるのか不明です。
要するに、将来の電力供給のために意義を認めればいくら高くても良いということなのですが、普及の必要性が同じように叫ばれている風力などの新エネルギーにこれだけのコストをかけることが出来れば、新たなエネルギー源として十分対抗できるのではないでしょうか。
前述の国会答弁で政府が資料に使った資料によると、電源別の発電コストはつぎのようです。
自流式一般水力 75.7万 住宅用太陽光 95万
LNG火力 20.3万 公共施設用太陽光 110万
石油火力 28.4万 自家用風力 30万
石炭火力 30.3万 事業用風力 22万
原子力 29.1万 天然ガスコジェネ 30万
1999年総合エネルギー調査会
原子力部門
「原子力の経済性について」 2000年総合エネルギー調査会
新エネルギー部門
「新エネルギーの潜在性と経済性」
これらの数字から見ると、資源エネルギー庁のいう「揚水発電としての妥当な開発費の上限は20万円/kw程度」というのは、かなり安いということが言えます。徳山ダムの場合があまりにも特殊なのかもしれませんが、揚水式発電を原発本体の建設費にプラスして考えた場合、コストを押し上げる要因になることは間違いないでしょう。
http://www.monjiro.org/tokusyu/yosui/top.html全国揚水発電所地図 中村敦夫議員のHP
(現在HPには、資料は載っていません。)
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海洋への熱の蓄積について
海洋は大気の1000倍もの熱容量を持つため、気候を穏やかなものにしています。 気候変動に関する政府間パネル第4次評価報告書(IPCC, 2007)は、人間活動に伴う温室効果ガスの増加が近年の地球温暖化の原因である可能性がかなり高い、と指摘していますが、海洋が大気から吸収する熱量の多寡によっては大気の温暖化の程度も変わってきます。近年利用可能になった過去の海洋の観測データの解析により、1950年代以降について海洋の貯熱量が増加してきている状況が明らかになりつつあります。
IPCC第4次評価報告書(2007)でも、海洋の温暖化が進行していることを指摘しています。 ただし、海洋全体が一様に暖まっているわけではなく、海洋上層数百メートルにおいて変化が顕著で、1961〜2003年にかけて、海面から700m深までの全球での海洋貯熱量は、8.11±0.74×1022J 増加したと見積もられています(海面から700m深までの全球での海水温の0.10℃の上昇に相当)(図1)。 海洋貯熱量の変化傾向の分布は一様ではなく、海洋貯熱量が増加している海域は広く分布していますが、一部では、減少しているところも見られます(図2)。
図1) 海面から700m深までの全球での年海洋貯熱量の時系列
図2) 1955年から2003年までの、海面から700m深までの海洋貯熱量の変化傾向
等値線の間隔は、0.25W/m2。赤の陰影は0.25W/m2以上の増加、青の陰影は0.25W/m2以上の減少をしている海域をあらわす。 (IPCC(2007)より引用)
参考文献
IPCC, 2007: Climate Change 2007: The Physical Science Basis. Contribution of Working Group Ito the Fourth Assessment Report of the Working Panel on Climate Change [Solomon, S.,
Ishii, M., M. Kimoto, K. Sakamoto, and S.I. Iwasaki, 2006: Steric sea level changesestimated from historical ocean subsurface temperature and sea analyses. J. Oceanogr., 62(2), 155-170.
Levitus, S. J. Antonov, and T. Boyer, 2005: Warming of the world ocean, 1955−2003.Geophys. Res. lett., Vol.32, L02604, doi:10.1029/2004GL021592. world
Willis, J.K., D. Roemmich, and B. Cornuelle, 2004: Interannual variability in upper-ocean heat content,temperature and thermosteric expansion on global scales. upper-ocean Geophys. Res., 109, C12036, doi:10.1029/2003JC002260.
関電・大飯原発1号機でトラブル、原子炉停止へ
読売新聞 7月16日(土)9時54分配信
関西電力は16日、福井県おおい町の関電大飯(おおい)原子力発電所1号機(出力117・5万キロ・ワット)で、緊急炉心冷却装置(ECCS)の「蓄圧タンク」で圧力が低下するトラブルがあり、原因を調べるため、同日夜に手動停止すると発表した。
1号機は定期検査を終了せずに約4か月間以上、「調整運転」を続けていた。国内最多の商業炉13基を抱える同県では、福島第一原発の事故を踏まえた安全基準対策を国が示すまで停止中の原発の再稼働を認めない姿勢を示している。今回の大飯原発1号機を含めると、計7基が停止、さらに2基が近く定期検査に入るため、今後の電力供給への影響は必至だ。
発表によると、大飯1号機で15日午後10時45分頃、核分裂反応を抑えるホウ酸を混ぜた水を蓄えている「蓄圧タンク」の圧力が低下した。1時間以内に復旧したため、保安規定には違反しないが、調整運転後の最終検査を受けるため、原因を調べる必要があり、16日午後9時頃にも原子炉を停止させると判断した。 .最終更新:7月16日(土)11時38分
伊達市の施設栽培シイタケ、規制値超すセシウム
読売新聞 7月16日(土)10時8分配信
厚生労働省は15日、福島県伊達市の施設栽培シイタケで暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を上回る同1770ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。 本宮市でも560ベクレルを検出した。露地栽培シイタケではすでに同県内の16市町村で出荷が制限されているが、施設栽培シイタケで規制値を上回ったのは初めて。政府は出荷制限を検討する。
また、南相馬市でとれたビワからも規制値を超える同セシウムが検出された。ビワで規制値を超えたのは初めて。 .最終更新:7月16日(土)10時8分
-福島第1原発-東電が仮払い拒否 幼稚園など「対象外」
毎日新聞 7月16日(土)2時35分配信
東京電力福島第1原発事故で被害を受けている事業者に対する損害賠償を巡り、東電が幼稚園や老人ホーム、診療所への仮払金の支払いを拒否していることが、毎日新聞の入手した文書などで分かった。支払い対象の事業者を中小企業に限定し「学校法人や社会福祉法人、医療法人は法律上、中小企業に該当しないため」と説明。将来の賠償も「分からない」としており、全被害者への賠償責任を定めた原子力損害賠償法に反した姿勢に厳しい批判が出ている。【清水憲司、松谷譲二】
東電広報部は毎日新聞の取材に対し「学校法人などにも仮払いする必要性が高いことは十分認識しており、対象範囲の見直しを進めている」と回答した。
原発から約9キロの福島県浪江町で私立浪江幼稚園を経営する学校法人「大谷(おおや)学園」が、中小企業に1社当たり最高250万円の仮払いが始まったことを知り、6月14日、仮払いを請求した。
その後、東電・福島補償相談センター(福島市)が同22日付でこの文書を出した。文書には「学校法人は(法律上)財団法人で、中小企業ではないので対象外。(今後の補償も)分からない」と記載されている。
原賠法は文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」が損害の範囲を判定する指針を策定すると規定。審査会は4月の1次指針で、救済対象の事業者を「営業被害などを受けた多数の事業者ら」と幅広く定めており、中小企業に限る法的根拠はない。
毎日新聞の取材では、他に南相馬市の幼稚園を経営する学校法人▽同市で特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人▽富岡町で診療所を経営する医療法人−−が仮払いを拒否された。福島県によると、福島第1原発から半径30キロ以内には▽6学校法人▽22医療法人▽15社会福祉法人−−がある。
浪江幼稚園の大谷清子(せいこ)園長は「園児約160人が皆いなくなり収入はゼロなのに人件費などで月100万円の支出がある。仮払金がもらえず、将来も賠償されないのではと思うと不安で眠れない」と訴えている。
-東日本大震災-津波の高さ史上最大40.5メートル 宮古
毎日新聞 7月16日(土)15時0分配信
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東日本大震災の津波の痕跡
東日本大震災による津波が押し寄せた岩手県宮古市で、陸地を駆け上がった津波の高さ(遡上(そじょう)高)が40.5メートルに達していたことが、研究者らでつくる「東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ」の調査で分かった。これまでの最高値は、明治三陸津波(1896年)で同県大船渡市に残る38.2メートルだったが、今回はそれを上回り、観測史上最大の津波であることを裏付けた。
【宮古を襲った津波】街はう黒い水塊…本紙記者津波に遭遇 宮古
同グループは大学や研究機関、建設会社など約50組織の150人で構成。全国の沿岸約5000地点を調べ、残された津波の跡から遡上高を割り出した。
その結果、宮古市重茂姉吉(おもえあねよし)の約500メートル内陸で、海面から約40.5メートルの地点に津波が到達した跡を確認したのをはじめ、岩手県釜石市▽大船渡市▽久慈市▽野田村▽宮城県女川町の6市町村で30メートル超を記録したほか青森、福島、茨城県でも10メートル以上に達した地点があった。
調査結果は研究者間で共有し、地震のメカニズム解明や今後の防災対策に活用される。同グループのウェブサイト(http://www.coastal.jp/ttjt/)で公開している。【八田浩輔】
「弱者が犠牲に」九電やらせメール、例文も提示
調査報告で明らかに 2011/7/14 18:25 div/dl/dd/div.JSID_key_html
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九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡る「やらせメール」問題に関し、九電は経済産業省資源エネルギー庁に14日提出した内部調査報告の中で、同社佐賀支店が意見投稿の事例文を作成し、投稿依頼した取引会社などに示していたことを明らかにした。
報告で例示された事例文は以下の通り。
■将来的には再生可能エネルギーへ転換していくことが望ましいかもしれませんが、現段階においては、安全対策を講じながら原子力発電を運転していくことが必要であると考えます。そのことが九州経済、ひいては日本の経済維持発展に大きく寄与するものと考えます。日本全体のことを考え、九州を含む西日本が元気を出して、生産や経済を回さなければならない中、電力不足は絶対にあってはならないことです。発電所の安全対策を強化し、徹底した監視のもと、早く(九州の)原子力発電を再開すべきと強く要求致します。
■電力が不足していては、今までのような文化的生活が営めないですし、夏の「熱中症」も大変に心配であります。犠牲になるのは、弱者である子供や年配者の方であり、そのような事態を防ぐためにも、原子力の運転再開は絶対に必要であると思います。併せて電力会社の方には、万全な安全対策をくれぐれもお願い致します。
■太陽光や風力発電を否定するわけではなく、推進することも必要であると考えております。しかし太陽光や風力発電は天候に大きく左右され、利用率が大変に低いと聞いております。また、火力や原子力発電に比べて広大な面積が必要になるなど、現在の技術面・コスト面から考えますと、補助的な電源にはなっても、代替の電源となり得ることは到底無理であると思います。よって、当面は原子力発電に頼らざるを得ないと思います。
■科学的データに基づいて、今回の福島原発事故の事象の要因は津波であるとの国からの説明がありました。各電力会社では「緊急安全対策」に加え「シビアアクシデント対策」を実施しているとの新聞報道がありましたが、安全対策については十分に実施されており、発電を再開することについて全く問題はないと思います。国も「発電再開しても問題ない」と示しているにも関わらず、何故発電再開が出来ないのでしょうか。
■テレビにて「夏の電力供給力の見通し」の放送があり、電力供給の予備力が約3%しかないとのことでありました。もしも、現在稼働中の火力発電所でのトラブルや、全国的な猛暑などが続いた場合は、電力が不足し最悪の場合は停電が懸念されます。東京電力のお客様は、計画停電の実施により大混乱を招いたと聞いておりますが、そういう事態を招かないためにも、一日も早い原子力発電の再開を強く望んでおります。
■トヨタ自動車の豊田章男社長より、電力不足の広がりに対して「日本での物づくりは、限界を超えた」との記者団への発言がありましたが、電力不足が国内産業(生産)の空洞化に益々拍車をかけることが懸念されます。代替電源が直ちに準備できない現状では、原子力発電の再開は不可欠なものであります。
原子力委の設置、裏に偽装報告 55年 初の海外調査団
2011年7月17日02時30分
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原発導入初期の流れ.
政府が1955年、原発を導入するために初めて派遣した海外調査団の報告書が、原子力委員会の設置を推進する内容に偽装されていたことがわかった。作成に関与した旧通商産業省の初代原子力課長(故人)の偽装を認める証言が、文部科学省の内部文書に記録されていた。
文書は85〜94年、日本の原子力行政の重鎮で、原子力局長や原子力委員を務めた故・島村武久氏が、原子力政策にかかわった政治家や官僚、学者など33人を講師として招いた「島村研究会」の録音記録。A4判620ページにわたって文書化され、文科省が製本したものを朝日新聞が入手した。
政府は54年12月、初めての原子力予算で、物理学者を団長とする15人の「原子力平和的利用海外調査団」を派遣。4班に分かれて米英仏やインド、スウェーデン、デンマークなど14カ国を巡り、原子力行政の組織体制を調べた。
調査団は帰国後、原子力を推進・開発する政府の機関について「各国の統括機関はほとんどすべて委員会の形をとり多頭。各方面の意見を十分に入れるためと思われる」と報告書に明記して、集団指導体制による委員会の設置を日本でも急ぐよう提言した。
事務局として作成にかかわった旧通産省工業技術院原子力課の初代課長の故・堀純郎氏は88年、「島村研究会」に招かれ、「(トップに)委員会をつくっているのは米国だけで、ほかにはどこもない」と指摘。フランスは「役所」、イギリスは「公社」だったにもかかわらず、「(諸外国は)どこでも委員会だ。だから日本でも委員会を作らなくちゃいかんと強調した」と偽装を証言した。
さらに「若い事務官がこんなうそ書けるかと憤慨した」とも証言し、のちに資源エネルギー庁次長となる豊永恵哉氏が偽装に抵抗したことを明らかにした。
豊永氏は朝日新聞の取材に「委員会は米国にしかなく、責任があいまいになり、日本になじまないと思った。むしろしっかりした行政組織を作るべきだと上司に進言した」と話す。
政府は報告書をもとに原子力委員会を56年に発足させ、初代委員長に正力松太郎国務相、委員にノーベル物理学賞の湯川秀樹氏、経団連会長の石川一郎氏らを起用。著名人を集めた委員会を設け、米国の水爆実験で「第五福竜丸」が被曝(ひばく)した事件による原子力への世論の逆風を弱める狙いがあったとみられる。政府が公表した報告書の偽装は、原発導入期からの隠蔽(いんぺい)体質を示すものだ。(山岸一生)
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野田財務相「原発ゼロ、前提にするのは簡単でない」
2011年7月16日16時01分
印刷するこの記事をスクラップ. 「ポスト菅」の有力候補である野田佳彦財務相は16日、「完全に原発をゼロにするのは個人の夢としてはあるかも知れないが、政府として前提にするのはそう簡単ではない」と述べ、将来も原子力発電を続ける立場を鮮明にした。横浜市内で記者団に語った。
菅直人首相が将来の「脱原発」社会を目指すと表明したことを受けた発言。野田氏は「当面の電力不足を考えた場合、安全性を確認しながらどうやって原発を稼働してもらうか、地方の皆さんに頭を下げてお願いすることもあるかもしれない」と述べ、首相とは一線を画した。この日、横浜市で開かれた討論会では「電力の不安、電力料金の問題が重なり、企業が日本を出て行かなければいけないことになってはならない」とも語った。
拉致問題、1970年代に把握 イノウエ米上院議員説明
2011年7月15日22時11分
印刷するこの記事をスクラップ. 北朝鮮による拉致被害者の家族会と「拉致議連」による訪米団メンバーに対し、米議会上院の長老で日系のダニエル・イノウエ議員が、1970年代後半の時点で拉致問題を把握し、北朝鮮側に問いただしていたことを明らかにした。
拉致議連の松原仁事務局長らが14日、ワシントンでの記者会見で発表した。
議連によると、イノウエ氏は上院情報委員長だった76〜78年の間に訪朝した。今回、訪米団に対し、北朝鮮側と当時協議した際に「北朝鮮による日本人拉致問題を取り上げた」と言及。だが「北朝鮮側はコメントしなかった」と説明した。イノウエ氏は「当時の日本政府は、深く関心は示さなかった」とも述べたという。
拉致への北朝鮮の関与は80年代末に大韓航空機爆破事件で逮捕された北朝鮮工作員・金賢姫(キム・ヒョンヒ)元死刑囚が、日本人教育係李恩恵(リ・ウネ)の存在を明かして表面化。日本では88年に梶山静六・国家公安委員長(当時)が国会で、「北朝鮮による拉致の疑い」に国として初めて公式に言及した。米側はそれより早い時点から北朝鮮の関与を疑っていたことになる。(ワシントン=村山祐介)
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来年4月に新組織=原子力規制、8月試案—細野担当相
時事通信 7月17日(日)12時56分配信
細野豪志原発事故担当相は17日、都内で記者団に、福島第1原発事故を受けて検討している原子力規制に関する新組織について「8月上旬には試案を出したい」と述べた。その上で「来年4月に組織が出発できるようにペースを上げて議論したい」と語り、2012年4月の設置を目指す意向を示した。
原発相はこれに先立ちNHK番組に出演し、原子力安全・保安院の経済産業省からの分離の必要性を改めて強調。また、「(保安院と内閣府原子力)安全委員会を一緒にしていく。モニタリングしている文部科学省の機能も一部移行できるのではないか」と語った。
-海江田経産相-インタビュー 菅首相の「脱原発」を批判
毎日新聞 7月17日(日)2時45分配信
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インタビューに答える海江田万里経産相=衆院第1議員会館で2011年7月13日午後1時30分、藤井太郎撮影
海江田万里経済産業相は16日までの毎日新聞のインタビューで、菅直人首相がいずれは原発をゼロにする「脱原発依存」を表明したことに対し「原子力の平和利用技術を切っていいのか」と異論を唱えた。電力の安定供給については「今冬までは何とかなるが、(原発が)全部止まれば無理だ」と警戒感を示した。
経産相は「従来のような(原発の)新設は無理。縮小は既定方針」とする一方で、放射性廃棄物管理などの技術継承が必要なことなどを踏まえ、「核兵器を持たずに原子力技術を本格開発したのは日本ぐらいなのに人材も育たなくなる」と強調。さらに再生可能エネルギーの普及には「時間がかかる」と電力不足への懸念を示し、脱原発方針を批判した。経産相が反対姿勢を示し、首相が掲げる「脱原発」の実効性はさらに不透明になった。
経産相によると、首相から「脱原発」の電話連絡を受けたのは、13日の首相会見の40〜50分前。経産相は懸念を伝えたが、首相は「そうした議論は今度する」と述べたといい、閣内で十分な議論を経なかったことが浮き彫りになった。
また、首相が「脱原発」を争点に解散に踏み切る場合は「(衆院解散を行うための閣議書に)署名しない」と明言した。ただ、首相は署名を拒否した閣僚を罷免し、解散に踏み切ることができる。
電力供給について経産相は「今夏は東京、東北電力管内で(15%節電に違反すれば、大口需要家に罰金を科す)電力使用制限令を出す異常事態。冬までは何とかなると思うが、(生産などが)シュリンク(縮小)しているからだ」と懸念を表明。政府の安全評価(ストレステスト)で定期検査中の原発の再稼働が遅れ、来春までに全国の原発が停止する可能性もあるが、「全部ストップするシナリオは頭にない」と安全性が確認された原発から順次再稼働させる考えを示した。首相が「埋蔵電力」と見込む企業の自家発電は「発電する企業の利用優先。どれだけ(一般に)使えるのか、判断は難しい」との見方を示した。
◇主なやりとりは以下の通り。
−−菅直人首相が「脱原発依存」の会見をしました。
◆(首相から)会見の40〜50分前に電話連絡を受けた。核兵器を持たずに原子力技術を本格開発してきたのは日本ぐらいなのに、その技術を捨て去っていいのか。数十年でなくなることになれば、人材も育たない。こうした点を首相に伝えたが、首相からは「そうした議論は今度やろう」と(かわされた)。自分の中では(脱原発の是非について)まだ決着はついていない。
−−「脱原発」をどう考えますか。
◆(化石燃料頼みになれば資源国などに)弱みにつけ込まれ、ガスなどの価格が上がる。(再生可能エネルギーなどの)新技術を何年で開発し、それまでどうつなぐかなど、緻密な議論が必要だ。原発は安全なら動かし、安全でなければ止める。すべてストップするシナリオは頭の中にない。現実問題として、2〜3年で大きくは減らせない。
−−仮に首相が「脱原発解散」に踏み切れば、容認しますか。
◆できない。(解散のための閣議書に)署名はしない。国民だって悩んでいると思う。さまざまな角度から情報を提供し、判断をしてもらう時間が必要だ。
−−九州電力玄海原発の再稼働を巡る議論も混乱しました。
◆玄海では当面の津波対策や過酷事故対策もあり、(6月29日に地元を訪れ)自信を持って安全だと言った。首相には事前に報告していたが、帰ってすぐに電話があり、「自分は関わっていない」「原子力安全委員会と相談したのか」と言われた。法律がそういう(安全委の了解を得る)仕組みになっていないと説明すると、電話ががちゃんと切れた。翌日に官邸で報告し、(安全評価の議論が)始まった。
−−安全評価が再稼働の条件となりました。
◆もともと高経年化や過去のトラブルなどをチェックしなければ、という思いはあり、納得はしている。安全委もテストを考えていたようだが、再稼働に絡ませるということではなかったと思う。
−−経産相は時期が来たら(混乱の)責任を取ると発言しました。
◆政治家がこう言えばどういうことか、想像していただければ。自分は間違ったことはしていない。
−−首相は「今夏と今冬は原発無しで乗り切れる」との見通しを示しています。
◆いろんな工夫をすれば、今冬までは何とかなるが、東北と関東は電力使用制限令を発動する異常事態。関西、九州にも節電をお願いしないといけない。電力不足で企業の生産が滞ることは決して良いことではない。(浜岡原発の停止を要請した)中部は原子力の依存が低いが、関西、九州は違う。
−−関西でも電力使用制限令が必要では。
◆したくない。なんとか(節電を)お願いしようと思う。
【聞き手・山本明彦、野原大輔】
自宅で亡骸囲み酒宴 桃井かおりら50人笑って別れ…原田芳雄さん急死
スポーツ報知 7月20日(水)8時3分配信
圧倒的な存在感で数々の映画、ドラマに出演し、人気を集めた俳優の原田芳雄(はらだ・よしお、本名同じ)さんが19日午前9時35分、上行結腸がんによる肺炎のため、都内の病院で死去した。享年71歳。今月16日には、主演映画「大鹿村騒動記」(阪本順治監督)が公開されたばかりだった。アウトローの役者として最後まで現役にこだわり、再びカメラの前に立つことを願って闘病を続けていたが、その思いは、ついえてしまった。
突然の悲報を受け、東京・渋谷区の原田さんの自宅には女優の桃井かおり(60)、大楠道代(65)、俳優の柄本明(62)、石橋蓮司、佐藤浩市(50)、荒戸源次郎監督(64)ら映画仲間約50人が弔問。原田さんの遺体を囲んで深夜まで別れの杯を酌み交わした。
遺体の枕元には、映画「竜馬暗殺」の時の特大写真が飾られた。酒を愛した原田さんをしのび、自宅にはビールや焼酎、日本酒など大量の酒が持ち込まれ、弔問客らは「(原田さんは)まだここにいるから、笑いながら楽しい話をして送りだそう」と献杯した。原田さんが愛したブルースの曲が流れる中、にぎやかに思い出話に花を咲かせた。酔った勢いで顔にキスしようとして止められる人もいた。章代夫人や長男の喧太らも気丈に務めていたという。
荒戸監督は「べたべた顔を触っちゃった。冷たくなったけどね。穏やかで立派な顔をしてましたよ」。11日の「大鹿村騒動記」の完成披露試写会で話をしたのが最後の会話に。「声が出せなくてつらそうだったけど、『今度のはいい映画だぞ』って話してました」と振り返った。
原田さんとは35年来の付き合い。「ツィゴイネルワイゼン」は荒戸さんたっての希望で主演に迎え、以来、日本映画史に残る作品を共に作ってきた。「一言で言うと、映画の味方だった数少ない人。映画にとりつかれ、いい映画を作りたい一心でした。普段はおだやかだけど、仕事場ではとても怖い人でしたから、かけらでも手を抜けなかった」
「向こうには勝(新太郎)さんや(松田)優作がいますから一緒に映画を作って待っててください。僕もそのうち行きますから」。最後の別れを惜しむように、酒盛りは深夜まで続いた。
◆駆け付けた主な弔問客 荒戸源次郎氏、石橋蓮司、柄本明、大楠道代、勝村政信、金山一彦、熊谷真美、桑名正博、崔洋一氏、佐藤浩市、長谷川和彦氏、吹越満、松たか子、松田美由紀、桃井かおり、松田翔太
◆報道陣にも弔い酒 外で待つ報道陣にも弔い酒がふるまわれた。午後7時頃、関係者が「故人のために、ぜひ献杯してください」と缶ビール24本入りの箱と紙コップ約50個を手渡し。生前、にぎやかな宴を好んだ原田さんらしい粋な計らいだった。
原研歴代理事長 [編集]
1.安川第五郎(1956~1957)財界
2.駒形作次(1957~1959)通産官僚
3.菊池正士(1959~1964) 学者
4.丹羽周夫(1964~1968) 三菱重工
5.宗像英二(1968~1978) 旭化成
6.村田浩(1978~1980)科学技術庁原子力局長
7.藤波恒雄(1980~1986)通産官僚 科学技術事務次官
8.伊原義徳(1986~1992)通産官僚 科学技術事務次官
9.下邨昭三(1992~1996)科学技術事務次官
10.吉川允二(1996~1999)学者
11.松浦祥次郎(1999~2001)原研生え抜き
12.村上健一(2001~2003)科学技術事務次官
13.齋藤伸三(2003~2004)原研生え抜き
14.岡崎俊雄(2004~2005)科学技術事務次官
丹羽周夫氏日本原子力研究所理事長に就任
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6月1日付をもって辞任した日本原子力研究所理事長菊池正士氏の後任として、同日丹羽周夫民が就任した。
〔丹羽周夫新理事長略歴〕
生年月日 明治28年8月27日生
大正8年7月 東京帝国大学工学部機械工学科卒業
〃 三菱造船株式会社(昭9.4三菱重工業株式会社となる)入社
昭和16年10月 三菱重工業株式会社神戸造船所造機設計部長
18年 1月 同所副長
19年 3月 同社広島機械製作所長
21年12月 同社取締役兼広島造船所長事務取扱
24年 3月 同社常務取締役兼長崎造船所長事務取扱
25年 1月 西日本重工業株式会社(昭27.5三菱造船株式会社となる)取締役社長
〃 日本経営者団体連盟常任理事
27年 4月 日本産業機械工業会会長(昭39.5辞任)
28年 4月 社団法人日本造船工業会会長(昭30.3辞任)
11月 社団法人造船協会会長(昭30.10辞任)
29年12月 日本船舶輸出組合理事長(昭38.5辞任)
30年 3月 造船技術書議会委員(任期2年)
12月 生産技術研究奨励会理事長(昭32.12辞任)
32年 5月 社団法人日本プラント協会会長(昭36.5辞任)
33年 5月 日本機械学会会長(昭34.4辞任)
34年 5月 三菱造船株式会社取締役会長(昭39.5辞任)
〃 造船技術審議会委員(任期2年)
9月 雇用者議会委員(昭35.6辞任)
〃 科学技術会議専門委員(昭36.10辞任)
昭和35年 6月 機械工業審議会委員(任期1年)
7月 通商審議会委員(任期1年)
9月 輸出入取引審議会委員(任期1年)
36年 3月 発明奨励審議会委員(任期2年)
6月 機械工業審議会委員(任期1年)
7月 通商審議会委員(任期1年)
9月 輸出入取引審議会委員(任期1年)
10月 科学技術会議議員(任期昭38.9まで)
37年 5月 輸出会議議員(任期2年)
6月 機械工業審議会委員(任期1年)
7月 通商審議会委員(任期1年)
8月 臨時行政調査会参与
9月 輸出入取引審議会委員(任期1年)
12月 宇宙開発審議会委員(任期2年)
工業所有権制度改正審議会委員(任期2年)
38年 6月 機械工業審議会委員(任期1年)
7月 通商審議会委員(任期1年)
9月 輸出入取引審議会委員(任期1年)
10月 科学技術会議議員(任期3年)
39年 6月 日本原子力研究所理事長
〃 三菱重工業株式会社相談役
(現職)
日本原子力研究所理事長
科学技術会議議員
輸出会議議員
臨時行政調査会参与
宇宙開発審議会委員
工業所有権制度改正審議会委員
機械工業審議会委員
通商審議会委員
輸出入取引審議会委員
日本経営者団体連盟常任理事
三菱重工業株式会社相談役
宗像英二氏日本原子力研究所理事長に就任
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6月14日付をもって任期が満了した日本原子力研究所理事長丹羽周夫氏の後任として、6月15日付で、日本原子力研究所理事宗像英二氏が就任した。
〔宗像英二新理事長の略歴〕
生年月日 明治41年6月24日
昭和6年3月 東京帝国大学工学部応用化学科卒業
同 4月 日本ベンベルグ絹糸株式会社入社延岡工場勤務
同14年4月 朝鮮人造石油株式会社に転じ阿吾地工場勤務
同19年7月 日本窒素肥料株式会社に転じ興商工場勤務
同 9月 京城帝国大学講師を兼務
同22年2月 旭化成工業株式会社に復帰し
延岡工場ベンベルグ部長兼研究部長に就任
同 5月 旭化成工業株式会社取締役に就任
同34年2月 旭化成工業株式会社常務取締役に就任
同37年4月 日本原子力研究所理事に就任
同38年4月 高崎研究所長事務取扱
同40年12月 原子力委員会専門委員に就任
同41年4月 日本原子力研究所理事に再任
同42年12月 原子力委員会専門委員を辞任
-大項目- 原子力資料集(年表など)
-中項目- 原子力年表
-小項目- 1950年代(1953年〜1959年)
-タイトル-
1956年(昭和31年) (17-01-02-04)
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-概要-
前年8月の第1回原子力平和利用国際会議が契機となって原子力ブームが到来した。1月1日に原子力基本法、原子力委員会設置法、総理府(現内閣府)設置法の一部改正法(原子力3法)が制定・施行された。基本法では、わが国の原子力の研究、開発、利用を平和目的に限定し、民主、自主、公開の3原則を明示した。初代委員長に正力松太郎(国務大臣)が就任した。総理府原子力局は、通産省(現経済産業省)工業技術院原子力課、経済企画庁計画部原子力室などを統合して発足、5月に科学技術庁(現文部科学省)(初代長官:正力国務大臣)が設立されて、その内部部局となった。日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)、原子燃科公社も6月〜8月に発足し、産業界では、3月に(財)日本原子力産業会議(現日本原子力産業協会)が設立され、民間企業のグループ化が進んた。海外では、5月に英コールダーホール原子力発電所第1号炉が発電を開始し、10月23日には国連総会で国際原子力機関意章が採択され、26日に調印された。
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-更新年月-
1998年03月 (本データは原則として更新対象外とします。)
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-本文-
1.内外の原子力関係の出来事
国 内 海 外
1.1 原子力委員会発足、総埋府原子力局 1.6 仏最初の発電炉(Pu生産兼用)G‐1
発足(局長佐々木義武)、原子力3 臨界(天然ウラン黒鉛減速空気冷却冷却
法施行 型、電気出力3000kW、Pu年間生産量
1.5 正力原子力委員長、5年後に原子力 10kg)9.28送電開始
発電、米と動力協定締結の意向を表 1.10 米 AEC、RIの輸出増大のため制限、
明 手続き等の緩和を発表
1.13 正力原子力委員長、原子力委の発足 1.16 米AEC、日本向け天然ウラン4トン、
に当って声明(研究炉を米から早く 重水4トンの売却に同意
輸入し、原子力開発体制を固める) 1.18 西独6カ国、原子力共同体(ユーラトム
1.13 閣議、ウォーターボイラー型研究炉 )の設置決める
とCP‐5型研究炉の米国からの輸
入決定
2.4 経団連原子力平和利用委(委員長安 2.22 米大統領、合計20トンのU−235を発電炉
川第五郎安川電機会長)、原子力研 及び研究炉用として米との双協定締協定
究所の国営に反対 締結国に売却または賃貸する用意ありと
2.7 原子力委、原研(現日本原子力研究 表明
開発機構)を「特殊法人」にするこ 2.27 国際原子力機関憲章起草会議開く(ワシ
とを決める ントン、先進国とウラン産出国など12か
2.10 原研、研究用天然ウラン4トン、重 国参加)4.25草案発表
水4トン輸入(米から)認めらる
3.1 科学技術庁(現文部科学省)設置法 3.14 国連科学委開催(15か国参加、日本から
案、衆院修正可決.3.26参院通過成 都築正男、中泉正徳出席、科学担当
立.3.31公布、開庁 事務局員として田島英三立教大学教授赴
(初代長官正力松太郎) 任)
3.1 (社)日本原子力産業会議(現日本原
子力産業協会)発足(会長菅礼之助
)
3.8 正力委員長、英コールダホール型発
電炉に関心を示す
3.23 原子力委、原子力開発利用基本計画
策要綱を決定.増殖炉開発を示唆
3.27 原研、米ノースアメリカ航空会社と
ウォーターボイラー型原子炉の輸入
契約成立
4.6 原子力委、茨城県東海村を原研の敷 4.− 西独連邦政府、州、民間の出資で原子力
地として選定 船建造運航会社GKSS設立
4.24 湯川原子力委員、辞意表明
4.30 日本原子力研究所(現日本原子力研
究開発機構)法、核原料物質開発促
進臨時措置法及び原子燃料公社法成
立.5.4公布
4.− 東海大学.工学部応用物理学科にわ
が国初の原子力工業専攻課程設置
5.19 科学技術庁発足(原子力局その管轄 5.14 米AEC、GE社バレシトス発電実験用
下に) 沸騰水炉VBWR(5000kW)の建設許可
5.− 来日中の英AEAのヒントン卿、コ .1957.8.5臨界
ールダホール炉の発電原価は2円52 5.23 英コールダホール原子力発電所第1号炉
銭まで下がると語る 発電開始
6.1 国産金属ウラン第1号、科研(現理 6.13 米AEC、BNLに脳腫瘍獲治療用の医
研)岩瀬研究室で製造 学用研究炉MRRの設置を発表
6.7 原子力委、発電炉輸入で米英加ヘの 6.− 米でブランケット方式の高速中性子増殖
調査団派遣決める 炉特許出願(米国特許2870076号)
6.14 原子力委、米国の特殊核物質提供申
入れに受託回答
6.15 日本原子力研究所、特殊法人として
発足(理事長安川第五郎)
7.5 原子力委、国立放射線医学総合研究 7.5 米AEC、民有のウラン濃縮工場設置促
所設立計画を策定 進計画発表
7.27 原子力委、CP‐5の輸入と国産原 7.23 米議会及び大統領、原子力船の建造認可
子炉の建設を決める
8.6 運輸省(現経済産業省)、原子力船 8.4 インド最初の原子炉Apsara臨界(スイミ
建造10カ年計画作る.原子力船2隻 ングプール型、1000kW)
建造
8.10 原子燃料公社発足(理事長高橋幸三 8.8 米て実験高速増殖炉エンリコ・フェルミ
郎三菱金属鉱業顧問) 炉建設開始(高速増殖炉開発研究用、63
8.15 第1回日本アイソトープ会議開催 kW)
8.20 原研第1号炉(JRR‐1、ウォー
ターボイラー型研究炉)着工
9.11 原産派遣「原子力産業使節団」出発 9.28 仏の発電炉G‐1、発電開始(電気出力
(団長大屋敷原産副会長、米英加仏 3000kW)
訪問)1.23帰国 9.28 ストローズ米AEC委員長、日米動力協
9.13 初の原子力アタッシェ、米(田中好 定に機密事項なしと言明
雄)英(村田浩)に派遣きまる
9.16 東工試、人形峠の低品位ウラン鉱の
新処理法「塩化法」開発
9.16 文部省、大学における原子力研究者
養成3カ年計画作る(5大学に原子
力講座新設、4大学に原子核工学専
攻の大学院設置)
10.15 第1次原子力訪英調査団(団長石川 10.1 英、発電炉輸出に機密事項なしと声明
一郎原子力委員)出発
10.19 正力原子力委員長、1957年に米英か 10.15 米輸銀、米との双務協定締結国には原
ら発電炉輸入のための動力協定を結 子力発電所建設で財政援助を行うと発
ぶと言明 表
10.20 原燃、岡山県三吉鉱山及び鳥取県倉 10.17 英コールダホール原子力発電所完成
吉・小鴨鉱山でウラン採鉱はじめる (4号炉まで稼働)
10.26 政府、IAEAへの参加を決める 10.23 IAEA憲章 採択.10.26日本など70
カ国署名、1957.7.29発効
11.15 原研、米AMF社とCP‐5型炉の 11.21 英ハーウェルで高濃縮ウラン重水型材
購入契約結ぶ 料試験炉DIDO臨界(1万3000kW)
11.19 正力原子力委員長、訪英調査団の報
告を発表し、コールダホール改良型 11.30 仏政府、国防のための原子力計画実施
発電炉は輸入に適していると言明 へ
11.24 日米原子力細目協定調印(20%濃縮
ウランの賃借を決めたもの)
12. 4 米AMF社、JRR‐2の建設で三 12.11 ストローズ米AEC委員長、天然ウラ
菱グループとの提携を発表 ン重水型発電炉開発を促進すため、「
12.10 日本放射線高分子協会発足(理事長 建設者には5年間、重水の賃貸料を無
長田茂樹化繊協会会長) 料にする」と発表
12.10 日本碍子、ベリリウムの抽出に成功 12.13 英中央発電庁、世界最大のハンタース
12.15 人形峠の推定ウラン埋蔵量100万トン トン原子力発電所(30〜32万kW)の
建設計画を発表
12.29 米で発電試験炉EBWR臨界(BWR
、電気出力5000kW)
2.社会一般の出来事
2.21 経団連会長石川一郎辞任、後任に石坂泰三東芝社長
2.24 フルシチョフ・ソ連共産党第1書記、スターリン批判を行う
3. 富士通、国産初の本格的電子計算機完成
6.13 英軍、スエズ運河基地撤退.7.26エジプト、スエズ運河国有化宣言
7.1 金属材料技術研究所発足(科学技術庁所管)
7.8 第4回参院選挙(自民61、社会49、革新派が議席の113を突破、創価学会、初めて3人
当選)
7.17 経済企画庁、経済白書発表(技術革新による経済発展を強調)「もはや戦後ではない」
が流行語となる
8.8 米NBC社呉造船所で、世界最大のタンカー、ユニバース・リーダー号進水(8万3900トン
タンカー大型化はじまる)
8.13 通産省(現経済産業省)、1957年以降の電力危機を予告(1955年以降の電力伸びに
設備追いつけず)
10.15 佐久間ダム完成
10.24 ブダペストの反政府暴動鎮圧にソ連軍出動(ハンガリー事件おこる)
10.29 イスラエル軍エジプトに侵入(スエズ戦争はじまる)
11.19 東海道本線電化完成
12.13 ポーランド動乱
12.18 国連総会、日本の国連加盟案を全会一致で可決
原子力委員会
原子力委員会委員 藤波 恒雄氏逝去
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原子力委員会委員藤波恒堆氏は4月8日午後7時45分呼吸不全のため、虎の門病院で逝去された。
同氏は、昭和15年、東京帝国大学工学部卒業後、電気庁入庁、30年通商産業省公益事業局公益事業調査課長、31年科学技術庁原子力局管理課長、40年通商産業省公益事業局技術長、42年科学技術庁原子力局長、43年同事務次官、47年電力中央研究所理事、51年原子力工学試験センター理事長、55年日本原子力研究所理事長等を歴任された。
昭和61年4月、原子力委員会委員に就任し、特に原子力開発利用長期計画の取りまとめ、日米原子力協力協定改訂の推進、核物質防護体制の整備といった、わが国の原子力政策の企画、推進に関し大きな役割を果たされた。
5年後に米西海岸に到達=放射能の広域拡散試算−原子力機構
日本原子力研究開発機構は24日、福島第1原発事故で放出された放射性物質のセシウム137が太平洋に拡散していく様子のシミュレーション結果を発表した。その結果、黒潮などの海流に乗った放射性物質は東に向かって拡散し、約5年後に米西海岸に到達。海水の放射能濃度を約10%押し上げると推定された。
原子力機構は、今月6日に経済産業省原子力安全・保安院が公表した事故による放射性物質放出総量などから、8450兆ベクレルが同原発沖に放出されたと仮定。長期間にわたる海流の動きをシミュレーションし、放射性物質が拡散する様子を計算した。(2011/06/24-19:15)
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玄海1号機:圧力容器鋼材の質にばらつき 製造ミスの疑い
運転開始から35年以上たった九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町)について、原子炉圧力容器に用いた鋼材の質にばらつきがあり、製造ミスの可能性があることが、井野博満東大名誉教授(金属材料学)らの分析で23日、分かった。九電が今月初めて公表した鋼材の劣化判断の基準となる「脆性(ぜいせい)遷移温度」の試験データを精査した。
原発の長期間の運転による劣化は、研究者の間でも不明な点が多い。ただ、詳細なデータに基づき、鋼材そのものに欠陥がある可能性を指摘されたことで、従来の検査の信頼性が問われそうだ。
玄海原発1号機は三菱重工業が設計・建設した。九電は原発の健全性を評価するため、圧力容器と同じ材質の試験片を長さ約3.3メートルのカプセルに入れ、圧力容器内側に固定。数年〜十数年ごとに試験片を取り出し脆性遷移温度を調べている。
井野氏らの分析によると、試験片のうち、鋼材をつなぎ合わせた溶接部分周辺(熱影響部)の脆性遷移温度が、鋼材本体(母材)に比べ数十度低かった。熱影響部の方が脆性遷移温度が低く、健全性が保たれていることは異例。さらに、両者の温度差がこれほど開くこともまれで、総合すると、鋼材の場所により材質の組成が異なる可能性が高いと考えられる。
また、試験片母材の脆性遷移温度は1993年に56度だったが、2009年には98度に上昇。理論上、十数年でこうした急上昇は考えにくく、同様に検査箇所により組成が異なる可能性を示唆しているとみられる。
井野教授は「(運転を開始した)1970年代の原子炉の製造技術は未熟。鋼材の製造過程の欠陥も考えられ、耐久性も疑問だ」と指摘。安全性を確認するまで停止するよう主張している。
九電は同教授の指摘に対し「鋼材の組成に不均質な部分があったとしても、脆性遷移温度の急上昇の主な要因とは断定できない」と話している。
1号機の脆性遷移温度の急上昇については、研究者の間で圧力容器が想定以上に劣化している可能性を指摘する声があり、佐賀県は九電に関連データの開示を要請。7月中旬に同社が公表した数値をめぐり、県は近く専門家会議を設置し、あらためて評価を求める。
◇脆性遷移温度
鋼鉄は高温では軟らかく粘り強いが、低温では硬く割れやすい。脆性遷移温度は原子炉圧力容器の鋼鉄が割れやすくなる境界の温度。圧力容器は長年にわたる運転で中性子を浴びる量が多くなるほど劣化し、高温でも壊れやすくなるとされる。大地震などのトラブル発生時は、制御棒で核分裂を止めるとともに圧力容器を大量の水で冷却するが、鋼材が劣化していた場合、急激な冷却で損傷する危険性が高まる。
水力発電(Hydro Power) 詳細解説
"水力発電は、高い場所から落ちてくる水の力で水車を回し、その回転で電力を発生させるシステムだ。水の量が多く、落差が大きいほど大きな電力が得られる。他の電源と比較して短時間(3分から5分)で発電開始可能であり、電力需要の変化に素早く対応(出力調整)が可能であるという特徴がある。日本は、山に囲まれた地形と水に恵まれた自然環境にあり、水力発電に適しているといわれる。水力発電は、利用面からは1) 流れ込み式(水路式)、2) 調整池式、3) 貯水池式、4) 揚水式に分けられるが、揚水式は夜間などに下池の水を上池に揚げ、必要な時に放流して発電するため区別され、それ以外が一般水力と呼ばれる。
保安院:「やらせ」で批判受け陳謝…寺坂院長が会見
2011年7月29日 22時19分 更新:7月30日 2時33分
「やらせ問題」を受け、会見する経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長=2011年7月29日午後9時40分、足立旬子撮影 「やらせ」問題を受け、原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は29日午後9時半から緊急会見し、「(やらせが)指摘されたこと自体、中立、公正な判断を旨とする保安院にとって深刻な事態。事実なら国民の皆さまに大変申し訳ないと思う」と陳謝した。進退や責任問題については「第三者委員会の調査結果を踏まえて判断する」と述べ、明言を避けた。
保安院は当初、海江田万里経産相が第三者委員会設置を説明したのを踏まえ、「それ以上の話はない」として、寺坂院長の会見を拒んだ。しかし、中部電力が「やらせ」を要請した保安院職員を特定しているため、報道陣から寺坂院長の説明を求める要望が相次いだ。一転して会見した理由を、寺坂院長は「批判を受け、改めて検討した」と釈明した。
一方、「第三者委員会の調査には全面的に協力する」とし、内部調査の実施については「第三者委員会で一元的に調査するのが望ましい」として否定。「いま一度、原点に立ち返り使命感を持って職務に精励することが大切だ」と述べた。指摘された中部電力と四国電力の両原発でのやらせについて、「記憶を呼び起こしているが、そのようなことが行われたという認識はない」と強調した。【比嘉洋】
浜岡07年シンポ:「参加者半数、関係者」…中部電幹部
2011年7月30日 2時7分 更新:7月30日 2時12分
原子力安全・保安院による「やらせ依頼」が明るみに出た07年8月の中部電力浜岡原発のプルサーマルシンポジウムは、参加者524人の約半数が同社社員や協力会社関係者で占められていた。同社幹部が毎日新聞の取材に明らかにした。会場の静岡県御前崎市周辺は、同社と取引のある下請け会社も多く、「住民」を難なく動員できる実態がある。【丸山進】
中部電の水野明久社長は29日の会見で「いろいろな人に出てもらいたいという意識は保安院も我々も共通」と述べ、関係者の動員自体は問題ないとの認識を示した。
浜岡原発で働く同社関係者は社員と下請け会社を含めて約2800人。「市内のほとんどの会社は浜岡原発と多少なりとも取引がある」(御前崎市商工会)ほど影響力は強い。
中部電子会社の下請けで原発内に事務所を置く会社の幹部は問題のシンポに関し「案内は来たが中部電からの参加要請はなかった。しかし、自分たちの仕事を確認する意味でもいつも協力しており、当日も数人が参加した」と話した。
同社は保安院が求めた「やらせ質問」は拒否したという。水野社長は会見で「02年にコンプライアンス(法令順守)推進会議を設置したことが機能した」と胸を張った。
だが、問題のシンポの1年前の06年9月には「やらせ」問題もあった。プルサーマル計画への住民理解を求める全戸訪問の際、報道各社に同社OBを「住民代表の自治会長」と紹介したことが批判を浴びた。
同社幹部は「この一件があり、今回も質問者を仕込むのは良くないという話になった」と証言。同社の元幹部は「現場と保安院はいわば『一心同体』。人集めくらいは頼むだろう」と述べ、やらせが実行されなかったことに胸をなで下ろした。
菅首相:「存在問われる問題だ」と批判 保安院やらせ質問
会見で質問に答える菅直人首相=首相官邸で2011年7月29日午後9時24分、藤井太郎撮影 菅直人首相は29日の記者会見で、経済産業省原子力安全・保安院の「やらせ質問」問題で「徹底的な究明と厳正な対処が必要だ。原子力の安全を担当する行政として矛盾するようなことをやっていたとすれば、まさに保安院そのものの存在が問われる問題だ」と厳しく批判した。細野豪志原発事故担当相も記者団に「仮に保安院から中部電力に示唆があったなら、一番悪い部分が出たんだろうと思う。一番懸念されていたことが起こった可能性がある」と指摘。経産省から保安院を分離する方針について「方向性として間違ってない」と強調した。【宮城征彦】
再稼働容認する声も必要…佐賀知事が九電側に
読売新聞 7月30日(土)18時8分配信
玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働を巡る九州電力の「やらせメール」問題で、佐賀県の古川康知事は30日、臨時記者会見を開き、6月21日午前に段上(だんがみ)守・副社長や大坪潔晴・佐賀支店長(いずれも当時)ら九電側の3人と面会し、その際、同26日の国主催の説明会番組が話題となり、知事自身が「再稼働を容認する経済界の声を出していくことも必要」などと発言したことを明らかにした。
面会後、その日のうちに3人は賛成意見の投稿を増やすとの認識で一致し、社員を通じて社内外に投稿要請していた。メール問題を調査している九電の第三者委員会(郷原信郎委員長)も同日、記者会見を開き、知事の発言について、「今回の(やらせメール)問題の引き金になった可能性は十分にある」と指摘した。 .最終更新:7月30日(土)21時30分
保安院やらせ指示、四国電も 住民、依頼通り発言
2011年7月30日03時00分
印刷するこの記事をスクラップ. 経済産業省原子力安全・保安院が原子力関連の国主催シンポジウムで、中部電力に参加者動員と発言を指示していた問題で、四国電力でも保安院がやらせを指示していたことが明らかになった。九州電力に端を発した原発のやらせ問題は、原発を規制する立場の保安院まで関与していたことが発覚。原子力を取り巻く不透明な癒着の構図が浮き彫りになってきた。
経産省は九電の「やらせメール」の問題を受け、過去5年、計35回の国主催の原子力関連シンポジウムについて、電力7社に調査を指示。29日に各社が報告した。海江田万里経産相は、記者会見で「極めて深刻な事態。徹底解明したい」と述べ、第三者委員会による調査を指示した。8月末までに結果を出す方針だ。
新たに保安院のやらせ指示が発覚したのは、2006年6月に四電伊方原発のある愛媛県伊方町で開催されたシンポジウム。中部電と同様、使用済み核燃料をリサイクルして使う「プルサーマル発電」の是非をめぐる重要な説明会だった。
四電によると、保安院から「多くの参加者を募り、質問や意見が多く出るように」と要請され、四電や関連会社の社員ら計364人に参加を依頼。地元住民ら29人には、例文を示しながら発言を頼んだ。
四電は来場者の半数程度の約300人を動員。住民らが「プルサーマルを導入してもガスの発生などウランと変わらないと聞いてちょっと安心した」など、例文に沿って発言した。
中部電のやらせシンポは、07年8月に中部電浜岡原発のある静岡県御前崎市であった。保安院の指示で社員や下請け業者、町内会長らを動員しており、中部電の水野明久社長は、記者会見で「深く反省している。今後は公正さに疑いが持たれることがないよう責任を持って指導していく」と強調した。
ただ、中部電は会場でのやらせ発言については「法令順守の面で問題」と判断し、保安院の指示に従っていない。四電のシンポは報告事例の中で最も悪質といえるが、四電は「誤解を招く行為で申し訳ない。質問の内容は強制しておらず、やらせ行為にはあたらないと思う」(広報担当)と説明している。
一方、九電は、今回の報告には入れなかったが、資源エネルギー庁職員から「なるべく空席がない方がいい」という言い方で動員を依頼されていたことを明らかにした。今回の報告には、10年5月に鹿児島県であった原発増設の公開ヒアリングで、陳述人20人のうち15人が、同社の要請で意見を述べていたことを盛り込んだ。
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中部電力社長、動員謝罪 やらせ回避「順法意識働いた」
2011年7月30日03時00分
印刷するこの記事をスクラップ. 中部電力の水野明久社長は29日の記者会見で、シンポジウムに際し、経済産業省原子力安全・保安院から動員を指示され、自社や関連会社などに参加を呼びかけたことについて、「議論を誘導しようとしていると誤解を持たれたことは、深く反省したい」と謝罪した。
動員について、水野社長は保安院の指示は無関係とした上で「空席を埋めたいという意識はあった」。会場でのアンケートでは、回答者の6割がプルサーマル発電の必要性を「理解できた」と答えた。動員が、この結果に影響を与えた可能性がある。
一方、「やらせ発言」の指示には、地元住民向けに原発肯定の発言文案も作ったが、浜岡原発トップの水谷良亮専務らが「やらせはまずい」と判断。保安院に断りを入れた。水野社長は「コンプライアンス(法令順守)意識が働いた結果」と話した。
中部電は2週間かけ、約50人の社員らに事情を聴いたほか、原子力部門の在籍者約1千人、関連会社33社を対象にアンケートも実施。その結果、保安院とやりとりをする立場にあった社員が「やらせの依頼があった」と答えたという。
証拠になる文書などは残っていなかったが、証言が詳細で具体的だった。別の複数の社員からも裏付けが取れた。ただ、保安院の指示を公表することは、所管官庁に対する「告発」だ。目指す浜岡原発の再起動に、影響を与えかねない。
水野社長は「事実を粛々と報告しただけ。(浜岡の再起動は)津波対策をきちんと実施することに尽きる」と述べるにとどめた。だが、ある中部電幹部は「国に意地悪されることも考慮に入れ、社長は相当悩んだはずだ」と明かす。
別の首脳は、公表するかどうか社内で激論があったことを示唆。最終的に公表した理由を「隠せるものではない。後で表に出たら会社がつぶれる」と語った。(久保智)
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静岡で震度5弱=浜岡原発に異常なし—5人が軽傷
時事通信 8月2日(火)0時11分配信
1日午後11時58分ごろ、東海地方を中心に地震があり、静岡市駿河区や静岡県焼津市などで震度5弱の揺れを観測した。気象庁によると、震源地は駿河湾で、震源の深さは約20キロ、地震の規模(マグニチュード=M)は6.1と推定される。この地震による津波被害の心配はないという。
静岡県によると、2日午前1時20分時点で、同県内で5人がけがをしたとの報告があった。いずれも軽傷という。
中部電力によると、全ての原子炉の運転を停止している浜岡原発(静岡県御前崎市)は、現時点で異常は見られないという。
一方、JR東海は点検のため、2日の東海道新幹線の始発から三島—浜松駅間で徐行運転を行う。
駿河湾では2009年8月11日にM6.5、最大震度6弱の地震、静岡県東部では今年3月15日にM6.4、同6強の地震が起きた。しかし、気象庁はいずれも近い将来に起きると想定されるM8級の東海地震には結び付かないとの見解を示している。
主な各地の震度は次の通り。
震度5弱=静岡市駿河区、静岡県焼津市、東伊豆町
震度4=静岡県御前崎市、東京都神津島村、横浜市南区、甲府市、長野県松本市
震度3=静岡県熱海市、東京都千代田区、川崎市川崎区、山梨県大月市、長野市、さいたま市中央区、千葉県市原市、岐阜県中津川市、名古屋市南区、滋賀県長浜市。
大原麗子さん、浅野内匠頭の子孫だった
2011.8.1 09:24
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大原麗子さん
一昨年8月に不整脈による内出血のため亡くなった女優、大原麗子さん(享年62)の三回忌法要が31日、東京・世田谷区の妙壽寺で営まれた。(サンケイスポーツ)
生前、公私ともに親交が深かった俳優、高倉健(80)からは線香が届けられ、大原さんの実弟の大原政光氏(62)は「姉は先祖から伝わる家系図をもとにした古文書の解読を、健さんに相談したことがある」と秘話を披露した。
健さんが業者に頼んで解読したところ江戸時代の赤穂藩主、浅野内匠頭で知られる浅野家の血縁が確認されたという。赤穂藩士によるあだ討ちの物語「忠臣蔵」で知られる名家とのかかわりに、政光氏は「公にはしなかったが、姉はとても喜んでいた」と知られざる一面を明かしていた。
原発警戒区域の年積算線量、最高508ミリシーベルト
2011年8月20日10時45分
印刷するこの記事をスクラップ. 文部科学省は東京電力福島第一原発から20キロ圏内の警戒区域の積算放射線量を、19日に公表した。原発事故発生から1年間の推計値の最高は、西南西3キロにある福島県大熊町小入野で508.1ミリシーベルトにのぼり、除染作業の困難さが改めて示された。最低は南相馬市小高区の3ミリシーベルト台で、数値にばらつきがあった。
立ち入りが禁止された警戒区域9市町村のうち、8市町村の50地点を調査。事故から来年3月11日までの1年間、毎日、屋外に8時間、木造家屋内に16時間いたと仮定して積算量を推計した。
計画的避難区域指定などの際に目安とされた年20ミリシーベルトを超えたのは、50地点のうち35地点。第一原発のある大熊町では全12地点が20ミリシーベルトを超え、うち7地点で100ミリシーベルト以上となった。最も高い同町小入野の508.1ミリシーベルトは、一般の人が浴びる人工の放射線量の限度1ミリシーベルトの500年分にあたる。この付近は、国道近くの平野部。
浪江町では最高が北西20キロの川房で223.7ミリシーベルト、最低は北8キロ地点の4.1ミリシーベルト。
文科省によると、原発から3キロ圏内の避難住民の一時帰宅が検討されており、参考にするという。
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「原発怖かった」浜岡から移転、ねむの木学園・宮城園長
2011年8月15日03時00分
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浜岡原発のそばにあった「ねむの木学園」について話す宮城まり子さん=静岡県掛川市のねむの木村.
「私立ねむの木養護学校」の立て看板を書く宮城まり子さんと子どもたち=1979年4月、静岡県浜岡町(現・御前崎市).
「ねむの木学園」の園舎と庭。中央左の長い髪の女性が園長の宮城まり子さん=1974年10月、静岡県浜岡町(現・御前崎市).
静岡県浜岡町(現・御前崎市)に日本初の肢体不自由児の養護施設「ねむの木学園」ができたのは、1968年のことだ。間もなく、2キロほど先に原発ができた。4号機まで増設され、宮城まり子園長(84)は移転を決めた。「怖くて移ったんです」。今、福島の原発事故に苦しむ子どもの受け入れを考えている。
45年8月9日、宮城さんは父の再婚相手の住む長崎県佐世保市にいた。
佐世保駅は、爆心地の長崎市から逃げてきた被爆者たちであふれていた。顔が丸く腫れ上がり、水を求めてうめく人々。バケツの水を手ですくって飲ませ、被爆して汚れた顔を服でぬぐってあげた。
戦後に歌手デビューし、紅白歌合戦にも出場した。ミュージカルの役作りで、脳性まひの子どもの施設を訪ねたのをきっかけに、私財を投じて学園をつくった。「長崎での体験で、苦しむ人を助けずにはいられない性格になりました」
浜岡町を選んだのは、砂丘があったから。「転んでもけがをしないように」との思いからだ。
当時から学園で暮らすヒデトシさん(51)は、広島の原爆とビキニ環礁の水爆実験で2度も被爆した父を持つ。力の入らない足で砂丘を登り、初めて見た海は「青かった」と振り返る。
だが、中部電力が初めて手がける浜岡原発計画が進んでいたのを、宮城さんは知らなかった。
71年、1号機が着工。93年までに1〜4号機が次々に運転を始めた。宮城さんは「雑誌の取材で原発に行ったこともあったけど、科学のいい面ばかりを教えられた」。町の広報紙も当時、「放射能の心配はない」「万全を期した安全対策」とうたっていた。
だが海外では、79年に米国のスリーマイル島、86年に旧ソ連のチェルノブイリと原発事故が相次ぎ、宮城さんは不安に包まれた。
「浜岡にも次々に原発ができている。子どもの目に入れたくない」と、約25キロ離れた静岡県掛川市の山あいに97年、「ねむの木村」をつくった。「でもね、国や県が進めた原発なのに『怖くて逃げる』なんて、当時は言えませんでした」
ねむの木村には、障害のある子ども約50人、大人約20人が穏やかに暮らす。
東日本大震災で起きた福島第一原発の事故を見て、「子どもたちのために、移転しておいて良かった」との思いをかみしめる。
今回、被災して福島から避難した子どもを思うと、胸がうずく。「古里を離れたくない子も多いはずです」。希望があれば、15人程度なら学園で預かりたいという。(工藤隆治)
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-福島第1原発-放出セシウム…広島原爆の168個分
毎日新聞 8月26日(金)22時28分配信
経済産業省原子力安全・保安院は26日、東京電力福島第1原発1〜3号機と広島原爆から、それぞれ大気中に放出された放射性物質の核種ごとの試算値を公表した。セシウム137(半減期約30年)の放出量を単純比較すると、福島第1原発は広島原爆の168.5個分に相当する。
◇保安院が試算
試算値は衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会に提出された。原爆は「原子放射線の影響に関する国連科学委員会2000年報告」、福島第1原発は、6月に国際原子力機関(IAEA)に提出された政府報告書の試算を基に作成された。
セシウム137の放出量は、福島第1原発1〜3号機が1万5000テラベクレル(テラは1兆)に対し、広島原爆は89テラベクレルだった。ストロンチウム90(半減期約29年)は、福島第1原発が140テラベクレルに対し、広島原爆が58テラベクレルで約2・4個分。ヨウ素131(半減期約8日)は、福島第1原発が16万テラベクレル、広島原爆は6万3000テラベクレルで約2・5個分に相当した。
保安院の森山善範原子力災害対策監は「原子爆弾は一瞬に爆風や熱線、中性子線を放出し、破壊するもので、単純に放出量で比較するのは合理的ではない」と述べた。【足立旬子】
1年間積算500ミリのデータ 文部省-rad-1年間積算福島1750_081914.pdf
東京電力株式会社福島第1及び第2原子力発電所周辺の放射線量等分布マップ(平成23年8月)
-福島原発-近くの5断層「考慮すべき」と新評価
毎日新聞 8月30日(火)19時19分配信
東京電力は30日、福島第1・第2原発近くの5断層について、「耐震設計上考慮すべき活断層である可能性が否定できない」と新たに評価したことを発表した。両原発近くで活動しないと考えられていた「湯ノ岳断層」(福島県いわき市)が東日本大震災の余震でずれ、経済産業省原子力安全・保安院が電力各社に同様のケースの調査を指示していた。
東電は、固着状態などから従来はずれないと考えられた断層12カ所を調査。湯ノ岳を含む5カ所(長さ約44キロ〜5キロ)について、震災後の地殻のゆがみや地震活動の活発化から、今後動く可能性があると再評価した。いずれがずれた場合も、両原発で想定する最大の揺れ(基準地震動)を下回るという。
一方、柏崎刈羽原発(新潟県)でも再評価したが、活動する可能性のある新たな断層は見つからなかった。東電は30日、保安院に再評価結果を報告した。【林田七恵】
国の関与3件、疑い5件=原発シンポ「やらせ」—第三者委
時事通信 8月30日(火)20時53分配信
原発関連シンポジウムの「やらせ」問題で、経済産業省が設置した第三者調査委員会は30日、中間報告を発表した。報告は九州電力玄海原発、四国電力伊方原発、中部電力浜岡原発のプルサーマル計画をめぐるシンポ3件で、経産省の原子力安全・保安院がやらせに関与したと認定。ほかに、国が関与した疑いのある説明会が5件あることも指摘した。第三者委は9月末をめどに最終報告をまとめる予定だ。
関与が認定された3件は、2005年10月2日に佐賀県玄海町、06年6月4日に愛媛県伊方町、07年8月26日に静岡県御前崎市で、経産省が主催した。各電力の担当者がそれぞれ開催前に打ち合わせで保安院の原子力安全広報課を訪ねた際、当時の課長らが参加者動員や賛成意見の表明などを依頼したという。
一方、国の関与の疑いが指摘された5件は、3件が保安院、2件が経産省の資源エネルギー庁。同庁の2件は、10年5月18日に鹿児島県で開かれた九電川内原発3号機の増設に関する第1次公開ヒアリングと、今年6月26日の九電玄海原発2、3号機の再稼働問題をめぐる佐賀県での住民向け説明番組という。 .最終更新:8月30日(火)20時53分
-急性白血病-福島第1原発作業員が死亡 東電が発表
毎日新聞 8月30日(火)13時0分配信
東京電力は30日、福島第1原発で作業に携わっていた40代の男性作業員が急性白血病で死亡したと発表した。外部被ばく量が0.5ミリシーベルト、内部被ばく量は0ミリシーベルトで、松本純一原子力・立地本部長代理は「医師の診断で、福島での作業との因果関係はない」と説明した。
東電によると、男性は関連会社の作業員で8月上旬に約1週間、休憩所でドアの開閉や放射線管理に携わった。体調を崩して医師の診察を受け急性白血病と診断され、入院先で亡くなったという。東電は16日に元請け企業から報告を受けた。事前の健康診断で白血球数の異常はなく、今回以外の原発での作業歴は不明という。【林田七恵
クローズアップ2011:内部被ばく 東電、甘い計算法主張
福島第1原発1号機原子炉建屋の1階で圧力計を設置する作業員ら=2011年6月3日、東京電力提供 ◇厚労相「内部被ばく100ミリシーベルト限度」
東京電力福島第1原発で、限度を超えた被ばくをする作業員が相次いでいる。特に放射性物質を体内に取り込む内部被ばくが深刻だ。細川律夫厚生労働相は14日、内部被ばくが100ミリシーベルトを超えた人を作業から外すよう東電に指示したが、被ばく量の算定を巡って東電と厚労省が対立、作業員の安全を優先した対策が遅れた。作業の長期化が避けられない中、被ばくの実態把握さえおぼつかない現状は、東電が工程表で公約した復旧作業にも影響しかねない。
◇根拠薄い「政治判断」
「東電は当初、内部被ばく線量を甘い方法で計算していた」。厚労省の幹部は憤る。
福島第1原発の作業員から緊急時の上限の250ミリシーベルトを超える被ばくをしたとみられる2人の存在が発覚した5月30日には、内部被ばくの線量は不明だった。線量計算を巡り厚労省は、同原発で最初に水素爆発があった3月12日を起算点にするよう東電に求めた。しかし、東電側は「いつ内部被ばくしたかは不明。3月末まで作業したなら震災当日と月末の中間の3月21日前後を起算点にすべきだ」などと主張した。
内部被ばくは「ホールボディーカウンター」という機器を使い、ある時点の線量を測った上で過去にさかのぼって総量を積算する。さかのぼる期間が長いほど積算線量は高くなるため、東電側の計算では厚労省より積算線量が低くなる。厚労省労働基準局の職員は「厳しく計算するよう説得したが向こうも譲らず、にらみ合いが続いた」と証言する。
ただ、東電の測定値は「暫定値」で、最終的な線量は放射線医学総合研究所(放医研)が精密に検査し算出する。放医研は厚労省と同じ起算点を用いて6月10日、2人の内部被ばくを590〜540ミリシーベルト、外部被ばくと合わせて678〜643ミリシーベルトで確定させた。
東電も最終的には放医研に合わせて計算し直して13日に同省へ報告、新たに6人の上限超えが判明した。
一方、細川厚労相が「内部被ばくの限度は100ミリシーベルト」と指示したのは根拠の薄い「政治判断」だった。
最初の上限超え発覚後、厚労省は同様の作業をしていた約130人の内部被ばく線量を測るよう東電に指示し、6月3日に報告させた。この時点では新たな上限超えはいなかったが、100ミリシーベルト超が3人いた。当時は線量計算を巡り東電と争っていた時期で、厚労省は「100ミリシーベルト超の3人も最終的に上限超えの可能性が高い」と判断、作業から外すよう指示していた。
その後、東電が計算し直した13日の報告を同省は「実態に近い」と評価。この報告では新たな上限超え6人のほか、200ミリシーベルト超の作業員が6人いたため、この6人も念のため作業から外すよう事務レベルで指示した。
しかし、細川厚労相は「100ミリシーベルト超」で作業から外した3日の指示にこだわり、事務レベルの指示を変更した。基準が後退したと受け取られるのを恐れたとも見えるが、労基局の高崎真一・計画課長は「東電の対応が遅れがちな点も踏まえた政治判断」と説明した。【井上英介】
◇基準高すぎる
元原発作業員が東電に損害賠償を求めた訴訟で原告代理人を務めた鈴木篤弁護士は「原告は年間70ミリシーベルトの外部被ばくで多発性骨髄腫が労災認定されたが、5ミリシーベルトで白血病が労災認定されたケースもある。今回の内部被ばくには絶句するしかない」と話す。その上で「100ミリシーベルトという基準は高すぎる。そもそも、内部被ばくの基準がなかったのは大問題だ」と指摘している。
◇3月の作業員、2割未検査
被ばく線量が250ミリシーベルトを超えた作業員8人は、事故発生直後に構内で作業していた。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「発生から1週間はマスク着用の徹底や空気中の放射線測定ができていなかった」と説明する。
最初に250ミリシーベルトを超えたことが判明した2人は、3、4号機の中央制御室の運転員で、3月11日はマスクを着けていなかった。新たに判明した6人について東電は「マスク着用の指示は出した」としているが、現場でどの程度徹底されていたかは不明だ。
現状把握も追いついていない。放射性物質がピークだった3月に同原発で作業していた3726人のうち、内部被ばく量が判明しているのは約6割の2367人。残る1359人の半分は検査すら受けていない。
測定器(ホールボディーカウンター)はわずか4台しかない。東電は「よそから運ぶにも専門業者に依頼したり設置場所の補強工事が必要で時間がかかっている」と釈明する。
現場から約20キロ離れた前線基地の「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町)で車両の除染作業に携わる下請け会社の男性(28)は「内部被ばくの基準を設けるのは当然だが、それ以前に検査の環境を整えるべきだ」と訴える。ホールボディーカウンターが足りないためなかなか検査を受けられず、作業員の不満がくすぶっているという。
東電は5月に見直した工程表に「作業環境の改善」を盛り込んだ。休憩所の増設など一部は着手しているが、「上限超え」が増える中、作業に支障が出る恐れもある。
松本本部長代理は会見で「作業員が足りなくなる事態にはならない」と強調した。経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は「作業員が足りなくなれば、他の電力会社などの協力で人材を確保しながら、工程に支障がないよう努めたい」と話す。小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子核工学)は、「東電や政府はメンツをかけて工程表通りに復旧を進めようとしているが、作業員の人命や健康を軽視している」と憤る。【岡田英、久野華代、袴田貴行、河内敏康】
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■福島第1原発での限度を超えた被ばくを巡る動き■
4月27日 50代女性社員が法定の限度(女性は3カ月で5ミリシーベルト)を超える17.55ミリシーベルトの被ばくと東電が発表
5月 1日 40代女性社員が7.49ミリシーベルトの被ばくと東電が発表
30日 30代と40代の男性社員が、緊急時被ばく限度の250ミリシーベルトを超える被ばくの可能性があると東電が発表
6月 7日 厚生労働省が労働安全衛生法に基づき福島第1原発に立ち入り調査
10日 放射線医学総合研究所の評価で30代社員の被ばく量は678ミリシーベルト、40代社員は643ミリシーベルトと判明。経済産業省原子力安全・保安院が東電を厳重注意。厚労省が是正勧告
13日 新たに6人が250ミリシーベルトを超えた可能性があると厚労省が発表
14日 細川律夫厚労相が、内部被ばくが100ミリシーベルトを超えた作業員は作業から外すよう東電に指示
毎日新聞 2011年6月15日 東京朝刊
第一原発で津波10m超、東電が08年試算
2011年8月25日 8:41 ブックマーク 「東京電力」は24日、福島第一原子力発電所で設計時の想定を大幅に上回る高さ10メートル以上の津波が来るおそれがあると試算していたことを明らかにした。
この試算は、東京電力が08年に行ったもので、福島県沖でマグニチュード8.3クラスの地震が起きたと想定している。この場合、福島第一原発の津波の高さは10メートルを超え、設計時の想定である5.7メートルを大幅に上回るおそれがあるとの結果が得られた。また、場所によっては津波が15メートルの高さまで駆け上がるとする試算も出ていた。しかし、この試算は東日本大震災の4日前まで国に報告されず、津波対策の強化にも生かされなかった。
東京電力は「試算の信頼性を評価する必要があり、すぐに反映できるものではなかった」などと説明している。
東電福島原発、2008年に「津波10m」試算
.「津波 10m 東電」の記事をお探しですか?最新関連記事が 5 件 あります。 福島原発
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、東電が、同原発に従来の想定を超える10メートル以上の津波が到来する可能性があると2008年に試算していたことを、政府の事故調査・検証委員会(委員長=畑村洋太郎・東大名誉教授)に説明していたことが分かった。
東電はこの試算結果を非常用ディーゼル発電機の位置を高くするなどの津波対策に結びつけていなかった。速やかに対策が取られていれば、今回の事故被害を小さくできた可能性もあり、事故調は詳しい経緯を調べている。
東電は、土木学会が02年2月にまとめた指針「原子力発電所の津波評価技術」に基づき、福島県沿岸部に津波を引き起こす地震は1938年の「塩屋崎沖地震」が最大級だと仮定。同原発での津波の高さを最大5・7メートルと計算し、冷却水(海水)をくみ上げるポンプの電動機の位置をかさ上げするなどの対策を取ってきた。だが東日本大震災で襲来した津波は14〜15メートルに達したため、非常用発電機が浸水して全電源を喪失し、炉心の溶融を招いた。
国の耐震設計審査指針が改定された06年9月、経済産業省原子力安全・保安院は電力各社に、各原発の耐震安全性を再評価(バックチェック)するよう指示した。関係者によると、これを受けて東電は08年夏、福島第一原発で想定される津波の高さについて新たに試算していた。
(2011年8月24日03時03分 読売新聞)
10m津波想定 東電副社長も把握
8月25日 17時12分
東京電力が、福島第一原子力発電所で設計段階の想定を超える10メートル以上の津波が来る可能性があるという試算を3年前に行っていたにもかかわらず、国への報告が東日本大震災発生の直前だった問題で、試算した当時、その結果が東京電力の副社長にも伝えられていたことが分かりました。
福島第一原発では、設計段階の想定の5.7メートルを大幅に超える10メートル以上の津波が来る可能性があるという試算が3年前の春行われましたが、東京電力が国に報告したのは東日本大震災発生の4日前に当たる、ことし3月7日だったことが、24日に明らかになりました。この試算結果について東京電力は、原発の津波対策に取り組んでいる土木学会に調査を委託しましたが、当時の武黒一郎副社長にも伝えられていたことを明らかにしました。東京電力の松本純一本部長代理は「試算は仮定を積み重ねた計算で、具体的な根拠がないので外部には公表しなかった」と述べました。一方、原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、国への報告が震災の直前だったことについて「試算であっても評価の材料になるから、東京電力は早く報告すべきだった。結果的に津波対策は不十分だったと考えている」と述べて批判しました。枝野官房長官は記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所で、設計段階の想定を越える10メートル以上の津波のおそれがあるという試算が3年前に行われていたことについて、「事前に大規模な津波が到来する可能性を、東京電力は2008年に認識していたと聞いている。十分に対応する時間的な余裕があり、認識しながら対応できていなかったことは、たいへん遺憾だ」と述べ、東京電力の対応を批判しました。そのうえで枝野官房長官は「予測をしている情報が調査を踏まえないと出てこなかったこともたいへん遺憾だ。引き続き、政府が設置した『事故調査・検証委員会』には、これまで明らかになっていない事実関係について、できるだけ広範かつ詳細に検証してもらうことを期待している」と述べました。
深層崩壊に関する全国マップについて平成22年8月11日
このたび、深層崩壊*1に関する調査の第一段階として、過去の発生事例から得られている情報をもとに深層崩壊の推定頻度に関する全国マップを作成しました。今後このマップに基づき、地域レベル、小流域レベルでの評価のための調査を行います。
記
1. 明治期(1868年)以降に発生した深層崩壊*2は、隆起量が大きい地域や特定の地質に分類される地域で多いことが分かりました*3。これらの結果から日本全国の深層崩壊の発生頻度を推定した深層崩壊推定頻度マップを作成しました。
2. このマップは、簡易な調査により深層崩壊の相対的な発生頻度を推定したものであり、各地域の危険度を示す精度のものではありません。
3. このマップに基づき、国土交通省では、以下のような対応を実施します。
(ア)深層崩壊の頻度が特に高いと推定される地域を中心にさらに調査を実施し、渓流(小流域)レベルで評価します。調査は3年程度を目途に実施します。調査結果は、作業が進んだものから随時公開します。その他の地域については、調査方法の簡素化などを進めながら必要に応じて実施します。
(イ)渓流(小流域)レベルの評価によって、危険と判断された箇所については、必要に応じて天然ダムが形成される可能性などの調査を実施し、周辺や下流の自治体とともに警戒避難対策について検討します。
4. 国土交通省及び独立行政法人土木研究所は、学術的にも未解明な部分が多い深層崩壊について、学会等と連携しながら調査研究を進めるとともに、可能な対策の検討を進めます。
*1:深層崩壊とは、表土層だけでなく、深層の風化した岩盤も崩れ落ちる現象で、発生頻度は表層崩壊によるがけ崩れなどより低いですが、一度発生すると大きな被害を及ぼすことがあります。
*2:崩壊土砂量10万m3以上で、降雨と融雪を原因とする122事例について整理しています。(地震に由来する深層崩壊は含まない)
*3:隆起量は、第四紀(およそ200万年前以降現在までの期間)における隆起量であり、第四紀地殻変動研究グループ(1968)によって作成された集成隆起沈降量図より算出しています。深層崩壊の多い特定の地質とは、付加体(海洋プレートが沈み込む時に、その上の堆積物等が海溝付近で大陸の縁に付加してできた複雑な地層)又は第四紀より前に形成された地層や岩石のことです。
添付資料
記者発表(PDF ファイル150KB)
別紙1深層崩壊推定頻度マップ(PDF ファイル1894KB)
別紙2深層崩壊発生事例(PDF ファイル708KB)
別紙3都道府県別構成比(PDF ファイル85KB)
別紙4深層崩壊発生箇所一覧表(PDF ファイル107KB)
お問い合わせ先
国土交通省河川局 砂防部 砂防計画課 地震・火山砂防室室長 佐藤 一幸
TEL:(03)5253-8111 (内線36151) 直通 03-5253-8468
国土交通省河川局 砂防部 砂防計画課 地震・火山砂防室課長補佐 中村 圭吾
TEL:(03)5253-8111 (内線36152) 直通 03-5253-8468
ベント失敗なら、敷地境界で致死量近くとの試算
読売新聞 9月14日(水)10時40分配信
経済産業省原子力安全・保安院は13日、東京電力福島第一原子力発電所の事故翌日の3月12日午後1時ごろに、格納容器の圧力を下げることができなかった場合、格納容器が破損して、敷地境界の被曝(ひばく)線量が、「数シーベルト以上に達する」と試算していたことを明らかにした。
試算が記されたのは「1号機において耐圧ベントができない場合に想定される事象について」と題された文書。当時、1号機格納容器の内部圧力が高まり、東電は、圧力を下げるため蒸気を逃がす「ベント」を同日午前10時ごろ始めていた。しかし、成功したかの確認に手間取っていた。
文書には「格納容器圧力が設計圧力の3倍になった場合、10時間後(12日午後11時)に大量の放射性物質が放出される」「気象条件によっては発電所から3〜5キロの範囲で著しい公衆被ばくのおそれがある」との想定を盛り込み、対応策として、消防車による注水などを掲げていた。
※1シーベルトは1000ミリ・シーベルト。7〜10シーベルトを浴びるとその場にいる全員が死亡するとされている。 .最終更新:9月14日(水)10時40分
-福島第1原発-ベント失敗なら線量数シーベルトの試算
毎日新聞 9月14日(水)0時28分配信
東京電力福島第1原発事故で、経済産業省原子力安全・保安院は13日、事故発生当初に1号機の格納容器の圧力を下げるベント(排気)が失敗した場合、敷地境界での被ばく線量が「数シーベルト以上に達する」との試算を、3月12日に実施していたと発表した。数シーベルトを全身で一度に浴びると死ぬ恐れがある。
ベントが難航していた12日午後1時ごろ、保安院職員が試算の文書を作成。官邸にいた平岡英治・保安院次長(当時)に知らされ、原子力安全委員会に文書がファクスされた。
試算では、ベントできない状態が続くと、約10時間後の同日午後11時には格納容器内の圧力が上限値(約4.2気圧)の3倍に達して格納容器が破損。大量の放射性物質が放出されると想定した。被ばく線量は敷地境界で数シーベルト以上となり、気象条件次第で原発から3〜5キロで「著しい公衆被ばくの恐れがある」と記している。
東電などによると、1号機は3月12日午前0時6分、格納容器内の圧力が上限値を上回る6気圧になった。午前9時ごろからベント作業を開始。作業に手間取ったが、保安院は「後に格納容器の圧力低下が確認された」としている。【岡田英】
「班目原子力安全委員長vs.政府の醜いバトル」「1・2・3号機ともにメルトダウンしていた事実」・・・国民の安全より情報隠蔽と責任逃れを優先した〝罪の数々〟---だが、まだ終わりではなかった。
「時間はちゃんとは覚えていませんが、その日(3月12日)の夕方6時過ぎくらいだったと思います。(福島第一原子力発電所1号機で)水素爆発があった後、当時は水素爆発だとおぼろげに認識していたくらいですが、私から『海水注入を是非してくれ』と言い出したのは確かです。
『海水注入をするに当たって問題点は何か。爆発みたいなことも起こっているようだから最悪の場合も考えて検討してくれ』というので、塩を入れると流れが悪くなるとか言いました。その中で総理から『再臨界の可能性はあるのか』と聞かれ、私は『再臨界の可能性はもちろんゼロではないです』と答えたのは確かです。実はそれだけの話なんです」
菅首相(右)と枝野官房長官。国会では「言った、言わない」の追及ばかり、虚しく繰り返される(5月23日)〔PHOTO〕鬼怒川?毅 5月22日午後7時過ぎ、東京・文京区の自宅にタクシーで帰宅した原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長(63)は、テンションが高かった。この日の朝、細野豪志首相補佐官(39)は『新報道2001』(フジテレビ系)に出演し、1号機への海水注入が3月12日午後7時25分~8時20分までの約55分間、中断された原因をめぐって、班目氏が菅直人首相(64)に「海水を注入した場合、再臨界の危険性がある」と助言した記憶があると発言していた。
同日、枝野幸男官房長官(46)も同じく、班目氏の助言があった旨、発言をしている。
「細野補佐官に訂正を受け入れてもらった」と意気揚々と語った班目氏のご主張は、要は「言った、言わない」の話にケリがついたということだ。それより、その後に彼が続けた「持論」のほうに、本誌記者は驚きを隠せなかった。
「だいたい私は再臨界は危険だと思っていません。熱的に見たら崩壊熱(注1)とか化学反応による熱のほうがずっと大きく、そもそも原子力というものは臨界になるものです。再臨界=大変なこと、という認識はなしに『再臨界の可能性はゼロではありません』と申し上げた」
「再臨界している可能性は、どの炉もあると思います。だけど実際には、崩壊熱がすごいんですね。これを冷やさないといけない。ジルコニウムという被覆管(注2)と水とが反応した科学発熱も相当なものです。それに比べたら再臨界したからといって、ちょっと中性子が出てくるだけで、熱的には微々たるものです。
皆さんは再臨界すると核爆発を起こすと想像されるみたいですが、軽水炉のシステムではきれいに燃料棒が並び、その間に水がある状態で初めて臨界に達する。これに対して核爆弾はウラン235を濃縮し、九十数パーセントにして、それを固める。核爆発と再臨界とはまったく違うものなんです。再臨界が起こったかどうかは、学問的には面白いと思いますよ」
「もう笑い話だからどうでもいいんですけど、細野補佐官も『再臨界の可能性』と『再臨界の危険性』という言葉が、どれだけ違うか、どうもあまりよくお分かりになっていなかったみたいですね」
〝目隠しして車を運転〟
東京大学工学部附属原子力工学研究施設の教授を務めた班目氏の見解は、正しいのだろうか。本誌には放言に聞こえる。元「バブコック日立」社員として福島第一原発の設計に携わったサイエンスライターの田中三彦氏は、こう指摘する。
「班目さんの発言で唯一、正しいのは、核爆発と再臨界は違うという一点です。制御棒が溶けているから、再臨界が始まればコントロールできず、再臨界によって再び発生した水素が圧力容器から格納容器に流出して大爆発を引き起こしかねないのです。班目さんは、正常な原子炉の中で起きている臨界と、アクシデントによる再臨界が同じであるかのように表現し、専門知識のない記者を煙に巻いているとしか思えません」
班目氏の物の言い方は、「原発存続」を前提とする政府と東電が、3・11以降、国民に向けて繰り返してきた「事態の過小評価」と重なる。本誌は、爆発事故発生直後から「メルトダウン(炉心溶融)」という単語を使って、あり得る危険性について指摘してきたが、1号機の炉心の大半が溶融した=メルトダウンが起きていたことを、東電が初めて認めたのが5月15日。続けて24日に「2、3号機でも核燃料の大半が融け落ちて、原子炉の底に溜まっている」と公表した。事故から2ヵ月以上経ってようやくである(次ページの一覧表参照)。
元東芝で原子炉格納容器の設計に関わってきた後藤政志氏は、5月23日の参院行政監視委員会に参考人として出席した。その後藤氏が、政府・東電の姿勢を〝後出しジャンケン〟と厳しく断じる。
「最初の東電の発表では、『燃料棒は一部露出しているが、だいたい水が入っているからメルトダウンが起こっているはずがない。一部、燃料が損傷しているかもしれない』という表現だったと記憶しています。あの時、燃料棒が長時間にわたって露出しているということは、相当な損傷があると私は考えました。
注水しても圧力容器内の水位に変化(上昇)が見られなかったので、水位計がおかしいか、容器に穴が開いているか、その両方を疑ったのです。今になって東電がメルトダウンを認めたということは、これまでは何も分からないまま闇雲に水を入れて冷却していたということです。目隠しして車を運転していたことになりますね」
放射性物質を含む蒸気を外部に放出して、原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」の判断について、東京電力は5月22日になって初めて「爆発の13時間前には、運転手順書にあるベントを行う圧力近くまで達していた」と発表した(実際にベントを行ったのは爆発の5時間半前)。
本誌が入手した仏「アレバ」の資料。原子力最大手の同社が、根拠もなく「東電のベント方法」を書いたとは思えないが これから提示する疑惑は、ベントの「時間について」ではなく、「方法について」である。それを認めれば原発を稼働させる電力会社が、素人同然の判断で水素爆発を引き起こし、広く放射性物質をまき散らした事実が確定する。
本誌が入手したのは、世界最大規模の原子力企業「アレバ」(仏)が、4月に米国で行った、招待者だけが参加できる限定的な報告会で配られた資料である(右写真)。アレバの資料を、前出の田中三彦氏に読み解いてもらった。
「水素爆発がオペレーションフロア(注3)で起きたことは判明していますが、この資料には〈ベントした放射性物質を含んだ水蒸気をオペレーションフロアに向けて吐き出した〉とあります。東電は、水蒸気をフィルターにかけて煙突から外に出した旨の説明をしていたはず。
私も驚いて、間接的に東電に確認してもらうと、『何かの間違いです』との回答でした。しかし、原子力の専門家集団であるアレバが、間違いなくそう書いている。資料のとおり、3月12日午後2時半に建屋内でベントを行い、3時36分に爆発したとすると、辻褄は合うんです」
彼らにとっての「名誉」
また、マサチューセッツ工科大学(MIT)で原子力工学を研究する学生らによる"MIT Nuclear Science and Engineering"と題されたブログにも、爆発に至る〈確証はないが有力な説明〉との断り付きで、興味深い見解が記載されている(以下は意訳)。
〈蒸気の放出路として、格納容器の上側、建屋内の空間に通じるパイプが選ばれた。この時、水素ガスと蒸気が建屋の上部で空気と混ざった。この段階では水素と空気中の酸素は大量の蒸気と混合しているため爆発しない。だが、建屋上部は天候の影響で格納容器より温度が低い。蒸気は水へと凝縮し、水素と空気の混合物の濃度が増していった。この状態がある程度続いた後、何らかの発火要因(設備のスパークなど)で爆発が起きた。これが1、3号機で起きたのではないか〉
アレバとMITの学生の指摘どおりだとすれば、「酸素がたくさんあるオペレーションフロアに向けて水素を吐き出すのだから、水素爆発が起きるのは当然。素人同然のレベル」(田中氏)だという。
田中氏の仮説は、
①オペレーションフロアから煙突に向かう排気管があるため、いったんオペレーションフロアに蒸気を流した、②燃料棒の一部が露出する程度に水位が減っているのは分かっていたが、それほど水素は発生していないと甘く見た—というものだ。
「アレバが書いたことが正しく、『あまりに幼稚なことをやってしまった』と、東電が隠している可能性は捨て切れません」
東京電力広報部は「当社のベントは、格納容器内の気体を排気筒までつながるベントラインを通じて外に放出する行為なので、建屋内に蒸気を放出した事実はない。アレバ、MITの見解についてはコメントする立場にない」と回答した。
本誌が自宅前で話を聞く前、班目氏は新聞・テレビの記者を前に、オフレコを条件にこんな発言をしていた。
「(原子力安全・)保安院が自分たちに都合の良い情報を細野氏に吹き込んでいるのだろう。自分たちの初動のミスを隠すために、私をスケープゴートにしようとしている。私たちも、首相官邸も、東電もメルトダウンを認めているのに、保安院だけはっきりしない。裁判にしてでも、学者としての名誉を守るために戦う」
彼らにとっての〝名誉〟とは何だろう。緊急事態でも国民にあり得べき可能性を説かない学者の慎重さだろうか。たとえ危険をまき散らしても、〝お家大事〟と組織を守る忠誠心だろうか---。確実に歴史に刻むべきなのは、政府・東電・御用学者の知識と力が、国民の生命を守る方向にまったく働かなかった事実である。
東電の賞与回復「認められない」 調査委関連トピックス原子力発電所東京電力.
東京電力が来年度から3年間の電気料金の値上げ終了後に、半減中の一般社員の賞与水準を元に戻そうとしている問題で、政府の第三者機関「東電に関する経営・財務調査委員会」は14日の非公式会合で、「15年度に賞与水準を回復することは認められない」との考えで一致した。
15%という電気料金の値上げ幅についても、委員から批判的な声があった。ただ、値上げの理由としている火力発電所の燃料費の増加が、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の行方に左右されるなど見通しが不透明なため、是非の判断は先送りした。
東電は賠償や事故対応の費用を捻出するリストラの一環として、7月から一般社員の賃金の5%、賞与の5割を削減中。賃金カットは賠償が終わるまで続ける方針だ。ただ、原発事故の収束や電力供給にあたる社員の士気を保つため、さらなる給与水準のリストラについては否定的な声もある。(福田直之)
資源エネルギー庁総合政策課
根拠法令 経済産業省設置法第18条
電話番号 03-3501-5964
設置年月日 2001/01/06
所掌事務 経済産業省設置法第19条抜粋 (総合資源エネルギー調査会)第十九条 総合資源エネルギー調査会は、次に掲げる事務をつかさどる。一 エネルギー政策基本法(平成十四年法律第七十一号)第十二条第一項に規定するエネルギー基本計画に関し、同条第三項に規定する事項を処理すること。一の二 経済産業大臣の諮問に応じて鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保並びにこれらの適正な利用の推進に関する総合的な施策に関する重要事項(次号に規定する重要事項を除く。)並びに高圧ガス及び火薬類の保安に関する重要事項を調査審議すること。二 経済産業大臣又は関係各大臣の諮問に応じて石油の割当て又は配給その他石油需給適正化法(昭和四十八年法律第百二十二号)の運用に関する重要事項を調査審議すること。三 前三号に規定する事項に関し、経済産業大臣又は関係各大臣に意見を述べること。四 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(平成十四年法律第六十二号)、石油及び可燃性天然ガス資源開発法(昭和二十七年法律第百六十二号)、石油の備蓄の確保等に関する法律(昭和五十年法律第九十六号)、揮発油等の品質の確保等に関する法律(昭和五十一年法律第八十八号)、電源開発促進法(昭和二十七年法律第二百八十三号)及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和四十二年法律第百四十九号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。2 総合資源エネルギー調査会の委員その他の職員で政令で定めるものは、経済産業大臣が任命する。3 前二項に定めるもののほか、総合資源エネルギー調査会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他総合資源エネルギー調査会に関し必要な事項については、政令で定める。
総合部会、需給部会、省エネルギー部会、省エネルギー基準部会、新エネルギー部会、原子力安全・保安部会、都市熱エネルギー部会、鉱業分科会(レアメタル対策部会)、石油分科会(石油部会、開発部会)、石油需給調整分科会、電気事業分科会(原子力部会)、電源開発分科会、高圧ガス及び火薬類保安分科会(高圧ガス部会、火薬部会、液化石油ガス部会)
29名
三村 明夫(会長) 新日本製鐵株式会社 代表取締役社長
秋庭 悦子 社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 常任理事
石谷 久 慶應義塾大学政策・メディア研究科 教授
植草 益 東京大学名誉教授、電力系統利用協議会 理事長
浦辺 徹郎 国立大学法人東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 教授
岡村 正 株式会社東芝 取締役会長
小川 輝繁 国立大学法人横浜国立大学大学院工学研究院 教授、社団法人火薬学会 会長
長見 萬里野 財団法人日本消費者協会 参与
柏木 孝夫 国立大学法人東京工業大学統合研究員 教授
勝俣 恒久 電気事業連合会 会長、東京電力株式会社 取締役社長
木場 弘子 キャスター
草間 朋子 大分県立看護科学大学 学長
黒田 昌裕 内閣府経済社会総合研究所 所長
神津 カンナ 作家
小林 英男 国立大学法人横浜国立大学 特任教授
崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー
住田 裕子 弁護士
田中 知 国立大学法人東京大学大学院工学系研究科 教授
知野 恵子 読売新聞東京本社編集局解説部次長
坪井 孝夫 国立大学法人横浜国立大学大学院工学研究院 教授
鳥居 泰彦 慶應義塾 学事顧問
内藤 正久 財団法人日本エネルギー経済研究所 理事長
中上 英俊 株式会社住環境計画研究所 所長
縄田 和満 国立大学法人東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻 教授
野村 明雄 社団法人日本ガス協会 会長
橋本 昌 茨城県知事
村上 陽一郎 国際基督教大学 教授
和気 洋子 慶應義塾大学商学部 教授
渡 文明 石油連盟 会長、新日本石油株式会社 代表取締役会長
29名
第1回 05/07/20 ①最近のエネルギー情勢と我が国の政策動向
②各分科会・部会の最近の動向の報告
③総合資源エネルギー調査会の部会廃止について
④今後の政策課題
第2回 07/07/24 ①総合資源エネルギー調査会における審議状況
②今後のエネルギー政策の基本的方向性について
本審議会は、会議を原則公開としております。
本審議会の議事録は、原則公開としております。
原発周辺住民への交付金事業、天下り法人が独占 見直し表明
産経新聞 9月20日(火)13時46分配信
枝野幸男経済産業相は20日、原発立地周辺地域への電気料金割引事業をめぐり、経産省OBが天下りをしている公益法人が事業主体になっているとし、交付金の交付規則を見直すと表明した。枝野経産相は「できるだけ広く競争があった方がいい。特段の理由がなければ、(公益法人に)限定しないのが当たり前」と述べた。
現行規則では、利用者などに交付金の給付を行う事業の主体について「公益法人」と明記しているが、この部分を削除する。民間企業を含め、希望する主体が複数あれば入札などを経て受注先を決める。27日付で改正する。
天下りが問題となっているのは、電源地域振興センター(東京都)。4代続けて経産省OBが理事長を務め、原発立地周辺地域の住民に給付金を支払う業務を、センター設立直後の平成2年から連続して受注してきた。
福島県浪江町も「脱原発」方針 建設計画推進から転換
河北新報 9月22日(木)6時10分配信
東北電力が2021年度運転開始を目指す浪江・小高原発(福島県浪江町・南相馬市、出力82万5000キロワット)の建設計画に対し、馬場有浪江町長は21日、計画を前進させない方針を明らかにした。福島第1原発事故を受け、桜井勝延南相馬市長も既に「脱原発」を打ち出し、立地2市町が従来の推進方針を転換する見通しとなった。
馬場町長は同日、定例町議会一般質問で答弁し、「昭和42(1967)年に誘致を議決した議会を尊重する立場であり、(転換は)手順を踏まえ決断したい」と語った。その上で「計画を進めないということか」と問われ、「その方向でいい」と認めた。
理由に関して馬場町長は「雇用や地域振興に重要と考え、誘致に取り組んできたが、事故で安全神話が崩壊した。多くの人が大変な中で新規立地は世論上、大変難しい。総理は寿命が来たものの廃炉を表明し、県の流れも同じ」と語った。
馬場町長は議会後の取材に対し「できれば町議会には誘致を白紙にしていただいた上で、国や県とも相談し、再生可能な自然エネルギーの拠点を誘致していくのがいいんじゃないかと思う」との考えも示した。
吉田数博議長は、今後の対応を「定例会後に協議したい」と説明した。 .最終更新:9月22日(木)6時10分
常磐線、内陸移設 宮城—福島・被災の3駅 JRと2町合意
河北新報 9月22日(木)6時10分配信
東北運輸局は21日、震災の影響で運休しているJR常磐線の再開に向けた復興調整会議の第3回会合を仙台市内で開いた。参加した沿線自治体やJR東日本などは、津波被害が大きかった宮城、福島両県の3駅を内陸側に移す新ルート案を具体化していくことで合意した。
新ルートは新地駅の南側約2キロの地点から内陸側に向かい、浜吉田駅(宮城県亘理町)までつながる約15キロ。区間内にある新地(福島県新地町)、坂元、山下(ともに宮城県山元町)の各駅はいずれも内陸側に移設する。
新地、山元両町がそれぞれ土地利用計画の一部として作成した移設案をベースに、JRが1本のルートになるように調整した。
今後はルート案に基づいて、用地買収などの事業費や工期を定めた復旧スケジュールを詰める。JRは併せて基本設計を進める。運輸局によると、自治体側は用地買収にも積極的に関与する意向を示しているという。
運輸局は会合終了後、「各自治体は年内の復興計画策定を予定している。その計画に常磐線の復旧スケジュールを盛り込めるよう協議を急ぎたい」と説明した。 .最終更新:9月22日(木)6時10分
【9月23日 AFP】素粒子ニュートリノが質量を持つことの最終確認を目指す国際共同実験OPERA(オペラ)の研究グループは22日、ニュートリノの速度が光速より速いことを実験で見出したと発表した。確認されれば、アインシュタイン(Albert Einstein)の相対性理論に重大な欠陥があることになる。
実験では、スイスの欧州合同原子核研究機構(European Centre for Nuclear Research、CERN)から730キロ先にあるイタリアのグランサッソ国立研究所(Gran Sasso Laboratory)へ、数十億のニュートリノ粒子を発射。光の到達時間は2.3ミリ秒だったが、ニュートリノの到達はそれよりも60ナノ秒ほど早かった(誤差は10ナノ秒以下)。ニュートリノの速度は毎秒30万6キロで、光速より毎秒6キロ速いことになる。
OPERAのスポークスマンを務める物理学者のアントニオ・エレディタート(Antonio Ereditato)氏は、「ニュートリノの速さを知るための実験だったが、このような結果が得られるとは」と、本人も驚きを隠せない様子。発表に至るまでには、約6か月をかけて再検証や再テストなどを行ったという。
研究者らはなお今回の結果には慎重で、世界中の物理学者らに精査してもらおうと、同日ウェブサイト上に全データを公開することにした。結果が確認されれば、物理学における理解が根本から覆されることになるという。
■物体を貫通するのに加速?
ニュートリノは、太陽などの恒星が核融合を起こす時の副産物だ。電気的に中性な粒子で、極めて小さく、質量を持つことが発見されたのはごく最近のこと。大量に存在しているが検出は難しいことから「幽霊素粒子」とも呼ばれる。
ただし、アインシュタインの特殊相対性理論に沿えば、物質は真空では光より速く移動することができない。
ニュートリノは地球の地殻を含めて物体を貫通して移動しているが、「移動速度が(貫通により)遅くなることはあっても光速以上に加速することはあり得ない」と、データの再検証に参加したフランスの物理学者、ピエール・ビネトリュイ(Pierre Binetruy)氏は、疑問点を指摘した。
2007年に米フェルミ国立加速器研究所(Fermilab)で同様の実験に参加した英オックスフォード大(Oxford University)のアルフォンス・ウィーバー(Alfons Weber)教授(素粒子物理学)は、光速より速いニュートリノが現行の理論と相容れないことを認めた上で、測定誤差の可能性を指摘し、同様の実験を行って結果を検証する必要性を説いた。
フェルミで行われた実験では、やはりニュートリノの速度が光速をやや上回っていたが、結果は測定誤差の範囲内だったという。
■4次元とは別の次元?
理論物理学者は、ニュートリノの予想外の速さを説明するための新たな理論を構築する必要に迫られるだろう。
先のビネトリュイ氏は、ニュートリノが4次元(空間の3次元+時間)とは別の次元への近道を見つけたのかもしれないと話した。「あるいは、光速は最速とわれわれが思い込んでいただけなのかもしれない」
(c)AFP/Marlowe Hood
根底崩れた?相対論…光より速いニュートリノ
読売新聞 9月23日(金)15時43分配信
名古屋大などの国際研究グループは23日、物質を構成する素粒子の一種であるニュートリノが、光の速度より速く飛んでいるとする観測結果を発表した。
現代物理学の基礎であるアインシュタインの特殊相対性理論では、宇宙で最も速いのは光だとしている。今回の結果は同理論と矛盾しており、観測結果が事実なら物理学を根底から揺るがす可能性がある。
この観測結果が得られたのは、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関(CERN)の「OPERA実験」。ニュートリノ(ミュー型)を加速器という装置で打ち出し、約730キロ・メートル離れたイタリアのグランサッソー地下研究所へ地中を通して飛ばした。
光はこの距離を0・0024秒で飛ぶが、今回の観測によって、ニュートリノは光より1億分の6秒速く到達していることが分かった。これは、光の速度より0・0025%だけ速く飛んだことを示している。
ニュートリノの飛行速度を巡っては、2007年に米国の研究チームが論文を発表している。しかし、この時は誤差と区別がつかなかったため、「光速と差がない」と結論づけられた。今回は原子時計を備えた全地球測位システム(GPS)と光学測量を組み合わせ、3年間かけて約1万5000回分の飛行速度を精緻に測定した。その結果、誤差を考慮しても、光速を超えていることが判明した。
この観測結果は、現代物理学では説明できない。観測に参加した名古屋大の中村光廣准教授は「物理学全体への影響が大きいため、解釈は加えないと研究グループ内で合意している」と述べ、他グループの実験による検証を求めるために発表に踏み切ったとしている。
◆ニュートリノ=電気的に中性で、物質を透過する。「電子型」「ミュー型」「タウ型」の3種類があり、飛行中にそれぞれ別の種類に変化するニュートリノ振動という現象を起こす。以前は質量がゼロと考えられていたが、故・戸塚洋二東京大特別栄誉教授らによる観測で、質量があることが明らかになった。 .最終更新:9月23日(金)21時28分
電子書籍の世界規格、縦書きの日本語にも対応へ
読売新聞 9月24日(土)14時35分配信
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読売新聞
欧米で電子書籍の事実上の世界標準となっている規格が、10月にも縦書きの日本語にも対応することが24日、分かった。
国内の電子書籍市場は、端末や配信業者間で規格が異なり、普及の障害になっていた。ソニーや楽天など電子書籍の配信大手は標準規格を採用する方針で、世界標準との一本化が進めば、利用者利便の向上が期待できる。一方で国内の出版ビジネスに大変革が起こり、書店などの淘汰(とうた)が進む可能性もある。
ソニーなどが採用するのは、米電子書籍標準化団体「IDPF(国際デジタル出版フォーラム)」が10月中旬に決める「EPUB(イーパブ)3」と呼ばれる最新の規格だ。これに対応したコンテンツ(情報内容)が市場に出てくるのは年末以降とみられる。 .最終更新:9月24日(土)14時35
-東電-官僚天下り50人以上 ゆがむ原発行政(1)
毎日新聞 9月25日(日)11時13分配信
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歴代経産省首脳OBが東電副社長に
東京電力に「嘱託」などの肩書で在籍する天下り中央官僚が47人(8月末)に上ることが24日、毎日新聞の調べで分かった。次官OB向けの「顧問」ポストも加えれば50人を超え、出身は所管の経済産業省から国土交通、外務、財務各省、警察庁、海上保安庁と多岐にわたる。東電福島第1原発事故では安全規制の不備が指摘されるが、原子力行政に携わった元官僚は「(当局と電力会社との)癒着が安全規制の緩みにつながった」と認める。
6月28日、東京都港区のホテルで開かれた東電の株主総会。株価暴落で多額の損失を出した株主から「なぜムダな天下りを受け入れ続けているのか」との質問が相次いだ。山崎雅男副社長は「電力事業には(いろいろな)知識を持った方が必要」と答弁。事故の巨額賠償負担で経営が揺らいでも天下りを切れない電力会社の体質を浮き彫りにした。
経産省キャリアOBの最上級の天下り先は東電副社長ポスト。次官OBの石原武夫氏に始まり、資源エネルギー庁長官や次長経験者が10年前後の間隔で就いてきた。今年1月には、昨年8月に退任したばかりの石田徹エネ庁前長官(当時)が顧問に天下り。東電は「慣例通り副社長に昇格させる予定だった」(幹部)。しかし、「退職後2年間は所管業界に再就職しない」という自民党政権時代に作られたルールを逸脱していた上、原発事故による行政批判も重なって、4月に顧問を退任せざるを得なかった。
経産省は関西など他の電力各社にもそれぞれ元局長や審議官、部長クラスを5人前後ずつ役員や顧問として再就職させている。
◇報酬、霞が関以上に
中央省庁OBを幅広く受け入れる東電のような余裕は、独占事業ではない他の民間企業では考えられず、経済官庁幹部も「東電など電力は再就職の最大の受け皿」と認める。
東電関係者によると、天下り官僚の肩書はキャリアOBなら「顧問」、ノンキャリア出身者なら「嘱託」。報酬は「霞が関での最終ポスト時代を下回らないのが暗黙のルール」(経産省OB)だ。
東電は「国交省や警察庁OBに電源立地対策で知見を発揮してもらうなど、経営に役立っている」と説明。しかし、財務や外務官僚OBの場合「本命の再就職先が決まるまでの腰掛けで東電に入り、給料だけ払うケースも多い」(東電関係者)。
◇「世話になれば無言の圧力」
天下りを通じた当局と電力会社のもたれ合いの弊害は原発行政にも影を落とした。1979年の米スリーマイル島の原発事故などを教訓に、欧米当局は、原発事業者に地震など災害対策や炉心溶融など過酷事故への実効ある対応策を厳しく義務付けた。しかし、日本では事実上、電力会社任せとなり、津波で全電源が喪失した福島原発のようなずさんな対応が取られた。
元原子力安全・保安院長は「欧米並みの規制を導入すべきだとの意見もあったが、コスト負担に反発する電力会社に押し切られた」と説明。元原発検査官は「上司のキャリア(官僚)が退官後、電力会社に世話になっていれば、無言の圧力がかかるのは当然」と話す。【三沢耕平、野原大輔】
中国鉄道事故より悪質な日本の事故隠蔽
科学ジャーナリスト
塩谷喜雄 Shioya Yoshio
東京電力が撮影した被災4日後の福島第1原子力発電所3号機と4号機。3号機(左手前)は水素爆発で原子炉建屋が吹き飛び、4号機(中央奥)は建屋の壁に大きな穴が開いている。3号機と4号機の間からは白い煙が立ち上っている=2011年3月15日午前7時33分[東京電力提供]【時事通信社】 中国高速鉄道の事故で、中国当局による報道規制を口をきわめて非難する日本のマスメディアは、おのが姿を鏡に映して見たことがあるのだろうか。5カ月前に、日本で起こった原発事故——未だ8万人以上に避難生活という理不尽な不幸を強い、農畜産業と水産業に深刻なダメージを与えている空前の大事故、3.11。その真実を、日本のメディアはどれほど伝えているのか。
法的責任を負うべき当事者、つまり検察がまっとうに機能すれば当然起訴の対象となるべき組織と人間が、恣意的に加工して発信する情報を、無批判に世の中に広めているだけではないのか。結果として、責任企業と責任官庁による証拠隠滅を黙認してはいないか。事故車両を地中に埋めた中国と、本質においてどこが違うのか。公然と物的証拠を埋没させた中国当局に比べ、断片情報を意図的に連発して、巧妙に国民を真実から遠ざけている日本の方が、事態は深刻ではないか。
1万ミリシーベルト超の高線量区域はなぜ突然出現したのか
福島第1原子力発電所の1・2号機主排気筒根元付近を、放射線の強弱が分かる「ガンマカメラ」で撮影した画像。中央の赤い部分で過去最高の毎時10シーベルト以上の線量が測定された。右上の赤い部分は未調査=2011年7月31日午後4時ごろ[東京電力提供]【時事通信社】 恣意的な断片情報による世論操作の典型例が、原発排気筒の底部で毎時1万ミリシーベルト以上という極めて高い線量が観測されたとする、8月1日の東京電力の発表である。
福島第一原発の1号機と2号機の排気筒底部で、1万ミリシーベルトまでしか測れない線量計が振りきれたという。また4日には、そこにつながる配管付近でも毎時3600ミリシーベルトが観測されたと発表した。メディアはこぞって「原発サイト内で最強の放射線」と大きく報じた。
何の疑問も持たずにこの数字を垂れ流した時点で、報道機関としては失格である。無能といってもいい。広報機関に徹していて、報道なんかとっくに放棄しているというのであれば別だが、いささかの自負が残っているなら、数字の意味と発表の意図を問いただし、ニュースとしての価値を評価せねばならないはずだ。
東電は3月12日のベントの際に付着したとするが、事故から5カ月もたってから、1時間浴びたら死に至るような高線量区域が突然「出現」したのはなぜか。本当に8月1日に新たに見つかったのか。同じ区域の7月1日の線量はどうだったのか、6月1日、5月1日、4月1日には、それぞれどうだったのか。そこを確認せずに「高線量区域見つかる」と報じたとしたら、お粗末というほかない。
ステップ1完了でも意味はない「お手盛り工程表」
記者会見する東京電力の西沢俊夫社長(左端)。前列右から2人目は細野豪志原発事故担当相=2011年7月19日、東京・内幸町の東電本社【時事通信社】 もし、最近急に高線量区域が出現したのだとすると、その線源となる強力で高濃度の放射性物質が、最近になって急に、または少しずつ排気筒の底部に移動したことになる。いずれにしろ、とてつもない高線量区域が新たにできたということは、福島第一原発のサイト内では、大量の高濃度放射性物質が未だにあちこち動きまわっていることを示している。事故は収束も安定もしていないし、その方向にも向かっていない。
「工程表」のステップ1が完了したとする東電と経済産業省の7月19日の発表も、結果としては何の意味もなかったことになる。お手盛りの工程表に書かれている課題をいくらクリアしても、事故の本質的なリスク、大量の放射性物質が遮蔽も制御もできないままむき出しで存在している事態は、ほとんど改善されていないということを、高線量区域の出現が物語っている。
もし、高線量区域は以前から存在していたというなら、何故これまで秘匿していたのか、何故今になって発表したのか、その真意を問うのがメディアの役目だ。どこにどれだけの放射性物質があるのかは、事故収束に不可欠の基本要件だ。高線量はいつ出現して、どれくらいの線量がどれほどの期間継続して放出されているのか。東電と経産省は常時監視・把握する義務を負っている。これまで隠していて、今頃になって公表したとすれば、その狙いを見極める必要がある。
事故調査・検証委員会などの調べで、高線量区域がサイトのあちこちに存在することがばれそうになったからあわてて発表した、という推測も成り立つ。ステップ2に入ったといっても、循環冷却システムは故障の連続で、事故の収束が長引くことの言い訳として、作業員が近づけない高線量区域の存在をアピールしたかった、などという理由もあるかもしれない。
どちらにしろ、このタイミングでの発表自体が相当に怪しいことは確かだ。それを怪しみもせず、情報を独占している東電と経産省の思いのままに、検証抜きで発表をなぞっているメディアは、多分、3月11日の真実には永遠に近づけないだろう。
飛散した放射性物質の核種も量も明らかにされず
爆発で大破した福島第1原子力発電所4号機の原子炉建屋5階。左側に黄色く見えるのは定期検査中で外されていた原子炉格納容器のふた=2011年6月29日[東京電力提供] 今、ネットで話題になっている動画 がある。東京大学アイソトープ総合センターの児玉龍彦教授が7月27日に衆院の厚生労働委員会で参考人として話した映像と音声で、放射能汚染に対する国会の「無策」、東電と経産省の「不実」を満身の怒りをもって告発している。学識と見識に基づいて道理を説くまっとうな学者が東京大学にもいたのかという驚きが、動画を見聞きした人の共通の感想だろう。
児玉教授の厳しい指摘の中で、福島第一原発からどれくらいの放射性物質が外部に飛散したかを東電と経産省は一切公表していないとの告発が、特に印象に残る。どんな核種がどれほど飛散したか。東電と経産省は、事故対策の大前提となるこの数値を隠し続け、研究者にも情報を公開していない。中国並みの隠蔽体質などと言ったら、中国が怒るかもしれない。
原発事故後、周辺地域の空間線量には2つのピークがある。3月15日と21日である。児玉教授はこの時の周辺地域の計測値から、広島型原爆20個分(ウラン換算)に当たる放射能が、福島第一原発から放出されたと計算している。
3月11日からの11日間に、福島第一原発で起きたことを、国民はほとんど知らされていない。隣接する4基の原子炉建屋がすべて、次々に爆発して、原爆20個分の放射能が外部に放出されるという、世界にも例のない無様な事故の「原因」は隠されたままなのだ。
機材を送り返し数値公開も拒む「隠蔽の実態」
放射性セシウムを含む稲わらを食べた肉牛が出荷された問題で、東京電力の西沢俊夫社長(中央)らに補償を求める泉田裕彦新潟県知事(右)=2011年7月22日、新潟県庁【時事通信社】 児玉教授同様に、3月11日から21日までの事故の真実を、今後のあらゆる対策や判断の根拠にすべきだと、会見で強調したのは、新潟県の泉田裕彦知事である。
8月4日に日本記者クラブで会見した泉田知事 は、今回の原発事故で、情報の隠蔽を「実感した」と語った。合計出力821万キロワット、世界最大の原発サイト、東電・柏崎刈羽原発を抱え、放射能漏れ事故を体験している知事は、安全性には幻想や神話ではなく合理的な根拠を求める。
事故直後に支援のために福島に派遣した県の放射線モニタリングチームと機材が、活用されずに戻されたという。現場での観測数値も公開を拒まれ、隠蔽を実感したという。汚染の実態が隠されたことで、しなくて済んだはずの被曝が人数も線量も膨大に膨らんだと、東電と政府の対応を厳しく批判した。
また知事は、3月11日には、福島第一原発1号機は津波が来る前に配管が破断し、電源の有無にかかわらず冷却材の喪失でメルトダウンした可能性が高いという、原発関係者の話を披露した。地震の後、福島第一原発で起きたことの実態を把握せずに、原発の再稼働など判断できるはずがないと、言い切っている。
経産省出身の泉田知事の発言は重い。事業者、企業しか見てこなかった経産省の役人が、住民の安全や避難計画などに頭が回るはずがないともいう。
海江田万里経産相が、事故の真実を何一つ把握しないまま、妙に前のめりになって原発安全を閣議決定も経ずに宣言し、玄海原発の再稼働を要請したのは、まさしく経産官僚の業界寄りの振り付けそのものだろう。水素爆発を防ぐのにドリルを備えて建屋のコンクリートに穴をあけるという、原子力安全・保安院が示したマンガのような追加的安全措置を、経産相は本気で信じたのだろうか。やらせ問題やストレステストの実施によって、前のめりの原発推進大臣はみごとにすっ転んだ。国会で泣いたのは、その痛さに「恥」を知ったからと考えたい。
3.11をすべての原点に
福島第1原発を襲う津波。中央の排気筒の右側に高い波しぶきが立っているのが見える。同発電所展望台から協力会社の作業員が動画を撮影していた[東京電力提供]=2011年3月11日【時事通信社】 放射性物質放出の2つのピークのうち、15日は前日までの水素爆発の連続による放出の累積効果という見方ができるが、21日は謎というのが、良心的な専門家たちの共通した疑問だった。単に降雨による放射性物質の降下というだけでは説明しきれない。
8月8日付の朝日新聞1面に、この疑問を解く鍵となる研究が紹介されていた。旧日本原子力研究所の元研究主幹の田辺文也氏が、炉心への注水量の変化から、21日ごろに3号機が再び炉心溶融を起こした可能性が高いと指摘しているという。
地震への真剣な備えを怠り、津波などは眼中になく、世界最長・最悪の事故を起こした上に、その後の事故対応を誤り、炉心の再溶融まで招いていたとすれば……。周辺住民の被曝などお構いなしに、事故対応の失敗を隠すため、データを公開していなかったのだとすると、その罪は途方もなく重い。
「前向き」という言葉で、3月11日の真実にふたをしてはなるまい。原発の安全性評価も、新しいエネルギー戦略も、地域再生も、すべては3月11日が原点だ。そこを避けて通る言説はすべて虚構であろう。
推進派と反対派の一騎打ち=原発予定地の上関町長選が投開票−山口
中国電力上関原発の建設が予定されている山口県上関町の町長選は25日、投票が行われている。任期満了に伴う選挙で、原発立地の是非が争点。原発推進派の現職と反対を訴える新人の一騎打ちとなっている。投票は午後6時に締め切られ、即日開票される。
東京電力福島第1原発の事故後、新規原発立地計画がある自治体で行われる初の首長選で、結果は今後の国の原子力政策に影響を与える可能性もある。
立候補しているのは、無所属現職の柏原重海氏(62)、無所属新人で元町議の山戸貞夫氏(61)の2人。
柏原氏は「(原発関連の)交付金に代わる財源はない」と交付金の必要性を強調。2期8年の実績や地域活性化策の推進などを掲げ、支持を求める。一方、反原発団体代表の山戸氏は「原発事故は収束しておらず、原発を前提とした町づくりはあり得ない」と脱原発を訴える。
同町長選は、原発計画が持ち上がった1982年以降、推進派が8回連続で当選している。(2011/09/25-17:54)
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武器輸出見直しは結論と民主政調会長=自民同調、公明は慎重姿勢
民主、自民、公明3党の政調会長は25日、NHKの討論番組で武器輸出三原則、国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊の武器使用基準に関して議論を交わした。
民主党の前原誠司氏は、8日のワシントンでの講演で、三原則の見直しを主張したことについて「(他国との)武器共同生産を例外規定にすべきだ。政府も党も、この考えについてはもう結論が出ている」と強調した。また、使用基準緩和に向け、「法改正が必要なので与野党で議論していただくことが大事だ」と語った。
自民党の石破茂氏は、前原氏の見解を「どちらも極めて正しい」と支持しつつ、「民主党の閣僚たちが『党で決めたことなので政府もそういう方針で臨みたい』と言えばいいだけの話だ」と指摘。一川保夫防衛相が「(前原氏と)連携は取れていない」と発言したことが念頭にあるとみられる。
公明党の石井啓一氏は、武器の共同生産に関し、「従来も個別の案件ごとに例外措置を認めてきている」と一律に例外扱いすることには慎重な考えを示した。使用基準についても「見直すとしてもおのずから限度がある」と語った。
また、南スーダンでのPKOへの陸上自衛隊派遣の可否を探る調査団派遣に関し、前原氏は「(陸自派遣)ありきから出発するのでなくて、念入りな調査をすることが大事だ」と指摘。石井氏は、紛争当事者間の停戦合意などPKO参加五原則が守られるかどうかを判断基準とすべきだとの考えを示した。(2011/09/25-12:57)
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-浜岡原発-「津波集中」の立地 東大地震研が海底地形分析
毎日新聞 9月26日(月)2時30分配信
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浅い海底が外洋に突き出て、津波のエネルギーが集中しやすい浜岡原発付近※東京大地震研究所のデータを基に作成
東海地震の震源域に位置する中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の前面の海域には、浅い海底が外洋に突き出すように広がり、津波のエネルギーが集中しやすい地形であることが、東京大地震研究所の都司嘉宣(つじ・よしのぶ)准教授(地震学)の分析で分かった。
【写真で見る】中部電力浜岡原発
浜岡原発の前面には、深さ200メートルより浅く、約20キロ沖まで舌状に広がる「御前崎海脚」と呼ばれる海底があり、その先は深さ500メートルまで急激に落ち込んでいる。また、御前崎海脚の両側も急に深くなっている。
津波の速度は水深が深いほど速く、浅いほど遅い。都司准教授によると、海から陸に向かう津波は、海脚の中央に近いほど速度が遅くなる一方、中央から離れるほど速度が速く、津波の進む向きが中央方向に曲げられる。そのため、光が凸レンズを通過して焦点に集まるように、海脚の根元に当たる同原発周辺に津波のエネルギーが集中するという。
中部電は東海、東南海、南海地震が連動した場合、同原発付近が高さ約8メートルの津波に襲われると想定。約1000億円の対策費をかけて、来年12月の完成を目標に海面から高さ18メートル、厚さ2メートル、全長1.6キロの防波壁の建設などを進めている。
都司准教授は「浜岡原発は、地震だけでなく、津波の被害も受けやすい場所に立地している」と指摘している。【石塚孝志】
菊川市議会原発再開で意見書
御前崎市にある中部電力浜岡原子力発電所について、原発から10キロ圏内にある菊川市の市議会は国や県に対して住民の理解が得られない限り浜岡原発の運転再開を認めないよう求める意見書を全会一致で採択しました。
菊川市は一部が浜岡原発から10キロ圏内にあり、中部電力といわゆる安全協定を結んで事故やトラブルについて連絡を受けたり、立ち入り調査を行ったりしている原発の地元自治体のひとつです。
菊川市できょう開かれた定例市議会では議員が提案した国や県に対して提出する「浜岡原子力発電所の安全対策に関する意見書」を全会一致で採択しました。
意見書では国や県に対して東京電力福島第一原発の事故の調査結果に基づいた新しい安全基準で安全性を検証し、住民の理解が得られない限り浜岡原発の運転再開を認めないよう求めています。
一方、29日の市議会では浜岡原発の運転再開を認めない決議を求める市民グループからの請願についても審議を行いました。
こちらについては採決の結果、賛成と反対が同数となり、議長が反対したため採択されませんでした。市議会のあと、小笠原宏昌議長は「原発事故についての情報が不足しているため、時間を置いてから考えるべきで請願には反対した。原発の運転再開については非常に厳しい問題意識を持ってとらえなければならない」と話していました。
一方、請願を提出した市民グループの代表の渡辺富士江さんは「意見書が採択されたことは評価しますが、請願が不採択になったことについては市民の多くは浜岡原発を運転再開させたくないと思っているはずで市議会が市民の気持ちを反映できないのはとても残念です」と話していました。
浜岡原発の10キロ圏内の4つの市のうち牧之原市の市議会は今月26日、「安全、安心が担保されない限り永久停止にすべきだ」と決議しています。
周辺の市議会が相次いで浜岡原発について意見を表明したことは浜岡原発の再稼動にも影響を与えることになりそうです。
09月29日 20時19分
2号機、実は水素爆発なかった…東電報告案
読売新聞 10月2日(日)3時3分配信
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読売新聞
福島第一原子力発電所の事故を巡り、東京電力が社内に設置した「福島原子力事故調査委員会」(委員長=山崎雅男副社長)の中間報告案の詳細が明らかになった。
2号機で水素爆発があったとする従来の見解を覆し、爆発はなかったと結論付けた。事故を招いた津波について「想定できなかった」と釈明し、初期対応の遅れについても、「やむを得なかった」との見解を示すなど、自己弁護の姿勢が目立つ。東電は、社外有識者による検証委員会に報告案を諮った後、公表する方針だ。
同原発では、1号機の原子炉建屋が3月12日午後に水素爆発を起こしたのに続き、14日午前に3号機が水素爆発した。さらに15日早朝、爆発音が響き、4号機の建屋の損傷が確認された。爆発音の直後に2号機の格納容器下部の圧力抑制室の圧力が急落したため、東電は2、4号機でほぼ同時に爆発が起きたとし、政府も6月、国際原子力機関(IAEA)に同様の報告をしていた。 .最終更新:10月2日(日)3時3分
震災想定できず「地震学の敗北」 問い直す日本地震学会始まる
産経新聞 10月12日(水)12時5分配信
東日本大震災以降初めてとなる日本地震学会の秋季大会が12日、静岡市内で始まった。主なテーマは大震災や東海・東南海・南海地震など巨大地震の解明。最終日の特別シンポジウムでは、大震災を想定できなかったことについて「地震学の敗北」と異例の自己批判をし、防災に寄与する研究の方向性などを模索する。15日まで。
大会では、東日本大震災のこれまでの分析などをもとに、マグニチュード(M)9の巨大地震と今回の大津波がどのように発生したのかなどについて、9つのセッションに分かれ、研究発表が行われる。
最終日の15日は、静岡大学で、特別シンポジウム「地震学の今を問う」を開催。地震学について、「東日本大震災の発生の可能性を事前に指摘することすらできなかったことは大きな敗北」と位置づけ、「何がいけなかったのか」などについて議論を呼びかけ、日本の地震予知体制を強く批判している東京大学・ロバート・ゲラー教授による特別講演「地震科学と災害対策・リセットの時期」なども行われる。
同学会は来春までに議論の成果を提言にまとめることにしており、学会長の平原和朗・京大教授は「次の備えに向けて、社会にどう貢献できるのか。議論を深めたい」と話している。
-空間放射線量-世田谷の区道で2.7マイクロシーベルト
毎日新聞 10月12日(水)21時16分配信
東京都世田谷区は12日、同区弦巻5の区道で、国際放射線防護委員会の基準などを基に区が独自に算出した安全の目安とする空間放射線量(毎時0.23〜0.25マイクロシーベルト)の約11倍にあたる最大毎時2.70マイクロシーベルト(6日現在)を測定したと発表した。区は「通行するだけでは身体に影響はない」としているが、住民の不安に配慮し、周辺を立ち入り禁止にする緊急措置を取った。
◇区の安全目安の11倍
区環境保全課によると、区民が3日、区道の歩道部分を簡易測定器で測定し「放射線量が高いようだ」と報告。区が圧力洗浄した後、6日に9カ所を測定したところ、0.08〜2.70マイクロシーベルトを検出した。地上5センチ、50センチ、1メートルの3段階で5回測定し、その平均値を出した。
区道は住宅街にあり、区立松丘小の通学路に指定されている。歩道部分は車道より低くなっていることから、同課は「雨水が集まり、放射線量が高くなった可能性がある」としている。今回の結果を受け、区は子供の安全確保のために今月下旬〜11月、区内にある258カ所の公園の砂場で空間放射線量を測定することを決めた。
区道で測定された2.70マイクロシーベルトは、1日のうち屋外で8時間、屋内で16時間過ごした条件で計算すると、1日の被ばく量は38マイクロシーベルト。年間で14ミリシーベルトとなり、国が避難の基準としている年間20ミリシーベルトは下回る。
労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則では、外部放射線と空気中の放射性物質による実効線量の合計が3カ月間で1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域は、放射線管理区域に指定するよう定めている。1時間当たりに換算すると毎時2.60マイクロシーベルトで、通常、原子力施設などではこの値が管理区域に設定する基準となっている。【黒田阿紗子、袴田貴行】
大震災予知できず 東北大松沢教授 異例の反省の弁
河北新報 10月14日(金)6時10分配信
静岡市で開かれている日本地震学会で13日、東北大地震・噴火予知研究観測センターの松沢暢教授(地震学)は東日本大震災の発生可能性を事前に指摘できなかったことに対し、反省の弁とも取れる異例の発表をした。松沢氏は「プレート(岩板)境界の固着が弱いという状況証拠と100年ほどのデータから、M7〜8程度の地震しか起きないと判断してしまった」と振り返った。
発表のタイトルは「M9の地震が発生するとは思わなかった根拠と実際にそれが発生した理由について」
古いプレート境界は固着が弱く、中規模の地震やゆっくりとした断層の滑りで、固着が解消されやすいとされる。東北地方に沈み込む太平洋プレートは、世界で最も古い海底の一つ。松沢氏は「古いプレートが深くまで沈み込む場合は大きな地震は生じにくいという1970年代の理屈が定説化していた」と説明した。
固着が弱いと思わせる観測事実もあった。約100年分の測量データから、東北では数十年の間隔で発生するM7クラスの地震で、内陸にかかる力が解消されるとの解釈が可能だったという。
しかし東日本大震災の本震では200キロにわたる震源域で、水圧が岩石を押し広げたことによるプレート境界の摩擦の低下や、「滑り過ぎ」という特異な現象が起きたとされ、平均で20メートルも断層が滑る超巨大地震になった。
松沢氏は「プレートの固着が弱くても、力を全て解放する地震が生じれば境界が数十メートル動き得ることに思い至らなかった」と悔しさをにじませた。 .最終更新:10月14日(金)6時10分
ラジウム「心配ない」 世田谷民家 文科省、未明の会見
産経新聞 10月14日(金)7時55分配信
東京都世田谷区弦巻の民家でラジウム226と推定される物質が入った瓶が見つかった問題で、文部科学省は14日未明、会見を開いた。殺到する報道陣の問い合わせに深夜まで慌ただしく対応に追われた末の会見となった。
職員らが現場から同省に戻ったのは13日午後10時近く。会見した放射線規制室の中矢隆夫室長は、ラジウム226とみられる放射性物質の健康への影響について、「普通に付近を往来している程度では、年間1ミリシーベルト以下に収まるので、心配ない」と強調。ラジウム226の用途について、「医療用には粉末では使わないので、推測だが、夜光塗料などに使うためだった可能性もある」と話した。
文科省によると、民家に住んでいたのは、事務系の男性サラリーマンだったが、約10年前に死亡。医療関係や研究者ではなかったという。
◇
■がん治療、夜光塗料にも利用
ラジウムは放射性物質の一つで、単体は銀白色の金属。1898年にウラン鉱石から発見された。天然にはラジウム223、224、226、228の4種類がある。民家の床下から見つかった物質と推定される226は最も代表的なラジウムで、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)によると、日本にも土壌1キロ当たり平均33ベクレル存在している。放射線を出す能力が半分になる半減期は約1600年。
アルファ線とガンマ線の2種類の放射線を出し、かつてはがんの放射線治療に使われたほか時計の文字盤の夜光塗料としても利用された。世界保健機関(WHO)の外部組織の国際がん研究機関(IARC)は224、226、228の発がん性を勧告。一方、ラジウムが多く含まれた温泉(ラジウム泉)は、神経痛の痛みを抑えるなどの効能があるといわれている。
◇
■「区道 避難目安より低い」
京都医療科学大・遠藤啓吾学長(放射線医学)の話「民家の床下付近の放射線量はかなりの高レベルと推測される。一方、区道で検出された毎時3・35マイクロシーベルトは、毎日8時間を屋外、残りを木造家屋内で過ごしたとの仮定で年間被曝(ひばく)線量に換算すると約17ミリシーベルトとなる。これは国が避難を促す目安の20ミリシーベルトより低く、さらに今回は1カ所での検出であり、原発事故のように広範囲に放射性物質が飛散している状況ではないため、被曝量はもっと少なくなる。区道を通る程度なら、ごく短時間でもあり、健康に悪影響はない」
チャイナ・シンドローム、ひそかに試算…保安院
読売新聞 10月15日(土)3時5分配信
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読売新聞
経済産業省原子力安全・保安院が、東京電力福島第一原子力発電所1〜3号機で核燃料が完全に溶け落ちて、格納容器の底部を大きく侵食する最悪のケース(チャイナ・シンドローム)を想定した試算を、事故発生から2週間後の3月25日以降、ひそかに行っていたことが14日わかった。
注水できなくなった場合、2、3号機は、厚さ約3メートルのコンクリートへの侵食が10日以上続き、1号機の侵食は8日間で1・8メートル進んで収まるとした。保安院や東電は当時、燃料の状態について「一部損傷した程度」と説明していた。
保安院が試算を指示した独立行政法人の原子力安全基盤機構が同日公開した。炉心が溶融して、圧力容器底部の制御棒貫通部などから格納容器にすべて落下し、その底部にあるコンクリート製の床「ペデスタル」をどの程度まで侵食するかを試算した。全炉心が一瞬で落下する場合や溶融燃料がジェット状に噴出する場合なども想定した。 .最終更新:10月15日(土)3時5分
枝野経産相、厳しく九電批判…報告再検討要求も
読売新聞 10月14日(金)23時4分配信
九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の再稼働を巡る「やらせメール」問題で九電の真部利応(としお)社長が14日、経済産業省に提出した最終報告書で、佐賀県側の関与などを認定した第三者委員会の指摘を盛り込まなかった点について、枝野経産相は同日、外遊先の中国で報道陣の取材に応じ、九電の姿勢を厳しく批判した。
枝野経産相は、「第三者機関の報告書のつまみぐいをするやり方は、公益企業のガバナンス(統治)としてあり得るのか。そのことが大変深刻な問題」と話した。第三者委員会の指摘を取り入れなかった点には、「どういう神経でなさっているのか理解できない。(真部社長の)続投以前の問題」と述べ、報告書の再検討を求めることもあり得るとの考えを示した。
九電の第三者委員会は、佐賀県の古川康知事の九電幹部に対する発言がやらせの発端になったと認定し、2005年のプルサーマル公開討論会を巡っても佐賀県側の関与を指摘したが、報告書では県側の関与を認めなかった。最終報告書を了承した臨時取締役会では真部利応社長の続投も正式決定した。 .最終更新:10月15日(土)1時36分
-やらせメール-第三者委の郷原氏「経営者の暴走」
毎日新聞 10月15日(土)0時31分配信
九電第三者委員会の委員長を務めた郷原信郎弁護士は14日夜、東京都内で記者会見し、九電の最終報告書について「第三者委の報告書の都合のいいところだけをつまみ食いしてちりばめたもので、何の意味もない」などと痛烈に批判した。また眞部利應社長に対し、「独自見解を表に出すのは常識はずれで、体制の維持ばかり考える経営者の暴走」と断じ、「進退をしっかり考えていただきたい」と辞任を求めた。
九電の最終報告書が、佐賀県側の関与に言及しなかったことに対し、郷原氏は「我々が本質と捉えた九電と佐賀県の不透明な関係を一切無視し、第三者委発足前の九電の認識とほとんど変わっていない」と非難。眞部社長が「やらせメール」の原因について「(古川康・佐賀県)知事の発言ではなく、発言のメモが発端」と主張していることにも、「メモは発言の後に作られており、理屈にならない」と切り捨てた。
九電役員の処分については、不祥事に関する資料の廃棄を指示するなどした中村明・原子力発電本部副本部長(減俸100%、1カ月)を「相当程度重い責任で、(処分が)軽い」と指摘した一方で、知事発言メモを作成した大坪潔晴・佐賀支社長(同50%、1カ月)は「知事の真意と異なるメモを作ったわけではなく、重すぎる」と述べた。また、「仕込み質問」があった05年当時の社長だった松尾新吾会長については「会長も責任を考えてほしい」と述べた。【小原擁、福永方人】
-スロースリップ-千葉・房総沖でプレート滑り 「群発地震誘発も」
毎日新聞 11月1日(火)9時0分配信
防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は31日、千葉県の房総半島沖で、フィリピン海プレート(岩板)と陸側プレートの境界面がゆっくり滑り(スロースリップ)を起こしていると発表した。広瀬仁主任研究員は「群発地震の誘発も考えられる」と説明している。
この場所のスロースリップは約30年間観測が続いており、前回までの5回は平均6年間隔で起こっていた。今回は07年8月以来4年2カ月ぶりで、間隔は過去最小。東日本大震災の影響で早まった可能性もあるという。07年には、スロースリップに誘発されたとみられる群発地震が房総半島周辺で発生した。
防災科研が全国に整備した、高感度地震観測網のうち、房総半島6地点のデータを分析。最大の動きは、10月26〜30日の5日間に深さ約20キロで約6センチ滑ったと推定した。【安味伸一】
-福島3号機-現場独断で冷却停止…3月13日、高圧注水系
毎日新聞 12月16日(金)2時39分配信
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高圧注水系のイメージ図
東京電力福島第1原発事故で、3号機の原子炉を冷やすための最後の要となる「高圧注水系(HPCI)」が3月13日に現場の独断で止められ、再起動できなくなっていたことが、政府の事故調査・検証委員会の調べで分かった。3号機は翌日、水素爆発した。1号機でも冷却装置「非常用復水器(IC)」が止まったが、吉田昌郎前所長が稼働していると誤認して事故対応していたこともすでに判明している。指揮系統が機能していなかったことが重大事故につながった可能性がある。今月末に公表される中間報告書に、こうした対応が不適切だったと記載される模様だ。
【すべてはここから】津波に襲われる福島第1原発の写真特集
◇政府事故調、中間報告へ
東電が今月2日に公表した社内調査中間報告書などによると、3号機では東日本大震災が発生した3月11日、電源が喪失し、「原子炉隔離時冷却系(RCIC)」と呼ばれる別の冷却系が作動、原子炉に注水した。だが、12日午前11時36分には原因不明で停止。原子炉の水位が低下し同日午後0時35分にHPCIが自動起動したが、13日午前2時42分に停止した、としている。
複数の関係者によると、事故調が経過を調べた結果、運転員がバッテリー切れを恐れ、吉田前所長の判断を仰がずHPCIを止めたことが分かった。その後、HPCI、RCICともに起動を試みたが再開しなかった。報告書は「HPCIを止めない方がよかった」と指摘する見通し。
一方、報告書は津波対策にも言及するとみられる。東電は08年、想定していた高さ5・7メートルを上回る10メートル超の津波の可能性を試算したが、社内で「防潮堤のかさ上げは費用が高くなる」との意見が出された。当時原子力設備管理部長だった吉田前所長らが「学術的性格の強い試算で、そのような津波はこない」と主張したこともあり、具体的な対応は見送られたという。
さらに、報告書は法律に基づいて設置された現地本部が十分機能しなかったことや、政府が「炉心溶融(メルトダウン)」を軽微に感じさせる「炉心損傷」と修正した点にも触れる見込み。閣僚の具体的な関与では今月から聴取を始めており、来夏に作成する最終報告書に盛り込む。
◇高圧注水系◇
非常時に原子炉内に注水するために備えられた緊急炉心冷却装置(ECCS)の一つで、原子炉内の水位が異常に下がった場合に働く。原子炉の余熱で発生する蒸気を利用してタービン駆動のポンプを動かし、復水貯蔵タンクなどの水を勢いよく炉内上部から炉心(核燃料)に注ぎ込む。停電時でもバッテリーで使用できるのが利点。
◇解説…有事の指揮系統、機能せず
これまで東京電力は「原発事故防止のためにさまざまな取り組みをしてきた」「想定を上回る津波だった」などと主張してきた。しかし、政府の事故調査・検証委員会による関係者聴取から浮かぶのは、「不十分な備え」であり、「人災」という側面すらみえる。
同委員会の調査で、福島第1原発3号機で「高圧注水系(HPCI)」を運転員が独断で止めたことが判明した。今夏までの調査でも1号機の非常用復水器(IC)の停止を吉田昌郎前所長が把握できていなかったことが判明している。重大事故時の備えがなく、運転員にこのような行動をさせた点こそ問題だ。
また、東電の過酷事故時の手順書には、全電源喪失が長時間続くことを想定せず、格納容器を守るためのベント(排気)の手順なども盛り込まれていなかった。備えが不十分で現場の指揮系統が混乱し、最善策を取れなかったとうかがわせる。
過酷事故対策は79年の米スリーマイル島原発事故を契機に、世界的に整備が進んだ。日本でも検討され、原子力安全委員会は92年、事業者に過酷事故対策を求めた。だが、事業者の自主性に委ね、それ以来、対策内容を見直してこなかった。あらゆる警告を謙虚に受け止めることが関係者に求められる。
「非常用復水器」すぐ稼働なら炉心溶融なかった 原子力安全基盤機構調査
産経新聞 12月9日(金)19時22分配信
原子力安全基盤機構(JNES)は9日、東京電力福島第1原発1号機で、非常時に原子炉の圧力を下げて冷却する「非常用復水器(IC)」が津波から45分以内に稼働していれば、炉心溶融に至らなかったとする解析結果を公表した。
ICは今回の事故でも地震直後に自動起動したが、10分後に原子炉温度が急激に下がり、運転員が手動停止。再起動させたのは津波から約3時間後の3月11日午後6時18分だった。この時点で、すでに燃料は溶融し始めていた可能性が指摘されている。
JNESは津波襲来から約45分後の同日午後4時15分にICを再稼働させたと仮定したシミュレーションを実施。その結果、原子炉の水位は維持され、燃料の溶融が防げたという。
ICは電源を失った際に唯一稼働可能な冷却装置で、今回の事故でも稼働状況が適正だったかが、事故検証における重要な争点の一つとなっている。
再起動が遅れたことについて、東電は保安院に対し「津波直後の数時間はプラント全体の状況把握に取り組むのが精いっぱいで、ICに集中して対応できる状況ではなかった」と説明している。
-福島第1原発-1号機 復水器再稼働なら炉心溶融に至らず
毎日新聞 12月9日(金)2時31分配信
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事故前の福島第1原発1号機の原子炉のイメージ
東京電力福島第1原発事故で、1号機の原子炉を冷却する非常用復水器(IC)が津波襲来から1時間以内に再稼働した場合、炉心溶融に至らなかったことが8日、原子力安全基盤機構(JNES)の解析で分かった。ICは電源が失われても動く唯一の冷却装置だが、ICにつながる配管の弁が閉じ、機能を果たせなかった。迅速に弁を開ける方法を準備していれば、炉心溶融は避けられた可能性がある。
【写真特集】福島第1原発:淡水化装置から汚染水流出
解析は経済産業省原子力安全・保安院がJNESに依頼し、9日に発表する。
1号機は3月11日の津波で全電源を喪失、原子炉に水を注入する緊急炉心冷却装置が使用不能になった。2系統あるICは放射性物質を閉じこめるため、電源喪失に伴い弁がすべて閉まるよう設計されており、地震発生後は断続的に動いたが津波後に閉じた。2時間40分後の午後6時18分、蓄電池が復旧して弁が開き、7分だけ稼働したものの、運転員がICの冷却水不足を懸念し手動で停止。再稼働はさらに3時間後だった。
解析によると、IC停止から約1時間後に冷却水につかっていた炉心が露出。露出後は温度が上昇し、水素が発生し始めてICの効率が低下するため、炉心溶融を回避するのが難しくなったことが判明した。保安院は午後6時18分には既に炉心溶融が始まっていたとみている。ICを再稼働させるには、運転員が現場に行き、弁を手動で開く必要があった。東電は毎日新聞の取材に対し「真っ暗で線量の高い現場に行ってすぐにICを復旧させるのは無理だった」としている。【岡田英】
福島第1原発:冷却装置への対応に問題 事故調中間報告書
福島第1原発事故を調べてきた政府の「事故調査・検証委員会」の中間報告書を野田佳彦首相(右)に手渡す畑村洋太郎委員長=首相官邸で2011年12月26日午後6時5分、小出洋平撮影 東京電力福島第1原発事故の原因などを調べてきた政府の「事故調査・検証委員会」(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)は26日、中間報告書をまとめた。炉心溶融を防ぐための冷却装置への東電の対応に問題があったと認定し、「極めて遺憾」と指摘。政府の対策本部が機能不全に陥っていたことにも言及した。深刻な被害にいたった背景として、自然災害と原発事故の複合災害という視点がなく、政府や東電の備えの欠如があったと分析した。
報告書は一連の事故で、(1)東電の対応(2)政府の対応(3)市民の被ばく防止(4)過酷事故(シビアアクシデント)対策−−の4点で問題があったとしている。
東電の対応では、1号機の冷却装置「非常用復水器」(IC)の稼働状況で誤解があった上、3号機の冷却装置「高圧注水系」(HPCI)の操作で不手際があったと分析している。具体的には、ICは津波到達後に機能を失ったが、現場ではICの役割を十分把握していなかった上に、吉田昌郎所長(当時)や本店は稼働していると誤解。誤解に気づく機会は何度もあったが見逃された。
HPCIの操作では、運転員が吉田所長らの判断を仰がず、別の注水操作をしようとして稼働を停止した。その後、バッテリーがなくHPCIの再起動はできなかった。
検証委は1、3号機で「より早い段階で現状を認識し、別の方法で注水に着手していれば炉心損傷の進行を緩和し、放射性物質の放出量は減った可能性がある」と分析。ただし、最善の対応が実施できても1、3号機の水素爆発が防げたかは判断が難しいと評価した。
政府対策本部の問題では、原子力災害対策特別措置法に基づき、携帯電話の通じない首相官邸の地下に官邸対策室が設置されたが、菅直人首相(当時)らは官邸5階にいて、情報共有ができず円滑に対応できなかった点を挙げた。経済産業省原子力安全・保安院は、東電のテレビ会議システムの活用に気づかない上、職員を東電に派遣しないなど情報収集に消極的な姿勢を問題視している。
このほか、放射性物質の拡散を分析し、被ばく防止に役立てる政府の「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)に言及。地震に伴うシステム損傷で本来の機能が発揮できなかったほか、暫定分析の公表も遅れたために、被災者の避難に混乱を招いたとしている。
シビアアクシデント対策では、巨大津波の来襲を予想できたにもかかわらず実施していなかったことから、東電など電力事業者による自主的な運用には限界があるとした。
一方、地震による重要機器の損傷は確認できないが、現場の調査が実施できていないとして最終判断は先送りした。
検証委は6月から調査を開始。原因解明を主眼に置き、責任は追及しない方針を打ち出し、今月半ばまでに関係者456人から延べ約900時間聴取した。菅前首相ら官邸中枢の具体的な関与などは来年夏の最終報告書に盛り込む。
中間報告書は本編507ページと資料編212ページで構成。検証委のウェブ(http://icanps.go.jp/)で公表し、来年1月末まで意見を募集する。【奥山智己、岡田英】
毎日新聞 2011年12月26日 17時24分(最終更新 12月26日 21時03分)